シナリオ詳細
<半影食>再現性帝都1926:『豊小路』
オープニング
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しん‐い【神異】:神の示す霊威。 人間業でない不思議なこと。
再現性東京2010街希望ヶ浜には様々な社が存在して居た。
東京都と、そして周辺地域をモチーフにして距離感も何もかもを混ぜ込んで作られた人工都市である再現性東京(あでぷと・とーきょー)。
その中でも日常の傍らに存在する神社は『地域の夏祭り』などの為に使用されていたらしい。
身に覚えはないだろうか。見知らぬ社などが棲まう街の中に存在して居る。夏にはそれらの夏祭りが行われることがあった。
どの様な神様を祀っているかも知らぬ儘に無邪気に祭り屋台を楽しむのだ。
そんな『地域のお社』に存在する神様が日出建子命――建国さんだった。
それが如何した事か電脳世界、練達の技術者達の叡智の結晶、箱庭である『Rapid Origin Online』の中に実装された『ヒイズル』と相互的な影響を与え合っているという。
――電脳世界での出来事が現実に侵食し始めている。
そう気付いた頃には日出建子命と『もう一柱の神様』は日常に侵食していた。
もう一柱、『豊底比女』は本来ならばヒイズルに、神威神楽には存在しない神様であったらしい。
ヒイズルの急速な発展は豊底比女の神威によるものであるらしい。
姿をも変容させたその神は国をも喰らうスピードで『信者』を増やし続けて居る。
悍ましいその現状は希望ヶ浜にも『異空間』を作り出した。
「豊底比女なる『真性怪異(かみさま)』と建国さんは別のモノなんですよ。なのに、相互に影響を与え合っているのです。
理不尽で、不可解で。もとから存在した建国さんに『あちらの神様』が乗っかったのか。それとも、どう思いますか?」
微笑んだ現川夢華に「どう思うって聞かれても困るよ」と越智内 定(p3p009033)は肩を竦めた。
そもそも、真性怪異とは希望ヶ浜で特有に使用される『名前の呼び方』だ。神威神楽ならば神霊の如き影響力を有する強大なる夜妖。
それに関して意見を夜妖である現川 夢華に求められても定は何とも物申すことが出来なかった。
「うん。例えばだけれど『建国さん』と『豊底比女』がふたりで『ひとつ』であったならば。
前に聞いたことがあるんだ。『真名』は何かって。一人一人の神様は別々の存在なのに、それが交わる場合があるんだ」
神は複数の名を持っている筈だからね、と。自身も神様であるバスティス・ナイア(p3p008666)はそう言った。
彼女も定も複数回の異世界への潜行経験がある。そんな二人の様子に夢華は大きく頷いた。
「ええ、屹度『真名』は別にあります。その真名に辿り着けば『彼女たちを倒す』事が出来るでしょうね。
建国さんと『豊底比女(かいい)』を切り離し、電脳世界で怪異を倒せる可能性。なんてもの素晴らしくないですか?」
「そうだね。ゲームの中で奴を倒して仕舞えばいい。その為に『月閃』の力を借りるとなれば――」
――侵食度は月閃で上がっているのでは?
その疑問が過った。豊底比女を倒すならば同様の力を身につける必要がある。
だが、そうして良いものか。定が思い悩んだその眼前に勢いよく飛び出したのは音呂木神社で巫女見習いを行っている茶屋ヶ坂 戦神 秋奈(p3p006862)であった。
「ひよのパイセンから豊小路を辿る許可を貰ったぜーい!
あと、『月閃』が影響を与える可能性があるなら『それを抑え』ればいいって言われたんだけどさ。ほら、これこれ」
秋奈が握りしめていたのは『音呂木の鈴』であった。
「抑えるって如何するって言うんだい?」
「豊小路を辿れば『存在しないはずの』再現性帝都1926街に辿り着くって言われたんだよね。
そんで、そこに存在する建国さんの社? に鈴を供えて祈っておいでって。全員分の鈴と『封』って書かれたのを預かったんだけどさ」
ほら、と差し出す秋奈に渋い顔をした夢華は「それ、近づけないで下さい」と仰け反った。
「……その『封』というもの、巫女が血でも入れましたか。怪異にはさぞ嫌われるでしょう。
こほん。それを持って行けば良いでしょうね。ええ、ええ、屹度抑えられます。一時凌ぎですが『準備』を整える事は出来ますよ、先輩。嬉しいですね」
にんまりと微笑む夢華は言う。
一、豊小路を辿れば『四神』達の幻影が追いかけてくるだろう。逃げなさい、と。
一、辿り着いた再現性帝都1926街で『建国さんの社』を目指しなさい。
一、辿り着いた再現性帝都1926街では『食べたり飲んだり』『呼ばれて振り向いたり』『戦闘』を行わないように。
一、建国さんの社に『封じの鈴』を奉納したら、直ぐさまに離脱して下さい。
「どうして戦闘しちゃ駄目なんだい?」
「神様の膝元で自分の存在を知らせたいのですか? 先輩ってば自己主張が激しくって堪らない」
