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シナリオ詳細

<半影食>夕陽傾き命傾く

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●<半影食>夕陽傾き命傾く
 8月となり、夏休み期間。
 希望ヶ浜の様々な学校も当然夏休み期間……学生達は学校を飛び出し、実家に帰省したり、山や海をはじめとしたレジャーへと友人達と出かけたり……と、学校という檻から解き放たれて、思い思いの青春を謳歌していく。
 そんな青春の一頁を作る為に、お盆ド真ん中の日にふと公園に集まったのは、希望ヶ浜の高校生達が五人。
『あー……まったく、今日も暑いよなぁー!』
『本当だよなー! こーんなあっちー日はよー、怪談話でもして涼みゃーいーんじゃねーの?』
『んー、それおもしろそーじゃん! 何かいい怪談話、知ってんのかー?』
『勿論だぜ! あのよー、町外れにすっげー古いお寺があるじゃん! あのお寺に深夜行くと、おそろしー目に遭うんだってよー。おもしろそーじゃね?』
『おー、おもしろそー! んじゃ、今日の夜早速行こーぜー!!』
『『『『おーー!!』』』』
 そうして学生達は、親たちが寝静まった深夜の刻に再び公園へ。
『よっし、それじゃ皆行くぞー!!』
 と友人達と連れだって、街の郊外にあるお寺へ。
 ……深夜の刻というのと、町外れという事も在り、行く間の道においては、他の人と会う事も無い。
 そして、お寺に登る階段の下に到着。
『よーっし、んじゃー皆行くぜー!』
 と、リーダーの様な雰囲気のある彼が先陣を切って、仲間達と共に階段を上っていく。
 ……すると、今迄暗かった夜空が、何故か赤く染まり始める。
『……ん、あれー??』
『おーい、何してるんだよー、おいてくぞー!』
 きょとんとして空を見上げるのもいるが、仲間に声を掛けられて慌てて追いかけていく。
 ……そして、階段を上りきった目の前には……。
『……あれ? ここ、こんな感じだったっけー?』
 何度か来た事が有る筈なのだが、目の前のお寺はいつもとは違い、何だか崩壊が始まっているような、そんな感じ。
 そしてお寺の門の所にある、よく説法が書かれている掲示板には。
 
 -あがすがたぁう
   がっじゃらさぶさた
    さかがたい

『んー、これ何書いてんだー?』
『訳わかんねーな……何だか明るいしよー』
 ぶちぶちと愚痴をこぼす彼らだが……ともあれお寺の境内へと足を踏み入れようとする。
 ……だが、そこに遠くから聞こえてきたのは。

『……シャン、シャン……』

 聞き覚えは無いが、心が落ちつくような鈴の音。
 お寺の中から聞こえてくるようだが……何だか遠くから聞こえてくるような気もする。
 ……そんな音に僅かに恐怖心を感じつつ、彼らは足を踏み入れていく。
 ……すると。

『グルゥゥゥ……』

 低く、獰猛なる獣の鳴き声。
 そして次の瞬間……空と陸、両方向から次々と姿を表す、影の獣達。
 完全に四方八方を囲まれてしまい、少年達は。
『ぎゃあああ、や、やめてぇえええ!!』
 恐怖に気が触れたのだろうか……絶叫と共に、その場に蹲ったり、必死に逃げようと駆けずり回るのであった。


