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シナリオ詳細

『ラクーン・ヴィレッジ物語』、または『伝説の勇者妖精アライグマ・たまきち推参!』

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●妖精郷ラクーンヴィレッジ
 ここは妖精郷にあるラクーン・ヴィレッジ。その名の通り「アライグマ」のような妖精たちが住まう村だ。
 村には楽しいアライグマたちの歌声と、シャボン玉が常に浮かんでいる。村の奥にあるシャボンの泉は、飲むことはもちろん、この水でモノを洗うとピカピカになると言う不思議な泉であり、この村に住むアライグマたちは、他の村の妖精たちのお願いを受けて、この泉の水でクリーニングを行い、その対価として色々なものを受け取って暮らしていた。
 そう言うわけだから、このシャボンの泉は、この村の妖精たちにとって生命線だ。今日も多くのアライグマたちが、シャボンの泉でばしゃばしゃと洗い物をしている……だが!
「ふふふ……そこまでだ、一般アライグマども……」
 と、何者かが、ずん、と足を踏みしめて、シャボンの泉に現れた。腕を組み、なにやら得意げな顔でパイプをふかす(そのパイプからはシャボン玉が浮かんでいる)その人物――否、妖精。その姿は、Tシャツを着たアライグマのように見えた。
「あ! お前は三年前に追放された悪の魔王アライグマ・アラーイじゃないか!」
 と、説明台詞を言ってくれる一般アライグマ。アライグマたちの間にざわっ、と緊張が走る。
「どうしてここに……いや、むしろよく無事だったというべきか。この間は大変だったしね、冬の王とかタータリクスとか……」
「うん、シャボンの泉も凍って、洗濯とかできなかったしね……」
「そんな去年は雨が多くて洗濯物干せなかったね、みたいなノリで妖精郷の危機を語っていいと思ってるのかお前ら……のんびりしすぎにもほどがある!
 まぁいい、今から俺達がこのシャボンの泉を独占する! お前らは今すぐ出て行ってもらおう!」
 と、アラーイが指を鳴らそうとしてならなかったので、しょうがないからぱちん、と手を叩くと、後ろから無数の怖い顔をした妖精アライグマたちが現れる。すべてアラーイの配下で、木の棒や魔導書などで武装した、悪漢アライグマたちであった――!

 シャボンの泉は、アラーイたちに瞬く間に占拠された。妖精アライグマたちはほとほと困り果て、ここに一つの決断をした。
「よいか、ローレットに行き、助けてを求めてくるのじゃ」
「はい、長老!」
 と、年若い妖精アライグマに長老は言う。長老は、虹色に輝く小さなシャボン玉を懐から取り出した。不思議なシャボン玉で、これは割れないらしい。
「このシャボンは、伝説の勇者妖精アライグマを導くとされている……これを持っていけば、良い人に巡り合えるだろう……」
「伝説の勇者妖精アライグマ……属性過多ですね……! わかりました! かならずや助けを連れてきます!」
 そういって、若者妖精アライグマは旅だった。ゲートを抜けて、深緑の大地へ。そして近くの街のローレット出張所へと向かう。
 そこで彼は、シャボン玉の指し示す、伝説の勇者妖精アライグマと巡り会ったのだ――!