「……、そっか」
夢華に定は頷いた。靄のような気配を感じさせる豊小路を辿り往けば再現性帝都1926街に辿り着くらしい。
日常への侵食が一気に進行したことにより、本来ならば存在しない1926街はガイドブックが刊行されるなど『日常にも馴染んで』いる。
希望ヶ浜と同じ地形をしているという1926街の見た目はヒイズルと似た大正時代をベースにして居るのだろう。
その地にまで辿り着いて、建国さんの社を目指せば良い。
戦闘を行う必要は無い。寧ろ、行ってはならないのだ。『不用意に関われば一気に侵食される』可能性もある。
「逃げるしかないって事だね」
困ったねと肩を竦めるバスティスに「鬼ごっこか」と呟いた秋奈はふと首を傾げる。
「どうやって離脱するワケ?」
「巫女が鈴を一人ずつに持たせたんですよね、先輩。なら、その鈴で『現実』の事を考えてください。
難しければ私のことでも良いですよ。夢のような心地で、先輩のことを待っていますから」
夢華の事は考えない方が良いと胸に決めてから定は「それじゃあ、行こうか」と『現実世界の建国様の社』を――その入り口を見詰めた。
- <半影食>再現性帝都1926:『豊小路』完了
- GM名夏あかね
- 種別EX
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2021年10月06日 22時05分
- 参加人数10/10人
- 相談7日
- 参加費150RC
参加者 : 10 人
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参加者一覧(10人)
リプレイ
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出発前にカフェローレットでテレビを眺めていた『猫神様の気まぐれ』バスティス・ナイア(p3p008666)は嘆息した。
何が『仰天! 再現性帝都の噂? 過去にトリップを体験できる方法とは!?』だろうか。本来ならば存在していない再現性帝都のガイドブックまで刊行されているのだという。それは音呂木・ひよのも嘆息する筈である。
「見てよこれ。再現性帝都のガイドブックだってさ。希望ヶ浜が忌避する非現実が異世界として怪談話を介して当然の様に認知される。
それが侵食って事だとしたら……この不完全な楽園の最大の脆弱性なのかもね」
始まりはよくある怪談話や都市伝説であった筈だ。それが徐々に当たり前のことであるかのように認知される。
練達という場所でメディアは有力な情報源である。再現性都市とて階層のように跨がり冒険することが可能だ。だが、この希望ヶ浜ではそうした事も厭われ、現実に即さぬ事は全て無かったことであった筈だ。だが、京都や奈良等と言った古典的な町並みを探索するように一定の市民権を得ている再現性帝都1926街は日常に『侵食』しているのだろう。
「うーん。非日常が日常へと浸食して、気付けばガイドブックまで刊行されちゃってるんだもん。
あっちでも頑張ってた心算なのにちょっと嫌になっちゃうな」
拗ねたように唇を尖らせた『人為遂行』笹木 花丸(p3p008689)にひよのは「相手が悪いんですよ」と宥めるように頬を突いた。
「真性怪異はそもそも、人間で太刀打ちできないものも多く居ます。相手がまだ『抑えられた』だけ喜ばしいのですよ。
花丸さんも、皆さんもよく頑張っています。だって、今すぐ100%になってしまっても仕方が無いのを止めているのですから、ね?」
「ひよのさんが言うなら……まあ。けど、さ、今回頑張れば準備をする為の時間は稼げるようになるんだよね?
だったら絶対社に『封じの鈴』を奉納してみせるよ。頑張って鈴を用意してくれたひよのさんに応える為にもねっ!」
花丸にひよのは微笑んだ。表情が青く見えたのはこれまでの疲労だろうか。現川・夢華が毛嫌いした封じの鈴。それに彼女の血やそれに類するものがあるのは確かだ。
「豊小路、いこうか」とコンビニに行くような雰囲気でラフに告げた『凡人』越智内 定(p3p009033)は随分と慣れたものだと笑って見せた――実のところ全然慣れていない。しかもそれは花丸にはお見通しである。黙ってはくれているが。
「……大体どういう事だい、再現性帝都1926って。ついこの前までは1920だったじゃないか。
まさか侵食度が進む事によって現実に追い付こうとしている? ゾっとしないぜ……一先ず建国さんを目指そう。そこにつかないと話は始まらない」
「1926……1926……」
そう呟いた『聖奠聖騎士』サクラ(p3p005004)は「あ」と声を上げた。希望ヶ浜学園で習った歴史の中でも大正と昭和の境であった筈の年である。
「存在しなかったはずの、大正とも昭和とも言えない都市……ヒイズルも諦星十五年……読み替えればこちらも1926年」
