シナリオ詳細
<ダブルフォルト・エンバーミング>エニューオーは世界を壊さない
オープニング
●
片時も、貴方を思わなかったことはない。
それ程に貴方に焦がれたのは何時のことだっただろう。
拾い子であった私を、家族同然として迎え入れてくれた義父や義母への裏切りに近い背徳。
兄妹になると知りながら抱いてしまった感情に恋の名を付けた浅ましさ。
この体が病に蝕まれたことを知ったとき、私だけを見た貴方の瞳に酷く歓喜したのです。
自分が幻想種では、この世界の人間ではないことは知っていました。
それでも、貴方の隣に居たかった――愚かな私を罰して下さいませんか。
揺らぐスカイグレーの髪を見下ろしてベネディクト・セレネヴァーユ・ドゥネーブは黙りこくった。
パラディーゾから奪還した彼女は酷く憔悴しきった様子である。
……どうやら、石花病の治療薬は幻想種の少女が開発を約束したらしい。彼女の、リュティス・ドゥネーブの病状ならば寛解まで至れるだろう。
それでも尚、彼は手放しに喜べずにいた。義妹たる少女は姉を死へと至らしめた憎き特異運命座標であったのだ。
「どうして――……どうして、黙っていたんだ?」
「……それは、貴方のお側に、」
震える唇が音を奏でた。彼女の恋情を受け入れることが出来ないまま、己は更に壁にぶち当ったのだろうか。
この怒りを何処にぶつければ良かったのか。彼女を受け入れる事が出来ない己こそが幼稚ではないのか。
彼女を救い出したイレギュラーズは言っていた。
受け入れることは出来るはずだ、と。
――それでも、構いません。どうか、どうか……この命が尽きるそのときまで。お側において下さい。
リュティスの言葉を思い出しベネディクトは「リュティス」と呼んだ。
「は、い」
「俺は、リュティスをまだ受け入れることが出来ていない。だが……だが、世界の直面した終焉に『借り』を返さなくてはならないんだ。
大切な家族をパラディーゾなるものから奪還してくれた風変わりな者達が戦いに赴くならば、俺も。……リュティスは?」
「もう、申し上げたではありませんか」
一人野垂れ死ぬくらいならば。戦場で貴方の手を取りたい――リュティスの決意にベネディクトは頷いて。
●
世界に終焉が迫っている――
それは無慈悲に笑った男の囁き。世界を掌握したゲームマスターの掌によるものか。
様々なイベントを経て、ついにはタイムリミットがやってきた。愉快犯的に悪辣な『遊び』を行った彼らはついには『諦めた』
大魔種のコピーに侵食されたR.O.Oでマザーは圧倒的な不利に陥っている。そうして、幕を閉じた3.0に急速なアップデートが行われる。
――R.O.O4.0『ダブルフォルト・エンバーミング』
防御限界を迎えたマザー・クラリスと、接続された練達都市セフィロトの崩壊の調べ。
それは砂嵐に突如として姿を見せた終焉(ラスト・ラスト)より姿を見せた終焉獣(ラグナヴァイス)。
それは伝承と呼ばれた国がとった大防衛の陣形。それは各国が送ると決定した援軍。
世界は突如として表情を変える。
「パラディーゾが二人。伝承王国のドゥネーブ領と呼ばれる場所に居るの。
彼らの目的は伝承王国の破壊。つまり、世界崩壊への一助と捕らえて良いと思う」
スノウローズ (p3y000024)は端的にそう言った。『ベネディクト・ファブニル』と名乗ったパラディーゾに付き従うのは『リュティス』。つまり、ベネディクト・ファブニル(p3x008160)とリュティス(p3x007926)のパラディーゾである。
「まるで、ベネディクトさんは騎士のようにリュティスさんを護ってるの。登場人物がややこしくなるから、分類名で呼ぶわね。
パラディーゾ『騎士』は『従者』を従えて、ドゥネーブ領でまずは自身のR.O.OでのNPCを抹殺することを企ててるわ。
それから、ドゥネーブ領を蹂躙。その地を空白にして終焉獣を呼び寄せて正義国への侵略開始地点にしようとしているみたい」
「……ドゥネーブ領を狙った理由は『俺』だからか」
ベネディクトの言葉にスノウローズは頷いた。パラディーゾは彼らのデータを利用している。
即ちベネディクトに縁のある地点を選んだのはデータがそうするべきと示したに過ぎない。
「どうしてNPCを殺そうなどと?」
「以前のベネディクト・セレネヴァーユ・ドゥネーブ――ドゥネーブ卿であれば問題なかったのでしょうね。
彼の目的は特異運命座標の抹殺だから、手を組むことも出来たはず。けれど、皆が言葉を投げかけ、側に居た妹が旅人であると知ってしまったから……彼は迷ってるの。どうするべきか、迷いながらパラディーゾと戦うことを決めた」
「つまりはベネディクト様――いえ、ドゥネーブ卿が領地防衛の要であると判断されたと言うことですか」
醒めた石榴の瞳が細められる。リュティスへとスノウローズは頷いて。
「だから、私から皆に贈るオーダーは『ドゥネーブ領を護る事』。
それから……『パラディーゾの撃破』だよ。ドゥネーブ領はデータと言えど、沢山の人が生活を営んでる。其れを脅かすなんて、許せないよね」
現実の彼らと同じような――知った顔も居るかも知れないその場所に。スノウローズは「協力して欲しい」と頭を下げた。
●
「ドゥネーブ領、ですか。ご主人様がお選びになるとは思いませんでした」
