シナリオ詳細
恐怖のぱんつ
オープニング
●一人のぱんつジャンキーの最後
――幻想のぱんつは通貨。
誰が言い出したのかは知らないが、実に言い得て妙だ。
蜜に群がる蟻のように、我先にとぱんつを求め奪い合う。
男も、そんなぱんつに魅せられた一人だった。
初まりは、ほんの軽い気持ちで手を出しただけ。
乙女のぱんつに狂喜しおっさんのぱんつに血涙し、令嬢のぱんつを夢見て鉄帝のぱんつに心挫く。一喜一憂の狂騒の日々、堕ちるのは早かった。ぱんつ中心の生活――ぱんつを金に換え、その金でぱんつをゲットする自転車操業の暮らしを繰り返すうちに、気が付けば男はどん底まで堕ちていた。
自制心を失った愚かな男がどこまでも溺れていく、酒や賭博ならよくある話だ。特に珍しい話でもない。
男は職も帰る家も失い、今では闇市傍らの路地裏を根城にその日暮らし。つまるところ、浮浪者じみた生活を送っていた。
「ああ……ぱんつが欲しい。女王のぱんつなんかじゃなくて構わない、可愛いぱんつであればいい……」
「兄さん、ぱんつが欲しいのかい?」
ある日、襤褸を纏えどぱんつは錦でなくてはと、今日何度目かの呟きを耳ざとく聞きつけた商人が男に声をかける。
「兄さん、いいモノあるよ。格安だよ、何処よりも安いよ。しかもうちは必ずぱんつが入っている。他のいらないものとかのハズレなしだ! 闇市で買うなんて、もう馬鹿らしくなるよ!」
もし男にまだ少しでも正常な理性が残っていたなら、闇市の数分の一なんて値段を疑い、いかにも胡散臭い話を真に受けたりしなかっただろう。そもそも、浮浪者然とした今の男に話しかけるなど、真っ当な商人の筈がない。
しかし男にそんなこと考える余裕はなかった。ただ、ぱんつが欲しい。それしか考えられなかった。
男はカサカサに痩せ細った頬にぎょろりと血走った眼を見開くと、最後に残っていた少ない全財産全てをぱんつに替える。
金の代わりにぱんつの入った包装袋を奪うようにひったくると、男は路地裏奥に逃げるように駆け込んだ。
新しいぱんつ。新品のぱんつ。袋を開ける時の言い表せない射幸心。ギャンブルにも似た高揚感。
――ぱんつ!
男は袋を破り開ける。
――ぱんつ!
魅惑的すぎる。
――ぱんつ!!!
もう、何もいらない。ぱんつさえあればいい。男はぱんつをはいた。
「アッーーーーーーーーーー!」
●ローレット
「ぱんつに人が襲われる事件だ」
なんかうんざりした感じで『酔っ払い』ジュリエット・ノックス(p3n000036)が説明する依頼に、これまたなんかうんざりした感じのイレギュラーズたち。
「正確には、ぱんつに擬態した魔物だな。ぱんつもどきって言うらしいんだが、魔物と気づかずにはいたところを、こう『グバァッ!』と喰われちゃうわけだ。まあ、間抜けな事件に変わりないけどな」
両手を広げて大仰なアクションを表現した後に、ジュリエットは照れ隠しなのかペン先で頭をかく。
「あー、最近なんかぱんつが流行ってるだろ? それに目をつけた悪徳商人が、魔物をぱんつって騙して売りさばいてるらしいんだわ。魔物だから捕まえてきたら原価はタダだし、うまいこと回収できたら再利用もできるわで、チョロい商売らしいぞ。で、結構な数の被害者が出てる」
ぱんつより酒だろー、とかぶちぶち呟くジュリエットを尻目に、イレギュラーズの中でも結構ぱんつ目当てにマネーをつっこんでる面々が「知らなかった……」「危なかったな……」なんて囁きあう。それでいいのか、イレギュラーズ。