●伝説の勇者妖精アライグマ
「な ん で ?」
 と、仙狸厄狩 汰磨羈 (p3p002831)がそう言うので、すずな (p3p005307)、マリア・レイシス (p3p006685)、ゼファー (p3p007625)は思わず口元を抑えた。笑いそうになったのだ。と言うか、正直笑った。
「あなたこそが、伝説の勇者妖精アライグマなのです! シャボン玉とインターネット翻訳機がそう伝えています!」
 と、アライグマが言う。
「いや! どうみても! 猫だろう!?」
 汰磨羈は自身を指さしてみるが、アライグマは首をかしげ
「え!? その耳とか……」
「猫だよ!」
 汰磨羈が地団太を踏む。
「くっ……ふふ、そうですか、今回は……アライグマ……」
 すずなが口元を抑えながら、言う。
「いえ、その……助けてあげれば、いいと思いますよ? 私達ももちろんお手伝いします……伝説の勇者妖精アライグマさん……くっ」
 思わず吹き出しそうになるのを、必死でこらえるすずな。
「そうだね! 汰磨羈君が……アライ……っ、ふふ、ごめん! 笑ってない! 笑ってないよ! ちょっとむせちゃっただけで!」
 マリアが顔を反らす。
「いっそ笑えよ! その方が気が楽だよ!」
「アハハハハハハハハハハハ」
「ゼファーは笑い過ぎでは!?」
 にっこにこのゼファーに、汰磨羈が叫ぶ。ゼファーはこほん、と咳払い一つ。
「今日は((꜆꜄꜆˙꒳˙)꜆꜄꜆たぬたぬたぬたぬができないのが残念ですけれど。でも、困っている妖精がいるのは事実。
 であるならば、動かない手はないわよね?
 ……所で、今回はなんて言えばいいのかしら? ラクーンですし、((꜆꜄꜆˙꒳˙)꜆꜄꜆ラクラクラクラク?」
「((꜆꜄꜆˙꒳˙)꜆꜄꜆しらんわ!
 まぁいい、案内するといい、アライグマ! その魔王アラーイとやら、ひっぱたいてわたあめを洗わせてやる!」
「本当ですか、勇者妖精アライグマさま!」
「仙狸厄狩 汰磨羈だ! こんど妖精アライグマっていったら、わたあめあらわせるからな!」
 ぎゃいぎゃいと騒ぎつつ、一同は妖精郷・ラクーン・ヴィレッジを目指す。
 あなたもそんな、勇者妖精アライグマのパーティの一員なのであった。

GMコメント

 お世話になっております。洗井落雲です。
 此方のシナリオは、勇者妖精アライグマさまへの救いの声(リクエスト)により発生したお仕事になります。

●成功条件
 魔王アラーイ一味の無力化

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●状況
 かつての混乱を脱し、平和を取り戻した妖精郷アルヴィオン。そんな妖精郷の片隅にあるラクーン・ヴィレッジでは、他の妖精の依頼を受けて、ものを洗って生計を立てている妖精アライグマたちが住む静かな村でした。
 が、そこに村を追放されたはずの悪の魔王アライグマ・アラーイが帰還。部下を率いて、村の重要施設でもあるシャボンの泉を占拠してしまいます。
 このままでは、妖精アライグマたちが生活できません。皆さんは、伝説のシャボン玉が伝説の勇者妖精アライグマと認めた仙狸厄狩 汰磨羈さんと一緒に、この魔王アラーイをたおし、村に平和をもたらしましょう!
 作戦決行タイミングは昼。戦闘エリアは泉のほとりになっています。平原と、水場が混在するエリアです。水場はあまり深くはありませんが入ると、少し足を取られるかもしれません。

●特殊ルール
 本シナリオにおいては、イレギュラーズの攻撃に『不殺』が無くても、敵は100%、戦闘不能時に死亡しないという状態になります。
 と言うわけで、思いっきりアライグマをぶん殴っても、ぬわーって吹っ飛んで気絶する程度で済みます。
 全力で懲らしめてあげてください。

●エネミーデータ
 魔王アラーイ ×1
  得意げな顔でパイプ(シャボン玉が出る)をふかしている悪のアライグマ。一体何落雲なんだ……。
  パイプのシャボンによる、神秘属性の中~遠距離攻撃が得意。シャボン玉には、『乱れ系列』や『足止め系列』のBSを付与する効果があります。
  魔王なので、勇者妖精アライグマを優先して攻撃する傾向にあります。勇者と魔王の宿命の対決……。

 悪漢アライグマ ×16
  悪の道に堕ちた妖精アライグマたちです。木の棒や、魔導書などで武装しています。
  各種物理の近距離攻撃や、神秘属性による遠距離攻撃を使用。低クラスですが、『火炎系列』や『出血系列』のBSを付与してくることもあります。
  戦闘能力はさほど高くはありませんが、すばしっこく、数が多いです。確実に動きを止めて討伐するのがいいでしょう。