「……侵食することで『ヒイズル』と一体化しようとしているって? そっちの方がぞっとしないよ」
定が肩を竦めればサクラは屹度そうだと呟いた。いよいともって侵食が強くなってきている。希望ヶ浜で『認知』され、『ヒイズル』を再現しようとしているのだ。
「ひよのさんが作ってくれた鈴を納めれば、再現性東京とヒイズルの侵蝕度を抑えられるんだよねえ。
行く先には何だかとっても怖いものがたくさんいるようだけれど……皆で力を合わせて絶対に達成しなくてはね」
抑えられるチャンスがあるだけでも抗う力となる。『四季の奏者』鳶島 津々流(p3p000141)は穏やかな声音でそう言った。
辿ることになる豊小路は言い換えれば神様のお通い道だ。その道がそうした名を有しているのは神様がその道を通って移動しているという逸話に他ならない。ならば、『異世界より侵食してくる神様が通うはずの道』を逆に辿れば――
「ええ。頑張りましょうね。けど、聞いてもいいかしら?」
微笑んで――それから、注意事項に「うんうん!」と頷いて。『ヘリオトロープの黄昏』ジルーシャ・グレイ(p3p002246)かんばせから色をなくして問うた。
「……おにごっこ?」
「そうっぽいね」
しかも、四神達と。『Re'drum'er』眞田(p3p008414)はできれば鬼ごっこなんていうイベントはない方が良かったと鈴を握り混む。
豊小路の中でのルールがいくつも存在した。それはひよのが真性怪異と相対するときに気をつける事ではあるそうだが。
「戦うな、食べるな飲むな、呼ばれて振り向くな、用が終わったらすぐ帰る……か。縛り多いな」
入る前に再度確認した内容ではあるが、喋る事を禁じられなかっただけ良しとして。青い顔をして「おばけとぉ……?」と問うたジルーシャには悪いが、そうして怯えて叫んでくれる人が一人くらい居た方が安心できる。あんな空間で話すことさえNGとされればシビアすぎて眞田にはとても耐えられそうに無かったからだ。
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「『真名』を知れば、『かみさま』も倒せる、か。重要なこと、だが。さて、どうやって知るのか、だな。
封じの鈴とやらを奉納すれば、真の名を、教えてくれるのだろう、か」
長い金髪をふわりと揺らして『倫敦の聖女』エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)はそう呟いた。豊小路をさっさと抜けて再現性帝都に辿り着かねばならない。そこでは探索に加えて『真名』を知る事が重要になるだろうか。辿り着くだけでその本来の名を知れるのか、それともそのヒントとなるべきものが存在しているのかは分からない。
夢華が『真名』を知らねばならないと言っていたことがエクスマリアにとっては気がかりであった。彼女や『猫鬼』――綾敷なじみに憑いている悪性怪異:夜妖<ヨル>だ――は『豊底比売』と『日出建国命』の真名なるものを知っているのかもしれない。彼女たちは夜妖だ。影響を受けやすく、それ故に知っていたとしても口にできない可能性さえあった。定が「夢華さんもなじみさんも知ってても教えてくれないだろうけどさ」とぼやけば『音呂木の巫女見習い』茶屋ヶ坂 戦神 秋奈(p3p006862)は小さく頷く。
「夜妖も人も『しちゃいけない事』はできないってのはどっちも一緒なんだろーね。特に真性怪異(かみさま)って奴はァ、厄介ってわけさ!」
ひよのに師事をし、見習いながらも音呂木神社で巫女を経験している秋奈は彼女から封じの鈴を預かってやってきていた。ひよのはしてはならないことを再三秋奈に告げていた。その意味を彼女は理解している。見習いといえども音呂木――『希望ヶ浜の神の御路木』、神様の通ひ路の守り手――の巫女だ。元気づけるのも諫めるのも巫女の仕事なのだと告げられているのだろう。
「さーて、行くぜ!」
建国さんのお社は、希望ヶ浜の各地にあった。何も考えず希望ヶ浜で過ごしていても夏祭りなので訪れることもある。そんな、社に入り込むように歩を進める。
「わはは」
思わずといった調子で秋奈が笑えば『戦神護剣』紫電・弍式・アレンツァー(p3p005453)は「は、は、は」と乾いた笑いを滲ませる。
「なーにここ? これが豊小路ってやつ? 異世界の異世界かよー! いやいや、いやー? ヤバさ加減も極まって、俄然楽しくなってきたなー!」
「いや、何だこれは。何かの冗談か? ……いいや、下手な冗談の方がまだ笑っていられたか」
紫電がぼやけば秋奈は「確かにー?」と笑う。懐には『封じの鈴』が。バスティスと眞田がじわりと後退する。豊小路は全員で抜け、帝都まで最短ルートを辿らねばならないか。
無言の儘、広域を確認する目を有する数名で『ルート構築』を行い続ける。「身を隠せる場所は?」と囁くサクラに、ブーーンと激しい音を立て耳鳴りの如く脳を掻き回す『目の前の存在』に苦しげに息を漏らしたエクスマリアは「音が少ない場所に向かいたいな」と呟いた。
