PandoraPartyProject

シナリオ詳細

仮想世界でも芋を食べたい!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 秋、収穫の季節。
 稲や小麦、野菜に果物。伝承の地の田畑にもたくさんの作物が実る。
 そして、忘れてはいけないのは、芋だ。
 植物の塊根と呼ばれる部分が大きく膨れたそれらは、収穫の時を迎える。
 大きく実ったその中には甘さを蓄えたものも。
 この近辺で作られているのはサツマイモに似た品種が多いが、それらは実りのタイミングで独特の甘い匂いを漂わせるという。
 まさにフェロモンのごとき香りに、人のみならず動物やモンスターまでも引き寄せるのだという。
「今年も来るのか……」
 地主も、そこで働く小作農らも、それらに戦々恐々とする。
 その芋……『みやび芋』が香りを漂わせたと感じ取ると、畑の周囲にバリケードを張り、上部には金網を張り巡らせてまで作物を守ろうとするのだ。
 小動物であれば、それらに遮られて諦める者もいるだろうが、狡猾な害獣とも呼ばれるモンスターらはそうもいかない。
 彼らはその壁をよじ登り、あるいは破壊する。
 金網なども食いちぎり、力でこじ開けて畑へと至る。そうするほどの実りがこの畑にはあるのだ。
 程なく感じられる地鳴り。それは多数の獣達が大地を揺るがす音だった。
 オオオオオオオオオオオオオオオ!!
 猪、烏、猿、鼠、狸、アライグマといった作物を荒らす害獣で知られる獣達がモンスターとなった存在が一挙に畑へと押し寄せてくる。
「「ひ、ひえっ……」」
 小作農が思わず悲鳴を上げてしまうが、ここで退けば獣どもに丹精込めて育てた作物を食い荒らされてしまう。
 最悪の場合、畑を踏み固められて次なる種を撒くことすらできなくなる恐れもあるのだ。
 そんな時に、イレギュラーズが通りがかったのは渡りに船。
 地主は飛びつくように彼らへと魔物達の撃退を託すのである。

「――と、言うことです」
 『穏やかな心』アクアベル・カルローネ(p3n000045)が集まったイレギュラーズのアバター達へと説明する。
 平地であるこの地域の向こう側から多数攻め込んでくる害獣の群れは、この地の名産である『みやび芋』を狙っている。
 前方に見える畑は数百メートル四方に展開されたもの。その外側に壁や金網の残骸は残されてはいるが、ほとんど機能しないような状況だ。
 すでに、地鳴りがこちらにまで届いている状況もあり、さほど準備を整える暇もないが、被害を考えればやるしかない。
「害獣と称されるモンスターは獣がベースとなっています。個々では生きる為に食料を得ようとしている……といったところでしょうか」
 ただ、問題はその規模だ。しかも、その群れを統率する大きな猪が存在しており、そいつが畑を踏み荒らせば、地面は踏み固められて作物の植え付けに支障が出るものと思われる。
 倒す必要はないが、芋を諦めさせる程度の力を示す必要がある。
 ただの害獣だと思っていれば痛い目に合う。全力で当たらねば依頼者である農民達の不評も買ってしまいかねないので注意したい。
「でも、うまく撃退できれば、そのみやび芋を少し分けていただけるそうですよ」
 時期的に焼き芋にして食べるのが手っ取り早そうだ。どれだけかぐわしく、甘い味なのかは実際に食べて確認したい。
 また、他にも芋料理を作ってみたいのなら、農民が厨房を貸してくれる。作る者がいなければ、アクアベルが注文の品を作るそうだ。
「それでは、よろしくお願いいたします」
 もう害獣の接近まで時間はない。その対処の為、イレギュラーズは手早く準備を整えるのである。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様こんにちは。GMのなちゅいです。
 仮想世界でも秋の味覚を味わいたい! お腹いっぱい芋を食べるんや!

