シナリオ詳細
<神異>宴酔いし上帝翁
オープニング
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月が輝く。ただしそれは歪なる光だ――
現実の希望ヶ浜。R.O.Oの世界における神光……
それぞれの天に現れしソレは真性怪異:神異による浸食である。
現実と虚構の世界を同時に侵略するが如き所業。
その結果として虚構の世界――つまりR.O.Oの神光では、帝都を治めし者らが全て敵となった。元々その兆候はあったものの、より明確に、だ。国生みの女神たる『豊底比売』に逆らう愚か者どもを粛清すべく帝都各地に兵を、眷属を走らせる。
――浸食の月が満ちる程により強く。より苛烈に。
「して。各地の様子はどのようになっておるかの?」
「はっ。逆賊共の拠点を割り出し、向かわせておりますれば……
やがて奴らが潰えるのも時間の問題でございましょう」
その、一角。
帝都の北部側にて逆賊討伐の責を担い動いている影があった。
それは――四神『玄武』
本来であれば帝都を守護し、見守るべき存在は……今や母と崇める『豊底比売』の為、積極的に動いていた。あのお方を害す者には死を。あのお方の恩寵を要らぬという者達には死を。
その瞳に迷いはない。逆賊となり果てた遮那に与するのならば同様に――排する。
己が配下とも言える玄武の眷属より報告を貰いて。
「うむうむいい兆候。よきかなよきかな……
全てが終われば奴らの頭蓋でぱぁああありぃと行きたい所よ!
奴らの血で闇が洗い流されれば、母の光が帝都に満ちよう!
なんとも楽しみな事よな。胸が躍るぞ、うむうむうむ!!」
――既に彼の思考は『現実』の彼とは似ても似つかぬモノとなっていた。
現実の神威神楽に座す玄武は、いささか神として崇められる存在の割には随分と陽気というか――気安いというか――ぱりぴぃ思考が強いというか――とにかくどこか四神としての穏やかさがあった。
しかしR.O.Oの彼は……最早帝都に住まう民の事など考えてはいない。
全ては敬うべき母――『豊底比売』こそが中心。
あのお方の崇高なる意志を介さぬ愚か者など死んでしまえという有り様。
……先日も、特務高等警察の詰め所へと己が力を分けた眷属『黒虎』を送り込む様な事態を自ら行った程だ。降伏勧告などせず、投降も認めず。ただただその愚かなる血を流して這いずれと……
結果としては現地のイレギュラーズ達に撃退され、目論見は外れた訳だが。
己が力を分けた眷属が打ち倒されたと聞いた時は思わず『ぬわにぃぃぃい!!?』と地団駄を踏むほどに――
しかし結果ではなくその過程が実に問題だ。
撃退されなければ皆殺しにしていただろうし、それをなんら問題とも思ってもいなかった筈だ――
今の彼は例え『友』と呼べるものがいたとしても、それが母の意に沿わぬのならば。
なんの呵責もなく粛清の対象とするだろう……
そしてその思考は何も玄武だけではない。大なり小なり神光の上層部達は染まっている。
「さぁ、もっと捧げよ。
あのお方が作る新たな地平に……反逆者共などいらぬ。
光あれ。神光に穏やかなる光ぞあれ――」
全ては母の為に、と。
●
「――現実ではマザーに不調が出ている、と。
その隙を突いて『神異』は浸食を速めたようですね……
『あちら』と『こちら』両方で異常が出ています」
月ヶ瀬 庚(p3n000221)は述べる。
『あちら(現実)』も『こちら(虚構)』も問題だらけだと――神光では遮那に与する者達を反逆者とし、粛清と処刑の嵐が吹き荒れんとしているのだ。帝都各地に存在する特務高等警察の詰所は襲撃され、庚の管理している高天京壱号映画館も例外ではない――
「しかしこの事態において『豊底比売』……いえ『神異』の姿も確認されました。これらが全て『神異』が原因であるならば――『神異』を討つことでこそ解決も出来ましょう。今まで皆さんがせき止めてくれていたおかげか、帝都全域が飲まれている訳でもありません」
空を見れば、そこにあるは浸食の月。
一見すれば皆既月食たるそれは『神異』の力がどれほど満ちているかの印にもなっている――なにもかもを放置していれば今頃あれは全て満ちていたかもしれないが、イレギュラーズらが各地で封じ込めていた事により染まってはいない。
故にこれは危機にして好機だ。
『神異』を倒す。そしてその道を切り開くために――
『神異』を守護している者らを、打ち倒そう。
「皆さんには……帝都の北部で粛清の指揮を執っている四神『玄武』を打倒してもらいます。
いや打倒と言っても大きな傷を負わすだけでも構いません――
とにかく、玄武が自由に行動できるだけの余力を奪ってほしいのです」
故にと、庚の口は一人の人物の名を指し示した。
四神玄武――現実では陽気なる翁――
しかし今や母に逆らう者らを積極的に三途の果てに送らんとしている一柱。
「玄武はこの先、彼の居城とも言える『寺』にいます。
周囲には彼の眷属や、付き従う兵がいるようです。
――しかし玄武を打ち倒しさえすれば、指揮系統に乱れが生じるでしょう」
そして、玄武は神光上層部の一人とも言える存在。
