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シナリオ詳細

海来たる?

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●夏来たる?
 その日は大変暑かった。
 どれくらい暑いかって、テーブルの冷たさに皆が突っぷすほど。
 手で仰いだって生温い風しか来やしない。
 大きな事件が過ぎたことも相まって、少しどころではなく気が緩んでいるのかもしれない。
 そこへ、『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)の声が響き渡った。
「皆さん! 大変なのです! このままじゃ──夏が来ないかもしれません!!」
 そんなわけないって、と声が上がる。
 これだけ暑くて、夏が来ていないわけないだろうと。
 それでもユリーカは必至だ。
「そんなわけあるのです! 海で遊びたくありませんか! 海洋(ネオ・フロンティア)のビーチで遊べなくていいんですか!!」
 ビーチで遊べない。その言葉にようやくイレギュラーズがぽつぽつと興味を持ち始めた。
 ユリーカがひと呼吸置き、口を開く。
「皆さん、聞いてください。実は──」

●ビーチ
 照りつける太陽、青く煌めく海。
 波が寄っては引き、その際まで行けば足を濡らすだろう。

 しかし今、そこまで行くことは叶わない。

 砂浜にデデデンと鎮座した奇妙な物体がいる。
 真っ黒な石のような、岩のようなもの。その上にどぎついオレンジ色の触手生物が乗っており、その触手をふよふよ動かしているのである。
 その周りは夏の日差しを通り越して、もはや炎の中にいるかのよう。
 ふと、近くを小さな蟹が通り過ぎていこうとした。砂浜を移動する蟹の足は意外と素早い。
 しかし、その蟹は熱を発する物体の近くで動きを止めた。いや、止めざるを得なかった。
 パキ、と甲羅の割れる音。
 穴の空いた甲羅からオレンジの触手が抜ける。

 そう。
 奴らがビーチで遊べなくなる原因である。

GMコメント

●成功条件
 熱暑ヤドカリと串刺しイソギンチャクの討伐

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 不測の事態は起こりません。

●エネミー
○熱暑ヤドカリ×4
 ヤドカリの一種です。魔法(神秘系攻撃)と暑さの耐性が強く、かなりの熱を発する岩のような殻を持ちます。小型犬くらいには大きいです。
 このヤドカリからR2以内にいると毎ターンBS【炎獄】の判定がされます。
 攻撃はせず、機動力も低いですが耐久力があります。

○串刺しイソギンチャク×8
 熱暑ヤドカリの上に2体ずつ乗っています。どぎついオレンジ色なのでわかりやすいです。
 触手を硬化させることができ、攻撃や防御をすることができます。
 移動は熱暑ヤドカリに依存しており、回避もできませんが攻撃力と防御力はあります。
 R3まで攻撃が届きます。

●ご挨拶
 愁と申します。夏ですね。海開きですね。暑いし海入りたくありません??
 ということで海開きを邪魔しようとするモンスターと戦ってください。
 実際に遊ぶときは熱中症にお気をつけて、水分補給をしっかりと。
 それではご縁がございましたら、よろしくお願い致します。

  • 海来たる?完了
  • GM名
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年07月24日 21時40分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ラノール・メルカノワ(p3p000045)
夜のとなり
フェスタ・カーニバル(p3p000545)
エブリデイ・フェスティバル
ルウ・ジャガーノート(p3p000937)
暴風
アザリア・ブレイズメイド(p3p002048)
アンジェリーナ・エフォール(p3p004636)
クールミント
ミルヴィ=カーソン(p3p005047)
剣閃飛鳥
しだれ(p3p005204)
特異運命座標
フォーガ・ブロッサム(p3p005334)
再咲の

