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シナリオ詳細

<大樹の嘆き>『枯渇の女王』浄化クエスト(1/?)

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●『枯渇の女王』が飛ばされた先が最悪だった件
 おかしい。私は植物達と仲良くしたかっただけなのに。
 おかしい。そもそも、私は植物の生育に最適なアクセスファンタズムを手にしていたはずなのに。
 おかしい。私はそもそも――――だったのに。
 なぜ私は『枯渇の女王』などという名前で呼ばれているのだっただろう……?

 今私は、翡翠から突如弾かれ(排斥され、ではない。システム的に『弾かれ』て国境線に飛んだのだ)、砂漠と緑の際とを行ったり来たりしている。
「どうしましょう……私はただ植物と触れ合っていたかったのに、何故突然こんなところに飛ばされてしまったのかしら?」
 突然の状況に戸惑うことしかできなかった私は、しかしいつまでも嘆いていられず、ゆっくりと国境をうろつきはじめた。それが3日前。
 それから、『砂嵐』……というのだったか、混沌ではラサと呼ばれた地の民がこちらを狙おうとして、何故か疲弊して逃げていった。
 それと『翡翠』の国境警備隊が現れ、矢を射掛けてきたがその枝ごと萎れて途中で落下してしまい。堪りかねた彼等も撤退を選んでしまった。
 それから、それから……色々あった結果、今双方の手練が現れ、自分を挟んで睨み合っていた。
「その女は我が国を荒らし回った重罪人だ。此方で裁く権利がある。よそ者にやる訳にはいかない」
 国境警備隊のいち部隊を任された勇猛な女、ヴァン・ブリューゲルは竹槍に竹で編んだ鎧を着込み、私の方を指して声を張り上げる。何故竹なのだろう? なぜこの区画だけ竹でバリケードが作られているのだろう?
「っせえな、俺達はその女を連れて帰るようにカシラから言われてんだよ。痛い目みてんのは俺達も同じだし、そいつは珍しい。いい見世物になるだろうぜ」
 夜を過ごしたい相手じゃねえけどな! と笑いながら、リッドと名乗った優男がトレンチナイフを手に身構える。
 一触即発といっていい。……私の意向を抜きにして。
「どうしましょう、どちらも鉾を収めてはもらえませんか? 私の近くはその、危ない……」
「承知の上だッ!」
「知ったことかよッ!」
 たまりかねて仲裁しようとしたが、両方から怒鳴られた。ひどくおかしい。
 何故こんな事に鳴っているんだろう、と。私は思わず泣きそうになり。
 そんな時、突如として。
 光とともに、何者かが現れた。
 否、あの人は知っている。
 あの……『お犬さん』だったアバターのことは。

●おかしな話、おかしなNPC、おかしな
「私は知り合いからのメールに添付されていた『クエスト』を確認するためにログインしたんだけど、なんでいきなり確保されてるの?」
「ちょっとユーのクエスト見てビビっと来たからにゃ。それに詳しいヤツを呼んだんにゃ」
 アリス・フェアリーテイル(p3x004337)はぱぱにゃんこ(p3y000172)に首根っこ掴まれ、サクラメント前まで連れてこられていた。どうやら今から移動するらしい。同行者もいるらしい。
「遅れてすまない。状況……というか話は把握した。あの時のバグNPC、何の情報も得られない本物の『バグ』ではなかったのか?」
 そこに現れたのはベネディクト・ファブニル(p3x008160)。どうやら、今回の件について詳しいらしい。というか、アリスの得たクエストの人物に心当たりがあるらしい。
「みたいだにゃ。クエスト名は『枯渇の女王の救出(浄化シリーズ)』。で、その女王ってのがユーが随分前に『ミントクズキメラ』との接触を防いだ謎のNPCで」
「私の知り合い……知り合い? 『混沌』で宿主になってる研究者らしいのよね」
 なるほど厄介な話なのだな、とベネディクトは瞬時に理解した。バグNPCは、実はPCがバグ化したものだったと。そして、名前が判明しているということはバグが緩和されているのか、と。
「前は名前もわからないし繁殖力やべーのとぶつかると破滅的結果が想定できたけど、今は違うにゃ。枯渇能力が緩和されて他人との長時間の接触もできるし、ある程度は状況も理解できてるっぽいにゃ。まー、まだ自分が混沌の人間であることは思い出せないらしいにゃが」
 あと、今回助けても完全回復しないらしいにゃ、とぱぱにゃんこは言い添えた。また関わることに鳴るのか。一同は暗澹たる気持ちを隠しきれない。
 斯くして、イレギュラーズ一同は翡翠-砂嵐国境付近にかろうじて残っていたサクラメントへと飛び……。
「……なっ、リッド――?!」
 その場についてきたリラグレーテ(p3x008418)の思いもよらぬ悲鳴が、砂漠に響くのであった。