困ったのは正規の市場の連中だ。悪貨は良貨を駆逐するではないが、このままぱんつの評判が落ちると市場の売り上げ自体にも影響が出るだろう。何より、ぱんつの信頼が暴落するのは避けたいところなのだろう。
「で、市場から悪徳商人の捕縛の依頼が来てる。ついでにぱんつもどきの回収もな」
なんかなげやりにジュリエットは告げる。それでいいのかイレギュラーズ情報屋。
「ああ、一つだけ。間違っても絶対にはくなよ?」
最後にジュリエットは、ニヤリと笑った。
- 恐怖のぱんつ完了
- GM名茜空秋人
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2018年11月04日 22時35分
- 参加人数8/8人
- 相談5日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●悪徳ぱんつ商人赦すまじ
闇市界隈に出没する悪徳商人の捕縛依頼に集まったのは、一癖も二癖もあるイレギュラーズの面々だった。
「我はリュグナーと呼ばれる者だ。数多の情報を手に入れたいが故、貴様らとの依頼達成が有益であることを切に願おう。クハハハハ!」
単純に興味が沸いたと依頼に参加したのは『戯言の灰』リュグナー(p3p000614)。
「この依頼……興味が沸いた。珍しいぱんつ……有益なぱんつの匂――もとい情報の匂いだ」
情報を集めることを生業とするリュグナーだが、実は生粋のぱんつコレクター疑惑もある。だってほら、ぱんつ5つも持ってきてるし。
「最初に一つだけ言っておく」
闇市絡みの依頼と聞いたら黙ってられないと、『闇市芸人(他称)』天之空・ミーナ(p3p005003)が口を開く。
「こういうぱんつ依頼には可愛い女の子がいっぱい必要だと思うんだ。何故だ、何故今回はこんなに女の子が少ないんだ! たった二人じゃハーレムに程遠い……」
可愛い女の子を見ると見境なくなるミーナは、依頼にかこつけ口説く気満々である。
「ふふ、鈴鹿じゃ不満なのですか?」
からかうように『色欲憤怒の三つ目怨鬼』悪鬼・鈴鹿(p3p004538)が口をはさむ。やばい、この子も好色で両刀使いだ。
「しかし、パンツもどき……モンスターでありながらパンツに擬態できるとは……中々見所あるの! 是非ともパンツハンターの一人として一匹くらいはコレクションしておきたいの!
……それはそれとして、パンツ市場に大打撃を与えかねない所業は許すまじなの! その商人には死よりも辛い制裁をくれてやるの!」
「ぱんつの暴落はなんとしても防がないとね。
何でかわかんないけど、高く売れるから闇市転売でお世話になってるし!」
「ぱんつコレクターが集うと聞いてきたっす!
何故か経済を動かしているぱんつ! ぱんつの魅惑につけ込んで誰かを傷付ける様な、そんなぱんつの信用が暴落する事やられると闇市に入り浸るボクとしてはちょっと困るっす。お仕置きするっす!」
転売目的でも『ぱんつコレクター』でもパンツの価値暴落は困ると利害は一致し、闇市のお得意様『ポンコツ吸血鬼』ゼンツィオ(p3p005190)と『特異運命座標』レッド・ミハリル・アストルフォーン(p3p000395)も怒りを顕わにする。
「ふむ、やはりこの世界でも悪徳商人は存在するものか。加えて不可思議な魔物まで連れているとなると……くくっ、少々骨が折れそうだな」
「ぱんつと騙して魔物を売りつけるなんて、普通に迷惑な話なのです」
「商人の生死は問わない、との事だったな?
