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シナリオ詳細

脱出☆わくわく温泉らんど!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

⚫︎
 幻想貴族が御用達の健康ランド、『エルザメーラー・マルハーダカ』への招待状がローレットに届いた。
 しかも届けに来たのはまさかの酔った貴族三人組である。
「ぶははは!! 日々サーカスの連中に天誅を下しているローレット諸兄等には感謝してもしたりんよ全くゥ!」
「私の派閥のトップも包囲に協力してはいるが、ヒック、ありゃぁトドメは刺さんからなぁ」
「君たちのおかげだぁぁあ……ぅ、ぐすんっ、妻もきっと浮かばれるだろぅぉ……(死んでない)」
 この様な調子で酒臭い息を振りまきながら、よりにもよって『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)に8枚ほどのチケットを渡して行ったのだ。
 浮かれている場合ではないかもしれないが、根を詰め過ぎても良くない。安定した依頼達成率と作戦相談を維持するには時として力を抜くのも大切である。
 ならこの機会に日帰りでも息抜きさせても良いのかもしれない。
 そう思ったユリーカは嬉々としてそのチケットをイレギュラーズにプレゼントしたのだった。
⚫︎
 そして後日、イレギュラーズ達は思い思いに、貴族しか利用していなかったような健康ランド施設を堪能して心身共に疲れを癒していた。
 種類に富んだ風呂や湯、そして回る遊泳温泉にウォータースライダー、各サウナエステに食べ放題のアイス。フルーツ牛乳。
 施設内は練達から輸入したコンピューターによるシステムで管理されているため、非常に過ごしやすい年中南国リゾートな夢の国……!
 しかし、そこで事件は起きてしまった。
「た、大変だ……! 施設の中がおかしい!」
 超高速でお湯の中で回転している貴族の悲鳴が上がり、アイスパーラーゴーレムから発射されたチョコミントまみれになった貴婦人の絶叫が施設中から上がったのだ。
 いったい、何が起きたというのか……?

⚫︎Briefing Room
 ここはサウナ室(作戦室)、通常の蒸気にアロマウォーターを混ぜた室温六十度の空間は程良い暑さと肌に潤いを与えてくれる。
 そして智慧と勇気を男達(女性も混ざっているが)に与えてくれる!
「ミッションの説明をする。
 我々は今、幻想のバルツァーレク領の郊外にある温泉街。その中でも貴族に人気のある健康温泉の園に来ている。
 状況はエルザメーラー・マルハーダカの支配人がサーカス団員によって発狂、施設内の各機能と仕掛けを作動させるという暴走行為に及んだのが顛末だ。
 現在、この温泉ランドの全シャッターと門はおろか屋上への通路も窓にすら鋼鉄の鉄格子が降りてしまっている」
 とても暑そうにしている小太りの貴族が海パン一丁の姿で施設内の見取図と共に説明を一旦区切る。
 当然のように全員を呼んでブリーフィングを行なっているがぶっちゃけ誰も知らないおっさんである。滝のような汗を流した小太りの貴族は冷静に眼鏡をくい、と上げた。
「支配人とサーカス団員達は私がボコボコにしたのだが、どうやら奴は練達製の防衛システムをメチャクチャにしたらしい。残念だがそちらを治す事は不可能だ。
 今は快適な施設内だが最悪の場合システムの暴走によって建物の内部の温度をサウナレベルにされかねない、そもそも出られないとあっては大事だ。
 そこで、ローレットのイレギュラーズ諸君も来ていたのは幸運だった……君達に他の貴族に代わって依頼する、ここから出してくれ!」
 しかし。それではどうやって脱出すればいいのだろうか。
「脱出方法は私に名案がある。
 我々の居る位置、【中央大浴場】から行けるのは【東遊泳場】と【北エステサロン】、【西第二ラウンジ】だけだ。後は隔壁のせいで上の階にすら行けない。
 だが……この【中央大浴場】にある常温水プールは外にある川から水を引き上げている仕組みでね、恐らく直線距離では最も外に近いだろう」
 小太りの貴族は再び眼鏡を上げた。

