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シナリオ詳細

<グランドウォークライ>ライブ・イン・スチールグラードスーパーアリーナ2021

完了

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●敵機強襲
「右舷より敵群接近します! エクスギアエクス・ザイン級12体! 量産型の奴です!」
「弾幕展開! 対空砲火で対応しろ! 当てようと思うな! 近づかせなければそれでいい!
 我が方のエクスギアエクスはどうなっているか!?」
「すでに全機出払っています! 格納済みの機体は修復中につき出られません!」
 ギアバジリカ第8戦闘艦橋にて分隊司令とオペレーターのやり取りが叫ばれる。巨大なギアバジリカ、その右側面の戦闘艦橋では、今まさに襲撃を仕掛けてきた敵シャドーレギオンの大部隊による攻撃に対応していた。
 R.O.O内にて発生したイベント『フルメタルバトルロア』。その進行がついに最終局面へと突入した。鋼鉄帝国にシャドーレギオンを作りだし、内乱を誘発させていた首魁、『聖頌姫』ディアナ・K・リリエンルージュを追い詰めた特異運命座標たちだったが、しかしディアナは最後の抵抗とばかりに、首都スチールグラードをその支配下に置いた。街はシャドーレギオンの群れに占拠され、ピンクのクリスタルが支配するととなり果てている。
 首都奪還を目指し、進撃するゼシュテリウスと特異運命座標たち――旗艦ギアバジリカを旗印に進撃を続けていた一同は、ここでギアバジリカをねらう大部隊と遭遇、交戦に入ったのである。
「敵、歩兵部隊も接近中! このままではとりつかれます!」
「ふうむ、まずいですね。私達も出撃しますか?」
 那由他(p3x000375)がそう告げるのへ、オペレーターが頭を振る。
「いえ、今出撃してはかえって危険です!」
「……だが、ここで縮こまっていても、危険と言う点では変わりは無いだろう?」
 エマノン(p3x007812)が言うのへ、オペレーターは言葉に詰まる。
「ですが、ここで皆さんを徒に消耗するわけには……!」
 そうオペレーターが言った瞬間、外部収音マイクから音声が拾われた。
『聞こえるか! ギアバジリカ! こちらは鋼鉄軍第十七戦隊、エリ・エドヴァウだ!』
「おや? 第十七戦隊。聞き覚えがありますね」
 那由他がそう言う。外部カメラを出力すると、そこにはかつて、特異運命座標たちに救われた、鋼鉄軍第十七戦隊のメンバーの姿があった。
「例のDARK†WISHから解放された部隊長だったか?」
 エマノンがいうのに頷くように、外部マイクからエリの声が聞こえる。
『首都が大変だってんで助けに来た! アンタらには間違いを正してもらった恩もあるしな!
 他の部隊からも動ける奴をかき集めてきた! 陸戦兵の雑魚は任せろ!』
「こちらギアバジリカだ。第十七戦隊だったな。援軍に感謝する」
 エマノンが言う。
『アンタ、確か前の時にいた奴だな? なら話が速い!
 とりあえず地面の雑魚共は何とかできるが、空を飛んでる……あのブリキのおもちゃみてぇの! あれだけどうにもならん!』
「分かります。とりあえず、こちらから砲撃は行いますので、陸戦兵だけ対応願いますか?」
 那由他が言う。
「……けど、陸戦兵は何とかしてもらっても、エクスギアエクスは何とかしないといけないわね……」
 吹雪(p3x004727)が言うのへ、皆が頷く。エクスギアエクスを撃退するには、同等の力が必要だ。それを持ちえない以上、いくら援軍が来たところでじり貧だろう。此処でギアバジリカにダメージを受けてしまえば、進軍に大幅な遅延が派生しかねない。
「それに、第十七戦隊の皆さんも、無駄死になんてさせたくは無い……」
 そう言った瞬間、収音マイクが何か音を拾った。同時、各種コンソールが、巨大反応の接近をアラートする。
「エクスギアエクス・アレフ級! 高出力タイプが10、砲撃型が10です! こ、この数に攻められては……!」
 オペレータが喘ぐように言うのへ、しかし後方からさらなる巨大反応の接近をアラートした。別のオペレーターが叫ぶ。
「こ、後方よりさらに大型機接近! ギアバジリカ級です!」
「馬鹿な! どこの軍閥だ!?」
 戦隊指令が叫ぶ――刹那!
『軍閥じゃないよ! 強いているならそう、アイドル!』
 全方位無線がスピーカーを揺るがせる。その声は――。
「パルスちゃん!?」
 吹雪が叫んだ。そう、その声の主は、ラド・バウのアイドル闘士、パルス・パッションだ!
『ずっと迷ってた。ボクは何をするべきなんだろうって。答えはずっと目の前にあったんだ! みんなの笑顔のために、ボクは戦うって! だから聞いて! ボクの! 歌を!』
 パルスの声と同時に、パルスのギアバジリカ……ギア・スチールグラードスーパーアリーナ2021が七色の光を放つ! 中央部のアリーナがせりあがり、そこにパルスの姿が現れた! 途端、鳴り響くアイドルミュージック! 振るわれるサイリウム! パルスがすぅ、と息を吸い、そして――歌い始めた!
『おい! あのデカいのは何をしてるんだ!? 何で急に歌い出した!?』
 収音マイクがエリの声を拾う。正直、何故歌い始めたのか、と言われれば、わからない、としか言いようがない!
「そ、そんなのボクにも……え、ちょっと待って?」
 吹雪が慌てたようにそう言って……絶句した。
「ちょ、ちょっとまって! パラメータに凄いバフがかかってる!」
 吹雪の言葉に慌てたように、特異運命座標たちが、システム上の自身のパラメータを確認する。見れば、パラメーター上に大幅なバフがかかっているのが確認できる!
『説明するよ!』
 全方位無線から、少女の声が聞こえる。
『ボクのことはとりあえず置いておいて! とりあえずパルスちゃんの友達だと思ってくれれば良し! とにかく、このギア・スチールグラードスーパーアリーナ2021は、パルスちゃんの歌を増幅して、皆の力を上昇させる力があるんだ!』
「どうやら、そのようですね」
 那由他が言った。
「これなら、例のエクスギアエクスですか? それも生身で倒せるでしょう。
 司令、出撃許可を。エクスギアエクスは、私達で迎撃します」
「分かった! 正直理解が追い付かんが、君達が言うのならそうなんだろう!」
 指令が叫ぶ。
「頼むぞ、特異運命座標たち! この難局を乗り切ってくれ!」
 その言葉を背に、特異運命座標たちはギアバジリカを飛び出した――。