出来れば生け捕りが良いとは皆の総意だが、生憎手加減ができない性分でな。もし間違って殺してしまうような事があれば遠慮なく恨むといい、くくっ」
「被害者に死人がでてたら、殺しちゃっても仕方ないと思うのです……」
悪徳商人に憤るのは『応竜』華懿戸 竜祢(p3p006197)、『憎しみを知っていた者』凍李 ナキ(p3p005177)の 二人だ。血の気が薄く、よく見ると少し透けて見えるナキ――殺人に強い憎悪を抱いた水子の呟く冷徹な台詞に、思わずイレギュラーズたちの背筋がぞくりと凍る。
「勝敗は準備次第です。先立って取引の行われそうな路地を聞き出し、周辺の地理を把握するのが肝要なのでございます」
「あらん、そこのお兄さん。ちょっとお話聞かせてくれないかしら?」
まずは闇市に顔の利く『ファンドマネージャ』新田 寛治(p3p005073)と、鈴鹿の独自のぱんつコネクションを活かして丹念に情報を収集精査。路地裏での挟撃可能な、もしくは袋小路など商人を逃さぬ攻撃ポイントを選定するイレギュラーズだった。
●悪徳商人
「兄さん、ぱんつが好きなのかい? いいぱんつあるよ?」
入手した情報をもとに悪徳商人が頻出する路地裏をうろつくリュグナー。羽織ったローブの内側からうっかりこれみよがしにぱんつを覗かせ闊歩する姿に、路地裏に似つかわしくない商人が声をかける。悪徳商人に違いない。
「うむ、我はぱんつコレクター。まだ見ぬ価値あるぱんつを求めている。特に『鬼のパンツは良いパンツ』と旅人が言っているのを聞いたことがあるのだが、売っているだろうか?」
「鬼のパンツですか? お客さん、運がいいね。激レアだけど一つだけあるよ」
手持ちの5つのぱんつを誇示するリュグナーに、商人は疑いを抱きはしなかった。
「ふむ、観賞用、保存用、そして実用と三つ欲しかったのだが致し方なし。一つ頂こう」
良い買い物をしたとばかりにぱんつを入手し、その場を去るリュグナー。
ぱんつもどきの魅了が利かぬリュグナーはそのまま戦闘予定地から離れると厳重にロッカーに施錠して封印、虎縞ぱんつもどきの隔離に成功した。
「ぱんつ! ぱんつをくれっす!」
手持ちの5つのぱんつを披露して、レッドがぱんつコレクターを自任する。
「ハアハア、闇市よりも安価なパンツがあると聞いてきたの! 早くパンツを寄越すの!
鈴鹿はパンツがないと生きていけないの!」
手持ちのぱんつは4つと負けるものの生粋のぱんつ狂いの鈴鹿には、こんなの演技のうちに入らない。
「ぱんつぱんつ……ぱんつ……。
(霊魂さん、命を散らしたレベルの騙されオーラ、貸してください)
あああ……有り金全部はたいたというのに……もう二度と闇市なんかに騙されないです……」
路地裏で見つけたぱんつ狂いの霊魂と意思疎通したナキが、哀れな被害者をそのまま真似る。
パンツ狂いを演じる三人のイレギュラーズが、みつけた悪徳商人に詰め寄りパンツを買い求める。ある意味地獄絵図、闇市ぱんつの闇は深い。
「お、お客さん!?」
「でもやっぱり、ぱんつ取引とか恥ずかしいっす。もっと人目のつかない場所に移動したいっす」
「可愛い縞ぱん! 水色縞ぱん! それかセクシーなぱんつ! 早く早く!」
「それではこちらのほうで……」
交渉術を活かしてナキが二人のぱんつコレクターを援護する。
霊魂疎通が出来たということ――つまりは被害者に死人が出ていると判断したナキの目はとても冷たく剣呑な色を湛えていて、半ば強引に急かすように路地裏のさらに奥、計画通りの区画へと商人を誘導する。
――悪徳商人さん、赦さないのです。
ある者は遠巻きに尾行して、あるいは息を潜めて機会を窺っていたイレギュラーズたちだが、悪徳商人が袋小路に誘い込まれたのを見てとると一様に姿を現した。
「まだ早いっす! あああ、まだぱんつ買えてないっす!」
ぱんつコレクターの本音がダダ漏れしつつも、レッドの奇襲攻撃が商人に決まった。
●ぱんつもどき(以降表記、ぱんつ)
「……お前のような存在が正規の市場に溢れる眩いほどの輝きを酷く揺らめかせるのだ!
