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シナリオ詳細

<マジ卍文化祭2021>夜妖ガッてしてコスプレ喫茶開こうぜ!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●夜妖を歩く
 しん、と静まりかえった夜の校舎。廊下を進む自分の足音だけが反響する空間を、懐中電灯ひとつきりで進む。
 普段の校舎と異なるのは、沢山の飾り付けやアートが並び、華やかな雰囲気をわずかなりとも残しているという所だろう。文化祭前の活気と、それがぷつんと途切れる深夜の静寂がない交ぜになって、この一種独特な空気を作り出している。
 足を、止める。
 ある教室の前だ。
 コスプレ喫茶と書かれたプレートが飾られた教室の扉は閉じられているが、奇妙に黒い煙めいたものが漏れ出ていた。
 引き戸に手をかけ、開く――その瞬間に、その者は内から伸びた黒く長い無数の手に掴まれ、引きずりこまれた。
 ……落ちた懐中電灯が、壁だけを照らしている。

●レッツ、マジ卍!
「レッツ、マジ卍!」
 章タイトルと全く同じことを言って、卍のポーズをとる『希望ヶ浜学園校長』無名偲・無意式 (p3n000170)。
 去年使ったらしいアイドルめいたジャケットを羽織りハチマキをつけた、昭和バブルに魂を置いてきたみたいな格好の校長がそこにはいた。
 普段は不吉の権化みたいな顔と雰囲気をまき散らす彼も、文化祭となればその役をきちんと演じてくれるらしい。まるでそういう契約をした悪魔のように。
「諸君、マジ卍文化祭が開催される。そう、生徒たちから募集し投票することで民主的に決定したこのマジ卍文化祭はマジ卍をスローガンに掲げたマジで卍な祭りなのだ」
 途中から自分でも何言ってるのかわかってないみたいな顔で言い切る無名偲校長の前には、複数の生徒や教員。
 ただの生徒たちではない。この学園に『特待生』として招かれたローレット・イレギュラーズたちだ。
 そして場所は、学園の校長室。
 このシチュエーションは、例え相手が浮かれきった格好をしていてもわかる。
「その顔……そうだ。夜妖を、退治して貰う」

 文化祭を控えた学園内は活気づいているが、そんな空気を滅茶苦茶に破壊するであろう脅威が迫っていることを、彼らはまだ気付いていない。
 そして、『気付かせないまま』平和な日常を維持しなければならない。ここはそういう町なのだ。
「教室のひとつが異空間化している。生徒にはガス漏れゆえの点検と称して教室とその周辺への立ち入りを禁止しているが、祭りの空気にうかれた彼らが一日以上おとなしく出来るとは思えない。至急現地に向かい、異空間の核となっている夜妖を退治してもらいたい。それも、秘密裏に」

 コスプレ喫茶予定の教室には『ヨクバリ』という夜妖が現れている。
 人間に似た黒い影でできており、無数の腕を生やし人間をとりこみ物品や部位を奪い尽くすという怪物である。常人がつかまれば生きて帰るのは難しいだろう。
 が、戦闘能力をもつイレギュラーズたちなら話は違う。
 異空間化した教室へ自ら飛び込み、この『ヨクバリ』たちを倒し尽くすのだ。

「それと、だな。異空間化の影響でこの教室を使うはずだったコスプレ研究会が体調不良のうえ入院している。命に別状のある様態ではないが、少なくとも祭りに出るのは難しいだろう。
 既に飾り付けや服の用意は済んでいるにも関わらず、このまま閉鎖してしまっては勿体ない……。お前達の手で、コスプレ喫茶を一日運営して貰いたい。できるな?」
 そこまで話してから、無名偲校長は神妙な顔つきになった。
「たかが祭りと侮るなよ。『祭り』とは本来、人間が現実を享受するために行われる儀式だ。
 この街で言うなら、『平和な希望ヶ浜地区』という夢を現実のものとして信じるために、祭りの浮かれた空気は必要となる。
 もしこれが不穏な理由によって少しでも傷つけば、そのほころびは彼ら自身の不穏となって街を蝕むだろう。
 何の脚色もなくお前達は――『街の平和』を守っているんだよ」
 頼んだぞ、と念を押すように言うと、無名偲校長はダンスの練習に戻った。

