PandoraPartyProject

シナリオ詳細

海の見える食堂

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●とある食堂の危機

 フェリオン食堂。そう名付けられた食堂で、店主が頭を抱えていた。
 何故か……その理由は簡単で、お客が来ない。これに尽きるのだ。
 では、それは何故なのかという話になると、これが中々面倒な話になる。
 まず、この食堂の店主であるフェリオンは若く自分の才能に自信のある男だった。

 必ず自分の店を持ってやると野望を持っていた彼は、海洋にツテのある商人から居抜き物件を詳細な絵付きで紹介され……一も二もなく契約した。
 そうして夢を抱きやってきたこの場所で、男は絶妙に騙された事を知ったのだ。

 海を臨む素晴らしい景観。確かに。ただし、町からちょっと離れてるし街道も通ってない。
 白い砂に青い海、宝石のようなビーチがある。確かに。ただし、なんかクラゲのモンスターが一年中居ついている。
 その立地から、素晴らしい海の幸が常に手に入る。確かに。ただし、手に入り過ぎて別に売りにはならない。
 広く大きな建物。確かに。けど大きすぎて掃除も行き届かない。3階建てとかどうしろというのか。

 ああ、どうしたら。せめて、せめてクラゲモンスターだけでもどうにかなれば観光客を呼べるのに。
 そう考え、誰も居ない店内で店主の男は苦悩していた。

●店主からの依頼

「というわけで、依頼になったわけですが」

 『旅するグルメ辞典』チーサ・ナコック(p3n000201)はそう言うと、手に持っていた資料を机へと投げる。

「依頼の内容としてはクラゲモンスターの排除。それとお店を流行らせる案の計画と実行になるです」

 依頼期間は7日間。
 その間、泊まり込みでお店を流行らせる手伝いをしてほしい……ということだ。
 なんでもいい。追い詰められている店主は、他の誰かの意見を切実に求めているのだ。

「新メニューの開発とか、宣伝とか……まあ、きっと色々あるとは思うです」

 資材は安価で手に入るし、用意して現地に運んでもいいだろう。
 あるいは、今後の為に人を雇う方策をたててもいいかもしれない。
 いっそのこと、全く違う業種へのチェンジも今なら店主は受け入れるだろう。

 立地が良く建物が広く大きいのは確かなのだ。
 やろうと思えば、なんだって出来る。
 全てはアイデア次第ということだ。

「結構面倒とは思うですが……やりがいはあるですよ」

 結果としてどういう形になるかは、依頼を受けた者達に委ねられている。
 責任は重大ではあるが、チーサの言うとおりにやりがいは充分だろう。
 
「ぶっちゃけ、期待してるです。よろしくですよ」

GMコメント

□フェリオン食堂を流行らせましょう。

禁止事項、特になし。
お店の名前や業種が変わっても構いません。
制服のデザイン、売り物の作成、お店の改装……あらゆる手段を実行可能です。

なお、クラゲモンスターはボスクラゲとザコクラゲの群れです。
普通の手段では海から出てきませんが、海に入ると容赦なく電撃攻撃を仕掛けてきます。
なお、色仕掛けに弱いという情報があります。

依頼終了の8日目が「結果」のパートになります。
何をやっても今よりはお客が入ると思われますので、思いっきりやってください。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はCです。
 情報精度は低めで、不測の事態が起きる可能性があります。

  • 海の見える食堂完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年08月09日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

十夜 縁(p3p000099)
幻蒼海龍
海音寺 潮(p3p001498)
揺蕩う老魚
寒櫻院・史之(p3p002233)
冬結
ミルキィ・クレム・シフォン(p3p006098)
甘夢インテンディトーレ
ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)
私の航海誌
モカ・ビアンキーニ(p3p007999)
Pantera Nera
クレマァダ=コン=モスカ(p3p008547)
海淵の祭司
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色

リプレイ

●フェリオン食堂

「せっかくいい立地なのにクラゲのせいでお客さんがこないのはもったいないね!」
「そうじゃのう。まあ、クラゲだけが原因ではないが……」

『ミルキィマジック』ミルキィ・クレム・シフォン(p3p006098)に『海淵の祭司』クレマァダ=コン=モスカ(p3p008547)が相槌を打ちながら、フェリオン食堂を見上げる。
 確かに立地は素晴らしい。海が見えるちょっとした高台に位置し、建物の外観も良いものだ。
 だが……それ以外はダメダメだ。
 海にはクラゲモンスター、そして街道も通っていない微妙な位置。