「大切にしているからこそ、知っている事も多いんだ。それに、拠点にするならばあそこだろうと思ってな」
目を伏せた『従者』に『騎士』は笑う。
砂嵐に向けて大防衛戦を展開することとなった伝承王国の各地は手薄だ。故に、簡単に入り込むことが出来た。
だが、誤算であったのはドゥネーブ卿とその妹が未だに領地に滞在したことだ。
妹――リュティスはその身を病に蝕まれている。『従者』と『騎士』にとってはおなじみになった石花病だ。
「石花病を終焉獣が撒き散らせると知れば『あちら』のご主人様はさぞお怒りになるのでは?」
「ああ。そうだろうな。大切に大切にしている妹の病を大衆に撒き散らそうとする俺達に激昂するだろう。
だからこそ、アレは『味方』には出来ないと判断した。速やかに討伐しなくてはならない」
冷たい言葉だと『従者』は冴えた瞳を『騎士』へと送った。
パラディーゾである彼は責務には真っ直ぐだ。まるで『終焉の騎士』のように、イノリやクリストに協力している。
彼らが世界を破壊するというならば、彼らへと向ける忠義の為に任を果たすかのように。
青年は主君のためならば共をも討つ――己と同一の個体であろうとも、だ。
「さあ、行こう。……あの地を我らが者として、更なる戦を続けるために」
- <ダブルフォルト・エンバーミング>エニューオーは世界を壊さない完了
- GM名日下部あやめ
- 種別EX
- 難易度HARD
- 冒険終了日時2021年12月07日 22時26分
- 参加人数10/10人
- 相談7日
- 参加費150RC
参加者 : 10 人
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参加者一覧(10人)
リプレイ
●
あなたのその顔が、気に食わなかった。
悍ましい程にあなたの顔をして、あなたに似合わぬ表情をしてみせる。
彼と、彼と、彼。その三者三様、憧れた彼から遠く離れた向こう側。有り得たかも知れない歴史の糸を悪戯に引っ張って搦めた様な。
どこまでも愚かで、手も付けられない。
生欠伸でも漏れ出しそうな程の頭痛をも覚える。
行き着く先まで行っちまいそうな大馬鹿やろうが目の前に立っている。
唇を噛みしめれば、白く色付いた其れはルージュを抉り取った。『憧憬の聲』リラグレーテ(p3x008418)の前に並んだのは無数の選択肢。
「……気持ち悪い」
呟けば、理想と呼んだ美しい感情が泥に塗れて汚らしく見えてきた。
何が、とは口にしない儘、リラグレーテはドゥネーブ領へと辿り着いた。慣れた様子でその地へと赴く『仮想ファンドマネージャ』ファン・ドルド(p3x005073)は「変わりませんね」と周囲を見回した。
美しい女のかんばせは柔和な笑みを浮かべている。イレギュラーズを迎え入れたベネディクト・セレネヴァーユ・ドゥネーブ、そして、その義妹に当たるリュティス・ドゥネーブへと穏やかな挨拶を口にして。
「こんにちは、ベネディクトさんとリュティスさんとお呼びしても?」
「リュリューとお呼び下さい。ええと……」
リュティス・ドゥネーブ――『リュリュー』が一瞥をやったのは『黒狼の従者』リュティス(p3x007926)であった。己と瓜二つでありながら、自信に溢れ信念を宿しているかのような女は病に苛まれ歩みを一度は止めた己とはまるで違う。
リュリューの視線を受けたリュティスは「早速迎撃の準備へと移りましょうか」と静かに囁いた。
「その、私は義姉に……ルナ姉さんにヒーラーについての細かな所作を学びました。お役に立てると嬉しいのですが」
「頼りにしてるよぉ……リュリューがぁ、石花の呪いから助けてくれるのなら其れだけで安心だしねぇ」
微笑んだ『水底に揺蕩う月の花』エイラ(p3x008595)は柔らかな水面のように揺蕩った己の身を揺すって見せた。
ドゥネーブの領地に降りたって『災禍の竜血』ベネディクト・ファブニル(p3x008160)が最初に感じたのは『原動天』が自分自身であるならばこの土地を狙った理由にも納得できるというものだった。現実世界よりも豊かな地であるのはドゥネーブ家が健在であるからか。甘い苺が特産である事も、海が美しいことも、何ら現実とは変わりが無い。
この地に生まれ育まれた彼――『セレネヴァーユ』と呼んだベネディクトを一瞥したのは、彼がR.O.Oによって生み出されたNPCである――はドゥネーブを深く愛しているという。それは勿論、ベネディクトとて同じだ。信を置き、任せてくれたドゥネーブ卿に代わり己と黒狼隊が穏やかに保ってゆく領地。その地を思えばこそ『騎士』を名乗った原動天がこの地を狙う理由に合点が言ってしまうのだ。
「……好き勝手させるわけにはいくまい。リュティス。今回も俺を支えてくれるか?」
僅かにリュリューの肩が震える。同じかんばせのリュティスがどのように応えるかを気にしてのことだろう。
リュティスは色を変えることなく平時を保ったまま目を伏せった。その心は常に主と共にある。そう誓う姿は正しく『従者』――彼女のパラディーゾがそうな乗った様に、彼女もその儘の存在である。
「はい。お任せ下さい。御主人様。
それにしても、馴染みのあるドゥネーブで決戦ですか……私達らしいと言ったら良いのでしょうか?
