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シナリオ詳細

ぐだぐだヒロイン救助伝説

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●真実は小説よりもぐだぐだなり

ーーあ〜も〜〜、何でこうなっちゃったかな〜〜!

 通い慣れた学校の屋上で、椅子の上に縄でぐるぐる巻きにされたまま、女子高生は天を仰いだ。
 何度か身じろぎして脱出しようと試みたが、縄は緩まらずビクともしない。恐らく何か、魔術めいた力で拘束されてしまっているのだろうーーそう思い、女子高生は目の前でぎゃあぎゃあ喚いている犯人へ視線をやった。
「ちょっとお! どういう事ですのー?!
 このワタクシ、悪役幹部アスモデ様が直々にチーキュウ星に降り、人質をとって脅迫してますのに!」
 ここで一息ついて、ツノの生えたボンテージ姿のアスモデはハンカチを噛んでギーッと引っ張った。
「どうして邪魔しに来ませんの、魔法少女ジョシキュアはーーっ!
 怪人に悪事を働かせたら秒で来るくせに! 秒で来るくせに〜〜っ!ムキィーーー!!!」
 そりゃ来ねぇわ、と半眼になる女子高生。

ーーだってそのジョシキュア、私だもんな〜〜〜〜!

 説明しよう。
 この拘束されちゃってるアンラッキーガールの名前は鵜釣 香和流(ウツリ カワル)。パフェと猫が大好きな、どこにでもいるごくごく普通の女子高生。
 しかしその実態は、チーキュウ星の平和を守る運命を背負わされた魔法少女ジョシキュアなのである!

 いつもなら悪事の気配を察知するなり変身して現地へ駆けつけるものの、目の前で悔しがってるアスモデとかいう悪役幹部はあろう事か偶然目の前にいた香和流を捕え、ジョシキュアを呼ぶための人質にしてしまったのだ。
 魔法少女も変身しなくばただのヒト。怪人を統べる女幹部の捕縛に成す術もなく、あっさりと捕まってしまった。

「もしかしてワタクシ、ジョシキュアに脅威だと思われていないんですの?
 お父様にワガママ言って、やっとチーキュウ星に降りられたのに……」
「残念だけど、そうなんじゃないかな。だから今回は諦めて、私の縄を解いた方がきっと貴方にとってもいい事がーー」
「いえ!! これはきっとジョシキュアからの試練に違いありません事よ!女幹部らしく堂々と待って見せよと。
 ならばワタクシ、耐えて待ちますわ。ジョシキュアがこの場に現れるまでッ!!」

ーーポジティブで、しんどすぎるんだよな〜〜〜〜!!

●噛み合わなすぎるヒロイン達
「……という訳で、偶然が偶然を呼んだ結果、このライブノベルは物語が進展しなくなってしまっていてね。もう30年くらい持久戦が続いたまま停滞しているらしいんだ」

『境界案内人』神郷 黄沙羅(しんごう きさら)はピンク色の可愛らしい表紙の本を特異運命座標に見せながら溜息をついた。

「時間経過とかトイレとか、設定がガバガバな世界だっていう事や、悪役幹部がポジティブすぎる事も相まって、外からの干渉を受けないと、どうにもならない状態だ」

 いい加減助けてやってくれ、との境界案内人の言葉に、特異運命座標達は顔を見合わせたのだった。

NMコメント

 今日も貴方の旅路に乾杯! NMの芳董です。
 不毛な膠着事態が30年ほど続いています。終わらせてあげてください。

●目標
 物語を進展させてあげる

 香和流ちゃんを助けてあげるでもよし、自分たちがジョシキュアだと名乗ってアスモデと戦うもよし。とにかく物語を進めてあげましょう

●現場について
 異世界『ぐだぐだ魔法少女ジョシキュア』に登場する、チーキュウ星の私立メグメル高校の屋上。時間帯は昼で天気もよく、遮蔽物もないため、人質がとらわれている現場は視界良好です

