シナリオ詳細
モテたいモテようラーメン作ろう
オープニング
●海にレディ達はいない
海には俺を待つレディ達がいるはずだったのに。
『横紙破り』サンディ・カルタ (p3p000438)は、夏の海を前に途方にくれていた。
何故だ、何故なのか。何故、この海にはレディ達がいないのか?
ザザン……と寄せては返す波が、今はただ空しい。
「どういう事だよおっさん! このサンディ様が此処に居るってのに!」
この浜辺に1件しかない海の家のカウンターに手をつくと、おっさん……海の家の主人は「何言ってんだテメエ」と不機嫌そうな表情で返してくる。
「レディ達だよ! なんで1人も居ねえんだ!」
「なんでって、そりゃおめえ……ラーメンだよ」
「ラーメン?」
何故ラーメンなのか。そもそもこの店、よく見たら海の家じゃなくてラーメン屋ではないのか。
分からない。サンディには何1つ、分からない。
「この浜辺は元々、究極のラーメンでレディ達を唸らせる事で客を呼んでいたんだ」
「ラーメンで?」
「知らねえのか。美味いラーメンはな……レディにバカ受けなんだ」
「バカ受け……!」
「暑い夏に、輝く汗を流しながら美味いラーメンを作る男がモテないはずがねえ。どの海の家でもラーメンを作ってる事から、そいつは明らかだろ?」
そうかもしれない。
そう考えるとラーメンはモテるような……そんな気がサンディはしてきた。
しかし、その論理には穴がある。
「でもレディは居ねえだろ」
「だからだよ」
「は?」
「ラーメンの材料が足りねえんだ……今年の材料は獰猛でな」
サンディの背後……海面で、チャーシューによく似た何かが跳ねたが、この時のサンディは気付くはずもなかった。
●ラーメンの材料を手に入れろ
究極のラーメンには究極の材料が要る。
まずは崖下に生える海小麦。海小麦と水着が大好物な巨大ヤドカリが出るので、食われる前に撃退しなければならない。
次に、砂卵。砂浜に埋まっているソレを掘り起こさねばならないが、砂卵は獰猛な海ニワトリが隠した卵だ。たとえ無精卵であろうと関係なく狙う者を襲ってくる。
そして、忘れてはいけないチャーシュー。究極のチャーシューは海で泳いでいる。
この時期に現れるチャーシューはラーメンにピッタリで、しかしラーメンに使うためには泳ぐチャーシューを刃物を使わず直接捕まえる必要がある。
「メンマと秘伝のスープはもう、此処にある。だがな……まだあるんだ」
ラーメンの調理をいざ始めたなら、その香りは何処までも流れていくだろう。
その中にはサンディの目当てのレディ達も当然いるだろう。
いるだろうが……ラーメン大好きなモンスター達が海から上がってきてしまう。
それを撃退せねば、レディは戻ってこない。
「分かるか。ラーメンの力を……信じろ。そうすりゃ道は開かれる」
ラーメン。そう唱えるとラーメン屋の主人はラーメンのお湯を切る動作をするのだった。
- モテたいモテようラーメン作ろう完了
- GM名天野ハザマ
- 種別リクエスト
- 難易度-
- 冒険終了日時2021年08月24日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費150RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●モテるラーメンを作りたい
「よっしラーメン作って俺もモテ……既に男女比おかしくねぇ……?」
『横紙破り』サンディ・カルタ(p3p000438)は言いながら周囲を見回す。
どうだろうか。確かに性別不明の者もいるし、イケメンな感じの女性もいる。
だが男気度でいえば、かなり男率が高い気もする。
「ま、いっか。作るぜぇー! そしてモテる!」
「あれ、なんだったかしら、ショウジョウバエじゃなく……とにかく、なんとかバエってやつね」
『お前を焼き鳥にしてやろうか』アルフィンレーヌ(p3p008672)はそう言いながら、ラーメンの完成形を考えていく。
目指すはレディ向けのラーメンだ。ちなみに映えならともかく蝿の方だったら、来るのはレディではなく官憲である。
それはともかく、今回足りないものは分かっている。
まずは麺を作る為の海小麦。
そしてチャーシューに卵。この3つを集めればラーメンが出来る。非常に簡単な話である。
「ラーメン、ラーメン食べたい……あ、これ仕事か。女性客を呼び戻せ、ねぇ……まぁこういうのは雰囲気で売れるものだし素人のアタシでもなんとかなるっしょ。多分」
「モテモテ、というのは女の人に大人気、ということですか? おいしいらーめんが作れるように、ニルはお手伝いがんばります!」
