シナリオ詳細
Dark pot in [F-gori]voice
オープニング
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「た、たたた大変なのです!!
先日回収した危険なアーティファクトが暴走しちゃったのです!!」
『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)は慌てていた。
アーティファクト……なんらか神秘性を伴った道具の事であり、特になんらか人の手が加わって作られた人工的な道具である事が多い。それが暴走した――?
「事の始まりは遺跡から発見されたアーティファクトがあってですね……それがちょっと困った一品らしくて、ローレットに処分が持ちかけられたのです。で、どうしようか悩んでいた所で――発動しちゃったのですよ!」
「――それがあの部屋の奥、なのか?」
ユリーカの説明を聞きながら一人のイレギュラーズが視線を向ける――
そこはローレットの一室。扉の奥は倉庫か何かだったと聞いているが……成程。そこから何やら怪しげな気配が醸し出されている。扉を開ければそこには――『闇』が広がっていた。
なんだこれは? 光を一切通さぬ程に暗い……闇だ。
そればかりか己らも通る事が出来ない。
「うう、これはですね……近くに居た人を内部に取り込んで、条件を満たすまで外に出さなくするアーティファクトなのです。そんでもって、この闇は徐々に広がっているのです……」
「何――? となると、いずれはローレット全体を呑み込んで……!?」
「あ、いやそこまではないのです。成長限界は精々部屋二つ分ぐらいの大きさなのです」
勿体ぶって言った割には被害が小さいなオイ!!
とはいえローレットの部屋が幾らか使えなくなるのもある程度困りものだし、なにより暴走状態にあるアーティファクトを放置というのも気が引ける話だ……解決手段はないのだろうか? と、思考していれば。
「解決手段は一つ――それはアーティファクトの攻略なのです」
ユリーカは紡ぐ。内部にいる人間が条件をクリアする事で解除されるのだと。
そしてその条件とは……
「この闇の中で鍋をして――全てを喰らいつくす事なのです!!」
なんて?
「つまり鍋です! 闇鍋をするのです!!」
「え、なんで?」
「なんでもなにも、そもそもこのアーティファクトの形は『鍋』なのです! そう! 強制的に闇鍋をさせるアーティファクト――それがこのアーティファクトの力なのです!!」
「製作者はどこの誰で一体何を考えてそんなの作ったんだよ!!」
ていうか闇鍋をする為には食材も必要では――
「そこは安心設計なのです。なんと! アーティファクトに込められた魔力が、参加者の言動を読み取り……食材を作り出すのです! これを繰り返していけばやがて魔力が尽きるので無力化できるのです!!」
「思念を読み取って作り出された食材なんて食べて大丈夫なの……?」
「そこは信じるしかないのです! まぁというかアレですね、どっちかというと変なの言葉を口走って変な食材が入っちゃったりしないのが重要かと……サルミアッキとかも出てくるらしいですよ情報によると」
下手すると地獄か? でもまぁそれなら大丈夫だろう。
なにせ人間というのは一人一人声が違う。
変な言葉を口走る者がいればすぐに分かってしまうのだから。
無難な食材だけを呼び出し続ければやがて安心に終わって……
「……ちなみに中に取り残されてるのって誰なの?」
「え? えーとですね。それは――」
●
ここで突如闇鍋パーティに強制参加されたメンバーを紹介するぜ!
赤羽・大地 (p3p004151)!
キドー (p3p000244)!
郷田 貴道 (p3p000401)!
カイト・シャルラハ (p3p000684)!
パーシー=マクベス (p3p006620)!
ジョージ・キングマン (p3p007332)!
トキノエ (p3p009181)!
――以上、七名だ!!
な お こ の 七 名 全 て 魂 の 声 が 似 て い る ッ !!
「分かってるな! 無難な奴だぞ! 無難な食材だけ呟くんだぞ!」
「ああ分かってるよ――ところでマジ分からねぇな、声だけだと」
あえて地の文でも表示しませんが、彼らは今意思疎通を図っている様です。
その中央にあるのは鍋――
周囲は完全なる闇に包まれているが、確かにそこに鍋があるのだけは分かる。
そしてここに呟いた食材が召喚される事も……
ルールも何故だか把握できていた。それはユリーカから聞いたのか、闇鍋アーティファクトの不思議な力によるものなのか知らないが。とにかく『ここから出る為には闇鍋を完遂する』ことだけは誰もが分かっている――筈。
だから良いな。良いな! 皆、鍋の食材として無難なものだけを思い浮かべて呟くんだ!
