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シナリオ詳細

<ダブルフォルト・エンバーミング>砂嵐烟る果て、R来る

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●終焉へ突き進む者
 突如として『世界』に現れた『終焉獣ラグナヴァイス』は、またたく間に『砂嵐』を蹂躙した。
 『伝承』へ迫る終焉へと対処を迫られるなか、砂の王ディルクは伝承との間に半ばなしくずし的に和解を成立させ、自らの故郷を蹂躙した終焉の者たちを討ち果たすべく立ち上がった。
 砂の海に生きてきた彼らは、何者かに奪われることをよしとしない。彼らは常に、奪う側にあらねばならぬ――その誇りあればこそ、強大な敵を前にして戦うことができるのだろう。
「……なーんてお高く止まってんのかねぇ? 嫌だ嫌だ、湿っぽいのは趣味じゃねーんだわ」
 終焉獣『ストームウルフ』。全身から風を撒き散らして砂塵を撒き散らすそれは、進軍してきた砂嵐の者達の目を潰し、異常に発達した顎、というかもはや肉体の7割ほどを占める巨大な口を振り下ろしてうろたえる者達を貪り食った。散っていくブロックノイズは果たして、悲鳴だろうか怨嗟だろうか。
 そんな終焉獣の暴挙を砂嵐のなかにあって平然と見やったその声の主は、しかし嵐の中では姿を探すことはままならない。
 否、姿をもとより隠していたそれを探す手段として、音を探るという方法が奪われたといっていいだろう。
 砂嵐を駆け回り、難を逃れた人々を襲うのは彼の配下達。以前よりも凶暴な見た目をしているのは、おそらくデータ的に強化されたからだろうか?
 その敵の名は『にゃこらす・R』。以前より謎に包まれていた『R』の意味は……。

●嵐へと突き進む者達
「お前が俺だってんなら……いや、俺を真似した偽物だってんなら、考えることはだいたい分かるぜ。考え続けて欺き続けて状況を引っ掻き回す、それが一番大好きな『てめぇ』なら、そろそろ『R』の意味も、次にやることも読めてたってんだよ」
 パラディーゾ『火星天・にゃこらすR』のベースに『されてしまった』にゃこらす(p3x007576)は、『ダブルフォルト・エンバーミング』開始の告知が為された時点でおおよその相手の行動を読んでいた。というより、たまたま打った手が通っただけだが。
 それはすなわち、森よりも隠れやすく、炎よりも面倒くさい場所。砂嵐の中に紛れればいい、と。
「知ってるぜ火星天! お前の『R』は『不敗』――」
「それ以上言わせる訳ねえだろがにゃ!」
 にゃこらすが言い切るより早く、ぱぱにゃんこ (p3y000172)がその後頭部をひっぱたいて正気に戻す。それを見ていたすあま(p3x000271)は、鎧さんの上で小首をかしげた。
「誰にも負けたくない、勝ち続けていたいってこと? ならなんで、この間素直に逃げちゃったんだろうね?」
「ユーもそういう無邪気な疑問をぶつけたら話が悪化するって学ばなかったんかにゃ?! 本当にもうこの娘っ子は! 中身だれにゃ!」
「だめだよそういうマナー違反な事言っちゃ」
 ぱぱにゃんことすあまの気の抜けそうな会話が続くが、さりとてここは敵陣真っ只中、砂嵐と伝承の境界線、そして自然現象としての砂嵐も間近に迫っている。
 背後にいくつかの村があったはずだ。風で吹き飛んでしまうだろう貧相な村が。
 これまでにいくつもの村が、里が、潰されたのだろう。冗談みたいなこの猫と狼のせいで。