あぁ、勿論お前の輝きも尊重したいさ。だがな、私とて百を捨ててまでも一を拾うほど甘くはない。故にお前を処罰する、輝きの礎になるといい!」
「は……!? な……!? 騙したな!?」
出口を塞ぐように現れた竜祢のドヤ顔と決め台詞に狼狽を顔に浮かべながらも、商人は懐の袋の口を開く。中から9匹のぱんつが躍り出た。
「ここまでの誘導、いやはやすまないな。私は少々嘘をつくのが苦手でな、くくっ」
竜祢は仲間の労をねぎらいながら商人まで距離を詰め、鋭い踏み込みで一気に肉薄する。
「魔物を操っているのは厄介だが、そんなもの大本を叩けば終わるというもの。商人さえ仕留めてしまえばそれでいい」
あくまで商人狙いで、隙も多いが当たればド痛い大剣――ディスペアーが、至近距離から商人を襲う。
ぱんつの登場を待っていたのは寛治。商人と魔物の真正面に立ち塞がると開口一番、
「私が、ぱんつもどきなどというただの布に魅了される訳がない。以下理由を述べます。
パンツとは着用者があって初めて付加価値が生まれるもの。
誰が履いていたか不明なパンツは、ただの使い古しの布。
着用者の情報を書いた紙? 証拠能力が無い。
着用証明が可能な方法は唯一つ。着用者が目の前でそのパンツを脱ぐ、その時のみ!」
立て板に水、一切噛むことなくスラスラと述べられる口上、それはプロフェッショナルな啖呵。ただの布呼ばわりされたぱんつが数体襲いかかるも苦にすることなく、最後まで寛治は名乗り口上を止めはしなかった。
「霊魂さんたちのぱんつへの未練、妄執。思い知るがいいです」
ナキは怨霊の声を聴くと、無念と悔恨――力を借り受ける。多用するといつか自身も怨霊と成り果てる諸刃の剣なのだが、一切躊躇することのない本気を見せつけると水とも肉ともつかないふわふわとした霊気で、ぱんつたちを一網打尽に薙ぎ払ってみせた。
「無駄だ! 我に魅了は利かぬ! 何故なら既に我はぱんつの虜なのだからな! クハハハ」
ぱんつの魅了を気にする必要のないリュグナーが、袋小路出口を守りつつ商人に狙いをつける。構えた黒く光る死神の武器、実体を持たぬ大鎌からオーラが縄の如く放たれ商人を縛した。
「いいから、パンツ寄越せなの!」
紫色の椿柄の着物を着崩した鈴鹿が吠える。着物だから当然ぱんつもはいてない。はかないぱんつを何故欲しがるのかと問えば、そこにぱんつがあるからなのと答えるだろう。ぱんつの鬼と化した鈴鹿の放つ豪鬼喝。全身全霊の修羅の大喝が、商人ともども数体のぱんつを吹き飛ばす。
「ちまちまやってんのもバカらしい! 一気に決めるぜ!」
吹き飛んだ敵に駆け寄り追いついたミーナの二刀が旋回する。絶望の剣と希望の剣――相反する二刀が引き起こす混沌とした暴風域に巻き込まれ、二体のぱんつが息絶え地に堕ちた。
仲間の仇とばかりにぱんつの魅了がミーナを襲うも、
「ふ、悪いがね……私はぱんつ履かないんだよ! ぱんつ履きません! 履いてません!」
ぱんつの魅了がミーナに一切通用しない! 鈴鹿と云いミーナと云い、何故ぱんつ履かないのかと……。
「出口の守りは僕に任せてね(……っていっても、強くないし遠距離系だから詰められると困っちゃうけどねっ)」
ゼンツィオは両手でクレッセントムーン――月の大鎌を振りかざすと、魔力による援護射撃を行う。放たれた魔弾は、寛治に群がるぱんつの一体に吸い込まれていった。
「それにしても頭にまとわりつかれるのが何でそんなにまずいんだろう?」
きょとんと疑問を抱くゼンツィオ。フラグを立てるのは止めなさい。
「やーめーてー(じたばた)」
その後、フラグを回収すべく、頭にぱんつをまとわりつかせたゼンツィオがいたとか……南無。
(ぱんつは買えなかったけど、気分を切り替えて攻撃っす)
商人を狙うレッド、ぱんつの猛攻を凌ぎながらの接近戦だ。
(ああ、でもこのいちご柄のぱんつ……履いてみたい衝動が。
いやでもボクには今手元にあるぱんつがあるっす! 特にこの青色のレオンのぱんつ握り締めて、ぱんつから勇気をもらって一先ず耐えるっす)
ギリギリで猛攻を凌いで……いた。
●「ぱんつたち、お、俺を護れ!」
商人の命令一下、2体のぱんつが主人を護るかのように位置取った。
対抗するは、
「なぜ着用者の情報が必要か?