●目的
 収穫を行う農民を守りつつ、芋畑を願う害獣モンスターを撃退すること。

●敵……害獣モンスターの群れ
 その数は100を優に超えます。兎に角襲い来る害獣達です。
 基本的には強さを示せば恐れをなして逃げますが、中にはとんでもない力を持っている個体もいますのでくれぐれもご注意を。

〇イボイボイノシシ
 全長1.5mから2m。全身のイボと突き出した下あごの牙が特徴的。
 鼻息荒く突進してきます。敵対する相手が近場にいなければ、鼻や牙で畑を掘り起こそうとします。
 また、群れのボスとして全長7~8mの巨大なヌシが存在します。
 ある程度、群れの数が減ると登場するようです。

〇軍隊ネズミ
 全長15~20cm。とにかく数で迫りくる集団です。
 噛みつき、飛びかかりと一撃のダメージは小さいですが、群れを成して襲い来る彼らは脅威です。

〇グレイカラス
 全長1m程度。空から鋭い瞳で作物を襲い来る灰色の鳥です。
 汚れたクチバシで突き、作物を食い荒らそうとします。

〇ナーティザル
 全長1m程度。やんちゃでいたずら好きな小さなサル達です。
 お腹が空いているのもありますが、この騒ぎに乗じて暴れたいようです。

〇アンニュイダヌキ
 全長1.5mほど。楽して餌を手に入れそうとするふてぶてしいタヌキです。
 邪魔する者にはめっぽう強く、しっぽを叩きつけ、大きな腹でボディプレスを仕掛けてきます。

〇ドロアライグマ
 全長1.5mほど。泥に塗れて爪を薙ぎ払ってくるアライグマです。
 戦いこそ泥臭く行いますが、普段はきれい好きでしっかり体も食べ物も洗ってから食事するようです。

●状況
 伝承の郊外にある芋畑にて、とても美味しいと評判のみやび芋が収穫期とあってとてつもなく美味しい匂いを発しており、モンスターを引き寄せています。
 収穫することでその匂いが外に放出されることがなくなる為、地主や雇われの小作農らが作物を収穫する間、畑に迫る害獣モンスターの撃退を願います。
 事後は、内に香しさを秘めたみやび芋をいただくことができます。
 焼き芋を始めとするお芋料理を作ることもできます。料理のできる方がいない場合はアクアベルが作りますので、是非、自分の食べたい一品をお召し上がりくださいませ。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

●ROOとは
 練達三塔主の『Project:IDEA』の産物で練達ネットワーク上に構築された疑似世界をR.O.O(Rapid Origin Online)と呼びます。
 練達の悲願を達成する為、混沌世界の『法則』を研究すべく作られた仮想環境ではありますが、原因不明のエラーにより暴走。情報の自己増殖が発生し、まるでゲームのような世界を構築しています。
 R.O.O内の作りは混沌の現実に似ていますが、旅人たちの世界の風景や人物、既に亡き人物が存在する等、世界のルールを部分的に外れた事象も観測されるようです。
 練達三塔主より依頼を受けたローレット・イレギュラーズはこの疑似世界で活動するためログイン装置を介してこの世界に介入。
 自分専用の『アバター』を作って活動し、閉じ込められた人々の救出や『ゲームクリア』を目指します。
特設ページ:https://rev1.reversion.jp/page/RapidOriginOnline

※重要な備考
 R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
 現時点においてアバターではないキャラクターに影響はありません。

 それでは、よろしくお願いします。

  • 仮想世界でも芋を食べたい!完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年10月31日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

グレイ(p3x000395)
自称モブ
リュート(p3x000684)
竜は誓約を違えず
樹里(p3x000692)
ようじょ整備士
夜乃幻(p3x000824)
夢現の奇術師
花楓院萌火(p3x006098)
アルコ空団“風纏いの踊り子”
カノン(p3x008357)
仮想世界の冒険者
壱狐(p3x008364)
神刀付喪
アズハ(p3x009471)
青き調和

