PandoraPartyProject

シナリオ詳細

綺麗なシーツは滲みやすく

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●食材ですよツルギさん
「……食材調達の依頼、ですか?」
「ああ。私はあまり君の働きには詳しくないのだが、以前『鋼鉄』の北方で色々あったのだろう? あの、シャドーレギオンの一件より前の話だ。あの時の君の働きを評価していたあの地方の者達からいつの間にか噂が広がっていたようでな」
 『殉教者』九重ツルギ (p3x007105)は、『鋼鉄』の酒場で『覆面鉄人』ドムラ・ミンミン (p3y000097)が表示したクエストのポップアップを眺めていた。
 依頼者は鋼鉄のちょっと北西に行った辺り、食物の流通がやや細っている山岳地帯。
 その辺りには、それはそれは外見がアレなのにとても美味しい生物がちょくちょく出現するらしい。コレに関しては地元住民も知ってはいるが懐疑的で、ここ数年は見ていないので生き残ってるのかも怪しい……そんな趣旨の話をしている。
 そいつを食って食料の供給不足を凌いでいるのかというとそんなことはなく、そもそも捕まらないので実態がわからない、なので食べて絶滅させたわけではない……の、だそうだ。
「なんというか、随分と雲をつかむような話ですね。本当にいるんですか、そういうのが?」
「噂の範囲ではな。だが、一応何年かごとに目撃情報はあるし、そもそも生活実態は掴めているらしい。それでも見つからないのは、類まれなすばしっこさからくるらしい」
「なるほど」
 すばしっこくて、『実は』美味しくて、そして山の中にいる。ツルギは一瞬、嫌な予感に思い当たった。
「それ、『実はエビの味がする』とかそういう要素は……」
「ないな。主に河原に生息するらしいから、多分両生類の類だと思うのだが……その場合もゲテモノが多かろう?」
 ドムラの言葉に、ツルギは胸をなでおろしてコンソールの『依頼受領』ボタンに指を伸ばした。
 ……そして、彼が山岳地帯でアクセスファンタズムを使った時、来るんじゃなかったと思うことになるとは想像もできなかった。

●両生類、っちゃそうなんだけどさ……。
「ナンデスカコレハ」
「……? 何が見えたんだ?」
「物凄く長いぬめぬめして節くれだった足を折り曲げ、ジャンプしながら苔むした粘液を滴らせてあちこち飛び回る……サンショウウオとバッタの間の子みたいな……」
「カエルとは違うのか?」
「前肢後肢どちらもあんな曲がり方で異形なカエルがいたら学会モノだと想いますけれど、ここは『ネクスト』でしたね!」
「だが、噂だとその粘液も美味だそうだが……」
「え、俺が料理擦るのですか?!」
「そういう依頼なんだ」

GMコメント

 リクエストありがとうございます。
 安心して下さい、戦闘「も」ありますよ!

●成功条件
・ヤマスベリヌメヌメウオ(略称自由)を探し出して捕獲し、美味しく料理する

●シナリオ概要
 Step1:捜索
 Step2:戦闘(捕獲・討伐)(ここまで山岳内河川域)
 Step3:調理・実食(村での行動になります)

●Step1:捜索
 ツルギさんのアクセスファンタズムで得た情報を共有した上で捜索します。
 捜索系のスキルなどをお持ちの方は特に役に立つでしょう。あとは、大きな音は苦手のようですね。
 他、創意工夫はプレイングボーナス対象です。いろいろやってみましょう。

●Step2:戦闘
 戦場は河川のため、急な増水とか飛び石での不安定な足場が予想されます。
 ヤマスベリヌメヌメウオは粘液を撒き散らし足場を悪くするほか、飛散した粘液には『業炎』『不運』などのBSが追加されています。麻辣味……ッッ。
 攻撃は長い舌、節くれだった前肢、ジャンプによる粘液撒き散らしなど。
 ……なんでか知りませんが紳士的な振る舞いをする相手を目の敵にしやすいそうです。

