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シナリオ詳細

<月没>命の狩人

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●<月没>命の狩人
 現実世界とは似て非なる、大正ロマンな雰囲気の漂うここ、帝都高天京。
 蒸気機関で走る鉄道が街中を走り、ソレに乗る事でオシャレなな雰囲気を楽しんでみたり……ちょっとした洋服を身につけて街を歩くことで、自分をオシャレな人物と思い込んでみたり……新たなる世界戦を、NPCである町の人達は、思う存分に楽しんでいる。
 ……そんな煌びやかな表の世界に対し。
『……ヒヒヒ。ヤッタヤッタ、今日モイイ血、流れレタゼ!』
 と裏路地に聞こえたのは、カタコトな声。
 その声の主の前には……血を流して息絶えし女性。
 ただその姿格好は、この帝都高天京で殆ど見かける事のない格好で……耳は尖り、美しい顔立ちをしている。
『コイツガコノ世界ニキタカラ、俺達ハコロシタ、ソレダケ……俺達ハ、正シイコトヲシテイルンダ!』
 この近辺で見かけられない者は、全て異端者である……そんな歪んだ考えを持って居たのは、この地で密かに活動していた、人型の夜妖。
 この地に本来棲まう者以外は、この地に居てはならない……という自分達の理念に合わぬ者を人知れず殺害。
 死体を貪り喰らい、糧を得ている彼ら……襲われる者は全て来訪者という事もあり、事件にもならず……人知れず消えていった。


 最近アップデートされた、神威神楽の世界。
 ログインした君達のウィンドウに、今迄とは見慣れぬ新たな『侵略度』のパラメーターがある事に気付く。
 ……ただ、その侵略度が何を指し示す物なのか、の説明は一切無い。
 ただ、イレギュラーズ達に与えられている情報は、今回のアップデートの名称が『Rapid Origin Online(R.O.O)2.0『帝都星読キネマ譚』イベントの実装』であり、副題は『月没』という事のみ。
 ただ、そのアップデートは通常の流れで行われた訳ではない。
 練達の上層部に属する『佐伯 操』と、神威神楽の陰陽師『月ヶ瀬・庚』が協力し、このR.O.Oへ介入したのだ。
 勿論それは、ログインするイレギュラーズ達を補佐するが為……ゲームバランスを崩しかねないからこその、緊急対処である。
 その結果、本来天香遮那と敵対し霞帝の下に付くことになっていたプレイヤー達は、ネクストの世界高天京特務高等警察の立ち位置に変化し、遮那との共同戦線を張る事となる。
 ……何故に共同戦線を張らねばならないのか、と誰かが問うと、その答えとして提示されたのは、元の世界で突如発生している『侵食の月』に起因する。
 この月は、突如として希望ヶ浜と神咒曙光に現れた皆既月食。
 普通の月とは違い、徐々に陽が月を奪い返すと蝕み始めるという奇妙な動きをしており、人々はその満ち欠けに、不思議な感覚を覚えていた。
 そしてそれに関連してかの様に、『侵略度』のパラメーター。
 恐らくこれは、『真性怪異』による影響であろう。
 そして、それら全てを結びつけて思いつくは……この帝都高天京の世界に現れる脅威である夜妖らを仕留める事による、侵略度の低減。
 事件を放置しておけば、更に事態は悪化していくのは間違いないだろう……だからこそ、今イレギュラーズ達の力が必要なのだ。
 ……そんな事態を受けて、そそぎはぶっきらぼうに。
「……そういう訳。それじゃ、特高の皆さん、宜しく」
 と、依頼解決の指示を与えるのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)です。
 R.O.Oのアップデートが、様々な事態を引き起こしている様です。