「ね、ねえ……ま、またおばけと鬼ごっこしないといけないの……!? しかも『入ってすぐ』?! 猶予もなく!?」
驚愕に目を見開いたジルーシャがそのかんばせを青くする。サクラは「すごいリッチな出迎えだね」と呟いた。
眼前に存在するのは白髪の少女だ。齢にすれば12位か。鞠を手にした彼女の傍らには射干玉の髪と白髪の幼子が纏わり付いている。
その後方にはのっぺりとした『貌』を持たぬ存在が何かを求めるように言葉を重ねているか。
ブーーーーーーーン。
耳鳴りがする。ひどい不快感だ。ジルーシャは「ひぃ……」と思わずたじろいだ。当たり前の反応だ。むしろ慣れすぎて肝が据わってきた定は非日常に染まってきてしまったのだろうかと自嘲する。
「えぇっと…食べない・飲まない・振り返らない・戦わない、よね! オーケー、絶対守るわ! だから何も起こるんじゃないわよ!? 泣くわよ!!?」
「ジルーシャさん、聞いてくれるかい? 俺も泣きそうさ」
「よね!? 怖いわよねえッ!?」
あんな『意味の分からない存在』をどうして受け入れられようか。眼前で微笑んでいる少女はどこからどう見ても成長した黄泉津瑞神だ。
「瑞さま、見て。人が来たよ! 遊んでくれるかな?」
「瑞さま、……どうする?」
ならば、瑞神の側で甘えるように身を預けている幼子は白虎と朱雀か。「かわいい出迎え」とからかうように言った秋奈に紫電は「可愛すぎて逃げ出したいな」とジョークを重ねる。
「どうするって聞いてるぜ、紫電ちゃん。こっちも聞こうかな。どうする?」
「……オレ達のやることは変わらない。まずは再現性帝都に辿り着く。それから封じの鈴を奉納して、秋奈と、みんなと一緒に現実に帰る」
堂々と宣言した紫電に秋奈はにんまりと微笑んだ。
ならば、と全力で移動を行う定と花丸に従いバスティスが天啓と直感を交えてルートを構築する。眞田が作り出した幻影は囮の如く『白い人影』の前へと躍り出た。
目と耳、そして鼻を生かしてエクスマリアはできるだけ不快感の薄い方角を目指した。今日という日は娃染暁神狩銀の出番はないか。懐でちりんとなった鈴の音だけが清廉なる気配を感じさせる。
呼びかけには鈴の音をりんと鳴らして。津々流はそう決めて帝都への道を辿る。
「とっても危険な鬼事だ。こんなことならもっと速く走れるよう鍛えておけばよかったかな、なんて」
逃げたり隠れたり。そうするしかないのだ。戦うことも禁じられた。サクラに言わせれば「戦わせてくれれば楽なのに!」なのだが、戦うことで何らかの被害が及ぶ可能性を示唆されればそうも行かぬか。
迂回して道を辿るのは容易であった。それだけの非戦スキルの用意をしてきたからである。
サクラとジルーシャ、定は確かにその目で見た。現実の道を下る感覚。そうすることで『時代を遡る』という体験をしたのだ。
現在であった再現性東京2010街から、辿り着く先は1926年。大正時代と呼ばれた町並みだ。
サクラが推察したように、ヒイズルは『大正』時代そのものだ。諦星と文字こそ違えど音はタイショウをとっている。つまり、響きが同じである以上、関連は分かり易い程だ。
(……だんだんと町並みが古くなっていく。教科書に載っていた町並みってだけじゃない。
このまま下れば『ヒイズル』の街のようにいろいろと混ざり合っていくんだ。あの『急造された國』のように)
ちぐはぐとした異文化。それの中に取り込まれるような奇妙な違和感はサクラだけが感じていたわけではない。
バスティスは「奇妙な気持ちだね」と小さく呟いた。
「まるで、私たちを取り込もうとしているみたい」
焦りが滲む。花丸は鈴の音で同意を鳴らした。人影達は遠くこちらを探し求めているだろう。幻影達も豊小路そのものを守り続けている。
其れ等に見つからないように、スキルを駆使して道を進めば――
「……ここ、が?」
ぽつりと花丸が呟いた。定はまるで『ヒイズル』に訪れたようだと瞬いて。
「急速に『信者』……『信者』が何を指しているのかは分からないけれど、確かに増えているのだとしたらこの帝都1926の街並みの中にもその影響が出ているかも知れない、とは思っていたけど――いや、ヒイズルだな、これは」
ネットゲームの中に生身で来たようだと定はぼやいた。そんな奇妙な違和感の中で眞田は「さ、行こうか」と呟く。
ここからは『全員』ではなくなる。故に、名を呼び合うこともできない鈴だけの会話が続くことになるのだ。
津々流はエクスマリアと花丸と頷き合う。
「鬼ごっこの始まりだね」
眞田の呟きに、エクスマリアは肩をすくめた。まるでたちの悪いだるまさんを転んだでもしているような気分だと吐き出しそうな思いを飲み込んで。
(……しかし、神に見つからぬよう、神へ忍び寄る……だるまさんが転んだ、だった、か。あれのようだ、な?)