GMコメント

 いろいろ絡み合った結果なんだかすごい展開になってきました。

●成功条件
・戦闘終了時まで「枯渇の女王」を守り切る
・砂嵐部隊の撤退
・翡翠国境警備隊の撤退
・(オプション)“絶音”リッドの生存
・(オプション)『バンブージェネラル』ヴァン・ブリューゲルの打倒
・(オプション)バンブーバリケードの非破壊

●枯渇の女王
 実はアリスさんの混沌側の関係者「玖珠来 えみる」のアバターだったもの。登録時の状態と真逆となり、バグNPC扱いで翡翠をさまよっていた。
 実害は『ミントクズキメラと枯渇の女王』参照。
 戦闘中、能動的戦闘行動は起こせないが常時レンジ2以内のすべての味方に『ロスト100、すべての味方の攻撃に「態勢不利」「不吉」を追加』の効果が働く。
 バグNPCのため頑丈ではあるが痛みがフィードバックされているので慎重に。なお、混沌の記憶はほぼない。

●砂嵐戦闘部隊×10
 “絶音”リッド(混沌より若く、トレンチナイフ装備。EXA+反応型先制攻撃最重視)を筆頭とした近接戦闘主体の戦闘部隊。砂地での戦いには慣れており、目潰しなども行う。
 国境警備隊に対しても攻撃をたまにおこなう。そこそこ強い。

●翡翠国境警備隊×7
 『バンブージェネラル』ヴァン・ブリューゲルを筆頭とし、弓・魔法による遠距離と少数の前衛で構成される。
 後衛は脆いとおもいきや、『バンブーバリケード』を突破しないと攻撃が極めて通りにくい特性を持つ。
 なおヴァンは前進竹防具なので物理攻撃にすこぶる強い。
 けど神秘にちょっと弱い。ちょっと? ……かなり。

●バンブーバリケード
 国境警備隊後衛の前に設置された、一方的に狙えるひっでぇバリケード。
 破壊するにはかなりの威力がいる。破壊しないためには、ヴァン含む前衛の速攻撃破と砂嵐部隊の討伐状況が関わってくる。
 無理に壊さないくらいなら壊してしまえこんなもの。

●戦場
 殆ど砂地なので、あしをとられ「足止系列」のBSを被る可能性があります。

※重要な備考『デスカウント』
 R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
 現時点においてアバターではないキャラクターに影響はありません。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • <大樹の嘆き>『枯渇の女王』浄化クエスト(1/?)完了
  • GM名ふみの
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年10月12日 22時20分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

那由他(p3x000375)
nayunayu
アリス・フェアリーテイル(p3x004337)
艶魔
吹雪(p3x004727)
氷神
花楓院萌火(p3x006098)
アルコ空団“風纏いの踊り子”
リュティス(p3x007926)
黒狼の従者
ベネディクト・ファブニル(p3x008160)
災禍の竜血
きうりん(p3x008356)
わるいこ
リラグレーテ(p3x008418)
憧憬の聲