「あー、そうそう、そういうこと。んじゃ、先ずは素材を集めるかぁ……」
こういうのは早い者勝ちだ。『慈悪の天秤』コルネリア=フライフォーゲル(p3p009315)は考えると、すぐに隣の『はらぺこフレンズ』ニル(p3p009185)へと目標を伝える。
「よし、ならアタシ達は海ニワトリに行こうかしら。行くわよぉニル! 世界一の海ニワトリを獲るわよ!! 海ニワトリって……なんだ……」
海ニワトリは海ニワトリである。コケコッコー。
ニルが保護結界をかけて砂浜を探し始め、コルネリアが周囲を警戒する。
「卵を分けてもらうニワトリさんに感謝しつつ……」
「コケエエエエエエエエエエエエエ!」
その感謝は海ニワトリには通じなかったようで、凄まじい勢いで海ニワトリがニル達に向けて走ってくる。
「銃は肉に鉛入れるのはちょっとだし肉弾戦で行きましょぶふぁあああ!」
必殺の海ニワトリキックがコルネリアの顔面に命中し、コルネリアは回転しながら砂浜を転がっていく。
「コルネリアさん!?」
「こ、この! あくまで肉弾戦がお望みってわけ!? こっちも最初からそのつもり……うおおおお!! 【フェイトオーダー】の加速力を見ろやぁ!!!」
コルネリアにスタンピングをキメていた海ニワトリだが、コルネリアが反撃に出たのを見てニルは「大丈夫」と判断し卵の回収を続行する。
「もしニワトリさんが倒れちゃったら……美味しくいただこうと思います」
そんな事をニルが呟いていた頃、海小麦回収チームが崖の近くに辿り着いていた。
そのうちの1人である『パープルハート』黒水・奈々美(p3p009198)は、包帯や医療道具を水着にしたかのような……そんな通称「包帯水着」を纏っていた。
「ラーメン……! あ、あたしラーメンに目がないのよ。とくにしょうゆラーメン……お仕事しながらラーメンも食べられるなんてサイコー……! あのクソマスコットもたまにはいい仕事持ってくるじゃないの……ふひ……」
そんな事を言っていた奈々実がこの水着を纏うまでには色々とあったのだが、それはさておこう。
何処かの砂を掘り起こせば、原因が出てくるかもしれない。
「よし、たとえ水着を切られてポロリしようと裸になろうとも、気にせず巨大ヤドカリと戦うぞ。巨大ヤドカリも可能なら持ち帰る!」
「ひぃ、ふ、ふざけないでよ!」
「何一つとしてふざけていないぞ」
「もっとひどい!?」
『Pantera Nera』モカ・ビアンキーニ(p3p007999)の「何を言ってるんだ」とでも言いたげな顔に奈々実がドン引きするが、精神的イケメンなモカには何が悪いのかイマイチ分からない。
そうしている間にも、海小麦を採集するモカと奈々実の元へと海中から出てきた巨大ヤドカリが迫りくる。
「あわわ、ほ、本当にこっちに来たし……! に、逃げなきゃ……ひぃ……は、ハサミで切ろうとしないで……! こぼれちゃうから……!」
「大丈夫だ、充分量の小麦は採れた! そいつも良い海鮮出汁になる!」
シャキーン、シャキーン。響く音と、夏の空の下のポロリ。
「だ、だれか……! たすけ……! あわわわ……!」
「任せろ! ヤドカリなんかにゃ遅れはとらねーよ。ってなわけで攻撃だっ!」
「ひええええええええええ!」
「ってええっ!?? いや見てない!見てねーし!! ほんとだって!!? これモテる以前じゃねーか! ワルモノにされる前に慌てて潰さねーと!!!!」
響く奈々実の声はサンディに無事に届いたが、それが幸せであったかどうかは分からない。
とりあえず、サンディはちょっと制裁を受けたらしいので万事解決ではある。
そんなポロリな現場とは違って、チャーシュー班は浜辺で非常に平和な感じであった。
「うーん、海に人がいないのはさびしいな……おいしいラーメンを作って人をたくさん呼ぼうね……」
浅瀬で『九本足のイカ』エルラ(p3p002895)はそう呟きながら、この辺りにいるというチャーシューの事を思う。
「こういうのは漁師の血が騒ぐね……逃げられる前に組技でガチッと捕まえたいな……」
「そうだな。ほうほう……なるほどねぇ」
水の中を覗きながら海藻にチャーシューの事を聞いていた『こわいひと』スティーブン・スロウ(p3p002157)は、チャーシューを逃がさないようにするべく石で浅瀬を封鎖しようとし始める。
深いところに逃がさない。それが重要であると感じたからであり……パシャッと、そんなチャーシューが跳ねる音も、当然聞き逃しはしなかった。
「はっはぁ! 大漁じゃないの!」
見つけたチャーシューをスティーブンとエルラは捕まえるだけ捕まえていく。
そうして、見事にラーメンの材料は揃ったのだ。
●ラーメン作成!