――なんて、誰も『呼びかけ』に答えは返せぬけれど。
●
比較的近い未来を知るための『さだめ』を読んだ津々流は五感を駆使するエクスマリアと広域を俯瞰する花丸と共に探索へと進む。
日出神社を目指さねばならないが侵食が進んだ町並みは妙にリアルで気が引ける。
「まるで現実のようだね」
呟いた津々流にエクスマリアはこくりと頷く。その場に存在する物全てが現実世界のもののように感じられる。R.O.Oで感じた匂いや景色のような――本来ならば存在しないはずの異空間にはありはしない五感を満たした要素が違和感のように追い縋るのだ。
「恐ろしい、な」
呟いたエクスマリアは鈴の音を聞く。それは津々流の同意だったのだろうか。
彼らはあくまで囮役だ。
メインは中央と呼ばれる紫電、秋奈、眞田、バスティスだ。
神社に向かって走る紫電は秋奈に危機が及ばぬようにと何度も気を配り続けていた。
存在がバレれば追いかけられる。其れを分かって居ながらも鈴の音が居場所を知らせる。お守りであり、そして合図でもある。
平常心があれども、危険が背中に張り付いては離れない。
両翼では鬼ごっこを行っている花丸が奮闘中だ。バスティスや眞田を無事に送り届けるために彼女は逃げ回っていたのである。
津々流とエクスマリア、花丸はつかず離れずの距離で楽しげに追い縋る玄武の姿を眺め見る。
「パーーリィ!」と叫ぶ様子は『現実そのもの』だが、そのパーティーが何を指しているのかは……考えたくもない。
全員をチーム名で中央、右翼、左翼と呼ぶのは個人の名を呼ぶことを避けるためであった。随分と逃げ回っているが、そろそろ皆は辿り着いただろうか。
花丸は津々流の式神を頼り、中央のメンバーへと日出神社の位置を共有していた。そそろそろ日出神社に彼らも辿り着くはずだが追っ手はなかなかにしつこい。
同様に走り回っているのは定、ジルーシャ、サクラだ。こちらはどちらかと言えば『賑やか』な鬼ごっこを行っているようであった。
「待てー! がおー!」
白い髪を揺らがせて飛びついてくるのは白虎だ。
「キャーーーーッ!?」
呼応して叫ぶジルーシャの声が帝都内に響き渡る。ある意味で『囮』役になってくれるジルーシャの叫び声は探索を容易にしているようでもあった。
「でも、昔の景色が見えるなんて不思議な場所よね。こんな時じゃなければのんびり観光したいくら――ってちょっと嘘で所しょまたアンタ達なの!?
キャ―――ッ、ヤダったらいい加減にして! 顔がないのにこっち来ないでって言ったでしょ、もう!!」
ぞろぞろと着いてくる貌の無き人影にサクラは小さく笑った。
ジルーシャと『ジョー』が居ればそれでいい。腐ったにおいも音もアテにして逃げれば其れで時間を稼ぎ続ける。
広域俯瞰を駆使してお互いの場所を認識している花丸と定の指示を鈴で聞きながら中央の道を空けるようにぐるぐると走り続ける。
(こうしてみれば本当にヒイズルに来てるみたい。これが侵食なんだね)
サクラは囮役である自身らだからこそ見れる町並みがあるのだと走り回る。
広域での視点では中央組は日出神社へと辿り着いたようである。そろそろ、自身らもそのあたりまで移動しておきたい――が、どうにも『追っ手』の数が多くなる。
「増えた」
サクラは小さく呟いた。これらを巻くためにはさて、どうするべきか。
「……!」
――リン。
鈴の音がする。花丸が小さく頷いた。左翼を中央の補佐に送り出し、右翼がこの場で引きつける作戦だ。
言葉無くとも連携はとりやすい。何より『鈴』で緊急脱出ができるだけでも安心材料は用意されている。
前を走るバスティスや眞田の背中を見つけ、サクラ、ジルーシャ、定は走り出す。
彼らを行かせるためにと走り込んだ花丸が幻影や貌なき存在を引きつけた。
ぎりぎりまで粘ってから離脱しようとエクスマリアは決めていた。それにしても、彼らは何者か。
急増した世界に四神達は『貌』を与えられたが、命までは作れなかったか。作り損ない達が貌を求めて襲いかかってくるかのようだ。
「……まるで、名を欲しているよう、だな」
貌(なまえ)を欲する者達がエクスマリアを追い縋る。だが、そうはいかぬと津々流はするりと滑り込み、こちらへおいでと手を鳴らす。
走り去るのは別の方向へ。三人は別々の道を辿って。
幻想や豊穣にある領地の風景を思い浮かべる。四季彩の都は寂れては居るが、心地よい。豊かな地にもなるはずだと信じたその場所への帰還を願う。
希望ヶ浜学園での生活も、ひよのや夢華、なじみが待っているカフェローレットの珈琲の香りが鼻先を擽る感覚がする。
「……帰ろう。大事なものや、僕らを信じて待っている仲間の元へ、皆で無事に帰らなきゃ……!」
エクスマリアも花丸も、帰る道を探し続ける。『ヤバければ帰ればOK』そんな安心材料をくれたひよのにありがとうと笑っておこう。
さあ、屹度『信頼する仲間達』はきちんと鈴を奉納してくれるはずだから。