リプレイ

●うみはひろいな
 澄んだ夏空に歌が響く。
「あーつーいなー♪ ……暑いってかマジで熱いンですけど!」
(一足先に海を満喫! って思ったらこれか……!)
 流れる汗を手の甲で拭う『寄り添う風』ミルヴィ・カーソン(p3p005047)。
 熱さで満喫どころの話ではない。
「ただでさえ暑い時期を、更に暑くされては堪りませんね」
 ミルヴィの後ろに『再咲の』フォーガ・ブロッサム(p3p005334)が立ち、その大柄な体で僅かながら日陰を作る。
 どうぞ、とフォーガが差し出したのは水筒だ。
「炎天下の戦いですからね」
 アリガト、と受け取るミルヴィ。フォーガは同じように『クールミント』アンジェリーナ・エフォール(p3p004636)を始めとした仲間達にも配り始める。
「「うみだーー!!」」
 声を揃えてはしゃぐのはアザリア・ブレイズメイド(p3p002048)と『幽霊……?』しだれ(p3p005204)だ。
「終わったら遊べたりしないかな? やっぱりまだダメかな?」
「ビーチに平和が戻れば、一足先に夏を満喫しても罰は当たるまい」
 アザリアのそわそわとした様子に『砂狼の傭兵』ラノール・メルカノワ(p3p000045)が答えた。
 その隣で『暴猛たる巨牛』ルウ・ジャガーノート(p3p000937)がふんと鼻を鳴らす。
「皆のビーチを独占するたぁ……夏の生き物の風上にも置けねえ奴だぜ」
(しかもヤドカリとイソギンチャクだと? 喰える所もないような奴らじゃねぇか)
 ただでさえ暑い季節、加えて距離を取っているのに伝わってくるヤドカリの熱さでジャガーノートのイライラは最高潮だ。
 その手に持つ武器は持ち主と相反し、既に暑さでぐったりとしているようにも見える。
 フォーガにもらった水筒の中身で喉を潤した『エブリデイ・フェスティバル』フェスタ・カーニバル(p3p000545)も、ジャガーノートの言葉に「その通りだよ!」と声を上げる。
「夏に海で遊べなくなっちゃうなんて大問題! ヤドカリさんとイソギンチャクさんには悪いけど、ご退場願います!」
「悪い子達は倒さないといけないねっ」
 アザリアの言葉にそうだそうだと他のイレギュラーズ達も深く頷き、砂浜を──正確にはその手前に陣取るモンスターを──睨みつけた。

 ──かくして。
 夏とヤドカリの暑さにいくらか疲弊しつつも、イレギュラーズ達はそれぞれの持ち場へ散っていったのである。

●右の人たち
 こもるような熱気がミルヴィを包む。けれどそれに退くことなく、ミルヴィは魔性の瞳をヤドカリとイソギンチャク達へ向けた。
 ──ほら、おいで。
 誘う瞳に囚われて、ヤドカリ達が全力移動を始める。
 とは言っても元々の移動が素早くないようで、全力でイレギュラーズの移動速度と同等程度だろうか。
 ミルヴィは付かず離れずの距離を保ちながら後退し、その間にラノールとアザリアが割り込んだ。
 他のヤドカリ2体もついてこないか心配していたが──。
(あっちはあっちで上手くやってるみたいだネ)
 反対側で交戦する仲間を見てミルヴィは小さく安堵の息をつき、気を引き締める。
 影を残しながら移動をするラノールは、影へ攻撃したイソギンチャクの触手へマトックを振り上げた。
 ガキン、という硬質な音にラノールは小さく眉をひそめる。
 硬化しているのは触手の先端だけではないらしい。
「ラノールさん!」
 アザリアの声でラノールは咄嗟に体を捻り、次いで攻撃を仕掛けてきた触手を躱す。伸びた触手へアザリアが機械剣を振り下ろすと、再び硬質な音が響いた。
「助かった」
 そう短く告げるラノールへ、アザリアは1つ頷いて「あれ見て」とイソギンチャクを指差した。
「触手は硬いけど、全く効いてないわけじゃないみたい」
 指差された先──1体のイソギンチャクを見ると、触手の1本に白く筋がついているように見える。
「そのようだな。アザリア君、あのイソギンチャクから倒してしまおう」
「そうだね、1体ずつ順番にいこう!」
 2人が標的を定めて肉薄していく。
 その2人を援護するのはこちらのチームで唯一後衛を担うフォーガだ。ヤドカリの作る灼熱の空間のギリギリ外側に立つフォーガは、手にした片手銃でイソギンチャクの触手を撃つ。
(きっと彼等に罪はないのでしょうが、この場は侵略させて頂きましょう)
 紅玉のような瞳に意思の揺らぎはなく。フォーガの銃弾は的確にイソギンチャクへ命中する。
 砂を蹴るテンポはワルツの3拍子。ミルヴィはそれに合わせて鋭く深く、相手の懐まで踏み込んだ。美しい曲刀が翻され、受けた触手と拮抗する。
 近くでうねる他の触手に、ミルヴィは思わず顔を顰めた。
「うえっ……ウネウネ気持ち悪い……!」
 後ろへ引いたミルヴィ。触手が追うようにミルヴィへ伸ばされる。
 マントでそのダメージを軽減させると、同時にごく薄くミルヴィを覆っていた反射結界が反応した。
 剣を模した妖力がイソギンチャクへ襲い掛かる。
「退かないんだからね!!」
 アザリアが触手の攻撃を受けながらも標的と定めたイソギンチャクへ切りかかると、触手の1本がぼとり、と砂の上へ落ちた。その背後からフォーガの精密な射撃が届く。
 踊るようにイソギンチャクへ接近し、刀を滑らせるミルヴィ。イソギンチャクがずるり、とヤドカリの上で体勢を崩した。
「皆!」
 声を上げると仲間達が追撃をくらわせ、ようやく1体のイソギンチャクを仕留めた。
「あっっつい!」
「全くだネ」
 まだ倒されていないイソギンチャクの攻撃を受け流すアザリアの額には汗が浮かんでいる。それはミルヴィもラノールも、フォーガも同様だ。フォーガ以外は灼熱地獄のような空間に居続けているのだから、疲弊も激しいだろう。
 勿論、フォーガも全く無事ではない。ある程度は触手も向かってくる。ミルヴィが精いっぱい引き付けてくれているおかげで随分とダメージは少ないが。
「暑いと集中力も切れてきますね……」
 素早く水分補給を済ませたフォーガは、次の標的へ銃を向ける。
 同時にラノールが命を力へ変換させ、イソギンチャクへ肉薄していった。
 アザリアは深呼吸を1つ。皆より遅れて飛び出していく。
「アンタ達も生きてるだけ……殺したくはねェけど……」
 これも仕事だ、とミルヴィは再び敵の視線と注意を引き付けるべく舞を舞い始めた。