「下見もしねぇで契約したのがそもそもの間違いだと思うんだがね、俺は」
「わしもそこに関しては感心せんのう。今回は何とかなるかもしれんが下手したら大量の借金だけが残るところじゃったぞ」

『幻蒼海龍』十夜 縁(p3p000099)と『揺蕩う老魚』海音寺 潮(p3p001498)は、すっかり落ち込んだ風の店主を諭す。
 店主もそれは充分に分かっているようだが……それでも言わなければならないと思ったのだ。

「今回は何とかなるかもしれんが下手したら大量の借金だけが残るところじゃったぞ。わしらが帰った後もいきなり経営難になってしまった、なんて事にならないよう、ちゃんと市場調査なりするんじゃよ」
「その調子だと今後も騙されそうで心配ではあるが……ま、海洋にいい店が増えるのは俺としても大歓迎だしな」
「いやはや、仰る通りで……」

 大分参っている様子だ、と潮と縁は顔を見合わせる。
 どのみち、まずは自信なり希望なりを取り戻させてやらなければどうにもならないように思える。
 あまり表現は良くないが藁をもすがる、といった様子だと……そんなことを『若木』秋宮・史之(p3p002233)は思う。
 店主も大変なのだろう。一国一城の主という言葉もあるが、いままでひとりで切り盛りしてきたんだから当然だろうか。

「旦那はどうしたいんだい? 何が何でも夢を叶えるか、心機一転して新しいことを始めるか――選ぶのは、お前さんだ」
「……多少でも変わるのは仕方ないとは思っています。それでも、叶うなら」

 縁は自分の問いかけへの店主の答えに、満足したように背中を叩いて。

「よし、ここは店主さんのために一肌脱ごう」
「そうだな……ああ、大丈夫だ。まだ諦めるには早い。何故って、若さも自信もあり、それに違わぬ行動力も蓄えもあるからここに来れたんだろう? ……まぁ即決はハイリスクだが。とにかく、まだやれることはある。しばらくの間、よろしく」

 史之と『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)にそう言われ、店主は何度も頷く。
 確かに店主の早急すぎる決断は間違いであったかもしれない。
 しかし情熱も夢も真っすぐなもので。
 だからこそ、イズマ達は此処に集まったのだ。

「さて、何から始めましょうか?」
「そうだね。まずは……」

『私の航海誌』ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)の問いに、『Pantera Nera』モカ・ビアンキーニ(p3p007999)はフェリオン食堂の店主へと振り向く。

「料理を食べてみようか。全てはそれからだ」

●フェリオン食堂の改革

「此処をオーベルジュにしましょう」

 そんなウィズィの提案は、実に理にかなったものだった。
 オーベルジュ……つまり宿泊可能なレストランだ。
 地元の食材を使うのが特徴であり、言ってみれば……この立地を最大限に活かす提案でもある。

「これだけ広く大きな建物ならホテルを始めるのはいい考えだな。海を臨む素晴らしい景観と、不便な立地ということは逆に閑静だということ。レストランも続けて、朝食は宿泊客に、昼と夜は宿泊客と一般客に食事を提供すればいい。紹介パンフレットも作ったらいいんじゃないか。私の店の全店舗に置いて宣伝しよう」
「な、なるほど。確かにそれならこの建物を全部活かすことができますね」
「そうなると大事なのはコンセプトじゃな?」

 モカに店主も頷き、クレマァダが重要な点を確認する。
 そう、オーベルジュを始めようというのであれば当然、コンセプトは必要だ。
 そしてそのコンセプトに関する案は、イズマがもっていた。

「提案するコンセプトは食堂+宿。海の幸を堪能できて景色もいい店だ」

 素晴らしい景観だが遠い? それは宿泊してゆっくり観光するのに最適な場所だ。
 綺麗な海だがクラゲがいる? まずは俺たちが退治するし、それで情報を得てその後の対策を考えよう。
 海の幸がありふれている? この近辺の人にはともかく、遠くから来る人にとっては間違いなく価値がある。
 広くて手入れが回らない? 広ければ多くの客をもてなせる。あとは人を雇えばいい。

