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シナリオ詳細

文学少女連続殺人事件

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●これでもない
 ざあざあ、と音が鳴る。
 降りしきる雨の中。倒れた1人の少女と、レインコート姿の何者かが立っている。
 何者かの手には、凶悪な形の刃物。
 滴る血は、雨で拭いさられていくが……何が起こったのかは、その現場を見れば一目瞭然だろう。
 散らばった荷物。その中から一冊の本を取り出し、その何者かは息を吐く。
 正体を隠す為なのか……その顔には、青銅製の道化師のような仮面がつけられている。
「……違う」
 何が違うというのか。
 その何者かは本を投げ捨てると少女の近くに跪き……「お前ではなかった」と囁く。
「だが、似ているお前も悪いんだ。似ていなければ、お前を殺さずに済んだものを」
 なんと勝手な理屈だろうか。
 しかし、その何者かの中では完璧な理屈であるらしい。
 被害者と加害者はその何者かの中で完全に入れ替わり、さめざめと泣き始める。
「ああ、何処にある。何処にいるんだ。必ず居るはずなんだ。見つけなければ」
 そう言って、その何者かはふらりと何処かへ去っていく。
 そこには少女の死体と散らばった荷物だけが残されて。
 しかし、官憲の捜査をもってしても……3人の少女たちを殺した犯人の行方は、未だに掴めていなかった。

●犯人は何処に
「お仕事です」
 チーサ・ナコックはそう言うと4枚の絵姿を取り出した。
「ここ最近発生している文学少女連続殺人事件の被害者です」
 文学少女連続殺人事件。
 それはこの事件の通称であり、事件の内容を示す適切な言葉でもあった。
 この数週間の間、図書館帰りの少女が襲われ殺される事件が連続で発生している。
 被害者の特徴は金色の長いストレートヘアと、眉の上で切り揃えた前髪、そして飾らない……もっといえば少し野暮ったい感じの服装の、控えめな空気を纏う10代から20代の少女。
 彼女達は決まって「とある図書館」からの帰り道で襲撃され、荷物をぶちまけられて死んでいる。
 目撃者がいない事から、少女が1人になるタイミングを狙って殺しているようだ。
 ……なにしろ、日々何らかの騒ぎが起こる鉄帝だ。
「多少怪しい」くらいでは人の記憶にも残りはしないし、人の目につかない場所など山のようにある。
 官憲も裏通りを中心に捜査をしていたのだが、それでも4人目の被害者を出す結果になってしまった。
 しかし、官憲もまるっきりの無能ではない。この事件の手掛かりとなるものは、すでに見つけている。
「……それがコレです」
 透明な袋に入れられた一冊の本。
 見た目はただの本に見えるが……実際には、禁止された薬物を練りこんだ危険な代物でもある。
 これは鉄帝の別の図書館でも発見され……どうやら、本という形で違和感なく取引を行うという、あまりにも大胆不敵なことをしているようなのだ。
 そしておそらく、その本を本好きの何処かの少女が借りて行ってしまったのだろう。
 それがこの事件の原因であり……すでにその少女は見つけ出し、本は回収してある。
 だが、犯人は当然それを知らないし納得はするまい。
「……というわけで、犯人を炙りだしてほしいのです」
 相手は凶悪な犯罪者であり、しかも誰かを殺すことにためらいがない。
 ならばここはイレギュラーズの出番。つまりは、そういうことなのだ。

GMコメント

というわけで事件を解決しましょう。

●事件状況整理
被害者は4人。全員が金髪ロングの姫カット、服のセンスは地味目でちょっとセンスのない控えめ少女。
犯人は被害者をめった刺しにしたうえで荷物をぶちまけている(何かを探している?)
被害者は全員「とある図書館」からの帰り道で襲われている。
目撃者は無し

●現場周辺情報
・ファルス図書館
ちょっと奥まった場所にある隠れ家的図書館。
鉄帝の毎日の喧騒から逃れ静かな空間を提供しようと思ったら、こんな場所になりました。
2階建ての石造り。希少本なども多数。
・現場周辺の道
裏通りがいっぱい。怪しげな店もたくさんです。犯人が潜んでも分からないかもです。