 以上となります。
 それでは、皆様のご参加とプレイングをお待ちしております。

  • 『ラクーン・ヴィレッジ物語』、または『伝説の勇者妖精アライグマ・たまきち推参!』完了
  • GM名洗井落雲
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年10月26日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費150RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

サイズ(p3p000319)
カースド妖精鎌
仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)
陰陽式
※参加確定済み※
ラクリマ・イース(p3p004247)
守る者
黒星 一晃(p3p004679)
黒一閃
すずな(p3p005307)
忠犬
※参加確定済み※
ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)
奈落の虹
マリア・レイシス(p3p006685)
雷光殲姫
※参加確定済み※
ゼファー(p3p007625)
風と共に
※参加確定済み※

リプレイ

●この話のあらすじ
 妖精郷にて暴虐の限りを尽くす邪悪なる魔王アラーイ!
 そんな時、どこからともなく『伝説の勇者妖精アライグマ・たまきち』が現れたのだ!
 たまきちは妖精郷を巡り、様々な冒険を繰り広げる! そしてついに、邪悪なる魔王アラーイの待つシャボンの泉へとたどり着いたのだ!
 今ここに、世紀の決戦が始まる!!!!

●うそです
「ええい、嘘を書くな、嘘を!!」
 と、差し出された紙をバリバリに破いて、ごみ袋に捨てたのは『流麗花月』仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)である。その紙に書かれていたのは上記の文章だが、それを書いたのは、イレギュラーズ達をこの村に案内した、妖精のアライグマだ。
「えー、ちょっとくらい盛り上げた方がいいかな、と思ったのですが。ダメでしたか、勇者妖精アライグマさま」
「これローレットに提出する報告書だからな! 嘘書いたら怒られるに決まってるだろ! というか! 私は! アライグマでは! ないっ!」
 その様子に、仲間達は思わず吹き出したり耐えたりした。
「アハハハハハハハハハ」
「ゼファーは笑い過ぎでは!?」
 遠慮なく笑う『律の風』ゼファー(p3p007625)に突っ込む汰磨羈。ゼファーはこほん、と咳払い一つ。
「しかし、この間は変な夜妖で、今回は妖精と。
 何か貴女、変わったのとばっかり縁があるわねぇ」
 足元をぴょこぴょこ歩くアライグマを見やりつつ、ゼファーが言う。
 状況を説明すれば、妖精郷の妖精アライグマの村に現れた悪漢を退治してほしい、と言うのが今回の依頼だ。どういう訳か『伝説の勇者妖精アライグマ』として祀り上げられた汰磨羈と仲間達は、こうして妖精アライグマの村を行き、悪漢たちが占拠しているシャボンの泉へとの道を進んでいた。
「今更っちゃ今更ですけど、ユニークな妖精も居たもんね。
 確かによくよく見るとたぬきちと似た空気というか野生を感じる様なだわ」
「たぬきちと言うのは、勇者様のお友達でしょうか」
「どちらかと言えば、もう一人の汰磨羈……かしら?」
「余計な事を吹き込むな!」
 汰磨羈がぽんぽこ、いや、ぷんぷんと怒った様子を見せる。
「ふっ、ふふ……アライグマ……!
 しかも勇者ですか、たぬきだったり妖精だったりエクアドルだったり大変ですね!」
