PandoraPartyProject

シナリオ詳細

ファブニル城へようこそ!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 拠点をGETしようと黒狼隊の面々でR.O.Oを探索したのは初ログインの日の出来事であった。
 伝承王国のマップを確認し、目指したのは廃砦アルテア・フォート。その近くにバグで出来上がった古城が存在した。
 例えば、白銀の騎士ストームナイト (p3x005012)の『中の人』に言わせれば『ファンタジーの最高のロケーション! かっけー!』である。
 古城に絡み付いた蔦を払いのけ、重苦しい扉を開く。広間(ホール)と客間一室程度の掃討は行ったがモンスターハウスである事には違いが無いらしい。其れ等も壁紙から何までしっかりと揃える必要がある。リュティス (p3x007926)一人では居住空間の整頓は難しいだろう。
「――と、言うわけでそろそろファブニル城の探索を初めて行こうと思う。
 しっかりと探索を行い、拠点として整備してハウジングを行っていかねばならないが先ずはこの古城の掃討作戦からだ」
 適当な場所から拾ってきた『みかん箱』と書かれた巨大な段ボールをテーブル代わりにして居たベネディクト・ファブニル (p3x008160)は堂々と言った。因みに本日は人間のアバターである。
「はい。ご主人様。清掃ならばこのリュティスにお任せ下さい」
「その清掃って言葉に少し含みがあるのは気のせいかのう?」
 清掃(いのちをきれいに)とはこのメイドの前ではどの様な言葉なのだろうか。無表情でしれっと言い放ったリュティスの横顔を眺めて居た『大人でないすばでぃ』なアカツキ (p3x008034)は蜜柑箱の上に適当に拾い上げた石ころを乗せた。
「こうした石ころが居住区域に落ちているのも些か居心地が悪い。さっさと住み心地の良い城にしなくてはならぬのじゃが……じゃが……」
「アカツキ、どうかしたのか?」
 蜜柑箱の上に石ころを拾い上げたリュカ・ファブニル (p3x007268)の問い掛けにアカツキの視線がしっかりと施錠された扉に向けられた。
「さっきからドンドンいっておらんかのう?」
「ふむ! ふむふむ、あの扉が気になるのか。仕方あるまい、この白銀の騎士ストーーームナイトが説明しよう!
 この古城はモンスターハウスだ。それは驚天動地の出来事が待ち受けているらしい。つまり、あの扉を開け放てば古城のモンスターと出会うこととなる!」
 堂々と、そして武器を構えて案内役のように話すストームナイトにリュカは「そうだな」と頷いた。
 彼等がログイン当初に拠点探しで訪れたこの城は古城と言う呼び名を欲しいままにしていた。それは荒廃しきった古城だったのだ。そもバグで発生した拠点であるのは確かだ。故に誰の許可無くともこの城を自身らの拠点とすることを決められたのだが、バグで発生したならば内部にも本来ならばこのエリアには居ないであろうモンスターが溢れかえっていることになる。
「うーん、先ずは探索を行って……このお城って3F建てくらいかな? 今居る部分から更に広いよね。
 厨房とかあるだろうし、客間もまだ多いだろうし……あ、ベネディクトさんの執務室になる部屋もあるかもね!?」
 どのような場所があるだろうかと想像するだけで現場・ネイコ (p3x008689)の口元が緩む。楽しみだと微笑んだ彼女に厳かに頷いた神様 (p3x000808)は「そうだね、ネイコちゃん」と微笑んだ。
「かみだよ。いつもみてるよ。
 まあ、神様も神様してるだけじゃあね、森羅万象も痺れを切らしたワケでして。唯一神として城の攻略手伝っちゃおっかな~?」
 神然とした存在であった『神様』も気付けば随分とフランクな様子である。そんなゴッドの言葉に頷いたのは勧善懲悪超絶美少女姫天使ことひめにゃこ (p3x008456)であった。
「ははーん! 成程、ここがひめの城ですね! いやー、皆の衆、よくぞひめの為の城を用意してくれました!」
 にんまりと微笑んだひめにゃこにリュティスは「それでは、ひめにゃこ様、あの扉を開いて頂いても?」と適当に施錠された扉を指さした。
「構いませんよ! いやー、ひめの城! さて、さて、奥はどんな感ジィッ!?」
 ――ひめにゃこの姿が突如として掻き消える。
「ひえ?」と呟いたネイコが首を傾げ、神の威風を身に付けた神が浮かび上がりながらひめにゃこが立っていた位置まで辿り着き下を指した。
「穴だわ」
「穴……?」
 そろそろと近付いたストームナイトが「マジか」と小さな声で呟いた。同じく覗き込むリュカは「おい、ひめにゃこ」と呼び掛ける。