GMコメント

●オーダー
 夜妖を倒し、コスプレ喫茶を開きます。

・ばとる
 夜妖は複数体現れ、こちらを掴んで引きちぎったり振り回してあちこちに叩きつけたりと言った攻撃方法をとりますのでぶち殺してください。

・コスプレ!
 はい本題いくよ!
 コスプレ喫茶には多種多様なコスプレ衣装が揃っており、これらは学園の同好会であるコスプレ研究会が用意したものであります。市販品から手作りまで様々。身体のサイズにはすぐに合わせられるのでご安心ください。
 お好みのコスプレ衣装を着て店に出ましょう。
 『俺はコスプレより裏で料理を作っていたいんだ』という方はそちらのポジションについて頂いても構いませんが、『私たち全員がコスプレでホールに出るわ!』という攻めの姿勢でも全然OKです。無理に裏方をわりふらなくていいってことですねやったぜ早くみんなのコスプレみせて。

 客は校内校外あちこちからやってきます。コーヒーやケーキを出します。あとは決めていないので要素を好きなように決めて追加してOKです!

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

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●希望ヶ浜学園
 再現性東京2010街『希望ヶ浜』に設立された学校。
 夜妖<ヨル>と呼ばれる存在と戦う学生を育成するマンモス校。
 幼稚舎から大学まで一貫した教育を行っており、希望ヶ浜地区では『由緒正しき学園』という認識をされいる裏側では怪異と戦う者達の育成を行っている。
 ローレットのイレギュラーズの皆さんは入学、編入、講師として参入することができます。
 入学/編入学年や講師としての受け持ち科目はご自分で決定していただくことが出来ます。
 ライトな学園伝奇をお楽しみいただけます。

●夜妖<ヨル>
 都市伝説やモンスターの総称。
 科学文明の中に生きる再現性東京の住民達にとって存在してはいけないファンタジー生物。
 関わりたくないものです。
 完全な人型で無い旅人や種族は再現性東京『希望ヶ浜地区』では恐れられる程度に、この地区では『非日常』は許容されません。(ただし、非日常を認めないため変わったファッションだなと思われる程度に済みます)

  • <マジ卍文化祭2021>夜妖ガッてしてコスプレ喫茶開こうぜ!完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年10月06日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

オリヴィア・ローゼンタール(p3p001467)
鋼の拳
炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子
茶屋ヶ坂 戦神 秋奈(p3p006862)
音呂木の蛇巫女
ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)
私の航海誌
メイ=ルゥ(p3p007582)
シティガール
ブレンダ・スカーレット・アレクサンデル(p3p008017)
薄明を見る者
ニル(p3p009185)
願い紡ぎ
エーレン・キリエ(p3p009844)
特異運命座標

リプレイ

●夜妖をガッとしろ
「ククク我は強欲の泥。不安と恐怖の権化な――」
「くらえーーー!」
 貴様に50字以上の尺は与えない。そんな炎の意志と共に『全裸よりエロいしちがつ服』炎堂 焔(p3p004727)のほむほむドロップキックが炸裂した。
「権化な――」
「成敗!」
 『宙立パイスー学園』オリヴィア・ローゼンタール(p3p001467)の鉄帝バックドロップが炸裂した。
「権――」
「鳴神抜刀以下略」
 『露出NGの男』エーレン・キリエ(p3p009844)があのあれなんでいうんだろう刀しゃきんてやるとすぐめっちゃ斬れるアレ(無拍って言葉があるよ)をした。
「あの――」
「にるるーんぶらすたー!」
 『今日だけ性別不詳美少女ってことになりませんか』ニル(p3p009185)が両手でキュッてハート型作ってビームを撃った。
「ちょ――」
「死ねぇぇぇぇ!」
 『エロゲーには逆にいないタイプの女騎士』ブレンダ・スカーレット・アレクサンデル(p3p008017)がバス停をその辺から引っこ抜いてきてブンッてした。
「あ゛ーッ!」
「ア゛ーッ!」
 『時と場合によって腹筋の割れ具合が違う』ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)が相手の鼻筋のあのちょっとでっぱってるとこあるじゃん男性特有のあのでっぱりあそこを指輪した拳でゴッてやった。
「ま゛ーッ!」
「マ゛ーッ!」
 『大体なんでもあるのにゴシックメイド服の全身図がそういえば無い』茶屋ヶ坂 戦神 秋奈(p3p006862)が国語辞典のあえて平たいところで相手の横っ面のそれも耳んところをボンッていた。
「一度でいいから最後まで喋ら――」
「メイルゥコメットー!」
 『チャリの籠めっちゃデコってそう』メイ=ルゥ(p3p007582)が自転車すげー勢いでこいで相手を撥ねた。
 グハァといいながら落ちた夜妖が震えながら手を上げる。
「この私を倒しても第二第三の――」
「「おらー!」」
 八人で囲んで一斉に片足でガッガッてやったら夜妖がなんか溶けて消えた。
 キリッとした顔で振り返るエーレン。
「これも民のため……俺たちの勝利だ(イケボで)」