GMコメント

 お世話になっております。洗井落雲です。
 パルスちゃんの歌を背に、戦え! 特異運命座標!

●成功条件
 すべてのエクスギアエクスを撃破する。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●状況
 首都スチールグラードを目指し、進行していたゼシュテリウスのギアバジリカ。しかし、その進行を敵がただ黙ってみていてくれるはずがありません。敵は大部隊を以てこれを迎撃。第十七戦隊と言う、かつて救ったもの達からの援護があったものの、大型敵であるエクスギアエクスには手も足も出せませんでした。
 しかし、そこに現れたのは、パルス・パッションの駆るギア・スチールグラードスーパーアリーナ2021です。
 パルスの歌を増幅し、友に力を与えるというそのギア・スチールグラードスーパーアリーナ2021は、ゼシュテリウスと特異運命座標たちを友として、今その増幅の力を存分に発揮してくれています。
 この状態なら、生身であってもエクスギアエクスを撃破できるはずです!
 皆さんは今すぐギアバジリカより出撃し、エクスギアエクスの部隊を撃破してください!
 作戦決行タイミングは昼。周囲は広く、何らかの戦闘ペナルティなどは発生しないものとします。

●ROOとは
 練達三塔主の『Project:IDEA』の産物で練達ネットワーク上に構築された疑似世界をR.O.O(Rapid Origin Online)と呼びます。
 練達の悲願を達成する為、混沌世界の『法則』を研究すべく作られた仮想環境ではありますが、原因不明のエラーにより暴走。情報の自己増殖が発生し、まるでゲームのような世界を構築しています。
 R.O.O内の作りは混沌の現実に似ていますが、旅人たちの世界の風景や人物、既に亡き人物が存在する等、世界のルールを部分的に外れた事象も観測されるようです。
 練達三塔主より依頼を受けたローレット・イレギュラーズはこの疑似世界で活動するためログイン装置を介してこの世界に介入。
 自分専用の『アバター』を作って活動し、閉じ込められた人々の救出や『ゲームクリア』を目指します。
特設ページ:https://rev1.reversion.jp/page/RapidOriginOnline

※重要な備考『デスカウント』
 R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
 現時点においてアバターではないキャラクターに影響はありません。

●エネミーデータ
 エクスギアエクス・ザイン級 ×12
  量産型のエクスギアエクス(大雑把に言うと、巨大ロボット)です。巨大な機械仕掛けの巨人です。本来ならばエクスギアエクスでなければ対抗できませんが、皆さんにはパルス・パッションの歌の力があります。生身でも充分以上に戦えるはずです!
  ザイン級は、小型のブレードとマシンガンを持った簡易量産級の兵器です。
  とりわけ秀でた能力はありませんので、まずは小手調べと行きましょう。

 エクスギアエクス・アレフ級 高出力型 ×10
  ハイカスタムタイプのエクスギアエクスです。ザイン級よりスピードや攻撃威力が上がっているエース級の敵です。
  ビームサーベルやビームライフルと言った超火力兵器を持ち合わせています。『火炎系列』のBSにご注意を。
  また、この敵は頭がいいので、ギア・スチールグラードスーパーアリーナ2021を狙って攻撃してくる可能性があります。ギア・スチールグラードスーパーアリーナ2021が破壊された場合、こちらのバフもなくなってしまいますので、うまく守りましょう。

 エクスギアエクス・アレフ級 砲撃型 ×10
  ハイカスタムタイプのエクスギアエクスです。ザイン級より装甲、攻撃威力が上がっているエース級の機体です。
  近接攻撃は持ち合わせていませんが、中距離以遠を射程とする多くのビーム砲撃攻撃を行います。『貫』や『ブレイク』、『溜』を持つ強力な砲撃にご注意を。また、この敵も頭がいいので、ギア・スチールグラードスーパーアリーナ2021を狙います。うまく射線から外れるように誘導するなどして、守りましょう。