リプレイ


 伝承某所。
 畑いっぱいに実ったみやび芋に、イレギュラーズのテンションも高まる。
「おイモさん……あきのふーぶつしです」
「芋っす! 食べ物っす!」 
 幻想種少女、『ようじょ整備士』樹里(p3x000692)は緑一色の畑を見てこくりと頷く。愛嬌ある『食いしん坊ドラゴン』リュート(p3x000684)もお腹いっぱい食べられると嬉しそうだ。
「蒸すも良し、焼くも良し、潰して良し、揚げて良し、万能お芋っす!」
「食欲の秋とは言いますが、これは渡りに船です」
 魔法型冒険者少女『仮想世界の冒険者』カノン(p3x008357)も美味しいクエストは見逃せないと張り切る。
「色んな動物が芋を狙ってきてるみたいだね、それだけみやび芋がおいしいってことなんだろうねきっと」
 黒髪ポニーテールの『ダンサー』花楓院萌火(p3x006098)はそれだけ美味しい芋なら何としても食べたいと想像を膨らませて。
「スイートポテト……焼き芋……大学芋……」
 それらの料理に、萌火は思わずよだれを垂らしかける。何せ、畑からは香しい香りが漂い、食欲を刺激するのだ。
「めちゃくちゃいい匂いがする……これは確かに引き寄せられるな……」
 瞳を閉じる『アルコ空団“路を聴く者”』アズハ(p3x009471)はネクストで食べても現実の腹は膨れないとしながらも、美味しさや満足感が得られることから、是非その芋を食べてみたいとのこと。
 この芋に引き寄せられる獣は、付近では害獣として知られるモンスター化した動物ばかり。
 それらが一挙に押し寄せてくるというのだ。
「芋に群がる獣のスタンピード、百獣夜行といったところ」
 独特な亜人を思わせる『ハンドルネームは』グレイ(p3x000395)が言う様に、それは歩き回る獣の群れ。
 前方から徐々に、大地を揺らしながら芋畑へと迫ってきている。
「おや、せっかくの秋の実りが害獣に食い荒らされるなど、あってはならないことだね」
 この状況を、フォーマル系の衣装を纏う『夢現の奇術師』夜乃幻(p3x000824)は現実をシミュレーションしたゲームと認識して。
「そこまで再現しなければいけないものだろうか。愚かしいことだ」
 この世界の実状に、幻は頭を振ってしまう。
「畑は大事です。害獣は駆除しなくては」
 とはいえ、片目を隠す長い黒髪の『妖刀付喪』壱狐(p3x008364)の言葉ももっともで、R.O.Oでも混沌でもそれは変わらない。
 職人らしく手を貸そうと、壱狐も仲間と共に迎撃の準備を開始するのである。


 オオォォォォォ……。
 迫る害獣モンスターの群れ。
 数十分と経たず、それらは畑へと到達するだろう。
「ROOでも季節は同じ、実りの秋ですからね。農家の皆さんの努力の成果をただで食べようだなんて無法は許せませんね」
 改めて、壱狐は害獣から畑を守るべく、石ころや立て看板を石材木材へと加工する。
 そして、それを使い、壱狐は職人魂をもってバリケードを修復改造していく。
「時間との勝負です」
 同じく、バリケードを修復と補強をしようとカノンが動く。
 空からくる相手には効果が薄いが、それでも地上複数から進撃されれば手の打ちようがなくなりかねない。
 カノンは足りぬ資材はアクセスファンタズム、レリックインベンタリーから取り出し、鋼糸で有刺鉄線を作る。
 後は壱狐やカノンが協力し、その進路を誘導できるような道を作る。
 バリケードを迂回すると見せかけ、少し傾斜を下った先にメンバーが待ち構えられる場所を作り、迎撃に備えるのだ。
「罠作りするなら、私……俺もそれに従おう」
 グレイもそれらの陣地構築に助力し、金網と板を使い、銅鑼を作って見せる。乱戦になった時に丁度良い合図となるはずだ。
 せっせせっせと、樹里もまたおてつだい。その道路を作るべく穴を掘り、その土を移動して固める。
「あるていどのゆーどうとかができるだけでもだいぶ楽になりますからね」
 オオオオオオオオォォォ……!!
 砂埃上げて迫る害獣の群れは異様なまでの威圧感をこの場のイレギュラーズ、農民達へと与えた。
「うわー、改めて見るとほんとすごい群れだね」
 その群れは強そうなものから数が多いものまで様々。
 奥のイノシシや空飛ぶグレイカラスの群れは強そうだし、群がる軍隊ネズミ達は数えるのが大変な数だ。
「……毎年こんななのか? 大変だな」
 アズハは後方で収穫を進める農家達に聞くと皆一様に頷く。
「現実をシミュレーションしたものがゲームになるのかね」
 小作人が害獣に襲われることを再現した状況の何が面白いのかと、幻は訝しむ。
「僕はこのゲームを作った練達の人間の頭が理解できないね」
 とはいえ、このネクストでの幻はR.O.Oありき。複雑なところである。
「農家の皆さんは収穫に専念してくれ、害獣は俺たちが追い払う」
 アズハが指示を出す間に、エネミーサーチを働かすリュートが空を舞っていて。
「きたっすね……!」
 ある程度害獣らが接近してきたところで、彼は力ある声を放つ。
 竜神の声は迫りくる獣らの動きを一時封じる。
 出鼻をくじかれた害獣ら。この隙に、メンバーはさらに準備の手数を増やす。
 カノンなどはギリギリまで草結びなど、簡易な罠を少しでも増やすなど準備を怠らない。
 皆、害獣らが侵攻しやすいルートで待機する。そこはグレイ達が即席で作ったトラップだらけのキルゾーンだ。
「よーし、やるぞー!」
「畑を守るためにも、害獣には諦めてもらわないとだな」
「申し訳ありませんが、動物達には美味を諦めて貰いましょう!」
 萌火、アズハ、カノンがそれぞれ意気込み、害獣の群れと対していった。