「なーーーーんですかあああああああ!?」

「生きてるな」
「生きてるのですか、この穴に落ちて」
 愕然としたリュティスにベネディクトとリュカは顔を見合わせて笑う。
「おい、ひめにゃこ。取り敢えず迎えに行くからお前も適当に昇ってこーい」

「わかりましたああああああ!!」

 ――聞こえるんだ。
 アカツキはこほんと咳払いをして「ならば、黒狼隊のクエストを発表するのじゃぞ!」とベネディクトを振り返る。
「オーダー、ひめにゃこの確保だ。各自、探索しながら地下牢を目指そう」

GMコメント

 リクエスト有難うございます。わいわいしましょうね!

●クエストオーダー
 ひめにゃこさんの確保

●ファブニル城(仮)
 黒狼隊が拠点とすることに決めて探索しているR.O.Oの古城です。モンスターハウスです。
  ホールと客間に居ればモンスターにエンカウントする事はなさそうだが、一歩踏み入れれば突然デスカウントが増えかねない勢いでぞろぞろと存在して居ます。
 攻略が完了した場所にはモンスターが入り込んでこないのは流石はゲーム。登場エリアが決まっているかのようなモンスター達は、一定の範囲からは入り込むことはないようです。
 最奥に何か潜んでいるのではないか。お宝が存在して居るかも。そんな噂もあるが事実は不明の儘。
 奥に関しては此れからの攻略で『見えてくる』ものもあるでしょう。
 つまり「こんなものがありそう!」といったトラップは沢山出てきますし、以下のようなトラップもあります。

 ・踏むと勢いよく湧き続けるモンスター
 ・突然転がってくる岩
 ・入り口へと強制的に転移する転移陣
 ・ミミック

 その他にこんなのが欲しいというオーダーはお気軽に。わいわい楽しく探索しましょう。
 皆さんの拠点作りですので『こう言う場所を先に確保するぞ!』と頑張って見るのも良いと思います(例:厨房など)

 また、目指す先は『地下牢』となります。
 ひめにゃこさんは地下牢にINしており、自力で牢から抜け出すことも出来ますがモンスターハウスですので一人でモンスターと出会うことになります。
 牢で籠城してもOKです。牢の外からモンスターが手をばしばし伸ばしてこっちに来いって行ってるような……。
 どうやら、この古城はダンジョンのようで『デスカウント』が増えてもリスポーンできそうです。どうしてかひめにゃこさんは何度リスポーンしても地下牢からの再開です。

●ROOとは
 練達三塔主の『Project:IDEA』の産物で練達ネットワーク上に構築された疑似世界をR.O.O(Rapid Origin Online)と呼びます。
 練達の悲願を達成する為、混沌世界の『法則』を研究すべく作られた仮想環境ではありますが、原因不明のエラーにより暴走。情報の自己増殖が発生し、まるでゲームのような世界を構築しています。
 R.O.O内の作りは混沌の現実に似ていますが、旅人たちの世界の風景や人物、既に亡き人物が存在する等、世界のルールを部分的に外れた事象も観測されるようです。
 練達三塔主より依頼を受けたローレット・イレギュラーズはこの疑似世界で活動するためログイン装置を介してこの世界に介入。
 自分専用の『アバター』を作って活動し、閉じ込められた人々の救出や『ゲームクリア』を目指します。
特設ページ:https://rev1.reversion.jp/page/RapidOriginOnline