「皆さん……今日もこちらに来て頂けたようですね? お時間があれば、また……以来を任せても宜しいでしょうか?」
 と、カフェ・ローレットにて皆に声を掛けてきたのは音呂木・ひよの。
 振り返り、彼女の言葉に頷いた君達を集めた彼女は早速。
「最近、ここ……希望ヶ浜の悪性怪異:夜妖<ヨル>の活動が活発化しているのは、皆様も知って居るとは思います。その原因は今迄無害であった神が、現世に急速的に影響をおよぼしているという事象が起きている様なのです」
「更に不味い事に、その神が夜妖と無縁な生活を送る一般人達にも強い影響をおよぼし始めている様なのです……神の作り出した異世界が、希望ヶ浜の様々な所に現れ、そこに一般人が迷い込んでしまうという事件が多発している様なのです」
 そこまで言うとひよりは一枚の写真と、○が付けられられた希望ヶ浜の地図を皆に見せて。
「ここにはかなり歴史のあるお寺があります。どうやらこのお寺が、異世界へと繋がっているらしく……不幸にも夏休み期間に浮かれてしまった高校生の方達が迷い込んでしまった様なのです」
「子供達からすれば、この様な怖い目に遭うだなんて思っても居ない事でしょう……そこでこの子供達を救出してきて欲しい……という訳なのです」
 そこまで言うと、ひよりは最後に皆を見渡して。
「余り詳しい情報が無く、申し訳無い所はあるのですが……でも、皆さんなら大丈夫だと思って御願いしているのです。どうか、宜しくお願いしますね」
 と、皆に頭を下げるのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)です。
 希望ヶ浜に次々と開く異世界への門……被害者も多発している様です。

●Danger!(狂気)
 当シナリオには『見てはいけないものを見たときに狂気に陥る』可能性が有り得ます。
 予めご了承の上、参加するようにお願いいたします。

●成功条件
 希望ヶ浜の高校生達5人を、死なせる事無く救出する事です。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●周りの状況
 今回の舞台は、郊外にぽつりと存在するお寺です。
 周りに人家はなく、東屋とかもなく……ほんとうにぽつりと建っているお寺になります。
 その為戦う分には不自由はない位広いですが、子供達五人は恐怖に陥っている為に広い所を走り回ったり、蹲ったりしているので、彼らの救出行動は必須となります。
 かなりの恐慌状態になっていますので、説得難易度はちょっと高めなので、子供達を落ちつかせるよう、しっかりと説得を行う様に御願いします。

●討伐目標
・生への怨みを持つ『影虎』 x 6匹
  まるで影が実体かのようになった、真っ黒な体の虎です。
  四足歩行で地上を迅速に飛び回り、その鋭い爪と鋭い牙で斬撃仕掛けてきます。
  また逃げ回る子供達は、特に狙いやすいので、この敵からすれば優先的に狙う相手となりますので、子供達がもし逃げてしまっている場合はご注意下さい。
  特にこいつはバッドステータスを付与する効果は持ちませんが、感情も無いので怒り効果を付与されてもその相手を優先的に狙うという事は在りません。
  子供>近くに居るイレギュラーズ、と言う順番で攻撃してきます。

・空の狩人『闇鷹』x6匹
  やはり姿形は影に囚われており、真っ黒で大きな鷹です。
  鳥なので空から奇襲を仕掛けてきます。ヒットアンドアウェイ的に攻撃したら一旦離脱……を繰り返してきます。
  勿論子供達が逃げ惑っていれば、そっちを優先して攻撃します。
  彼らは空から呪怨の咆哮を上げて、戦場に呪いのバッドステータスを付与します。
  尚、怒り効果はこちらは有効です。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • <半影食>夕陽傾き命傾く完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年08月29日 20時25分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

亘理 義弘(p3p000398)
侠骨の拳
ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)
月夜の蒼
楊枝 茄子子(p3p008356)
虚飾
グリム・クロウ・ルインズ(p3p008578)
孤独の雨
アーマデル・アル・アマル(p3p008599)
灰想繰切
フォルトゥナリア・ヴェルーリア(p3p009512)
挫けぬ笑顔
山本 雄斗(p3p009723)
命を抱いて
原田 幸村(p3p009848)
あやかし憑き

