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シナリオ詳細

<ダブルフォルト・エンバーミング>義勇兵の本領発揮

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●義勇兵たちの奮戦
 ついにはアップデートがなされたR.O.O 4.0。イベントなどと称している暇も無いほどに世界には危機が、終焉が迫っていた。
 それを終焉と称したのは『終焉(ラスト・ラスト)』と呼ぶべき秘地より解き放たれし者達が世界を蹂躙したからだ。
 砂嵐(サンドストーム)に突如出現した終焉の大軍勢――終焉獣(ラグナヴァイス)と終焉の使徒達は、またたく間のうちに砂漠を蹂躙し、伝承へと迫っている。
 国王を始めとする伝承の貴族達は挙国一致の団結を見せ、騎士団を集結させる。
 伝承貴族連合軍は伝承西部バルツァーレク領から砂嵐(サンドストーム)へと続く街道にそびえる城塞都市ビルレストを拠点に、防衛ラインを構築。
 しかし波濤のように押し寄せる終焉の軍勢を相手に、どこまで持ちこたえることができるのか……。
「盾持ちは前へ! 槍隊構え! 今は耐えるんだ!」
「ぐううう! こいつら強い!」
「騎馬隊現着! これより突入する!」
「無茶はするなよ! これより騎馬隊突入する! 道を空けろー!」
 この大防衛戦の中で、装備があまり統一されていない一団がいる。
 伝承義勇兵団。騎士でもなければ兵士でもない、義勇兵による集団だ。
 今までもちょくちょく義勇兵を募集していたのだが、そんな彼等がこの窮地に立ち上がらないはずもない。
 それなりの数を誇る彼等ではあるが、練度という点でいえばやはり本職には及ばない。
 それでも、義勇兵団が伝承における「戦える集団」であることに変わりはない。
 こうして防衛線の一角を任された以上は。絶対に倒れるわけにはいかない。
 今はなんとか耐えているし、逐次応援も到着してはいるが……やはり、もっと強力な戦力が必要なのに変わりはない。
 そう、たとえば。ここ最近の義勇兵募集に応募してくれたような……そんな、強力な個の参戦が求められていた。

●集まれ義勇兵!
「と、いうわけで義勇兵団の名誉部隊長を任せられているボクの出番ってわけっす」
 レッド・ミハリル・アストルフォーンはそう言うと、集まった面々に胸を張ってみせる。
 その獅子奮迅の活躍から名誉部隊長という役割を貰ったらしいのだが……今回の国難にあたり、義勇兵団の救援に来てくれる人材を連れてくるべくやってきたのだという。
「義勇兵団は今は耐えてるけど、敵は極めて強力。いわゆる『勇者』となりうる存在が求められているっす」
「……ん、なるほど」
 グレイは、非常に見慣れたその顔に何かを言いかけてやめる。
「自分」は違う。それを忘れてはいない。
「皆さんには義勇兵団が受け持っている個所に参加して、敵のリーダーを撃破してほしいっす」
 敵の軍勢は強力ではあるが、どうも義勇兵団の受け持っている個所にはその周辺を統率するリーダーらしき個体が居るようだ。
 それがいる限り戦いは激化していくばかりだが……逆に言えば、それさえ倒せば敵の統率や連携は消滅し、撤退に追い込むことができるかもしれない。
 そしてそれには、リーダーを撃退しうる強力な戦力が必要なのだ。
「敵のリーダーも目立つ姿をしているから分かりやすいっす」
 逆に言えば分かりやすい姿をしていてもなお倒せない程に強力ということではあるのだが……。
「なるほどな。うぬが我等に求めている役割は充分に理解できた」
「確かにそのお役目……わたくしたちでなければできそうにありませんねっ!」
 ヴァリフィルドにシュネーも同意し、拳をぎゅっと握る。
 その強力な個体というのがどの程度かは分からないが……確かに個人として強くなければ倒すのは難しいのだろう。
「となると、さっさと撤退してもらわないとなー」
「はい、その通りですね」
 ルージュにアインスも頷き……レッドの説明に集まった面々は耳を傾けていく。
 伝承の未来はこの一戦にあり。つまりは、そういうことなのだ。

GMコメント

城塞都市ビルレストを拠点とした防衛戦。その一角の防衛が今回のお仕事です。
この区域は「義勇兵団長」をリーダーとした「伝承義勇兵団」が受け持っています。
味方と敵の勢力はそれぞれ以下の通り。
この区域の敵のリーダーを倒せば、敵の連携は弱まり撤退に追い込めることでしょう。