ですが、この地で戦う以上は負けるわけにはいきませんね。必ずや討ち倒してみせましょう」
彼女らの決意を耳にして良きかなと手を叩き合わせたのは『なよ竹の』かぐや(p3x008344)。射干玉の髪を揺らがせて、快活にも細められた夜色の瞳は嬉々たる気配を乗せている。此れがゲームの世界で、危機に面しているというのだから『やる気』が漲らぬ訳がない。
「バトルの時間ですわ!」
その気品溢れるかんばせに似合わぬ豪胆さで微笑みを浮かべて見せたかぐやに「お呼びじゃない奴がやってきたようだ」と『音速の配膳係』リアナル(p3x002906)は囁いた。ビット形式の機会羽は硬質な光を返す。美しきドゥネーブの地平に佇んだ人影、そして――其れ等の連れた闇を煮詰めたけだものたち。
其れ等はリュリューが罹患した病『石花病』を任意の対象に植付けることが出来るらしい。怯えの色を孕んだ紅色の瞳が逸らされる。怯えたリュリューの姿を見るだけでセレネヴァーユは唇を噛み、ゆっくりと前線へと歩み出た『悪食竜』ヴァリフィルド(p3x000072)が其れ等の姿を眺めやる。
「石花病は厄介だな。まぁなんとかなるか。回復できるからそう難しく考えなくて良いだろう。――さぁ、届けようか」
準備は良いかと問うたリアナルにヴァリフィルドは大きく頷いて。
雑踏と呼ぶには余りにも無機質で乾いた風が吹いたドゥネーブの街道に彼は立っていた。目を瞠るような金の髪、天をも見据えた深き青。そのかんばせに浮かんだ笑みはあまりにも不適で。その背後に佇んだのは能面の如くのっぺりと無を貼り付けた従者の姿か。
「『原動天』――否、騎士と呼ぶべきか」
ヴァリフィルドのその声に「そう呼んで貰えるのならば有り難いことだな」と青年は笑った。天国篇(パラディーゾ)と名付けられた男がすらりと抜いた竜刀には歪なる気配が宿る。
「邪魔立てするのはドゥネーブの『NPC』だけかと思っていたが……そうか、お前達がやってくるのだな。『従者(リュティス)』、やれるか?」
「はい。ご主人様のお心のままに」
彼らピエロやアリスと呼ばれたバグNPCの配下。美しき肥沃な地を持ったドゥネーブを蹂躙するが為にやってきた彼らにとっての標的は相容れず敵対するセレネヴァーユ達であったか。
「相容れぬ故に殺す……か。バグによるものとはいえ、哀れであるな」
「それは此方の台詞でもありましょうに」
『従者』はヴァリフィルドをまじまじと見遣った。バグである彼らを撃破するのはイレギュラーズの務めである。それが相容れぬからこその行いであると言われれば『ハンドルネームは』グレイ(p3x000395)は納得は出来なかった。
「ん、ベネディクト…少し混乱しそうな状況ではあるけれど。
とにかく悪い騎士と従者と終焉獣は此処で必ず討ち倒さないといけない。この地を終焉へに至る布石にさせるわけにはいかない……守り抜きに戦おう」
「敵対するのならば容赦はしない」
剣を引き抜いた男にグレイは身構えた。ひりついた気配が皮膚を突き刺した。これが原動天と呼ぶものか。
●
「ああ」と『Fascinator』セフィーロ(p3x007625)は嘆息した。束ねた髪を揺らし、硝子の如く澄んだ瞳は値踏みをするように細められる。
「外面は良い男みたいですけど。どうにも、内面的にはイイ男とは言い難いみたいね。
諦めも悪けりゃ、手段も選ばない。余程余裕が無いか、遊び心も無いか……どっちにしたって、此処で根性叩き直す以外にはなさそうだわ」
ねえ? ――そんな言葉と吊り上げた唇が嘯くようにせせら笑って。
構えた刀に乗せたのは僅かな風の気配。お喋りさは形を潜めて言葉は引き結んでチャックをした唇の中に閉ざした。
野暮な言葉は必要なく。凜と佇む女の視線に『従者』は「行きなさい」と終焉獣へと囁いた。
「戦場に立つことを選んだのですね。
後方からだと全体を見通しやすいと思いますので、何かあれば教えて下さい。私達では気づけないこともあるかもしれませんから……」
リュティスがリュリューに声を掛けたのは、後方での支援を行う彼女にも為せることがあるという励ましも込めていた。
NPCは死んでしまう。だからこそ、護衛役が必要だと名乗り出たリラグレーテはその紅玉の瞳に生気を宿すことはなかった。
憂鬱と書いたシールを顔面に貼り付けたかのような、何とも奇怪な気持ちに形ながらセレネヴァーユたちへと歩み寄る。
(ああ、憂鬱だ。『僕』の憧れとこのROOのあの人は、心と在り方がまるで違うようで、知らないけれどその実、きっと元の世界の彼だった。
被造物であるアレでさえ、その心根は忠実で。そも。存在そのものが嘘であると否定する資格は、元来僕には無いのです。
……じゃあ、鼻から関わらなきゃ良かったって? それこそ、ふざけんなって話でしょ?)