●登場人物
鵜釣 香和流(ウツリ カワル)
 ぱっと見は茶髪のどこにでもいる女子高生。その正体は魔法少女ジョシキュアです。変身には魔法のコンパクトが必要なのですが、バッグに入れていたためアスモデに没収されています。変身前は月並みな人間で、今後の事を考えると正体をカミングアウトも出来ず、万策尽きている様子

悪役幹部アスモデ
 本当に悪役なのか疑わしいほど前向きでポジティブな悪役幹部。銀髪赤目の女の子。お父様こと魔王のお許しが出て、うっきうきでチーキュウ星の新略にやって来ました
 戦闘では物理攻撃のできる雑魚戦闘員を10人ほど呼び出したり、鞭や魔弾を使って戦うようです
 香和流から没収したバッグは自分で持っています。なくしたら申し訳ないからね!

『境界案内人』神郷 黄沙羅(しんごう きさら)
 男装の麗人。皆さんをサポートする境界案内人です。見た目を魔法少女っぽく変身させるコンパクトとか、学校の制服とか、欲しい道具があれは色々用意してくれるようです。特異運命座標の味方なので、無茶なお願いでなければ聞いてくれそう

●その他
 この依頼は非常に自由度が高い依頼です。そのため、ぐだぐだにならないように、参加者同士で方針は揃えておく事をオススメします

 説明は以上となります。それでは、よい旅路を!

  • ぐだぐだヒロイン救助伝説完了
  • NM名芳董
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年12月07日 22時27分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

回言 世界(p3p007315)
狂言回し
冬宮・寒櫻院・睦月(p3p007900)
秋縛
アーマデル・アル・アマル(p3p008599)
灰想繰切
ヘルミーネ・フォン・ニヴルヘイム(p3p010212)
凶狼

リプレイ


「依頼の映像を見る時は、部屋を明るくして離れてみてくださいね!」
「魔法少女との約束なのだ!」
「待て待て待て」
 いきなりカメラ目線で女児アニメのお約束から入った『しろがねのほむら』冬宮・寒櫻院・睦月(p3p007900)とヘルミーネ・フォン・ニヴルヘイム(p3p010212)にほぼ反射で『貧乏籤』回言 世界(p3p007315)がツッコミを入れる。
「依頼のログが映像で残るようになったからって、露骨に視聴者アピールをするな。びっくりするだろ?」
「だって女児向けアニメっぽい異世界ですよ、まずは形から入らないと!」
 とやる気満々な様子を見せる睦月は性別迷子を経て、今や可愛い女の子だ。乙女の憧れ魔法少女になれるチャンスにやる気は充分である。同調するミーネも変身へは前向きだったが、境界案内人からの事前情報を聞いた上で、気になる事がひとつだけ。
「魔法少女と悪役幹部とか……それはいいのだけど…30年も膠着状態とか馬鹿なのだ…?」
 30年もあったらとっくに世代交代しているものだ。常識的に考えて。
(千日戦争ならぬ30年戦争……いやこっちの方がよっぽど長いじゃないか。これが『エタる』という現象なのか…)
「でも、30年これで間が持たせられるなら、あるいみ神作品じゃないですか! 新キャラのグッズを出さなくても採算が取れてるって事ですよね?」
「これから魔法少女になる奴が生々しい事言うなよ。というか、俺思うんだけどさ。もうこのままでよくない?
 放置して害のある類ではないみたいだし、延々とこの状況を繰り返すだけである意味平和が約束されてるようなものじゃないか。2名を除いてだが」

~ぐだぐだヒロイン救助伝説 完~

「待つのだ! 分からせる前に終わってしまうのだ?!」
「というか約一名、まだ名前も登場してないですよね。……あれ、そう言えばアーマデルさんは?」
 先程しれっと念話のように会話へ混ざっていた『霊魂使い』アーマデル・アル・アマル(p3p008599)の姿が見当たらず、仲間達がきょろきょろ見回す。
 すると――

 ガシャアアアァン!!

