PandoraPartyProject

シナリオ詳細

そしてみんなPになる

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●「P」と聞いてパンツだと思った君はちょっと惜しいんだな
 某日。
『急募! 王族の守護任務 麗しの姫や国王陛下を君の手で守りきろう!』
 そんな依頼書の掲示につられて集まった特異運命座標は、異世界に向かうなり身なりを改めさせられた。
 王族の前だ。ドレスコードくらいはあって然るべきなのだろう。そう思っていた――最初は。

「やぁ、特異運命座標。すっごく似合っているよ! いかにもプリンセス~って感じ!」

『境界案内人』神郷 蒼矢(しんごう あおや)の一声で、互いの状況を理解する特異運命座標。
 集められた四人はどういう訳か、老若男女問わずフリッフリなドレスと冠を抱き、化粧までばっちり施され誰がどう見てもプリンセスになっていた。
 中にはちょっと「プリンセス……うん。プリンセスだね…」と目を覆いたくなるような見目の者もいるかもしれないが、そんな事を気にした様子もなく蒼矢は四人を王宮の食堂へと連れて行く。

「これから君達には、ハナノ王国のプリンセスの影武者となって、お見合いに来た他国の王子を国際問題にならない程度に追い返して貰う」

 だ、騙された――!!

 走る衝撃。そう、依頼書に護衛の詳細は書かれていなかった。つまり特異運命座標はハメられたのだ!
「騙したなんて人聞きが悪いね。ただ、素直に書いたらあんまり人が集まらないかもって……。
 ハナノ国王は超がつくほど過保護な王様なんだ。大事な五人娘を嫁がせるには、相応の王子でなければ認めないと言っているんだよ」
「そう。故に余みずから、もやし王子どもを選別しましてよ!!」

 カッ! とヒールの音を立てて食堂へ現れたのは、すね毛の処理もしてない丸太のような腕のむくつけきオッサンプリンセス。
――ハナノ国王、その人である。

「という訳でお見合いの場ではハナノ国王もプリンセスの影武者として参加する。
 もちろん国王が死ぬような事があれば、これも大問題だ。王の護衛も頼んだよ」
「オホホホ! ご安心くださいまし、影武者の皆様。だって余の趣味――熊狩りだもん☆」

●イケメン、襲来。
 同時刻、城門を潜る一両の馬車があった。
「楽しみですね、シジマ王子。聞けばハナノ王国の姫君達はどのお方も文字通り花の様と形容されるほどの美人でお淑やかなのだとか」
 金髪の爽やかな青年――ナミノ王国 第二王子のナギは心底嬉しそうに微笑んだ。
 話を振られた第一王子のシジマは、クールな横顔を見せたまま馬車の窓に肘をついて景観を眺めている。
「くだらん。俺達と姫の間柄など所詮は政略結婚。最終的には親同士の都合で番うだけだ」
「そう言って、シジマ王子が図書館に長く引きこもってハナノ王国の事を一生懸命調べていたのは知ってるんですよ」
「それはっ……! 親の都合とはいえ、姫君も人だ。最低限の礼節をもってお相手する必用があると判断したまででっ……!」
「あはは! シジマ兄さんのそういう真面目なところ、俺すっごく好きだよ」

 いい出会いになるといいね。そうナギは笑って馬車を降りるのだった。

NMコメント

 今日も貴方の旅路に乾杯! ノベルマスターの芳董(ほうとう)です。
 ある意味プリンセスをお守りする依頼。気を抜かずにやってまいりましょう!

※Attention※
 このシナリオに参加する特異運命座標は、プリンセスの影武者としてフリフリのドレスを着せられます。
 老若男女問わず、人外ですらプリンセスと言い張ればプリンセスなのです!!


●目標
 王族が誰も死なずにお見合いが終わる

 王族とは以下の人物を指します。

 ハナノ国王(プリンセスVer.)
  プリンセス風にドレスを着込みましたが、どう見てもオッサンです。化粧が濃く丸太のような腕ですごく「それっぽい」雰囲気を滲ませています。趣味は熊狩り。
  愛娘の牡丹、芍薬、百合、椿、桜が可愛すぎるあまり、今回の影武者お見合い作戦を思いつきました。
  蝶よ花よと育てた娘を手放したくないとごねていますが、王子様のかっこいい所が見れたら認めてくれる可能性も……?