観客でいれというのか。見て見ぬふりをしろというのか。その方がリラグレーテには気に食わない。護衛役をすると告げるリラグレーテに「俺も全戦で戦える」と告げるセレネヴァーユは『分かっちゃいない』
「あのさぁ……、まあ、いいや。……まあ。まだマシな顔をしている、という事で」
リラグレーテの嘆息を受け止めてからベネディクトは「セレネヴァーユ!」と声を張った。相対する『騎士』と『従者』を食い止めて手早く終焉獣の討伐を行わねばならない。此れは生半可なモンスター退治とは言い切れぬのだから。
「俺達は『この世界の命の理』からは外れている。だが、お前は違う。
この地の衛兵を守り抜くのもお前の仕事……故に、後方からの支援をしてくれ。衛兵への指示と、リュリューを守り切ること。それがお前の使命だ」
『騎士』を睨め付け、その出方を伺ったベネディクトにセレネヴァーユは「承知した」と頷いた。僅かな不服そうな表情が子供染みているようでリラグレーテは理想が害された気がして唇を引き結ぶ。
「『オマケ』が立派すぎてメインディッシュに届きませんわね。全く以て、空気が読めない!
原動天とバトりたかったのですけれど? あーあ、モタモタしてれば衛兵が出張ってきて、わたくしの取り分が減ってしまいますわ!
待っていなさい、原動天! タイマンは勿論大好物ですが、やはり乱戦こそが喧嘩の醍醐味。片端からブチ転がしますわよ」
袖をぐいと捲り上げたかぐやは博愛の杖(たけやり)を握りしめた。勝ち気な彼女の戦法はとにかく竹槍で突き刺し続けることである。
勢いよく――淑女らしからぬ仕草であろうとも、それが彼女の戦い方――振り上げた竹槍が勢いよく周囲の終焉獣へと突き刺さる。
「デカイ相手をボコる時は、いきなりKOを狙おうとしても難しいもの――細かな崩しをどれだけ的確に入れられるかが肝」
「ああ、無理は禁物であるな」
ヴァリフィルドの牙は燃える焔のような気配を宿す。その巨躯は正しく竜そのもの。その体内に渦巻いたのは膨大なデータ。電脳世界であればその体を構築するのは全てがデータと呼ぶべき0と1。それらを体外へと放つと同時、荒れ狂う奔流となり眠れる竜の身を包み込む。
「破壊(クラッシュ)するには奴ら全てを噛み砕かねばなるまいか」
一瞥する竜にのんびりとした笑みを返したエイラは風に乗ってかれげ型の焔を宙へと流す。ひとつ、ひとつ。それは蛍のごとく舞い踊り、周囲のけだもの視線を奪う。くらげの体は毒がある。ちくりと痛めば、それは甘やかな終わりを与えるわけではない。酷く苦痛を孕んだ傷口へと変化を誘い、穏やかなる花水月の身をも包み込む。
「さぁ、みんな、こっちだよぉ」
エイラは耐え忍ぶことを選んだ。水面は続く――月の光に抱かれて、淡く花咲くその体はふんわりと揺れ動く。
耐えることを選んだのはそうすることで守り抜ける存在があるからだ。セレネヴァーユ、それからリュリュー。共に戦う衛兵たち。
「衛兵さん達ぃ頑張ってるからぁ。無理はしないでねぇ」
「……感謝いたします」
告げる衛兵に「後ろへ下がって」と声をかけたグレイが構えを作る。騎士と従者は仲間に任せ、世界を飲み込まんとする終焉獣を打ち倒す。
衛兵へと任せたのは産み落とされる仔トカゲの撃破補助。討ち漏らせば敗北の文字列が躍る。クエスト失敗は即ちこの地を失い民草を根絶やしにすることに等しいのだから。
「手強い敵は任せてほしい」
「……だが、それではお前達への負担が大きいだろう? 俺ならば少しは役に――」
少しでも前線へと出ようとするセレネヴァーユにグレイは肩を竦める。リレグレーテは「蛮勇は褒められたもんじゃないんだよ」とそっぽを向いた。
視線の先、グレイが身をぐりんtの動かす。アクセルスロットル付きの機械鋸の柄には光魔法で生やす複刃が躍る。
ブオン、とエフェクトめいた効果音が仔トカゲたちを切り裂いた。続き、リラグレーテは夢想転身をその身に宿し、薔薇の花を躍らせる。
近づく仔トカゲを視認した瞳が細められ、放たれたのは絶対殲滅の花。ファンファーレにも似た狂笑は焼夷の破壊を地へと咲かせて。
「支援はしなよ。それ以上は認めない」
「ッ――」
唇を噛みしめたセレネヴァーユの横顔にくすりと笑ったのはファン・ドルド。冷たい美貌は歪むことなく変形の回転斬撃を惜しみなく放つ。
抜刀して追い打ち放ったその切っ先――セレネヴァーユが動くよりも早く、その行く手を遮るような一撃に彼が思わず息を呑んだ。
「納得できない、と言う顔でしょうか。ええ、その通りでしょう。
姉を殺した不届き者の仲間達へと全幅の信頼を置くなどとは難しい。ですが、こうは考えては下さいませんか?