●事件のキーアイテム
・青銅のからくり道化師
青銅製のからくり道化師が動き出し人を襲う!?
事件の謎を名探偵が追う前にぶっ殺されるマーダーパニック。
探偵が終わりごろにはしれっと生き返って犯人を指摘する……なんだこの本。
紫色の表紙に金字刻印の、ちょっと手に取るのに勇気がいるタイプの本。
実際には発行されていない本であり、危険な薬物が練りこまれた「取引用」の代物。
囮用に偽物が今回、一冊用意されています。

●犯人
仮名称「青銅の道化師」。
人目につかない場所で相手を刃物でめった刺しにすることが分かっています。
恐らく何らかの隠密技能持ちでもあるでしょう。
部下がいる可能性があります。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はC-です。
 信用していい情報とそうでない情報を切り分けて下さい。
 不測の事態を警戒して下さい。

  • 文学少女連続殺人事件完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年10月11日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

レッド(p3p000395)
赤々靴
オリーブ・ローレル(p3p004352)
鋼鉄の冒険者
マリア・レイシス(p3p006685)
雷光殲姫
ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)
私の航海誌
アーマデル・アル・アマル(p3p008599)
灰想繰切
緋翠 アルク(p3p009647)
知識が使えない元錬金術師
ムサシ・セルブライト(p3p010126)
宇宙の保安官
リュビア・イネスペラ(p3p010143)
malstrøm

リプレイ

●捜査・青銅の道化師を探して
 青銅のからくり道化師。そう題された紫色の本。
 此処に在るのは、その偽物だが……本物には禁止された薬物が練りこまれている。
「青銅の道化師」の被害者たちは、それを持って行った「可能性がある」から殺されたのだ。
「違法物品を取引した挙句、何の罪も無い人を殺して回る? あんまりにあんまりで、言葉もありませんよ。剣は唸りますけどね」
『鋼鉄の冒険者』オリーブ・ローレル(p3p004352)がそう言うと『赤々靴』レッド・ミハリル・アストルフォーン(p3p000395)も手の中の「偽物の本」を見る。
「本を借りた、それだけで強盗殺人の被害に遭うなんて理不尽っす……」
 本を借りた少女には何の罪もない。
 むしろ図書館をそういう取引の場にした犯人こそ糾弾されるべきなのだ。
 だが、具体的な作戦は囮作戦しかない。
 だからこそ、レッドは考えていた。
 囮を引き受けてくれた仲間に感謝してボクはボクでやれる事。
 図書館周辺と裏路地の地図を入手っす…地図が無いなら事前に歩き回りメモして作るっす。
 そう言って実際に調べたレッドは、この作戦を行う前に地図から犯人を誘き出すタイミングと場所を打ち合わせまでしていた。
「道が枝分かれしていない一本道か袋小路辺りなら、犯人逃し辛いと思うっす」
 そんなレッドの言葉には誰もが頷いたものだ。
 そして、それだけレッドが本気だという証明でもあった。