「そろそろ、だるまさんが転んだ、も、終わりにするか」
エクスマリアの金の髪が生温い風に揺らいだ。
追い縋る異形。命のなりそこない。そんなものにかまけている時間は無い。花丸は堂々と向き合った。
笑った朱雀が小さなあくびを漏らしたならば今だと言わんばかりに角を曲がって。
「花丸ちゃんに任せて! ひよのさんに無事に帰るし、依頼は完遂するってちゃんと約束したんだから!」
ギリギリまで引きつける。仲間達に信頼を託せば怖くなんてないのだから。
●
辿り着いたその場所で秋奈はうんと首を傾げた。
静まった本殿の中はがらんどうだ。眞田は周囲を見回して。「ここか」と呟いた。
「祈りを捧げるんだっけ? ……つって日出神社の巫女さんどこよ? って言って私ちゃんが出てきたらおもしれーのにな! あ、賽銭入れてこ」
からからと笑った秋奈に紫電は「やばいぞ」と小突いた。
眼前に存在したのは真白の貌の無き存在であったが秋奈の言葉に呼応したように『その貌が秋奈へと変化する』。
「私ちゃんが日出神社の巫女だよ?」
にっこりと笑ったそれにバスティスは「取り込まれるよ」と呟いた。リン――鈴の音がする。
封じの鈴を秋奈から受け取って、バスティスが封じの鈴を奉納しなくてはならないと感じた場所へと駆けることを選んだ。
「こっちだ! ほら鬼ごっこするんだろ?俺と遊んでよ」
眞田はにいと笑う。秋奈の顔をした白い人型は眞田へと向けて走り出す。
秋奈を庇うように立っていた紫電は鞠の音を聞く。ひどい耳鳴り、黄泉津瑞神か。
「アイツを引きつけてそのまま帰るぞ」
「OK!」
紫電と秋奈は黄泉津瑞神の姿を確かめてから走り出す。
後方で『秋奈の影』がせせら笑った。ああ、どうせ、彼女は『ヒイズル』でも出会える存在になる。
「私ちゃんをおいてくの?」
「『あもよ、あもよ、おいでませ。あとびはあついか、おかんこかけた。くさわけすすめやひもいずる』」
歪な顕現を一瞥してから秋奈は唱え続けた。瑞神を引きつけ、手を繋いだまま二人は走る。
影の秋奈は眞田に任せて、紫電と秋奈は黄泉津瑞神をバスティスから遠く遠くへ引き離す。
勢いよく走るバスティスが鈴を奉じればそれでいい。
思い浮かべるのはひよのの事――だけではない。秋奈は先輩と願うが紫電は違った。
『もう二度と』はないように。彼女を奏のようには死なせはしない。秋奈との日常に、恋人は、守るべき存在は、共に居なくてはならないから。
二人で一緒に帰ると手を握れば鞠の音よりも早く鈴の音が響いた。
「残念だけれどね、『また』ね」
「次は合わないことを願ってるよ、幻影」
紫電は見た。睨め付けるような瑞神のかんばせを。その苛立ちが闇のように募っては世界に溶け落ちる様を。
「バスケでもしてるようだよね。これが奉納だなんて――笑ってしまう!」
自分も神様だからよく分かる。もうちょっと穏やかに奉納されたい。
そんな気持ちの儘バスティスは『封じの鈴』を奉じる。体を包んでいた倦怠感や恐ろしさが落ちてゆく。
その清浄さは逆に恐ろしさを感じさせる。本殿の中を走っていた眞田はすぐさまに友達のことを思い浮かべる。
「終わってみれば楽しかったな……そんな事ねえよ超怖かったわ!」
面白かったねなんて笑っていられない。恐怖心を滲ませていなかったバスティスも「帰ろう」とぼつりと呟いた。
一先ずはこれでミッションクリアーだ。
「俺はさっさと帰る! てか帰らせてください。マジで!」
だが、そうも行かぬ者も居る。それは左翼であった。彼らはやっとの事で本殿へと辿り着いたが、大きな目的があったのだ。
「もう、少しいける?」
何かが見えそうだと手を伸ばした定にジルーシャは「行って!」と叫んだ。日出神社の本殿、その更に奥へ飛び込んだ。
バスティスと秋奈は鈴を奉じる場所へ、そして定は『別』の場所へと目指す。
定には探したい物が存在していた。サクラとジルーシャもそれに協力してくれるだろう。
「……捜し物って案外、分かり易い場所にあるって思わない? 見落としているだけとか」
「かもしれないよね」
ジルーシャが揶揄うように笑えばサクラも頷いた。
……鈴が奉じられたのだろうか。体が軽くなった気配がする。だが、同時に『ブーーーン』と激しい耳鳴りが聞こえだした。
誰かが近づいてきている。四神の内の誰だろうか。恐ろしいことは分かっている。だが、この先で捜し物をしている定に到達する前に自身らが引きつけて置かねばならないか。
「危険になったら『帰還』しましょう! できれば全員揃っていたかったけど」
「そうはいってられないみたい。……それじゃ、また後で!」
ジルーシャは背後から着いてくる小さな少女を惹き付けるように走り出した。同じく、サクラも青年の陰を見つけこっちへおいでと言わんばかりに走り出す。
鈴を頼りに『ひよの』の元へ帰還することを念じるサクラはできるだけ定から引き離せたことを確認していた。