やれやれ、貴方がたは何もわかっていない。
パンツに気持ちの昂ぶりを覚えるという行為は、パンツという断片を通じ、その向こう側にある着用者へ思いを馳せる事に他ならない。
ぱんつもどきは唯の布きれに過ぎず、魅了されるに値しない。Q.E.D.」
一心不乱に口上を述べ続ける寛治。ひたすら、ぱんつのヘイトを奪うことに傾注する。
余談だが、口上を述べながらも、ならばぱんつをプロデュースするなら誰に脱いでもらうべきだろう? なんて商魂逞しい疑念が頭をよぎったとかよぎらなかったとか。
それはともかく、多数のぱんつのタゲを寛治は引き受けていた。それは、商人の守りが手薄だということに他ならない。
リュグナーのロベリアの花による範囲攻撃が、鈴鹿のフレンジーステップが商人を護るぱんつを屠る。
「お……おのれ……」
追いこまれた商人が逃げようと試みるも、
「おっと、ここは通さないぜ!」
ミーナがそれを赦さない。
明らかに弱っている商人への攻撃をミーナは手控え、あと一息だと仲間に伝える。
「フリーズしてください!」
和装の下にぱんつ履いてるのかどうか非常に気になるナキが、ぱんつを凍らせる。
「くっそおおお」
フラグを全力で回収中のゼンツィオが、ぱんつに反撃を試みる。
「魔物め、邪魔をするのなら殺すまでだ」
たまに金縛りにあったりしつつも、竜祢の薙ぎ払うディスペアーがぱんつに絶望を与えた。
「噛み付きが痛い、痛いっす! ほんとに痛いっす!」
むぐっと顔にぱんつを張りつかせ、ロクに視界も確保できずにゼンツィオと同じく絵的に酷いことになっていたレッドが、それでも商人だけは逃がさない! と気合いをいれて蹴戦を放とうと……放とうと――。
「やっぱり、ちょっとだけならいいっすよね……?」
ギリギリの処で誘惑に負けおった!
えいやっ! 思い切りよくいちごぱんつを履くレッド。至福の一時――。
「あぁーーーっす! あああああぁぁぁっすうぅぅぅ!」
一時は一瞬で終わり、悲鳴が路地裏に木霊した。
●戦いの果てに
弱った処に寛治、そして鈴鹿の不殺攻撃が追い打ちをかけ、ついに商人が気絶する。
「ククク……生き地獄を味あわせる為の捕縛なの」
鈴鹿がニヤリとサドっ気を発揮する。
頭――指揮系統を失ったぱんつなど、ただの烏合のぱんつでありイレギュラーズの敵ではない。もはやサンドバッグだとばかりに掃討戦の様を呈し、程無くぱんつは一掃される。
「被害者さんたちの未練、少しでも晴れればいいのですが……」
ナキが縛られた商人を前に呟いた。
「尋問なら任せてください!」
ゼンツィオが魔眼を使い、相手を魅了する吸血を行う。
(なんて本当は、腹ぺこなだけなんだけどね……。あんま美味しそうでは無いけど背に腹はかえられないだっけ? 死んじゃったらそのときだよね。鮮度が落ちる前に一口もらっちゃおう。いただきまーす!)