リプレイ

●夏の薫り
 夏、八月。
 夏休みの刻間、希望ヶ浜にある様々な学校は、当然夏休み期間。
 生徒達は学校という居りから解き放たれ、実家に帰省したり、レジャーだと言って海や山へと繰り出してみたり……と、開放的な気分になる時期。
 ……そんなお盆まっただ中のこの日に『肝試しだ!』という名目で集まってしまったのは、希望ヶ浜の高校に通う学生五人。
「……高校生の子供、か……下手すると俺より年上なのでは……? ここでは子供なのか、そうか……」
 と、高校生という年齢に眉を顰めるのは『霊魂使い』アーマデル・アル・アマル(p3p008599)。
 確かに高校生という事は、年上、若しくは同い年位なのは間違いない。
 とは言え危険が隣り合わせのイレギュラーズに対し、平穏無事な生活を送る希望ヶ浜の学生達は精神的な成長度合いは全くと言っていいほどに違うだろう。
 いや、むしろ……この学生達の精神が幼なすぎる、やんちゃな輩達である、と言えるかもしれない。
 ともあれ、そんな学生達が夜妖の脅威に襲われてしまうのが予想されたわけで。
「さて……今回の仕事は、迷い込んだガキ共を助けて、夜妖を排除する事だな」
 と『仁義桜紋』亘理 義弘(p3p000398)が眉を顰めて言うと、それに。
「これは大変だね!! 子供達を早く助けてあげないと!!」
 と大げさに驚く仕草を撮るのは『羽衣教会会長』楊枝 茄子子(p3p008356)。
 ……まぁ驚いたとしても、何か事態が変わるという訳でもない。
「友達と怪談話を試して、何もなくて笑って終わるなんて事、僕もイレギュラーズになる少し前までは良くあったけど……でも、まさかその怪談が現実になるのは怖いよね」
「うんうん。好奇心は猫を殺す、だったかな? こういうのが気になるお年頃なのは分かるけど、ほいほい進んで行っちゃうのはねぇ……交通事故がいつあるか判らないのと同じく、こんなことに巻き込まれる可能性も、誰にだってあるのにさ」
「うんうん、まったくだよね」
 『ヒーロー志望』山本 雄斗(p3p009723)と『月夜の蒼』ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)が交わす会話。
 ……確かにこんな事件に巻き込まれるだなんて確率は、そうそう無いかもしれない。
 でも現に事件は起こり、異世界への門戸は日常の世界の傍らに口を開けている。
 昨今多発する事件もまた、場所の違いこそあれ、人々が突如異世界へと迷い込んでしまうのは違い無い。
「でも……お寺のような場所まで異世界に繋がるとは、本当に無差別に口が開いてるんだな」
 と『誰かの為の墓守』グリム・クロウ・ルインズ(p3p008578)の言葉に『空に願う』フォルトゥナリア・ヴェルーリア(p3p009512)も。
「そうだね……そしてその恐怖に憑かれて、恐慌状態に陥ってしまった子供達。逃げ惑う子供達を優先的に襲うみたいですから、子供達に先ず冷静さを取り戻させるのが先決……でしょうか?」
 そんなフォルトゥナリアの言葉に、義弘が。
「そうだな。ガキ共は狂気にあてられたか、混乱しているからよ。何とかして夜妖の攻撃を受けねえようにしてやらねえといけねえな」
「ええ……色々とやるべき事はありそうですね」
 義弘の言葉に、一つ瞑目するフォルトゥナリア。
 ……ともあれ、高校生達の命が掛かっている事件……下手な手は打てない。
「……うちの高校の学生が襲われていると聞いたら、助けないと目覚めが悪いよね……もしかしたら、知り合いの可能性もあるし……何より夜妖に襲われているなら助けないと……八尺ちゃん、御願い」
 『あやかし憑き』原田 幸村(p3p009848)の言葉に、その背後で黒いもやの様な物が蠢く。
 そして雄斗とグリムも。
「でも、僕たちが来たからには、必ずお家に帰してあげるから……だから、絶対に殺させないよ」
「そうだな……何にしても迷い子の救出、と。何も知らない子供達だ、傷は付いたとしても、必ず連れて帰ろう」
 と各々覚悟を決める。
 そしてイレギュラーズ達は、ひよのに指示されたお寺へと到着。
 ……ぱっと見る限りは、極々普通なお寺の様に見えるが、階段を上がって行くと……周囲とは違う気の流れを察知。
 そしてその中からは、僅かではあるが、キャー、助けてー、という悲鳴が聞こえてくる。
「ここの様だね。よおし、皆、不思議空間に乗り込むよ!」
「ええ。迎撃戦と行きましょう」
 その声に触発されながら、茄子子、ルーキスが先陣を切り、その木の流れが崩れし所へと飛び込む。
 崩れた気の流れに飛び込むと、姿が忽然と消える……間違いは無さそうだ。
「良し。んじゃ俺達も行くぞ」
 とアーマデルが皆を促そ、そしてイレギュラーズ達は、次々と気の乱れし狭間へと飛び込んでいった。