「さて。この場のレディに取り返しがつくかは分からんが……本懐はラーメン作りだぜっ!! そうだろ親父ッ!!」
「ああ、その通りだ! それはそれとして海の掟だとお前は大回転人間ブーメランの刑だがな!」
「何それ怖ぇ!?」
ともかくサンディをリーダーとしたラーメン作りの時間である。
「らーめん、ニルははじめてなのです。店主様にいろいろ教えてもらいたいです」
「お、いいぜ! とはいえ、何やら別の食材も混ざってるようだが……さてはスープも作る気だな?」
店主の言葉にニルは何度も頷く。
「スープも麺も具も種類があるのですね。どれが一番人気があるかわかったらサンディ様の独立にもお役に立てるでしょうか?」
「ハハハ、そしたら免許皆伝ってやつだな!」
そんな微笑ましい会話を挟みながらもラーメン作りは進んでいく。
「ラーメン作りか……俺は料理とかあんまり得意じゃないんだが」
言いながらスティーブンはチャーシューを切り分けて、端っこをもぐもぐと食べる。
「お、結構うまいな。折角だからタレにチャーシューを入れてみれば、もっと美味いんじゃないか? 後は串に刺して炙ってみたり……」
言いながら炙れば、香ばしい香りが周囲へと漂い始める。
「おお、炙ると香ばしくなってまた美味いな。こいつは少し厚切りで……」
何やら晩酌じみた事が始まっているが、ちゃんとラーメンの具の作成風景である。
「ラーメン作りも手伝うよ……ラーメンの作り方はあんまり知らないから指示頼りになっちゃうけど、料理はそこそこできるからね……」
そんな事を言いながら粉にした海小麦をこねているのはエルラとモカだ。
「せっかくだしイカスミラーメンとか作ってみたいな……麺にイカスミ練り込んだら良い感じになりそう……」
「それもいいな。なら私はノーマル麺か。少しずつ作って試食し調整しながら、ベストな出来の麺を目指すぞ」
どうやらチャーシューも麺もかなり良い感じに進んでいる。
そしてスープも、奈々実とコルネリアが顔を突き合わせていた。
「素材はとってきたけど次はラーメンねぇ。採算とかあるでしょうけど、海の家のラーメンって大体1種類とかそこらなのよねぇ」
「奇をてらわずに普通の醤油ラーメンにするっていう手も……さ、最近色んなラーメンいっぱいあるし……あえて原点に戻ってみるし……魔法少女が作ったってだけで食べに来てくれる人もいるでしょうしね……ふひ」
そのネームバリューで来るのはレディではなく大きなお友達な気もするが、コルネリアは言わずに前向きな方向性に持っていく。
「海での雰囲気で美味しく感じるとか言われるけどここは味に拘って種類多く作ってきましょ! ってー事で味噌行こ味噌。味噌の濃さとニワトリのスープで濃いめでもあっさり食べられるなんかを作るのだわ!!」
そう、ここでニワトリ出汁のミソスープが確定。そこにサンディが更に一石を投じていく。
「親父はこの海域の生き物を集めてラーメンを作ってたようだが、聞いた感じヤドカリって使ってなかったみたいだよな。でもこの前練達で食ったカニってのがすげーうまかった」
言いながらサンディが視線を向けるのは巨大ヤドカリだ。
「この海域にいるんだから、コイツも煮込めばほら、貝殻からもほら、なんだ、カルシウムとか、良い感じの潮の香りとか出汁とか、出るに違いないぜ! つまり……ヤドカリ塩スープだ!!」
「ヤドカリ出汁を使うなら海鮮ベースのスープになるかな。出汁を取ったヤドカリの肉も、味を付けてトッピングに使おう」
サンディの案にモカも意見をプラスして、サンディ特製ヤドカリ塩ラーメンの構想も進んでいく。
そしてアルフィンレーヌの手によって煮卵も出来上がり……そのアルフィンレーヌは更なるトッピングや付け合わせの開発に挑んでいた。
「トッピングとして、シャキシャキ感を残した、茹でキャベツ&もやし、あさつきをプラス……」
サラサラと書き記していくレシピは、まさにセンスのあらわれだろうか?