●味方勢力(初期状態)
・義勇兵団長
全身鎧に剣と盾。まるで騎士のような出で立ちの義勇兵団長です。
かなり戦えるほうではありますが、皆さんほどではありません。
義勇兵団に指示を飛ばしています。

・伝承義勇歩兵(10人)
装備も武器もバラバラの義勇兵たち。
遊撃隊として戦っていますが、強さは普通。

・伝承義勇盾兵(10人)
しっかり装備の揃ったエリート義勇兵。
巨大な盾を構え、最終防衛線となっています。
何かあった時は守ってくれるでしょうが、過信は禁物です。

・伝承義勇槍兵(5人)
盾兵の後ろから槍を突き出す人達。
攻撃力はそれなり。

●追加戦力
・参加した方の混沌世界での姿を持つNPC(ランダム)
参加した方の混沌世界での姿と名前を持つNPCが応援として駆けつけてくる可能性があります。
戦い方は基本的に「本物」を踏襲しているようです。

・伝承義勇歩兵(1ターンごとに3人)

●敵勢力
・『暗き黄金』バルバータ
黄金の全身鎧を纏う全長5Mの巨人。
巨大な剣を持っており、輝くオーラを纏う超強力な振り下ろし攻撃、周囲の薙ぎ払いを使用します。
どうやら鎧が本体であるようで、鎧の中身への攻撃は何のダメージにもなりません。
また、『石花の呪い』を使用します。

・終焉の使徒
 終焉に魅入られた邪悪な人間たちです。この区域にいる彼等は黄色いローブを纏っており、個人の判別がつきません。
 バルバータの影響を受けているのか、全員が大剣を装備しています。
 相当な数がいますが、バルバータを倒せば統率を失い撤退していくでしょう。

●石花病と『石花の呪い』
・石花病とは『体が徐々に石に変化して、最後にその体に一輪の華を咲かせて崩れて行く』という奇妙な病です。
・石花病は現実の混沌でも深緑を中心に存在している病です。
・R.O.Oではこの病の研究者アレクシア・レッドモンドの尽力により『試薬』が作られました。幻想種達はこれらを駆使して、『石花の呪い』に対抗できます。(1Tのギミック解除時間が必要)

・『石花の呪い』はバッドステータスと種別を同じくする特殊ステータス状態です。
・敵の攻撃がクリーンヒットした時に20%程度の確立で『石花の呪い』が付与されます。
・『石花の呪い』に感染したキャラクターは3ターン後に体が石に転じ死亡します(デスカウントが付与される状態になります)

●ROOとは
 練達三塔主の『Project:IDEA』の産物で練達ネットワーク上に構築された疑似世界をR.O.O(Rapid Origin Online)と呼びます。
 練達の悲願を達成する為、混沌世界の『法則』を研究すべく作られた仮想環境ではありますが、原因不明のエラーにより暴走。情報の自己増殖が発生し、まるでゲームのような世界を構築しています。
 R.O.O内の作りは混沌の現実に似ていますが、旅人たちの世界の風景や人物、既に亡き人物が存在する等、世界のルールを部分的に外れた事象も観測されるようです。
 練達三塔主より依頼を受けたローレット・イレギュラーズはこの疑似世界で活動するためログイン装置を介してこの世界に介入。
 自分専用の『アバター』を作って活動し、閉じ込められた人々の救出や『ゲームクリア』を目指します。
特設ページ:https://rev1.reversion.jp/page/RapidOriginOnline

※重要な備考『デスカウント』
 R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
 R.O.O_4.0においてデスカウントの数は、なんらかの影響の対象になる可能性があります。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • <ダブルフォルト・エンバーミング>義勇兵の本領発揮完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年12月05日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ヴァリフィルド(p3x000072)
悪食竜
グレイ(p3x000395)
自称モブ
縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧(p3x001107)
不明なエラーを検出しました
シュネー(p3x007199)
雪の花
アインス(p3x007508)
機械仕掛けのメイド
カノン(p3x008357)
仮想世界の冒険者
黒子(p3x008597)
書類作業缶詰用
ルージュ(p3x009532)
絶対妹黙示録