 にっこにこの笑顔を見せる『一人前』すずな(p3p005307)に、汰磨羈が、がう、と吠える。
「ねこ! ねこなの! 私は!」
「ええ、知ってますよ……ふ、ふふっ!
 でも今回は、伝説の勇者妖精アライグマとしてのお仕事ですから……もっとアライグマらしくしませんと!」
「アライグマらしくって何だよ! わたあめでも洗うのか!?」
 汰磨羈の言葉に、アライグマはわなわなと震えながら、
「そ、それは私達の村でも実に重い刑罰……」
「刑罰なのか! いや、確かに甘いもの食べられないのはつらいが!」
 ツッコミを入れつつ、汰磨羈は、はぁ、と深いため息をついた。
「……戦いが始まる前につかれそうだ……」
「お疲れ様です、勇……いや、汰磨羈さん((꜆꜄꜆˙꒳˙)꜆꜄꜆」
 と、『守る者』ラクリマ・イース(p3p004247)が言う。
「気持ちはまぁ、少しくらいなら分かります。
 変な依頼ですけど、頑張りましょう! 勇……いや、汰磨羈さん((꜆꜄꜆˙꒳˙)꜆꜄꜆」
「ちょっと面白がっとるだろう御主!?」
 実際面白がっているのだろうが、ラクリマは「いえいえそんなことは!」みたいなことを言ってごまかした。
「どうしてこんなことになってしまったんだ」
 汰磨羈とは別の方向に、何やら深刻そうな顔をしているのは『カースド妖精鎌』サイズ(p3p000319)だ。
「妖精郷が……妖精郷が変な所になっていく……というか、居るのか! 現実にも! 変なアライグマが!
 R.O.Oでも見かけたけれど、もしかして現実が侵食されているのでは……!?」
「変なアライグマとは失礼な。僕たちはちゃんとした妖精アライグマです」
「絶対ブルーブラッドだろう!」
 サイズが悲鳴をあげた。
「と言うか……アライグマとセットで、絶対オレンジ色の( ・◡・*)の顔をしたやつとかいるんだ……!
 みんな警戒するんだ、絶対いるぞ……!」
「いや、そんなオレンジ色の( ・◡・*)の顔をした妖精とかは流石にいないんじゃないかなぁ……?」
 『魔風の主』ウィリアム・ハーヴェイ・ウォルターズ(p3p006562)が苦笑しつつ言うのへ、アライグマはうんうんと頷いた。
「それは隣村の妖精たちですね……僕たちも、お仕事でたまにその妖精たちの洗濯物を洗ったりしていますが、今回は関係ないと思います」
「居るんだ!?」
 ウィリアムが声をあげる。いるらしい。でも今回は流石に関係ないらしい。
「や、やっぱり現実が侵食されているんだ……!」
 思わず項垂れるサイズ。現実が侵食されているというか、きっと現実にもそう言う妖精がいたからR.O.Oで変な再現がされたと考えるべきか。世の中は不思議なので、結論は出ない。まぁ、今回はR.O.Oのお話ではないのでそれはさておき。
「……っとと、これ、シャボン玉かな?」
 ウィリアムが言う。見れば、ふわふわとしたシャボン玉が、一行を迎え入れるように浮かんでいた。
「はい、そうです。シャボンの泉から漂うシャボン玉……いよいよ魔王アラーイの目前です!」
 と、アライグマがぐっ、とこぶしを握りながら言った。どうやら、悪漢たちのいるシャボンの泉は近いらしい。一行が注視して進むと、
「ひゃっはー! とまれ!」
 と、悪漢らしい声が響いた。声の方を見てみれば、シャボンの泉のほとりに、なんか偉そうな椅子に座った一匹の妖精アライグマと、彼を守る様に16匹の妖精アライグマたちが立ちはだかる。妖精アライグマたちは、その辺におちていた木の棒や薄い本などで武装しているようで、妖精アライグマなりに、前衛と後衛を分けているらしい。すこしかしこい。魔王アラーイは、汰磨羈の姿を認めると、
「その姿……妖精アライグマか」
 と渋い声で言ったので、