貴方の人生にとっての脇役を、この地を護るための黒子(サポーター)にするとでも。自由自在に利用して下されば良いのですよ」
静かな声音が響く。ファン・ドルドの眼前を走り抜けたのはセフィーロか。氷の色の瞳が真っ直ぐに見つめたのは『騎士』たる男。
「全く以て、性根の捻じ曲がった男が多いこと!」
セフィーロの刀に乗ったエフェクトは彼女の使用するアクティブスキル。気配ひとつ、糸をも張り詰めたように切り裂かんと狙うのは『従者』
彼女に相対するベネディクトとリュティスは『同じ顔』である以上彼らは自身等を狙うと認識していた。無論、相手も『同じ顔』を邪魔だと認識しているのは確かである。ドゥネーブ領を足掛かりに終焉の気配を広めんと目論むならば其れ等は存在しない方が良いのだから。
吼える竜はゆめかうつつか、まぼろしの如く白き刀身に怒りを乗せた。
「――騎士よ、従者を求めたのは手駒が欲しかったが故だけか? なら、俺がお前に負ける通りは無い。そうでないというならば……」
切っ先を向けられた『騎士』はせせら笑う。彼の考えなど手に取るように分かるとでも言うような。
「絆、と言う言葉を口にするのならば甘すぎる。子供染みた考えだ。そうだろう? 『俺』」
「……どういう意味だ?」
「お前は屹度、ただのおとことして、ただのベネディクトとして彼女の支えを欲しただろう。
従者ではなくリュティスというおんなを側に置きたいと。だが、従者として支える彼女にとって『俺』の想いは絆のほころびを作るだけだろう?」
ベネディクトは『騎士』を睨め付ける。彼がセフィーロの攻撃から『従者』を庇ったのはその身に染み付いた想い故か。肉体がコピーであろうとも、染み付いた行動意識は抜けきらず。
だからこそ――彼はベネディクト・ファブニルを笑ったのだろう。
「彼女は『従者』だ。それ以上の感情に理解は乏しい。彼女を困惑させるくらいならば、彼女の望んだ関係性で停滞するのが主の務め!」
「それは、彼女が知らぬだけだ。停滞は即ち思考の放棄だ。絆が綻ぶわけではない。ただ、生きているが故に変化が訪れるだけだ。
お前はそれ以上を求めないというならば、俺とリュティスの絆には――連携には勝つことが出来ないだろうさ」
ベネディクトの刀が『騎士』の頬を掠った。「ご主人様」と囁いた『従者』へと狙いが通用に叩きつけられたのは一陣の光。
目映くも、その視線を奪うように。エプロンドレスのフリルがばさりと音を立てる。
「さて、ご主人様が問われたように私も貴女に問いましょう。
貴女は何故、彼に付き従っているのでしょうか?
何か心惹かれるものがあったのか……私と同じ気持ちだったのか、それとも別の要因があったのか。ただそれを知りたいだけです」
値踏みするようにリュティスは『従者』を見つめた。
リュリューとリュティスは大きく違う。一方は言葉にするも甘ったるすぎるほどの恋情を。もう一方はその心のかけら一つも理解が出来ず。
故に、リュリューと名乗った少女はこの戦場に立っていたのか。
「私は、貴女のコピー。つまりは、『貴女が思う以上』はないのですよ。リュティス」
従者の声音に、リュティスはそうですかと低く囁いた。刃は、翻る。
●
「大丈夫か」
問いかけるリアナルにリュリューはこくりと頷いた。リュリューの護衛、そして『回復手』である彼女のサポーターでもあるリアナルは『灯火送人』として星詠の翼を揺らがせ、癒やしを『配達』し続ける。
第一に彼女が送るのは希望とは、決して諦めない人々に届くものであるという証左。
そして、第二に届けたのは絶望とはヒトがヒトとして生きる上では逃れられぬ避け得ぬものであるというしるべ。
エイラを支えるリアナルが勇気を称える。それは絶望を越えんとする者に宿る確かな力。
リアナルの贈り物は石花病への対策も講じられ続けていた。長く伸した髪を揺らがせて、騎士と従者を後方から悪戯に苛んだ。
「私はお役に立っていますか?」
「リュリュー、勿論だ。……石花病は恐ろしい。それはリュリューが一番分かってるだろう?」
不自由な彼女の脚。有事の際には彼女の『脚』代わりになると決めていたリアナルは彼女の身を案じる様に背を撫でる。
石花病とは奇病と言われる。自由自在に動くことの出来ない体は石のように硬くなる。それは『肉体の石化』というだけではない。これは病だ。臓物にまで侵食する可能性さえ――其れさえ、分からぬ奇怪な病に蝕まれた彼女の勇気をリアナルは称え続ける。
「リュリューの事は私が守る。だから、リュリューはその力で衛兵や、大切な兄を護ってやれ」
「……はい」
リュリューとリアナルの支援を受けながら、仔トカゲの数を減らすグレイは「生み出されると面倒だ……!」と呻いた。
セレネヴァーユやリュリュー、ドゥネーブの民を護るためにはその身を挺しても、と決めていた。衛兵のいのちひとつでも、失わぬようにと飛び込んだグレイがサクラメントから駆ける背を、ドゥネーブの民達は避難を行いながら声を掛ける。
「戻ったか」
「……うん、此の儘押し切ろう」
頷いたグレイにヴァリフィルドはずんずんと進んだ。リュリューとリアナルのサポートを受けながら、ヴァリフィルドはデータを探す広範囲の匂いを嗅ぎ分ける。
けだものの気配が近い。終焉獣、ただひとつでさえも此程に強敵か。ヴァリフィルドの牙がけだものの横面を噛み砕く。槍を構えて、終焉獣へと突き刺したセレネヴァーユは息を呑む。
「大丈夫か!」
終焉獣を前にした衛兵は突出しすぎたか。腰を抜かした其れを庇い立てるようにヴァリフィルドは息を吐き出した。
「俺達より、あいつらを倒すことを優先して……ッ」
震える声音を吐き出した衛兵にヴァリフィルドはゆるゆると首を振った。
「戦うことには理由は必要だ。だが、目の前の誰かを助けることに理由など必要なかろう。
……それが、何かを守ると決めたの者であるのなら、何を躊躇う必要があろうか。まだまだ考え、悩まねばならぬことがあるのであろう?」
それは、誰ぞにでも向けた言葉であった。エイラが引付けた獣の中でもその意識が逸れた者は此方に向かい飛び込んでくるか。
それがデータと呼ばれた存在でも無駄に散らして良い命など無いのだと彼は知っている。
「……なれば、ここで終わりにするなどあってはならぬ。生き抜かなければ、妹を受け入れることも、兄と呼ぶことも出来ぬのだからな」
セレネヴァーユは唇を噛みしめた。衛兵を支え「彼女の元へ」とリュリューを指し示す。リアナルは其れに気付いて小さく頷いた。
グレイが庇った衛兵も同じように後方へと下がる。自身等の蛮勇が彼らに思わぬ負担を与えるというならば出来る限りを熟すのみ。
「さて、戦いやすくはなりましたが……増えるのは厄介でしかありませんね」
眼鏡の位置を正したファン・ドルドにかぐやはふふんと胸を張った。
「それだけ狩りが出来ると思えば愉快奇天烈ですわー!