リプレイ

●戦線を維持せよ
 剣戟の音が響き、怒号と指示が響き渡る。
 此処は大防衛戦の一角、伝承義勇兵団の受け持つ戦場の陣地だ。
 怪我をした義勇兵が撤退してきたり、回復した義勇兵が再突撃したりと慌ただしい戦場である。
 装備がまちまちであるとはいえ、数が揃っていればそれなりに戦えている。
 そして、それだけの数の義勇兵団と会うのは、此処に居る面々も初めてであった。
『義勇兵 こんな いたんだ びくり』
 そんな『不明なエラーを検出しました』縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧(p3x001107)からのテレパシーが仲間たちに届く。
『戦況 打開 力 貸さないと ね』
 そう、この義勇兵団が受け持つ戦場は膠着していた。
 恐らくは『暗き黄金』バルバータがまだ積極的に前線に出てきていないのが大きいのだろう。
 あれが本格的に動き出せば、アバターなしでは戦線を突破されてしまうかもしれない。
「防衛戦の一角……あちこちで皆様が頑張っているのですね。わたくしたちを頼って下さったのならば、その手を取らぬわけにはいきません。この都市を守るため、微力ながら手助けいたしましょう!」
「城塞都市ビルレストの防衛戦が今回の仕事ですが、この都市を守らなければ多大な被害が受ける……ですから、与えられた仕事を完遂します!」
『雪の花』シュネー(p3x007199)と『機械仕掛けのメイド』アインス(p3x007508)もそう気合を入れて、バルバータの軍勢を見据える。
「ふむ……団長ということは、形式上我らの上官ということになるのか? この状況でもこれだけ持たせていらるのであれば、相応の実力はあるのだろう。なれば使徒は義勇兵たちに任せ、我等は基本的にバルバータを倒すことに専念であるな」
「ん、英雄とか勇者とかそう目立つのちょっと苦手……でもそう言っていられる暇ない緊急事態」
『悪食竜』ヴァリフィルド(p3x000072)に『伝承義勇兵』グレイ(p3x000395)も頷き、義勇兵団長の下へと走っていく。
「ここはベテラン義勇兵の私……俺たちが受け持つ。兵団長達は攻め来る多数の狂信者の侵攻を抑えに迎え討ってくれ」
「む、了解した。何かあれば、そこのレッドに伝えてくれ」
「任せるっす!」
 ビシッと敬礼をきめるレッド・ミハリル・アストルフォーンに、グレイはどうにも複雑な気分になってしまう。
(ああ本当どうして此処にこの子、レッドが居るのか)
 ちょっと現実に引き戻された気分で複雑な気持ち。
 ホントこの世界でも変わらず律儀な靴。
 けれど、「本人」ではないと知っているし、これが感傷に似た何かであるとも知っている。
「そこのレッドとかいうのも義勇兵達の戦いの補助に回って欲しい……がんばれ」
「りょーかいっす!」
 なんとなく視線を逸らしてしまうグレイだが……ヴァリフィルドは空気を読んで何も言わない。
 グレイ個人の事情であろうと、なんとなく悟ったからだ。
 決してエイヴァン=フルブス=グラキオールと思わしき何者かが義勇兵に勇ましく指示を出していたからではない。たぶん。
「よし、これで大丈夫でしょう」
「ああ。綿密な作戦提案感謝する」
 そんな中、『書類作業缶詰用』黒子(p3x008597)は自警団長と軽い打ち合わせを完了させていた。
 内容としてはバルバータ対応への横槍防止を加味した使徒への対応と……その際の、友軍の域攻撃の誤射防止と連携行動の容易さを理由に纏まって動くことの提案である。
「あの金色の奴が敵のボスか? おー、結構でけーな。義勇兵のにーちゃん達、あいつはおれ達で何とかするから、にーちゃん達は周りの黄色いローブの奴を引き離してくれよな」
「おお、任せといてくれ」
「やってやるぜ!」
『絶対妹黙示録』ルージュ(p3x009532)に元気にそう答える自警団員たちにルージュも手を振る。
「義勇兵のにーちゃん達、無理だけはしないでくれよなー。にーちゃん達が死んじゃったら、勝っても負けみたいなもんだぜ」
 ROOの世界でもNPCは一度死んだら終わり。
 それがよく分かっているからこそ、ルージュはそう呼びかける。
 そして逆に言えば、今回のルージュは防御を一切考えない超火力ビルドの決戦モードであった。
 それはこの戦いに勝つ為であり、その先……全ての元凶のイノリと戦うためでもあった。
 故に、今日のルージュは死を恐れない。
(……全ては神(アニ)に手を届かせるために)
 人知れず決意を高めるルージュの近くで、『仮想世界の冒険者』カノン(p3x008357)も声を張り上げる。
「この決戦は大一番、負けて通す訳には行きませんね。冒険者として、義勇兵として、頑張ります!」
 そうして、カノンたちはバルバータ軍との戦場へ飛び込んでいく。