※重要な備考『デスカウント』
 R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
 現時点においてアバターではないキャラクターに影響はありません。

  • ファブニル城へようこそ!完了
  • GM名夏あかね
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年08月30日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費---RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

神様(p3x000808)
R.O.Oの
白銀の騎士ストームナイト(p3x005012)
闇祓う一陣の風
リュカ・ファブニル(p3x007268)
運命砕
リュティス(p3x007926)
黒狼の従者
アカツキ(p3x008034)
100年後の姿?
ベネディクト・ファブニル(p3x008160)
災禍の竜血
ひめにゃこ(p3x008456)
勧善懲悪超絶美少女姫天使
現場・ネイコ(p3x008689)
ご安全に!プリンセス

リプレイ


 最早、『勧善懲悪超絶美少女姫天使』ひめにゃこ(p3x008456)の出落ち罠に関して黒狼隊は驚愕することは無かった――慣れきっているのだろうか。

「うんうん。黒狼隊としてはやっぱ拠点欲しかったし、城ってのは中々趣あって良いじゃんね。
 手垢付きまくりの中古城ならまだしも、ガッチガチの魔物の巣な訳だけども分捕っちゃえばこっちのモンだわ」
 中々良い造りをして居ると床面を靴でこんこんと叩いた 『R.O.Oの』神様(p3x000808)はひめにゃこが落ちていった穴を眺めてながら、城の様子を見回していた。
「城獲りは流石に未経験なワケで、良いじゃん 久々燃えてきた。
 ――いざ征かん! 我等が城の手入れしに!」

「良い感じのスタート切ってますけど、ひめのこと忘れてませんか――――――!?」
 地下からひめにゃこの声が響く。どうやら無事らしい。無事と云うより、凄まじく元気そうだ。

「えっと……うん、初っ端から穴に見事に落ちた上に無事な辺り、こっちでもひめにゃこさんはひめにゃこしてるよね?」
『ひめにゃこ』しちゃっているひめにゃこの事を考えて『ご安全に!プリンセス』現場・ネイコ(p3x008689)は頬を掻いた。
「兎も角っ! オーダーはひめにゃこさんの確保と生活圏の確保!
 向かう先はモンスターの他にも危険はいっぱいだろうし、気合を入れて頑張っていこう!」
 気合いを入れなくてはならない事態であると『蒼竜』ベネディクト・ファブニル(p3x008160)は頷いた。これから城の探索だと云うのにパーティーメンバーが一人、穴に落ちていった。こうした罠があるのを知れただけ良かったか、それとも。そう思いながらもベネディクトは『ひめにゃこだから納得できる』などと考えていたのだった。
「流石に長い間放っておく訳にもいかない、可能な限り早く助け出そう」
「放って置いても自分で何とかなりそうな気はするけどよ。何とかしたら何とかしたでアイツどっかでサボりやがるからな。
 とっとと逃げられねえように捕まえにいった方が得だろ。……いや、助けにいくんだったか? ま、どっちもそう変わらねえよな」
 ある意味でひめにゃこの扱いに慣れている『赤龍』リュカ・ファブニル(p3x007268)はそう呟いた。
 サボる事は許しませんけれどね、と低く囁いた『黒狼の従者』リュティス(p3x007926)の声音は冷え切っている。
「この高さから落ちたのに無事ですか。相変わらず頑丈ですね。
 時間が勿体ないですが、仕方ないのでひめにゃこ様の救出に向かいましょう――ええ、仕方ないので」