……世界の終焉も、誰かの想いも関係なく、このヒリつく感覚こそが全て。
全力で臨み、一切合切をボコりましょう。此度もまた楽しき喧嘩となりますように。いざ――!」
たかだか『トカゲ風情』。されども驚異に他ならず。雑魚だと呼べば、竹槍が降り注ぐ。
かぐやが気にしたのは『従者』の気配が瞬間で消えることだ。それは、気配遮断に他ならない。『従者』ならではの技なのだろうが姿が消えるわけではない。リュティスが視線で追いかけ、その姿を捉え続ければその権能も無意味のうち。
盾たるエイラは無数の終焉獣――そう言えども尽力でその数は大きく減った――を受け止めながら首を傾いで。
「造られた者としてぇ騎士も従者もぉ偽物扱いはしないんだよぉ。
主の命令は絶対かぁ。騎士はぁ従者にぃどんな命令をするんだろうねぇ……」
『従者』は何も物言わず。『騎士』の一瞥だけでも彼女は何かを悟ったように走り出す。
「――石花ぁ何するものぞぉ。我 水月花ノ生ト死ヲ護リシ者也」
堂々と告げたエイラが視線を送ればセフィーロが待ってましたと言わんばかりに唇を吊り上げて。
「あら、どうしたのかしらね」
受け止めんとするセフィーロに黒き刃が突き刺さる。それは霧散し影となる。続き、飛び付かんとしたその身をヴァリフィルドが払い除けた。
「ッ、」
『従者』の身が宙へと投げ出される、だが、直ぐに受け身をとったか。研ぎ澄ませた勢いで膝を突いた彼女が其の儘突進をしかける。
狙いは――「やらせないけどさ」
リアナルがリュリューの前へと立った。何方にせれど彼らの目的はこの地。ならば邪魔であるのは先ずはリュリューを、そして、失意に落ちればセレネヴァーユも容易いと考えたか。
「そうやって、手酷い方法ばかりに頭が回るね。ベネディクト『さん』」
「……まるで、俺のことを言われているようだな」
グレイの揶揄いに肩を竦めたベネディクトは『騎士』が『従者』に命じたリュリュー殺害を感じ取り仲間達の尽力に心の内側で感謝する。
『従者』を追いかけたリュティスは「貴女がそうした努力をしている間に此方は討伐が済んだようですが」と囁いた。
「終焉獣(データ)を殺す事は易いのに無辜の民草(データ)は殺さないというのですか」
「……昔、本で読んだのですが、石を投げ返しなさい、と。唯の報復行為です。
いえ、私は『ご主人様がそうせよと望まれた』ならば報復で在らずともその命を奪ったことでしょうが」
リュティスは貴女も同じでしょうとせせら笑うように『従者』へとそう言った。
その様子を眺め見るファン・ドルドは「さて、手駒は減りましたが?」と『騎士』へと投げかけた。
ベネディクトと相対する『騎士』は仔トカゲへの殲滅の早さに面食らったのだろう。エイラを苦々しく睨め付ける。その柔らかな肢体が幾重もの攻撃を受け止め続けたか。
「やあ、お加減は如何ですかベネディクト『さん』」
リラグレーテの指先が中へと描くのは絶対貫通。勇猛と希望を胸に、求める結果を刻まんとする空想弾。
影とは、いつも共にある。それは不屈の闘志の如く『従者』へと襲い征く。
「――、成程、お前達のやり方か」
『従者』を狙えば『騎士』たるパラディーゾは、否、ベネディクト・ファブニルのコピーは必ずしもそう動く。
リュティスと呼んだ従者を庇うのが彼そのもの。その行動理念は良く分かる。故に、彼がそうすることを踏んでいたリラグレーテは自嘲する。
――ああもう、本当に馬鹿らしい程に愚直なのだ。
自分ですらそう悟ってしまう程に、こういう所ばかり一緒なのだこの人は。
だからこそ、憎めなかった。あんな大馬鹿者達。揃いも揃って同じ顔。異口同音に語らうのは『正義』の在り方のような不安定さ。
あんな情けない顔を垣間見せたくせに、どんな立場でも『こういう所』ばかり同じ。
「――本気で、終わらせてやる。僕らで、殺す!」
せめてその死に際に立ち会いたい。この世界は気持ち悪い、けれど彼らの描く物語は嫌いではなかったから。
「どうして邪魔をするのですか。貴方方にとってはこの世界は紛い物。
ご主人様の望んだ黄昏に。私達が得がたいと願った終末に。貴方方はどうして――」
セフィーロはくすりと笑う。唇を吊り上げれば『外』の自分が垣間見えたように。
細い刃は慣れない獲物。それでも、偶の変化に丁度良い。
「此の世が偽りであれ、泡沫であれ。其の花だけは咲かせるワケにはいかないのよ。
何も崇高な精神やら正義感やらでそう思う訳じゃあ無いわ……ただ、気に入らない。それだけよ」
揶揄うように笑ったセフィーロは牽制など最初から行わなかった。此処で目を離せば原動天達はフリーとなる。
気取った騎士様に付き従った従者さん。
そんな彼と彼女から片時も目を離さなかった彼女は追いついたかぐやを振り返る。
「さ、お姫様は竹槍を投げるんでしょう?」