●寺の声
『や、やめろーーー!! く、来るなぁあああ!!』
『な、何なんだよぉ、こんなの、ふざけんじゃねーよぉお!!』
 赤く染まった空に包まれしお寺の境内に、響きわたる高校生達の叫び声。
 恐怖に震え、誘った仲間に怨みを零しながら、四方八方へと逃げ惑う彼らと……それを追いかけるように駆け回るのは、影の虎と影の鷹たち。
 そんな光景を目の当たりにしたイレギュラーズ達……先ずは大声で。
「みんな、もう大丈夫! 助けに来たよ!!」
 とフォルトゥナリアが叫び、高校生と敵、全ての注意を惹きつける。
『な、何か別のが来たぁああ!!』
『も、もー終わりだぁあ!!』
 だが、高校生達はイレギュラーズ達の姿を、更なる敵と勘違いした様で、大声を上げて、更に逃げ惑う。
 しかしにげまどう彼らへ、更にフォルトゥナリアは真摯に。
「こっちに向かって走ってきて! 私たちが、怖いモノから絶対護るから!!」
 とかなり自信がありそうな感じで彼らへ声を掛け、更にその頭上にきらきらとした星を散らせて、注目を集めつつ、行動を誘導する様に仕向ける。
 更に、彼に続けて幸村も。
「いいか、落ち着け……俺達が護ってやるから。死にたく無ければ、あのお寺の中に避難しろ……いいな?」
 と鋭い眼光で睨み付ける。
『ひぃっ……!!』
 その眼光に、心底まで怯えきった高校生達は……もう嫌だ、とばかりにお寺の中へと駆け込んでいく。
 そして逃げ込んだところには、迅速にその場へ駆けていた義弘が待ち構えていて。
「……いいか、お前さんら。助かりたかったら言う事を聞け。俺達が助けてやる」
 威風堂々たるアニキカゼを噴かせて、頼りになりそうである、という雰囲気を彼らのすり減った心に刻み込む。
 そして、傷ついた心へ茄子子とルーキスが。
「大丈夫大丈夫! 会長が来たからにはもう安心していいんだよ!」
「ほれほれ、泣くな子供たち。キミ達が歩いてきたこの寺の中はもう安心だ! 私たちが出ていったら、扉を締めて、みんなで纏まってるといい!」
「そうだね! ほら、怖いなら会長が手を握ってあげるから、ね、落ちついて!!」
 そう、二人が高校生達を落ちつかせるように、様々な手を尽くす。
 ……その一方で、逃げ込んだ寺の前に立ち塞がるイレギュラーズ。
 高校生達を追いかけてきた鴉と虎たちが、寺を扇形で包囲。
『グルゥゥ……!!』
 と影虎が、心底まで震え上がらせそうな、低い呻き声を挙げてイレギュラーズ達を威嚇。
 その声にひぃっ、と中からまた叫び声が聞こえてくる。
「……おい、お前達。壁を背にして目と耳、塞いでろ!」
 と義弘が指示を与え、それに準じて子供達を促す茄子子とルーキス。
 ……取りあえず子供達が落ちつくまでは、二人はそちらにかかりっきりに成らざるを得ないだろう。
「ごめん、暫くの間、そっちよろしく!」
 と茄子子が寺の中から仲間達に叫ぶ。
「ああ、判った。取りあえず皆、見ては不味いものが出てくる可能性がある。視界の隅で何かが動いたり、目立つ物が引っかかったりすると、そっちに視線が行きがちだ。怪異の類いは、そういうのを狙ってくる可能性がある。視線は目の前の敵だけに集中してくれ」
 アーマデルがそう呼びかけると、他のイレギュラーズ達は頷いて。
「さぁ、ロォール、チェンジッ!! さあ、僕が相手だ掛かって来い! ところで真っ黒い鷹って、それは大きな鴉になるんじゃないの?」
 臨戦態勢を取りつつ、鷹を鴉と呼んで挑発する雄斗。
『ピィィィィーーー!!』
 闇鷹が人語を解したのかははっきりとしないが、明らかにイレギュラーズ達に敵対心を向け、高所から加速を付けて、その鋭い嘴を突き立てる一撃を繰り出す。
 無論その一撃は肉を抉り、かなりのダメージに及ぶ。