「まずは求人を出して、新規立ち上げに挑戦したい人とクラゲ退治ができる人を雇う。それから宿にするために、資材や家具を調達して掃除もして、内装を整える。料理に関しては得意な仲間に任せるが……大事なのは宣伝だ。チラシ、雑誌、噂……ここの魅力を知らせるべく情報を発信する。ローレットの名声も活かせるかな?」
「おお、おお! なんだかいけそうな気がしてきましたよ!」
「本当に今後大丈夫かのう」

 影響されやすいんじゃないか、と潮がちょっと心配そうにつぶやくが……まあ、素直なのは美徳だろうか?

「それじゃあ、宣伝は私達の出番ですかね?」

 クラゲがいるというのであれば退治してしまえばいい。それでも来るのであればショーにしてしまえばいい。
 ウィズィはニヤリと笑うと、潮と共に用意したチラシを示してみせた。

 そして、翌日。ウィズィは潮と……潮がギフトで呼び出した30センチ位の鮫、ポチと一緒に町に出てきていた。

「さあさあ、新しいオーベルジュが近日新装開店! 従業員も募集中! 楽しいイベント盛りだくさんですよー!」

 ウィズィだけでなく、潮の連れているポチも注目を集め……どんなものかとチラシを手に取る者も多くいる。
 そして、その内容は……こうだ。

 ●月×日フェリオン食堂新規オープン
 綺麗なビーチと美味しい海の幸が沢山楽しめます
 素晴らしい景観が楽しめる宿泊施設あり
 クラゲ討伐のパフォーマンス開催予定
 討伐後はクラゲ料理も楽しめます
 従業員も募集中

「クラゲっつーとアレかあ……確かに居たな、あの辺の海」
「お、ご興味ありますか⁉」
「あるっちゃあ、あるが……」
「お兄さんなら絶対余裕っすよ! 海の上じゃ敵う者無しでしょ~!」
「そ、そうかあ?」

 交渉術やおべっかをフルに使い従業員をゲットしようとしているウィズィの手管に感心しつつも、潮はどこかの公共施設なり観光案内所にチラシを置きたいな……と考える。

「……此処は任せてもよさそうじゃのう」

 このノリでいけば、自分はいない方がいいだろう。
 道の整備も帰りにしていこうか、と。そんな事を考えながら潮は歩いていく。
 ……そして勿論だが、フェリオン食堂に残っているメンバーも大忙しだ。

「部屋数がこのくらいだからベッドは……あとは花瓶やチェスト、クローゼットは……うん。計算は間違ってない」

 この後町にも行かなければ、と考えながら史之は忙しく動き回る。
 食堂からオーベルジュにリファインするとなれば、当然足りないものは多くある。
 それを大急ぎで発注する為に大忙しである。

「俺の名が多少は役に立てばいいんだけど……」
「なあに……幸い、ここには海洋じゃ名の知れたやつらが集まってるときてる。そんなに心配はいらねえだろうさ」

 史之や縁は海洋ではそれなりに名声を上げてきたつもりだし、事実かなりの名声がある。
 それは今やっている作業にも大いに役立つだろうことは間違いない。

「さ、それじゃあ俺は買い出し行くか。コネクションも役に立つだろうよ」
「ああ、よろしく。さて、と。ミルキィさん、そっちは?」
「あ。んー、色々課題はあるけど、やっぱり駆除したクラゲを名物に利用したいよね」

 それに関しては誰もが賛成するところだろう。
 掃除をしていたモカやクレマァダも賛成するように頷き、イズマからも「それはそうだな」と肯定的な意見が出る。
 チラシにも書いたように「クラゲ料理を出す」だけではなく、名物に昇華させる。
 そうなってこそ、この店は再生するだろう。