●ここからが本番
「これも民のため……(イケボで)」
 キリッとした顔で振り返ったエーレン。時間が全然進んでないじゃんと思った皆はカメラを引いて見よう。
 エーレンがはりんぼりんでふりんふりんのミニスカメイド服姿になっていた。
 キッチリと手首までを覆った長袖にもう黒としかいいようのないデニールしてるタイツで手足の露出をカットしつつも彼のなんていうんだろうしなやかさと力強さを兼ね備えた筋肉と骨格をここぞとばかりに布のラインで見せつけてくるっていう斬新な姿がそこにはあった。
 あとなんだろう。膝の、特に内モモの筋肉が発達してたせいであの女性モデルがやるキュッとした立ち方ができなくて今にも居合い斬りしそうなフォームになってるのが非常にリアルかつ斬新だった。その辺の子に着せてもこうはならないっていう貴重な珍味みたいな何かがあった。
「『似合わないコスプレでしか摂取できない栄養がある』……か、なるほど……」
 フッと渋みのある声(イケボ)で笑うエーレン。
 笑ってから、手に持ったトレーを一回地面に叩きつけた。
「そんなわけがあるかっ」
「おちついて! 今日は男子要素がエーレンひとりだけなの! エーレンがやらなかったら誰もこれをやってくれないの!」
 後ろから羽交い締めにする焔。これまで数え切れない程の服を着てもはや逆にやってないコスプレがないんじゃないかって所まできた彼女だが、若干ひねって和風給仕の服を着ていた。矢絣模様の上着が目にも鮮やかである。
「ニルがいるだろうっ」
「あの子は今日は名誉美少女なの! ほら見てあれ!」
 羽交い締めにしなが指をさすっていう器用なことをする焔。その方向を見ると……。
 ――シャッと更衣カーテンが開く。
「どうですか? 似合いますか?」
 ぴょこぴょこと上下に動く、折れたバニー耳。
 黒いレオタードとは別に首には単体の襟。手首にはカフスのついた袖。
 彼らしさというべきか彼のセンスというべきか、腰には薄い水色のパレオめいた布が揺れていた。
 健康的で可愛らしい、ほっそりとしたやわらかそうな足が伸び、手足も腰もそのなんとも言えない細さと――あっ今見たら執事服って書いてある! まって勢いのあまりバニースーツ着せちゃってるじゃんやり直しやり直し!
 ――シャッと更衣カーテンが開く。
「どうですか? 似合いますか?」
 ぴょこぴょこと上下に動く、折れたバニー耳。
 黒い執事服にはウサギをモチーフとしたカフスや金のボタンが備わっている。
 彼らしさというべきか彼のセンスというべきか、ネクタイと胸ポケットからちらりと見えるハンカチには薄い水色の布が使われていた。
「ウサギの執事さんです。……あれ? いま、知らないうちに知らない服を着せられたような……」
「ね?」
 同意を求める焔に、エーレンは頷くしかなかった。ニルにメイド服着せても可愛いメイドちゃんになるのは明白である。
「普通に接客もしちゃうかんね?
 これでも私ちゃん美少女なんだぜ?
 ぽんこつでもまじめにやればただの美少女になっちゃうんだなコレが。
 ……って誰がぽんこつだ!」
 自分で言って自分でツッコミを入れる秋奈。
 過去のバリエーションにもあった和メイド衣装である。メイドはメイドだが見た目の派手さのせいでかぶらないという優れた衣装である。
 和つっても年代によって色々あるが、大体大正時代のいきなりカラフルに花開きつつもサイケデリックカラーをさけて目に優しい和色で整えた華やかな柄の和服とナイロンによるフリルという組み合わせである。
「今のはちょっとした好奇心だかんね!
 か、勘違いしないでよね!(作られたツンデレ)」
 そして秋奈と焔ふたりの視線がキッとブレンダに集中した。
「ブレンダせんせー! ふりふりメイド服着るんですよね!?」
「ミニスカなんですよね!?」
「あ?」
 サラシ。ハチマキ。ボンタンズボン。特攻服。背には『強行突破』の文字。
「オーダー通りに着たぞ」
「「どこもオーダー通りじゃない!!!!!!」」
 抜け殻となったメイド服を地面にぺしゃあっと叩きつける焔たち。
 オラァと言ってほむほむドロップキック(本日二度目)でブレンダを更衣個室に突っ込むと、あとからメイド服を投げ込んでカーテンを閉めた。
 ドラムロール。
 最後にジャーンという音と共に開いたカーテンの向こうには……。
「着たぞ」
 バッキバキに燕尾服のブレンダがいた。
「「着゛て゛な゛い゛!!!!」」
 二人は『う゛ー!』て顔をしたが、それ以上お着替えタイムはこなかった。