「なっ、なんだ!?」
 唐突に校舎の窓ガラスをブチ破り、教室に現れる黒い影!
「待たせたな、皆」
 アーマデルは考えた。女児向け作品の男といえば、薔薇やカードを投げ込んで注目を集めて登場するようなアレを思い出すが、はっきり言って性に合わない。
 かといって、逆に忍び過ぎて明らかにジャンルの違う女子供相手にサイレントキルをキメるほど大人げなくもないつもりだ。
「故に俺の為すべき事は……派手に登場して注意を引き、『やはりジョシキュアでなければダメだ』と思わせたところで、
 満を持してジョシキュアが登場する。そのお膳立てこそ物語を進める近道だとーー」
「流石だな、アーマデル。荒縄でターザンして窓をぶち抜く……女児向けアニメ『明後日のナンジャ』の主人公が最終話でやった名シーンを再現するとは!」
「あるのかよ、あんなヤバいシーン!?」
 黄沙羅のマニアックな指摘に世界がツッコむ。

 ちなみに、今回ジョシキュアに意地でもなりたくなかった彼は、自らこのぐだぐだ空間のツッコミ役に名乗りを上げていた。
 難易度Easyの依頼を自らBerry Hardにしていくその心意気やよし!!
「何だと……女児向け作品になさそうなシチュエーションを取り入れたつもりが、逆に主人公らしくなっていた……?」
「これはもう、アーマデルさんもジョシキュアになるしかないですね」
「魔法少女は二人より三人いる方が、良い子の皆がごっこ遊びをする時に血で血を洗う争奪戦にならずに済むのだ」
「さり気なく女児にハードな闘争をさせるんじゃない。というか……」
 思い出した様に、人差し指を上に向ける世界。
「室内に集まったのはいいが、確か現場は屋上じゃないか?」


「下の階で窓ガラスが割れる音がして、ビックリしましたところでしたの! 戦闘員がご迷惑をかけたのかと思いまして」
 自分達のせいではないと知り、アスモデはほっと胸を撫で下ろした。彼女曰く器物損壊はご法度らしい。
「テレビの前の女児達が真似したら良くないですもの!」
「おい、あの悪役幹部マトモな事言ってやがるぞ」
 どう話を進めた物かと半眼になる世界の前で、ビシリとたった今考えたポーズで応じるヘルミーネ。
「勿論、ジョシキュアに変身なのだ! いくのだ、睦月、アーマデル!」
「はい!」「はい?」
 呼ばれた二人の返事とほぼ同時、黄沙羅から投げられた魔法少女のコンパクトを手に取る三人。
「「レッツ・ジョシキュア! カオスア〜ップ☆」」
 魔法少女に欠かせないもの。それは可愛い変身バンク!
 睦月が笑顔でコンパクトを開くと、身体が光に包まれる。花弁の舞う中現れたのは可憐な姿のーー
「凍てつく吹雪に紅一点、キュアチェリーです!」
 大分ギリギリを攻めた名前である。
「調べたらブロッサムもスカーレットも使用禁止だったのでチェリーです。
 うかつに名乗ったら各方面から引き付けなくていい敵をひきつけちゃいそうで危ないところでした」
「そこ気にするならキュアの方を変えろよ?!」
 世界のツッコミも虚しく、次の変身バンクが見せ場を作る。黒い棘が画面を覆い、現れるのはちょっぴりセクシー★小悪魔風の魔法少女!
「尽くしきりませ悪の華! 魔法少女ヘル★キュア参上なのだー!」
「あ、悪ですって!?」
 ががーん! とショックを受けるアスモデ。テコ入れで登場した追加戦士がコンセプト被ってたら、そりゃヒヤッとするだろう。一歩、二歩と後ずさる彼女を追い詰めるようにジリジリと迫るヘル★キュアは、ピシリと鞭を叩きつける様な動作をする――実際のところ 呪紐グレイプニールでちゃんと床を叩いているが、見えざる魔法の紐なのでフリだけに見えてしまうのだ。
「悪役の何たるかを悪の限り(悪戯レベル)を尽くして教え込んでやるのだ! わーはっはっは!」
「うぅ、私よりちゃんと悪っぽいなんて、ズルいですのよ!」
 ふと、言い合う二人の横で眩い光が溢れはじめる。そちらを見るとヨロつきながら慣れない様子で身構える、三人目の魔法少女が立っていた。
「巫女風でも女じゃないぞ。毒殺フレッシュ?キュアマデル……いっそ殺してくれ」
 和風巫女アレンジの魔法少女服を着たアーマデルが、恨めしそうに黄沙羅をじっと見る。視線をなんとなく察した当人はというと、さっと世界の後ろに隠れた。
「俺を盾にするぐらいなら、初めから巻き込んでやるなよ……」
「僕は変身アイテムを授ける精霊的なポジションだから役目は終わった。後は頼んだよ白衣眼鏡仮面」
「いきなり珍妙なキャラを押し付けてくるな! 大体、何だよ眼鏡仮面って!眼鏡in仮面とか絶対ぶつかって邪魔だろうが!?」
 一気に魔法少女が増え、騒がしくなった屋上で独り椅子に縛り付けられたまま、ぽつんと放置された香和流は思う。