「どっちにしろ、俺達に好きにやられたんだ、返上しろよその『R』」
「嫌だね。お前が消えて俺によこせよ、その『場所』」

GMコメント

 冗談くさい流れでも、やはり互いが心から嫌いなのですね。

●成功条件
・敵勢力の殲滅
・(オプション)にゃこらす・Rを優先的に撃破する

●失敗条件
・にゃこらす・Rの『存在消失』完了までの撃破達成の失敗
・戦闘開始位置から60m以上後退し、その位置で2ターン戦闘を継続するorさらなる後退

●にゃこらす・R
 Rがなんなのか大体わかったけど、今度は口にしちゃいけない略称だったことが判明しました。
 火星天のためBS耐性が高く設定されております。
 また、『砂嵐』解除までの間は通常より格段に見つけにくくなっています。
 アクセスファンタズムのバグ的流用により「あらゆるものに変化でき、その同一性を敢えてズラす」ことで、風景に溶け込んだりすることができます。
 攻撃は確認されている限り行動阻害系BS漬けにする高命中低威力のものが多いです。
 ですが、前回の戦闘(『<Closed Emerald>招かれざる猫は消失点を真似て』)では実力を隠していた可能性もあり、大いに警戒すべき相手です。
 また、『砂嵐』発生中(後述)の場合、数ターンに一度『存在消失』判定が発生し、これに3回連続で成功した場合、存在消失確定となります。
 ぶっちゃけ何が起こるか予測不可能。成功率は低い現象ですが、避けねばなりません。

●ストームウルフ
 終焉獣(ラグナヴァイス)の一体。存在するだけで周囲に激しい風を巻き起こします。大顎に手足がついたような、どうにも形容し難い暴食の終焉獣です。
 これにより『砂嵐』状態(常時強制で暗闇BS状態、出血・流血BS判定を毎ターン、にゃこらす・Rを対象に索敵系非戦スキルが使えない、『存在消失』判定発生など)を引き起こしています。
 本体は終焉獣らしく全体的に性能が高め。特にEXA、物理攻撃力が高いです。優先して倒せば失敗条件を潰せますが、こちらに手こずって破滅的状況にある恐れも考慮しましょう。
 攻撃手段は大口による攻撃(中射程)の他、爪(至近高威力・滂沱)、砂嵐の収束攻撃(神超貫・万能・Mアタック大・???・???)などがあります。

●子ゃV2×10
 『子ゃこらす』のバージョンアップ版。
 数体の連鎖行動による「共鳴撫鳴」(神特特)の他、ひっかき、砂かけなどを仕掛けてきます。
 また、『必殺』つきの攻撃もあるようです。HPは『それなり』で、本体が消えても残ります。

●ぱぱにゃんこ
 友軍。混沌側の本体より回復寄り、HPもAPも回復できます。
 飽くまで補助であり、ちょっと優秀なヒーラー以上の立場ではありません。

●フラグメント
 めちゃくちゃ近くにあります。
 復帰は簡単ですが、それに伴うデスカウントの激増にご注意ください。

※重要な備考『デスカウント』
 R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
 R.O.O_4.0においてデスカウントの数は、なんらかの影響の対象になる可能性があります。

●重要な備考
 <ダブルフォルト・エンバーミング>ではログアウト不可能なPCは『デスカウント数』に応じて戦闘力の強化補正を受けます。
 但し『ログアウト不能』なPCは、R.O.O4.0『ダブルフォルト・エンバーミング』が敗北に終わった場合、重篤な結果を受ける可能性があります。
 又、シナリオの結果、或いは中途においてもデスカウントの急激な上昇等何らかの理由により『ログアウト不能』に陥る場合がございます。
 又、<ダブルフォルト・エンバーミング>でMVPを獲得したキャラクターに特殊な判定が生じます。
 MVPを獲得したキャラクターはR.O.O3.0においてログアウト不可能になったキャラクター一名を指定して開放する事が可能です。
 指定は個別にメールを送付しますが、決定は相談の上でも独断でも構いません。(尚、自分でも構いません)
 予めご理解の上、ご参加下さいますようお願いいたします。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はCです。
 情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。

  • <ダブルフォルト・エンバーミング>砂嵐烟る果て、R来る完了
  • GM名ふみの
  • 種別通常
  • 難易度HARD
  • 冒険終了日時2021年12月07日 22時26分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

