PandoraPartyProject

シナリオ詳細

腹いっぱいのアイスクリームを君に

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●アイ・スクリーム

 違和感に、牧場主の男は目を覚ました。
 何やら牛が騒いでいるような……そんな音がする。
 するわけがない。こんな真夜中、牛だって寝ているというのに。
 しかし、確かに聞こえてくるのは……。

「ヴモオオオオオ」
「モオオオオオ」
「くそっ、やっぱり気のせいじゃない!」

 ベッドから身体を起こし牧場主の男は家の外へと駆けていく。
 ランタンを手に向かった、その先にあるのは……何処かへと列をなして去ろうとする、牛達の姿だった。

「お、おい! 何処へ行く! 戻れ! もど……ヒッ!?」

 牧場主の男が牛達が消えていく先に見たものは……闇の中に輝く巨大な1つ目。
 ガクガクと足を震わせながらも、牧場主の男は近くにあった鋤を手に取る。

「お、おおお……俺の牛だぞ!」

 どう考えても無茶な、その行動。一歩踏み出そうとした、その矢先。


「ギイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ‼」

 衝撃波すら伴う音波に、牧場主の男は吹っ飛ばされて気絶する。
 目覚めた時には、もう牛は1匹も残っておらず……彼が生きていたのは、単純に幸運によるものであっただろう。


●アイスクリームを求めて

「非常事態です」

 『旅するグルメ辞典』チーサ・ナコック(p3n000201)はそう前置きすると、集まったメンバーを前に語りだす。

「夏になると鉄帝でも指折りのアイスクリームを出すハクレン牧場から、牛が根こそぎ奪われたです」

 ハクレン農場の牧場主は怪我こそ軽かったものの、牛を全て奪われたショックで寝込んでしまっている。
 付近に高い山を望む広大な平地で育成されていた牛達は濃厚な牛乳を出し、それによる夏限定のアイスクリームは観光客だけでなく付近の料理人達も欲する素晴らしいものに仕上がっていると評判だ。
 しかし、その牛が奪われてしまってはアイスクリームどころの騒ぎではない。
 これは料理界全体の損失とも言えるのだ。

「牧場主の証言から、牛を奪った犯人は巨大な目のモンスターだと推測されるです」

 該当するモンスターの名前はアイ・スクリーム。
 巨大な浮遊する目のモンスターであり、動物疎通やセブンアイズの能力などを持ち、家畜や子供を惑わし誘拐することで知られている。 

「どう考えても放置できるものではないです。奴を倒し、牛を取り戻してほしいのです」

 牧場主の妻と娘も不安がっている。当然だろう、アイ・スクリームが次来たら……誘拐されるのは娘かもしれないのだ。

「見事牛を取り戻したら、通常の報酬の他にアイスの食べ放題も約束されているです」

 無論、それだけではない。牧場にはチーサが待機しているので、見事依頼解決の暁にはチーサによるアイスを使った各種スイーツも用意可能だ。
 平和を取り戻した牧場でのアイスパーティは、さぞ楽しい事だろう。

「出来ると信じてるです。さあ、行くですよ」

GMコメント

アイ・スクリームを倒し牛を取り戻しましょう。

□牧場
怪我をした牧場主と奥さん、娘さんが居ます。
チーサが待機していますが、戦力に数えるのはちょっと酷です。
むしろスイーツの希望を出しておいた方がいいです。

□山
標高の高い山です。アイ・スクリームと牛、狼モンスターがいます。

□アイ・スクリーム
動物疎通、セブンアイズ、飛行、妖精殺しに似た能力を所持しています。
何処から出しているのか分からない「スクリーム」攻撃には「呪縛」効果があります。
また、目から放つ「アイビーム」攻撃には「魅了」「呪い」「呪殺」の効果があります。

□狼モンスター×たくさん
何らかの手段でアイ・スクリームに懐柔されているようで、徹底的に妨害してきます。
噛みつき、爪などが主な武器です。

□牛さん達
アイ・スクリームに懐柔されています。攻撃はしてきませんが邪魔になる可能性があります。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はC-です。
 信用していい情報とそうでない情報を切り分けて下さい。
 不測の事態を警戒して下さい。


なお、アイスパーティでは自分でスイーツを作る事も出来ます。
牧場で牛さんと楽しむ野外パーティですので、思いっきり楽しみましょう。

  • 腹いっぱいのアイスクリームを君に完了
  • GM名天野ハザマ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年08月08日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)
優穏の聲
コゼット(p3p002755)
ひだまりうさぎ
ミルヴィ=カーソン(p3p005047)
剣閃飛鳥
ミルキィ・クレム・シフォン(p3p006098)
甘夢インテンディトーレ
マリカ・ハウ(p3p009233)
冥府への導き手
マグタレーナ・マトカ・マハロヴァ(p3p009452)
彼方への祈り
フィリーネ=ヴァレンティーヌ(p3p009867)
百合花の騎士
ルシア・アイリス・アップルトン(p3p009869)
開幕を告げる星