まず、キャベツを真ん中より、少し上に円形に盛る。その右下にあさつき。キャベツを下敷きにして、もやしを山型に盛る。それに立てかけるように、チャーシュー、メンマを盛る。最後に小さじ半分程度、エクストラバージンオイルを回しかけ、完成。
更にはサイドメニューとして、エビ餃子(巨大ヤドカリ、海小麦)、鶏のから揚げ(海ニワトリ)、チャーハン(チャーシュー、砂卵)も用意する準備も出来ている。
その横でニルが目を輝かせて頷いているが……ともかく、こうしてメニューの準備も完了である。
「さあ、出来たぜ……これがヤドカリ塩ラーメンだ!」
サンディの差し出したラーメンにコクリと頷くのは、魚の頭に魚っぽい身体、そしてタコの足を持つモンスターだ。
お胸が豊かなのが、如何にもレディといった感じだが……。
何か宝石のようなものをお代として置いていくと、そのまま離れた場所でラーメンをすすり始める。
「怪獣だろうが、ゾンビだろうが、お客様はお客様」
そんなアルフィンレーヌの言葉が実に印象的で。
まあ、そんなこともあったが……。ラーメンの香りに惹かれたのだろうか、少しずつ浜辺に人が集まり始めていく。
「はーい、ラーメンいかがっすかーー。そこの姉ちゃんどう? 寄ってかない? 美味いラーメン出来ちゃってさぁ。汗もかいて塩分欲しいっしょ。今なら活きのいい男子も居るわよぉ」
「やだー」
「まじでー? どれー?」
「あ、あの人ー? やだ、マジイケメン」
「あれは女よ」
なんということか。本当にラーメンの香りが浜辺に客を寄せ始めたのだ。
しかもどちらかというとレディの比率が高い。
そしてモカが早くも囲まれている。何故なのか。
そしてサンディと仲間達の開発したヤドカリ塩ラーメンの売れ行きは凄まじかった。
何度も麺を茹で、スープを追加し、トッピングを盛って、モカがモテて。
サンディが小さな女の子に「あたしラーメンのお兄ちゃんと結婚する!」と言われていたり、モカがモテたり。
海で泳ぐエルラがマスコット扱いされていたり、波打ち際にいた奈々実がナンパされたりしていた。
そうして、サンディのラーメンは稀に見る大盛況を記録する勢いで売れていく。
「いやぁ労働の後のメシは美味いねぇ。なんで海で食うと何時もよりうまいんだろうなぁ?」
「暑い夏、暑い砂浜、熱いらーめん……汗をかきかき食べるのもまた「おいしい」のでしょうか。暑いときには冷たいもの、というわけではないのですね。なんだか不思議な気がします」
スティーブンとニルが、そんな事を言いながらラーメンを食べる。
そのラーメンは確かに美味しくて。
実は店主がサンディを担いでいるんじゃないかと考えていたモカは、集まったレディ達の数を見て納得していた。
まあ、そのほとんどはモカに流れていたが……それもまた、ある種の運命だろう。
こうして、店主の言う通りに海にはラーメンが戻りサンディもモテモテになった。
……小さなレディ達限定で。
それでも確かにラーメンにはㇾディを呼び寄せる力があった。戦えラーメンファイター・サンディ。
きっと明日はもっとモテると信じて!
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
チャーシューが海を泳ぐことで海鮮出汁にピッタリの海のエネルギーを蓄えるんです。
そんな感じのシナリオでした。
お楽しみいただけましたでしょうか、ラーメン。
GMコメント
このシナリオは『横紙破り』サンディ・カルタ (p3p000438)さんのリクエストに基づくものとなっております。
ラーメンを作ってビーチにレディ達を呼び戻すシナリオです。
・ラーメンの材料を集める
・材料をラーメンに加工する
・平和の戻ったビーチ
このようなシーンが主になると思われます。
□モンスター一覧
・巨大ヤドカリ
お色気担当です。ハサミで切ったり叩いたりします。タフです。
・海ニワトリ
ギャグ担当です。突くわ蹴るわ引っ張るわ。
・チャーシュー
ギャグ担当2号です。意外と浅いとこにいるので、アイデア勝負です。
なお、ラーメン作成やビーチでのシーンにプレイングを割り振った方が幸せになるものと思われます。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
Tweet