そうすれば皆美味しい想いだけをして帰る事が出来……
「シュールストレミング」
――瞬間。それを呟いたのは一体誰だったのか。
直後に召喚される『シュールストレミング』――世界一臭いとされる食品――!! ていうかこれ食材じゃなくて食品なんですけど食品でもOKなの最悪ッ――!!
「誰だ――!! 誰が今、誰がなにを呟いた――!!?」
「うわやばなんだこの匂いちょっとまずい駄目だ逃げれん!!」
繰り返すがこの闇の中に閉じ込められたものが出るには闇鍋を完遂するほかない!!
駄目だぞ。ウケを狙おうとしたり、復讐したりとか考えちゃ。
皆で食べないといけなくなるんだからね!! 良いな、絶対に――協力して脱出するんだぞ!! うわー!
- Dark pot in [F-gori]voice完了
- GM名茶零四
- 種別リクエスト
- 難易度-
- 冒険終了日時2021年10月31日 22時05分
- 参加人数7/7人
- 相談7日
- 参加費---RC
参加者 : 7 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(7人)
リプレイ
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さぁ~~~皆さん~~~~~! 地獄の始まりですよ!
男だけ……密室……暗闇……鍋……何も起こらない筈が無く……
「いやいやいやいや待て待て待て待てェ!! クソッ! なんでよりにもよってややこしい声の野郎ばっか集まってたんだこの部屋!! 右向いても左向いても似たような声だけが響いてくるんだがぁ!!?」
「落ち着け!! とりあえず点呼だ点呼ォ!」
まーったく何も見えない空間。しかしあちらこちらから響いてくる似たような声に『最期に映した男』キドー(p3p000244)は思わず叫んでしまうものだ。どうしてこうなった? なんでこうなった!!
だがこういう時に焦っては敵(?)の思う壺だ!! 『遺言代行』赤羽・大地(p3p004151)は冷静に思考を巡らせる――そうまずは点呼。点呼によって周囲を把握するのが大事だと。あ? 点呼?
1!
2ィ!
3。
4ッ!
5!
6。
7ァ!
「……すっげ……同じ声でも演じ分けでこう……こうも違うんですね……」
「あっ声のせいでややこしいなコレ! 喋る前に名前言えよ皆ァ!!」
「『何人いるか』は何となくわかるが、マジでぜんっぜん見えねえな……! 大丈夫なんだろうなぁ、オイ――いや待て喋ろうとすんな! 同時は止めろ止めろ!! 俺の声を見失う!!(?)」
「二ギャーッ、だから尻尾を踏むなー! 誰だよさっきから何度も俺の尻尾踏んでる奴は、わざとかぁ!!?」
感嘆するキドー。しかし似たような声色の所為でむしろややこしくなっていると赤羽がむしろ混乱してしまえば、『酒豪』トキノエ(p3p009181)もまた吐息を一つ零すものだ。なお、部屋のどこかでは『ちょっと筋肉質なメイド』パーシー=マクベス(p3p006620)の尻尾が踏まれているのか悲痛なる叫びが何度も――!
くそ! こんな訳の分からない空間に長くいられるか! さっさと鍋食って出てやる!!
「ひとまずさっきの……アレ(※シュールストレミング)の臭いをなんとかしてえ……臭すぎて鼻の奥が痛むだろうが!! ていうかマジで誰だよこれ出したのは!! もう兵器だろコイツは! くそ、何か匂いがマシになる食材……何か……にんにくとか……あッッ」
とりあえずとトキノエは思考する――当初に投じられた諸悪の根源(※シュールストレミング)をなんとかせねば臭いで全滅しそうだと――! そうしていれば真っ先に思いついたのは――これまた匂いが酷い食物――!!