「はぁー!? 今何て言いました、鬼メイドめ! というか、騙しやがりましたねコンチクショウ!
 この依頼のタイトルもひめにゃこ城へようこそ! じゃないの変ですよね!?
 きっと鬼メイドに脅されたんですね! 許せない! 今度屋敷にポメ太郎の群れを放ってやります! 抜け毛掃除地獄に苦しめ!」

「……」
 リュティスは穴の奥底から聞こえてくるひめにゃこの叫び声をただ、静かに聞いていた。その横顔が恐ろしいのは確かだが、『闇祓う一陣の風』白銀の騎士ストームナイト(p3x005012)はそれどころでは無かった。
 そう、ストームナイトさんは今、興奮していたのである。因みに、中の人を悟られないようにカッコイイ女性を演じているストームナイトさんは、兎にも角にも素晴らしい騎士なのだ。
(拠点! 前線基地! 城! 燃える、燃えるなあ! 最高にかっけー! 何としてもこの城を、オレらのものにしてやる!
 あー、オレの部屋は見晴らしのいい上層のほうがいいなー。ベッドや調度品も運び込もうっと。すっげー楽しみ!)
 ――何てことを、ストームナイトさんは思わないのである! 何せ、ストームナイトさんはカッコイイ騎士なのだから。
(しかしまあ、しにゃこは相変わらず騒がしいなあ。……ま、そんなに心配はしてないけどな。生き汚さはピカイチだし、ある意味能力的には信頼してる。でもま、ほっときっぱなしは可哀そうだ。とっとと確保して本来の目的を果たすとすっか)
 其処まで考えてから、ストームナイトはピンッと来たのだった。
(……ん? 待てよ。 しにゃこ、いや姫が囚われたモンスター蔓延る古城。その姫を救出せんとする騎士。……いいな)
 穴を覗き込み、ストームナイトは素晴らしいイケメンスマイルを浮かべた。イケメン騎士ならばこうするという先入観で作ったポーズも忘れてはいない。
「ンンッ ゴホンッ……にゃこ姫! どうかしばしの間お耐えください!
 白銀の騎士ストームナイトが、幾多の魔物を斬り払い、必ずお迎えに参ります! ――よーし行くぞ―皆の衆!! はーーっはっはっは!!」
 ――地下でひめにゃこが「今、ひめ扱いされた気がしないんですけど?」と呟いたのだった。


「ふっふっふ、探索と来たらこのマッパーアカツキの出番じゃな。行く先々の迷宮を地図に記した手管の数々、見せてやろうではないか!
 ついでにひめにゃこも救出するとしよう、流石に牢屋はちょっぴり可哀相じゃ。まあ、何だかんだ自分から元気に逃げてくる気もしてるのじゃが……」
 先程までの様子を見ても元気すぎて驚いたのだと『100年後の姿?』アカツキ(p3x008034)は呟いた。
 ベネディクトは危険物の捜索をし、モンスターがいないかを警戒しながら進もうと念には念を入れる。早く合流してひめにゃこを安心させてやらねばならないという優しい主人にリュティスはご主人様が望むからひめにゃこを助けに向かっているのだと認識を改めたのだった。
「ひめにゃこが居るのは地下だったか。地下に向かえそうな場所はあったか?」
「どうでしょうか。地下牢までは距離がありますしね……」
 どうにも、深い穴であったとリュティスは呟いた。

 ――時を遡り、威風でひめにゃこピック出来そうならばしよう、と。神様はそう考えた。
「けどもそうは問屋が下ろしますか? 何にせよ急ぎ助けてあげましょね。
 無理はせんとこ……にゃこは罠踏み慣れてるし、ダメだとしても大丈夫か。僕が行くまで死ぬんじゃないぞ~」
「助けに行くから姫なら姫らしくしててね、ひめにゃこさんっ!
 ひめにゃこさんとか自分で姫とか何とか言うのにやってるのはなんていうか……うん、アレだし……」
 ネイコの呟きに不服そうにひめにゃこの声が響き渡る。モンスターも仰天の声量である。
「―――――ちょっとおおおおおおおおお!?」
 遠く聞こえた叫び声に待っていてねと手を振って、一行はその扉以外からスタートしたのだった。