リプレイ


「やあ、久しぶりだね。約束通り、力になりに――」
「なぁんだそれ……笑わせたいのぉ?」
 『大樹の嘆きを知りし者』ベネディクト・ファブニル(p3x008160)が枯渇の女王に挨拶しようとしたタイミングで、彼を抱えていた『大樹の嘆きを知りし者』リラグレーテ(p3x008418)は驚きと呆れ、そしてやや怒りの混じった頓狂な声をあげた。そして、ベネディクトを取り落した。
「おいおい、どうしたリラグレーテ。君らしくもない」
「リッドくん……リッドくん……どっかで聞いたような……まいっか! ここROOだし!」
「私もそれくらい単純な思考が欲しかっ……じゃなかった、ごめんポメディクトさん」
 唐突に取り落とされてふんすふんすしているベネディクトに謝罪をいれつつ、『雑草魂』きうりん(p3x008356)の切り替えの速さにリラグレーテは羨ましそうにそちらを見た。『彼女』はリッドという男に思うところが多々あるのだが、にしたって此方の彼は随分と若い。
「あん? 何ガンくれてやがる……?」
「ねえお犬さん、あの人達怖いわ。私はただ森に行きたいだけなのに、戯れたいだけなのに、ああして襲いかかってくるの」
「わかるわかる……私? も植物と触れ合ったり土地を耕したりしていたかっただけなのに翡翠に入れなくなったからね……同じだよね……!」
「分かってくれて嬉しいわ……きうり? さん?」
(あらあら、えみるも大変なことに巻き込まれたわね)
 ベネディクトに乞うような視線を向けた枯渇の女王の言葉は、きうりんの琴線に触れるものであった、互いに固い握手を交わし合う2人を見つつ、『艶魔』アリス・フェアリーテイル(p3x004337)はやや複雑な表情を見せた。なにしろ、あのNPCの正体は混沌における自分の『宿主』の1人で、研究者だった女である。ログアウト不能どころか、情報改ざんが為されていたとなれば理解の外も甚だしい。尤も、何の因果か数ヶ月越しのメールでそれが発覚したのだが……見つかったからには助け出し、目一杯甘やかそうと決めていた。
「災禍を招くというのも一つの才能なんでしょうか?」
「砂嵐戦闘部隊と翡翠国境警備隊相手に三つ巴の戦いか、これは大変そうだね」
 『nayunayu』那由他(p3x000375)の呆れたような言葉に、枯渇の女王は縮こまったようになってしまう。彼女の意図しない形で混乱が広がっているのは、どうにも不幸としか言いようがないが……『ダンサー』花楓院萌火(p3x006098)は突然のイレギュラーズの闖入に動きを止めた双方(と、にらみ合うリラグレーテとリッド)を見て、状況の厄介さを改めて認識する。ここで話し合いがどうとか、そういった解決は無理だろう。どう考えても。
「このリュティス、全力を持って敵を打ち払いましょう。命が惜しくなければ掛かってくると良いでしょう」
「リュティス、やりすぎない程度に頼むよ。生かしておかなきゃいけない相手もいるから……」
 『黒狼の従者』リュティス(p3x007926)はポメラニアン姿のベネディクトにチラチラと視線を送りつつ、勇ましい言葉で威嚇する。ベネディクトは、彼女の存在を心強く思いつつも、勇ましいあまりに突っ込んでいってしまわないか少し心配になってくる。リッドの生存が果たして成るのか。そればっかりが気がかりだ。
「その女に肩入れするというのなら我等の敵だな。今ここで、その女の不義を貴様等に償ってもらおうか」
「そんなこと言わないでよ! そこの砂嵐の連中はバシーっとやっつけちゃうからさ!」
「ア゛ァン!?」
 ヴァンが竹槍を構えて戦闘態勢を取るのと、きうりんが宙に飛び上がり、砂嵐の一団を指差しながら不敵に宣言するのとはほぼ同時だった。当然のようにリッド達はいきり立つが、なまじ対立軸から三つ巴になっただけに軽々には踏み込んでこない理性があるらしい。
「まったく、女の子1人に対してこんな大勢でよってたかって。話も聞く気はないようだし、そんな人達には一度痛い目にあって貰った方がいいかしらね?」
「話の出来ぬ植物達を枯らして回った女に、対話の姿勢があったかは疑問なのだがな?」
 『氷神』吹雪(p3x004727)の冷静な、そして挑発的な言葉に対し、ヴァンは苛立ちを隠さぬ表情で返す。その言葉に誤りはないのだろうが、その言い方はどうなのか。吹雪は苛立ちを隠しきれぬ様子だったが、即座にそちらに狙いをつけるほど短慮でも無かった様子。
「テメェ等、あのいけ好かねえ耳長はほっとけ。そこの連中を潰して置かねえと寝覚めが悪ぃ」
「あの女に手を貸す連中が目障りだが、手の内の分からぬ相手を無理に責めるのは愚策だ。砂嵐の愚民を散らし、流れであの連中を蹴散らせ」
 リッドとヴァンが各々の部隊に指示を飛ばし、結果として砂嵐に対しイレギュラーズと国境警備隊が対峙する格好を作り出す。とはいえ、国境警備隊がいつ枯渇の女王を狙ってくるかも分からぬ状況だが……。
「しっかり身体張って守ってあげるよ女王様。大丈夫、安心し――!!!?」
 リラグレーテは背に隠れた枯渇の女王に励ますように声をかけようとし、しかし襲いかかった風を察知して長槍杖を掲げた。それでもなお遅かったか、得物を構えた両腕から血が迸る。
「体を張って、なんだって?」
「リラグレーテ!」
「あらあら、そっちを先に刻むのね。無視されるなんて不愉快だわ」
 トレンチナイフを構えステップを踏むリッドの速攻に、ベネディクトは叫ぶ。傍らにいたアリスは、己がまっさきに狙われなかったことに不満げだ。とはいえ、アリスも両者の間で飛び散る火花の意味が分からぬワケでもなし。
「私が瑞々しいきうりだからって水分確保のために食べちゃうつもりなんだ! やだ怖い!」
「ハハッ、その提案は悪くねえなあ! ならご希望どおりカッ食らってやろうかあ!」
 きうりんのあんまりといえばあんまりな挑発に軽々に乗る砂嵐の男たちの姿は、ある種哀愁すら感じさせたが、それは見なかったことにして欲しい。