 しかし、その攻撃を毅然と受け止めたのは義弘。
「っ……これ位、どうって事無い」
 と唇を噛みしめながら、仕掛けてきた闇鷹の内一匹をむんずと掴み、気を流入させて、内から身を破戒する一撃を叩き込む。
 流石に簡単に倒れるような敵ではないので、再度距離を取って逃げる闇鷹。
 そして、闇鷹らの攻撃に続き、地上からは闇虎の影の行動開始。
 彼らは怒りを覚える事無く、ただ目に付いた目前の者に向けて爪を薙ぐ。
 かなり鋭い爪の一閃もまた、イレギュラーズ達の体力をごっそりと削り去る。
 また、上手く連続行動が出来た物については、更に噛みつきの牙を突き立て、更に体力を奪う。
 ……闇鷹に比べれば、単体に向けてではあるが、かなりの大ダメージ。
 しかし、決して寺の前からは離れる事は無い。
 離れれば、中に居る子供達が被害に遭うのは自明だから……この防衛線だけは、維持しなければならないだろう。
 ……そして、どうにか敵陣の猛攻を受け止めた後、フォルトゥナリアは神の光を煌々と放つ。
 更に味方を鼓舞する号令を上げ、出来うる限りの仲間達の回復に尽力する。
 勿論完全回復とまでは至らないので、油断は決して出来ない。
「いいよね……ごめんね、我慢させて。全力でやっていいよ、八尺ちゃん」
 と敵の攻撃が一巡した所に、幸村が指示。
 その背後の八尺ちゃんが動き始めると共に、敵陣に纏めて魔の砲撃を放つ。
 その一閃に続き、更にアーマデルが英霊の調べを奏でて、近づいてきた敵に様々なバッドステータスを追加。
 更には雄斗の収束した気の砲撃で反撃していく。
 勿論イレギュラーズ達が抵抗してくると、夜妖達は更に奇声を上げて威嚇しつつ、容赦無く嘴と爪、牙の猛襲を嗾けてくる。
 しかしイレギュラーズ達は決して怯む事無く、夜妖達に対峙。
 ……そして数刻の後、寺の中から出て来た茄子子。
「もう大丈夫、みんな、お守り代わりの会長のご加護を受け取るんだよ!!」
 と、早速仲間達へ加護を付与しつつ、仲間達の体力状態を確認。
「みんな、会長がいる限り誰も傷ついたまま帰らせないからね! 子供たちも含めて、この不思議空間から脱出するよ!」
 と言いながら、体力の減り具合が一番大きな仲間を、出来うる限り即座に回復。
 回復手が一人増えてくれたお陰で……。
「さて……これで気兼ねなく殴れる訳だな」
「そうですね……八尺ちゃん、もっともっと、やっちゃっていいよ!」
 ルーキスの言葉に頷き、幸村が更に指示。
 接近し、的確に闇鷹を仕留めつつ、ルーキスも氷結をその場に展開して纏めて攻撃。
 氷に囚われた相手へ、グリムが重圧を伴う砂嵐を吹き荒れさせ、更に追撃。
 ……一つ一つの範囲攻撃は、そこまで大きなダメージにはならない。
 とは言え様々なバッドステータスを積み重ねることで、敵の能力を大幅に制限する事で、出来る限り優位に進められるように務める。
 先ずは六匹居た闇虎たちを確実に仕留めるようにし、その間闇鷹たちは。
「ほらほら、キミ達の相手はこの僕がしてやるから、さっさとこっちに来なよ!!」
 と、雄斗が全力で惹きつけながら走り回る事で、仲間へターゲットを向かせないようにする。
 ……そんな分担作業のお陰で、時間は掛かる物の六匹の影虎たちを、先ずは殲滅。
 高い連続攻撃が可能な彼らを封じれば、後は単発の危険な攻撃な彼らを各個撃破するがのみ。
「みんな、後もう一息だ。気を抜かずに頑張ろう!」
 と幸村が皆を励まし、それに頷きながらアーマデルが呪殺の一閃で、闇鷹を真っ直ぐに貫き刺す。
「やはり……そこまで体力は無い様だ。後は力押しで行くぞ」
「そうだね……判ったよ」
 頷くグリム……そしてイレギュラーズ達の総攻撃で以て、六匹の闇鷹たちもまた、漆黒の藻屑へと消え失せて行くのであった。