リプレイ

●牛の消えた牧場

 広い牧場。本来であれば牛がいるであろうその場所には……何も、いなかった。
 そう、何もいない。
 アイ・スクリームによって牛が奪われた牧場には、牛の姿はなかった。

「ちょっと……ゆるせないよ……よくもあたしのアイスを。この怒りは、アイスパーティーしないとおさまらないよ……はやく牛さんつれ戻しにいこ……?」
「動物を懐柔して連れ去っていく怪物……か。牧場主の命が無事であったことは幸いだが丹精込めて育てた牛が皆いなくなってしまったというのは痛手だろう」
「まさにその通りです。しかも、どうにかせねば次は娘を奪われる……となれば、もはや牧場を捨てるほかありません」

『ひだまりうさぎ』コゼット(p3p002755)と『天穹を翔ける銀狼』ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)に、牧場主はそう答える。
 その表情は暗く、しかし一縷の希望を捨ててはいない目だった。
 そしてその「一縷の希望」が何であるか気付かないほど、ゲオルグは鈍感ではない。
 だからこそ、『百合花の騎士』フィリーネ=ヴァレンティーヌ(p3p009867)も牧場主へと安心させるように話しかける。

「わたくし、牛乳にはとてもお世話になっておりますわ。紅茶に入れると美味しくなりアイスも暑い時期に最高ですわね。そんなお世話になっている牛さんには可能な限り被害を出さないように致しますわ」
「そうして頂けると、とても有難い話です。牛達は商売道具ではありますが、家族のような存在でもありますから」
「なるほど。人命も家畜も名物も全て守るという事ですね。お任せ下さい。スイーツはシンプルイズベストでミルクプリンにアイスを添えて頂ければ幸いです」

 勿論、本当の家族に勝るものではない。ないが……そのくらい大事であると伝えたいのだということは、フィリーネにも十分に理解できた。
 だからこそフィリーネは頷き、『永久の新婚されど母』マグタレーナ・マトカ・マハロヴァ(p3p009452)は冗談めかしてそんな事を口にする。
 スイーツのリクエスト。それはこの依頼を完全に成功させてみせるという意思の表れ。そうであることは、牧場主にも分かっていた。
 だからこそ、『にじいろ一番星』ルシア・アイリス・アップルトン(p3p009869)は気合を入れた声をあげていく。

「夏の暑い日々からアイスが無くなるのは非常事態ですよーー!? それに、美味しいミルクは美味しいお菓子の必需品でして! だから牛さんたちを救いに行くのですよー!」
「そうだよ! 牛さんがいないとミルクがとれない! つまりスイーツ大半が作れなくなっちゃうよー! むむむー、アイ・スクリーム、許さないよ! みんな、牛さんを取り戻すのがんばろう! そしてアイスパーティー楽しもう!」
「よーし、それじゃ行こうー!」

 ルシアに『ミルキィマジック』ミルキィ・クレム・シフォン(p3p006098)と『トリック・アンド・トリート!』マリカ・ハウ(p3p009233)が同意するように叫ぶ。
 その元気な声に牧場主がハハッと笑う。

「よーしハクレン牧場のおっちゃん! アタシ達が無事取り戻してくっから、おっちゃん達はアイスパーティーの準備ヨロシクねっ♪」
「ええ、お任せを。その際には最高のアイスをご馳走しますよ」
「ちなみに今日はペットのミード君も連れてきたよ! この子動物のくせにグルメでねー、きっと何かいい感じの果物見つけてくるから期待してて♪」
「キュー」
「ははは。ところでソレはドラ……」
「竜種? まっさかーこんなにかわいいのに、角生えてるし牛の妖精さんとかじゃないの?」
「そ、そうですか……」

『清楚にして不埒』ミルヴィ=カーソン(p3p005047)の連れているミードをマジマジと見つつも、牧場主は気を取り直すように咳払いする。
 そうして牧場主は、遠ざかっていくミルヴィ達を見送るように手を振るのだった。

●山の中で

 山の中に入ると、待ち構えていたとばかりに狼が襲ってくる……ということはなく。
 不思議なほどに、シンとした空気が漂っていた。
 鳥の声すらない程の、その不可思議の理由を……フィリーネ達は知っている。

「これもアイ・スクリームの影響というわけですわね」

 アイ・スクリームというモンスターの危険度を示すかのようなその状態に、ゲオルグも頷く。

「ああ……いずれ一般人が犠牲になるかもしれない事を考えれば今のうちに撃退しておきたいところだ」

 居るだけで被害が出る。その事実に、ゲオルグ達は頷きあい周囲の警戒を続ける。
 山の中を進めば、当然大量の牛が通った跡が分かるので追うのは難しくない。
 これが飛行するアイ・スクリームだけであれば相当に手こずったのだろうが、そこは運が良いという他ない。
 そして、そうして歩いていくと……気付く。
 山の木々と茂みの先。開けた場所にいる牛達と、その近くにいる狼達。
 通常であればそんな仲良く……かどうかは分からないが、一緒にいることが不思議に思える、そんな現象。
 そして……中空に浮かぶ巨大な目玉は、間違いなくアイ・スクリーム!
 すぐに突っ込むようなこといはない。頷きあうと、ルシアは用意していた魔砲クラッカーを放つ。

「パーティーグッズも使いようでしてー!」

 ずどぉーーん!!