「なんでだよ! どう見てもアライグマじゃないだろうが!」
 と、当然のように汰磨羈はキレた。
「そうです! ただの妖精アライグマではありません!
 その名も伝説の勇者妖精アライグマ・仙狸厄狩 汰磨羈さまです!」
 お付きのアライグマがそう言うので、魔王アラーイはなるほど、と唸った。
「仙……たぬき厄狩・汰磨羈。たぬきとアライグマを混同されてしまうとは可哀そうに。もしや壮絶ないじめを……?」
「今受けているわ! 御主らから! なんで狸だけ読めないんだよ!!」
 地団太を踏む汰磨羈に、流石の『雷光殲姫』マリア・レイシス(p3p006685)も、我慢の限界だったので思わず吹き出した。
「くっ……くふふ……っ!
 い、いや、ごめんよ! なんでもないから気にしないで……っ!」
 汰磨羈はじろり、とマリアを見やりつつ、
「よいか、そもそも仙狸、せんり、とは猫のことなのだぞ!?」
 汰磨羈はたまき先生の伊達眼鏡を取り出し、ぴっ、とかけてみた。ずざざ、とおつきのアライグマがホワイトボードを持ってきたので、汰磨羈はそこにでっかく狸、と書く。
「\Listen!!/
 狸(リ)という漢字は、元来、ヤマネコを中心とした中型の哺乳類を指すモノだ。
 たぬきという読みは、その字が伝来した当時にヤマネコの類がいなかった日本にて、後からあてがわれたものに過ぎん。
 分かったか? 勉強になったな!」
「なるほど」
 と、アラーイは唸った。
「つまり――ヤマネコの類がいなかった日本で後から当てがわれたのなら、今からアライグマを狸という文字にあてがっても問題ない……。
 つまり! お前は伝説の勇者妖精アライグマ――!」
「し ば き 倒 す」
 ばごん、とホワイトボードを蹴り倒すあらいぐまきち……いや、汰磨羈。もうこうなっては戦いは避けられない!
 その瞬間、もう限界だったマリアはにっこにっこの笑顔で声をあげた。
「たぬきち……じゃない、アライグ……じゃない! 汰磨羈君! 魔王は任せたよ!
 君は勇者! 妖精! アライグマ! なんだからね!!
 さぁ、すずな君! ゼファー君! そしてみんな! 魔王と勇者の戦いをサポートするために、悪漢アライグマたちと戦おうじゃないか!」
「ほら! アライグマたぬちゃん!
 気合を入れるのですよ!
 皆貴女が英雄になることを望んでいるのです……!」
 すずなが口元を抑えながら(笑っている)そう続ける。
「アッハハハハハハハ!!!!!」
 ゼファーが指さして笑った。
「ええい、御主ら全員後で覚えておけ!? とにかく、攻撃開始――」
「まて」
 と――。
 その瞬間、声が上がった。
 ざ、と、木々をかき分けて、何かがやってきた。
 アライグマであった。
 厳密に言えば、アライグマの着ぐるみを着た『黒一閃』黒星 一晃(p3p004679)だった。
「俺の名はアライグマ侍、人、いやクマ……いやアライグマ呼んで黒星アラ一晃」
 笠を手で直しつつ、アラ一晃が渋く言うのへアラーイは驚いたような顔をした。
「まさか、お前があのアラ一晃……!?」
「いや、知ってるのか」
 汰磨羈が突っ込む。
「俺こそが、勇者妖精アライグマたまきちを真に倒す者……!
 俺の獲物を横取りはさせんぞ魔王アラーイ。シャボンの泉はどうでもいいが、今日の所は手を貸してやろう勇者妖精アライグマたまきちよ!」
「やめんか! これ以上設定過多にするな! このリプレイ、ここまででもう4000字使ってるんだぞ!?」
「何のことかはわからんが、たまきちよ、奴を倒すまで休戦と行こう」
 アラ一晃がそう言って、刀を構える。汰磨羈は頭を抱えてから、武器を構えた。
「ぜんいんぶっとばす!!」
 叫びと共に、いま勇者の最後の戦いが始まった――!

