PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<大樹の嘆き>サキュバスネスツ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●読んでも読まなくてもいい
 この部屋の主は、片付けが下手なようだ。
 乱雑に積み上げられたファイル。プリントアウトされたまま放置された論文。壁だけでなく床の上まで侵食している書籍。デスクのまんなかにおいてある汚れたビーカーからは、かすかにコーヒーの香りがする。
「んー。あいかわらず闘志をかきたてられるちらかりっぷりですね」
 合鍵使って勝手に入ってきた九重ツルギ (p3x007105)は腕まくりをした。
 ここはROO内のとあるNPCの住居だ。ハムレス、というと人によっては聞き覚えがあるかもしれないが、知らなくても一切かまわない。
 かつて魔種に狂わされたマッドサイエンティストがいた。彼は魔種へ餌となる少年少女の精神を捧げる代わりに、残った肉体で人体実験をして……まあいろいろあって正義の鉄槌を受けてお星さまになった。その余波で生まれたのがROONPC、誰が呼んだか凡人ハムレス。まだ魔種と出会う前の、正常だったころの彼だ。
 正常と言っても。
 異常>>>>>>>>>>>>>>正常の、
 異常>●>>>>>>>>>>>>正常、このへんのやつなのだが。
 とはいえ、かろうじて正常の範囲内。人生を無駄な研究に突っ込んでいる点を除けば、人畜無害と言ってもよい。
 そしてこれまたいろいろあって、ROO内にあるハムレスの住居は、ツルギたちのたまり場になっていた。
 イズル (p3x008599)が我が物顔でソファにふんぞり返っているのもそのせいだ。
「茶は出ないのか、茶は」
「今いれる」
 本日たまたま男性体のハイタカ (p3x000155)が、これまた勝手に戸棚から豆を取り出し、コーヒーメーカーにセットする。ツルギが持ち込んだブランド物の(装飾過多ですごく浮いている)カップに、香ばしくほろにがい液体が注がれていく。
 イズルはそれを受け取り、一口飲んでおいしいねと口元をほころばせた。なお重ねて言うが家主には無断である。
(小鳥 ほしい)
 天井をするほど巨大な塊がいくつもある手の一本をハイタカの肩へ置いた。あからさまなバグの産物である縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧 (p3x001107)の常軌を逸したその禍々しさは、誰もが閉口するだろう。例えるなら闇の雲。だがハイタカは恐れるどころか親しい相手独特の笑みをこぼした。
「ちょっと待ってて、紫月」
(わかっぱ)
 ハイタカは今度は桃色のグラデーションのカップへコーヒーを注ぐと、闇の雲へ近寄った。
「何口いく?」
(とま ひとくち)
「了解」
そして本体へぼこりとはえた口元へカップを添え、よいしょとかたむける。巨大な口の中へコーヒーが流れこんでいく。カップが空になったころ、口が閉じごくんと喉を鳴らす音が聞こえた。
「どう、紫月?」
(おいし)
「もう一口飲む?」
(ん)
 まるで大きな犬をかわいがるように、ハイタカは闇の雲へコーヒーを飲ませていく。
「それにしても家主はどこへ行ったんだ。おもちゃがいないとつまらないじゃないか」
 イズルが退屈そうに頬杖を突く。部屋の片づけをしていたツルギがキランと歯を輝かせながら振り向いた。
「こういうときは家主の足取りを調べるのが一番です」
「でもハムレスのPCを覗くにはパスワードがいるだろう?」
「はっはっは、ソーシャルハッキングってご存知ですか」
 てなわけで5分もたたないうちに一同はデスクの上のノートPCの前に集っていた。
「んー、実地調査にいったようですね。またぞろ変な生き物でも見つけたんでしょう」
「行先は?」
 イズルの問いにツルギがカタカタとキーボードを鳴らす。
「ここですね。ググレマップに履歴が残ってます」
 そこは翡翠の国境付近にある遺跡だった。

