PandoraPartyProject

シナリオ詳細

夏だからかき氷が食べたい

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●かき氷への道は、かくも激しき

 幻想に素材する、とある高山地帯。
 夏といえど、一定以上の高さを越えると冬のような寒さになってくる。
 凍えるようなその寒さに、武装した男達は白い息を吐く。
 何を好き好んでこんな場所に男達はいるのか?
 当然ながら、趣味ではない。
 彼等は少なくない金を貰って、この場所に挑んでいるのだ。

「ったく。幻想貴族ってのは変な奴が多いぜ」

 やがて、1人の男がそんな事を口にする。
 
「まあ、そう言うな。夏に氷が食べたいなんざ……お貴族様の依頼にしちゃ普通なほうだろ」
「冬に食えってんだ」
「ハハハ」
「それ言ったらおしまいだろ!」

 男達は笑いあい、周囲を見回す。

「しかし、氷ねえ……ここまで来ても雪はあるが、氷はねえな……」
「もうちょい上に洞窟があるって話だ。そっちに行くと氷があるらしい」
「らしい、ね……」
「まあ、そう腐るな。行こうぜ」

 言いながら男達は登り……そしてズシン……という地面の揺れるような音に気付く。

「な、なんだあ?」
「おい待て! あれは……!」

 ズシン、ズシンと音をたてて歩く巨人。
 その姿を見て……男達は驚愕する。

「なんっだ、あれ……」
「氷の、巨人……!?」

 そう、それは白い氷の巨人。その奥には別の色の巨人もいる。
 そして……そのうちの白い巨人が、確かに男達を見た。
 男達を見つけて走ってくるその姿に、逃げられないと男達は武器を構える。

「ちいいっ、なんとか逃げる隙を作るんだ!」

 結果的に倒す事こそできなかったものの、僅かな欠片を戦果として持ち帰った男達。
 しかし、その欠片こそが新たな依頼への発端となったのだ。

●氷の巨人は美味しい

「その持ち帰った白い氷巨人の欠片は……美味しかったらしいです」

『旅するグルメ辞典』チーサ・ナコック(p3n000201)はそう言うと、集まった全員を見回した。

 そう、その白い氷巨人の欠片は……まるで練乳をたっぷりとかけたかのような、そんな味がしたのだという。
 それも超上質の練乳。甘いのにしつこくない、そんな素晴らしい味であったという。
 更には報告によれば白だけではなく赤、緑、黄、黒……そんな合計5色の氷巨人が確認されている。
 
 白が美味しいのであれば、当然他の色も美味しいはず。
 是非持ち帰ってきてほしい。成功報酬として、持ち帰った分の半分は食べてもいい。
 つまりは、そういう依頼なのだ。

「……ま、そんなわけです。夏にかき氷を食べるのも、中々贅沢と思うですよ?」

GMコメント

高山に登り、かき氷の材料を持ち帰りましょう。
途中はかなり細い道や崖沿いの狭い道などもあり、結構怖いです。
3合目くらいに山小屋が1個あり、使用許可済です。
ここで休憩するのも自由ですし、接敵時間の調整の為にここで泊ってもOKです。

赤氷巨人
イチゴ味。冷たい火を噴きます。火炎、あるいは凍結のBS効果があります。
近距離戦にも強いです。

緑氷巨人
メロン味。癒しの風を吹かせます。氷巨人の中では近距離戦最強です。

黄氷巨人
レモン味。周囲に電撃を放ちます。感電のBS効果があります。
近距離戦にも強いです。

黒氷巨人
あずき味。一番堅いです。通常攻撃の他に、重戦車の如き進撃の猛攻を仕掛けてきます。

白氷巨人
練乳味。一番素早いですが一番脆いです。特に特殊な技はないみたいです。


結構な荷物になるので、持ち帰る量や手段は考えたほうがいいかもしれません。
なお、馬車で進むのはかなり無理がありそうです。
無事に持ち帰ったら、持ち帰った量の半分をかき氷にして食べられます。
かき氷パーティーですので、食べたい氷を決めておいた方が良いと思われます。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はCです。
 情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。

  • 夏だからかき氷が食べたい完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年08月19日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

炎堂 焔(p3p004727)
炎の御子
アクア・フィーリス(p3p006784)
妖怪奈落落とし
ソア(p3p007025)
無尽虎爪
エストレーリャ=セルバ(p3p007114)
賦活
コルネリア=フライフォーゲル(p3p009315)
慈悪の天秤
エーミール・アーベントロート(p3p009344)
夕焼けに立つヒト
アオゾラ・フルーフ・エーヴィヒカイト(p3p009438)
不死呪
ヴィリス(p3p009671)
黒靴のバレリーヌ