「ところで妾、色んな施設がありそうな城と聞いてきたのじゃが、勿論あると信じておるぞ……そう、妾の為のファイヤー部屋が!!」
「ファイヤー部屋、だと……?」
 驚愕するストームナイトにアカツキはうっとりしたように笑みを零す。
「テラスとかで焚火しても怒られぬ夢のような部屋なのじゃ。ついでにキャンプファイヤー用の台座とかあると嬉しいのじゃ。
 あ、ついでに厨房もお願いしたいのじゃ。火の管理は妾の仕事みたいなところ、あるじゃろ?
 暖炉のある休憩室とかもあれば最高じゃな、ぼんやりと揺れる炎に癒されながら読書するのじゃ――考えるだけでテンション上がってきたぞ!」
(成程、自分専用の部屋カスタム。いや、テンション上がるなそれ!!)
 夢のようなハウジングを考えてうっとりとするアカツキとストームナイトを一瞥してからネイコは身構える。
 ふんわりと地面から浮いて進むネイコはモンスターの襲撃を察知して、流れるような動作で注意を惹き付けた。
「こいつらどこにいたんだよって数だな」
 小さく笑うリュカは仲間達に罠を任せながらモンスターを倒し続ける。それにしても、だ。
「踏んだら爆発する床だの、電気が走る床だの、この城作ったやつの殺意高えなオイ!
 くそ! あとで虱潰しに罠も潰さねえと安心して歩く事も出来ねえな! 一番腹たったのは頭の上にタライを落としてくるやつだ! ふざけやがって!」
 頭に盥をカーンと落されるリュカ・ファブニル。そんな面白光景にベネディクトはふ、と笑う。
「それにしても急に爆発する床があったり、槍が降ってきたりと変わった所ではありますね。
 周囲が壊れない辺りよくできているとは思いますが……侵入者撃退用なのでしょうか?」
「ああ、そうだろうな」
 穏やかな黒狼主従はのんびりと罠を熟している感覚なのだろう。どうやら探索は滞りはなく、
「まぁまお帰りいただきまして!」
 神様も何時も通りの戦いを楽しんでいた。モンスター退治は中々骨が折れるが、それでも皆と一緒ならば愉快そのものだ。
「あ」
 かくん、と足が引っかかった感覚にストームナイトが仰け反った。勢いよく水が溢れ出すが、全員何事も無かったように罠を避け――
「水がにゃこの部屋に流れていく……あ」
 神様はその手が何かに触れたことに気付いた。其の儘動かずに居れば、足下をじわじわとマグマが流れていく。
「また、にゃこの部屋に……」
 全部の罠をひめにゃこがエンカウントしている可能性がある。致命的に危険ならば助けるつもりではある、ひめにゃことて女子だ。だが、ギャグキャラ補正が働いている内は見逃しておこうではないか。
「ストームナイトには再生能力がある。こういうときにダメージ引き受けるにはうってつけだろう。
 フッ、どのような敵も罠も、姫を救うと誓った騎士の心を折ることはできぬ!!」
 堂々と微笑んだストームナイト。ずんずんと進みながら姫の為にえんやこら。