彼が倒されればこの場はおろか、周囲の……特に玄武の力による眷属達には大きな動揺と混乱が走る事が予想される。それが引いては『神異』打倒の為の道を切り開く一端ともなろう――
「……勿論四神の一人として生半可な力ではないでしょう、が」
しかし放置している訳にもいかぬ。彼を止めねば、或いは無辜の民が処刑されてしまうかもしれない恐れもあるのであれば、尚更に……
幸いというべきか、或いは油断しているのか、彼らは反逆者の処刑を優先して戦力を各地に散らせている様だ。そのために――玄武の懐へと接近するに足る隙は十分あると見込まれている。
無論、戦いが長引けばやがて察知した玄武の配下らも集ってこよう。
その前に決着をつけるか、なんらか押し留める策は必要かもしれないが……
「重要な所です。何卒皆さんの力を今少し――お願いします」
この国が光に呑まれるか否かの瀬戸際。
全ては――月将七課の神使達に委ねられた。
- <神異>宴酔いし上帝翁完了
- GM名茶零四
- 種別EX
- 難易度HARD
- 冒険終了日時2021年11月05日 22時05分
- 参加人数10/10人
- 相談7日
- 参加費150RC
参加者 : 10 人
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参加者一覧(10人)
リプレイ
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月が輝く。
常ならばその輝きに風情を感じる者もいるだろうが――『コレ』は違う。
それは狂気へと誘う妖の月光。何もかもを狂わせる真正怪異の浸食。
故に変質する。
そこにあったモノ全て。人だろうが神だろうが……
「玄武さ、らしくないよね。この国で酷い折衝をするのが君だなんて――」
信じたくないけど、と。紡ぐのは『青の罪火』Siki(p3x000229)だ。
玄武。四神の中でも陽気極まる人物であり――かの人物が冷酷に処刑を行うなど信じがたい。この世界はR.O.O……つまりは虚構の世界であり、彼が『本人』でないというのは分かっている――が。
それでも、どこか心の中に思いが燻るものだ。
彼の目が覚める事を。真に在るべき筈の姿に――戻る事を。
「まさか、四神と称えられている領域の者達まで狂わせるなんて……
本当にとてつもない力です――ですが退くわけにはいきませんね」
「殴り倒してでも粛清を止めなくては。それがきっと玄武の為にもなるでしょう」
同様に『クィーンとか名前負けでは?』シフォリィ(p3x000174)や『鉄骨』デイジー・ベル(p3x008384)も、狂う存在に思考を馳せるものだ。月は狂気の象徴とも言うが……実際にこれほど『狂って』しまうとは、その意味に頷いてみたくもなるものであれば……
だが、だからこそ強き意思をもってして止めねばならぬとも分かる。
あの月が真に満ちてしまった時どうなってしまうかなど想像に難くないのだから。
――とにかく、行動を開始する。
目標は玄武の撃退。
故、彼の懐へ潜り込む為に……シフォリィが皆に空を飛翔する力を。
降り注ぐ加護が皆を満たすのだ――これにより、Sikiなど一部の自らの力で飛ぶ事が出来る者以外も空を闊歩できるようになろう。しかしそれでも直前まで気付かれぬ様に……デイジーは身を低くし、足音を殺しながら移動を重ねる。
一度奇襲を仕掛ければ、もう後戻りはできない。
そこからは時間との戦いでもあるのだ。あくまでもここは玄武の管轄する地域であり、敵はそこかしこに存在している……それらが結集すればするほど玄武の打倒は難しくなる、のであれば。
「まぁ――この一手が最大のチャンス、だよなぁ」
「奇襲攻撃よね、わかった。なんとか上手くやっていきましょう」
『ノスフェラトゥ』ヨハンナ(p3x000394)も理解していた。『確実に決める』べきだと。
闇夜を纏う不死王の歩みが彼女を溶かす。
影に。夜に。闇そのものに……極限まで消失した気配は何物にもその魂を悟らせぬのだ。
そして、近付く。少しでも。一歩でも近くに。
それは眷属共の相手も極力せぬ様に奇襲する為だと『月将』タイム(p3x007854)も分かっている。故、彼女もまたヨハンナに着いていくように周囲を警戒しながら歩を進めるものだ……ヨハンナは蝙蝠を使役し、優れた三感を共有させる事によって偵察をも行えているのだから。その道筋こそ、安全なる経路を導き出せているのであれば歩を共にする。
玄武や眷属、信者らの位置を遠くからでも把握して。
「……糞。なんとかするぞ、絶対によ」
見据えた先。処刑を行わんとしているあまりに堕ちた四神の姿にヨハンナは思わず舌打て、ば。
皆で機を合わせて。整う呼吸が――収束すれば――
「行こう。相手が強大であろうとも、僕達が成し遂げるんだ」
そして遂に。『マルク・シリングのアバター』マーク(p3x001309)が――踏み込んだ。
異なる方角より一斉に寺へと踏み込む。壁は飛行の加護で乗り越えて、目指すは中央。
――玄武。その身一つ!