 シジマ王子
  ナミノ王国第一王子。黒髪で長身、クールな見た目の男性です。長く軍の遠征に参加していた事もあり軍人気質。
  自身が命を狙われやすい立場という都合上、誰にでも距離を置こうと冷たい態度で接しがちです。

 ナギ王子
  ナミノ王国第二王子。金髪で細身の爽やかな男性。ザ・王子という風格でキラキラしています。
  穏やかで心優しく気遣いの出来る男。運動神経が悪く戦闘はからっきしで、兄のシジマを心から尊敬しています。

 余談ですが、今回の作戦を決行するにあたり本物のお姫様と女王様はハナノ王国の策略で国外へバカンスしに行っています。護衛もいるので守ってあげる必用はなさそう
  

●場所
 緑豊かで花に恵まれたハナノ王国。その城内。
 食堂は広く、デート用に用意された舞踏場や庭園、図書室も広大です。足場や視界のペナルティは特にありません。

●お見合いの内訳

1.まずは食堂で食卓を共にし、自己アピールの時間をもちます。
 おや? 誰かの食べ物に毒が混じっている気配が……?

2.ナギ王子とシジマ王子のどちらかについて行って、散歩や読書など好きなものを楽しみましょう。
 王子とプリンセスの距離が急接近……したかと思えば、曲者の気配が!?

●エネミー情報
 反乱軍の暗殺者×20
  ナミノ王国とハナノ王国の友好関係を崩そうと目論む暗殺者達。各王子に10名ずつ差し向けられるよう。
  ダガーを使った近接攻撃で素早く襲いかかってきます。ターゲットは主に王子のようです。

 説明は以上です。それでは、よい旅路を!

  • そしてみんなPになる完了
  • NM名芳董
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年09月17日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

モカ・ビアンキーニ(p3p007999)
Pantera Nera
テルル・ウェイレット(p3p008374)
料理人
アーマデル・アル・アマル(p3p008599)
灰想繰切
チュチュ・あなたのねこ(p3p009231)
優しくて不確かなすべて

リプレイ


「あーうん、護衛の仕事だな。じゃあ頑張って護衛しよう」
「まぁ気持ちは分からなくは無いですが……とはいえ下々身分ですが、精一杯姫となって頑張らさせて頂きます」
 騙された筈の特異運命座標はその日、怒るでもなく慣れたような反応で大人しく姫君の姿を受け入れていた。

 そう、彼らは無辜なる混沌で肉体だけでなく精神も鍛えられた猛者達だ。あらゆる戦場(ぱんつ)や闘争(薄い本)に揉まれただけに、今更お姫様の影武者など朝飯前という事だ。

「……フリフリのドレスを着るのかー。まぁ昔、混沌世界に来る前も色々な衣装を着て任務をしたしな……」
 とその場でくるりと回り、ドレスのフリルを靡かせる『Pantera Nera』モカ・ビアンキーニ(p3p007999)。愛らしい衣装を纏えどその横顔は男前。爆誕したイケメン美人のすぐ横では、『料理人』テルル・ウェイレット(p3p008374)が緑と薄紫を基調にした大人しめのドレスを纏い、戸惑う様に口元を片手で押さえていた。小粒のピアスがきらりと耳元で輝く。
「少々年嵩の増した者ですが……はい……」
 大丈夫でしょうか、と当人は心配そうだが護衛の兵士の評価は高い。遠巻きに見ても滲む色気と包容力に甘えたくて仕方がないのだ!

「……蒼矢殿の招集で、真面目な…というより『普通の』護衛依頼だと思う方がどうかしてたな」
 そのどうかしている依頼に慣れた様子で、死んだ魚の様な目のままドレスアップされた『霊魂使い』アーマデル・アル・アマル(p3p008599)だが、美少年の着こなしに死角はない。
「それにしても、なぜ俺のスカートだけスリットが入っているんだ?」
 まるで腿をチラ見せするのが彼の責務と言わんばかりに大胆な切れ込みが入ったスカートは歩くだけで肌をチラチラさせ、侍女達の黄色い悲鳴があがった。