●ここから本題
 翡翠――混沌でいうところの深緑にあたる国である。その翡翠はいま、いささか唐突な鎖国政策を始めていた。
 理由は不明。しかしながら多くのサクラメントが停止され、懐へ入ることができないのは事実である。しかしここにひとりの不運な男がいた。彼は国家情勢へ疎いにもかかわらず、自らのガクジュツテキ好奇心のおもむくまま無駄行動力を最大限に発揮してしまった。そしてその結果彼がどうなったかというと……。
「じ、事前情報では、おとなしい精霊しかいないはずだったが……!」
 彼はいま藪の中に縮こまり、沸騰しそうな頭を整理していた。甘い香りが思考を散逸にさせる。
 彼、つまりハムレスが遺跡へ足を踏み入れた途端、いるはずがない存在があらわれちゃったのだ。それは愛くるしいかんばせと艶やかな唇と、小悪魔のような翼と羊のような巻角と、ちちしりふとももを完備していた。
 それはふわりと宙を自在に飛行し、獲物をいたぶる猫の目でハムレスを探していた。
 ふわり、ふわり、影は数を増していく。
 ハムレスはそれらに見覚えがあった。正確には知識だけ持っていた。あれは、あの存在は。
「おにーいさーん、わたしたちとあそびましょー」
「天国につれていってあげるから、うふふ、うふふふふふ」
「わたしたちおなかすいてるのよぅ、わかるでしょ?」

 サキュバスだ。

 やばいやばいやばい、見つかるわけにはいかん。そんなことになったら報告書にも書けないえらいことに。
 ガサッ!
「みぃつけた」
「ぎゃああああああああああああああ!」
 遺跡にハムレスの悲鳴が響き渡った。

GMコメント

ご指名ありがとうございます。みどりです。
純戦に見せかけたコメディシナリオです。
リプレイはPCアバターが遺跡へ到着した時点から始まります。

●やること
1)サキュバスを誘惑する←これがメイン
2)スキルでガッてする
オプション)凡人ハムレスの救出

●エネミー
サキュバス×いっぱい
あたまがぴんくのしるでたぷたぷのいきもの
何故こんなものが翡翠に発生したのか不明です。
正面から戦うと、イレギュラーズの精気をガンガンすすってきます。
具体的に言うとレベルドレインしてきますので、能力値がガクンと下がった状態で戦うことになり苦戦は必至です。
ので。
逆にサキュバスを誘惑してメロメロにしちゃいましょう。目がハートになってるサキュバスをスキルでガッとしたらおしまいです。

●戦場
翡翠国境付近の遺跡で、そこここにでこぼこや遮蔽物がありますが、サキュバスが無限湧きするだけで特にペナルティはありません。

●ROOとは
 練達三塔主の『Project:IDEA』の産物で練達ネットワーク上に構築された疑似世界をR.O.O(Rapid Origin Online)と呼びます。
 練達の悲願を達成する為、混沌世界の『法則』を研究すべく作られた仮想環境ではありますが、原因不明のエラーにより暴走。情報の自己増殖が発生し、まるでゲームのような世界を構築しています。
 R.O.O内の作りは混沌の現実に似ていますが、旅人たちの世界の風景や人物、既に亡き人物が存在する等、世界のルールを部分的に外れた事象も観測されるようです。
 練達三塔主より依頼を受けたローレット・イレギュラーズはこの疑似世界で活動するためログイン装置を介してこの世界に介入。
 自分専用の『アバター』を作って活動し、閉じ込められた人々の救出や『ゲームクリア』を目指します。
特設ページ:https://rev1.reversion.jp/page/RapidOriginOnline

※重要な備考『デスカウント』
 R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
 現時点においてアバターではないキャラクターに影響はありません。

  • <大樹の嘆き>サキュバスネスツ完了
  • GM名赤白みどり
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年09月25日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費150RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ハイタカ(p3x000155)
誰彼
※参加確定済み※
縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧(p3x001107)
不明なエラーを検出しました
※参加確定済み※
レインリリィ(p3x002101)
朝霧に舞う花
ジオ(p3x002157)
大型
九重ツルギ(p3x007105)
アルコ空団“輝翼”
※参加確定済み※
イズル(p3x008599)
夜告鳥の幻影
※参加確定済み※
ビャクダン(p3x008813)
複羽金剛
霧江詠蓮(p3x009844)
エーレン・キリエのアバター