●狂わざる影
 そして、どうにか全ての夜妖達を倒したイレギュラーズ達は……寺の中に隠れた子供たちの元へ。
『う、うううう……』
 義弘の言いつけ通り、跪いて、耳を両手で押さえて……必死に恐怖と戦っている。
 そんな子供達の人数を、取りあえずルーキスが再度カウントし……五人居る事を確認。
「うん……無事に終えられたみたいだね。何より何より」
 と、安堵の息を吐くルーキスだが、子供達はまだまだ必死に怯えて抵抗し続けている。
「それじゃ、もういいよね? みんな、大丈夫だよ!」
 ポンポン、と肩を叩き、顔を覗き込む茄子子。
『……うわぁあああっ!?』
 流石にそれにはちょっと驚く……が、すぐに正気を取り戻して。
「あ、お、おねーさん……あの、も、もう……大丈夫……?」
 小首を傾げる子供達にうん、と頷く茄子子。
「もう大丈夫だよ!」
 ただ、その後ろに居たグリムが、少し険しい表情で。
「キミ達……肝試しをしたくなったのか?」
 と問いただすと、しゅんと頷く彼ら。
「まったく……肝試しをしたくなるのはまあ、ここでは夏の風物詩と聞いているからいい。だが、今は時期が良くない。だから、せめて日暮れまでには帰りなさい」
 と、グリムの的を得た指摘に、更に幸村も。
「そうだな。こうして怖い目に何度も遭いたくないだろう? なら……出来る限り自重するべきだ」
 と言い放つ。
 ……そんなイレギュラーズ達の指摘に言い返す言葉も無いので。
『……はぁい……ごめんあさい……』
 と、頭を下げる彼ら。
 ……どうやら今回の件で、かなり心身にも疲弊を受けてしまっている模様。
 そんな彼らの状況に、茄子子が。
「うんうん。高校生だからって、あんまり夜出歩いたりしたら危ないからねー! 取りあえずみんな、安全な場所まで帰ろうか! 後は家に帰って、ちゃーんと反省するんだよ!」
 と茄子子が提案しつつ、一人一人の手を引いて、立ち上がらせる。
 そして雄斗とアーマデルが。
「んじゃー、こっちかな? 今日君達が見たのは……ま、超常現象だ。誰かに言っても構わない。ま、多分信じてもらえないだろうけどな」
「そうだな……人知の及ばない力、って訳だ。ま、知らなくて良い世界。今日の事は夢だと思って、家に帰ったら寝て、忘れろ」
 と言い放つ。
 勿論、起きた事は事実……だが……希望ヶ浜に棲まう人達からすれば、信じられない、信じたくもない事実でもある。
 それを彼らが信じ続けるかどうかは……未だ不明。
 ともあれ……無事にイレギュラーズ達は彼らと共に現実世界へと帰還するのであった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

夏休みの一時の冒険が、異世界に繋がってしまったら……そんな事件ではありましたが、皆様いかがだったでしょうか。
高校生にしては、ちょっと精神的には幼すぎたかもしれませんね……彼らが立派に成長するのを祈るばかりです。
参加いただき、ありがとうございました!

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