リプレイ

●かき氷の為に
「かき氷が、氷の巨人から、取れるの?すごい……色んな味が、食べ放題……! 道がちょっと、危ないけど、かき氷の事を、考えれば、怖くないの……ふんす」

『憎悪の澱』アクア・フィーリス(p3p006784)の、そんな決意が山中に吸い込まれていく。
 高山の三合目、事前の話にあった山小屋までアクア達は辿り着いていた。
 さほど大きくはない山小屋だが、荷物をおろしていくには十分な広さが確保されている。

「涼しくて気持ちがいいね」

 言いながら伸びをする『雷虎』ソア(p3p007025)は本当に気持ちよさそうだ。
 標高の高い場所というのは気温が低く、夏の暑さから逃れるには最適ではあるのだが……。
 連れてきている虎もご機嫌な気がするな、などとソアはそんな事を思う。

「まだ寒いというほどでもないけど地上とは全然違う。山の高さと森の緑のおかげだね」
「うん。それにしても……美味しい氷の巨人なんて不思議だね」
「確かに。ボクはイチゴ味の赤氷巨人がいいかな」
「メロン味の緑氷巨人かな」

『賦活』エストレーリャ=セルバ(p3p007114)とそんな会話をしながらも、ソアは繋いだ手を離さない。
 ソアのお誘いで来たエストレーリャだが、互いに恋人関係にあるだけあって、その仲は親密だ。
 そんなエストレーリャ達の会話を聞きながら、『慈悪の天秤』コルネリア=フライフォーゲル(p3p009315)はぼそっと呟く。

「普通、欠けた一部持って帰って食ったりするかぁ? 時たま見るけど凄いことする奴いるわよね……」

 コルネリアの言う事は正論だ。正論だが……世の中、そうした冒険をする者が新しいグルメを切り開いてきたのも事実なのでまあ、仕方ないとも言えるだろう。

「かき氷が採れるって、なんか不思議ですね。どうしてそんな生態になってるのか、ちょっと気になります。味が選べるのも凄いと言うか……絶滅しないんでしょうか?」

『夕焼けに立つヒト』エーミール・アーベントロート(p3p009344)のそんな疑問も最もだが……そこは、コルネリアの言った事が真実を突いているということだろう。
 誰も氷巨人の味を知らない。故に絶滅しなかったのだろう。

「鉄帝で食べたい夜鳴き氷も美味しかったですが味の付いた天然のかき氷もとても気になるデス。ジュルリ。巨人さんには悪いですが氷を剝ぎ取るデス」
「……あ、なるほど」

『不死呪』アオゾラ・フルーフ・エーヴィヒカイト(p3p009438)の呟きにエーミールもなんとなくそれが理解できて、思わず何度も頷いてしまっていた。

「かき……ごおり? 聞いたことはなくもない気はするけれど食べたことないわね。名前の雰囲気的に氷をどうにかするのかしら?」
「まあ、氷をどうにかするっつーのは間違ってないわね。というかこれから氷をどうにかするっていうか」
「うーん、楽しみだわ!」

『黒靴のバレリーヌ』ヴィリス(p3p009671)の、そんな本当に楽しそうな様子にコルネリアも「そうね」と笑って。

「それにしてもかき氷……氷は氷でしょうけどかきって何なのかしら……夏季? 柿?」
「完全に間違ってるとは言えないわね……」

 そもそも氷巨人で作るかき氷をかき氷と言ってよいのか。
 氷巨人削りとか、そんな名前でなくていいのか。
 色んな疑問が『炎の御子』炎堂 焔(p3p004727)にも浮かんでくるが……細かい事を考えても、かき氷を美味しく食べられないだけだ。

「動く氷の巨人かぁ、この世界は本当に色んな生き物がいるよね……とにかく、美味しいかき氷のためにがんばろー!」

 そんな風に焔が叫んで、全員がそれに同意するように声をあげる。
 そうやって色んな事を話しながら、泊りの準備は進んでいく。
 今日は此処で朝まで休んで、身軽になって出発する。
 そういう方針であるが故に、テキパキと準備は進んで、早々に全員寝る態勢に入っていく。

「依頼の途中だけど、皆でお泊りするのは楽しみだったんだよなぁ」
「そうねえ。それにしても寒い寒い。毛布足りないわねえ……」
「疲れのせいですぐ寝れそうですけどね。山道って体力使うんですよね……」