「蒼矢ったら、騙すことないのに。
 いいじゃない。一時のお姫様気取りなんて、不釣り合いで楽しそう」
『優しくて不確かなすべて』チュチュ・あなたのねこ(p3p009231)は国王の膝の上にちょこんと座って呟いた。小躯を覆う繊細なレースと結い上げられた黒の髪。ベールの奥には乙女のヒミツ。自前の猫耳は絶対隠すの。
 侍女にも誰にも見せてあげない。だって謎めいた女って、とっても魅力的でしょう?
「御機嫌よう、殿下。本日は宜しくお願いしますわね」
「バッチリ頼まれましてよ! うーん、チュチュちゃん……うちに嫁入りに来ないかしらぁ」
「フフ……そんな熱い目で見ないで下さいな? あたし、まだ10歳よ」
「婿探しがいつの間にか嫁探しになってないか?」
 チュチュにすっかりメロメロな国王はさて置き、モカの傍に侍女が足早にやって来る。耳打ちされると頷いて、彼女は周囲へ声をかけた。
「王子が来たらしい。さっそく迎えよう」


「はるばる遠方より、ようこそいらっしゃいました。此度はどうぞよろしくお願いします」
 優雅な一礼と共に笑顔を見せたテルルへ、つられてナギ王子も頬を緩めて礼をする。
「まいったなぁ。……あ、いや。皆さん本当に美しくて」
 彼の言葉には驚くほど噓偽りのにおいが無い。バチコーン☆ とハナノ国王に濃いぃウィンクを喰らっても、のほほんとしたまま手を振っている。対してシジマ王子は不審な物を見る目だが、指摘はのみ込み
「此度はこの様な場を設けて戴き感謝する」
 と短く告げるに留まった。一国の代表として訪れている自覚が強いのか、礼節に欠く事は避けた様だ。集まった王子と姫は、まず用意された食卓に着く。

 モカは自分の店を持つ料理人。テーブルマナーは魂にまで染み付いている。食べる様は上品の一言に尽きるが、ナギ王子がスープに手をつけようとした瞬間――
「モカ姫!」
「……っ」
 ガシャ、と肘をひっかけ皿ごとスープを床に落とした。自分が汚れたかを気にもせず、真っ先にモカの身を案じるナギ王子。
「大丈夫ですか?」
「嗚呼、はしたない所を見せてしまったな」
「気にしませんよ。貴方が怪我をしなくてよかった」
 王子と微笑みあった後、チラとモカが周囲に目配せする。――あのスープは、毒入りだ。

「シジマ王子、himeそれが食べたいな」
 場が凍り付く程の棒読みで、突然アーマデルが上目遣いでねだりだした。その真意は毒味なのだが、要は「あーん」を求めているのだ。大の男が並の精神ではねだれない。心の中で自己暗示をかけるべく、魔法の呪文を唱えるのだが。
(俺ははらぺこhimechan…はらぺこhimechan…俺は巫女のプリンセス……ん?)

 何かおかしい(しょうきにもどりかける)
…いや、なにもおかしくはない(しょうきじゃないほうにもどった!)

 混乱するアーマデルに対し、シジマ王子もまた混乱していた。大胆なお願いにどう対処していいか迷うこと暫し。チキンを刺したフォークをアーマデルに向ける。
「……ほらよ」
「成程これがツンデレもといツンツンというヤツか、初めて見たぞ」
「なっ、言われた通りにくれてやったのにツンデレ呼ばわりか!?」
「らんくあっぷするとツンギレとかいうのに進化するというあの……」
「悪かったなぁツンギレ王子でっ!!」
 アーマデルが意識を引き付けている間、テルルがシジマ王子のチキンの皿へ手を添える。小さく唱えたブレイクフィアーはたちまち解毒の力を料理に注ぎ、無害な物へと挿げ替えた。二人はアイコンタクトを取り、上手くいったと認識し合う。
「緊張していたようだから、肩の力を抜いてやっただけだ。一口奪った代わりに祝福を授けてやろう」
 コホンと咳払いしたアーマデルは、両手でハートを作ってみせた。そのまま可愛く
「おいしくなぁれ、おいしくなぁれ……萌え、萌え、キュン♡」
 と魔法をかけ、シジマ王子の顔が耳の端まで赤くなる。新たにチキンを一口食べると、目を合わせずボソリと一言。
「国宝級に、美味い」
 なんて、恥ずかしがりながらも褒めてくれる。振り回されてのぞき見えた彼の素顔に微笑むテルル。
「シジマ様は、長らく軍に所属し頑張っていらっしゃったと伺いました」
「国を背負う立場として当然の事だ」
「そういったお話しも城内ではお聞きする機会も少ないですので教えて頂けると嬉しいです」
「食事に華を添えられる程の話ではない。ただ……」