「ぐああああ誰だよ今にんにくとか言った奴!! くっせ――!!」
「……い、いやちがうぜ。俺じゃねえ、今喋ったのは俺じゃねえからな。
そうだぜ! 皆迂闊な事を口走るんじゃねぇぞ! こんな事になっちまうからな!」
地獄増加。自らの行ってしまった所業に汗をかきつつも――何も見えないので声が普通ならば悟られることが無いのが幸いだろうか! おのれトキノエさん! 自首するなら今の内ですよ!!
「呼び出す食材……匂いを打ち消せる何かがあればいいが。まずは試してみるべきか」
ともあれ『絶海武闘』ジョージ・キングマン(p3p007332)は閃いた。
一度出したモノが消せぬのならば、後追いで入れたもので――打ち消せぬかと!
「よし――俺はアンコウ、イワシ、サメ、イカスミ! 海の食材で立ち向かうぞ……!」
「HAHAHA! そいつは良いラインナップだな! グッドだと思うぜ!」
「見方を変えればタダ飯が食えるって事だからな! よし、とりあえず無難なところから行くぜ――そうだな、卵とか、ウインナーとか、ちくわぶとか……」
いやしかしサメははたして旨いのか。『喰鋭の拳』郷田 貴道(p3p000401)は軽快な笑みを漏らしつつジョージにサムズアップ(※見えない)すれば、続く形で『鳥種勇者』カイト・シャルラハ(p3p000684)も投入していくものだ。
無難かつ確実に美味なるモノを――折角だし楽しもうじゃないかと!
そうだ。このまま美味しいものだけ投入していけばただの鍋大会だ。まぁシュールストレミングとかいう最悪な代物が既にぶちこまれているのだが、しかしまぁなんとか挽回できるんじゃないだろうかと思考して――いれば。
「カイト」
えっ。
今、なんて? 誰が……誰が俺の名前を呟いた? え、いやちょっと待って。あっ、あっ!
「うわあああああ体が浮かんでるううう!! 待て待てなんだこれうわあああ鍋に引き寄せられてるぞコレガチかよあっつ!!!! 待て、俺を茹でるな!! あつ、あっつ!! マジあっつ!!」
「なんだぁ!? 何が起こってやがるんだ今これはよぉ!!」
「まさか鶏肉判定でぶちこまれてるのか――カイトがよぉ!」
『おおきなとにりく』として食材だと思われてしまっているという事かッ――!? パーシーとトキノエが推測するが、一度鍋にぶち込まれては手遅れだ!! なんてこった!! カイトが、カイトが茹で鳥に――!! ……ちょっと美味しそうな感じがするね? ダシ取れるかな?
「おい誰だ俺のこと美味しそうとか言い出したやつ!! うわあああやめろ箸で突くな!! あ、でもこれでれねぇ!! 箸で摘まれるまで出られねえ!! クソ――!!」
正に地獄。阿鼻叫喚の渦とはこの事か……!
しかしまだまだ闇鍋は始まったばかり。
さぁ皆さん。食べ終わるまでが闇鍋ですよ――!!
●
ぐつぐつと煮込まれる音が何も見えぬ部屋に響いている。
中に入っているのは海の幸にシュールストレミングに山の幸にカイト・シャルラハに……
「ぎゃあああああそろそろガチめに熱が芯まで届きそうなんだがあああ!!」
「やむを得ん。そろそろ一度カイトを掬わねば――間違えた、救わねば」
鳥のカイトさん、瀕死状態! どうしてローレットの倉庫でこんないきなりパンドラが削れそうな事態になっているのだろうか――!! ともあれジョージがやむなくカイトを引き上げれ、ば。
「……そういえばたしか、闇鍋は箸をつけたものは食べるのがルールだったな。
では覚悟を決めて、いざ……! グォォォォォォ!」
「え、いやちょっと待てよジョージ。んやめろぉぉぉおっぉぉぉ!!」
ガブリ。ぎゃあああ!! う~んジューシーにして悪魔のように苦く、地獄のように辛く、魔王のように混沌で、泥のように絡みつく……駄目です試しに齧ってみましたがシュールストレミングとニンニクが強い――!! ぐああああ!!
「なんつー鍋ダ! クソ、だが覚悟決めナ、お前等!