 焔とコルネリア、そしてエーミールがそんな事を言いあっていたくらいで、全員疲れたのかすぐに寝入ってしまう。

「……うるさいのは、あまり好きじゃないの。だから、よかった」

 アクアはそう呟いて、目をつむる。
 明日は更に登り、氷巨人との激戦が待っている。
 そのことを意識したせいではないだろうが……アクアの意識は、自然と闇の中へと沈んでいった。

●山頂への挑戦と氷巨人

「寒いですがかき氷の為に頑張って下さいデス。カー吉」

 そう言ってアオゾラがファミリアーを飛ばし、一行は山を再び登り始める。
 山を登れば登る程気温は低くなり、空気も薄くなっていく。
 整備がロクにされていない危険な道は滑りやすくもあり、ソアとエストレーリャは手を繋ぎながら進んでいく。

「エスト、だいじょーぶ?」
「うん、大丈夫」

 山道では、崖沿いを進むような道も多い。
 一歩間違えば遥か下へと落下してしまうような危険な道ではあるが、イレギュラーズにとっては今さら恐れる程ではない。

「この脚で山を登るのはちょっと辛いけれどもう慣れたわ。寒いのは得意だし、雪もこの剣靴なら滑らないしサクサクいきましょうサクサク」
「元気ねえ……」
「あはは、ボク達も負けてられないよね!」

 言葉通りにサクサクと進んでいくヴィリスをコルネリアと焔が追いかけ、全員がその後を進んでいく。

「おなか……空いてきた……早く、行こ? かき氷、いっぱい、食べるの……」

 そんな、いつになく積極的なアクアのやる気も移ったのだろうか、全員の山を登る速度が僅かながら上がり……そうして、ついにその場所へと辿り着く。

「……いたよ、あれが氷巨人だね?」
「本当にいろんな色がいるね」
「色とりどりの巨人ってなんだか虹みたい」

 焔が、ヴィリスとエストレーリャが、それぞれそんな感想を漏らす。
 白、赤、緑、黄、黒。五色の氷の巨人が、氷雪積もる中で静かに佇んでいるのが分かる。

「よし、では準備を終えたら行きましょうか。皆さん、狙いは? 私は緑です」

 持ち込んだ3つの腰に下げられるほどの小さめの袋を確かめつつ、エーミールは全員に問いかける。

「赤氷巨人を狙うデス」
「僕とソアも、まずはイチゴ味の赤氷巨人から。そのあと、メロン味の緑氷巨人を狙っていくよ」
「わたしも赤氷巨人を最初に狙っていくの、イチゴ味……イチゴ味……!」
「ボクもあの赤いのにしようかな」

 アオゾラ、エストレーリャとソア、アクア、そして焔が赤氷巨人狙いを宣言して。

「私も赤氷巨人を狙おうかしらイチゴ味みたいだし! ……どうしてイチゴ味になのかは気になるけれど深く考えない方がいいわよね、多分」
「え、するってえと白はアタシだけってこと!?」
「ワタシも後で白を狙いまス」

 驚愕するコルネリアにアオゾラがそんなフォローのようなものを入れるが……それはさておいて。
 狙う相手は決まった。となると……あとは目的の氷を手に入れるのみだ。

「それじゃあいくわよ!」

 真っ先に飛び出したのはヴィリス。
 滑るような動きで飛び出していき……まずはご挨拶とばかりにイクリプスを繰り出す。

「蹴り続ければ欠片もぽろぽろ落ちるでしょう? 追撃も成功すればさらにドン! それを回収させてもらうわ!」
「ガガガガガガガ!」

 赤氷巨人がヴィリスを敵と見定め叫び……白氷巨人が巨体に似合わぬ動きでヴィリスを攻撃しようと飛び出す。
 しかし、ヴィリスの元へは辿り着かない。
 コルネリアのプラチナムインベルタが身体に命中し、銃を構えるその姿を視界に収めたからだ。
 その間にもアクアの異・ネガティブレイクが赤氷巨人に炸裂し、焔の緋燕によって飛ばされた炎の斬撃がぶち当たる。
 そしてダメ押しとばかりにソアの夜葬儀鳳花が炸裂する。

「さて、と……!」

 更には夕焼けのグラスナイフとソードブレイカーを構えたエーミールが緑氷巨人へと走りキルストリークを繰り出す。

「ガガガガガガ!」
「っ……!」

 緑巨人の繰り出した蹴りをエーミールはぎりぎりのところで避けながらも、冷や汗を流す。
 予想以上に鋭く、硬く、強い。
 
「刺すと多分ナイフ折れちゃいますね……!」

 削ることを意識しなければならない。そう考え緑巨人の死角を維持するべく動き続ける。
 赤氷巨人に多くの仲間が行った以上、必要量を削り取るのに然程時間はかからないはず。
 なら、自分のペースでやっても何も問題はない。
 ただ、ちょっと相手がこの氷巨人達の中で近接戦最強というだけであって。