リプレイ


 物陰から様子をうかがっていた『エーレン・キリエのアバター』霧江詠蓮(p3x009844)は故郷を思い出し感慨にふけった。
「サキュバス……ある種懐かしい響きだ。故郷では魔物たちはひとり残らずサキュバスの特性があったからな……」
「それってものすごく危険な状況なのでは?」
『複羽金剛』ビャクダン(p3x008813)が思わず打った合いの手に、詠蓮は首を振る。
「そうでもない、だがしかしこちらのサキュバスは故郷ほど人間に友好的ではなさそうだ。心して掛かろう」
「そうでやすね。色んな意味でやばい状況だということだけはわかりやした」
 ビャクダンは何かを諦めたようにうつむく。その顔には、はっきり縦線が入っていた。
「ううん…この依頼、俺が受けて良いものだろうか…? こんな経験ほぼないし不得意分野だ」
 ぼそりとつぶやいた『誰彼』ハイタカ(p3x000155)。
「それにしても多すぎやしないだろうか…? いくら人がいるからと言っても、こんな数さばききれるのか…?」
『だいじぶ』
 そこへ脳内へ声が響いた。『不明なエラーを検出しました』縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧(p3x001107)の声だ。
「……紫月…。」
『なにか あったら 小鳥だけは ぶじに にがす』
「紫月、それは俺も同じだよ…。」
『小鳥』
「紫月……。」
 熱い抱擁を交わす二人(二人?)。
『翡翠 サキュバス なぜ』
「……なんでだろう、この国境封鎖と関わっているのか…。」
 ハイタカと闇之雲は遺跡へ目をやった。よく見れば盗掘にあったかのように荒らされているのがわかる。周りには折れた木や枯れた藪も点在していた。
(この所業、ハムレスひとりの仕業とは思えない。何者かがここの自然を荒らしたのだろうねぇ。その結果サキュバスが発生した、と考えるのが妥当かね)
 闇之雲は全身の目をパチパチとまばたきさせた。
 抱擁をかわしたままの二人を、『大型』ジオ(p3x002157)はうらやましそうに見ていた。
「はぁ……ワタシもあんないちゃこらできる相手ほしいわぁ」
「相手があんなでもいいのか」
『朝霧に舞う花』レインリリィ(p3x002101)の言葉にジオは不吉な笑みで返す。
「わかってないわねぇ……それにしてもサキュバス、ほんとにいたんだぁ。依頼が終わったらもう一回来ようかしら」
「吸いつくされるよ?」
 レインリリィは肩をすくめた。
「サキュバスかぁ……いよいよなんでもアリになってきた気がする……いや、今更かな?」
 ……あれ? なんかすごい勢いでサキュバスがたかってるのが見える。
「あれ、ハムレス氏か?」
「どこぉ?」
「あそこ」
 ぴっと指差すとジオは「まちがいないわね」とつぶやいた。あんなにもみくちゃにされて大丈夫なんだろうか。
「ま、まあ、何やら愉快な状況だけど、ハムレス氏がピンチなのには変わりないようだし……ひとつ、人助けといこうかな」
 レインリリィは不敵に微笑んだ。
 そんなレインリリィのとなりで目から血を流しているのは『殉教者』九重ツルギ(p3x007105)だ。
「何という羨ましい事態! 俺なんか現実世界では女性に見向きもされなかったというのに!」
 ツルギは目元を清潔なハンカチでぬぐい、いつものキラキラした彼へ戻った。
「まぁ、懲りたタイミングで一応助けて差し上げますか。ROOでの拠点がなくなるのは困りますから」
「とかやってるあいだにどんどんヤラれてるっぽいんだが」
 思わず素が出ちゃった『夜告鳥の幻影』イズル(p3x008599)は手でひさしを作って(目隠ししてるのに意味あるのかそれ)ハムレスらしきものを注視した。
「……ハムレス氏はいわゆる『不幸体質』というヤツなのだね。なかなか情熱的な方達に好まれているようだ。……貴重な体験のようだし、しばらく楽しませてあげてもいい、のだろうか」
「どちゃくそ羨ましいからさっさと妨害、いや救助しましょう」
「ツルギさんもガッてしないとダメかな?」