「というわけで、クラゲスイーツ作り張り切っていってみよー!」
「それなら、やはりコリコリした食感を活かすほうがいいな。細く切って出汁酢醤油でもいいし、味が無いから敢えて心太のように使い、黒蜜などの甘味でスイーツ風にしてみるか」
「おお! ならボクは……うん。クラゲってゼラチンっぽいからゼリー系のデザートに仕上げてみるのがいいかな? 柑橘類とかとあわせてさっぱりしたイメージのデザートに仕上げてみようかな☆」

 モカのアイデアに触発され、ミルキィもアイデアが湧いてくる。

「いいね。それならメインとしては……細く切って中華風に、梅肉あえ、甘酢スープ、刺し身風。あとはーしゃぶしゃぶ! ぷるんとコリコリ食感の、ヘルシー料理だ」

 更に史之も「これだ」というアイデアが浮かんでくる。やはりこういうものは共に考えてこそだ。

「流石ですね。そうです、あんなクラゲ共も料理にしてしまえば立派な名物。ふふ、そんな事も思いつかなかったとは」

 店主も料理人としての熱が戻ってきたようで、笑顔で意見を交わし始める。
 そうして、熱が店の中に戻り始めていく。それは誰もが感じる、良い兆候だった。

 忙しい中時間は過ぎていき……3日目。宣伝の効果もあり、海岸には多数の人が集まってきていた。
 オーベルジュの建物を見て「そういやあったなあ、こんな建物」などと言っている観客も多い。
 そして……そのクラゲ退治は、まさに「魅せる」戦いであった。

「さあ、Step on it!! ショータイムですよ!」

 そんなウィズィは海賊をイメージした水着を纏い、回転を取り入れた派手な動きで跳び回り。

「色気とやらはよくわからんが付け焼き場で頑張ってみようかのう」
「お色気……えっと、こんな感じにポーズをとればいいのかな?」

 着流しの潮、水着のミルキィ。モカやクレマァダも水着を纏い、クラゲに色気をアピールしていく。
 観客たちもそれに大盛り上がりだが……特に顕著なのはクラゲたちだった。
 一斉に海から出てくるクラゲたちの姿に、小型船に乗っていたイズマも思わず「げっ」と声をあげてしまうが……そうなれば、むしろミルキィたちの独壇場だ。
 舞うようにクラゲを倒していき、観客たちの盛り上がりも最高潮へと達していく。

「いだぁ! お尻突くな!」

 そんなトラブルも、あるにはあったのだが。

●開店日を迎えて

「いらっしゃいませー!」

 8日目、開店日。集まった従業員たちの教育も済み迎えた開店日は……満室という、極上の成果を叩きだしていた。
 宣伝、アピール、料理の開発……色々な要因はあっただろう。

「クラゲのAコース4つです!」
「クラゲのBコース5つ!」

 従業員たちがランチで忙しく動き回っていく中、一番良い席を店主に用意された史之達は、その光景を満足そうに見ていた。
 宿泊客だけではない。ランチに訪れた客も多く、その中には「あのクラゲをどう料理したのか」と興味本位の者も多い。
 しかし……。

「ん、この梅肉あえ美味いな。あの化け物クラゲがこうなるとは」
「スープも結構いけるわね」

 そちらに関しても、評判は上々。雇った従業員も店主も、最高のパフォーマンスを叩きだしている。

「……確かに、これなら問題ない」
「ああ、あとはまあ、店主次第かの」

 縁も潮も、そう言って笑いあう。

「ミルキィさんの考案されたグッズの人気も上々です」

 そう言いながら現れた店主にミルキィは「よかった!」と声をあげる。
 クラゲをモチーフにしたマスコットも、無事に受け入れられたようだった。

「これなら、なんとかなりそうだな」
「ああ、あとは……」
「ええ、あとは私の問題です」

 イズマとモカに店主は堂々と答え……「まあ、問題があるとすれば」と苦笑する。

「ウィズィさんが大人気になってしまったようで……マスコット人形に加えても構いませんかね?」

 その言葉に一瞬ウィズィはキョトンとして。クレマァダと史之が同時に吹き出したのを皮切りに、全員が笑い始める。

 クラゲとセクシー海賊がマスコットのオーベルジュ・フェリオン。
 どうやらその未来は……とても、明るいようであった。
 

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

コングラチュレーション!
皆様の素晴らしいアイデアでフェリオン食堂はオーベルジュ・フェリオンとして再生しました!

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