 ――だがしかし、ああ、なんということでしょう。騎士の心を折るのは魔物でも罠でもなかったのです。

「べー君……ではなくこほん。まあ妾も大人のれでーになったことじゃし?
 ベネディクト、とかしこまって呼んでみるかのう……うむ、何だか気恥ずかしい気もするが。
 ともあれ灯りは任せておくがよい、こちらでもまあ、多分いけるじゃろ。地図かいて~灯りをともして~っと」
 アカツキは植えに往きたいが、取り敢えずはひめにゃこの確保だとアカツキはずんずんと進む。
「おっ、何やら罠の香り……じゃがこれは火吹き罠的なあれじゃな!? 妾に突っ込めと言われておる気がするのじゃ! ほれストームナイト! 一緒にゴーゴーなのじゃ!!」
 ストームナイトの腕を掴み、勢いよく飛び込めば、火矢は壁へと激突し、地下へと通じる隠し通路の扉が開いた。その奥より聞き覚えのある声が聞こえるではないか。
「ひめにゃこ、居るか? 何処に居る?」
 見えないかと呟くベネディクトにアカツキは「任せるのじゃ!」と焔を灯し――見覚えのある桃色が浮かび上がった。
「まぁ騒いでも仕方ないですね。せっかくの姫シチュですし。ごろ寝しながら待ちますかー。
 ってアレ? 部屋の端に見えるピカピカの箱はもしかして……ククク、やっぱ日頃の行いがいいからなー!
 さぁ、皆さんが来る前にこの宝を独り占めしちゃいましょう! かぱっとなー!」
 ひめにゃこがにんまり笑顔で宝箱を開こうとして――覗いたのは牙であった。その一部始終をリュティスが冷めきった瞳で見詰めているのをひめにゃこは知らない。
「うおおおミミックだああーー! 助けてー!! って、この鬼メイド! 見てないで助けて下さいよ!」
「ご主人様。助ける理由がありますか? ミミックもお腹を減らしているようですが」
 さらりと告げるリュティスにベネディクトは首を振った。それでも、仲間なのだと憂う眸がひめにゃこを見詰めて居る。
「ひめええええ!?」
 自らミミックの中に頭を齧られている姫を姫と呼んで良いのかとストームナイトは自問自答したのだった。
「まったく皆さんが早く助けに来ないから酷い目にあったんですけど!?」
「つーかお前めちゃくちゃ元気だな?もうちょっと後回しにしたほうがちょうど良かったかもな」
 リュカの呟きに激しい同意をしたリュティスは真顔なのであった。