●最後の戦い
「さぁこい勇者妖精アライグマ!」
 ばさぁ、と偉そうな椅子の上に立つアラーイへ、一歩ずつ足を踏みしめながら進む汰磨羈。
「ふふふ……この一歩一歩が、お前の死へのカウントダウンだ」
 据わった眼をした汰磨羈。勇者と魔王の戦いが始まる中、しかし部下の悪漢たちを抑えなければならない!
「よし! みんな、勇者と魔王が心を着なく決着をつけられるよう、部下たちを何とかしよう!」
 マリアの言葉に、仲間達は頷いた!
「よくわからないけど……これ以上妖精郷を変な所にされてたまるか!」
 振るわれるサイズ、斬撃が悪漢アライグマを斬り飛ばし、「ぎにゃー!」と悲鳴をあげたアライグマが何処かへと吹っ飛ぶ!
「て、手ごたえがあった……のに! なんか元気に飛んでいったぞ!? 訳が分からない……どうなってるんだ……!?」
 困惑するサイズだったが、さておき悪漢たちの猛攻は続く。拙いながらも飛び交う炎の魔術と木の棒。一撃一撃は大したことのないダメージでも、複数体から連続してダメージを喰らえば、如何にイレギュラーズといえど、相応の傷を負うことにはなる。
「幻想なれど、その福音は真実――癒やせ、わが友を!」
 ウィリアムの術式が福音をもたらして、仲間達の傷を暖かな光で癒した。
「あっ、ヒーラーだ!」
「ああいうのを狙うと良いらしいぞ!」
 と、アライグマたちがわっと寄ってくるのへ、ウィリアムは冷や汗を流す。
「わわっ! まったく、近寄らないでっ!」
 術書から放たれた破壊的術力が、次々とアライグマたちを吹き飛ばし、ぬわー、と叫びながらシャボンの泉へと着水。ぷかぁ、と泉に浮かんだ。
「うーん、確かに敵としては厄介だけど……気が抜けるなぁ」
 苦笑するウィリアム。敵の攻撃も味方の攻撃も、実際にダメージはあるとはいえ、なんだかギャグっぽく表現されてしまう気がした。これもその場の空気と言う奴なのかもしれない。
「たまきちよ、雑魚に貴様はもったいない、今回ばかりは俺が相手をしておいてやる。ここは俺に任せて先に行け!」
 あくまでたまきちを狙うライバルというポジションを貫くアラ一晃。アライグマたちはそれを指さして、
「知ってる、ああいうのツンデレライバルキャラ――」
「アライグマ剣術! 一鬼討閃・些塵烈風!」
 暴風の如き剣閃が、指さしたアライグマたちをまとめて斬りフッ飛ばす。ぬわー、みたいな声をあげてアライグマたちが地面に突き刺さるのを見て、アラ一晃はふむ、と鼻を鳴らした。
「デレは来ない。たまきちの殺るのは俺だ――」
 それっぽい言葉を言いながら、アラ一晃は納刀して見せた。格好いいが、この時の姿はアライグマの着ぐるみである。
「ふふふ! 悪いが取り巻きは全力で排除させてもらう!
 カラっと揚げてあげようじゃあないか!!
 すずな君! やってやりなさい! ゼファー君はやりすぎないようにね……?」
「わかってますよマリアさん、うるさいですね!!!!!!
 私の方が沢山アライグマをしばいてみせましょう!
 ……念の為言っておきますけど、ゼファーさんは構う相手間違えないで下さいね、私じゃないですからね!?」
 マリアとすずなが競うように、アライグマたちを無力化していく。雷が、刃が、閃光となって戦場を駆け巡り、その都度アライグマがぬわー、と吹っ飛んで地面にたたきつけられて眼を回していた。
「……さて? 一応聞いておきましょうか?
 諸君らは既に包囲されてるわよー?
 こっちには勇者妖精アライグマのたぬきちもいるんですから大人しく投降しなさーい?」
 ゼファーが緩ーくそう言うのへ、残された悪漢たちは一瞬投降しようかと思ったが、残された悪のプライドがそれを邪魔した。
「なんだとー! 年齢詐欺! 我々は脅しには屈しないぞー!!」
 わーわーとわめくアライグマたち。ゼファーはにっこり笑って、その内の一匹につかつかと歩み寄ると、無言でそれの足を掴んだ。