●Step3:調理
 村で依頼人達に振る舞います。自分達も食べて大丈夫です。
 なお肉・皮・粘液などどれも加工すれば可食用だそうですが、調理法などは明示されておりません。
 いろいろタメそう。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • 綺麗なシーツは滲みやすく完了
  • GM名ふみの
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年08月23日 22時35分
  • 参加人数8/8人
  • 相談8日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ジオ(p3x002157)
大型
Teth=Steiner(p3x002831)
Lightning-Magus
九重ツルギ(p3x007105)
殉教者
※参加確定済み※
きうりん(p3x008356)
雑草魂
イズル(p3x008599)
夜告鳥の幻影
ビャクダン(p3x008813)
複羽金剛
アマト(p3x009185)
うさぎははねる
ルージュ(p3x009532)
絶対妹黙示録

リプレイ

●幻影を追う
「ヤマ……何て?」
「ヤマヌメリスベスベ……ヤマスベリヌメヌメ……? もういいわ、ヤマヌメでいいでしょう。ツルギさんが特殊なヘキなのは知ってたけど……」
 『複羽金剛』ビャクダン(p3x008813)と『夜告鳥の幻影』イズル(p3x008599)は、改めてヤマスベリヌメヌメウオ(以下ヤマヌメ)の名前に首をひねった。イズルなどは、『殉教者』九重ツルギ(p3x007105)の常識にまで誤解を招くような事をいいだした。
「待ってくださいイズルさん、俺が率先して奇食に走ったみたいな言い方ですが誤解ですからね!?」
「実は美味いゲテモノ、というのはリアルでも良くある事だけれど、粘液まで美味い、というのは聞いたことがないぽん」
「ツルギが探索の頼りだ、よろしくな!」
 『8月中は公約たぬき期間』Teth=Steiner(p3x002831)は不思議な語尾を交えつつ首を捻る。ゲテモノこそ美味いのは水棲生物によくある話だが、粘液は普通食べられたものではない……はずだ。『絶対妹黙示録』ルージュ(p3x009532)はそんなことは脇において、打楽器を用意して元気いっぱいにツルギに訴えかけた。
「どんな感じなのかしらねぇ……虫なのかカエルなのか。紳士的な振る舞いって、気遣いとかかしら……?」
「ゲテモノだろうがバケモノだろうが、きうりぱわーは無限大だよ! まっててねヤマヌメ! 私が美味しくしてあげるからね!!」
「この世界でも、ひまなみたいに見たことがない生き物をつかまえて食べるだなんて、わくわくします」
 『大型』ジオ(p3x002157)はソーセージ袋と釣り竿を手に、女性陣に手を貸すなどして紳士的な振る舞いに努めていた。成程、仕草を徹底してれば自然と集まるというアレか。『開墾魂!』きうりん(p3x008356)は既に自然に対して積極的に語りかけ、「こっちにそれっぽいのいる気がする!」と仲間達を引っ張っている。当然、ツルギの能力との兼ね合いなので適当は言っていない。こういう時、彼女は計算高いのだ。
 『うさぎははねる』アマト(p3x009185)は過去の混沌での出来事を思い出し、全くの未知の生物について思いを馳せる。知らないものが、食べられると確定していて、その驚きと興味を共有できる。それはこの段階からすでに「おいしい」話なのではないかと実感する。
「大きな音が嫌いなら、音を立てて追い立てれば見つかるかな? おれが音を鳴らしてくから周囲の動くものの確認はよろしくなー」
「いい考えっすね。あっしも水音とかを立ててできるだけ騒いでみやしょう」
「この辺でヤマヌメ見なかった? ……そうそう、あのヌメっとした痺れるやつ! ……あー、なるほどね!」 さっぱりわかんないね!
 ルージュの意見は確かに有効そうで、音を立てまくる彼女以外にもビャクダンが水音をあげたりして対応する。きうりんは引き続き植物に語りかけ、イズルは上空から捜索しつつ霊魂の残り香を探る。
「両生類でサンショウウオ……じめじめした岩陰とかにいそうたぬ」
「そうですね。オオサンショウウオの行動を参考にすれば見つかるかもしれません」
 Tethとツルギは、正体不明のものならば近いものを参考にすべしと思考を切り替え、周辺調査に挑む。水で流れてしまうかもだが、粘液などを辿るのが効果的そうだが……。
「ぬるぬるーって動くだけなら音は聞こえないですが、もしかしてこの『ぬるぬる』が足跡でしょうか……?」
 アマトがふと見つけたそれは、赤茶けた粘液の¥痕跡だった。慌てて近づいた一同は、それに誘われるように川の上流へ上流へと進んでいく……。