「さぁ、気を取り直してひめのゴージャスルームを探しに行きましょう!」
 部屋を探して、居住区を整えるのも重要なミッションだと胸を張ったひめにゃこにリュティスはああ、と頷いた。
「そうそうひめにゃこ様の部屋も用意しないといけませんね。ダンボールで作れば良いでしょうか?「ちょ」
 お任せ下さい、姫様にお似合いな快適な空間を作ってみせましょう。これでは気に入りませんか?「まっ、」
 ……あぁ、名前を書いていませんでしたね。ひめにゃこの部屋、これで良いですか?」
 流れるように――寧ろ、ひめにゃこの意見を挟まぬスピードで何かを言いかける度にリュティスはさっさと段ボールハウスを用意した。
「このダンボール? ポメ太郎の小屋ですか? いやこれは姫の部屋じゃないでしょ。火を放ったら一瞬じゃないですか!」
「む? 火じゃと?」
 アカツキが反応した。屹度、ひめにゃこハウス(ダンボール)とアカツキを同じ室内に置いておけば、翌日には部屋は消え失せているだろう。
「いえ、ひめにゃこ様のお部屋よりも必要なものがあります。厨房、洗濯場、食堂、浴室などの生活に必要な場所を抑えにいきましょう。後はラウンジや個室でしょうか?」
 モンスターを撃退しても掃除などで中々骨が折れそうだと呟くリュティスへとリュカは「あー」と頬を掻いた。
「この前ベネディクトと参加した依頼で行くところなくなった使用人を抱えたんだよな。その使用人達の部屋は最低限確保してえな。
 ……いつまでも部屋なしって訳にゃいかねえからな。つーわけだからちょっと付き合えよリュティス。お前の同僚だか部下だかになるんだからよ」
 居心地の良い部屋で無くては、『くそセクハラ貴族』から逃げた先がブラック企業などと笑い話にもならず、プライドも許さない。
「この城は俺達だけで管理するには広すぎる。リュカの言う通り、面倒を見てやってくれるか。リュティス」
「はい。きっちり仕事をして下さる方は歓迎です。満足して頂ける部屋を用意しましょう」
「含みありません?」
 問うたひめにゃこにネイコがくすくすと笑う。
「ほらほら、どうせ私達が来るまでダラダラしてたんでしょ? その分ここからは頑張ってもらうんだからっ! まず何から見つける?」
「見つけなくっちゃよ? 女性のはだk 水着姿の映える部屋をよぉッ!」
 凄いことを言いかけた神様であった。ネイコが白い目で見ているが、気にしていても仕方は無い!
「暗い城とか今時流行んね~って ミラーボールでも設置するかい?」
「ギラギラだね?」
 休憩半分で話を聞いていたネイコに神様は「いいでしょ」とウインクを1つ。素晴らしい部屋を確保できたら女性の連れ込みだって――多分、きっとね。
「部屋の確保を粗方終わらせて、掃除などの管理は後程にしましょう」
 リュティスの提案にネイコが「OK」と返す。リュカもその方が有り難いと肩を竦めた。一先ず使用人達の居住部屋だけは急ぎで家具類も整えなくてはならないが他の部屋は追って準備でも良いだろう。
 神様のミラーボールルームや、ストームナイトの居室、そしてアカツキの『炎の部屋』のハウジングも楽しみである。
 ネイコは皆が気に入る部屋があると良いよね、と微笑んでアカツキがマッピングしている間取りを眺めた。
「ねえ、この部屋の位置的に、使用人の部屋って此処が良くないかな?」
 出来るだけ安全な場所を選んでやろうと提案するネイコの背後から覗き込んで神様は「いいね」とフランクな同意を示す。
 リュカとベネディクトも確認し「良さそうだな。家具も選ぼう」「好きなの選ばせてやるか?」と『モディーロ』の元から救済した使用人達の事を思い浮かべる。
 使用人も複数存在する城。ますます、素晴らしい場所になりそうだとストームナイトのテンションは(内心)でアップしていた。
 だが――
「使用人ですか!? いいですねえ、ひめの使用人ですね!
 お、見て下さい。地図で……ほら、ここ! 良さげな部屋があるじゃないですか!」
 るんるんで走り出すひめにゃこをネイコは慌てて追いかけた。この時点で、神様とリュカは何が起こるのかを察している。
 ストームナイトの心を折る程の奔放姫様は勢いよく扉を開き、室内をまじまじと見遣る。バルコニーがある可愛らしい部屋だ。見晴らしも良い。
 無言でその様子を見ていたリュティスは何も言わなかった。ベネディクトが止めに入ろうとする仕草に首を振るほどに、何も言うことはない。
 アカツキは「ベー君……違った、ベネディクト。これから何が起こるのじゃ?」とそろそろと囁き、彼が答える前に事は動いた。
「……罠っぽいスイッチが大量にある以外はな! 全部自分で解除すればひめのモノ!?」
「って言うか、ゲームだけあって罠もホントに何でもありだね! 死んで覚えろ寧ろ死ねって言うような感じだよ!?」
 ネイコが「少しだけ待った方が!」と叫ぶその前に、ひめにゃこは飛び込んだのだった。
「うぐぐ、デスカウントがなんぼのもんじゃーい! 別にいくら死のうとゲームですし! 姫可愛部屋の為! ぎゃああー!」
 ――ひめにゃこ、此処に眠る……。

 ファブニル城(仮)改め、『ひめにゃ城』はまだまだ整備に時間が掛りそうなのである。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

ひめにゃこ(p3x008456)[死亡×2]
勧善懲悪超絶美少女姫天使

あとがき

 リクエスト有難う御座いました!
 ひめ虐リクエストで思わず笑顔になりました。ひめにゃこちゃんは、可愛いねえ。罠。

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