 すっごい忘れてるかもしれないが……。
「コスプレで一番を目指します。コスプレ研究会の無念を晴らし、供養となることでしょう」
 オリヴィアは更衣カーテンの裏で呟いた。そうこれが今回の目的……いや違う。コスプレ研究会死んでない。
「こういう場ではバニーガールの格好がウケがいいと聞きました」
 バニーのカチューシャをがしょーんと装着し、いつもの格好から腕と脚の部分が消えたようなスタイルでキリッと振り返るとカーテンを開いた。
 ウサギの耳と元々ついてたオリヴィアのヘッドセットとついでにアンダーフレームの赤眼鏡が合わさって属性の過積載トラックと化したが、元々普段からぴっちりしたスーツで鍛えた肉体を見せつけていたクチなので全然問題無いらしい。
「私はこれでOKですが……お二方は?」
 そう言って振り返った先では、ウィズィとメイがハンガーからあれこれ衣装を選んでいる最中だった。
「何がいいですかねえ、メイド喫茶?」
「それはカフェローレットでしているので違う服がいいのですよ」
「バニーはもういるしミニスカメイドも和メイドもいるし……」
「あえての男装コースはもうブレンダさんがやっているのですよ。あの人はあとでフリフリメイドに変えてやるのですよ!」
 不穏(?)な相談をしながら選び取ったのは特攻服。ブレンダつながりなのかそれとも元々頭にあったのか。
 ウィズィは特攻服の背中にぺったりとはれる熱転写式の文字シートを箱から沢山出してきた。熱転写といいつつ、貼り付けて魔法のアイロンをしゃーってやると染め抜きしたみたいに色がうつり魔法の消しゴムで消えるとかいう便利仕様である。流石コスプレ研究会。
「折角だから格好良い文字を背負いたいですねえ。“ビッ”と“キメ”た感じの……」
「むむ、じゃあウィズィさんを不良さんに、メイは番長さんになって……」
 コレを背負うのですよ! と言いながらシートのひとつを学ランの背に合わせた。
 『腹筋崩壊』て書いてあった。
「筋肉っぽくてバイオレンスな字面なのですよ! きっとニヒルで不良っぽいのですよ!」
「たぶん真逆の意味ですねそれ」
「じゃあこれは? 難しい漢字があって強そうなのです! きっと硬派な感じになるのですよ!」
 『鬱』て大きく書いてあった。
「それも真逆のやつだね!」
「じゃあ……」
 『交通安全』『一日一善』『麻婆豆腐』というシートを次々に並べていく中、ウィズィはふとかわったシートを見つけた。
 『guests is god is dead』とあった。えいごが苦手な人が書いたっぽくてなかなかイイが、背負うには重すぎる文字な気もする。
 色々迷ったあげく『肉食女子』という文字を二人で背負ってみることにした。
 メイも「おにくすきなのですよ!」とか言ってたからきっと問題無いはず。
「髪型は校長先生の真似っこするのですよ。校長先生、すごく不良っぽいので!
 知ってないと借金取り立て屋さんとか、そんな見た目だと思うのですよ」
「絶対校長って立場に向けられる評価じゃないですよねそれ」
 二人は上着にスッと腕を通し、そしておそろいのハチマキをした。