正に四方八方という言葉が相応しい程に各方面より玄武へと至らんとする。
マークとSikiの放った斬撃が、ヨハンナの術式が、デイジーの一撃が襲来し――
直撃。と、思ったが。
「はっはっは――ネズミが。汚れた不遜なる身で我に……否。母に逆らというのか」
「――ったく。見てられねぇよな、何かある度『母、母』ってよ」
その内の幾つかは玄武の腕に阻まれる。
防御の構えだ。周囲より至りし闘志を高速で感じ取り、反射的に防御を固めたのか――? やはりその心を蝕まれているとはいえ、四神が一柱。そうタダでは貰ってはくれないか――
されば玄武の目線が『こちら』を向く。
その姿は現実の玄武そのものだが、身に宿す気配は別そのものだと『黒武護』アンドレイ(p3x001619)は吐息を一つ零すものだ。現実と違うのは良い――だが、それが変な方向に向いているのならば流石に正さねばならぬと、彼は決意を固めている。
このような『友』を見ていられようか。彼に収束せし力が天に昇るが如く高まり。
空を飛翔する力一つ一つに込められる。
「この戦い終わったら勝負しようぜ――床のな!」
直後。そのままの勢いによって吶喊するように。
激突する。自らの存在感を全力に誇示しながら玄武の懐へと――
「鋼鉄の騒動の時も人格を歪める事件がありましたね……ソレとは些か事情が異なるようですが、しかし本来の人格を歪める現象は何度見ても悲しい気持ちになります――例えここが虚構の世界であろうとも、友は友であれば尚更に……!」
そのアンドレイを支援するように撃を紡いだのは『ケモ竜』焔迅(p3x007500)だ。
絶対に此処で何とかせねばならない。月の満ち欠けがこの戦いで決まるのであれば尚更に。狂いし玄武をそれでも『友』であるとするアンドレイ殿の為にも――ヒイズルという国の未来の為にも――ここは退けぬ!
「ヒイズルの平和のため……いえ。真性怪異を祓うため、貴方には眠っていてもらいます」
「他者を蝕む恩寵は要らない――今日という日が終わるまで、大人しくしてもらおうか」
故に『妖刀付喪』壱狐(p3x008364)と『アルコ空団“路を聴く者”』アズハ(p3x009471)もまた玄武へと奇襲を仕掛けるものだ。攻を重視した構えより、壱狐は前のめりに斬撃を飛ばす――アズマもまた彼らが施さんとしている歪なる『恩寵』を排すべく、彼方より狙うものだ。
如何に防御に優れようとその防を貫けば問題ないとばかりに。
先手を取って彼の動きを封じんとするのだ。
更にはSikiの舞うが如き剣撃も。タイムの踏み込む拳もまた玄武の脇腹へ。
「いっくわよ……! わたしだって、少しは戦えるんだから!」
――途切れさせぬ。周囲の状況は、時間が掛かれば玄武優勢であればこの一手に稼ぎきる。
彼へのダメージを。その身に少しでも威力を浸透させんとして。
「ふっ――だが甘いの。その程度でワシの守護が朽ちるとでも?」
「無論、これではまた『足りない』でしょうね。だから――」
それでも、四神としてこの国の一角に立つ玄武を打ち砕くにはまだ足りぬ。
一撃では。二撃でも三撃でも……彼の魂にはまだ届かぬ。
だから目が覚めるまで続けよう。デイジーは己が五指に圧を籠め――
「目が覚めるまで続けさせてもらうとしましょう――いざ」
覚悟。述べると同時に顕現するは巨大な骨腕。
彼女が腕を振るえば追従する、ソレは天に届く大きさであれば。
呪いと瘴気の靄を纏いて――玄武の身へと垂直に叩き落された。
●
衝撃が突き走る。デイジーの一閃は周囲を吹き飛ばさんばかりの勢いだ――
「んんんんん――面白いのぉ!!」
が。玄武も真っ向から受けて立つようにその腕の一撃に合わせて己が腕を突き上げる。
交差、直撃。衝撃周囲へと。
まるで雷が落ちたが如き衝撃音が轟く――
「防に優れていようがいまいが関係ありません。圧し潰させてもらいます」
この『手』で殴り続けて見せよう。その余裕ぶった甲羅が剥がれるか砕け散るまで。
上から押さえつける様にデイジーの手が暴れる――これもまたきっと、徒手空拳だと。
このまま玄武を押し包んでいきたい所だ、が。無論、奇襲に気付けば玄武の眷属やその信者らが集ってくるものだ。
彼らもまた月の輝きに。『母』の恩寵に満たされし者らであれば言の葉を如何に用いようとも通じぬ者らであろう――故、そちらにはSikiとマークが即座に動くものである。
「させないよ。灰になりたい子から、おいで?」
「処刑を行う事が本当に正しいと思っているのかい――?