●左の人たち
 こちらも順調、とは言えないが着実に1体ずつ倒している。ヤドカリはまだ残っているものの、イソギンチャクはあと1体だ。
 回復メインとはいえ、過剰回復は勿体ない。アンジェリーナも術式を用いて、時には接近して短剣を投げつけて援護する。
(前衛の皆様は更に暑そう、と思っていましたけれど……これは凄まじいですわね)
「双盾っ……ナーックルッ!」
 その攻撃に追随し、それぞれの手に握られた分離盾でイソギンチャクへカウンターを放つフェスタ。
(強くなるために、強い心で前に出るんだ!)
 暑かろうとその意思は挫けない。
 この世界に来るまで戦いを知らずにいた少女は、決意を胸に敵へ攻撃を繰り出す。その頭上に、影。
「おらっ、沖まで吹き飛ばしてやるぜ!!」
 フェスタが後ろへ跳び退ると同時、ジャガーノートが落下の勢いを殺すことなく石巨人の右腕でイソギンチャクを叩き潰しにかかる。
 硬化した触手の数本がバキ、と音を立てた。同時にジャガーノートの四肢にもいくらかの裂傷が走る。しかし、闘いを前にジャガーノートは手加減などしない。自分が倒れるより先に相手を潰すのだ。
 2人の傍へ近づいたアンジェリーナが癒しの光を広げ、味方の傷と体力を癒した。……だが。
「うっ、暑い……暑いですわ……」
「気合で何とかするしかねぇ……って、おい!?」
 きゅう、と暑さにやられて目を回したアンジェリーナ。ジャガーノートが駆け寄る中、しだれが卒塔婆をイソギンチャクへ大きく振りかぶる。
「くらえ~、豪腕粉砕しだれちゃんくらっしゅ!」
 ドガッッ!!
 卒塔婆がよく折れなかったと思うような、凄まじい音がした。
 力を失ってヤドカリからずるずると滑り落ちたイソギンチャク。攻撃手段(イソギンチャク)を失ったヤドカリが自衛のためか、反対側で未だ戦う仲間の方に向かおうとする。
「させないよ!」
 動いたのはフェスタだ。ぐっと回り込み、両手の盾で硬い殻を殴りつける。
 その表情は涼し気とは言い難いが、ヤドカリの暑さには屈していない。
「残念、キミの熱もヘッチャラなんだよ!」
「暑さは大丈夫だけど、さっさと倒しちゃおうね~」
 追随してしだれが卒塔婆を振り下ろす。
 ヤドカリの攻撃と呼べそうな手段は、この異常な熱い空間を作り出すことのみ。しかしそれも効かない相手となれば、防戦一方になる他ない。
 フェスタとしだれの攻撃に、ヤドカリ達が今度は反対方向へ逃げ始める。──ジャガーノート達がいる方へ。
 それを見たジャガーノートはにやりと笑い、石巨人の右腕を振り上げた。
「──っらぁ!!!」
 極限まで高まった闘気と獣の膂力、巨大な武器が起こす衝撃波。砂浜が抉れ、その直線状にいたヤドカリの殻が砕け散る。
「あと1体だよ!」
「もう少し、頑張ろうね~」
 襲い来る打撃に、もう1体のヤドカリも倒れるのは時間の問題だった。