「ふむ。たまたま借りた本で命を落とすなど、あってはならないことだ」
 幸いにも本を借りた「本物の少女」はすでに官憲によって保護されている。
 しかし、似た容姿の少女がすでに4人も殺されてしまった。
 その事実を思うと『知識が使えない元錬金術師』緋翠 アルク(p3p009647)の心にも怒りがこみあげてくる。
 言ってみれば、「似ている」というだけで4人も殺されている。
「ただの間違いで、しかも犯罪を隠すための人殺しとは身勝手な……! 必ずや犯人を見つけ出して対処せねばであります……!」
 そんな『特異運命座標』ムサシ・セルブライト(p3p010126)の怒りはもっともなものだ。
 そう、4人。もう4人も犠牲者が出ているのだ。
「既に何人も犠牲者が出ている……早くこんな凶行は止めなければ……! 許されることではない……!」
『雷光殲姫』マリア・レイシス(p3p006685)も怒りに身を震わせる。
「犯人のやり方だが……被害者の真正面に現れるようだ。顔は……見ていないな。青銅の道化師の面を着けている」
 過去の事件現場付近の霊と疎通した結果を『霊魂使い』アーマデル・アル・アマル(p3p008599)は仲間たちに伝えていく。
 今回の事件の犯人は仮に「青銅の道化師」と呼称されているが、どうやらその通りの姿をしているようだ。
 他の事については分からなかったが……それだけでも充分な情報だ。
 そしてマリアも事前に事件周辺の地形や囮尾行中に隠れられそうなルート、怪しい店舗等の位置を調べ、頭に叩き込んでいる。
 一般人の町娘風の変装も完璧だ。
 そして『私の航海誌』ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)のファミリアーも、すでに配置についている。
「私が犯人なら、露天商かその客に扮して目的の少女が通り掛かるのを待ち伏せします。だから、犯人の目星をつけることは充分に可能です」
 そう、ファミリアーの目を通してエネミースキャンを使用し人々を確認、一般人以上の強さを持つ者に目星を付けておくつもりだった。
「いくら隠密技能を持っているとしても、視認されている状態から完全に姿を消せるスキルなんて存在しない筈ですからね。怪しい者と囮役をどちらも見失わないために空からの視点に頼りましょう」
「そうだな。現場で待ち伏せならそこへ現れた奴……つまり俺達以外で囮を尾行する者が犯人の可能性が高いが。万一、手下とか、まさかの別件だったりするとアレだしな。空から監視するのは非常に良い手だと思う」
 アーマデルもそう頷いて。
 そして、リュビア・イネスペラ(p3p010143)が仲間たちから囮の本を受け取る。
「青銅のからくり道化師、話としてはボクの好みだし、面白いよね。まあ、現実はこんな真相じゃないことくらいは分かっているつもりだけど」
 リュビアの格好は、金髪のウィッグやそれっぽい服を纏った姿だ。
 そう、リュビアが今回の主役……つまり囮役なのだ。
 故に、リュビアがダミー本を持った上で図書館を出立することでこの作戦はスタートする。
「じゃあ、それを確認しに行こうか」
「危険っすけど後をしっかり見て駆けつけるっすから安心するっす」
 レッドが気合充分な声でそう言って。
 青銅の道化師を追い詰めるための作戦が、始まろうとしていた。