それほどに目が曇ってるなら、君たちの目も覚まさせないとね」
「ぬかせ反逆者共め! 玄武様をお守りしろ――突撃ィ!!」
邪魔はさせぬとばかりに。Sikiが放つのは竜の息吹たる一撃だ――
何もかもを燃やし尽くすが如き炎の息吹が信者らへと襲い掛かれば、まるで微笑むが如き感情の色を口端に見せるものである。『この程度で苦しいのかい?』とばかりに、まるでかわいいモノを見るかのような――挑発的な笑みを。
同時、マークが狙うのは黒虎の方だ。
玄武の力を分け与えられている眷属……人間である信者よりも強き力を持つ彼ら。
騎士としての誓いが彼らを阻もう。これより先には通さぬとする絶対の意志こそが彼らの注目を引き付ける――前線にて活動する彼らを排させねば、主たる玄武の下へとは往けぬと感じさせて。
その間にも他の者で全方位より玄武へと攻撃を紡ぐ。
「一手たりとも無駄には出来ませんからね――お覚悟を!」
「確実に決めんぞ。此処でな」
故に焔迅とヨハンナはそれぞれ別角度より玄武へと至るものだ。焔迅の放つ撃に続く形で放たれるは、ヨハンナ自身の血液を媒介とした魔術。
それは彼女より滴りて陣を描く――紅蓮の焔は万象を焼き尽くし、魂へと届かせよう。
その灼熱を。その圧を。
「ほう――この我を呑み込もうというのか!」
「はっ。本物の玄武ならこの程度どうって事はねぇだろ――?
あのいつだってバカ騒ぎする様な陽気なじーさんならな」
で、あればヨハンナは紡ぐ。
「阿呆みたいなノリで乗り切る筈さ。今のアンタがどうかは知らないけどな――
なにせ只の神異信者にしか見えやしねぇ、今のアンタじゃあなぁ!!」
『あの』玄武ならば乗り切るだろうと。
『この』玄武は洗脳された、いわば堕ちた神と言えるかもしれぬ――
そんな者が躱せるか、凌げるか。
爛々と燃え盛る炎を前に、紡ぐは魂の一声。好ましき、真なる姿を脳裏に浮かべながら叫べば。炎凌がんと地に圧を加え、衝撃によって焔を振り切らんとした玄武へと――
「そうだよなぁ、眼を覚ましてやんなきゃならねぇよなぁ!!」
アンドレイが踏み込んだ。
なんでもかんでもすぐ殺そうとするのが君の性か?
例え自らに敵対する者であったとしても斯様な程に冷酷なのが君の魂か?
握り締める五指の圧がアンドレイの決意の堅さ。纏いし電流が天をも突いて――
「母、母って親離れ出来ねぇ男がよ……いや、子が子なら親も親ってか? 程度が知れるぜ!
「――無礼な。我はまだしも、この国を慈しむ母を愚弄するとはッ!」
拳を放つ。アンドレイは、玄武が崇める豊底比売を虚仮にする様な言葉を放ちながら。
されば――玄武の眉が顰められるモノだ。
神異に浸食されているが故にこそ、かの者の為に動いているが故にこそそのような言葉に過敏に反応するようになっていると言えたか。アンドレイの拳に合わせて放つ掌底は真っ向より……
直後、互いに胸元に直撃。
雷撃の様な一閃が玄武の全身を襲い、玄武の掌底の圧がアンドレイの心臓を襲うものだ。
――吐血。心臓のみならず、アンドレイのどこかの内臓をも痛めたか――?
だが、奥歯を噛みしめまだ地を踏みしめる。
――退けぬ。ここではまだ。一歩でも一手でもより多く紡ぐ為に!
「真に守護するべきが何かを忘れてしまった貴方に敗北はできません……ね!」
「ああ。ただ一つの存在だけを崇めて、共に地平を眺める者も何もいらないとする世界なんて……御免だね」
そしてアンドレイやヨハンナなど、前線で戦う者を支えるべく力を付与するのがシフォリィだ。それはまるで女王の様に。チェスのポーンにクイーンの如き強さを与えるが如く――加護を齎す。
さればあらゆる動きが俊敏となるものだ。反撃の一手を紡がせる程の余裕を与え、その力をもってしてアズハもまた往く――護りの力を重点とする玄武の態勢を崩す為にも一歩を踏み込み、その手を彼へと届かせん。
「小癪な。虫けらに等しき貴様らの刃など……我に届きはせぬわッ!」
――だが玄武もさる者である。あらゆる方角から攻められようと、しかし崩れないのだ。
背後からの一撃は己が軸をズラして直撃を少しでも避けんとし。
正面や横から至る攻撃には必ずと言っていい程、腕を差し込み身へと届かせない。勿論、イレギュラーズ達が徹底的に玄武を狙う構えを見せれば全てが全て万全に防げているとは言い難いが……それでも多くの攻撃はまだ芯に響いているとは言い難かった。
一刻も早く倒さねばならぬのだが――しかしそう簡単にはいかぬか。
「……やはり玄武の居城だけあって水行の力が強いですね。これもまた彼を利するモノでしょうか」
そして壱狐が気付く。この戦場が正に玄武の居城と言える『地』であることに。
牛宿大寺とは現実のカムイグラにも同じ地名が存在しているが、そこもまた玄武の住まう地であった。であれば、この戦場自体が彼にとって有利な何か――風水の類にも基づいているのではないかと。
玄武と言えば水行。そして牛宿大寺にはソレを『成して』いると思わしき箇所が幾つかあった。神秘に関わる知識を持つ壱狐であれば気付く微かな違和感――