 ビャクダンはインナーを引き伸ばしてぴっちりさせた。見事な大胸筋が現れ、さっそくサキュバスたちが舌なめずりをする。甘い香りが漂ってくる。思考を乗っ取られる前に、ビャクダンは己も対抗して白檀の香りを立てた。
(口説き落としてから物理的にも落とせと……そんな経験ねぇが!? いや、やるしかねぇのはわかってやす。あっしも見目は悪くねぇと思いやすしやってやりますとも……!)
 脳裏にあるのは尊敬する師匠の姿。そんでもって彼の知る一番の遊び人。前髪を上げ、チャラい笑みを口元へ浮かべる。女は! 悪い男に! 弱い! って師匠が言ってた。師匠が言ってたから間違いないはず。近くへ飛んできたサキュバスのひとりの手をとり、金剛鸚哥の翼を広げ、外からの視界を遮る。他の人に見られたら恥ずかしくて悶死してしまうからだ。サキュバスは肢体をビャクダンの体へ添わせてきた。もちもちむちむちボディがビャクダンの五感を誘いだす。
(いやいやここでのっちゃダメでやすな)
 ビャクダンは鋼の意志でサキュバスの肩を掴み、体を引き剥がした。
「あん、つれないんだからぁ」
 しかしビャクダンは手の甲で彼女の頬をなで、顔を近づけて囁いた。
「遊びたい、って言いやすがね、どんなのがお好みで?」
 すすっと、脇をなぞり腰のあたりまで手を下ろす。それだけでサキュバスは甘い吐息をこぼした。
「どうせならお互い楽しめたほうがいいでしょう?」
「ん……あん……もっとしてくれるの?」
「魅力的な女性の誘い、抗える男なんてそうはいやせんよ」
 ビャクダンはサキュバスの額へキスを落とした。
「ああん、もっとお!」
 サキュバスは身悶えしながら目を閉じた。
 そこを……ガッ!
「どうせならその綺麗な脚でしがみついてほしかったんですがね」
 崩れ落ちるサキュバスへ送った一言に、ビャクダンは赤面した。
(無意識に言っちゃったけど、脚フェチ出てるっすね俺!)


(はー可愛い子を騙してガッ! なんて心が痛むわぁ……)
 なんて、心にもないことを思いながらジオはバッと両手を広げ、豊満な体をあまさず見せつけた。
「はぁい。可愛子ちゃんたちーお兄さんだけに夢中? おねぇさんとは遊んでくれない?」
(ふふ、つれてるつれてる。このワタシに惚れ込まないサキュバスがいるわけないわよね、そうよね)
 ジオは濡れた唇で切なげな表情を作り、自分のボディラインを強調するように胸からふとももまで両手を這わせた。そしてどこからともかく取り出した薄い本をばらまく。
「きゃーなにこれ過激い!」
「やだーおねえさんこんな本読んでるの、むっつりなの?」
「ワタシがむっつりに見える?」
 大きな胸をことさら強調し、ジオはそのサキュバスへ迫った。ぽっと頬を赤らめるサキュバス。
「でもぉ、いっぱいは怖いから……一人ずつ……ダメ? ちゃんとみんなと遊びたいからぁ……ね?」
 サキュバスはごくりとつばを飲んだ。目がハートになっている。そんなサキュバスを物陰へ連れ込み……ガッ!
「うふふー物足りなくなっちゃったー。次の可愛子ちゃんも遊んでほしいなぁ」
 ガッ! ガッ! ガッ!
(これはいい汗かけそうだわ……ヤバい、楽しい)
「はい、次の子ー」
「ねえねえ、物陰でなにしてるの。わたしもうおなかがキュンキュンして仕方ないのお」
「そうよう、待てないわ。みんなでしましょ、たのしいわよお」
「えっ、ちょっと待って。ひとりずつだってばぁ……あん! ひゃっ、ああん! ちょっと、やめなさっ、やめなさいよぉ! ワタシが下なんて聞いてな、んぅっ!」
 我慢の限界に達したサキュバスの猛攻。ジオはピンクの渦に溺れていった。


(うむ……あまりこの手のことは得意ではないけれど……)
 レインリリィはマフラーをするりとはずし、インナーをくつろがせた。鎧の下の白い肌があらわになる。そのまま物陰から抜け、うなじをさらすように結った髪をかきあげればさっそくサキュバスがやってきた。
「ねえねえあなた、わたしたちとあそばない? 気持ちいいこと、しよ?」
 レインリリィは視線を落としていかにも気弱なふりをした。
「え、ええと……さすがにこの数で来られると困るんだけど……」
「「やーんかわいい!」」
「てやっ!」
 ガガガッ!
「ふう、この調子で片付ければいいのか。すこし脱いだだけですごい食いつきっぷりだな。どれだけ欲求不満なんだ」
「ねえん、さっきから体がうずいて仕方ないのぉ……」
「エロ根絶っ!」
 ガガガッ!
「鎧の下の素肌ハァハァ」
「キモい黙れ!」
 ガガガッ!
(くっ数が多い、そんなにワタシのうなじが魅力的なのか!)
 レインリリィは知らなかった。普段着込んでる人が着崩すとこうなるってことを。最後の手段とばかりにレインリリィはバラバラになった。
「え、なに急に……」
「わかんないけど、まだエナジーは感じる」
「じゃあ記念に持って帰ろうっと」
「そうね、このパーツなんか<自主規制>にちょうどいいし」
「待て待て待て! なんに使うつもりだ! ……て、あ」
 首だけになったレインリリィがガッチリと捕まえられる。
「やだあ、元気じゃない。こういうプレイ初めて……」
「う、あ、うああー!!! ……あん」
 レインリリィの悲鳴が響き渡った。