●味方NPC
 エリ・エドヴァウと第十七戦隊
  かつて特異運命座標たちが救った鋼鉄軍人たちです。今は陸戦兵の雑魚を相手に戦ってくれています。
  エクスギアエクスを相手にするには力不足ですので、陸戦兵の相手をさせてあげましょう。

 パルス・パッションとギア・スチールグラードスーパーアリーナ2021
  パルス・パッションと、パルスのギアバジリカである『ギア・スチールグラードスーパーアリーナ2021』です。2021が一体何の数字なのかは不明です。
  パルスとギア・スチールグラードスーパーアリーナ2021がある限り、特異運命座標たちに大幅なバフがかかり、生身でもエクスギアエクスを相手取ることができるようになります。
  必然、ギア・スチールグラードスーパーアリーナ2021が戦闘不能になったらこのバフが切れてしまいます。そう簡単には壊れませんが、守ってあげた方がいいでしょう。

●サクラメントについて
 付近には存在しないため、死に戻りは不可能となっています。

 以上となります。
 それでは、皆様のご参加とプレイングをお待ちしております。

  • <グランドウォークライ>ライブ・イン・スチールグラードスーパーアリーナ2021完了
  • GM名洗井落雲
  • 種別EX
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年09月25日 22時05分
  • 参加人数10/10人
  • 相談7日
  • 参加費150RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(10人)

那由他(p3x000375)
nayunayu
ラピスラズリ(p3x000416)
志屍 瑠璃のアバター
縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧(p3x001107)
不明なエラーを検出しました
吹雪(p3x004727)
氷神
アウラ(p3x005065)
Reisender
エマノン(p3x007812)
かぐや(p3x008344)
なよ竹の
デイジー・ベル(p3x008384)
Error Lady
ひめにゃこ(p3x008456)
勧善懲悪超絶美少女姫天使
H(p3x009524)
ダークナイツ