●『暗き黄金』バルバータ
「オオオオオオオオオオオオ!」
 バルバータの巨大剣が輝くオーラを纏い振り下ろされ、グレイはその大剣と腕を足場にして胴の鎧を真っ先に狙うべく駆け上がる。
 炸薬式光刃機械鋸をブオンブオンと音をあってて振るうも、その鎧は相当に硬い。
 硬いが……この鎧が本体である事は知れている。硬いことを嘆く必要は何処にもない。
 そしてヴァリフィルドの『息吹』が放たれ、バルバータを侵食しようとする。するが……。
(中々通らぬな……此奴、『そういう』敵か……!?)
 弱点が丸出し、特殊な攻撃も特に持っていないデカいだけの敵。
 しかし、酷く防御に長けている。なるほど、積極的に攻めてこないはずだった。
「だが、うぬさえ引き付けておけば此方は問題なし……遠慮なくいかせてもらうぞ!」
 激化する戦いの中で縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧の全ての口もキャラキャラと笑い、繧「ク$ィブ◆キル1を放つ。
 これ程の高威力の攻撃でも、バルバータは揺らがない。
 強い。それが分かる。けれど、今日は縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧に匹敵する火力……場合によっては超える者が1人いる。
「こいつ……鎧が本体のタイプだったよな! ならちょうど良いな、こういう時にはハンマーで潰すのが一番てっとり早いぜ!!」
 何度倒れても即座に復活し、ルージュはマザーハンマーを振るいバルバータへと襲い掛かる。
 愛の力を放ち、防御を捨ててバルバータの大剣と激しく撃ち合う。
 狙いはグイグイと踏み込む事で敵に大技を使う隙を与えないことだ。
 そしてバルバータの本体が鎧であるというならばと、関節などの構造が弱い部分を狙い少しずつハンマーで殴って歪める事で動きを阻害していく作戦にも出ていた。
 そのままルージュはバルバータの一撃で地面に叩きつけられバウンドするが……死の直前、ハンターさんのマスケット銃を構え放つЯ・E・Dの姿を見て、自然とニッと笑っていた。
「自警団は……問題なさそうですね」
 周囲の状況を確認しながら、黒子はそう判断する。
 増援として現れる義勇歩兵たちはまだ健在、義勇盾兵や槍兵たちには損耗すらない。
 バルバータを狙う黒子たちに使徒たちの攻撃がある程度向かってきているのも理由の1つなのだろう。
 検情と速考を併用して自警団を含めて状況を把握しようとする黒子は、恐らくこの戦場で一番状況を理解できているだろう。
 特に石花の呪いの罹患の有無、自警団の戦況優劣を重視、それ以外には友軍の損耗過大や行動不能BSの罹患発生を注視。
 これほどの人数と共闘している以上、そうした状況把握が出来ている黒子のような人間が1人いるだけで相当変わってくる。
 だからこそ、アインスとシルフィナの連携も何の問題もなく機能していた。
 スノーホワイトを構え義勇兵の援護をするシルフィナと、ウィンダミアを構えヒット&アウェイを繰り返すアインス。
 互いに必要以上に言葉を交わさずとも、互いに「分かっている」感があった。
「見るからに強そうですが、その程度で怯む冒険者ではありません!」
「ああ、その通りだと僕も思うよ!」
 バルバータに魔弾Cを放つカノンに合わせ、カイン・レジストも破式魔砲を放つ。
 義勇兵団の旗色が悪くなるまでは『暗き黄金』バルバータに専念しようとしていたカノンだが、バルバータを攻撃すれば当然使徒たちも寄ってくる。
 そんなカノンを援護するように現れたのがカインだったのだ。
 そのままカインは使徒の抑えに回っていてくれているのだが、思い出したようにこちらの援護もしてくれている。
 その「気の利く冒険者」といった風な「カイン」にカノンは何と言っていいか分からない感情を抱いてしまうのだが……それは今言っても仕方がない。
 冒険精神を奮い立たせ、魔物知識で相手の特徴を看破し、確実に本体である鎧に攻撃を集中させるべくバルバータから視線を外さない。
「この場は貴方がたに明け渡しません。去りなさい!!」
 シュネーのアクティブスキル2がバルバータの周囲に展開する使徒へと放たれ、蹴散らしていく。
 そして、それだけではない。
 義勇兵たちとは付かず離れず、有事の際に動けるような位置取りをするシュネーに、義勇兵たちも勇気づけられているのか動きが鋭くなっていく。
「怯むな! 勇者たちがあの黄金の怪物を抑えてくれている! 使徒どもを彼等に近寄らせるな!」
 義勇兵団長の指示が飛び、義勇兵たちが使徒たちを抑えるべく武器を振るう。
 厄介な石花の呪いに関してもヴァリフィルドやルージュの要請により義勇兵たちが試薬の投与の手伝いをしてくれているが、それでも時間のロスを軽減できるわけではない。