(た、助けに行ったほうがいいのだろうか……。いやしかしこのまま各個撃破されてハムレスすら連れて帰れず全員干からびてGAMEOVER…とか……。)
 嫌すぎる。
 それに、死にはしない。
 死にはしないし、ソイヤソイヤされてて極楽夢心地なのだからハイタカはひとまず邪魔をしないでおくことにした。
 さらりと邪魔な前髪を流すハイタカの姿は、物憂げな美青年そのもの。ほうとためいきをつけばそれだけでサキュバスたちから黄色い声が上がる。まるでガラスの向こうにいるかのような距離感がサキュバスたちを悶えさせる。ハイタカはサキュバスらへ向けて一歩踏み出し……みごとにすっころんだ。
「んん……いてて、脚…くじいちゃった…。」
 涙目で上目遣いすれば刺さる刺さるサキュバスたち。わっとたかる彼女らに、一閃、銀光がひらめいた。ガガガガガッ! 目の前で倒れていく仲間たち、それでもいいと寄っていくサキュバスのなんと多いことか。馬鹿である。でもあたまがぴんくのしるでたっぷたぷな彼女らに理性なるものはない。
「おねがーい! 見せて寄らせて嗅がさせて、触って触ってぇ! 体が熱いのぉ!」
(知り合いのアニオタが、あえてカリスマ感を出しながらこう…ドジっぽいところ…? を出したほうが、ギャップ萌え…? …感があっていいって言ってたけど、まさかここまでとは……!)
 胸がムカつくほどの甘い匂い。こんなものよりずっと心安らがせてくれる香りを知っている。
(紫月…! 俺に勇気を……! 具体的にはこいつらを全員ガッしつつづける気力を!)
 残りAP5000越してるから大丈夫だよぉ。
 なんかそんな感じのテレパシーが飛んできた。


「ふぅーん、困りましたねぇ。エスコートする相手がおとなしい清楚な、イズルさんみたいな、方であれば慣れたものですが、ここまで頭がピンクな方々をどうお誘いすればいいものか」
「となればやはり、得意の一発芸を見せつけるといいんじゃないか」
「ではお見せしましょう、私の一発ゲイを!」
「そっち方面なのかい? ツルギさんのサキュバス三分クッキングじゃないの? 楽しみにしてたのに」
「といいつつすりよってくるあなたはなんなのですか」
「いやだな、アシスタントだよ、アシスタント。はいじゃあ、タララタタッタ、タララタタッタ、タララタタタタタタ、タッタンッタッタン♪」
「うぐう! それを聞いたら料理せざるをえない! えーまずはビャクダンさんの美しい鳥脚から出汁をとってですね……」(待って、それどこから採ってきたの! byただいまサキュバス口説き中のPN金剛鸚哥さん)
「完成品がレンジの中にあります。というのは冗談で、いくら俺がROOで奇食ハンターをしているとはいえ、人型の可愛子ちゃんを調理するのはちょっと……ビャクダンさんの美脚は美味しそうですが」(待って、あげねえから、あげねえでやすからね! byただいまサキュバスをガッてしたPN金剛鸚哥さん)
 なんてやってたらサキュバスがふらふら寄ってきた。イズルはささっとツルギのうしろに隠れた。
「なんだかたのしそうなことやってるけど……もしかしてわたしたちに興味ないの?」
 言いつつサキュバスはただでさえ食い込み気味なハイレグへ指を這わせた。
「ねえお付き合いしましょ、は・だ・か・の」
「ここまで振っといて温泉回とかいうオチじゃないだろうね」
 ツルギの後ろから口を出したイズルに、サキュバスはウインクした。
「そんなもったいないことしないわ。ちゃんとあなたとわたしの凸と凹をすりあわせて幸せにひたりましょ?」
(むぐぅ、あけすけすぎてどうにも俺の守備範囲外。だがしかしこれは依頼、やることやらないといけません)
「召喚! 美と叡智の座!」
 革張りの真っ赤なソファがあらわれ、ツルギはそれへ優雅に腰掛けた。
「すごい! 神々しい! やだ濡れちゃう!」
「ねえあなた何者なの!?」
 驚くサキュバスたちを相手にツルギは唇に人差し指をあてて……。
「ご存じないのですか? 異性は秘密が多いほどに魅力を増すものなのですよ」
 微笑を浮かべ、スーツの前を開く。内ポケットに見えるあれは、ぬらりと光る警察手帳。
「はぁん! 美形+権力! 無双コンボ!」
「たまらないわあー!」
 むらがるサキュバスをツルギとイズルは問答無用でガガガガガッ!
「イケメン無罪、無罪だよ?」
 けろっと申し述べるイズルは、しかし内心考えていた。
(『俺』はこの顔に弱いけれど、世間一般的にはどうなのだろう?)