リプレイ

●戦場に歌が響き
 ギア・バジリカ――その足元で、特異運命座標たちに味方する鋼鉄軍人たちが、シャドーレギオンの陸戦兵士と戦闘を続けている。
 その上空、いくつもの鋼鉄の巨人――エクスギアエクス――がブーストをふかして飛び交い、足元の鋼鉄軍人たちの防衛線を突破していく。
「やはり、我々ではあの巨人は止められません!」
 鋼鉄軍人が叫ぶのへ、隊長の女性は叫び返した。
「わかってる! オレ達はオレ達にできる仕事をやれ! この歌もあるんだ……」
 後方にそびえる、もう一体のギア・バジリカ――ギア・スチールグラードスーパーアリーナ2021から全方位に響くのは、パルス・パッションが今まさにライブで歌唱する歌(おもい)だ。
「オレ達には影響はないが、特異運命座標たちはこの歌で強化されてるらしい! だったらあのデカブツも倒せんだろ!
 とにかく、オレ達は陸戦兵を止めるぞ! 特異運命座標たちがデカブツを全滅させても、オレ達がへばってたらそれこそ間抜けだ! 全力で行け!」
「了解!」
 轟、と鋼鉄軍人たち、そしてシャドーレギオン陸戦兵が衝突する。そんな光景を見ながら、特異運命座標たちはギア・バジリカのエクスギアエクス用の甲板に立っていた。足元には、エクスギアエクス用のカタパルトが走る。
 ここにも、パルスの歌は響いていた。その歌が、自分たちのパラメータを著しく上昇させていることを、特異運命座標たちは理解していた。普段よりも向上した身体能力に、どこか心が躍る思いだ……いや、『氷神』吹雪(p3x004727)に関していえば、身体能力のおかげでテンションが上がっているわけではないようで。
「えっ、ちょっと待って、どういうこと? ボクが見たことのない衣装のパルスちゃん? しかも曲も聴いたことない気がするんだけど新曲? それともこっちの世界だけの曲? うわあ、もし新曲なら、他のファンに先駆けてボクが聞いちゃったって事だよね!?
 どどどどどど、どうしよう!? すっごく嬉しいんだけど、でも現実でサプライズで聞きたかった気持もあって複雑だよ! もちろん最高にうれしいんだよ! でもほら、複雑なファン心理って言うか! いや、でも、現実でもR.O.Oでもパルスちゃんはパルスちゃんだし、パルスちゃんからじかに曲を聴いたわけで、これは抜け駆けとか、そう言う行為じゃないよね、うん!
 ああ~~~~それにしても最高だなぁ~~~~! この曲、ロック調の曲だよねぇ。パルスちゃんのかっこいいナンバーはいくつもあるけど、その曲に負けないくらいの良曲だよ! ううん、神曲だね! 歌詞カード配られてないのかな?! サビを覚えて合いの手入れなきゃ! 
 って言うか、あっちのアリーナにファンの人達もいるみたいだけど、今回の件って実質ボク達のためだけに歌を歌ってくれてるようなものだよね!? すごい、パルスちゃんを独占してる! 信じられない、夢みた」
「落ち着いてください、早口オタクさん!」
 てい、と『勧善懲悪超絶美少女姫天使』ひめにゃこ(p3x008456)が軽く吹雪の頭にチョップを入れる。このまま放っておいては延々としゃべり続けただろう。
「ハッ……こほん。いえ、少し取り乱しました。忘れてちょうだい。
 とにかく、この歌があれば、まさに百人力よ」
「いまさら取り繕っても……まぁいいです。
 パルスさんがひめより目立つのはちょっとムムッて感じですけど、バフがかかるなら仕方ないですね!
 それから提案なんですが、歌が力になるなら、この歌が盛り上がればひめ達にも恩恵があるかもしれないです。
 と言うわけで、ここはライブを思い切り盛り上げて行きましょう!」
「それは、その」
 と、エマノン(p3x007812)がこほん、と咳払い一つ、
「こう……声援をあげたり、ライトを振ったり……と言う奴か?」
「そうです!」
 と、ひめにゃこが胸を張る。
「アイドルを盛り上げるのはファンの声援! ファンの力がアイドルの力になる! と言うわけで、戦いの合間に全力で応援をしましょう!」
「良いわね!」
 と、吹雪がぽん、と手を叩く。
「えぇ、とても素晴らしい提案だと思うわ!
 パルスちゃんが私達のために歌ってくれているのだもの!!!!
 それに対して私達が応えないのは失礼よね!!!
 だからパルスちゃんを応援するのは当然なのよ!!
 私も全力でパルスちゃんを応援するわ!!!!
 戦いながらしっかりコール&レスポンスやパルスちゃんコールを忘れずに!!!!!
 皆に応援の仕方のレクチャーもするわよ! あっいえ、この内容は友人から聞いたはなしなのだけれど」
 そして合いの手はこう、ぱっるすちゃああああん!」
 吹雪が叫ぶのへ、『不明なエラーを検出しました』縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧(p3x001107)は、