「女の子の扱いがわかっていない坊や達には教育してあげるわ、かかっていらっしゃい」
「そうだね、女性の扱いはこの際だから教えてあげないとね!」
 きうりんにつられるように間合いに踏み込んだ砂嵐の男達を、吹雪の冷気と萌火の踊りが迎え撃つ。怒りに任せて突っ込んできた者達がそれに抗えるわけもなく、動きを止められ狂乱の中同士討ちを始める……かと、思いきや。突っ掛かってきた面々を盾にする格好で、数名の正気を保った男達が両者の間合いに踏み込んでくる。感情任せの姿を見せた割に、存外と知恵が回る。
「何方にせよ、私の間合いに入ってきたのです。相応のもてなしは致しましょう」
「さあ、どうした! 我が名はベネディクト! この俺を倒そうという気概のある者はいないのか!」
 リュティスは判断力の残る面々めがけ黒死蝶を撒き、足を止めた彼等の耳朶にベネディクトの高らかな宣言が響き渡る。隊長であるリッドを除き、これで判断力は奪われた格好となろうか。この状況で、国境警備隊が彼等を狙えば早々に決着も考えられるが、『狙う』といっても、簡単にことが運ぶわけではない。
「斉射せよ、竹が加護を受けし防人達よ! 足を止めた砂嵐の愚か者を、誰と言わず射抜いてしまえ!」
 ヴァンの居丈高な指揮にあわせるように、バリケードの向こうから魔術と矢の斉射が向けられる。さらに、防衛隊の前衛がヴァン含め迫ると、砂嵐の面々をイレギュラーズごと蹂躙するかのように迫ってきた。いくらなんでも無差別すぎるその攻勢に、共闘できると踏んでいた者達はそろって泡を食った。……まあ、きうりんとリラグレーテ、アリスと吹雪あたりは最初から相手を信用していないワケだが。
「痛い! 砂が目に入った! 矢が頭に刺さった! すごい! 乱戦やばい! 死ぬ!」
「きうりんは簡単に死なないでしょ! そこに転がってる連中を運……ぶ余裕ないよね、分かってるけど!」
「お仲間と陽気に話してる余裕があるなんて、耳長共々とんだ楽天家だな、嬢ちゃん」
「~~~~っ、野良犬が調子に乗るんじゃないよ!」
 死ぬ死ぬ詐欺甚だしいきうりんが翡翠の掃射を自分に向けさせたのはかなりマシだ。だが、リッドはともかく他まで殺さぬよう、死なぬように立ち回るというのは無理がある。
 猛烈な攻勢で以て彼女を追い詰めるリッドは、当然ながらヴァンの振るった槍が掠め、多少なり負傷している。リラグレーテ自身の『虚光』による攻勢を思えば、満身創痍になりこそすれ彼に負ける見込みは薄い。問題は、生かしておかねばならぬことだが。
「ここまでの無理攻めをするほど両方から嫌われてるとか、どれだけのことをしたんです?」
「私は、別に悪いことをしたつもりは……」
「うんうん、悪いと思ってなくても相手にとっては困りごとな話はおおいわよね。大変だったわねえみ……枯渇の女王ちゃんは」
 那由多は殺さば諸共な勢いで襲いかかってくる翡翠の面々の態度に心底疑問を呈しながら反撃を重ねていく。攻勢の威力もさることながら、自己治癒を伴うそれを繰り返す以上、那由多が倒れる可能性は低い。対するアリスは、枯渇の女王をなだめすかしながら、積極的に敵の攻撃を浴びるべく身を躍らせていた。負傷が増えるほどに、残り僅かな体力ではじめて本領を発揮できるためとは言え、やってることは完全にドMのそれだ。
「このまま一気に、貴様等ごとその女も、いけ好かぬ砂嵐の優男も殺してくれよう――」
「――などと、好きにやらせる訳がないだろう? その頑丈さ、試させてもらおう」
 部下の負傷もものともせず、ヴァンは竹槍の投擲姿勢に入り、リッドを狙う。だが、その視界を覆う様に割り込んだベネディクトの『夢幻白光』と打ち合えば、逃れられぬ戦いの気配を嗅ぎ取るだろう。
「キャッチ、よろ……っしく!」