●対決、青銅の道化師
 図書館からの道を、変装したリュビアが歩く。
 時折怪しげな店の方にも興味がある風にして入ってみたりと、そんな行動をしながら。
 その手の中には紫の表紙の本があり、さりげなく……しかし目立つように表紙が揺れる。
 明らかに目立つように動いているリュビアを見失わないように、仲間たちも動く。
 レッドは図書館をリュビアが出た時点から、遠くからリュビアをこそこそ尾行開始していた。
 尾行する際にファミリアーによる上空から地上への観察も怠らないように注意して。
 遠く離れても曲がり角でも見失わないように囮のリュビアとその周囲を監視するようにしていた。
 今はまだ周囲に人が居るが……リュビアが1人になるタイミングでアーマデルの調べた「青銅の道化師」の情報にあたる犯人らしき人間がリュビアに近付いたら挟撃できる道から現場に急行するつもりだった。
 そしてオリーブはリュビアを離れたところから……レッドとはまた違う場所から追い掛け、青銅の道化師が現れるのを待っていた。
 ずっと付いて行くのではなく、時折道を変える等して尾行対象を分かり辛くすることを忘れない。角から覗くなど以ての外だ。
 これは、青銅の道化師に仲間がいる可能性を考えての事でもあった。
(幸い自分は鉄騎種、鉄帝の町に少しは馴染めるでしょう。自分に気付いても向こうは動かざるを得ません。その点は有利ですね)
 現れるようなら先手必勝、逃げられないようにするつもりだった。
 そうしながらも、オリーブは思う。
 今回の「青銅の道化師」事件だが……取引の手の込み方からして、犯人はある程度組織的に行動していると思われた。
 つまり図書館周辺で少女を探している部下がいると考えるのが自然であった。
(囮の姿を見てどこかに行ったりどこかに連絡をするような奴はマークしておきましょう)
 そして一般人風に変装しているマリアもオリーブ同様に青銅の道化師の手先の存在をほぼ確信していた。
 だからこそリュビアから少しずつ離れ、囮役が一人になったと見せかけるつもりだった。
 姿を物陰に隠しつつ、仲間達以外に見つからないように尾行を続けることで、青銅の道化師とその仲間を油断させるつもりだった。
 場合によってはリニアドライブで飛行し、屋根や建物の陰に隠れて追いかける準備も万端だ。
 ……そしてアルクは逆に、今回の現場となりそうな場所の近辺で潜伏していた。
 裏通りには怪しげな店が多いとの事だから、そこに客として「演技」を使用して入っておくという方法だ。
 錬金術もたまにグレーな素材を使うことがあるからな。普通に客として入っている形になってしまうかもしれん、とはアルクの言葉だが……幸いにもそこまで興味を持てるような素材は扱っていないようだった。
 そうアルクのこれは尾行というよりは、あくまで待機だ。裏通りで事があれば直ぐに駆けつける手筈だった。
 ついでに情報収集でも出来ればと入った店の店主と仲良くなってみたが……分かったのは店主が最近地元の酒屋の娘に入れ込んでいるというくらいのことだった。
 だがまあ、まだまだ話足りないらしいので事が起こるまでの時間つぶしにはなりそうだった。
 そんなアルクの居る場所とは別の廃屋には、アーマデルが潜んでいた。
 戦闘予定地付近にあまり固まると怪しまれるかもしれない。
 そんな考えから、予定地となりそうな場所付近の廃屋を選び潜んだのだ。
 残念ながらこのあたりには疎通出来そうな霊はいなかったが……まあ、いいことではあるのだろう。
「酒蔵の聖女、あんたも協力してくれ」
 そんな事を言いながら、今日が気配も音も誤魔化しやすい雨の日ではなかったことに感謝していた。
 ちなみにだが、屋根の上にはムサシも潜んでいる。
 狙撃手として、リュビアが見えるような高所に陣取って、いつでも狙撃できるようにひっそりと目立たないように追跡している。
(犯人かまたは囮の人を襲おうとしている相手が現れたら狙撃……であります!)
 いつでも役目を果たせるように、その動きは機敏だった。
 ……そして、肝心のリュビアは、おかしな視線をチラチラと感じるようになっていた。
 何度も不自然に通りがかる、しかし妙に印象の薄い男。
 路地裏にいる、何処にでも居そうな……しかし、何度も見たような酔っ払い。
 妙に薄暗いものを感じる彼等の瞳にリュビアは「そろそろだ」と感じる。
 どうやら犯人一味の数は……最低でも2人。
 しかし、と思う。
(被害者の少女達もこういう場所とはいえ危ない場所に踏み入るかな……? もしかしたら、興味を引く何かがあったりしたんじゃないかな)
 そんな事を考えるが、今のところ彼女達の興味を引きそうなものはない。
 そして、「また居た」酔っ払いがゆらりと立ち上がり歩いてくる。