『きゃー パルス ちゃー』
 とテレパシーを発する。
「そう! 良いわね!」
 ぐっ、と吹雪が親指を立てるのへ、エマノンは苦笑した。
「やれやれ、まさかこのアバターで、プレイヤーもやらないようなことをやるとはね」
「ハッ、元エンターテイナーとしちゃ、この盛り上がりにのってかねーとな」
 『耀 英司のアバター』H(p3x009524)がそう言ってみせる。
「へぇ、パルスちゃんのライブ、盛り上げんの?
 まあ、彼女も私達を応援してくれてるんだから、そこはお互い様、なのかな?
 それで勝てるなら、別に損にはならないかな」
 『Reisender』アウラ(p3x005065)が肩をすくめた。
「さて、そろそろ出撃しようか。いつまでもライブ談義をしてるわけにはいかないからね。
 司令室、いいかな?」
 アウラが声をあげるのへ、その声を拾った指令室のオペレーターが言葉を返す。
「Okです。敵エクスギアエクスは依然としてギア・バジリカ付近に展開中。全て撃破してください」
「言われなくても、だ」
 アウラが頷く。
「さて……では、ツーマンセルで行きましょう。二人一組で展開し、お互いをバックアップし合います」
 『nayunayu』那由他(p3x000375)が声をあげる。
「パートナーは、先ほど話した通りに。では、皆さん、幸運を」
 那由他の言葉に、仲間達は頷いた。同時、オペレーターの声が飛ぶ。
「進路OKです! いつでも出撃してください!」
「了解です。さぁ、行きましょう」
 那由他が声をあげると同時に、仲間達は走り出した。甲板を駆け抜け、跳躍。普段より高く、高く飛びあがる。身体も軽い。空を飛ぶように、跳躍――同時、無数のエクスギアエクスたちがそのわきを通り抜けた。
『特異運命座標だ』
 エクスギアエクスより、全周囲無線が飛ぶ。
『馬鹿が、生身できやがった』
『ザイン級だけで相手は充分だ! 蹴散らしてギア・バジリカに止めを刺してやれ!』
 12体のザイン級が、一気に展開する。一方ギア・バジリカ、そしてギア・アリーナを背にしつつ、特異運命座標たちが着地。
「さぁて、派手に行くか。ミュージックはすでに鳴り響いている。後は俺達次第だ」
 Hが呟きつつ、構えをとる。特異運命座標たちは扇状に展開、アリーナを防衛する形でザイン級たちを迎え撃つ!
『くたばれ!』
 ザイン級が手にした巨大なマシンガンが火を噴く。一撃を喰らえば、生身なら致命打を受けそうな強烈な攻撃! だが、『なよ竹の』かぐや(p3x008344)は優雅に跳躍、手にした杖を振るい、その強烈な弾丸をはじいた。身体を駆け抜ける衝撃は、しかし致命打には程遠い!
「まぁ。これは確かに、強化を実感いたしますわね」
 にっこりと笑いつつ、竹やりを構える。つづいて投擲。唸りをあげて飛ぶ竹やりは中空で巨大化すると、ザイン級の顔面に突き刺さった! 目(カメラ)を破壊されたザイン級がもがくように四肢を動かすのへ、
「さぁ、不明なエラーの方。止めを」
『わかっぱ』
 縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧がその手を掲げると、名状しがたき陰のような物体が巻き起こる。ザイン級の関節からにじみ出たように現れた影が、ザイン級の四肢を侵蝕。そのままぐちゃりと噛み砕くように粉砕し、空中で爆散させる!
『なるほと、いけるえ』
 縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧の口々がキャラキャラと笑う。それを讃えるかのように、ギア・アリーナから七色のサーチライトが巻き起こった。同時に、パルスの歌が戦場に高らかと鳴り響く。Bメロからサビへ。
『負けないで ソルジャー ボクらきっと あの星を掴むから』
 響く歌が、さらなる力を特異運命座標たちへと与える。ギア・アリーナの中央を見れば、ステージの上で歌うパルスと、何人ものファンクラブ会員たちがペンライトを振っている。よく見れば、そこにはパルスの友人だという赤毛の少女の姿も見えたに違いない。
「これは驚きです。戦場に、歌が響いている。
 こんなことって普通はあるのでしょうか」
 『機械の唄』デイジー・ベル(p3x008384)が驚いたように呟く。軍歌、というジャンルはあるが、しかし戦場に鳴り響くロックミュージックは、まるで物語の中のようだ。
「不思議です――あまりにも。でも、心地よい。……あぁ、ほんとうに、良い歌ですね」
 変わらずの鉄面皮ではあったが、しかしその口調には、どこか穏やかに炉が載る。
「おっと、相棒。そうやって静かに聞くのもいいが――これを使いな」
 と、Hが投げてよこした何かを受け取るデイジー・ベル。それは、ペンライトだった。
「これは?」
「応援グッズだ。戦闘の合間に余裕があったら振りな。ああいうふうにな」
