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シナリオ詳細

どうか、思い出は美しいままで

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●思い出はそこにある
 子供の頃の約束を、覚えているだろうか。
 また会おう、という再会の約束。
 大人になったら結婚しよう、という将来の約束。
 親の都合で離ればなれにならざるを得なかった、あの日の悲しみ。
 けれど……彼女はその日、街の雑踏に懐かしいその面影を見た。
「いつか必ず迎えに行くよ」と、そう言われた懐かしい記憶。
 すぐに「彼」は何処かに居なくなってしまったけれど。その顔を、忘れるはずがない。
 彼女はそのことを、1人の友人に話した。
 たまたま……ほんのちょっとしたことがあって友情に発展したその青年とのカフェでの会話のネタに、彼女は「その話」を選んだのだ。
「ほんと……ビックリした。彼はこっちに気付かなかったけど……あの頃と何も変わってなかった」
「ネレスは今でも好きなのかい? その人のこと」
 言われて、彼女……ネレスは考えてみる。
 美しい思い出だ。今でも色濃く思い出す、そんな記憶だ。
 彼を今でも好きかと言われると……どうだろう。
 よく分からない、が正直なところだ。
 そもそも、あれからもう10年もたつのだ。
「……分からないわ」
「だろうね。僕だって同じ事がその身に起こったら……それがロマンスの始まりなのかどうなのか、冷静に判断できる自信はないね」
「ふふ、貴方が?」
「ああ、勿論さ。自分の気持ちほど分からないものはない。そうだろ?」
「……かもしれないわね。でも、名探偵の貴方にも分からない事があるなんて」
 ネレスの微笑みに、名探偵と呼ばれた青年は笑い返す。
「そう言ってくれるのは有難いけどね。世の中、分かっている事の方が少ないものさ」
 そう、たとえば。その「彼」について……とか。

●汚れたアルバムのように
「依頼です」
「どうも、イレギュラーズの皆さん。この辺りで探偵をやってるアレックスです」
 アレックスと名乗ったその男は少しくたびれたスーツを着込み、しかし清潔感を保った……まあ、10人中7人は色男と呼ぶような、そんな感じの男だった。
 年齢は20代前半だろうか? 探偵としては若手のように見える。
「実は皆さんに、ちょっと力を貸してほしい案件がありまして」
 そう言ってアレックスが差し出すのは、1枚の写真だった。
 そこに映っているのは赤い髪の青年で、何処となく純朴そうな印象があった。
 何処にでもいそうな風貌だが……一体この青年がなんだというのか?
「運び屋エイス。そう呼ばれる、裏社会の違法物品の運搬人です。どうも鉄帝内からの軍事技術の横流しに関わる案件でやってきたようです」
 運び先は現在は不明。
 鉄帝内の何処かの研究所か、あるいはおかしなものに目の無い幻想貴族にでも売りつける気なのか。
 もっと後ろ暗い場所という可能性もあるが……どの道、裏で蠢く犯罪組織の仲介で動いていることに変わりはない。
 そしてどうやら「運び屋エイス」はそれなりに有名な運び屋であるらしい。
 そのおよそ犯罪と関わっていなさそうな純朴な風貌は、怪しまれないと……そういうことのようだ。
 だが実際には利用できるものは利用する、そんな性格のようで……今回の場合、アレックスの知り合いが知らないうちに片棒を担がされる可能性があった。
「取引そのものを潰す必要があります。それと……」
 エイス本人にも人知れず退場して貰おう、と。
 アレックスは、冷徹な瞳でそう告げるのだった。
「思い出は美しいままに。つまりは、そういうことです」

GMコメント

鉄帝の裏で蠢く怪しげな企みを潰し、運び屋エイスも闇に葬ってしまいましょう。
なお、回収した「取引物品」や「取引用の金」といった取扱いに困るものは、アレックスに頼めば綺麗に後腐れなく処分してくれます。
なので必要な情報を集め、夜に取引現場を抑え殲滅することになります。
以下、必要情報です。