 しかし、団長の存在が義勇兵団の要である事は黒子だけでなくヴァリフィルドにも分かっていた。
「団長をやらせるわけにはいかぬ。元々まとまりは少ない兵団であるからな。統率する者がいなくなれば一気に戦線が崩壊しかねないであろう」
 元々、街角で義勇兵募集をしているような集団だ。軍隊のような訓練された規則的な行動は期待できない。
 出来ないが、その戦意だけは本物だ。
 そしてそんな中でグレイはレッドに義勇兵団をサンクチュアリで継続的に癒してこい、暇あるなら神気閃光で使徒軍勢を怯ませてこいと適宜指示を伝えていく。
「『なんで扱える技を知っているんっすか?』って? それは……義勇兵の中で有名だから」
「ふーん。ま、そんな事もあるっすかね。ひひっ!」
 笑うレッドにグレイは頷き、走っていく姿を見送る。
(いいか、死ぬんじゃないぞ絶対死ぬんじゃないぞ夢に出てくると嫌だからな)
 視線で自然と追ってしまうが、バルバータは注意散漫な状態で勝てる相手ではない。
 なんとも不可思議な気分になるが、それもまた炸薬式光刃機械鋸に必要な逆境であるのだろう。
 縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧の繧「ク$ィブ◆キル1も炸裂し、ルージュの愛の力がバルバータに叩き込まれる。
 凄まじく強いバルバータのその鎧にも、ひび割れが目立ち始めている。
 あと少しだ。そう感じたからこそ、シュネーは叫ぶ。
「皆様、援護します! あちらの勢い、押し返して差し上げましょうっ!! あとひと踏ん張りですもの、誰1人欠けることなくこの戦場を乗り切りますよ!」
「おお!」
「やるぞ、やってやる!」
 戦場にはネーヴェの姿も見えていたが、シュネーの視界には偶然入っていなかった。
 しかし、今のシュネーには特に意味のないことではあっただろう。
(わたくしは世界を救いたいなんて大きなことは言わない。その中にある1人1人を……顔を知る誰かを、護りたいのです)
 戦いはグレイたちを含む義勇兵団の優勢に進んでおり……今日は何度も派手に死んでいるルージュが再度走り戻ってくる。
「ト、ドメだああああ!」
 放たれた愛の力はバルバータの鎧をついに砕き……断末魔にも似た悲鳴が上がる。
「馬鹿な……馬鹿な! この私が! 馬鹿なあああああ!」
 それを合図とするかのようにバルバータの鎧のヒビが連鎖し広がっていき……割れるように鎧が崩れていく。
 崩れる鎧の中にあった巨大な身体も、支える力がなくなったせいか崩れるように地面に倒れる。
 持っていた巨大な剣も地面に突き刺さり……カノンはその兜を掲げ……ようとして大きすぎたのでルージュと協力して持ち上げ掲げる。
「敵将バルバータ、討ち取りました!」
「おれたちの勝利だ!」
 その黄金の兜を掲げるカノンたちに使徒たちはざわめき……一気に潮が引くように逃げ出し始める。
 バルバータという将で支えられていた敵戦線の、その一部ではあるが崩壊の瞬間であった。
 シュネーも油断せず最後まで聖弓アーク・テトロンを構える手をいつでも放てる態勢にしていたが……やがて、戦闘の終了を悟り大きく息を吐く。
 勝った。それがようやく実感として湧いてくる。縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧も嬉しそうに全ての口がキャラキャラと笑い、テレパシーで仲間たちにねぎらいの言葉を投げかけていく。
「ふう……」
 グレイもレッドが無事に跳ねているのを見ながら、小さく息を吐く。
 ふと空を見上げれば、ヴァリフィルドが義勇兵団長を背に乗せて飛び、勝鬨でもあげさせているのが見える。
 響く義勇兵団の喜びの声は遠く響き、黒子やルージュがもみくちゃにされているのがカノンやアインスからも見えていた。
 この戦線も、全体で見れば一部のものに過ぎない。
 だが……それでも、大きな、とても大きな勝利であった。

成否

成功

MVP

ルージュ(p3x009532)
絶対妹黙示録

状態異常

ヴァリフィルド(p3x000072)[死亡×2]
悪食竜
グレイ(p3x000395)[死亡×3]
自称モブ
縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧(p3x001107)[死亡]
不明なエラーを検出しました
カノン(p3x008357)[死亡]
仮想世界の冒険者
ルージュ(p3x009532)[死亡×4]
絶対妹黙示録

あとがき

コングラチュレーション!
バルバータを倒し、戦線を勝利に導きました!

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