●成功条件
 帝都高天京に巣くう、異邦人(人以外の存在)を喰らう夜妖を退治する事です。

●情報精度なし
 ヒイズル『帝都星読キネマ譚』には、情報精度が存在しません。
 未来が予知されているからです。

●侵食度
 当シナリオは成功することで希望ヶ浜及び神光の共通パラメーターである『侵食度』の進行を遅らせることが出来ます。

●魔哭天焦『月閃』
 当シナリオは『月閃』という能力を、一人につき一度だけ使用することが出来ます。
 プレイングで月閃を宣言した際には、数ターンの間、戦闘能力がハネ上がります。
 夜妖を纏うため、禍々しいオーラに包まれます。
 またこの時『反転イラスト』などの姿になることも出来ます。
 月閃はイレギュラーズに強大な力を与えますが、その代償は謎に包まれています。

●周りの状況
 今回の舞台は帝都高天京の人気の無い裏路地です。
 まだレトロモダンな街並みの広がる所であり、そこまで表路地からは離れていない為、大きな音を立てたり、呼びかけたりすると外から一般人が迷い込んで来る可能性があります。
 尚、ターゲットとするのは人以外の異邦人……例えば耳がとんがっていたり、キツネ耳、ネコミミが生えてたり、尻尾が生えていたりすると、彼らのターゲットになる様です。
 参加者の皆さんがその条件に合致するのであれば、それで誘き寄せる事が可能です。
 もし、参加者の皆さんが全員「人間」の外見であれば、一般人がその被害に遭う事になるしょう……。
 
 尚夜妖達は、裏路地からは決して表に出て来ません。
 また人気を感じると、その場から逃げ去る動きをする為、そうならない様に環境を整えた上で戦う必要があります。
 
 尚、ログイン位置は遠いところになりますので、死んだ後の戦列復帰は難しい様です。

●討伐目標
・闇の狩人『悪夢の化身』 x 10人
  姿形は人の様相ではありますが、影に紛れ、影となる……そんな特殊能力を持っている者達です。
  薄暗い空間において具体化して攻撃したり、影に紛れて姿を隠したりします。
  影に紛れた状態ですと、攻撃は出来ない物のダメージも与えられない、無敵状態になってしまいますので、人の様な具体化した姿の時でしか倒す事は出来ません。
  尚、彼らは『人の血を地面に吸わせること』で体力を回復します。
  つまり皆さんがダメージを受けて、血を流すと体力を回復出来る……という事になりますので、ご注意下さい。

・闇狼『シャドウイーター』 x 6匹
  悪夢の化身達の飼い犬みたいな存在です。
  主の指示を受けて一斉に噛みつき攻撃を仕掛けてきます。
  こちらには体力回復の能力は無く、影に同化しての無効化能力はありません……ただ、獣であるが故に以外に体力があり、しぶとい様です。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

※重要な備考『デスカウント』
 R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
 現時点においてアバターではないキャラクターに影響はありません。

  • <月没>命の狩人完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年09月18日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

梨尾(p3x000561)
不転の境界
アンドレイ(p3x001619)
わーるどいずまいん♂
ハルツフィーネ(p3x001701)
闘神
Teth=Steiner(p3x002831)
Lightning-Magus
Steife(p3x005453)
月禍の閃
壱狐(p3x008364)
神刀付喪
天狐(p3x009798)
うどんの神
フィーネ(p3x009867)
ヒーラー