・事件概要
取引禁止対象の軍事技術の設計書の横流し
取引先は不明。
設計書を盗み出した犯罪組織はこの取引に全勢力を傾けています。
そのくらいの規模の取引です。
どうやら【夜】に「何処か」で取引をするつもりのようです。

・犯罪組織「プルート」
鉄帝の裏にいる犯罪組織の1つ。拳銃や重火器などを装備しています。
構成:組織員×20、パワードスーツ×1

なお、プルートは穀物商を表向きの商売としています。
店舗や倉庫など、幾つか怪しい場所があると思われます。

・運び屋エイス
色々な国を股にかける運び屋。
運ぶだけで犯罪になる品を運んで回る男。
性格は冷徹で残虐。騙す事を何とも思わないクズです。
魔力銃を武器にしているようです。

・探偵アレックス
鉄帝で活動している2.5枚目な探偵。
受けた事件を謎のコネクションで情報を集め解決してくれる、知る人ぞ知る名探偵。
甘党で猫派。秘密結社フェチーズの一員。
「僕はちょっと迷子の猫探しに行ってきます。あとはよろしく」とのことです。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はCです。
 情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。

  • どうか、思い出は美しいままで完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年10月13日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ジェイク・夜乃(p3p001103)
『幻狼』灰色狼
リディア・ヴァイス・フォーマルハウト(p3p003581)
木漏れ日のフルール
ロゼット=テイ(p3p004150)
砂漠に燈る智恵
オリーブ・ローレル(p3p004352)
鋼鉄の冒険者
マリア・レイシス(p3p006685)
雷光殲姫
エステル(p3p007981)
胡桃・ツァンフオ(p3p008299)
ファイアフォックス
佐藤 美咲(p3p009818)
無職