 オオオオオオォォォォ!!
 迫りくる害獣の群れに対し、再び飛び上がったリュートは「どーんっ!」と先制の光弾ブレスを放つ。
 前方に走る火柱に氷柱。それらに一部が巻き込まれてなお、群れの勢いは止まらない。
「エネミーサーチで敵の方角を……って多いっ」
 よく見れば、群れは確かに大規模なものが向かってきているが、別方向からも小さな群れがいくつか迫ってきている。
「データでしかない芋だけれども、それでも良いモノは味わいたい」
 ならば、防衛を頑張るしかないとグレイが聖剣を握る手を強める手前で、萌火が存在感を示す。
「こういう時は適材適所!」
 群れの先陣を切ってやってくる軍隊ネズミ達に対し、萌火が狂乱の舞が生み出す魔力でネズミ達の思考を奪う。
 動きを止めたネズミ達は萌火の思惑通り、じたばたと足を動かし、逆に固まり、中には同士討ちするネズミらもいた。
 自己強化を施すアズハは開戦に伴って瞳を開くが、音で害獣の位置を察していた。
 相手が満足に動けぬ状態と判断した彼は、地面に強い振動波を与えてネズミ達を後方へと吹っ飛ばしていた。
 そんな萌火らの攻撃をうまく避けたネズミがすかさず畑を狙って迫ってきていたこともあり、グレイは全力で聖剣を叩きつける。
「百を超える獣が押し寄せる! 収穫をいそげいそげ!」
 畑で作業する農民を激励しつつ、グレイは次なる敵を見定めていた。

 続き、空からくるグレイガラスらへと地上に降りていたリュートが近づく。
「どーんっ!」
 今度は空中へと色鮮やかなブレスを発し、灰色のカラス達を撃ち落とす。
 カラスが現状攻撃の届く中で脅威と感じていた壱狐は本体である妖刀を握り、陽光の如き攻撃重視の構えから術式を纏った一太刀を浴びせ、カラスの身体を切り捨てる。倒した敵はジビエになりそうだ。
「来ましたね」
 仲間から少し後方に位置取っていたカノンは、相手がある程度近づいてきたところで、阻害・妨害の魔法を発動させる。
 次々と落下するグレイカラス達をグレイが見定めて接敵して聖剣を振るい、確実に仕留めていく。
 まだ畑や小作農らを狙うグレイカラスはいると察したカノンはすかさず魔弾Cを発射し、敵を撃ち抜いていた。
「やりましたっ」
 ただ、まだまだ敵は多く、カノンもすぐ表情を引き締めていた。

 地上を駆けていた害獣モンスター達は、イレギュラーズの思惑通りバリケードに遮られ、メンバー達のいる場所へと誘い込まれる。
 その誘導路にはいくつかトラップが仕掛けられており、ナーティザルやドロアライグマらが金網に絡まれ、草結びに足をとられていた。
 また通路を進むと少し幅が狭くなっていたこともあり、害獣モンスターが一直線に並ぶ形となる。
「さて、このゲームをクリアしようじゃないか」
 幻はそれらを狙ってステッキを軽く振り下ろし、奇術を披露する。
 気づけば、魔獣達は青く強い輝きのスピカが堕ちるさまを夢見ていた。
 その夢は儚くも不朽にも感じられ、害獣達も戸惑いの中その輝きを垣間見ていたことだろう。
 しかし、その間に、獣達は命をなくしており、ぱたり、ぱたりと地面に伏していく。
「「キキッ!?」」
 ナーティザル……文字通りやんちゃなサル達は、仲間や近場の獣が動かなくなるのを見て怯えてしまう。
 思う存分暴れようと考えていたのに、先程の声と合わせて萎縮してしまっていた。
「畑を荒らさないなら、無理に戦いたくないっす」
 さらに、リュートが竜神の声を響かせれば、サル達からは悲鳴すら漏れだす。
「芋美味しいし、おとなしくしてればちょっとだけ、ほんのちょっとだけ分けるっすよ?」
 ただ、次荒らしたら仕留めるとリュートは少しだけ脅しも入れて。
「「キキイイイイッ!!」」
 体を震わせ、ナーティザル達は畑から離れるように逃げ帰ってしまったのだった。