――何でもいいから、先に進めてくんねぇかな~~?

「香和流殿が次の展開を待っているぞ。というかあと1200文字しか文字数残ってないから急ごう。巻き入ってるんだよ」
「承知なのだキュアマデル! では早速、ヘル★キュアからアスモデちゃんにアドバイスなのだ」
 突然の助言にもたつきながらも、メモ帳とペンを取り出す悪役幹部。
「アスモデちゃん、心を鬼にするのだ! 悪とは!悪い事を率先してやらねばならないのだ!そういう運命なのだ!」
「ふむふむ」
「あっ、でも後でちゃんと謝って迷惑かけた分は償うのだ……じゃないとしこたま怒られるのだ…」
「なるほどですわ!」
 一応、世界がチラとアスモデの取っているメモの中身を確認する。
『にするのだ』『率先して』『ちゃんと謝』……
「いや、箇条書きにする場所ぜったい間違ってるだろ! 下手くそか!?」
「えぇい、座学が駄目なら実践なのだ! まずは……悪役たる者は人質の鞄なんて後生大事になんてもたないのだ!」
 んばっ! とアスモデが持っているバッグを反応&機動力フル活用で床にぶち撒けるヘル★キュア。アスモデと香和流があーって顔で呆然とそれを見る。
「フハハー! こうしてやるのだ!」
「流石ヘル★キュア様ですわ、なんという残酷な仕打ち!」

 そう、はたから見れば嫌がらせだが、ヘル★キュアの真意は別にある――ころころりんと、魔法のコンパクトが香和流の元へと転がって。
 眩い光が辺りを照らし、年季の入った魔法少女が現れる!
「輝け乙女! レッツ・ジョシキュア★」
「ついにジョシキュア復活ですね! 旧新魔法少女で力を合わせて戦いましょう……と、見せかけて!」
 キュアチェリーの目がカッ! と輝く。そう、彼女が使ったのは魔法の力ではなく過去視のギフトだ!30年の二人の軌跡を覗き見て、アスモデの弱点を探すのかと思いきや――ほろり、と一粒涙を零す。
「ジョシキュアさん、アスモデさん。この戦い……どちらが勝っても負けても無意味な気がします。というかお二人とも、戦闘員より運動音痴すぎませんか!?」
 彼女が覗いた過去は、あまりにも残念な戦いの軌跡。何もない所でつまづくわ、攻撃は空振るわで、進展しないぐだぐだな戦闘。実際問題、日常コメディ回の方が作品の視聴率もとれていたりする。

「アスモデさん、あなたのその前向きさを発揮するときです。観客が喜び続ける限り同じことを繰り返せと、かのゲーテも言っています。
 この際、魔法少女バトル物から、鵜釣さんとアスモデさんの日常コメディとかにジャンルに変えてみませんか。大丈夫です、実績ならあります、30年も!」
「なんと! これも多分、役に立つアドバイスですわね!」
「戦闘中にメモしはじめんな! あぁもう、アーマデ……キュアマデル、尺たりないから落ち着けてやれ!」
「俺達の戦いはまだまだこれからだ。先生の次回作にご期待ください」
「ここまで来て打ち切り漫画風に締めちゃったのだーー!?」

成否

成功

状態異常

なし

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