 不思議だ、とシジマ王子は目を細めた。テルルは非常に聞き上手で、あらゆる本音を聞き出していく。
(折角お越し頂いたんですもの、笑顔でお帰りになられるように努めなきゃ)
 外からアーマデル、内からテルルに頑なな心を溶かされて、シジマ王子はいつしか自然な笑顔を見せるようになった。その様子に驚いたのは他でもないナギ王子だ。
「シジマ兄さんがあんなに早く心を開くなんて……ハナノ王国のお姫様は本当に凄いですね」
「お褒めに預かり、光栄だ」
 と言葉を返すモカは肩で息をしていた。蝋燭を倒して毒入りチキンを黒焦げにし、テーブルクロスを引いて毒入りパンを床に落とし――ドジの限りを尽くして毒物の排除にあたっていたのだ。というか多すぎるだろう毒物。王子の食事は9割がた毒入りだ。
 彼女の苦労を知ってか知らずか、チュチュは人差し指を一振り。聖骸闘衣をナギ王子に付与して、BS無効で毒殺回避を手伝った。

 やがて騒がしい食事が終わり、次は外で話そうかと王族達は席を立つ。後に残った食器を家来が片付け始める中、立ち尽くすメイドが一人。
「ふふ、ご馳走様でした。美味しかったわねぇ」
 その背中に声をかけたのは――微笑みを浮かべたチュチュだった。
「ッ!?」
「……それで、そこの貴方はどうして驚いた顔をしているのかしら?」

 無事に食べ終えたのがそんなに不思議?

 メイドからの返事はない。代わりに広がる血だまりと、倒れ伏した人間ダッタモノ。

 あたしはただ、貴方を見つめて微笑んだだけ。笑ったのも、怒ったのも、殴ったのも、立ち尽くしたのも。
 そうしたいと決めたのは貴方よ。あたしは何もしてないわ。


「ハナノ王国は様々な国と接している。外敵は多いが流入される文化は素晴らしいものだ」
 図書館で語るシジマ王子は自然と笑みを取り戻していた。そんな時だ。本棚の影から迫る不穏な影から放たれたナイフがーー届く前に。
「だから……無粋な輩は、さっさと帰ってくださる?」
 チュチュの張るルーン・シールドが攻撃を弾き、同時にシジマ王子が剣を抜く。チュチュとテルルを庇いながら振り抜く一撃は暗殺者を仕留めたが、一矢報いようと返されたダガーが横っ腹を貫いた。
「ッ……!」
 よろめく王子の身体。それを抱き留めたテルルがすかさず天使の歌で癒しきる。
「驚いたな。こんな事が出来るのか」
「守られるだけがお姫様という訳では、無いですからね」
 唇から零れた小さな「ありがとう」の言葉は、チュチュとテルルへ届いただろうか。安堵の笑みを浮かべた後、シジマ王子はハッと目を見開く。
「ナギいる庭園へ向かおう。奴は運動神経が……」

 突如響き渡る悲鳴。三人が駆けつけた先で見たものは。

「なんだ、たいしたことない奴らだな」
 山と積み上げられた暗殺者達と、その頂点に立つモカとハナノ国王。植え込みに潜んでいた敵をアーマデルが引きずり出し、ぽいっと山へ投げた。
「またつまらぬものを縛ってしまった……」
「アーマデルさんは何故植え込みに隠れていたんだ?」
「断じて覗きではないぞ。物陰で曲者とドッキリしてしまったのは予想外だったが、まさかナギ王子を差し置いて二人が共闘とは」

 庭園の隅で腰を抜かしているナギ王子など視界に入らぬとばかりに、ハナノ国王はモカへ熱い視線を向ける。
「おお、モカ姫。いや、叶うならモカ女王となり余とこれからも熊狩りをーー」
「いや、だから婿探しがいつの間にか嫁探しになってないか?」

 かくして共通の敵を退けたハナノ国とナミノ王国は一層絆が深まり、国王も見合いを良しとしたという。
 めでたし、めでたし。

成否

成功

状態異常

なし

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