「勿論ですわ。強敵なんてぺっちゃんこにしてやりますのよ」
豪胆に微笑んだ彼女の背後で虎視眈眈と狙いを定めたファン・ドルドは「さて」とリラグレーテを振り返る。
睨め付ける彼女が抱いた不快感を拭うときがやってきた。
「満足の行く物語になれば良いですが――」
ファン・ドルドが踏み込めば、グレイが共に身を躍らせた。
支えるリアナルはリュリューを庇うように立ちはだかり、傷を負いながら尚も盾として進むエイラを支え続ける。
「ふふ、皆で力を合わせれば勝利だって得られるんだよぉ」
「その通りですわね!」
かぐやの笑い声と共に『従者』が後方へと下がる。苦しげに「申し訳ありません」と紡がれた声に『騎士』の眉間に皺が寄せられた。
握る切っ先、鋭く研ぎ澄ませたそれおとこの掌から零れ落ちようとも。
『騎士』は刀をベネディクトへと突き刺した。
だが、微動だにせぬ、鋭い眼光のみが降り注ぐ。
「終わりにしよう、『原動天』ベネディクト・ファブニル。この土地は彼らの物だ。
例え、お前が俺のコピーであったとしても──俺だというのなら尚の事、自分自身にだけは負けられない!」
ベネディクトの刀は、『原動天』と呼ばれた男へと突き刺して。
「――ご主人様!」
呼んだのは何方であったか。最早動くことも為ぬ彼女をファン・ドルドは眺める。
元よりその名の通り従った彼女に、主無き今は為せることも少ないか。これがタイムリミットかと、感じ取ってから『彼女』はゆっくりと目を伏せた。
●
「終わった、のか……」
呆然と立ち竦んだセレネヴァーユを振り返り、エイラは「お疲れ様ぁ」と微笑んだ。その穏やかなかんばせにセレネヴァーユはほうと息を吐く。
くたくただと座り込んだグレイにかぐやが「勝利ですわー!」と雄叫びを上げる。
ファン・ドルドは彼と彼女の脇役に。物語に沿える己になりたいと、息を潜めて。それはリラグレーテも同じであったか。
ベネディクトはゆっくりと彼へと近付いた。ベネディクト・『セレネヴァーユ』・ドゥネーブ。過去の己を思い出す、その名前。
「ドゥネーブの地を頼むぞ、この場所は俺のドゥネーブじゃない。お前が受け継いで来た場所だ」
とん、と。彼の胸へと拳を当てれば、セレネヴァーユはこくりと頷いた。
「ああ……」
然うして、彼は背後を見遣る。岩に腰掛けて、穏やかに微笑むリュリューの姿がある。彼女との和解はこれからだ。
その勇気を貰ったとでも言うように、セレネヴァーユはひっそりと囁いた。
「もう一度、歩み直せるだろうか」
ふと、ベネディクトは彼を見遣る。当たり前でしょう、と肩を叩いたのはセフィーロ。
「辛気くさい顔をしてればイイ男も台無しよ」
揶揄われたセレネヴァーユの何とも言えぬかんばせにリアナルはふ、と笑みを漏らしたのだった。
「貴女は、強くなりましたね」
リュティスのその言葉にリュリューは息を呑んだ。見開かれた紅い色の瞳、今は暗い色を灯さず決意に溢れたその石榴はリュティスの心の熱と多きk遂勝手居るようで。
「……なぜか、そのように思いました。それも恋のおかげなのでしょうか? ただ吹っ切れただけなのかもしれませんが……」
「恋心は、つよくしてくれるけれど脚を縺れさせるものでもあるんです。私は……彼を愛しく思うばかり、共にと、足手まといになる事を知りながら此処に来ました。それでも――良かった、と思ってるんです」
「……どういう?」
リュティスを見つめて、リュリューは微笑んだ。その紅色の瞳が、『自分のもの』だとは思えないほどに蕩ける。
そのかんばせに乗せられたいろをリュティスは知らない。知る事は無く、まだ、其れを知るために歩いている最中だと理解する。
「私が、決意をしたからこれから先も生きていける。皆さんに助けてと叫べたから、私は、此処に存在できる。
……リュティスさんが、何時か誰かに恋をしたときに思い出して下さい。
愛おしいという気持ちは……言葉にできなくても、理解出来なくても、波のように押し寄せて、私たちを飲み込んで気付けば世界の見え方も変わってしまうんです」
リュリューをまじまじと見遣った後に。リュティスは目を伏せった。
「……困難はあるでしょうが、幸せを祈っておきますね」
この地の危機は去った――と、そう言い切れないのかも知れない。
多難の日々。それでも、今を生きていられたことだけを、一度感謝しなくてはならないのだから。
成否
成功
MVP
状態異常
あとがき
この度はご参加ありがとう御座いました。
R.O.Oのお二人を描写して頂いてから、パラディーゾになったりと、予想外が多く存在しましたが楽しんで頂けましたら光栄に御座います。
また、ご縁がありますことをお祈りしております。
GMコメント
日下部あやめと申します。どうぞ、宜しくお願い致します。
●目的
パラディーゾの撃破