●幻の食材(めっちゃおるところにはおる)
「ヌメ」
「ヌメメヌ、メヌ」
「なんだかこう……独自の言語体系とか持ってるんでしょうかね?」
 河原を延々遡上してあちこち探しまわった一同の前に、かなりの数のヤマヌメが姿を現す。それらはツルギの情報通り、かなり異様な見た目なうえに謎の鳴き声で相互に会話している様子。崩れないバベルが通じている様子は全くない。
 そして、そのうちの1体がツルギを見るなり高らかに声を上げると、周囲に散り散りになっていたヤマヌメ達が一斉に彼を照準する。
「あいつツルギさんを目の敵にしてない? いっそのこと、もっと傍若無人に振舞って? そうしたら少しは狙いが逸れるかも」
「俺にやたらと迫ってきますね、鬱陶しい……まとまってかかってこい、エキストラ共。この河原の頂点は俺、等しく跪かせてやるよ!」
 イズルはツルギとヤマヌメの様子を相互に見てなんとなく事情を理解し、無茶ぶりを振る。だがツルギもプロだけあってか、即座にそれっぽい所作をしてみせた。
 ……のだが、言ってることが明らかに挑発なので意味があるようでなさげ。
「エサだよ!!! おいで!!!」
 一斉に舌を吐き出すべく構えたヤマヌメ達に向けて、別方向から声がかけられた。見れば、きうりんがきうり姿になってヤマヌメ達にエサアピールをしているではないか。その態度に感情を上書きされた数体のヤマヌメは、即座に彼女目掛け舌を突き出す。
 普通ならこの攻撃を身軽に回避するであるとか、その最中に粘液の岩場で転ぶとかの展開があるのだが、きうりんは一切動じず、身じろぎもしない。きうり姿のまま舌を受け止め、避けるでもなく耐える姿はいっそシュールだが、周囲からすれば信頼篤い行為でもある。
「はい、いーただきまーす」
「これで混乱してくれりゃあ、楽なんですがねえ」
 ジオとビャクダンはヤマヌメ達から距離を取り、きうりんに群がる個体を狙い撃っていく。足元を濡らす粘液から身をかわしつつなので精度は落ちるが、さりとて仲間が生んだ値千金の隙を捨てるほど、2人は愚鈍ではない。ビャクダンの一撃を受けた個体は一瞬相手を見失い、乱雑な攻撃を周囲に向ける。思わぬ同士討ちの混乱は周囲に広がり、数体のヤマヌメは機能不全に陥った。
「乱戦になったのは仕方ないけど、敵味方の区別がつかない相手は早めに撃ち抜いておく……ぽん」
 Tethは動きが止まった個体の後頭部に凍結楔を断続的に打ち込むと、ぴくりともしなくなったそれを川石の上に放り投げた。掴んだ時のヌメりがちょっとヒリヒリするが仕方ない。
「殺さねえで動き止めたほうが活け締めっぽくねぇですかい?」
「凍らせてるから多分大丈夫ぽん。その辺フィーリングだぽん」
「あっ……これは食べられる……?」
「「いや今食わんでもいいでしょうや(ぽん)」」