「壁を壊し……外まで掘り進むんだ、自由を掴むために!」

GMコメント

 どうやって脱出するのか……作戦はサウナ室で立てよう。ここはアロマ香るサウナ室。
 以下情報は全てイレギュラーズが知り得る情報です。

 以下情報

⚫︎依頼成功条件
 貴族を脱出させる穴を作る

●情報精度A
 小太りの貴族の言う事は間違いないそうです。

●『エルザメーラー・マルハーダカ』
 広大な敷地に造り上げられた広大な貴族達にとっての楽園。
 しかし現在は施設内のあちこちに隔壁やシャッター、鉄格子が降りている為、文字通り監獄の様な状態。
 外へ窓から助けを呼ぼうにも、貴族達のプライベートを守る目的で防音の術式と透過防止の術式がある。
 その為、外からは中の様子は一切見えないし分からないのである。
 ここからの脱出法はただ一つ……掘るのだ。
 
⚫︎脱出方法
 イレギュラーズの皆様が集まっているサウナ室は【中央大浴場】にあり、ここから移動が可能となっているのは三ヵ所のみです。
 貴族の男からの提案により本件での脱出方法はこの【中央大浴場】の角にあるプールの壁を破壊し、外を目指して掘り進める事になります。
 全力で殴る蹴る撃つ切るドーン! という具合にやってしまいましょう、何故か後ろで暇を持て余した貴族達がカクテル片手に見学していますがお気になさらず。

 設定された外までの壁耐久値をぶち抜くまでに、物理や神秘による攻撃をする度に皆様の体力やAPが減少します。
 その際、行ける範囲で施設を自由に楽しめるので好きに休んだりリラックスして疲れを癒してから壁を破壊しに行きましょう。
 尚、休息中の行動における回復値はいずれも同じ数値なので問題ありません。
 

 【東遊泳場】
 温泉が広域に張られた遊泳場。スライダーや滝、流水によって回り続ける温泉プールがあります。
 その他遊泳場でありそうな施設を思いついたら探して見るとあったりします。豪華な遊び場。

 【北エステサロン】
 プロのマッサージ師やマッサージ機各種、更に髪や髭のキューティクルコーティングといったサービスを受けられます。
 中でも貴族に人気なのはスライムバス。
 濃い魔力を含んだゼラチンローションと何処かで見たようなスライムが敷き詰められた浴場でスッキリつるつるすべすべになれます。

 【西第二ラウンジ】
 広いバーカウンターのあるラウンジです。
 ここにはアイスパーラーゴーレムというアイスクリームを自動生成するゴーレムが居ましたが、現在は暴走中です。
 物理で殴ればランダムでアイスが出て来ます。破壊して倒すとラウンジがアイスクリームに満たされる地獄と化しますのでお覚悟を。破壊を避ける場合は【不殺】の技が必要です。

⚫︎貴族達
 ぶっちゃけイレギュラーズが来てることに安心して非常にリラックスしています。
 
 以上。

 一瞬真面目に考えそうになってしまいますが、つまりリラックスして壁を壊してリラックスして壁を壊す準非戦シナリオとなります。
 是非ご参加ください、宜しくお願いしますイレギュラーズの皆様。
 ちくわブレードでした。

  • 脱出☆わくわく温泉らんど!完了
  • GM名ちくわブレード(休止中)
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2018年07月05日 21時35分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧 (8人)

セララ(p3p000273)
魔法騎士
フェスタ・カーニバル(p3p000545)
キス魔(風評被害)
雨宮 利香(p3p001254)
雨宿りの
セリカ=O=ブランフォール(p3p001548)
白衣の錬金魔導士
河津 下呂左衛門(p3p001569)
武者ガエル
ニア・ルヴァリエ(p3p004394)
君が居るから
村昌 美弥妃(p3p005148)
不運な幸運
凍李 ナキ(p3p005177)
生まれながらの亡霊

リプレイ

●壁を壊せ!!
 外もそこそこの温室の筈だが、まるで六日間くらい入っていたかのような長い時間の後では冷気にも等しい涼やかな空気がサウナ室に入り込んで来る。
 中央大浴場、温水から温泉、当然真水のプールも混ざる様々な浴場には貴族達がそれぞれ煌びやかに過ごしていた。
「まさかこんな騒ぎになるなんて……タイミング良く私達がいて良かったね! 人助けの為にも頑張ろう!」
 そんな広々とした豪奢ながらも快適な空間に、『エブリデイ・フェスティバル』フェスタ・カーニバル(p3p000545)は飛び出した。
 しかし、彼女はその足を止めて振り返る。
「と……それは、良いんだけどさ、なんでサウナで作戦会議? いい匂いするけど暑いよ? 河津さんの様子がちょっと、いやかなり心配になるよ!?」
「うむぅ、緊急事態でござるな。蒸し上がる前に脱出せねばな。美味しく料理されるわけにはいかないでござる」
 一体どちらの意味で言っているのか、『武者ガエル』河津 下呂左衛門(p3p001569)がふらつきながらサウナから出て来る。
 滝のような汗を流すその様子にフェスタも思わずあわわと近寄って近くのバケツに入っていた水をかける。
「あー、あのさ」
 『水面の瞳』ニア・ルヴァリエ(p3p004394)が小太りな貴族を引き止め、一同の視線が集まってから再び彼女は「あのさ」と続けた。
「……えーと、水着ぐらい貸し出してくれるんだよな、勿論?」