すあま(p3x000271)
きうりキラー
シャドウウォーカー(p3x000366)
不可視の狩人
Teth=Steiner(p3x002831)
Lightning-Magus
にゃこらす(p3x007576)
怪異狩り
ロロン・ホウエン(p3x007992)
カラミティ・クリエイター
カノン(p3x008357)
仮想世界の冒険者
ネコモ(p3x008783)
ニャンラトテップ
ルージュ(p3x009532)
絶対妹黙示録

リプレイ


「さあ!始まりましたにゃんこ大戦争! にゃこらすRとにゃこらすっち因縁の対決が今はじまるニャ! 実況は超ぷりちーにゃんこアバターのネコモ、解説はポテサラの匂いがただようぱぱにゃんこがお送りするニャ!」
「ンな匂い漂わせた覚えねえにゃ。ユーは真面目にやれにゃ」
「ひっでー砂嵐だよな。せっかくの面白にゃんこ大戦争なのに」
「面白くはねえにゃ。雰囲気最悪だにゃ」
 『ニャンラトテップ』ネコモ(p3x008783)と『絶対妹黙示録』ルージュ(p3x009532)のノリが随分と軽いのは、そもそもぱぱにゃんこ (p3y000172)のせいもあるのだろうが、状況は決して笑っていられるものではなく。というか、『CATLUTONNY』すあま(p3x000271)も含めて猫が多すぎるのだ。味方側だけで。
「うえー、面倒くさいのが揃い踏み! しかも顔に砂が! ぺっぺっ」
「ああうん。何となくわかったぜ、R。ツッコまねぇが!」
「何も分かってねえみてえだがな。大体今のだって本物の勝手な推測だろうがよ」
 砂を吐き出すすあまの背をラダがさする傍らで、『Lightning-Magus』Teth=Steiner(p3x002831)は概ね理解した様子で頷いていた。それが勘違いだと火星天は主張するが、果たして本当かどうか。事態は砂嵐のごとくに煙に巻かれている。
「問題はこの異様なまでの砂嵐……全部終焉獣の仕業だねコレ」
「まず狼を倒さないと難しそうね」
 ほんの少しだけ火星天の名にに思いを馳せてから、『不可視の狩人』シャドウウォーカー(p3x000366)は即座に思考を切り替えた。視界いっぱいに広がる砂嵐の有様は、声はすれども火星天の正確な位置を掴ませない。それでも攻撃を仕掛けてこず、能力を行使しないのは……多分に理由があるのだろう。『カラミティ・クリエイター』ロロン・ホウエン(p3x007992)も眼前の砂嵐に辟易したような様子で頷いた。
「お前さ、実は自分がナニモノか分かってねぇだろ。不安なんだろ? テメェはテメェのはずなのに偽物の存在だってことによ! だから俺の場所を奪いたいんだろ? そうすりゃテメェこそが本物になるからよ!」
「知ったふうな口を利きやがって。持ってる奴が持たねえ奴の何を分かってるってんだよ、冗談もほどほどにしやがれ」
 『怪異狩り』にゃこらす(p3x007576)はそんな火星天の本心を知っている『素振り』をちらつかせ揺さぶりをかけた。苛立ち混じりに返ってくる声を聞けば、一定の真理に触れたことがわかるだろう。
「……これ以上この世界を蹂躙させる訳には行きません。尋常に撃破させて貰います!」
「最後のことばはそれで足りてるか? 小娘」
 『仮想世界の冒険者』カノン(p3x008357)の声に、火星天の苛立ち混じりの声が応じる。砂嵐の勢いが激しくなるなか、両者はどちらともなく踏み出した。