 次に攻め来るのはドロアライグマ。さらに後ろでは、アンニュイダヌキが畑に入るタイミングを狙っている。
「この先は通しません。さぁ、次に食卓に並びたい畜生から来なさい!」
 壱狐が立ち塞がり、その進路を断ちつつ切りかかってジビエと化す後ろ。
 ジグと呼ばれる舞曲を踊る萌火は、発生させたクリスタルのかけらによって、ドロアライグマの体を撃ち貫いていく。
 完全に仕留めるとは至らぬが、害獣が呆けたのであれば萌火の思惑通り。
 火力不足を自覚する樹里だが、そこで聖句を紡いで。
「聖句からリク文より参照……『その瞳は百万ボルト』」
 そっと囁く言葉によって害獣は目から発する電撃で体を痺れさせ、泡を吹いて倒れていた。
 痛そうと見つめる樹里だが、そこでにゅっと複数のアンニュイダヌキ達が畑へと飛び出す。
「くっ、ただのことばではせっとくもおいはらうこともできないなんて、ことばとはなんてむりょくなんでしょう」
 棒読みする樹里をしり目に、タヌキの一部は腹を膨らませてイレギュラーズへとボディプレスし、足止めしようとしていた。
 だが、すでにそれを読んでいたリュートが「るぅー!」と可愛く鳴いて仲間達の異常を振り払う。
 ここでまたアズハが振動波を浴びせて逆にタヌキらを足止めする。
「杞憂で済みそうだな」
 仲間達の連係プレイもあり、グレイは聖剣を薙ぎ払って畑から追い返そうとしていた。
 ただ、後続としてやってくるイボイボイノシシらは手強そうだ。
 直進してくる相手をマークし、グレイはその侵攻を食い止める。
 一斉に突っ込んでくるイノシシを、カノンが阻害・妨害の魔法で動きを止めると、幻が奇術で、壱狐が妖刀で切り裂いて仕留めていた。

 ブオオオオオオオオッ!!
 徐々にその数を減らす害獣らだったが、一際大きなヌシのイボイボイノシシが現れればイレギュラーズも皆そちらへと注意を払う。
 ジャアアアアアアン、ジャアアアアアアアン!
 グレイが先程作った銅鑼を鳴らし、鬨の声を上げる。
「今こそ、反撃の好機! 集中して掛かれ、力を誇示しよう!」
 害獣の群れもまた活気づいていたが、それを覇竜モードとなったリュートが制する。
「今なら逃げてもいいぞ。一歩でも進んだら焼き払ってくれよう」
 これまでも力を見せつけていたリュートだが、一層力を示せば、獣達も三々五々と逃げていく。
 樹里も群れのヌシが登場したことで、攻撃の手をそちらへと向ける。
「びびっと受信したので、さくっと『芋に溺れて溺死しなさい』。
はやくおいもたべたいですね……」
 樹里の聖句でビクリと硬直したかに見えたヌシ。
 だが、巨大なイボイボイノシシは効かぬわと言わんばかりに鼻を鳴らし、巨大な牙でメンバー達をすくい上げようとしてくる。
 それに捕まったリュートは牙に貫かれてしまう。
 やはり手強い相手だと、イレギュラーズは攻撃を続ける。
 低空を飛ぶアズハは近距離から格闘戦に臨み、さらに音を聞かせて動きを止めようとする。幻もまた蝶の舞で空中を飛来し、奇術で星の夢を見せつけていた。
 ブオオオ、ブオオオオオオ!!
 それでも、芋の発する香りが魅力的なのだろう。
 ヌシは強引にこの場を押し通り、畑を目指そうと足をばたつかせる。
「作物は取らせません……!」
 そいつを撃退すべくカノンは魔弾Cを撃ち込み、ジグを舞う萌火もクリスタルのかけらをその巨体へと見舞っていく。
 空を待っていたアズハもまた敵の牙にかかり、姿を消してしまった直後、壱狐が素早く斬撃を飛ばしてヌシの牙を折る。
 ブオオオッ!?
「ギャウーッ!」
 そこで、なんとか牙に耐えていたリュートが手から魔弾を連発すると、ヌシはついに白目を剥いてしまう。
 その場に蹲って動かなくなったヌシを見て、畑の農民たちが歓喜の声を上げると同時に、残る害獣達は一斉にその場から逃げ去って行ったのだった。