 道向こうからは、気配の薄い男。その男はリュビアの目の前に立つと、ニコリと微笑む。
「な、なんなんですか……? ひ、人呼びますよ……?」
 何も知らずに怯えるような演技をするリュビアに、気配の薄い男は大げさな身振りで「いやいや」と苦笑する。
「そう脅えないでください、お嬢さん。私はただの道化師でして。お嬢さんに少しばかり芸を見て頂きたいと思いまして。ああ、お恥ずかしい。少々照れ屋でして、声をかけるのに時間がかかってしまいました」
 目の前にいるというのに、相変わらず気配の薄い男。
 このまま会話に付き合い、確かな証拠固めと時間稼ぎをと考えるリュビアの前で、男は被っていた帽子をトントンと叩く。
「見ていてくださいね、ワン、ツー……スリー!」
 瞬間、男の姿がレインコートを纏い青銅の仮面を被った男の姿に変わる。
(変身バンク……!? でも!)
 突き出される凶悪な形のナイフは、しかし同様に変身バンクで装備を切り替えたリュビアに防がれる。
「酷いね。痛いじゃないか」
「おや……罠でしたか」
 酔っ払いを装っていた男も武器を取り出すが……ムサシのハイロングピアサーがその場を撃って。
 瞬間、ウィズィの叫び声が響く。
「逃げて、リュビアさん! “本物”の本が盗られたら大変ですよ!」
「おやおや、お仲間ですか!」
 勿論デタラメだ。リュビアに逃げてもらう必要もあるはずがない。
 ただ犯人に『今ここで仕留めなければ』という意識を植え付けさせるのが目的の、ウィズィの作戦だった。
 そうしてウィズィは名乗り口上をきめる。
「さあ、Step on it!!  事件を解決するとしましょう!」
 同時にアーマデルも青銅の道化師に逃げられないよう、現場に面した分岐や戸口等の位置を手早く確認する。
 ついに付近の樽や木箱を転がして、簡単に逃げられないようにも工作しておく。
「チーサ殿、謝る時は一緒だぞ!」
 チーサに聞かれたら「ふざけるなです」と言われそうだが、言ったもん勝ちだ。
(やはりサポート役がいたか……! だがそれにしても!)
 まさか青銅の道化師自ら襲撃のタイミングを伺っていたとは、なんと豪胆なのか。
 青銅の道化師に襲い掛かったオリーブを仲間の男が庇い、しかし戦場に飛び込んだマリアが叫ぶ。
「なぜこんなことをするんだ!? 今まで命を奪われた彼女達が何をした!」
「それは私も悲しい! しかし彼女達も悪いんだ! 似たような姿をして似たような場所を歩いているんだから!」
「戯言を!」
 雷装深紅を纏い、雷吠絶華を青銅の道化師へと叩き込む。
「どんな理由があってこんなことをしていたのかは知らない! でもね! 少女達の無念は晴らさせてもらう!」
「ええ、必ず逮捕であります……!」
 そんなムサシの声も響く中、アルクがSPOを発動し毒の薬瓶を生成し、青銅の道化師に投げつける。
「今回はサポートに回るとしようか……!」
 それだけではない。アーマデルのナイトメアミラージュも発動し、ウィズィが青銅の道化師を狙いハーロヴィット・トゥユーを振るう。
「絶対に逃がしませんよ……!」
「ここいらで逮捕っす」
 オリーブも、そしてレッドも加われば……青銅の道化師と仲間1人でどうにか出来るはずもない。
 猛攻の前に仲間の男も青銅の道化師も倒れて。
 転がる仮面を見下ろし、レッドはふうと息を吐く。
「始末しろとは言われてないっすから憲兵に突き出すっす」
 この後、青銅の道化師は官憲の裁きを受けるだろう。
 軽い裁きである事は有り得ない。かなり重い裁きを受けるはずだ。
「仇は討ったよ……意味があるかも、君達がどう思うかも分からない……けれど、どうか安らかに」
 そんなマリアの祈りが、静かに流れていく。
 少女たちの霊も此処にはおらず、けれどその祈りはきっと届くだろう。
 そして、青銅の道化師も……本来であれば命を助ける義理など無い。
 しかし官憲が絞り上げれば取引や関係者の情報が出てくるかもしれないだろう、と。アーマデルはそんな事を考えていた。
「何とも余計な部分に知恵を回したものだ。誰もが安心して図書館を利用できるよう、に……?」
 アーマデルはそう呟いてから「自分らしくない」と首を傾げるが……その「らしくなさ」も含めてアーマデルなのだろう。
「何はともあれ、これで事件は解決……だな」
 アルクが静かにそう呟く。
 青銅の道化師事件、あるいは文学少女連続殺人事件。
 鉄帝を騒がせたこの事件は、こうして幕を下ろすのだった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

コングラチュレーション!
文学少女連続殺人事件、解決です!

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