リプレイ

●異なるもの
 現実世界とは似て非なる世界、帝都高天京。
 大正ロマンな世界が広がり、蒸気機関車やら、洋服やら……と、今迄とは一味も二味も違う世界観が広がっており、その街に住まう人々は、そんな新しい生活スタイルを思いっきり謳歌していた。
 勿論、生活していると言っても、プログラム上の存在であり、プログラムされた事を実行しているだけなのかもしれない……だが、そんなプログラムでは説明がつかない状況が、今、ここで起きている。
「異邦人を狙う……旅先で亡くなるなんて……」
 と悲しげにぽつりと言葉を零すのは、『ただのしがない』梨尾(p3x000561)。
 それに『妖刀付喪』壱狐(p3x008364)は。
(「異邦人を喰らう、ね……なんともまぁ心が狭い。ここの発展の陰に潜むモノも気になるけれど、交易、交流そのものを否定しては澱んでいくばかりなのにな?」)
 と、内心呟きつつ、街角を歩く人々を見渡す。
 ……プログラムされた存在と思えない様に自然に歩き、自然に話す町の人達。
 それを傍から見る限りにおいては、現実世界と全く以て変わらない光景であり……このような事件も、人の目を忍んで人知れず行われているのだ。
「しかし……町中にこうも怪異が発生するのは……お世辞にも良い状況とは、言えませんね……」
「ええ。今回の狙いはケモミミ達ですが、非常によろしくないですわね」
 『魔法人形使い』ハルツフィーネ(p3x001701)に頷く『ヒーラー』フィーネ(p3x009867)、そしてターゲットになり得るであろう『きつねうどん』天狐(p3x009798)も。
「うむ。狩るのは耳だの尻尾だの……敵は随分と心の狭い奴らの様じゃしのう?」
 と苦笑する。
 まぁ、今迄に何度となく戦いをこなしているからこそ、天狐自身恐れてもいない。
 無論、今回ターゲットになってしまった異邦人……耳が尖り、顔立ちは美しいという彼女はこの国では物珍しい存在であるし、此処に居る天狐と梨尾の二人ももふもふな毛並みと、大きなケモミミという、元々のこの国では殆ど見かける事の無い姿。
 ……そんな異邦人へと襲い掛かり、次々と殺害し、喰らい尽くしている夜妖達が、今回のイレギュラーズ達への依頼。
「しかし現実世界でもそうですが、相変わらず夜妖というのは訳が分からないものですね……ただ、今回は少なくともトンチキ系ではなさそうですね。獣人種族を優先的に狙う影のエネミーという事ですし」
 と『閃雷士見習い』Steife(p3x005453)の言葉に、壱狐は更に。
(「そうだな。シミュレーション上で動くこの世界で、正しいか否かを判断するのはこちらではないけれど、凶行は止めなければな」)
 と内心ではそう、冷静に考える。
 そこに『Lightning-Magus』Teth=Steiner(p3x002831)が。
「ん……? 壱狐、どうした。何か思う所でもあるのか?」
 と問いかけると、壱狐は一旦瞑目した後に。
「全く……帝と天香が和解して、差別がなくなったと思えば夜妖が排他に動くなんて、少しは空気を読んで欲しい物です。とは言え細工をするなら徹底的に、という事で職人の力を見せちゃいましょうか!」
 と気合いを入れると、それにニッ、と笑いながらTethも。
「そうだな。こいつもある事だし、使えるものは何でも使わせて貰おうぜ? 俺様はそーいう主義だからな」
 イレギュラーズ達に渡された『特務高等警察手帳』をひらひらと見せびらかす。
 アップデートの影に行われた強制介入により、イレギュラーズの立場は世界高天京特務高等警察という、ある程度の強制介入すら出来る力も与えられていた。
 既にTethは、この辺りの警備を担当している警察署に事前に赴き、警察署員を捕まえ。
「あー、ちっといいか。この辺りに殺人犯が逃げ込んだ疑いがあるんでな、俺達が対処するが、絶対に一般人を近づけないでくれ。いいな?」
 と指示を与えていた。
 勿論早急に対処為ようとするも、全ての裏路地を速攻で封鎖なんて事は、流石に難しい。
 時間が経過すれば、後から一般人が迷い込んで来る事も無くなるはず……そこにあえてケモミミの梨尾と天狐、Steifeの三人が囮として潜り込めば、きっと夜妖達が現れる筈。
「取りあえず、ケモミミを逆手に取れば、こちらに誘き寄せる事も可能ですかね?」
 Steifeに、『わーるどいずまいん♂』アンドレイ(p3x001619)が。
「そうだな。だがまずは路地裏に、人が来ねえようにしとかねえとな?」
 と頷く。
 そして梨尾が。
「ここで亡くなった方を……家や故郷で心配して待って居る人が今も居るんです。おかえりと言う時を楽しみにしてた人がいるんですよ……そんな死者の無念を張らす為、自分の怒りをぶつける為……化け物は化け物が燃やします!」
 と並々ならぬ気合いを入れると、天狐、フィーネ、ハルツフィーネも。
「そうじゃな。ちょいとキツーいお仕置きが必要じゃな?」
「そうですね。今回の夜妖達はきれいに掃除しましょう!」
「ええ……一つ一つ……私達が解決できるものを、対処していきましょう」
 各々の覚悟を決めて、闇に包まれし裏路地へと急いで行くのであった。