「砂嵐のなかでも、その大口は隠せないみたいだね!」
 すあまの爪が鋭く振るわれ、嵐狼の口元を削る。身を捌いて躱そうとしたが、それでも傷はそこそこ深い。
 横合いからつっかけたシャドウウォーカーのダガーは電撃を纏って食いつき、全身に電流を走らせた。面倒そうに頭を振った嵐狼の動きを乱すことは叶わなかったが、それでも傷はつけられた。それで充分ではないか。
「あの砂嵐野郎を真っ先にブッ叩かねえと何もできねえってか……?!」
 Tethが嵐狼目掛けて雷撃を放ったのと、接近していたイレギュラーズ達、ロロンやルージュ、ネコモらが纏めてよろめいたのはその時だった。一切の減衰なく叩き込まれた雷撃が嵐狼に痛打を与えたのは間違いないが、前衛が少なくない手傷を負ったのもまた見逃せない。状況を俯瞰していたTethは、子猫達が揃って異様な鳴き声を放ったことに気付く。
「こんな迷惑極まりない鳴き声で鳴くんじゃないにゃー!」
「あの射程、位置関係……狼の周りを薙ぎ払う格好なのでしょうか」
 ネコモは抗議の代わりに回転を交えた蹴りを放ち、カノンは魔弾を叩き込もうとする。狙いは正しいが、されど深手に持ち込めない。十分な狙いをつけられていない、というべきか。子猫の鳴き声に合わせるように、嵐狼が砂嵐を前方に集中させて放っていたのだ。
 子猫達が早々に連携攻撃を仕掛けてきたところをみるに、それらは以前の戦いに比べて躊躇も状況の軽視もしていない様子であった。
「最初から随分本気じゃねえか。そんなに負けるのが怖いのか?」
「逆に聞くけどよ、負けたら死ぬ戦いで本気を出さねえ奴がいるか? 『ここ』で死んでもピンピンしてるような奴に、俺達の絶望が分かるのかよ」
 にゃこらすと火星天は、砂嵐の中で互いに煽り合い、仕掛けあっていた。
 先に攻撃を当てられたなら、火星天は消滅へのカウントを止める。にゃこらすは死を選ぶ。単純ながらも天秤の釣り合いがとれない勝負だ。
 にゃこらすの持ちかけた『勝負』に乗った火星天は、彼の術中に嵌ると分かっていて勝負に乗った。
 そして事実として、術中に嵌った。……そう、最初に限っては。
 考え続け、思考を重ね、相手の嫌がることをやる。それがにゃこらすの本質なら、果たして火星天はそれを真似せずに居られるだろうか?
「考え方は面白えって褒めてやるよ。だが、反撃できなきゃ死んでくれるんだろ、本物?」
 何度目かの火星天の声に合わせるように、にゃこらすは攻撃を構えた。……こない。攻撃が、来ないのだ。彼が異常に気付いたのは、ロロンが突如として膝を折った時だった。
「Rの野郎、どっから攻撃して……いや、ちっせえのを巻き込んで一気に押し切るしかねえな!」
「いけいけラダ、どんどん突っ込めー! 動きが鈍い? それなら……」
 すあまはラダの肩から降りると、縦回転で炎の一撃を叩き込み、砂嵐の中に飛び込む。直後、物々しい爪と牙の音が聞こえたが嵐にあっては何も聞こえず。口を血で濡らした彼女は、再び嵐狼の詰めと己のそれを克ち合わせた。
「あの狼、口の中が脆いのは間違いないですが……先程から薄々思ってましたが、血が奪われる量があまりに多いです。どうしてだと思いますか?」
「ボクは難しいことわからないにゃ。まあ小さいのは倒していくとして、ぱぱにゃんこなにかわかるニャ?」
「ミーの手に余るくらいユーもミーも血まみれってことしかわからねえにゃ。爪も嵐も血を吸うなんて……」
 カノンは魔弾を打ち込みながら、相当量の猛攻をうけてなお立っていられる嵐狼の能力に疑問を呈す。ネコモはわからずぱぱにゃんこに丸投げ。ぱぱにゃんこは途中まで口にして、何事か気付いたようであった。