 と、指さす先には、那由他と吹雪が激しい空中戦を繰り広げている。
「たあっ!」
 気合と共に、那由他の双剣が、ザイン級の関節を切り裂く。接続パーツがむき出しになった関節は、弱点でもある。巨大な斬撃エフェクトが巻き起こって、ザイン級の腕が斬り落とされ、爆発する!
「ふふ、これはこれで気持ちいいですね。巨大な敵と、対等のように切り結ぶ……仮想空間ならではでしょうか」
「とどめを刺すよ!」
 吹雪がその手を優雅に振るうと、巻き起こる強烈な吹雪のエフェクトが、ザイン級たちを次々と包み込み、氷雪の中へと消滅させていく。
「普段より明らかに強力なエフェクト。これが歌の力ですか」
 那由他が頷くのへ、
「ううん、歌の力はこんなものじゃないよ! さ、応援しよう! 今はサビ! こういう時こそ、ファンの力が試されるの!」
 空中で飛び跳ねながら、吹雪が両手にペンライトを取り出して、振るう。
「行くよ那由多さん! ぱっるすちゃああああん!」
「え、えーと、私は遠慮を」
「だめ! そんなんじゃ敵に勝てないよ! さぁ、ペンライトを振って! そう、歌詞のこのタイミングに合わせて……いくよ! ぱっるすちゃああああん!」
「ぱ、ぱるす……いえ、やっぱり恥ずかしいです! というか、吹雪さん、ロールが崩れっぱなしですよ?」
 そんな二人のやり取りを見やりつつ、デイジー・ベルは頷いた。
「なるほど。こうですか。ぱっるすちゃああああん」
 Hは頭を振る。
「いやいや、もっと体を振るんだ。全身でアピールしてな。ぱっるすちゃああああん!」
「なるほど……こうして、全身を振って……ぱっるすちゃああああん!」
「上出来だ!」
 ぐっ、と親指を立てるH。デイジー・ベルは鉄面皮ながら、どこか楽しそうにライトを振る。
『な、なんだアイツら! ふざけやがって!』
 ザイン級たちが怒声をあげる。一方、そのザイン級に、巨大な石の欠片が飛ぶ。それは空中で巨大なスキルのエフェクトを纏って、さながら大砲の砲弾のような勢いで、ザイン級の胸部動力炉を貫通。盛大に爆発させた。石の欠片の主――『志屍 瑠璃のアバター』ラピスラズリ(p3x000416)は、静かに呟く。
「ふざけているのは其方です。アイドルのアリーナへ手を出そうとは。厄介ファンか何かですか?」
 ふん、と鼻を鳴らしつつ、手にしたダーツを投擲する。歌を乗せて宙を切り裂くしそれは、空中でエフェクトを纏い巨大化。巨大なザイン級の胸部を貫き、動力炉を貫通! 同様に大爆発を引き起こした。ラピスラズリがふぅ、と息を吐く。
「ヒロインの歌を背に、巨大な敵と戦う――まるで物語の一説。自分がその立場になるとは夢にも思っていませんでしたが――」
 背後から、歌が響く。
『一緒に走れ! desireだって原動力!』
「ふふ、ぱっるすちゃん、ですね。いけないいけない。この非現実的なシチュエーション。癖になってしまいそう。
 おや、エマノンさん。応援の声が小さいですよ?」
 くすり、と笑うのへ、相棒であるエマノンがこほん、と咳払いをする。
「……本当にやるのか? 俺は見た通り、いい歳したおっさん……」
「おや、推し活に年齢は関係ありません。って、吹雪さんが言っていましたよ。さぁ、吹雪さんが合図をしてくれています。ご一緒に。せーの」
「ぱ、ぱっるすちゃああああん!!
 ……っ、く
 顔から……火が出そうだ……!」
 顔を覆う、エマノンに、ラピスラズリはくすりと笑った。
「よくできました。恥ずかしさは――敵にぶつけましょう」
「くそっ……仕方ない。八つ当たりのようなものだが……一丁、派手に行こうじゃないか!」
 エマノンの銃が火を噴く。乱射された銃弾はエフェクトを纏い巨大化。戦車砲弾の雨のように化した銃撃が、ザイン級をまとめて討ち抜き、爆散させる!
「おやおや、随分と派手な戦場になったものだね」
 アウラが言うのへ、相棒のひめにゃこがむー、と口を尖らせた。
「やっぱりひめより目立たれるのは面白くないです! もちろん、応援はしますが!
 ……あのアリーナ、良いですよね。終わったら貸してくれないでしょうか?
 ひめにゃこスーパーライブツアー2021を開催したい所です! いや、でも歌うのもなんか違いますね。ひめにゃこをひたすら崇めるツアー2021?」
 んー、と小首をかしげるひめにゃこに、くっくっとアウラが笑う。
「終わったら好きなだけ交渉しておくれ。さ、どうやら敵も本気のようだよ」
 指さしたアウラ。その通り、さらなる機影が此方に近づいてくる。半数以下に減ったザイン級の穴を埋めるように、さらなる高性能型――アレフ級の20体が戦線に参入した。
「よーし、ライブも、戦いも、ここからが本番ですね! さぁ皆さん、やりますよ!」
 ひめにゃこが叫び、手にしたギターをかき鳴らす。演奏にプラスする形で奏でられるギターが、さらにテンションをあげた仲間達の背中を押した。