一方のジルーシャはと言えば「いやあああ、もう来ないでっ、キャーーーーッ! 馬鹿、どうしてこっちにいっぱい貌がない奴がいるのよォッ!?」と叫んでいる。叫び続けて、はたと鈴を見下ろした。そう、現実のことならばたっぷり考えられる。素敵な香りに、お洒落でおいしいスイーツ。そういえばカフェ・ローレットでもパンケーキを食べれるらしい。シャインマスカットをトッピングしてとお強請りしたっていいかもしれない。
「おいしいスイーツを食べに帰るわ! ええ、素敵な物があふれている世界に――帰るのよ!」
――リン、
鈴の音がしたと定は顔を上げた。本殿の中をそろそろと進めば、肩の荷は降りたようにも感じられた。
中央には何も奉られては居なかった。鈴を奉じた場所よりも更に奥へと入り込めば何らかのヒントがあるはずだと藻掻く。
「此処にある筈なんだ、社ってのは神様の住まう場所。名が無ければその神様に力は集まらないだろう。だから――!」
探す。巻物などにも存在しているはずだ。
ふと、定が見やれば奥に小さな人形が二つ並んでいた。
一方は女神であろうか。女人の形をした其れは蓮の花に陽と描かれた文字を冠している。更に一方は陰を刻んだ男神だ。
それらは腕の先から交わり、一つになろうとしている。どうにも奇怪な置物だ。
人形の方へとそろそろと近づいた。どうしても、それに近寄らねばならない気がしたのだ。
神異に触れる勿れ。
文字が躍っている。定はふと首を傾いだ。神異。それは幾度か聞いた言葉か。
――神異に触れちゃだめなんだ。こう言う時はね。
なじみが言っていたというその言葉。
しん‐い【神異】:神の示す霊威。 人間業でない不思議なこと。
それは『現象』を指しているのだと思っていた。そうではないのか。猫鬼や夢華が度々口にしていたその言葉は『現象』ではなく『真性怪異』の名を表そうとしていたのならば――?
がたん、と音がした。ここまでだろうか。何かが迫ってきている。見下ろせば『女神の人形は目を見開いて』居た。
「――――なじみさんの尻尾!」
叫んだ。帰りたいという意思を込めて。
●
「無事のお帰り、何よりです。これで全員が揃いましたね」
「どうして尻尾なの……?」
ぎゅうと目を閉じていた定が目を開けば眼前に立っていたのはひよのと花丸であった。彼女の隣にはいつも以上に心配そうな表情をしたなじみが立っている。
「………」
定が己の手を見やればなじみの二股の尾をぎゅうと握りしめた自分の手のひらがあった。
「………」
なじみも何も言わない。花丸に「これは違うんだよ」と定は首を振る。言い逃れはできなさそうだと呟く眞田に「違う」と定は何度も首を振った。
「尻尾のことを考えて戻ってきたの?」
「ふむ、なじみの尾は、帰還の鍵にも、なったのか」
サクラとエクスマリアの『追撃』に先に帰還していた紫電と秋奈がにやにやと笑っている。二人は手を繋いだままであったが其れも今は気にすることではないだろう。
「ハッ、みんな揃ったんだよね。うわあ、良かった。みんな別々に帰ってくるから食べられちゃったのかと思った」
「食べられ……?」
首を捻った眞田に『分かり難い言い方をした』のだと気づいてからなじみは唇を尖らせた。
「真性怪異に侵食されて、あちらを神様だって認識するようになったのかと思った。そうだったら、帰ってこれないもんね」
侵食――それは月を喰う陽。豊底比売という存在はヒイズルと言う架空の国家に『急成長』を促した。だが、その裏で再現性東京という場所を食らうように人為的か『何らかの細工』が為されていたのだろう。
強すぎる陽の光。詰まる所、豊底比売(とよそこひめ)、常世の、黄泉津の姫君は急成長を与えると共に真性怪異の一翼を担っていたのだ。彼女は作られた神様だ。人工的にそうなるべきとして立場を与えられた神は『再現性東京に存在する日出建国命』と共に架空の場所に奉られて二神で一つとされたのだろう。
そこまで分かっていながら、手が出なかった理由が定の帰宅が少し遅くなった理由でもある。危うく『ぱっくりされる』所だったと唇を尖らせた夢華に女の子に心配されるのは吝かではないと笑っていられないほどの危険に身を挺して知り得たのが『神に与えられた真名』であった。
「諱ってご存じですか?」
「いみな?」
ぱちりと瞬く秋奈に「知っている」と紫電は頷いた。
諱、忌み名。古代では死者を本来の名で呼ぶのを避けたらしい。それは実名を敬避する事となった。名とは鎖だ。霊的人格を支配するが為にその『真名』が必要となる。
日出建国命が『建国さん』とニックネームのように呼ばれ親しまれているのもこの原理であるのではないかとも考えられる。
つまり――
「『豊底比売』という神格には本来の名が存在し、それを理解しておかねばその名を傷つけることができないということです。
皆さんの尽力で名を知れたのですが……まあ、なんというか、夜妖達は知りながらもそれに近づくことを厭うて居たと言うことですね」
定とひよのの視線がなじみへと向けられた。肩を竦めた彼女は舌をぺろりと出す。