なぁに……とりあえず毒殺とかの危険なないだろうサ。匂いがもう既に毒だガ!」
「そーだそーだ!! ケチケチせずに高級食材でもいれてやろうぜ!! な! だからよ、高い肉……えっとね……えっと……あれ……お高い肉……? ええと…………蟹……?」
赤羽が匂いをどうにか緩和できないかと四苦八苦中。せめて防臭……窓を開けれないんだから防臭できねば死んでしまう……あるいは一刻も早く腹に叩き込むべきか……
同時。キドーは己が脳裏に浮かんだ高級食材を叩き込まんとするものだ――!!
ゲーッヘッヘ。タダメシで普段くえねぇ肉が喰えるとか天国じゃねぇかよ!!
……ただ問題はいざ名前を出そうと思ったら発想が貧弱過ぎて地味に自分にダメージ受けてるという所だろうか。クソ! まぁいいやせめて『川魚』ってーか生の魚じゃなきゃなんでも……んっ?
「……あっ!? 今俺声に出してたか!? 待て待て待て今ナシ、イヤ――ッ!!」
「キドー! 今の責任もって食えよ、いいな!!」
ちょっとしたミスでどんどん追加されていく食材――! 今どうなってるんだろう。暗闇で見れないことは不運なのか幸運なのか……
「くそぉ……いつもはパンとか目玉焼きとかホットサンドとか、テキトーに食ってるからなぁ。こういう鍋って大丈夫なのか……んっ? ん、んん、んんー? んだこれ、何入れやがった! うぉー! あ、だけどまぁ意外に行けるぞこれ!」
「待ちな! とりあえずここはミーに任せな! 絶好の食材で全てを調和してやるぜ!」
次いでパーシーが鍋奉行がてら皆に鍋を取り分けていく――!
なぁに真に食えないもの以外なんとでもなるものだ……かつて、捨て子で貧しかった事態を想えばある程度味が酷い程度、根を挙げるに値しない――あの時代を比べればなんだっておいし……いやちょっと待ってやっぱシュールストレミングの匂いだけは、ぉぉぉ。
――なので貴道が動いた!
「さぁまずはコイツだ! 炒めた玉ねぎとCuminum cyminum!」
「え、なんて……? 今なんで食品名じゃなくて学名の方を?」
貴道クッキング。突如出てきた学名にパーシーが疑問を呈すも気にせず続く――材料は以下の通り!
1:炒めた玉ねぎとクミンシード(Cuminum cyminum)
2:おろし生姜とニンニク、みじん切りコリアンダー(Coriandrum sativum)、潰した水煮トマト、ヨーグルト
3:ターメリック1(Curcuma longa)、カイエンペッパー4(cayenne pepper)、コリアンダー(Coriandrum sativum)パウダー8、クミン(Cuminum cyminum)パウダー6、シナモン6、黒胡椒2
「……んっ? なんだ、この食材……なんか聞き覚えがあるような……」
その瞬間。うっすら気付いた者がいたのだが――もはや貴道は止まらない。
いや止まる理由などあろうものか。そう、後はコレ――!
「ガラムマサラ3で完成だ!! HAHA――さぁ何が出来たかはお楽しみだ、食してみな!」
「いやこれどう匂いを嗅いでもカレーだろ!!」
「ううーむ……しかし、カレーならば生魚を調和するか……? 行けるかもしかしてよ……!」
多分幾らカレー様でも無理だと思うけれどキドーにとっては希望が見えた――かもしれない。ともあれぐつぐつぐつぐつ煮込むのです。鍋の中では全て混ざり合う……調和しようがしまいが、全てが蕩けるのだ……!
「ぜぇ、ぜぇ……ええい、テメエら茹でやがって!!
とりさん怒らせたら大変な事になるって事、その身に沁み込ませてやるからな!」
故にカイトは企む。なんとか生き残った鶏肉さんは、復讐するのだ。
そう――鳥の肉が齧られたなら――道は一つ!
「……ペンギン肉(※カイトによるキドーの声真似) あとジンジャークッキー」
意趣返し。フゥーハハハ、鳥の痛みを知るがいいペンギン――あとついでに巻き込んだゴブリンよ――!