●熱狂ライブ進行中・迎撃作戦遂行中
 一方、ギア・バジリカ第8戦闘艦橋では、オペレーターたちの喜びにも似た悲鳴が響き渡る。
「特異運命座標、圧し返しつつあります!」
「信じられない、生身であの巨大な敵を……これがパルスの歌の力なのか!?」
「陸戦隊も圧し返しています……あれだけ不利な状況だったのに、戦局が覆りつつあります!」
 分隊司令が頷き、
「ギア・バジリカの回線をギア・アリーナに接続。此方も外部スピーカーでパルスのライブを流せ! 我々ができることは少ないが、しかしできる事をすべてやり切るぞ!」
『了解!』
 ――アレフ級の攻撃を退け、高性能型であるザイン級と対峙した特異運命座標たちは、再び苛烈な戦いを繰り広げていた。
『おそらく、敵はあの歌でパワーアップしている。
 理解は出来んが……とにかく、後ろのアリーナを狙え。砲撃部隊、攻撃を――』
「させないわっ!」
 吹雪がその手を振るうと、戦場を覆うほどの強烈な吹雪が巻き起こる。ザイン級砲撃型の砲塔が凍り付き、行き場を失ったエネルギーが砲塔内で爆発、ザイン級砲撃型が爆発し、残骸が地に倒れ伏す。その残骸に身を隠しつつ、那由他は、ふふ、と笑った。
「おやおや、偶像(アイドル)に手を出してはいけませんよ。こわいファンに怒られてしまいます」
「そう! 厄介ファンはお断りよ!」
 吹雪が胸を張るのへ、那由他は笑った。
「とは言え……先ほどの兵士よりは頭が切れるようです。少し厳しくなるかもしれませんが」
「その分、こっちも全力で戦って応援するわ! 那由多さんも! 隙を見てペンライトを振って!」
「あ、ああ……はい……」
 那由他は苦笑する。
 一方、空中をザイン級前衛型のビームライフが擦過する。熱線が宙を走り、ギア・アリーナに迫るが、ギア・アリーナのバリアが派手に明滅し、それを受け止めてみせる。ショートするように点滅する光は、まるで舞台装置のようにも見えた。
「おっと! アリーナには攻撃させません!
 アウラさん、突破してきた敵を迎撃しますよ!」
「ああ、了解」
 ひめにゃことアウラの目の前に迫る前衛型。アウラは跳躍。両手に構えた銃をくるり、と回す屋、一息に前衛型に接触するや、まずは肩口からのタックルをお見舞いした。サイズ差は小動物と人間ほどもあるだろうが、しかしそのタックルで前衛型は派手に体勢を崩す。刹那、突きつけられた銃口が、文字通りのゼロ距離射撃で内部に叩き込まれた。接触した銃弾が内部で爆発するようにエフェクトを纏って巨大化し、前衛型の内部を抉った。
「強化術師を狙うのは及第点。だけれど、彼我の戦闘能力の差を理解できないなら、やっぱり落第だね」
 小ばかにするように微笑むアウラ――一方、ひめにゃこは、その手でハートを作りながら、ぴっ、とポーズ!
「ひめにメロメロにしちゃうぞ♡ にゃこにうむ、びーむ♡」
 とあざとく笑ってみせるや、放たれたハート型の光線が迫ってきた前衛型の胸を物理的に打ち抜く!
『ハートが!?』
 と悲鳴をあげながら前衛型が爆散! ひめにゃこは「いえい♡」とポーズなどを決めつつ、
「ひめがハートを撃ち抜きました! と言うわけで、前線を突破してきた敵は全滅……後は圧し返してください!」
 ひめにゃこが叫ぶのへ、仲間達は頷く。いかな高性能型と言えど、もはや特異運命座標たちを倒すには至らない!
『負けないよ ソルジャー ボクらずっと 隣で笑いあえるから!』
 再度のサビに入った歌を背に、特異運命座標たちは反撃にうつる!
『くそ! 強引にでも突破して、あの歌を潰せ!』
 前衛型が突撃を敢行する――それを待ち受けていたかのように、否、実際待ち構えていたのだ! やぶれかぶれの突撃など、動きを呼んでくださいというもの。かぐやの投擲した竹やりは巨大化し、前衛型の動力炉をぶち抜き、爆散させる!
「無理矢理にでも近付けば、何とかなると考えた、その浅はかさを後悔させてやりますわ。
 ここは、パルスさんのバトルソングを最も間近で浴びることのできる、言わば特等席!
 破れかぶれの特攻など、片端から粉砕できるだけのパワーを貰っておりますのよ」
 くすり、と笑うかぐや――同時に、くるり、くるりと舞うように周り、ぴょん、とジャンプ。手にしたペンライトを振って、
「ぱっるすちゃああああん、ですわ」
『ぱるす ちゃー』
 縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧もキャラキャラと笑いながら、手(?)を振った。同時、まるで応援のペンライトを振る様に無数の陰が前衛型を蝕み、次々と黒の爆発に飲み込んでいく。
「良い花火ですわね」
 かぐやが微笑んだ。縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧はキャラキャラと笑う。
『し、信じられない……アレフ級が、墜ちる……!?』
 パイロットたちが呻いた。爆発は爆発を呼び、戦場にエクスギアエクスの残骸をほうりだす。
『隊長、このままでは……うおっ』
 交信が途切れた。そちらの方を見てみれば、機体のあちこちに無数のダーツが突き刺さり、刹那、爆発を巻き起こす。ラピスラズリの攻撃だ!
「ふふ、歌のいい所で爆発を起こせましたね」
 ラピスラズリが微笑む。
「あなた達はもはや、舞台演出装置の一つにすぎません。諦めて引き返すなら、追う事はしませんよ?」
『舐めるな!』
 ビームサーベルを抜き放ち、前衛型が突撃する。が、その斬撃がラピスラズリへと届く前に、無数の銃弾が前衛型に突き刺さり、ラピスラズリをかすめるように地に落着、爆発を起こす!
「おっと、相棒にもおさわりは禁止だ」
 エマノンはニヒルに笑った。
「……そう、こういうロールだ。ぱるすちゃーんってのは、なんだ。忘れてくれ」
「おや、中々素敵な声量でしたよ? そろそろ歌も終わるころです。最期までコールして、盛り上げませんか?」
 くすくすと笑うラピスラズリへ、エマノンは思わず目を見開いた。
「……か、勘弁してくれ……!」
 勘弁してくれ、とは敵側のセリフだったかもしれない。機動力に優れた前衛型は、早々に特異運命座標たちに接敵し、撃墜されている。残ったのは遠距離から攻撃を続けていた砲撃型のみだ。最期の悲鳴のように、高圧のビームを撃ち放つ砲撃型。いくつかはギア・アリーナを狙うが、特異運命座標たちの活躍でダメージの少ないアリーナはバリアを展開し、致命の被害を的確に避けている!
「うおお! うりゃほい! うりゃほい! そうだ、デイジー・ベル! 全身で! 推しへの気持ちを描け!」
「はい。うりゃほい。うりゃほい」
 ビームの爆風を背に受けて跳躍しながら、Hとデイジー・ベルはペンライトを振るう。歌も応援も、戦いもクライマックスだ。二人は空中でくるりと前転。体勢を立て直して武器を構える。
「終わりだぜ、厄介ファンども!」
 Hのうち放つマシンボウがの矢が連続して砲撃型の方針に突き刺さり、砲身が大爆発を起こす。ぐらりと揺れた巨体に、デイジー・ベルの呪詛の弾丸が着弾する。肉と骨を蝕むそれは、鉄とオイルであろうと同様に蝕む。腐食するように崩れていく砲撃型、大爆発を起こして消滅。
「デイジー・ベル。全力で戦いと応援を遂行します――L・O・V・E、ぱっるすちゃああああん」
「いいぜ、デイジー・ベル。解ってきたじゃないか!」
 Hがぐっ、と親指を立てるのへ、デイジー・ベルも鉄面皮のままぐっ、と親指を立てて返した。特異運命座標たちの猛攻により、砲撃型が次々と爆散していく。最期の一帯が断末魔の応戦を行うも、もはや無駄な抵抗。アリーナも、特異運命座標たちも、傷つけることはできない!
「負けるわけがないわ。私たちには、パルスちゃんがついているもの」
 吹雪がにっこりと笑った。手を掲げれば、まるでライトアップするかのように、真っ白に輝く雪が、アリーナを、世界を染め上げる。
「さようなら、鋼鉄の巨人たち。つぎは、同じファンとして逢えたらいいわね?」
 そう言って笑う――刹那、巻き起こる吹雪が、最後の砲撃型を粉砕した。それは、歌の終わりとほぼ同時。
『みんな、ありがとー!』
 パルスの声が、戦場に鳴り響く。吹雪は目を輝かせて、とろけるような笑顔を浮かべた。
「ありがとうなって! こっちが! ありがとうです!!! あああ、もうむり、マジ天使!!!!」
「ふむ。終わりはこうですか。もうむり、マジ天使」
 デイジー・ベルがそう言うのへ、かぐやはくすくすと笑う。
「良いライブでしたわ――そう思いません、エラーの方?」
 縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧がキャラキャラと笑った。戦場には、ファンたちのアンコールの声が響いていて、吹雪もご多分に漏れずに、ぴょんぴょんと飛び跳ねながらアンコールをねだっている。
 なんにせよ――歌と、特異運命座標たちの力を以って、ギア・バジリカの危機を脱することに成功したのであった――。