リプレイ

●取引場所を探せ
 鉄帝の町を、『『幻狼』灰色狼』ジェイク・夜乃(p3p001103)は歩く。
「思い出は美しくか……いいだろう。こういう汚れ役は俺達むきじゃねえか」
 そんなことを呟くジェイクがやっているのは、とある「取引」の場所の捜索だ。
 そう、今鉄帝では軍事技術の横流しという座視できない裏取引が進んでいる。
 犯人は犯罪組織「プルート」と運び屋アレックス。
 どちらも殺して構わない、と依頼人からは聞いている。
 では、実際に何処で取引を行うのか……についてだが。
 恐らくは倉庫だろう、というあたりをつけて全員が捜査していた。
「俺はこれでも鉄帝の依頼を何度も成功もさせている。その成功にはローレット以外の助力も大きい」
 ジェイクは、そうひとりごちる。
「要するに俺もここの人間と触れ合い……情報網は作っているのさ」
 そこでジェイクは情報網を駆使してプルートが表向きの商売として営んでいる穀物商の倉庫についての情報を調べることにしていたのだ。
 具体的には「人気がなく派手にどんぱちをカマしても問題がない」「ガラが悪い犯罪者と思われる人物が出入りしていないか」「倉庫には穀物以外の武器が多数収められていないか?」などの点を重視し、目途がついたら他の仲間と情報交換する手はずになっていた。
 そう、全員がそれぞれの方法で取引場所を見つけるべく探っていた。
 たとえば『言霊使い』ロゼット=テイ(p3p004150)や『木漏れ日の魔法少女』リディア・ヴァイス・フォーマルハウト(p3p003581)も「倉庫」を前提に足を使った捜査を実施している。
「拳銃ならまだしも、重火器やパワードスーツは屋外に置いたら目立つはず……」
 プルートがパワードスーツを持ち込んでいるという情報から、リディアは倉庫の中でも倉庫で大きくて人通りが少ない場所を絞り込んで、地面を調べていた。
 パワードスーツの重みで凹んでいたり、あるいはその痕跡を隠そうと必要以上に掃除されている場所があれば取引場所の可能性が高いと、そう考えたのだ。
 痕跡は隠そうとすることで痕跡になる。つまりはそういうことだった。
 そして、ロゼットは飛行して探索時間を短縮しながら「倉庫の全体」を観察していた。
 あまり奥まで行かなくても感覚が鋭いので、倉庫の全体を観察できるかもしれないと考えたのだ。
 甘い匂いに混じった火薬の匂いやオイルの匂い、あるいは人の気配。
 そうしたものを探して絞っていければ、他の仲間たちの情報を合わせ絞ることが出来るだろう。
 そうして飛んでいるロゼットをチラリと見ながら、リディアは思う。
(今回ここで軍事技術の横流しを防がなければ、その軍事技術が渡った先でその技術を悪用されて新たな争いが起こることでしょう
そうなれば平和に暮らしている大勢の市民が困ることでしょう……魔法少女として、そのような事態は防がねばなりません)
 そして、横流しの悪事に加担している運び屋エイスの始末。
 もう子供じゃないから綺麗事だけでは済まない事は分かっている。
 依頼人も言っていた。「思い出は美しいままに」と。
 だからこそ、リディアは決意を籠めて呟いた。
「この手を汚す覚悟はできています」
 そして『鋼鉄の冒険者』オリーブ・ローレル(p3p004352)や『雷光殲姫』マリア・レイシス(p3p006685)のように聞き込み戦術に出る者もいた。
「軍事技術の横流しか……横流しされた場合、何に使われるかはあまり考えたくないやつだね。ここで一網打尽にしてしまいたい」
 そうマリアは呟く。
 技術の流出自体はよく練達製の品が流れていることからも「よくある」ことだが、軍事技術に関しては平和利用するという可能性は非常に低い。その先は……高い確率で、流血だろう。
「悪党共め。エイス、プルート、違法取引、全て叩き潰さなければなりません。特にエイスは……どうしてでしょうね、この手で叩き斬るという思いがこみ上げてきます。罪を罪とも思っていないから、でしょうか」
 そう、まさに悪党の所業。だからこそオリーブはそう決意を固める。
 そして、そんなマリアとオリーブの聞き込み方法は多少違いがあった。
 それは当然で、違う聞き方をすれば違う情報が出てくるからだ。
 たとえばマリアは自身は新聞記者へ変装し、聞き込みをしつつ怪しい場所の情報と実際に現場を見に行くという作戦に出ていた。