 そのまま、ぐるぐると回転する――ジャイアントスイングだ! 思いっきり回転を乗せて手を離せば、はるか遠くへ飛んでいってほしとなるアライグマの姿。
「……うん! やっぱり武力行使だわ!」
「ぎゃー! 怒らすと怖いタイプだ!!!」
 逃げ惑うアライグマたち。一方、その隙を逃がさんと放たれたラクリマの((꜆꜄꜆˙꒳˙)꜆꜄꜆……じゃなくて術式の衝撃波が、次々とアライグマたちをフッ飛ばしていった。
「わはは、俺の必殺フルルーンブラスター食らいやがれなのです!!」
 その宣言通り、アライグマたちが次々とラクリマによってKOされていく。果たして最後の一匹をフッ飛ばした時、
「よし! これで魔王と勇者の戦いを見物できますね!
 お茶飲みます?」
 と、お茶を取り出したので、近くにいたウィリアムが、
「あ、有難う」
 と一息ついていた。
 さて、魔王と勇者の戦いは、ここでは書き尽くせないほどに激しいものであった。双方ともにボロボロであり、流石の勇者たまきちも、心おれそうになるかと思った――その時!
「後ろは守りますよ勇者妖精アライグマ様((꜆꜄꜆˙꒳˙)꜆꜄꜆
 怪我をした時も任せてください勇者妖精アライグマ様!!
 俺は回復もできるのですよ勇者妖精アライグマ様!!
 勇者妖精アライグマ様!! 勇者妖精アライグマ様!! 勇者妖精アライグマ様ーーーー!!!!!」
 ラクリマの声援が、聞こえた。
「たまきちよ。その獲物はお前にくれてやる」
 アラ一晃の声が、聞こえた。
「ほら! アライグマたぬちゃん!
 気合を入れるのですよ!
 皆貴女が英雄になることを望んでいるのです……!」
 すずなの声が、聞こえた。
「……ところで本当にたぬきなの? ちょっとぽんぽこって言ってみて?」
 ウィリアムの声が、聞こえた。
「どうして妖精郷がこんなことに……」
 サイズの声が、聞こえた。
「うおおおお!!! アライクマキチ君!!! 魔王は任せたよ!!!
 頑張っておくれ!!! アライグマの戦士として!」
 マリアの声が、聞こえた。
「頑張りなさいたぬきち!
 私は貴女に50GOLD賭けてんだから!!」
 ゼファーの声が、聞こえた。
 仲間達の声が! 勇者たまきちに力を与えたのだ!
「御主ら後で覚えておけよ!?
 ひとーつ、一晃はその格好のまましばいてわたあめ洗わせる。
 ふたーつ、不埒なたぬ弄りをした者にはあとでねこぱんち((꜆꜄꜆˙꒳˙)꜆꜄꜆
 みっつ、皆で打ち上げ宴会、マリアの奢り。絶対にだ。
 んでもって退治てくれよう、ねこ侍!
 ――ねこ侍!
 私は! 絶対に! ねこだッ!!」
 その時! 掲げた手に現れた大霊刃が! 正義の光を放つ!
「こ、これが勇者妖精アライグマの――」
 アラーイが叫ぶ!
「しねーーっ!」
 勇者たまきちの振り下ろした刃が、アラーイを切り裂く! 激しく明滅する光――そして、後には倒れ伏す魔王の姿があった!
「あぁ……! 流石は勇者の中の勇者アライグマ!!! 汰磨羈君は真のアライグマでありタヌキであり勇者なんだね!
 感動でむせび泣いてしまうよ!
 マリア嬉しい! 勇者アライグマバンザーイ! バンザーイ!
 みんなもホラ! 一緒に!」
 マリアの音頭に、仲間達が両手をあげる!
『勇者妖精アライグマ、ばんざーい!』
 どこからともなく集まってきた妖精アライグマたちが、汰磨羈を、いや、勇者妖精アライグマを湛えるように囲んで、両手をあげた。
 勇者妖精アライグマを讃える声はいつまでも響き、汰磨羈は死んだ目をしてそれを眺めていた。
 めでたしめでたし。

成否

成功

MVP

黒星 一晃(p3p004679)
黒一閃

状態異常

仙狸厄狩 汰磨羈(p3p002831)[重傷]
陰陽式

あとがき

 勇者妖精アライグマ、ばんざーい!

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