「誰だ、今ペンギンと言ったのは! キドー、貴様か……!」
「え、今の俺じゃあねぇよ! 誰だー! ていうかなんだこの口の中でほろりと崩れる……主張する甘み……仄かな生姜の……クッキー!? ジンジャークッキーじゃねぇかよこれ、この中に裏切者いるだろ――!! あ、やべ今名前言ったから追加され、ギャ――!!」
「あああなんかデッカイのが落ちてきたぞ――!! あっちぃ!!」
ぐつぐつぐつぐつ煮込まれる。
闇鍋の魔力が尽きるまで――あと少し!
●
カレーの匂い。魚の肉。あれやこれや混ざってさぁ大変。
なんか食べれないこともないのだが絶妙に辛いラインでもある気がする――
「ええい、くそ! 鳥でも馬でも猪でも何でもいい! 肉だ肉を寄こせ!! 肉入ってれば美味いだろ!? おお出てきた。なんの肉かは食ってみなけりゃわからねぇみたいだが……ああ後は白菜も欲しいよなぁ。ありゃダシを吸って旨くなるんだわ――」
「HAHA! このスパイシーなダシを吸ったら確かにさぞや旨くなりそうだな!!」
「待ちナ! それだけじゃ足りねェ……豆腐、ねぎ、肉団子、ちくわ、きのこ、こんにゃく……! この辺りも必要だろうヨ!!」
しかし諦めずトキノエは白菜や片っ端から肉類をぶち込み。赤羽もまただいたいどんな鍋に入っても外れのねェ、ド定番食材をチョイスするものだ……! これぞFvoice随一のメンタルの高さ(?)から生み出されるアイディア……!
「そーいや、前食べた精霊鹿の肉が美味かったなァ。信仰の対象になってた奴なんだけど、角切って肉食ったヤツで……ん? なんだぁ出てこねぇぞ? オイ。アーティファクトなのに出せねェとか……ん? そんなことないよねェ?? まっさかなぁ!」
やめなさいキドー君! 鍋にパラハラ掛けるのは!!
でもカイトが食材として召喚されるぐらいだから、精霊鹿も出せないなんて理屈はなさそうだよね。むしろどうしてカイトが鍋に叩き込めるんだろうね。やっぱりカイトは鶏肉か……!
「よーしよしよしよし……後は、ジンジャークッキーも蕩けてきたな……
水吸ったクッキーとかとても食えたもんじゃねぇ。はっはっは……
こいつぁ正当な復讐だからな……とりさんは悪くぬぇ……!!」
――が! その当のカイトは未だ復讐遂行中!!
後々自分も食べる事になるとは気付いていないとりさんが此方です。とりさーん!!
ううっ。たまりにたまった鍋の中身……え、何これ溢れるぐらい一杯になっているコレを、食せと?
「……これでできたのか? ……もう何が入ってるのか考えたくもねえな……クソ! どうせ食わなきゃ出られねえんだ、腹ァ括るぜ!! オラ! 全員掬え掬え!! お残しは許されねぇぞ!!」
「ぐぅ――!! 名伏しがたいとは、まさにこのことか……! 俺の箸は何を掴んでいる……もはや味だけでは何を食べているのかすら分からん……! だが、この程度で屈するものか! 毒を食らわば皿まで! 貴様が何であろうと食い尽くしてくれる――ッ!!」
「あっつぅ! 暗くて手元が! お椀が! わからん!! 俺ぁ今何を食ってんだ――!?」
だがもう後戻りは出来ないのだ――うおおお食せ、食せええええ!!
トキノエが意を決し、ジョージが難敵と戦う覚悟を決め。
そして普段は着たくもないメイド服着せられて労働を強いられているパーシーは走馬灯が脳裏に浮かびながらも――謎の肉を噛み千切らんと必死に口内を動かしていた。もう何がなんだかわかったもんじゃないが、理解するより先に早く終わらせたい!!