●ライブ続行中!
「しんじられねぇ、マジで全部やったのか!」
 と、鋼鉄軍人の女性が駆けてくる。以前、那由他やエマノンが助けたこともある人物だ。
「おや、エリさんでしたか。そちらの方も無事のようですね」
 那由他がそう言うのへ、軍人の女性、エリは頷いた。
「ああ、こっちは損害も軽微だ。けが人は出ちまったが、いまギア・バジリカに収容してもらってる……。
 しかし、さすがアンタらだぜ! あの巨人どもを全滅させちまうとはな!
 それも、なんかライブを応援しながらだろ? ぱるすちゃーんってな」
 笑うエリに、エマノンは額に手をやった。
「忘れてくれ……思い出しても恥ずかしい」
 エリがケタケタと笑う。
「確かに、アンタのキャラじゃなさそうだ……さておき、助けるつもりで助けられちまった気分だ。何度も悪いな。いつか、ちゃんと礼をさせてくれ。
 じゃあ、オレは部下をギア・バジリカに搬送する手伝いをしてくる。アンタらはゆっくりライブの続きでも観賞してなよ!」
 エリが手を振って走って去っていくのを見て、那由他とエマノンは苦笑した。
「ライブですか……どうですか? もう一度、ぱっるすちゃーん、というのは」
「ライブを観賞するのは良いが」
 エマノンは肩を落とした。
「コールは……勘弁してほしいな」
 そう言うのへ、那由他はくすくすと笑う。
 一方、ギア・アリーナが変形する様子を見せた。機体中央に会った舞台と客席がせりあがり、地上へ向けてゆっくりと降下してくる。かくして特異運命座標の前に、パルスとファンたちが姿をあらわした。そこには、最初に此方へと交信してきた、『パルスの友達』である赤毛の少女の姿もある。
「ぱ、ぱ、ぱ、パルスちゃん! パルスちゃんが! 目の前に!!!!!
 あああ! 何度も見てきたけど、やっぱり神々しいよ! 推しが! 神々しい!」
 吹雪が口をパクパクさせるのを、アウラは肩をすくめた。
「まったく、ただの重度のファンになってしまったね」
 さておき、と言葉を紡ぐと、
「援護に感謝するよ。おかげで助かったようだ」
「ええ。歌の力、ですか。まるで物語のようですが、癖になりそうでしたよ」
 ラピスラズリが笑う。
『歌 あぃがと』
 縺薙?荳也阜縺ョ繝舌げ繧がそう告げる。特異運命座標たちの言葉を受け取ったパルスが、マイク通して言葉を紡いだ。
『良かった! みんなの力になれて!』
 吹雪がなんか喜びで痙攣していた。
「最高のライブだった! 応援するにも力がこもったよ」
 Hが言うのへ、パルスが頷く。
『みんなの応援、見てたよ! ボクもいっぱい、元気と力をもらった。それをギア・スチールグラードスーパーアリーナ2021が増幅して、皆をもっと力づけてくれたみたいだ。好循環って奴だね』
「ぱっるすちゃあああん」
 デイジー・ベルがペンライトを振る。
「この感覚は……そう、楽しかったです。ライブ、良いものですね」
「そうですね! ひめより目立ったのは、やっぱりムムムッ、ですけど!
 あ、パルスさん! こんどひめにもアリーナ貸してくれませんか?」
 ひめにゃこがそう言うのへ、パルスは笑った。
『いいよ。ライブが終わったら、きっとね!』
 ウインク一つ。吹雪がぶっ倒れた。
「あら、と言う事は、ライブはまだ続くわけですわね?」
 かぐやが微笑んだ。
「それは楽しみですわ。急ぎの旅路ではありますが、少しは休憩しても罰は当たらないでしょう……吹雪さん、いつまでもびくんびくんしてないで、起き上がってくださいまし」
「はっ」
 と、吹雪が正気に戻ったように立ち上がった。
「あ、アンコールがあるんだね! うん、出来れば聞きたい……戦いはまだ続くけど、そのまえに、少しだけ力をもらおう!」
 もうキャラロールが維持できないくらいにテンションの上がった吹雪。その様子に、仲間達は微笑んだ。
『おっけー! じゃあ聞いて! 次は、みんな知ってるよね? おなじみのこの曲!』
 曲のイントロが流れ出す。それは、吹雪もよく知っている。現実でも何度も聞いたパルスの曲だった。
 ギア・アリーナの力は切断されているため、システム上身体にバフはかからない。
 だが、パルスの歌が、曲が、確かに体に活力をくれるのを、皆は理解していた。
 これが、歌の力なのだろう。古代兵器に力を借りずとも、本当の歌は、人に活力を与えるものなのだろう。
「うう……最高だよ! ぱっるすちゃああああん!!!!!!!!!!」
 吹雪が叫んだ。特異運命座標たちも、それぞれのやり方で、ライブを盛り上げるべく声をあげた。
 かくして、しばしのミニライブが、鳴り響いていた。

成否

成功

MVP

ひめにゃこ(p3x008456)
勧善懲悪超絶美少女姫天使

状態異常

なし

あとがき

 ご参加ありがとうございました。
 皆さんはパルスと共に難局を突破!
 ご褒美に、ちょっとしたミニライブがひらかれました。

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