「最近物騒な話をよく聞くけど、この辺りで怪しい連中が出入り施設やガラの悪い集団を見たことはないかい?」
「そりゃ、そんなのは幾らでもいるけどよ……あ、そういやここ数日の話なんだけどよ」
 そんなマリアの様子を見ながら、オリーブは「やはり」と思う。
「奴等が取引に躍起になっているのは知られていそうなので、何か面白い話が聞けるかもしれないとは思っていましたが……予想以上ですね」
 こういう時は酒が関わる場所に行くのが基本だろうか、とオリーブは昼から酒を出していそうな店を探し向かう。
 とはいえ、酔っ払いと面倒ごとはセットのようなものだ。何かあればすぐに引こうと、そう心に決めながらオリーブも情報収集に向かう。
 そうして仲間たちによる調査が進む中、『ファイアフォックス』胡桃・ツァンフオ(p3p008299)も怪しそうな場所にあたりを付けて調査するという方法で捜索をしていた。
「危険性の高い軍事技術とか、確かに下手な所に渡ると大変というか、更なる拡散の危険もあるとなると、止めないといけないのは、そうね……捕まえてくれ、とは言わないのね」
 そう、依頼人は「捕まえろ」とは言わなかった。
 直接そうは言わなかったが殺せと、確かにそう依頼した。
 その理由は理解できる。恋心は如何様にでも利用される。
 依頼人は、それを良しとしなかったのだ。
 だからこそ、胡桃はその考えを頭から振り払う。
「夜に人気が無くて、その人数が自由にできるとなるとある程度絞られるはずかしらー」
 プルート構成員の顔も分かればさらに良い。取引場所の特定に役立つだろう。
 しかしあまり派手に動けば気取られる確率も上がる。
「……ギフト使って偵察するのは目立ちがちだし避けた方がよいかしら」
 自らのギフト「炎狐招来」のことを考えながら、胡桃は周囲を確かめていく。
 念のため持ってきたダンボールも役に立ってくれるだろう。
 後は建物なら壁際まで近づいて透視で中を確認できるだろうか?
 パワードスーツとか、特定の鍵になりそうなのがないか見てみようと、そんな事を胡桃は考えていた。
 ……そして、そんな胡桃たちとは全く違う視点から捜索をしている者もいた。
『ダメ人間に見える』佐藤 美咲(p3p009818)である。
「裏社会の入り口なんて遠いようで近いものでス。海外の友人に届け物を頼まれ、税関で止められたと思ったら中身がヤバい薬だったーなんてありふれすぎてあるある話のレベルでスからね……んで、そうなる前に元凶が消えてるから遠いように感じるだけってことでス」
 そう、「そういうもの」だと美咲はよく知っていた。
 落とし穴なんて、意外と身近にあるものだ。
 太陽だけ向いて歩いていれば、気付かないのは当然といったところだろうか。
 穴を掘った人間が悪いのは間違いないが、穴を掘った人間からすれば「穴に落ちる隙がある奴が悪い」のだ。
 ともかく、それを知っているからこそ美咲は怪しそうな店舗や倉庫などの裏路地に入ってのゴミ漁りをしていた。
(……20人もいれば痕跡を全部消すなんてとてもやってられませんし、かと言ってゴミをわざわざ遠くに持って行ってたらそれこそ私ら以外に怪しまれるってものです)
 ゴミには情報が詰まっている、と言う者もいる。
 その適法性はさておいても、美咲はそれを躊躇わない。
 主に調べる内容は「表に見えるスタッフの人数以上にゴミが出ていないか」「変なメモが入ってないか」「今回以外の商品に関係する物がないか」などだ。
 1つでも何かが引っかかればビンゴというものだ。
 そして浮浪者に変装するのも忘れはしない。綺麗な恰好でゴミあさりは似合わないし、それが適した格好だからだ。
「……ん。これはこれは」
 美咲がそうして何かの情報を掴んで、各自が打ち合わせた場所に集合していく。
 そんな中、エステル(p3p007981)は思う。
 誰もが幼い頃のまま、純情可憐に正しく生きて大人になれる訳ではない。
 しかし、だからといってそれが許容されるわけでもない。
「ノルダインやヴィーザル地方に渡ると厄介です。争いの種はここで絶やさないと」
 その死を以て、せめて鉄の闇がかつての誰かを呑み込む前に……。
 そうなる前に、此処で全てを絶たなければならないのだ。