「魔法騎士セララ、マリンスタイルで華麗に参上! この聖剣に掘れぬもの無し!」
 というわけで水着を借りた。
 可憐な水着姿で胸を張ってババーンと登場した『魔法騎士』セララ(p3p000273)が自慢の二振り、聖剣ラグナロクとイチゴショートを構える。
 そして彼女の正義を、それらにありったけ乗せて、腰元まであるプールの水を撒き上げ飛沫を上げた。
「セララスペシャル! セララスペシャル!! うおー! セラスペ! うおおおー!! セララララララ!! ラー!!」
「掘るぞー! うおりゃー!!」
「死霊弓どーん!!」
 かくして水着に着替えたイレギュラーズ達はせっかくの温泉やプールを他所に、盛大にプール広場の壁を破壊する作戦を決行した。
 今回の彼等は本来、温泉ランド的な施設として貴族の間で有名な『エルザメーラー・マルハーダカ』に遊びに来ていたのである。
「折角の温泉が……これだから幻想貴族のいう事なんて信頼できないんですよ!」
 大理石のような石造りの壁が粉々に砕け、白い粉塵と礫が吹き荒れる中、『雨宿りの』雨宮 利香(p3p001254)も黒刃を全力で振るいながら嘆く。(理不尽)
 後方から『白衣の錬金魔導士』セリカ=O=ブランフォール(p3p001548)、『不運な幸運』村昌 美弥妃(p3p005148)の二人と『生まれながらの亡霊』凍李 ナキ(p3p005177)は前衛(?)である仲間の頭上を越えて遠距離魔法を次々撃ち込んでいった。
 最早誰もが全力、煌めく水飛沫が眩しい水着姿ということもあり、粉塵にまみれる女性陣の美しさに貴族達の視線が集中する。
 作戦決行開始。
 彼等の最終目的は施設から脱出する事。
 逃げ場がほぼ無い、いつ巨大殺人サウナ施設になってもおかしくない空間から逃れて外へ出る方法は一つしかない。
 外に最も近いとされ、唯一内部に金属プレートや魔術的処置のされてないプールの壁を壊す事。
 その厚さは決して薄くないが、やるしかない。
 イレギュラーズのプリズンブレイクはまだ、始まったばかり。

●楽しい温泉とかプール後のアイスの美味さ
「はぁ……はぁ……」
 どうにかAPだけでなく、体力の限界ギリギリまで粘って壁を壊すべく奮闘していたナキであったが、それでも一足先に肩で息を吐きながらプールサイドの縁に座り込んだ。
 開始数十分、流石に何人かは戦闘スタイルを切り替えたりして壁の破壊を続けていた。
「あれ、ナキは……そうか。さて、一足先に休憩にしようか。もう一つ、大事な仕事が待ってる事だしさ」
「うむ。そろそろ拙者もきつくなってきたでござる。……冷たい水が恋しい」
 ニアがナキの姿を見つけると、それとなく額の汗を拭いながら作業を中断させた。元々彼女達はブリーフィングの時から行きたい場所があったので作業休憩に入った際に行こうと決めていた。
 二人の様子に頷き、下呂左衛門もプールから上がって一息吐く。
 やはり温水に長々と浸かりながら全力はキツイのである。
 三人は他の仲間に一言伝えて、中央大浴場から出て行くのであった。