「さ、手伝いに来たわよ!」
「え!? 速いですね!?」
「だって、倒し切る必要はないでしょ? あれだけ数でかかれば簡単なことよ!」
「そういうこと! 別に完全にやっつけなくても良いんだから!」

 ヴィリスとソアだけではない。白巨人を狙っているコルネリアの方にも仲間達が向かっていき氷を削り取っているのが見える。
 そうして手が増えた以上、時間は然程かかりはしない。

「……よっし、これで袋いっぱいです!」
「それじゃ撤退! 撤退ー!」

 他の氷巨人達が戦闘に混ざり始め、此処から先は消耗戦だ。
 焔の合図で全員が走りだすと、氷巨人はその巨体もあって追ってこれなくなる。
 念のため遠距離攻撃も届かないだろう場所まで行くと……全員の身体から力が抜けてしまう。

「何とか手に入れたね。あとは無事に持って帰らないと」

 言いながら、エストレーリャは精霊操作によって雪を固め氷のようにして作った荷台に視線を向ける。
 他にも焔もソリを用意しており、全員で協力すれば回収した分を持って帰るのは容易であると思われた。

「……ちょっとくらいここで食べたら、だめ?」
「いいんじゃない? 甘ーい! 良い匂いがする!」

 アクアに言いながらソアも赤氷を舐め……それでアクアは逆に冷静になり、後の楽しみにしておこうと思い直す。

「よーし、それじゃ虎にソリ引いてもらうわね!」
「大荷物ねぇ。途中までは役に立てないけど下にバイク停めてんのよ。そこまで運んだら荷台にロープ括りつけて運んじゃいましょ。なぁに【輪動制御】なら自信あるのよ。ソアの虎とかと協力してパパっとやっちゃいましょ」

 焔にコルネリアもそう言って、全員で氷を運んでいく。
 途中の三合目で荷物も回収し、麓まで降りて。
 待っていた依頼人の遣いに必要分を引き渡せば、あとはもう氷パーティーを楽しむだけだ。
 依頼人の好意で用意された削り器は氷巨人の欠片をシャリシャリと綺麗に削っていき、ガラスの器に人数分のかき氷がすぐに用意される。
 シロップをかけるまでもなく美しい色をしたかき氷に、全員の口から思わず感嘆の息が漏れて。

「冷たくてキーンっとした氷に甘い練乳って凄い合うと思わない? 最強よ最強! あっっっっ!!! 頭がキーンってきたぁ!!!!! いだいよぉ!!」

 凄い勢いで白氷をパクついたコルネリアがゴロゴロと転がって。

「美味しいわ! これならパクパク食べられそうよ! って、いたたたた! 頭が痛いわ! なにこれ!」

 続けて転がったヴィリスがコルネリアにぶつかって、二人で地面でぐねぐねとし始める。

「思った以上にメロンですね……え、ていうかこれメロンそのものでは?」
「ん、おいし……! こんな美味しいの、始めてなの。みんなの分も、あるから、独り占めは、よくないね」

 エーミールとアクアが互いをふと見合って、お互いの氷を味見しあい……その美味しさに、笑顔になる。

「美味しいデス、夜鳴き氷とはまた違った味わいデス。味変してもよさそうですネ」

 以前にも噂のかき氷を食べたアオゾラが、その味を思い出しながらパクついて。

「うーん、ひんやり美味しい!」
「うん! どっちも、美味しい。ソアと一緒に食べると、もっと美味しいね」

 並んでかき氷を食べているソアとエストレーリャが、お互いに笑いあう。

「ソア、お疲れ様。今日は頑張ったから、いっぱいのんびりして、甘やかしてあげるから」
「……うん、ありがと」

 そんな二人だけの空間が出来上がりつつある中、復活したコルネリアが焔に悪戯をしかけようとミックスかき氷を差し出している。

「ん……? 焔、ちょっとこれ食べてご覧なさいよ」
「えっ、ありがとうコルネリアちゃん! うーん、美味しー!」
「え? 平気なの?」
「何が? あ、ボクのも一口あげる! 大丈夫! まだ口つけてないから! ボクだけもらうなんて悪いし……だからほら、あーん!」
「いや、その、あーん……」

 そんな風景が展開されたりもしていたりはしたが、概ね平和で、かき氷は美味しくて。

「また、行きたいの……」

 アクアの言葉に、アオゾラも「そうですネ」と頷く。
 そんな平和な、夏の一日だった。


成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

コングラチュレーション!
美味しいかき氷を楽しむことが出来ました!

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