「ぬぉぉぉお気合いだ! ミー達であれば、必ず勝利できる!!」
「ぶっちゃケこんな苦しい想いしてる内の何割かは、ここにいる何人かの陰謀食材も含まれてる気がするけどナ……くそ、こんな無謀な冒険なんザ、死者の王たる赤羽様の仕事じゃねェ。そうだろウ!?」
「誰だよこのよく分からねぇペンギン肉とか入れたの――あ、とりさんだったわ」
貴道が――赤羽が――カイトが――食す。
器の中に入っている『何か』を。これが……これこそが闇鍋の醍醐味……!
「く、食いきったぞオラァ!! うぇっぷもう無理マジたすけて」
そして――遂にキドーを皮切りとして完食者が現れる!
満身創痍。死闘の極み。口内は地獄。喉の奥こそこの世の冥府かッ――!?
……だが気付いた。鍋にまだ微かに、魔力が残っている事に。つまり、これは。
「みんな、まだ無事か? もうすぐだ。もう少しで食い尽くせそうだぞ」
「ああ……なんとカ、辛うじて無事だゼ……!
さテ、一通り腹は膨れてきたガ……あと少しだケ、鍋が残ってやがるナ」
「ああ……どうしたもんかな……うぐっ、胃もたれがしてきやがった……!」
あと一度ぐらい何か食材を入れろと――
ジョージ・赤羽・パーシー……いずれもが気付いていた。
どうしたものか。最後の締めくくりに相応しいものは一体何なのか――
下手なモノを入れればその時点で致命傷となるかもしれない、が。
「だがここまでやってきたのだ――俺たちなら必ず食い尽くせる。
なぁカイト。お前もそう思っ……」
瞬間。
ジョージがカイトへと声を掛けんとしたとき――何か音がした。
カイト……? 『カイト』……? とりさん……???
「……おい、今鍋に何か増えたような」
「ゲホッ、こ、これで完食か……? ひでえ目に合った……ああ――早く帰って口直ししてえな。例えば塩辛を肴に熱燗でも、んっ? え、何? はっ? まだ続行中だった?」
もののついでに鍋さんが最後の力を振り絞ってトキノエの希望をかなえてくれたよ。やったね!
軽く口にしただけでも――食材としてカウントされる恐ろしさ――
「…………なんか、ゴメン」
鍋の中。己らがよく知るとりさんの絶叫が聞こえてきた気がしたけれど。
さて。そんな彼がまた齧られる未来を辿ったのかは、それは秘密にしておこうか……
成否
成功
MVP
状態異常
あとがき
全員が自分の好みの食材ぶち込みまくったらどうなるかって怖いですよね!
え、何? カイトさんが齧られたかどうかって……? それは状態異常次第じゃないですかね!
ともあれありがとうございました!!
GMコメント
●依頼達成条件
闇鍋イベントを完遂しよう!!!!!!!!!!!!!!
●シチュエーション
皆さんはローレットの一室にアーティファクトの力で閉じ込められてしまいました。
アーティファクト暴走の理由は不明ですが、このアーティファクトは……そう。『闇鍋を完遂するまで絶対に外には出さない』力を秘めたアーティファクトなのです! なんだこれマジで。
暗視の類を使っても見えない闇……それがこの場を支配しています。
中央には鍋があります。
食材は皆さんが口に出した瞬間(例えば『カレー』と言ったら『カレー』が)召喚されます。これに魔力が消費されている様ですので……これを続けていけばやがてアーティファクトが機能停止するでしょう。
――しかし実は罠があって、この鍋。参加者の一人の声を借りて、勝手に喋る事があります。OP中のシュールストレミングはこの鍋自身が紡いだ言葉だったのです――!! え、ちがう? 鍋君違うって言ってる。誰? 呟いたの誰? それとも鍋君の嘘?
これも参加者の疑心暗鬼を加速させるため……の筈が。
何故かここに集った皆さんの声、随分似ていますね……?
これ、もう、誰が何を喋ったか分からな……
……でもダメですよ皆さん! ネタに走ったり、復讐に走ろうとか考えちゃ! 食材出すだけじゃなくて最終的に食べるまでが闇鍋ですからね! いいね! 皆、協力してこのゲームを終わらせるんですよ!! 良いですね――!!?
●情報精度
このシナリオの情報精度はF(フルゴール)です。
無いよりはマシな情報です。グッドラック。
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