 詠蓮は思い出す。
 召喚前の出来事を。
 そう、あれは開拓村を手伝っているときだった。そこの村長は、ちょっと自重したほうがいいんじゃないかってくらい、多くの魔物の妻に愛されていた。
 彼の真似をすればいいのではないか。詠蓮はしごく真面目にそう考えた。
(これもNPCとはいえ民のため民のため民のため……)
 彼は真面目に悩み、真面目に村長を思い出し、真面目にトレースすることにした。
 結果。
 マッハの速度でサキュバスへ近寄り、その胸をむにっとつかんだ。
「おお、なんと可愛らしい小悪魔ちゃんたちの群れ! この俺と愛と情を交わしに来てくれたんだね? これこそは身に余る光栄、手を伸ばさずともここに在るGrand Glory……さあ!」
 目がハートのサキュバスたち、だがまだまだ足りない。詠蓮は誰だお前ってくらいの村長完コピでサキュバスたちを褒め上げる。テンションダダ上がりなサキュバスたち。
「俺と最初に心を交わすのは誰だろう? 尻尾のハートがlovelyな君? 耳の尖り具合がso cuteな君? それともgracefulな巻き角の君なのかな?」
 くるりとターンを決めて、流し目をキラッ。これにはさすがのサキュバスも腰砕け。
 詠蓮はスンッといつものテンションに戻った。
「鳴神抜刀流・太刀之事始【一閃】」
 ズガガガガガッ!
 青空に気持ちいいくらいの討伐音が響いた。


 一方、闇之雲を前にしたサキュバスたちはざわついていた。
「え……生き物? これ」
「すごいエナジー……」
「え、でも、ちょっと、見た目が……」
 しかし、そのうちのひとりが両の拳を握りしめた。
「行くわ、わたし。そしてエナジーを吸い取ってくる」
「サキュ美! 無理しないで!」
「とめないでサキュ子、誰もいかないならわたしが捨て石になる!」
「サキュ美ー!」
 とつじょ目の前で始まった茶番に闇之雲の中の人は半眼になった。そんなことより彼女らが下に敷いているハムレスを返してほしい。
(うーん、といってもどいてくれと言ってどきそうにもないし、かといって眷属以外に我(アタシ)のエナジーをあげるのもねえ)
 そこいらの魔物にくれてやるほど安いものではないのだ。ここはすなおに。
『あーそーぼ?』
「ひいっ!」
 びびるサキュバスたち。このぶんだと追い払えそうか? 闇之雲は思考する。いや、できまい。彼女らはハムレスから生気をしぼりとるのに忙しい。
(しかたない)
 闇之雲の全身の唇がキャラキャラと笑う。
『かぁいい 子 遊ぶ 楽しい みんな 自分の 自慢 教えて?』
 ひとつ懐柔といこう。闇之雲の目論見どおり、サキュバスたちはおそるおそる近寄ってきた。
『大き 目 立派 角 料理 上手 みんな 良し 自慢 教えて?』
「わ、わたしはバストが自慢よ?」
「わたしはねふともも。ね? 形がいいでしょ?」
「わたしはねぇ。このまあるいおしり」
 性的な誘惑しか知らない彼女らへ、わずかに憐れみを覚えながら、闇之雲は微笑んだ。
『かぁいい ね』
 サキュバスたちがほっとしたかのようにすりよってくる。そのスキに、まとめて……ガッガッガッ!
 ついでにハムレスを救出……したのはいいのだが。


『なんか しおしお なってる』
「それよりハグさせて紫月。あーおちつく」
 闇之雲が回収したのはミイラみたいにカピカピになってるハムレスだった。

 湯につけると元に戻った。

成否

成功

MVP

霧江詠蓮(p3x009844)
エーレン・キリエのアバター

状態異常

なし

あとがき

おつかれさまでしたー!
2000字削った(真顔)。

MVP!あげずにはいられない!腹筋へ直撃するプレを書いてくれたあなたへ。

PAGETOPPAGEBOTTOM