●思い出は美しいままに
 夜。1つの倉庫に、犯罪組織プルートのメンバーが集まっていた。
 元々プルートは大きい組織ではない。
 しかし、そんな彼等の一世一代の大仕事。それがこの軍事情報の横流しだった。
「……これだ」
 渡されたケースの中身を確かめると、運び屋エイスは頷く。
「オーケイ。ガセの類じゃないようだ。報酬だ、確かめな」
「俺が言うのもなんだが……分かんのか?」
 金の入ったケースの中身を確かめると、プルートのボスは興味本位でそう聞いてみる。
 返ってきたのは、笑い声だ。
「そりゃあな。騙されてゴミを掴まされました、で真っ先に殺されるのは俺だ。この仕事にはな、誰よりインテリジェンスである必要があるのさ」
 それで取引は終わり。軍事情報も何処かに運ばれていくのだろうが……そうはならない。
「さあ、狩りの時間だ」
 ジェイクのデッドエンドワンが輸送用の車両を壊し、爆発音が響く。
 何事か、と状況を確かめる前にエステルの声が響く。
「あなたが運んでいるのは、御禁制の資料でしょう? 危険の運び屋はここで終わりです」
「くっ……おい、取引を掴まれてたのか!? この間抜けが!」
 エイスがそう叫ぶが、プルートのボスとて訳が分からない。
 だが、エイスの仕事は此処からなのだ。なんとか逃げようとルートを探し……しかし、エステルの感情希薄の淡々とした声が焦りを加速させる。
「運ぶ先はノルダイン? 鳳圏? アドライステイア? どこでも碌でもないことに変わりませんが」
「……言うと思うか」
「巡り巡って、貴方を大切に思っている方が、渡した資料の武器で死ぬことになっても、後悔はないと?」
「そんなもんは武器を作る奴に言いな。俺はただの運び屋だ」
「誰が貴方にその資料を横流ししたのか言ってください。今ならまだ……」
 エステルはゼシュテルの生まれである。
 今までの人生は決して明るいものではなかったが、今は生まれた国に戻れて、知り合いも数人出来た。
 だからこそ思うのである。
 争いはないに越したことはないと。
 武器の恐ろしさを知っている。争いの悲しさを知っている。
 争いの後に敗者を襲う理不尽は身を以て理解している。
 故にエステルの、エイスに対する口調は感情を宿さず、冷たくなるのだ。
 しかし、そんなものはエイスには関係ない。勿論、プルートの構成員たちにもだ。
「くそっ、何してる! 早くあいつらを……うおおお!?」
 プルートの虎の子のパワードスーツが、ジェイクの攻撃に耐え兼ね爆発炎上する。
「ほらほら、女子供に銃使わなきゃ相手できない弱虫はどこかなー。そんなへたくそな銃撃より殴った方が速くない?」
 プルートの注目をわざと集めるように動くロゼットの挑発も絶好調だ。
「弱い者いじめもできないなら荒事は廃業しなきゃだねえ、向いてないよ、君」
 ヒラヒラと動くロゼットだが、それをプルートのメンバーにはどうにもできない。
 何故なら、この場にいるのはロゼットだけではないからだ。
「人為的に引き起こされる落雷というものをお見せしよう! 受けろ! 天槌裁華!」
 暴れ回るマリアを止められる者もおらず、プルートは早々に壊滅寸前になる。
 そんな混乱の中をエイスは脱出しようとするが……それは出来ない。
 何故ならば、今回の「目的」はプルートというよりも……むしろ。
「あなただけは……見逃せません。ごめんなさい」
「どうせ逃げようとするだろうと思っていました、そうはさせません」
 リディアが、そしてオリーブがエイスに武器を向ける。
 何を言おうと何をしようと、所詮はその場しのぎの欺瞞と詭弁だとオリーブは割り切っている。
 だからこそ殺意にいささかの揺らぎ無く。リディアもそれは同じだった。
 ……そうして、エイスもまたその場で生を終える。
 その光景の中、胡桃は思う。
 ヒトの心は移りゆくものと、知っているはず。
 それでも、確かにそこにあった思い出の美しさを、否定する事は、きっと……。
「……これで少しでも治安がよくなってくれるといいね」
 そんな胡桃の心情を察したわけではないだろうが、マリアがそう呟く。
 その視線の先では、いつから居たのか依頼人がウインクをしているのが見える。
 きっと、この事件は何らかの不幸な事故で片づけられるのだろう。
 そんなものでは決してない、血なまぐさい夜。
 それでも、そう、それでも。
 どうか……思い出だけは、美しいままで。
 誰もが、そう願わずにはいられなかった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

コングラチュレーション!
見事に取引を潰しました!

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