 【西第二ラウンジ】。
 そこには何故か他の貴族達の様子は無く、妙に軽快な音楽が鳴っているだけだ。
「イラッシャイマセ……お、オキャクサマ……」
 その中で出迎えたのは『アイスパーラーゴーレム』と呼ばれる、ラウンジに涼みおしゃれな一時を楽しむ者向けに作られたアイスクリームを出す機械人形。
 しかしそのゴーレムも今では豪速球でアイスを撃ち込んで来る暴走状態、ラウンジに人がいないのはこの為である。
 ちょっとバグった感じに出迎えたゴーレムに、ニア達がそれとなく近付いていく。
「こんにちはゴーレムさん!」
「コン……ニチ……?」
 いきなり元気よくナキが声をかけ、直ぐにバケツを掲げた。
「ばにらと、いちごと……フルーツ系!」
「よいしょっと!」
「い、イラッシャイマセ、バニラ、イッチゴ……!?」
 ゴーレムの腕がライフルの形状に可変した瞬間を狙って背後に回っていたニアがゴーレムの背中を蹴り飛ばした。直後、ビガガガとバグった声を出しながら三色のアイスクリームが交互に連射されたのである。
「やった、成功! えーと、オレンジのシャーベットと……ソーダのアイスキャンディーもください!」
「ていっと!」
「イアッシャイマセェェェェ……!!」
 二発、三発とゴーレムのお尻が蹴飛ばされ、元気よく注文を続けるナキに向かって次々とアイスやアイスキャンデーがミサイルの様に飛んでいく。
 ナキのバケツがあっという間に一杯になると二個目のバケツも埋まってしまった。
「出ないなら、出るまで蹴り飛ばせば良いと思ってたけど上手くいったね! はいはいゴーレムさんこっちこっち! ナキは先に戻って!」
「うん! 気をつけてねニアねえさん! えへへ、ゴーレムさんもありがとー♪」
 未だアイスを吐き出そうとするゴーレムを誘いつつナキを撤退させる。撤退ついでにナキはラウンジのカウンターからカップとスプーンを人数分抱えて退避していった。その楽し気な表情を見送る侍が一人動き出す。
「では拙者もいただこうかな、はあ……近寄るだけで涼しいでござるなゴーレム殿」
 いつの間にかゴーレムの背後を取っていた下呂左衛門がむんずとそのアイスライフルを掴み取る。
「ここは拙者に任せて先に行くでござるニア殿」
「ありがとう下呂左衛門、必ず生きて帰って来てね!」
「えっ」
 とりあえずゴーレムを組み敷きながら傍らに置いたカップへアイスを撃たせる下呂左衛門。上手く撃たせた後はそのまま……
「はぁ……これは体が冷える……」
 ……しばらくの間、そうしてゴーレムに組み付いて体を冷やし、その場を離れようとして体に抹茶アイスを連射されたのであった。

 ラウンジから三人が戻って来た。
「アイス持ってきてくれたんだ!大変だったかもだけど、わざわざありがとうー! ……んんー! あまつめたくて、シャキッとしてきたっ!これで元気回復だねっ♪」
「うんうん♪ 柑橘系のアイスもあって良かったー、美味しいねセリカちゃん!」
「ん……冷たくて美味しいデスねぇ♪ 甘くてとろけそうデス」
 プールサイドの縁に座り、ナキから配られたアイスを手に。それぞれカップに取ったアイスに笑顔を見せて汗を拭って喜んで口に運んでいた。
「実は中々食べる機会も無くてさ。美味しいって聞くし、楽しみにしてたんだ。たくさん取れたのもナキのお陰だよ。ありがとう」
 隣に座るナキに小さく微笑んで、色々な味の入ったカップにスプーンを刺すニア。
 みんなの笑顔を見たナキは静かに笑うと、バニラを一口。隣に座った抹茶アイスまみれの下呂左衛門を見て噴き出すのだった。
「あれ……そういえばセララさんと利香さんは?」