「それらを崩せば玄武を、引いては彼の力を分けられている眷属達も鈍るでしょうかね」
なんとも、皮肉な事だと壱狐は思考する。
数多が乱れるこの国にて、この場所は五行の――水のバランスが取れているという訳だ。
術式を纏った一撃を玄武へと浴びせつつ壱狐の思考は止まらない。
隙があらばこの地を乱そうと。刻一刻と進む戦場の最中の隙を――見据える為に。
――されど玄武ばかり狙える状況が常に続くわけではなかった。
それは一重に周囲の状況……つまり眷属や信者達の集結によるものである。Sikiとマークだけでは数に勝る黒虎や信者らを流石に完璧に抑える事は叶わぬか――
彼らの一撃が積み重なり、その疲労が蓄積されていく。
ここに集ったイレギュラーズの中でも屈指と言える堅さを宿す二人と言えど、永遠にその堅牢さが続く訳ではないのだ……
「くっ――流石にこれはきつい、かな」
特に黒虎を押さえるSikiの方が少しばかり早く崩れそうであった。
黒虎の一撃を受け流し、支えてきたが――刹那。足に、黒虎の腕を形成する蛇の牙が突き刺さる。激痛、同時に噛み付いたまま離さぬ牙が彼女の動きを阻み……襲来するは更なる蛇の牙。
首筋に突き立てられし一撃が彼女の生命を急激に奪いて――故に。
「なら、私の番ね……大丈夫、安心して。必ずここは支えるから……!」
タイムが行くものだ。全ては万事計画通りに。
Sikiかマーク、どちらかが崩れればタイムが即座に入れ替わる予定だったのだ。
そうして三人で配下らの抑えを常に継続する――
「さぁ来なさい! カミサマに逆らう不届き物はこっちにもいるわよ!
尤も、ロクなカミサマじゃないカミサマに従う貴方達なんて目じゃないけどね――!」
玄武と戦う者らの邪魔はさせない。
道を阻む様に立ち塞がり、怒りによって彼らの注意もまた引き付けるものだ。
――天に輝くあの虚ろなる月を打破する為に。
タイムは奥歯を噛みしめ――眷属らの一撃に耐え忍ぶように地を踏みしめた。
●
Sikiは再ログインを果たせばすぐに戦場へと駆けつけるべく飛翔していた。
自前で飛行能力を持つ彼女であれば侵入時と同様のルートを通るに何の問題もない――更には侵入前にシフォリィが残していた目印……カードが矢印を占めていればこちらの方角であるとすぐさま認識も出来るものだ。
後に倒れる者がいても同様にこれらを目印にして――現場へと再び駆けつけよう。
「――この先だね」
故に迷いはない。これ以上の処刑など成させるものかと、彼女は踏み込むものだ。
――処刑など無粋と、元処刑人が言う所ではないけれど。
それでもこの国を守ると決めた意地があるのだ。
「おっと、これは……」
瞬間。Sikiが気付く――戦場の中庭に、先程よりも幾らか敵の数が増えていると。
外からの援軍か。まだそう多くの数は到着していないようだが……これではタイムやマークらが引き付け続けSikiの様に戻ってきたとしても――やがては突破される力の方が上になるかもしれない。
――だからこそその前に決着を、いや最低でも勝機を掴む必要がある!
「土剋水。さぁ、五行を配して陰陽のバランスの欠いたこのヒイズルで……
負けてなんていられないんです!」
故に壱狐は一気に動いた。戦場の一角、牛宿大寺の地形を乱すように――斬撃を伴いながら。
「ほう――なるほどの。
よもやこの地そのものを狙ってくるとは大した知見よ……しかし、これならどうかの?」
言うは玄武だ。同時に彼の周囲を覆わんとする――それは霧。
現実の玄武も用いていた姿隠しの術だ……
これを用いれば例え場を乱されようとも敵からの撃を凌げられると――しかし。
「どうかな。お前さんのその手段はな、最初から割れてんだぜ……!」
「目ではなく耳によって戦えばいいだけの事……それだけです」
ヨハンナやアズハは元より対策をしていた。
見えずとも二人は優れた耳によって玄武の位置を探る――
ましてや初手で四方八方から攻め入った事により、玄武は多くのイレギュラーズからその移動進路を絶たれている。隠れられる位置が少ないのであれば霧も万全の効力は発揮すまい。
現実では一度、玄武の課した試練の際にイレギュラーズを霧で苦しめた事があるが、あの時とは状況が異なるという訳か。尤も、初手で各所より攻め立てるという方策を取っていなければやはり厄介な事になっていただろうが――作戦が功を奏したと言えるかもしれない。
「出来ればそろそろ倒れていただけるととてもありがたいのですが!」
「ふっ――そうはいかんの。逆賊相手に退くなど母にどう顔向けできようか!」
「ああもう、これだから異常な方向に振り切れている人というのは……!!」
直後。焔迅が更なる撃を紡ぎながら――しかし玄武は退くも降参する意志も見せぬ。
それは自らが四神という立場にあるという自負からか。
そして母に仇名す逆賊共を相手に背を見せるなどという事を許さぬ精神からか。
――いずれにせよ彼は狂っている。
反逆者と称し、民に処刑を行わんとする彼の瞳は明らかに濁っているのだ。
……いや或いは光によって透き通っているとも言えようか?