●コスプレ喫茶開こうぜ
「いらっしゃいませ、ご注文をどうぞ」
 おせくしーなポーズで客を出迎えるバニーオリヴィア。
 度量が広いのかそれとも自信の表れなのか、向けられる視線にも堂々としたものだ。
 もっと堂々としているのは、なんか両手にパーティー用のオードブル皿を四つくらい乗せている姿勢である。とんでもないパワーだ。
「ンだよテメェ、また来たのかよ!? ……茶ァくれぇしか出ねぇぞ」
「ご注文はなんですかコラァなのですよ!」
 睨みをきかせ謎のツンデレを演じるウィズィとサングラスをして精一杯ワルを演じてみるメイ。
「テメェ、誰にコナかけてんだコラァ! そいつは俺のだ……ッ」
とか喧嘩を売って
「その注文はメイのものなのですよ!」
「お前に!あいつを幸せにできんのかよ!」
 女性客をとりあってにらみ合う演出つき。
 メイがぐるぐるパンチをして軽くもみあった後、友情をたしかめてガシッと握手をかわすまでがセットである。
 そんな中に立たされた、エーレン。
「お待たせいたしましたご主人様、特製ホワイトオムライスでございます」
 ズオーンという効果音がなりそうなくらい堂々とした立ち姿のエーレンが、テーブルに皿を置いてから仁王立ちしていた。
 そして、ゆっくりと空を大きくかくように、呼吸を整えながら胸の前に両手をもっていくように構える。
「美味しくなァれ、萌 え 萌 え き ゅ ん ☆(イケボ)」

「エーレン様、なんだか気合がすごいのです!
 気合たっぷりのおまじない、きっとおいしくなりますね」
 めっちゃ写メられてるエーレンを長め、ニルは両手を胸の前でグーにしていた。
 そして別のテーブルに「おいしくなぁれ」をやっていると……。
「お、おい! 私の衣装がないぞ!」
 キッチンエリアの更に奥、衣装を置いていたエリアからブレンダが顔だけにゅっとだしてきた。
「あれれ? ブレンダ様、用意していたお洋服が見当たらないのですか? けどそこに……」
 ちらりと見ると、カーテンのすぐそばに『ぶれんださんへ』て書かれた箱があった。
 それをなんとか掴んでカーテン内に引っ張り込むブレンダ。
 しばらくしてから……。
「これはどういうことだ!?」
 フリッフリなメイド服に身を包んだブレンダが現れた。
「似合うよブレンダ先生! 『一緒にお写真サービス』も始めても大丈夫だよね! 早速ご指名が――」
「できるかァ!」
 窓をあけてバッと飛び出したブレンダ。
「逃げたよ秋奈ちゃん! つかまえて! そして強請って!」
「オッケオラァ!」
 その両足をガッと掴む秋奈。
「いやぁ、ブレンダちゃん先生かわいいとかわいいで、可愛すぎ罪かよー!」
「HA! NA! SE!」
 校舎の窓から両足もって吊されるミニスカメイドとかいうとんでもない絵面だが、そこはブレンダ。腹筋つかってぐいんって身体を起こしてスカートの前後を抑えるとかいうアクロバティックな姿勢をとった。
 上下にぶんぶん振ってみるがその姿勢は完璧に維持された。
「あっ、こいつしぶといよ焔ちゃん! ゆすってもびくともしない!」
「秋奈ちゃん『強請る』ってそういうことじゃない」

 その後、色々諦めたブレンダやノリノリのメイたちによってチェキチェキするサービスが行われ、メイド喫茶は大繁盛したという。
「ぴ、ぴ~す」
 顔を真っ赤にして目をぐるぐるにしたブレンダがメイドダブルピースするチェキ。
「こいつを頼んだぜ、“約束”だ」
「不良さんはこういう感じなのですよね! メイ、漫画で読んだのですよ!!」
 それっぽい不良ポーズで一緒にチェキるウィズィとメイ。
「さあ今度は一緒にやりましょう! せーの、おいしくなぁれ――」
「萌 え 萌 え き ゅ ん ☆☆☆☆☆」
 二人で片手ずつ出してハートを作るニルとエーレンのチェキ。
「ポーズのご注文をどうぞ」
 なんでもござれな顔で客の求めたポーズをしてみせるオリヴィアのチェキ。
「皆喜んでくれたね。大成功!」
「ブレンダメイドちゃん先生も見れたしな!」
 二人で両腕をつかってでっかいハートを作る焔と秋奈のチェキ。
 そんな思い出写真が壁一面に貼り付けられ、コスプレ喫茶は幕を閉じたのだった。
 めでたしめでたし!

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 あとで写真は郵送されたそうです

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