 ビャクダンとTethがヤマヌメの処理について一言二言かわす中、距離をおいて攻撃を繰り返すアマトがふと、自分に降ってきた粘液を手で受けた流れで舐め取っていた。素朴な感想に、2人は呆れたような、毒気を抜かれたような気に鳴った。
「加工してない粘液なんてだめだよ! ぺってしな! もしくは私を食べるんだよ!」
「ありがとうございます」
「ワタシも食べるよ。……あ、冷えてて美味しい」
「川で冷えてるからね!」
「絵面がかなりディープなんですが、それでいいんですかね……?」
「ツルギさんはこっちのポーションね」
「あ、はい。……じゃなかった、褒めて使わす……?」
「疑問形じゃない」
 ツルギは愛娘がともすればエグいことしているようにも見える場面を見つつ呆れたようにヤマヌメ達を牽制する。夜の帝王っぽい仕草をしようと心がけるが、さりとて外見と滲み出る中身の関係上、こう、なんかノリきれていない辺りが非常に彼らしい。粘液やらなんやらを受けて相応の不利を被っているが、彼は一応イズルのポーションを口にして人心地ついているので無問題だ。
「うわぁ……やっぱり見た目はグロいぜ、あれ。けど、ある程度の大きさがあるから逆に怖く無いけどな」
「粘着質だったりするヤツはでかいほうが不気味だと俺様は思うぞ、だぽん。そもそもその距離だと結構粘液飛び散ったり舌が飛んできたりで大変だと思うぽんよ」
「おれはちょっとやそっと食らったって気にしないぜ! これくらいじゃ不調もなにもないからな!」
「な、ならいいんだが……ぽん」
 ルージュはきうりんやツルギに狙いが集中するのを避けるべく、前進してヤマヌメ達を叩き伏せていく。だいぶ乱戦模様なのに全滅させられていないのは、頑丈さからかはたまた個体数が多いのか。全身をべとべとにしながらも元気よく戦う姿は、Tethもちょっとヒくようなアレだ。
「でも、そんなに沢山獲らなくても大丈夫ですよね……? この子達にも家族がいますし……」
「あー、まあ大丈夫だよ! 多分あっちも引き際くらい分かってるはずだから! ……だよね?」
 アマトのさりげない一言は、イレギュラーズ一同の動きを一瞬びくりと止めた。何故か、ヤマヌメも動きを止めた。きうりんが確認するように首を巡らすと、倒れ伏したヤマヌメの数は生きているそれよりは(まだ)ずっと少ない。が、8人と村人たちが味わうには十分とも言えるか。
「これ以上戦いたくないなら、俺達は追いかけない。大人しく下がるんだな」
 ツルギは尊大に言い放ちつつ相手の反応を待つ。なお、彼は未だベカベカと光彩を放ちまくりでまー非常に目立つ。誰も指摘しないのだろうか?
「ヌ、ヌメッ……」
「メヌヌ」
 ヤマヌメは互いに何事か言い合うと、ツルギ憎しと命大事にとの両天秤の末に退却を決断した様子。踵を返して去っていくそれらを見送ったツルギが後ろを向くと、ビャクダンにより仮死状態にされた個体にイズルがポーションを流し込むところだった。
「……何してるんですか?」
「光るかなと思ってね……」
 流石に光らなかったらしい。