――神異に触れちゃだめなんだ。こう言う時はね。
何度も繰り返していた彼女。その口にしていた言葉こそが真名であったとは。
「先輩、責めないで下さいね。私もなじみんも、簡単にとって食われて侵略されちゃう立場なんですから。
寧ろ、猫鬼は優しい方です。それを口にしていましたから。そのおかげで『ずぅっと一緒にいれました』ね?」
意味ありげに微笑んだ夢華になじみはぎこちなく笑うだけだった。
津々流は「夜妖は侵食されやすい、ということだよね」と問いかける。二人は大きく頷いた。
「言葉にするだけで、私たちだって侵食されて敵同士。しかも現実はリスポーンできませんもの」
微笑む夢華はそれでも、とその神の名を口にする。
『神異<シンイ>』
それこそが二柱を束ねた神の名であるならば。人の手では為し得ぬ業をも為し得た現状をよくよく表しているのか。
事象であるかの如くその存在を認識させて定着させた。まさか、名などであるとは思わないだろう。
名を幾度も口にして現実にすり込んで。嫌らしい神様だと呟く眞田にサクラも頷いて。
「……これで、一先ずは抑えられた?」
静かに問いかけた花丸にひよのは「少しだけ」と厳しい表情を返す。
「……抑えられるわけじゃあ、ないのよね。侵食は、真性怪異による者だから、とっても強いんでしょう?」
「ええ。ですが、『月閃』を――R.O.Oのヒイズルで使用することだけは可能でしょう。それ位ならば抑えられます。
使わねば勝てぬ相手でしょう。名を知れば、傷つけることができる。あとは、戦争ですよ。どうやら皆さんは『あちらの世界』では侵略者ですもの」
冗談ではなく微笑んだひよのにエクスマリアは肩を竦めた。
月をも食らう陽の傍らで、笑っているのは誰であろうか――?
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
お疲れ様でした。
ヒイズル、希望ヶ浜共に、そろそろ反撃の準備をいたしましょう。
全ては『神異』などなきものにするために。
GMコメント
夏あかねです。
●目的
再現性帝都1926街にある建国さんの社『日出神社』へと『封じの鈴』を奉納する。
●豊小路
日出神社の直ぐ傍にある参道を称して豊小路と呼ぶことがあります。
一説に寄れば、社と社を繋いで神様のお通い道を作っているのだとか……その中でも日出神社に繋がっていた豊小路を辿ります。
最初は普通の現代的な風景ですが、進むごとに徐々に時代が退化してゆきます。
その道中には『幻影』の如く、四神の姿を模したモノが追い縋ってくるでしょう。逃げて下さい。戦闘を行っても良いですが、四神には特に勝てる気はしません。
・四神の幻影
黄泉津瑞神、黄龍、青龍、朱雀、玄武、白虎を模した幻影です。
とてつもなく恐ろしく感じます。其れ等には本能的に近付くことを避けた方が良いと感じるでしょう。
どうやら、幻影はブーーンと言う奇妙な音と、腐ったようなにおいが出現した周辺で感じられるようです。
・貌のついてない白い人影
のっぺりとしています。人のような人ではないような。そんなフォルムをしており、だらりと腕を垂らして歩き回っています。
複数存在しており皆さんを追いかけ回してきます。捕まったらどうなるかは分かりません。
●日出神社
豊小路を抜けた先に存在する『再現性帝都1926街:???』に存在する建国さんのお社です。
その場所まで辿り着けば、お参りするだけですが、再現性帝都での探索を行う必要があります。
再現性帝都でも同様の幻影や人影が見られます。此の地では『食べること』『飲むこと』『呼び掛けに振り返る(聞く)事』等、その存在を知らす事を夜妖である夢華は禁じました。(夢華は付いてくることが出来なかったようです)
戦闘も避けて下さい。戦闘を行い自身の居場所を教えれば『何か』がやってくる可能性があります。
●『封じの鈴』
ひよのが自身の血液やまじないで作り上げた強力な鈴です。日出神社に奉納して下さい。
●音呂木の鈴(持ち物)
皆さんに一つずつ渡されたひよののお守り。使い捨て。帰還用です。帰りたいときに現実の事を思い浮かべて下さい。
難しければひよのを考えればオッケーです。
●Danger!(狂気)
当シナリオには『見てはいけないものを見たときに狂気に陥る』可能性が有り得ます。
また、帰還に失敗する場合は行方不明になる可能性もありますのでくれぐれもご注意を……。
予めご了承の上、参加するようにお願いいたします。
●侵食度
当シナリオは成功することで希望ヶ浜及び神光の共通パラメーターである『侵食度』の進行を遅らせることが出来ます。
●情報精度
このシナリオの情報精度はDです。
多くの情報は断片的であるか、あてにならないものです。
様々な情報を疑い、不測の事態に備えて下さい。
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