●働かざる者役得は無き物なり
 【東遊泳場】。
 広大なドームの中一面に温泉や冷水プールのアトラクションが多く見られる、貴族の中でも比較的遊泳や家族連れの層を対象として作られている。
「冷たい水で泳いで気力充填してこないとね、あそこは足元がプールだけどのぼせそうだし」
「そうねぇ、それにこうしてセララちゃんと休憩するのも良いわね」
 そんな遊泳場を飾る巨大ウォータースライダー。その頂上にセララと、作業途中から変身して艶かしくも美しい青い肌の、『夢魔』の姿となった利香が登って来た所だった。
 二人は未だ水流装置が正常に動いているのを確認すると、「一緒に滑ろうかー」などと言いながら同じコースへ──正確には利香の膝にセララがちょこんと座って──向かい。一気にその身をスライダーの管内へ躍らせた。
────ザバァァア!!
「きゃああああああああ♪♪」
 高速でぐるぐると回転しながら滑り落ちて行く中、彼女達の声が響き渡る。
 右へ、左へ、途中で勢いよく上昇して直進。
 後頭部でそれはもう大暴れしている利香の胸に、しっかり抱き締められ太腿に利香の尻尾を巻き付けられたセララが視線を上げた。
「むむー。リカのすごい大きい。何食べたらこんなになるの? サキュバスってずるい!」
「あら? うらやましいの? 私なんかにあこがれちゃだめよー? セララちゃんは良い子だもの。何って、チーズとか、悪い奴の魂とか、あとは……」
 ギュンギュン、たっゆんたゆん。
 スライダーの中できゃいきゃい楽し気な声がドップラーする最中、その異様な状況でセララが叫ぶ。
「わー! このウォータースライダー長ーい。ジェットコースターみたいだね!」
「本当に長いわね、ってなんかさっきより長く上がってるような……」
「もしかして最後なのかな?」
 背中側から猛烈な水圧で押され、セララを乗せた利香がグングン管内を上昇して行く。水飛沫もさることながら、遂にスライダーの頂点らしき所から光が見えて来る。
 そして彼女達の体は勢いそのままで空中に投げ出されたのだ。
「最後は……滝だー!?」
「ちょっ、まだ準備できてないわよ?! ってああああああ!!」
 垂直落下からのどんぶらこコースである。
 二人は一気に下の深い滝つぼのようになったプールへ落ちて、水中でグワングワンに回り転がりまくる。
 セララが水面に飛び出した。
「ぷはぁっ! ひゃっはー! いえーい!」
「ふう……すごかったわねぇ」
 水飛沫を上げる滝から離れつつ、二人は笑ってもう少し楽しむのだった。

「二刀流セララスペシャル! うりゃりゃー! アイスがある限り、ボクは無敵だー! ちぇすとー!!」
 豪快にセラスぺを連打。利香と遊泳場から戻った彼女達にと、ナキが保存しておいたアイスを持って来てくれた。
 アイスキャンデーを加えながら全力攻撃を繰り出す彼女。ちゅぽん、と半ばまで減ったアイスを口から離す。
 あたり、の文字が書いてあった。
「当たりが出たからもう一撃だー!!」
 轟、と凄まじい衝撃。壁も大理石やコンクリートのような混合物で構成された石造りの層が削れ、破壊され、いよいよ薄い鉄板や木材の層に来ていた。
 他の仲間達も作業しつつアイスを食べていると、不意にセララがその手を止めた。
 視線は邪魔臭い、足元の瓦礫。水中に沈んだそれらは明らかに前衛の作業を阻んでいた。
「ぜぇはあぜぇはあ、疲れた。んー、視線を感じる。ねぇねぇ貴族さん、見てるだけなの?」
 そしてジト目で振り向いた先にいるのは、いつの間にやらプールサイド付近にわざわざ椅子やバケツに座ってイレギュラーズの事を眺めて肴にしていた貴族達。
 その様子は手伝う気は一切ない、という間抜け顔を並べている有様であった。
「それはちょっとずるくない? 瓦礫運びとかでいいから手伝って欲しいな。早く片付いたら、その分貴族さんも含めて皆で遊べるでしょ? ね?」
「……」
 どの貴族も高みの見物。当然誰も動かないなら自分が動く道理も無し。
 むう、と唸りながらセララ達が作業に戻って行く姿を見ていた美弥妃がざばっとプールから上がった。
「休憩しながらとはいえやっぱり疲れマスねぇ」
「……?」
 濡れた髪を掬い上げ、掻き上げながら。近くでワイン片手に見ていた、若い貴族に妖しい視線を向ける。
「ちょっとしたことでもいいので手助けしてくださる方がいるといいんデスけれどぉ」
「……ぉお」
「ふむ」
 周りの男達の視線が、意識が僅かに美弥妃へと注がれる。そしてそれを見た彼女はそっと頬を伝う雫を指先で掬い……濡れたスカートの端を捲って絞る。
 その姿が果たしてどう映るのか。それほど豊満ではない肢体に首を振るのか、それとも先ほどから見ていた壁を壊しているイレギュラーズの『一面』を見たと思うのか。
 少なくとも、美弥妃の隣に真っ先に数人の貴族が素早く近寄って来たのは間違いない。
「お手伝いさせていただきましょう、お嬢さん」
「丁度体を動かしたい気分だった」
「生足ペロペロ」
「貴族様は本当に頼りになるお方デスぅ♪」
 最後の男はニアから飛んできた瓦礫にプールの底へ沈められた。
 美弥妃が喜んでる姿に続々と他の貴族達が釣られるが、彼等はこの後すぐにそれを後悔する事となる。
 なぜならイレギュラーズ女性陣にとても白い目で見られながら作業するのだから……