いずれにせよ過ぎたるは及ばざるが如し。厄介なのはその力は依然強力である事――
「んんん! さぁ、精々足掻いて見せるがいいぞ、逆賊めらよ!
いっつ・ぁ・ぱぁあああありぃぃじゃッ――!」
自らに至る撃を受け流し、直撃を避ける。
いざやその防衛領域を掻い潜り到達せしめんとしても、まるで岩を叩くが如くの頑強さ。
貫き穿つ様な一撃を意識せねばならぬのに――向こうは平然とこちらに打撃を叩き込んでくる。
掌底、肘打ち、正拳、蹴撃、頭突き……
己が肉体を使いてイレギュラーズ達を追い詰めん。
四方から攻撃されようとも倒れえぬだけの力――やはり生半可ではない。
シフォリィによる治癒の援護もあるが、しかしここは。
ここは――かの玄武を止める為には――やはり――
「やっぱり、コレを使うしかないみたいだね」
瞬間。言の葉を述べたのはアンドレイだ。
……その身が変質していく。それは、象るのは。遠い友としての姿
月閃。その力に身を浸して、光に狂う君を止めよう。
だって。
「君を止めるのは僕だ、"君"は僕の友達だからね」
「それが逆賊・遮那めが傾倒する力か――なんと醜悪な!」
「友達を止める為なら、君が嫌いな姿にだってなってやるさ。
尤も――本当に汚い姿なのかは、素面の君の口から聞きたいね!!」
月に酔いし玄武の言葉ではなく。
いつもの――素面の君に問うてみたいと彼は言うように。
そして、踏み込んだ。
全霊を繰り出すように一撃を紡ぐ。全力の更に先にあるこの姿にて。
――その圧は先程よりも遥かに昇華されている。
拳の一つ一つの力が玄武の守りを突き崩すかのように。背水の心境が何かを凌駕して。
「むぅ――!! だが、この程度で我が……むっ!?」
更にアンドレイだけではない。彼を皮切りとして、デイジーもまた月閃の同調を。
此処にて決めるは至大至高。骨の腕が宙に在りて――そして。
右ストレートで打ち砕く。
「歯を食いしばれ玄武。私の拳は、お前を穿ち抜くぞ」
「――笑止千万! 斯様な一撃で大山が揺らぐと思うてか!!」
「いつもの陽気なテンションはどこにいった。それがお前の真実だッ!!」
最早余裕を気取る姿すらなくなったかと再び紡ぐデイジーの一閃。
繋ぐ。紡ぐ。どこまでも、どこまでも。
骨を形成する活力がなくなれば呪詛にて食らいつこう。
弾丸を形成し、放つ。その身を打ち抜くように。どこまでもどこまでも執拗に――破壊を完遂するまで。玄武もまた彼女へ遠当ての一撃を叩き込み、その命を破砕せんとする――
だがイレギュラーズ達は止まらない。
この機逃すべからずと前へ、前へ。
「ええい、もうホントこの瞬間しかないですよね……後の事は後の僕が何とかしまーす!! よろしく未来の僕!!」
「らしくない事もここまで。四神として『らしい』姿に戻っていただきますよ!」
更に焔迅と壱狐も続けざまに攻勢を仕掛けるものだ――
いずれも月閃の力を纏う。使うには些か焔迅は躊躇するものだが……この場を逃してなんとするか。玄武の守護領域を崩せねばいずれにしろ勝ち目は薄いのだ。だから、そう! 後の事は後の僕が苦労するから問題なしと!
陽光の如き構えを抱く壱狐とともに――往く。
狙いはやはり玄武へと。斬撃を飛ばし加護をすり抜け。
マークらを突破した幾らかの信者たちが押し寄せてくるが――眼中になし!
「今だ、狙え。畳み掛けるぞ! ここを逃せば――勝機は遠ざかる!」
「闇よ……光を振り祓う力を貸して!