 みやび芋畑へと迫っていた害獣の群れを撃退して。
 リュートは嬉しそうに、農民と共に収穫のお手伝い。
「愛情込めて育った芋はとても美味しいっすからね!」
 これと残っていた蔓を手にした彼は思った以上の手応えを感じて。
「……抜けないっす!?」
 思いっきり引っ張ったら、すってんころりんと転がるリュート。その手には大きなお芋がついてきていた。

「ありがとう、ありがとう」
「これ、よければ食べてくんな」
 収穫を終えた農民達は、畑を守ったお礼にとイレギュラーズへと芋を分け与えてくれた。
「これがみやび芋……どうやって食べようかなー、悩むね!」
 芋の山を見つめた萌火はごくりと喉を鳴らす。
「よーし、アクアベルちゃん飛び切り美味しいスイートポテト作ってね♪」
 依頼報告を受けてやってきたアクアベルに萌火がリクエストすると、カノンや一狐もシンプルな焼き芋とおすすめの一品を願う。
「私も芋料理を振る舞いましょう」
 調理道具セットを用意した壱狐も職人魂を働かせ、アクアベルと共に芋料理を作るようだ。
「レディ達にスイーツを振る舞いたいね」
 幻もまたみやび芋で、タルトにスイーツポテト、ムースを振舞うとのこと。女性陣に代わってと考えていたが、仲間の料理も食べたいとのことで、幻は農民達にも振舞うことにしたようだった。
 料理を作るメンバーの傍ら、好意でいただいたお芋を樹里が石焼で65度を維持してじっくり美味しく焼き上げる。
 なんでも、とある名人がそう作るといいと言っていたから、間違いないのだとか。
「あせってはいけません……このじかんがおイモさんをおいしくするのです」
 頷く樹里は持ってきたホットミルクをくぴくぴ飲みながら、この一時も至福と楽しんでいた。

 程なくして、調理を終えたメンバーが続々と芋料理を完成させて。
「おおー、これがみやび芋のスイートポテト! 普通のスイートポテトよりも輝いて見えるね! それじゃいただきまーす!」
 一仕事を終えたこともあり、萌火は香り立つその一品を口にする。
「……美味しい! やっぱり芋が違うねー」
 アズハも、仲間達が作る凝った料理の香りを楽しんで。
「ありがたくいただこう!」
 アズハもスイートポテトやタルト、ムースと一品ずつその味を噛みしめる。
「スイーツにはお茶だって必要だ」
 幻は合わせて口をさっぱりさせるアッサムティーと、甘いミルクティーも用意する。
「レディーが喜んでくれるなら、僕はなんだってしよう」
 この場の女性達は幻の心遣いに喜び、ティーブレイクを楽しむ。
 また、グレイも甘い蜜焼き芋を美味しそうに食べていた様子。
 なお、アクアベルが作ったのはスイーツポテトに加えて生地に芋をふんだんに使ったポテトパイだ。
「このほっこりとろける様な甘味のお芋が何よりの報酬なんですよ……っ」
 はむはむと口にするカノンに、樹里もこくこくと同意していた。
「あぁ、満足だ。とても美味しかった!」
 一通り堪能したアズハは作ったメンバーと、素晴らしい芋を作った農民達へと礼を告げる。
「リアルでも手に入らないかな?」
 これがネクストだけのものなのは実に惜しいと、萌火は現実の混沌でもみやび芋がないものかと探すことにしたのだった。

成否

成功

MVP

リュート(p3x000684)
竜は誓約を違えず

状態異常

アズハ(p3x009471)[死亡]
青き調和

あとがき

 リプレイ公開です。
 MVPは敵の足止め、ヌシの討伐と活躍を見せた貴方へ。
 今回はご参加、ありがとうございました!

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