●エステでリラックス
 【北エステサロン】。
 一見すると清潔感のある白い通路に沢山の客室があるフロアに見えるが、その中はめくるめく美容エステに関する各種エキスパート達が待ち構えている。
 近付けばどの部屋からも女性の声が聞こえる事から、やはり貴族ともなると、どんな時でも美しさを磨く事は欠かせないのだろう。
「プロのマッサージも気になるけど、スライムバスはココにしかないよね? 行くしかないよね!」
 そんなわけで、明るいオレンジ色の花柄キュロットビキニを着たフェスタは広々とした浴槽の真ん中で座っていた。
 未だ浴槽には何も入っていないが、暫くして女性がホースのような管を持って来た。
「これからデスね」
「うん! 楽しみだね!」
 フェスタ以外にも美弥妃とセリカの二人が同じくそれぞれ水着を着て一緒に座って、係の女性の作業を見ている。これから彼女達が体験するのはエステでも人気とされるスライムバスである。
 そうこうしているといよいよ管からぶるるるんっ! と勢いよく大量のゼリーらしき物が注ぎ込まれた。
 この風呂に使用されるスライムは害の無い『フレッシュ・ブロブ』とも『スラフレ』とも呼ばれる、体の汚れや汗を吸い取り清潔にする準モンスターだった。
「ひゃあっ!」
「おぉ、おー。なんか、こう、なんだろ? 包まれてる感じ? いや、スライムさんとかには包まれてるのだけども?」
 勿論、スライム以外にも美容に良い液体やゼリーは混ざっている。だがそれらを肌にスライムが汚れを吸収する際に浸透させ、まさにすべすべにしてくれるのだ。
 慣れないうちは全身を這う感覚に不快感が勝るかもしれないが……
「不思議な感覚すぎて、ちょっと混乱するけど気持ちいいね! お肌もビックリするくらいにつるすべだ!?」
「ふわぁ……いろいろほぐされちゃいそうなここちよさだよ……」
「ウフフ、これは面白いデスねぇー!」
 首元まで浸かって感触を楽しむ事が出来たのは良い事なのだろう。
 首筋を吸われたかと思えば指先を、時折跳ね飛んだスライムが額の汚れを、水着を引っ張ろうとするくらい吸着している。
 くすぐったくも柔らかなマッサージに三人娘はうとうとしたり、驚きながらその美容効果に感激の声を挙げて楽しんでいた。
「はひゃあっ!? そこで動いたらいろいろたいへんだからー!?」
「大丈夫デスかぁ……?」
 顔を真っ赤にしてビクゥッ! と背中を反らして叫んだセリカに思わず美弥妃が小首を傾げる。
 対するセリカは顔を赤くしたまま頷き、少し考えてからまた首まで浸かりまたウトウト。

 この後数十分、全員ヘトヘトになるくらい同じ悲鳴を出したりと、それぞれおしゃべりしながら楽しんだのだった。

●マルハーダカ・ブレイク
「マギシュート! マギシュート!!」
 何故か声が上擦ったまま、セリカの魔法が飛んでいく。その顔が赤いのはスライムの余韻だけではない。
 作業を開始して数時間、ついに施設内の温度が無視できないほどに上昇を始めていたのだ。
「はあ……はあ……!」
 いつしか、彼女達の周りには大勢の貴族の男達が瓦礫を除去するだけでなく、その手で鉄パイプを振り下ろして壁を破壊しようとしていた。
 全員が額に汗を浮かべ、互いを励まし、時に休んで壁を壊そうとする。
 小太りの貴族に至っては脂ぎった体を壁に叩き付けている。
 そんな中、ほぼノンストップで壁を削り続ける者達……イレギュラーズの姿が熱気と共に揺れた。

「はぁ、はぁ、うおおっりゃーー!!」
 フェスタが赤と蒼の刃で壁を穿ち、他の仲間が脆くなった壁を打ち、その向こう側まで突き破る……!!
 そして────遂に最後の層を貫いた彼等は夜明けの空を迎えた。

 

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 後日、小太りな貴族が色々責任を取らされたのは仕方ない。
 お疲れ様でしたイレギュラーズの皆様。
 素敵なひとときと同時に、その最後はちょっぴり暑い思いをしましたが、なんと美弥妃様のおかげで若い貴族達に誘われ改めて遊んでから帰る事が出来ました。
 その後、疲れた体を癒すべくどう過ごしたのかは……皆様がきっとよくご存知なのでしょう。

 それではまた、良い機会をお待ちしております。

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