私達の行く末は――光だけじゃきっと成り立たないんだから!」
故にアズハとタイムも玄武へと。
何度死のうと何度倒れようとも、アズハは自ら達の世界の自由を守るためなら止めない。
――押し付けられる慈しみではなく、お互いを大事にする加護と共に歩みたいのだ。
玄武の一閃。ソレに肩を抉られようと、止まらず返しの一撃を彼へと紡ごう。
そしてタイムもまた五指に力を、いや意思を込めてゆくものだ。
例えこの世界が虚構だとしても皆には心がある。
民に、四神に、霞帝にも――遮那にも。
誰も彼もの心を汚して良いわけがないのだから。
――元に戻ってよお。
零れた言葉は現実の口からか、それとも虚構の口からか。
――いずれにせよ彼女は足を前に踏み出しながら拳を突き出す。
それは衝撃を伴って玄武の体へ。全身を揺らし、魂を揺らす一閃を――此処に。
……みんなと笑い合って過ごしたいと願う、ささやかな心と共に。さすれば。
「ぬ、っぐ――」
玄武の顔色が苦悶に歪む。
さしも彼と言えどイレギュラーズ達の猛攻に亀裂が出始めたか。それは遮那より齎された月閃による一時的な上昇の要素もあるが――しかし、それだけでは玄武という存在をここまで軋ませる事は叶わなかったろう。
奇襲によって全方位より攻撃され、霧の対策をされ、その上で彼に前のめりに。
それらの戦術によって遂に大山が如き堅牢なる玄武の芯が――揺らぎ始めていた。
「どうかな。誰かに頬を叩かれるなんて経験、そうないんじゃないかな?」
直後。Sikiも畳みかける様に。当然彼女も月閃の時に身を委ね、穿つ。
今は信者らを引き寄せるよりも彼に攻撃を叩き込むことを優先するものだ。
――無論、だからといってイレギュラーズ達も余裕がある訳ではない。
Sikiやタイム、マークなど……眷属や信者達を押しとめていた者達の被害は苛烈。そして時間が経過するごとに増援としてやってくる玄武の勢力の者らが至ればやがてその防衛線を突破され――玄武の付近にある者達にも被害が少なからず出始めるものだ。
疲弊激しく死した者も多々。
再びサクラメントより至る事が出来るとはいえ――一度に複数人が倒れれば、一気に押し込まれる可能性も秘めている。そして玄武の周りを固められてしまえば、もう二度と手出しする事は出来なくなるだろう。
「ですが……だからこそ正念場なのです。ここが」
が、その戦線を支えている一人がシフォリィであった。
彼女の加護が周囲を満たし、体力を、気力を少しでもと回復させていく――
「こちらの現実も、あちらの現実も飲み込ませる訳にはいかないんです……!
踏み留まりましょう。どちらの平穏も――掴む為に!」
負をも払い皆で立つのだ。
彼女の魂を包む月閃の力もまた、その治癒に加われば驚異的な速度となりて。
……戦闘の意志が。続くという事が仮に、更なる痛みを齎す事になろうとも――それでも。
「それでも――退かないよ」
マークは未だ立ち続ける。その身は数多の傷を負うている、ものの。
「僕はマーク。人々の嘆き、悲しみに別れを告げる訣別の騎士だ。
豊底比売がこの国に悲しみを齎すのなら――僕は訣別の剣になろう!
一片の迷いもありはしない。例え君たちが僕達を悪と言おうとも、それでも!」
彼は倒れぬ。超越の意志が彼を戦場に踏み留まらせているのだ――
致命傷が如き傷でも彼の魂を折るには足らぬ。
振るう一撃。渾身にして、しかし誰の命をも奪わぬ一刀が周囲を薙ぎ払い、玄武にも。
――何故だ。
誰かがそんな言葉を零した。何故、そこまでしてあり続けるのかと。
目を離せぬ程に鮮烈な輝きが――母に敵対する闇の者らから発せられるなど。
「あり得ぬッ……!」
「目を逸らすなよ。母っていう黄金の輝きに眼が眩んで、他から目を逸らし続けているから――」
玄武も見据えた輝き。さればその一瞬のスキを――ヨハンナは見逃さぬ。
彼の堅牢さに活力は底を突きかけているも、武器を生成し抱くだけの力があれば……
「そんなザマになってるんだろうが!!」
未だ、戦えるのだからと。
戦闘を続行する。見えた脇腹、防御間に合わぬ其処へと撃を叩き込んで。
「ぬぅ、ぉぉお……!!」
「げ、玄武様ッ!!」
さすれば――玄武が完全に揺らいだ。
あまりの衝撃に後方へと微かに押しのけられるように。直後、彼が膝をつく。
周囲。幾らかの信者が駆けよる様に彼の傍へと至るが――しかし。
「周囲の動揺が激しいですね、これで玄武の力は奪った事になるでしょうか……!」
「ああ。殺す必要まではない――殺さなかったという事が僕らの意志だと、知ってほしいね」
最早戦う力はあるまいと壱狐やアンドレイは確信するものだ。
信者らは同様激しく、眷属の個体らは親と言える玄武の不調によってかその動きを乱している……これならば決戦に赴いている者達の援護の為に玄武を撃退するというべきオーダーは果たせたと言えるだろう。
「ぬぅ……何故じゃ。何故貴様らは我の命を奪おうとはせぬ……!」
「そりゃ簡単だよ――きっと『こちらでも』君を友として歩めるはずだから」
だから、命を奪うなんて選択はしたくなかったのだとアンドレイは紡ぐ。
間違っている者を殺す。それはきっと、選択としては簡単かもしれない……
けれど、それは『違う』んだ。
何よりそれは彼らの間違った姿とどう違う――?