●罪喰らう影
 そして……帝都高天京の裏路地を歩くイレギュラーズ……いや特務高等警察。
 警察署の処理が進んでいる事もあってか、裏路地を歩く人の影は殆どおらず、静けさに包まれている。
 元々人通りが少ないだけかもしれないが……兎も角、人が通りがかりにくいというのは、こちらにとっては好都合。
 それでも裏路地を抜け道とかで使ってしまう人は居るので、その様な人達には。
「特務警察の月将七課です!最近路地裏での行方不明者が出ているという話があります! 市民の皆様は大きな音や破壊音が聞こえても路地裏に近づかず、己の安全を最優先してください!」
 と梨尾が手帳を見せながら退去を通告したり。
「すまぬが、この辺りで妖の対峙を行うのじゃ。すまぬがここには立ち入らんでくれ。ああ、もし近くにもそういうのがいたら、そう伝えておいてはくれぬか?」
 と天狐が言い伝えをする様に言ったりする。
 ……そんなイレギュラーズ達のおかげで、いつの間にやら、全くと言って良い程に人気が無くなる裏路地。
「さて……と。んじゃ囮役は梨尾と天狐……だったか?」
 とアンドレイが言うと、それに天狐が。
「うむ。人外を選んで襲うヤツらじゃったよな? 今、この場に人外の要素があるのは三名おったな?」
 と仲間達を見わたすと、それに梨尾が頷き。
「そうですね。自分が主に引き付ける事になると思います。自分を範囲に巻き込んで、纏めて殴ってくれて構いません」
「ん? ……ああ、分かった」
 アンドレイは一瞬驚いた表情をしつつ、その手にはネコミミが握られていて。
「取りあえずこれを被っていれば、俺様も標的になるかもしれないしな? ま、二人だけに任せっぱなしという訳には行かんだろう!」
 ニッ、と笑みを浮かべるアンドレイ。
 今回の夜妖達は、人の姿をしていない物を襲う……後付けの犬猫耳に誘い出されるのかは、正直言って未知数ではある。
 とは言え無いよりはまぁ、マシかもしれないし……それにハルツフィーネが。
「確かに異形を優先して狙うとの事ですが……クマさんは私の使役獣的な、扱いになるのでしょうか。少し気になります」
 と首を傾げる。
 とは言えどういうのが襲われるかは、断片的な情報しかないので、後は……襲われるのを待ち構えるしかない。
 そんな細工を施しながら、裏路地を左へ右へと歩き回って数刻。
 ……すると。
『……ヒヒヒ。マタ、ヤッテ来タゼ……!』
『アア。サッサト喰ラッテヤロウゼ、罪深キ者タチヲヨォ!!』
 と、遠くの方から聞こえてきたのは、人を蔑むように笑う声。
 ……一瞬立ち止まり、その声の聞こえた方向をぐるりと見渡したSteifeが。
「……あっちの方みたいですね。急ぎましょうか」
 と、その方向を指さす。
 そこには人はおらず、漆黒の闇に包まれた、暗い暗い裏路地。
 ……そこに足を踏み入れるとすぐに、四方八方からざわつく視線を感じる。
「どーやら居る様だな? ほら、出て来いよ!」
 とTethが大きく声を上げて、その場に居るであろう者達に自分達の存在をアピールし、更に壱狐が。
「私たちは特務高等警察です、これ以上の狼藉は私たちが許しません!」
 と、自分達の立場も明らかにする。
 そんなイレギュラーズ達のアピールに気付いたようで……暗所に姿を隠していた夜妖達は。
『ホホゥ、面白イジャナイカ!』
『取リアエズ、人外含メテ、我ラニ刃向カウ奴ラニハ死ヲ!!』
 と威勢良く、一斉に四方八方から飛びかかってくる。
 ……敵としては暗闇から飛びかかる事で、上手く奇襲出来た、と思ったのかも知れない。
 だが……。
「さあ、相手にしてやろうか!」
 と先陣を切ったTethは、早速『月閃』の効果を発動、その身に幾何学模様を描く雷光を纏い、構える。
 そんな雷鳴を視認したシャドウイーターが一匹、彼女に向けて突進し齧り付こうとするが、その顔に向けて渾身の一撃を叩きつける。
『キャイン!!』
 と大きく吹き飛ぶその体……そして、月閃の効果にTethは。
「悪くねぇ相性だ。むしろ、ご機嫌と言ってもいいな……!」
 にやりと笑みを浮かべるTeth……月閃の力はかなり上々な様である。