●調理と実食~幻のバーゲンセールだよ~
 ……と、まあ色々あってヤマヌメを複数持ち帰ったイレギュラーズの姿を、村人達は驚愕とともに迎え入れた。多分軽くヒいてると思うが、そこは何故か留守番担当だったドムラがとりなすことで事なきを得た。というか、やっぱりこの地方の人達は常識より食い気な気質らしく、はよ調理してくれという空気がまあ強い。
「本当に大丈夫? 粘液って、常在菌満載してない?」
「ほんとに麻辣味とかしそうな予感がするたぬ。下味を付ける時やソースに使えそうだぽん? 火を入れれば多分常在菌はイケるぽん」
「そうですね。粘液は調理にうまく使えそうですから、大事に扱いたくはあります」
 イズルは至極尤もな懸念を投げかけるが、体験主義みたいなことを言い出すTethと調理する気満々のツルギの間に立ってはかたなしだ。普通に調理され、普通に食べることになるのだろう。仕方ない。
「ぬるぬるねばねばな食べ物って元気が出るのですよね? じゃあきっと、これを食べた人も元気になりますね!」
「ソースみたいにすりゃ他の部位とも合わせられそうですね。皆さんが言うのもですが、揚げりゃ大体美味しくなるでしょうしそれにかけるというのも」
「皆探究心ありすぎだろう……一先ずこっちで薬味は用意するけど大丈夫? 本当に薬味で足りる?」
 アマトとビャクダンも割とノり気で、特にアマトの指摘は割と痛いところをついたようで、イズルはいよいよ二の句が継げなくなり、薬味の準備に取り掛かった。
「とりあえずおれは食べる専門な。せっかく生け捕りにしたんだから、刺身でも食べてみたいぜ!!」
「これだけ発達した足なら食べ甲斐がありそうね。テリヤキは間違いないわ……大体の物は美味しくなるもの」
 ルージュは言うなり村人達の方へ向かっていき、なんだかんだで場を盛り上げようとしていた。ジオはジオで、てりやき用のソース的なものを用意し始めている。モモのてりやきは鉄板だよな。わかるわ。
「きうりの下処理終わったよ! ヤマヌメの皮を湯引きしてサラダとかにするといいんじゃないかな! 他にもヤマヌメきうり料理の案があれば作るよ!」
「ありがとうございます、きうりんさん。では幾つか頂きますね」
 きうりんは自らを刻んだのだろうか、相当量の処理済みのきうりを仲間たちに差し出した。なんだかんだ、きうりの一番美味しい食べ方を心得ているのは本人なのだろうか。ツルギは何本か預かると、さっそうと調理に取り掛かる。
 アンチョビとにんにくをペースト状にしたものにヤマヌメの粘液やバルサミコ酢、オリーブオイルを加えてソースに仕立て、それときうりを揉み込んで漬け込む。ヤマヌメ本体を一切使わないのがポイントだ。
 そして皮を剥いて内蔵を洗った個体を包丁で骨ごとミンチにしてつみれ汁に。所謂チタタプのオハウ(アイヌ風つみれ汁)である。しかし彼が「チタタプ」連呼してる図はなんとも言えずシュールだ。
 味噌の香りが食欲を誘うように周囲に広がれば、それに負けていられぬと仲間の調理にも熱が入る。
「刺身は他の人に任せるとして、粘液はだいぶ味を整えないと刺激が強すぎぽん。念の為に現役に近い味モノコしておくけど、私みたいな超がつく辛党以外にはお勧めできないぽん……」
「アマトは皆が元気になれるように、粘液をたっぷり使いましたが……ダメ、でしょうか?」
「あー大丈夫大丈夫、私が食べるぽん! だからアマトは悲しそうな顔しないでほしいたぬ。簡単な揚げ物とか焼いたりして味付けを他に任せようぽん」
 アマトの言う「おいしい」は、他者とのかかわり合いに伴う食事という行為の楽しさが根底にある。ゆえに、アマトは誰かが喜びそうな要素を複合的に足し算することは出来るが、料理における「引き算」が出来ない。ゆえに、辛いものを辛いままお出しすることになるわけで……そうなるとTethと一部の村人(とドムラ)ぐらいしか食べられないのだ。
「でしたら、あっしに加熱した粘液を任せてくだせえ。味噌をあわせて辛味噌風にしたらちったぁマシじゃないですかね?」
「名案ですね。そのアイデア頂きました」
「君達ほんとアイデア豊富だなあ。聞いてるだけで涎が出てくるぜ」
「その涎のついでみたいにきうり直接かじらなくてもいいと思うな! 処理済みのがあるでしょ!!!」
 ビャクダンは2人の会話を聞き、妥協案……というか発展案を思いつく。感心したように応じたツルギが即座に辛味噌を作ってしまっているのは笑うしか無いが。それを肴にきうりんを直接齧るジオはもう、きうりが食べたいというよりきうりんとのスキンシップ重点な感じすらする。
「これだけできれば皆さんに行き渡るでしょう。では、召し上がっていただきましょう!」
「さぁさぁ、賑やかにいきましょう!」
 ツルギとジオを筆頭に、イレギュラーズは調理した料理――刺身から始まり鍋やら揚げ物やらサラダやら――を村人達に提供する。
 いつにない豪華な食事に沸く人々の姿は、食事で得る満足感以上に彼らの胸を満たしたことだろう。アマトの「おいしい」が、一同にも伝わった結果だった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 腹減ってくるからダメですね、こういう系のリプレイは……。

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