不味い! もう一口! ポンコツと云えどもゼンツィオはれっきとした吸血鬼だった。
「色んな世界をこの足で見てみたい……っす。
色んなぱんつをこの足ではいてみたい……っす。
だから聞きたいことがあるっす……このぱんつもどきはどこで手に入れたんっすか?」
息も絶え絶えのレッドが、力を振り絞り尋問する。ぱんつコレクターの本懐といったところだが、結果と云えば商人の地元、幻想の辺境という返答であった。
「パンツを利用した罪は重い!」
密かにコネクションで商人に恨みがある者達を集め、死なない程度のリンチ敢行を計画する鈴鹿。だから何がそこまで突き動かすのかと。
隠し財産や隠しパンツの在処を尋問して闇市資金にするつもりだった寛治のアテは、残念ながら実らずに終わる。所詮はケチな詐欺まがいだと目星をつけていた商人が、実は被害者全員死亡の殺人魔物使いだったからである。回収された商人の資産は、商人の身柄とともにローレットの預かりとなった。被害者の遺族が見つかれば、いずれ返還されるであろう。
「そういえば……」
隔離していたぱんつを思い出したリュグナーが、回収にと向かった。
「ぬおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
リュグナーの悲鳴を聞きつけたイレギュラーズにより、最後の虎縞ぱんつも討伐された。
ぱんつ目当てに集まったぱんつコレクターには非常に残念な結果ではあるが、ぱんつもどきも全てローレットが回収することになる。まあ、元からそういう依頼だったしね。
「ところでさ。同じぱんつはいてないどうし、私とつきあってみないか?」
依頼が終わるやいなや、早速鈴鹿を口説くミーナ。
口説き文句にしても、酷すぎる。フラれる前提と云っても差し支えない。
果たして、鈴鹿の返答は如何に――?
見境ないミーナは、返す刀でそのまま竜祢も口説きにかかる。
「ふむ……。それで本当に口説けると思っておるのか?」
ですよねー。
Congratulations!
イレギュラーズの活躍により闇市とぱんつの平和は守られた!
成否
成功
MVP
なし
状態異常
あとがき
お疲れ様です。
デメリットが非常に大きなパンツをあえて装備したり、無謀なフリにのっかってくれるイレギューラズが大好きです。
まあ、大好きなんだけど、それはそれとして遠慮なく重症ですが(笑)。重症まで含めてのお約束です!
ぱんつ大好きなお三方には、『ぱんつコレクター』の称号を発行させていただきました。
それでは、もしよろしければ、またご縁がありますように。
GMコメント
なんか最近多い狂暴化事件とは関係ありません。
ぱんつが狂暴化とか、それどんなホラー!
ってわけでこんにちは。茜空秋人です。
以下情報。
●依頼成功条件
・悪徳商人の捕縛(生死問わず)
・ぱんつもどきの回収(生死問わず)
●情報確度
Aです。想定外の事態は起きません。
●悪徳商人
闇市付近の人通りの少ない路地裏でよく目撃されているようです。
10体のぱんつもどきを所有しています。
イレギュラーズと同程度の強さで、ぱんつもどき使いという特殊なスキルを持っています。彼もまた、ぱんつに憑りつかれた哀しき一人なのかもしれません。
姑息な性格で、正面から戦って負けるよりは逃亡を好むでしょう。
●ぱんつもどき×10
元々は幻想辺境に生息する魔物。
ぱんつの癖に結構強い。
商売道具として、悪徳商人が持ち歩いています。
普段はぱんつに偽装して大人しいが、攻撃を受けたり危険を感じると途端に牙を剥きます。また、悪徳商人の指示に従います。
色んなタイプのぱんつが揃っております。プレイングで希望があれば……。
・噛みつく(物至単)【弱点】【出血】
・纏わりつく(物至単)【窒息】 特に頭に纏わりつかれた日には、名声が酷いことに!?
・魅惑のぱんつアピール(神中単)【魅了】 魅惑的すぎてはきたくなっちゃうかもしれませんが我慢推奨。
●その他
はくなよ! 絶対はくなよ! はいてもいいけど重症確定だからね! 特に男性諸氏は物凄い重症になるから!
複数人が序盤ではいたりしちゃったら、多分依頼失敗するんじゃないかな?
勝敗がほぼ決しそうな段階でなら、まあ、はいちゃっても……。
魅惑的なぱんつに抵抗するRPなど、お奨めです。
有用そうなスキルやアイテムには、ボーナスがつくかもしれません。
●アドリブ
アドリブ描写が用いられる場合があります。
プレイングやステータスシートにアドリブ度合、『アドリブNG』等記入くだされば対応いたします。
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