ここで反逆者の処刑を執り行うという間違いを犯していた、彼らと。
「まだ、歩めます。浸食されていない貴方であれば」
「元の貴方であれば――ええ、きっと」
必要とされるのだと、アズハとデイジーは紡ぐものだ。
四神。この国にとって神として崇められている筈の一柱……
例え一時は『母』の影響により狂ってしまったのだとしても――
「それでも神光には君が必要なんだ」
きっと、平穏なる世にこそ。正しきこの国にこそ――必要だと。
Sikiは言う。
全てが終わったあと。もしかしたら君は君の行動に苦しむかもしれないけれど。
でも。そんな君だからこそ――必要なんだと。
……彼女は願う。
天に浮かぶあの月が正しき輝きを灯す事を、切に願いながら。
――牛宿大寺での戦いは終焉を迎えた。
玄武は暫く身動きが取れぬであろう。そして『暫く』の時があれば全ては決着する。
豊底比売。R.O.Oにおけるかの神が打破されれば全ては元に戻る筈だ……
玄武の意識も、そして彼に連なる者達もまた。
その決着ははたして――
成否
成功
MVP
状態異常
あとがき
クエスト、お疲れさまでしたイレギュラーズ。
玄武は傷を負い、ヒイズルの守りの一角に混乱が生じています――
はたしてこの国はどうなるのか。その結果ももうすぐ……
ありがとうございました。
GMコメント
●依頼達成条件
玄武の撃破、撃退。いずれかの達成。
●フィールド
帝都の北部側に位置している牛宿大寺というお寺です。
時刻は夜ですが、周囲は灯りに満ちているので光源は必要ないでしょう。
ここは玄武の居城とも言える場所の様です。中庭では反逆者の処刑が行われているのだとか……玄武も中庭にいますので、なんとか彼を打倒してください。
入口は二か所。表口と裏口があります。
その他は高い壁に囲まれていますが、飛行などの能力があれば乗り越えられるでしょう。
また、最初は気付かれていませんので、奇襲気味に仕掛ける事も十分可能です。
サクラメントは本クエスト開始時、寺の近隣に発生しました。死亡してもここから再度ログインする事が可能です。
●敵戦力
・玄武
神光に座す『四神』の一柱です。
現実の神威神楽では陽気な翁、と言った印象の人物なのですが……神異による浸食の影響を受けてか、全ては母たる『豊底比売』の為――そして母に逆らう者を全て殺す――そんな思考に染まってしまっています。
徒手空拳で戦闘を行います。攻撃よりも防御の方が得意な人物の様です。
概ね現実と似たような戦闘能力を持っている様です。
しかしその力はR.O.O特有のバグの様な数値というか……とにかく大きな力を持っています。ご注意を。
・玄武の眷属『黒虎』×5~
黒い装束に身を包んだ人間……の様に見えますが、その正体は玄武より力を分け与えられた『眷属』の様な存在です。玄武の命令に忠実に動き、敵対者を排除せんとします。
彼らも玄武と似たような徒手空拳で戦います。
実はもっといるのですが、寺の周辺に散っており最初に寺の内部にいるのは5体のみです。戦闘が長引けば援軍として外からやってくる可能性もありますのでご注意ください。
またシナリオ『<月没>老陰の雫』でも同じ名前の存在が出てきましたが、その個体と姿が似ているだけで同一ではないようです。戦闘力も結構違います。
・玄武の信者×15~
四神たる玄武を崇めて(引いては国生みの神たる『豊底比売』も)いる信者達です。彼らも浸食の月の影響を受けているのか、玄武と共に反逆者の処刑を行わんとしています。
戦闘能力的には眷属や玄武には遠く及びませんが、武器を所持しています。
剣や弓など。戦闘が長引けば援軍として外からやってくる可能性もありますのでご注意ください。
●魔哭天焦『月閃』
当シナリオは『月閃』という能力を、一人につき一度だけ使用することが出来ます。
プレイングで月閃を宣言した際には、数ターンの間、戦闘能力がハネ上がります。
夜妖を纏うため、禍々しいオーラに包まれます。
またこの時『反転イラスト』などの姿になることも出来ます。
月閃はイレギュラーズに強大な力を与えますが、侵食度に微量の影響を与えます。
※重要な備考『デスカウント』
R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
現時点においてアバターではないキャラクターに影響はありません。
●侵食度<神異>
<神異>の冠題を有するシナリオ全てとの結果連動になります。シナリオを成功することで侵食を遅らせることができますが失敗することで大幅に侵食度を上昇させます。
●重要な備考
<神異>には敵側から『トロフィー』の救出チャンスが与えられています。
<神異>ではその達成度に応じて一定数のキャラクターが『デスカウントの少ない順』から解放されます。
(達成度はR.O.Oと現実で共有されます)
又、『R.O.O側の<神異>』ではMVPを獲得したキャラクターに特殊な判定が生じます。
『R.O.O側の<神異>』で、MVPを獲得したキャラクターはR.O.O3.0においてログアウト不可能になったキャラクター一名を指定して開放する事が可能です。
指定は個別にメールを送付しますが、決定は相談の上でも独断でも構いません。(尚、自分でも構いません)
但し、<神異>ではデスカウント値(及びその他事由)等により、更なるログアウト不能が生じる可能性がありますのでご注意下さい。
※本シナリオは運営スケジュールの都合により、納品日が予定よりも延長される可能性がございます。
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