「ねーちゃん達、おしゃべりはいいからアレ倒さないと! このままじゃRが消えちゃうよ!」
「本物が踏ん張ってるから十分耐えきれるにゃ!」
「つってもこいつ、状態異常は通じるのにタフすぎるだろ! 終焉獣だからって言い訳利くか?」
 ルージュの攻撃は苛烈の一言である。繰り返し死を経験したことが、今この場で力となって彼女を後押ししている。それでなお、倒しきれない? 馬鹿な。
 シャドウウォーカーの話も、また妙だ。行動不能、性能低下、継続した痛打。いくら性能が高かろうと、無制限に受け続けていいものではない。
 分かっている。だが、今は攻撃する他ない。種が割れぬなら種ごと飲み込むまで。
「砂嵐野郎はガンガン後ろに下げられるぜ! 狙いが村だってなら、一生たどり着けねえぜ?」
「Tethさん! 偵察ドローンで狼の周囲の砂嵐と、飛び散った血の流れを!」
 勢いよく攻撃を繰り返し、子猫達を同士討ちに追い込み、Tethは勢いに乗っていた。全然イケる、戦える。子猫は連携攻撃が途絶え、狼は一撃こそ強力だが本来よりずっと動きを抑えられている。
 勝てる、勝てる! 最早確信が間近にある状況で、彼女は背後からのカノンの言葉に首をひねった。そして、ドローン越しの映像に言葉を失った。
「まさか、こいつ……俺様達の血を吸い上げてやがるのか?」
 そう、血だ。
 砂嵐だから肉が切れ、血が流れるのは当たり前だ。
 その爪牙の威力たるや、とめどなき血が溢れるはずだ。
 だから、身を切ることなど関係ない。……そこに陥穽(かんせい)があった。
 不幸中の幸いがあるとすれば、狼を討つ銀の弾丸をシャドウウォーカーが持ち合わせたこと。
 それを軸に組み立てれば、少なくとも奪われても相手が得るものはなくなる。
「聞こえてっかにゃこらす! Rは任せていいんだよな!?」
「わーってるけどよ、待ってくれや……こいつ、俺が思ってる以上に嫌らしいぜ……!」
 にゃこらすは己の視界を確認する。反撃の機を伺うために目を光らせたタイミングで、視界の端にエラーアラートが響いたのだ。……反撃の構えを封じられたのか。ならば死ねばなんとかなるか? そう感じた瞬間、彼は地に伏していた。
「漸くつかめてきたぜ本物。俺への妨害だの絶対当たる反撃だのが本質じゃねえ。テメェは食らっても自害すれば綺麗サッパリってワケだ。ずる賢いぜ」
「自分の姿を隠し続ける卑怯者が言う言葉では有りません! 正々堂々戦ってから言ったらどうですか!」
 火星天の罵りに、カノンは力強く叫ぶ。向上した力を手にした彼女は、砂嵐に身を割かれる無様を晒さない。堂々たる佇まいは、魔術師らしからぬ威圧感をもってすらいた。
「簡単に負けてあげる優しいわたし達じゃないもんねー!」
「そーニャ! ボクらは追い詰められてからがしぶといんだニャ!」
「無駄だぜ、どれだけ風を強くしても今のおれから逃げられると思うなよ!!」
 カノンの言葉に、すあま、ネコモ、ルージュの言葉が続く。絶望の中の光明はこの手にある。勝利への道筋はもう見えている。あとは、嵐の晴れた先で拳を突き上げるだけなのだ。
 それだけがあまりに遠くても、イレギュラーズに諦めの二文字はない。
「ワタシの役割は分かってるんだ。もう迷わないさ」
「いいぞシャドウウォーカー、やっちまえ!」
 シャドウウォーカーの目がすっと細まる。Tethの気合の入った声援を背に、弱体化など、あってなきが如し。今ここで、その毒こそが勝利への一矢である。