●あつさのあとは
 片手剣を抜いたフォーガが肉薄し、ラノールと共にヤドカリへコンビネーションよく打撃を叩きこむ。
 終いにミルヴィの狂熱的な舞と共に繰り出された剣が、ヒビの入っていたヤドカリの殻を壊した。
「終わった……みたいだネ」
 動かなくなったヤドカリ達を見て、ミルヴィが妖剣を静かにしまう。
 その体には少なくない傷が刻まれているものの、立っていられる程度には無事だ。
「お疲れさまー!」
 反対側で戦っていたフェスタ達も合流し、全員に深い傷がないことを確かめ合う。
 まあ、疲弊の最たる原因はこの暑さというもので。
「くあーっ! もう限界だーっ! うおおぉ!」
 ざばーん、と海に飛沫が上がる。放り投げられた巨人の右腕が夏の空に孤を描き、砂浜へドスッと刺さった。
 熱を持った砂浜へ置き去りにされ、武器が先ほど以上にぐったりとのびているように見えるのは……きっと気のせい。
「痛ってぇ!!」
「まあ、沁みるだろうサ」
 海水は塩が含まれている。飛び込んでしまえば、傷口に塩を刷り込まれているようだろう。
 再び飛沫を上げて海から上がってきたジャガーノートに苦笑を浮かべるミルヴィ。
「ヤドカリはまだしも、イソギンチャクはなんかその、気持ち悪かったね~……」
 モンスターの死骸にしだれが微妙な表情を浮かべている。
 初めての海、初めてのヤドカリとイソギンチャクに期待していたのだ。
(ここで水着とかって薄着をした女の子が戯れたりぽろりしたり西瓜を割ったりするのよね~)
 と、海(海水浴)に関する知識は多少知っていたしだれ。まさかヤドカリやイソギンチャクがこんな生き物だとは思っていなかったようだ。
「今回の獲物は食用には向かなそうですね……何より近くにいると暑い」
 フォーガがヤドカリの死骸からそれとなく距離を取る。
 ヤドカリは倒してなお、その体から熱気を発していたのである。それは戦いの時ほどではないが、それでも暑い。
「せっかくの海辺です、すこし海水に浸かって身体を冷やすのはいかがでしょう?」
 傷を負っていない箇所や、足を浸すくらいならとフォーガは提案する。
「賛成! 海で遊ぶのは、ここが海開きしてからにしようよ♪」
 フェスタが元気よく挙手し、海辺へ向かっていく。
「すっかり夏到来という感じですわね」
 アンジェリーナは岩の出っ張りで僅かにできた日陰へ移動。
 海へ行く予定はなかったが、こうして眺めているだけでも楽しめるだろう。
(途中で倒れてしまいましたが……皆様の安全のために動くことはできました)
「ヤドカリ達がいなくなっても暑いね。お邪魔していいかな?」
「ええ、どうぞ」
 アザリアも日陰にやってきて、アンジェリーナの隣へ腰を下ろす。
 一休みして、もう少し元気になったら海へ足を浸らせてみようか。
(皆を見てると、思いきり遊ぶのは無理そうだけれど……)
「……あら」
 アンジェリーナの呟きにアザリアが視線を向ける。そしてアンジェリーナの見ているほうを向くと、そこには海岸線を歩くラノールの姿があった。

(幼生種は……いなさそうか)
 ラノールは海岸を歩き回り、それらしき生き物を見つけられないことに小さく安堵の息を漏らした。
 目の前の危険はなくなったものの、どこかに潜んでいるともわからない。もし海開きしてから現れたら犠牲者も出るだろう。
 その心配をなくして、ラノールは波打ち際を歩く。フェスタやミルヴィ達が足を付けて楽しんでいる場所へ、ゆっくりと。
 足元を擽る波は冷たくて、暑さと戦闘に火照った体には丁度いい。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 お疲れさまでした。
 皆さんの力により、こうして無事平穏が訪れました。海開きですね。暑そう。

 それではまたご縁がございましたら、よろしくお願い致します。

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