ドゥネーブ領防衛(ドゥネーブ領より終焉獣を排除する)
●フィールド
伝承王国ドゥネーブ領。非常に栄えており、ドゥネーブ卿の両親が治める領地です。
この緊急事態にドゥネーブ卿の父は防衛戦に出兵。母は領民の看護の為に避難地に赴いています。
ドゥネーブ領の入り口にパラディーゾと終焉獣が姿を現しました。
対するのはドゥネーブ卿、その背後にはリュティス・ドゥネーブと僅かな衛兵が存在しています。
開けた土地での戦闘になります。
サクラメントはドゥネーブ領の中央付近。開始地点から戦線を押されることになります。初期地点からサクラメントまでの復帰は2-3T程かかります。
●『原動天』ベネディクト・ファブニル(騎士)
騎士と分類します。天国篇第九天 原動天の徒――つまり、バグNPCのベネディクトさん。
竜の力を有しており、非常に堅牢かつ強力なユニットになります。騎士の如く前線で立ち回り、剣を獲物にしているようです。
従者が倒れた際にはステータスが全快しHPを最大3/4回復する特殊パッシブを有します。
●『パラディーゾ』リュティス(従者)
従者と分類します。パラディーゾのリュティスさん。
暗器を使用して騎士の支援を行います。騎士が先に倒れた際にはステータスが向上します。
仇討ちを行うために攻撃力が上昇し、回避技能に優れます。主の命令は絶対です。
●終焉獣 5体
騎士と従者の連れる終焉獣です。とても強力なモンスターです。空飛ぶトカゲを思わせます。
物理攻撃に優れており、数ターンに一度『仔トカゲ』を2体ずつ産み落とします。
『仔トカゲ』
終焉獣から生み出されるトカゲたちです。神秘攻撃に優れます。とても虚弱ですが生存ターンが増すごとに体が成長して行きます。
『石花の呪い』
・石花病とは『体が徐々に石に変化して、最後にその体に一輪の華を咲かせて崩れて行く』という奇妙な病です。
・石花病は現実の混沌でも深緑を中心に存在している病です。
・R.O.Oではこの病の研究者アレクシア・レッドモンドの尽力により『試薬』が作られました。対象となる1名に対して誰かが1Tをかけて、『石花の呪い』に対抗できます。
・『石花の呪い』はバッドステータスと種別を同じくする特殊ステータス状態です。
・敵の攻撃がクリーンヒットした時に20%程度の確立で『石花の呪い』が付与されます。BS回復は出来ません。
・『石花の呪い』に感染したキャラクターは3ターン後に体が石に転じ死亡します(デスカウントが付与される状態になります)
●ベネディクト・セレネヴァーユ・ドゥネーブ
ドゥネーブ卿。伝承のドゥネーブ男爵家嫡男。
『不運』にもイレギュラーズに討伐された姉・ルナの仇討ちの為にイレギュラーズに恨みを募らせています。
同居人のリュティスを救うために皆さんと協力します。戦闘も指示をしてください。
●リュティス・ドゥネーブ
リュティスさんが居るので己のことは『リュリュー』と呼んで欲しいと言っています。姉が付けた愛称だそうです。
自称幻想種のドゥネーブ家の拾われっ子。ベネディクトを慕っており、彼を兄と呼ぶことは滅多にありません。
脚は石花病に罹患し、硬くなっているために自由には動き回れませんが、ヒーラーとして支える事を選びました。石花の呪いの回復要員になります。
●ドゥネーブ家の衛兵 10名
ドゥネーブ卿とリュリューと共に戦っている衛兵達です。彼らも『石花の呪い』に罹患する可能性はあります。
頑張って戦っています。
●重要な備考
<ダブルフォルト・エンバーミング>ではログアウト不可能なPCは『デスカウント数』に応じて戦闘力の強化補正を受けます。
但し『ログアウト不能』なPCは、R.O.O4.0『ダブルフォルト・エンバーミング』が敗北に終わった場合、重篤な結果を受ける可能性があります。
又、シナリオの結果、或いは中途においてもデスカウントの急激な上昇等何らかの理由により『ログアウト不能』に陥る場合がございます。
又、<ダブルフォルト・エンバーミング>でMVPを獲得したキャラクターに特殊な判定が生じます。
MVPを獲得したキャラクターはR.O.O3.0においてログアウト不可能になったキャラクター一名を指定して開放する事が可能です。
指定は個別にメールを送付しますが、決定は相談の上でも独断でも構いません。(尚、自分でも構いません)
予めご理解の上、ご参加下さいますようお願いいたします。
※重要な備考『デスカウント』
R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
R.O.O_4.0においてデスカウントの数は、なんらかの影響の対象になる可能性があります。
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