 苛烈な砂嵐が吹き荒れる中、イレギュラーズ達は火星天の存在感姿が徐々に薄まっていることに勘付いていた。
 そもそも見つけるに容易ではない相手を探し出し邪魔をしつつ、且つ終焉獣を優先的に撃破しなければならない、というのはハードルが高い。
 その行動を阻害されたり、個々の能力を弱体化されたとなればなおのこと。しびれて動かぬ体、流れ続ける血。ぱぱにゃんこの不調への治療は手広いが、所詮は一匹の猫にすぎぬ。圧倒的に手が足りない。
「なんで……私に止めを刺さないのかしら?」
「聞く必要あるか? ショックでひっくり返って腹を晒しても知らねえぜ」
 多くの行動が火星天の悪意によって制限され、体力も僅か。いっそ死してフラグメントから復帰できれば楽だろうに。ロロンは内心で舌打ちしつつ、姿の見えぬ火星天を睨みつけた。にゃこらすが執拗に追い回し、『勝負』をけしかけることで存在を維持させようとしているが、加速度的に彼の死が募っていく現状は穏やかではない。
 ――その戦いに割って入る余地を奪われ、地を這うしかない現実。死すらも許さぬ現状。『資格』とは、『覚悟』なくば得られない。
「立てにゃ! ミーが面倒見てやっから死んででも頭切り替えるにゃ!」
「デスカウントが怖くてROOやってられるかにゃー!」
「ロロンねーちゃんならまだ頑張れるぜ! おれと一緒に!」
 そんな彼女の数多の不調を吹き飛ばしたのはぱぱにゃんこだ。デスカウントの証か、多数の絆創膏が顔に張り付いている。ネコモは回転しながら嵐狼に蹴り込み、果断に攻め立てていく。その合間に叩き込まれるルージュの一撃は、死を経るごとに威力が増してさえいる。覚悟あればこそ、その力は遺憾なく発揮される――それがイレギュラーズの持つ力の本質なのである。
「後退はしてねえが、ヤツの勢いありすぎだろ、クソッ……!」
 Tethは子猫を薙ぎ払い、嵐狼に果敢に攻撃を叩き込む。無尽蔵の体力の種は割れた。シャドウウォーカーの妨害も確実でこそないが、効いている。今ならば倒せる。今でなければ。
「なあ『本物』。お前はしきりに『Rってなんだ』って言ってたよな」
 本体の姿が見えぬ状態で、火星天は問う。声の方角は定かではない。攻撃へのカウンター戦術は、長期戦になれば自ずと知れる。そこまで長期戦をお膳立てしたにゃこらすの決断は優秀だった。
「この世界がニセモノで、俺もお前のニセモノ。能力も似せモノだ。本物が何一つねえのに、お前らだけはまともそうなツラして笑ってやがる」
 画面端で把握していた『消滅ゲージ』は青が2つ灯っている。リーチに至っている。さっき見失って何秒経った? 敢えてイレギュラーズを殺さなかった理由。死に戻りによる強化への懸念? 違う。
「じゃあ、ニセモノだらけの中で、俺が消えればどうなる? 『相手に似せる』の逆はなんだと思う、本物。ニセモノの反対は――本物じゃないか?」
「流暢じゃねえか」
「そりゃあそうさ。もう終わるからな」
 最後のゲージが明滅する。運命のコイントスはとうに放られていた。
「あばよ本物。せめてこの世界は、俺の視界だけは道連れにさせてもらうぜ」
 嵐狼がポリゴンに分解されるのをイレギュラーズは見た。だが、それは画面いっぱいに「ERROR」の赤いアラートが埋め尽くした視界の端でのことだった。
 世界が消える。『火星天に合わせて』。
 周囲数十メートルを巻き込んだ無音の爆発は、その場に居たすべてを消し飛ばした。そしてもう、誰もその空白地帯を認識できない。

成否

失敗

MVP

にゃこらす(p3x007576)
怪異狩り

状態異常

すあま(p3x000271)[死亡]
きうりキラー
シャドウウォーカー(p3x000366)[死亡]
不可視の狩人
Teth=Steiner(p3x002831)[死亡×2]
Lightning-Magus
にゃこらす(p3x007576)[死亡×6]
怪異狩り
ロロン・ホウエン(p3x007992)[死亡]
カラミティ・クリエイター
カノン(p3x008357)[死亡]
仮想世界の冒険者
ネコモ(p3x008783)[死亡×2]
ニャンラトテップ
ルージュ(p3x009532)[死亡×3]
絶対妹黙示録

あとがき

 『火星天』にゃこらす・Rの消滅を確認。並びに戦闘エリア一帯の全オブジェクト消滅を確認。復旧できません。
 マスクデータ、『R』解除。「Reverse」。
 R.O.O正常回復まで戦場一帯のオブジェクト、村落のエリアデータ等は参照不可となります。任務お疲れ様でした。

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