 そんなイレギュラーズ達の攻撃を目の当たりにした夜妖……いや『悪夢の化身』達は。
『ナ、何ダト?』
『オ、オイ、オチツケ! アンナノマグレニ決マッテル!!』
 と少しざわめき始める。
『ホラ、狼ドモ、ヤツラヲ喰ライ尽クセ!!』
 そして、シャドウイーター達に指示を与え、イレギュラーズ達への噛みつき攻撃を指示。
 彼らおターゲットは当然……人外の姿をした者で、解くに前線に立ち塞がる梨尾。
「っ……!」
 様々な部位を噛まれ、苦悶の表情を浮かべるものの、そのまま流れる様な動きで憤怒の炎を燃え上がらせて、己への怒りを引き付ける。
 その攻撃を受けつつもしっかりと敵を惹きつける事で、仲間達の攻撃を誘導……合わせて天狐も。
「わざわざ出向かんでも多分これ相手から襲ってくるじゃろ! ケモミミは嫌いかぇ?」
 とその耳をピコピコさせて、アピール。
『クソッ、舐メクサリヤガッテ……!! コロシテヤル、ゼッタイニ!!』
 とそれに更にキレ散らかす夜妖達……そこに、後衛のハルツフィーネが。
「この世界に不要なのは……どう考えても貴方達の方、です」
 と告げると共に彼女も月閃を発動し、クマさんの力が強大化し、そのクローが狼を捉えてがっつりと体力を削る。
 続くSteifeも、己に加護を付与為つつ雷光の刃で狼を切り裂いていくと、更にアンドレイと壱狐も。
「世界を犯す俺様の一撃、喰らってただで済むと思うなよ!」
「ええ……私の太刀筋、避けれるものなら避けてみて下さい」
 そんな二人の言葉と共に、まんま顔を殴りつける渾身の殴打と術式を纏いし一太刀……それによりうシャドウイーターが一匹、崩れ墜ちる。
『ナ、何ッ!?』
 流石に速攻で倒されると思っていなかったのだろう……明らかに慌てている悪夢の化身達。
 勿論、『月閃』の効果によりイレギュラーズ達が強力になっているというのもあるだろうし、それに。
「私が守ります! 耐えて下さい!」
 と、フィーネが徹底的に梨尾を回復する事により、彼が盾役として全力を尽くせる事も有るだろう。
 ……そんなイレギュラーズ達の上手な連携動作によって、しぶといシャドウイーター達を逐次削り、一匹ずつ確実に仕留めて行くイレギュラーズ。
『クソッ……ゼッタイ、殺ス!!』
 と怒りと共に悪夢の化身らは影に紛れて攻撃を仕掛けてくる。
 ……だが、そんな攻撃をも、常に怒りを振りまく梨尾の攻撃によって、そのターゲットは梨尾だけに集中する事になる。
 彼が攻撃を引き付けている間に、月閃の能力と共に強烈な攻撃を次々と仕掛けるイレギュラーズ。
 そして……しぶといシャドウイーター達を着実に、全て仕留めて行く。
 とうとう、残るは悪夢の化身達。
『クソガ! オイ、マズハ一人殺スゾ!!』
 と仲間達に呼びかけて、梨尾への集中攻撃にシフトする悪夢の化身。
 彼らの総攻撃に、瞬く間に体力を減らす梨尾……フィーネの回復でも流石に間に合わない。
 そんな彼の補助をする様、ハルツフィーネが。
「その手口は知ってます。させません」
 と、敵の行動よりも早くクマさんからビームを放ち狙い撃ち。
 狙い撃ちされた相手に、更にアンドレイも。
「正義と対立すんのは何か知ってっか? 別の正義だ、そして買った方が真の正義だぜ!」
 ニヤリと笑みを浮かべつつ、月閃の効果で攻撃を全回避しながらの集中殴打。
 そしてSteifeは、かなりのダメージを受けて弱々しくなった敵に。
「ここで見かけない種族だからコロス、とは。じゃあ私もそっくりそのままお返ししましょう……『あなたがた夜妖はいてはいけないから死ね』」
 と、断罪の言葉と共に、敵の心臓を打ち貫く一閃を放ち始末。
『グァ……ッ!?』
 仲間一人が倒れ、漆黒の中に目を見開く化身達。
「さぁ、お主ら、精々美味しいうどんになるがよいわ!」
 と天狐が食材適正を付与為た一撃で、更に一匹を稲庭うどんに変化させつつ仕留め、Tethも周りの壁を飛び跳ねながらのアクロバティックな一撃で攻撃。
 ……そんなイレギュラーズ達の素早い動きに対応しきれない夜妖達は、一匹、また一匹……と仕留められていった。