「オーライオーライ、……っと! リッドさんは大丈夫だよ! 治療するから、持ち堪えて!」
 猛烈な攻防の影響で全身から血を吹きつつ、リラグレーテはぐったりとしたリッドを放り投げる。(空中で何故か待ち構えてトスしたきうりんはともかく)わずかに後退して待機していた萌火がそれを受け止めると、彼女はそのまま癒やしの舞踏を舞い、治療に専念する。
「砂嵐の人達、まだ生きてる人はいるかしら? リーダーがあの調子だし、今から逃げ帰ってもいいと思うんだけど?」
 吹雪は混戦状況になった時点で砂嵐への攻勢を止め、翡翠の前衛の掃討にあたっていた。速度と身のこなしに長けた砂嵐より、神秘に決して強くない竹の装備でゴリ押しする翡翠の者の方が御しやすいと判断したのだ。
 当然ながら、イレギュラーズの猛攻と翡翠の介入で生きている、ないし動けるものは僅かだったが……それでも、物事を理解する判断力はあるらしい。
「その女のやったことは許さねえし、殺された連中とリーダーをボコったことは許せねえが、今は貸しにしとくぜ……クソッ!」
「そこまで露骨に悔しがらずとも……ご主人様、ご助力は入用ですか?」
 心からの悔恨を残しながら、リッドを連れて撤退する砂嵐の残党達。手の上で黒死蝶を弄びつつ呆れたように見送るリュティスは、ついでベネディクトに声をかけた。主人が一対一での戦いを始めたのを、無為に介入するわけにもいかず。国境警備隊のバリケード破壊を優先すべきか、という打診だった。
「ああ、ヴァンは俺が受け持とう。相手が逃げないなら、バリケードごと押し潰してやるといい」
「っていうかそこの耳長! バンブーバリケードとか捨ててこっちこない? お腹空かない? きうりん美味しいよ、喉乾かない?」
 ベネディクトがヴァンの猛攻を受け止め、反撃し、苛烈な戦闘を続けている……かたわら、きうりんはあろうことか、バリケードの内側で身構えている後衛部隊へ向けて挑発行為を始めていた。が、バリケードはどうやら挑発の効果すら遮断するらしく、怪訝な目をした防衛隊は彼女めがけて斉射を始めた。
「破壊活動は好きなので、遠慮なく壊させてもらいましょうか」
「さっき思う様攻撃してくれたおかえしをしなきゃね♪ いい感じに傷が増えてとってもいい気分なの♪」
「御主人様の計画に水をさしてくださったお礼をたっぷりと致しましょう。そのバリケードごと」
 ……だが、前衛はヴァンひとり、砂嵐は撤退した状況で、バリケード一枚隔ててイキがってる連中を、地道に闘っていた那由多が、体力が減って本領発揮には言ったアリスが、ベネディクトの計画をことごとく邪魔された苛立ちを抱えたリュティスが許すわけもない。というか吹雪もかなり余力を残している。
 物理にめっぽう強いらしい竹のバリケードが、神秘に長けた者達の餌食になったらどうなるか……防衛隊は、身を以てその洗礼を受ける羽目となった。

「ああ、皆さんとってもおつかれで……でも、ありがとう。お犬さんも、あの時はなにもできなかったけど……」
「あなたも気苦労が耐えないのねえ、女王。で? あなたはどうしたいの?」
 ベネディクトを気遣うように歩いてきた枯渇の女王に、アリスは小首をかしげて問いかける。その人となりをすっかり忘れてしまった女王は、わずかにアリスに警戒を向けてから、深呼吸してこう告げた。
「私は詳しく知らないのだけれど……この体質を治す薬が必要なの。今とは言わないわ、手伝ってもらえないかしら……?」

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

>今とは言わない
>今とは言わない
>今とは言わない

 続くみたいです。

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