●命を食む
 そして……どうにか夜妖達を倒したイレギュラーズ。
「……どうやら、他の夜妖達はもう居ない様だな」
 と息を吐き、戦闘態勢を解くアンドレイ。
 それに、Steifeも。
「ええ……取りあえず声も聞こえてきませんし、大丈夫そうですね。恐らく、警察の方達の対処のお陰、というのもあるのでしょうけれど」
「そういえば、裏路地に入らぬ様に細工してくれ、と頼んでいたんだったな。まぁそのお陰で、このような危険思想を持った夜妖達も足を踏み入れる事が出来ないのか……かは分からないが」
 と、そんな二人の会話に対しTethはニッ、と笑みを浮かべつつ。
「そうだな。面倒な仕事も、これで終いだ。さて……協力してくれたサツに飯でも奢ってくるとするか。と言う訳で、一足先に帰らせて貰うな?」
 と言いながらTethは一足先に、裏路地を去る。
 ……そして残ったイレギュラーズは、というと、取りあえず夜妖の死した跡を調査。
「……彼らがどうして、異邦人を狙い続けていたのでしょうか……何か切っ掛けでも掴めればいいのですが」
 と梨尾がぽつりと零すと、ハルツフィーネが。
「そうですね……少なくとも彼らの言動からすると、異邦人を殺す事に対しては、確固たる意思を持って居た様には感じました。ただ、その意思が何者かによって指示されたのかどうかは……正直な所分かりません」
 と首を傾げる……そして、フィーネが。
「この帝都高天京のアップデートと同時に、色々と現れて居る様ですしね……正直これだけで収まるとは思えないのが嫌な感じですが……でも、今の所は地道に一つずつ潰して行くしか、手段は無さそうですね」
 と溜息をつく。
 そんなイレギュラーズ達の動きによって、R.O.Oの世界に現れた『侵略度』のパラメーターが左右する、とは聞いている。
 その仔細は分からないものの、一つずつ対処していけば、いつかは事態が明らかになる事だろう。
「ま、取りあえずここにいても、他に何もなさそうじゃし、帰るとするかのう?」
 と天狐は、夜妖を倒した後に、その場に転がった饂飩の器を手にしながら、皆を労うように笑い掛ける。
 そして、残るイレギュラーズ達も又、その裏路地を後にするのであった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

ケモミミを狙う不可思議な夜妖達の討伐となりましたが……囮となった方々は、本当にお疲れ様でした!
彼らが何故襲ったのかは全く以て理由不明ではありますね……ケモミミに何等かの怨みを持って居た、のかもしれません。

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