 響いた激しい音と光。混乱したような牛達の鳴き声が響き、狼達が立ち上がる。

「モオオオー!」
「ヴモオオオオオ」

 元々戦う力などない牛達だ。あっという間に四方八方へと逃げ回ろうとしていく。

「出来れば戦いに巻き込まれないように離れるのですよーー!!」

 そんなルシアの声が届いているかは分からないが……ともかく、このまま山の中に散らばってしまっては後で困る。
 ならばどうするか?
 その答えは簡単で、コゼットとフィリーネが走っていく。

「こっちだよー!」

 跳挑発止で跳び回り跳ね回って牛を挑発していくコゼット。
 
「うちの愛馬と違い牛とは随分とノロマな生物ですわ、付いてこれるかしら?」

 一方のフィリーネは動物疎通によって牛へと話しかける戦法をとっていた。
 どちらも完璧な手段とは言い難い方法ではあったが……不意をうったこともあってか、それなりの効果を発揮していた。
 そうしてコゼットとフィリーネへとついていく牛達とは違い、狼達は明らかに戦意をたぎらせている。
 そして、何よりも。

「AAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!」
「くっ!」
「ううっ!」

 アイ・スクリームを中心に放たれた衝撃波に、ミルヴィとマグタレーナが思わず声をあげる。
 想定していたよりも強い。それを実感したのだ。
 
「でも、このくらいなら……!」
「あの音波攻撃はアイボールのクセにズルくな~い?」
 
 接近したミルヴィのロザ・ムーナが炸裂し、それでは足りぬとばかりにマリカのDeath appleが放たれる。

「残念ながらわたくしは牛や狼と違って魅了はされませんよ」

 スイーツを目指す者の強い精神力がアイス違いの魔物に惑わされたりしない……そういうことにしておこう、などと言っていたマグタレーナの放ったディスペアー・ブルーに一部の狼が魅了され、仲間割れも始まっていく。
 
 ……本来であれば狼と牛という二重の防壁があったはずのアイ・スクリーム。
 しかし今やそれは剥がされ、その本体へのダイレクトアタックは容易になってしまっている。
 そして妨害に特化したその能力も、ゲオルグとミルキィという2人の回復役によって然程の意味があるものでもなくなった。

「AAAAAAAAAAAAAAAAAAA!」

 放ったアイ・ビームがゲオルグを貫くが、それでどうにかなるものでもない。
 アイ・スクリームの勝機は……先制攻撃を許した時点で、失われていたのだから。

「すぐに原因を絶たないと、また牛さんが狙われるのです」

 そして、ルシアも今度は音と光だけではない本物の魔砲を放つ。

「それだけは駄目でして!」

 そう、それだけは許されない。だからこそ……此処でアイ・スクリームは殲滅されるのだ。

●アイスクリームパーティ

 狼達は逃げ散り、それをあえて追う事はなく。
 集めきれずに逃げてしまった牛もなんとか捕まえて、ミルキィ達は牧場へと戻ってきていた。

「えへへ、牛さんが帰ってきたからアイスパーティーが開催できるね! よーし、ボクも腕によりをかけてアイススイーツを作っちゃうぞー♪」

 早速の牛の乳搾りと、急速加工。此処がなんだかんだで鉄帝なのだと思い出すような牧場主と家族の動きっぷりを思い出しながら、ミルキィは何を作ろうかと考え始める。

「そうだなぁ、とびっきりゴージャスなパフェ作りに挑戦してみようっと☆ これだけミルクがあるなら、ボクのギフトでアイスの他にも生クリームやヨーグルトも用意できそうだし、フルーツもいろいろ盛り付けてとびっきり美味しいパフェを作り上げちゃうぞー♪」

 そう、ミルキィのギフト「ミルキィマジック」はミルクに手をかざして呪文を唱えることで、ミルクを乳製品(バター・生クリーム・ヨーグルト・練乳等)に変化させるというものだ。呪文を唱える時に完成品をイメージしておく必要があるが、それは障害にもなりはしない。
 そうしてアイスパーティーの準備が進む間にもフィリーネによる牛へのケアも進められていく。
 天使の歌も使った牛達の精神ケアは、きっと功を奏するだろう。
 ……そして。しばらくの時間がたった後、野外アイスパーティーは無事に催された。

「やっぱり新鮮な牛乳でつくったソフトクリームはかくべつだねっ!」

 出来立てソフトクリームを食べるコゼットは、実に幸せそうだ。
 トッピングにしたいとリクエストしたチョコスプレーやフルーツも皿に盛られており、なんならそのままパフェにでも出来そうな勢いだ。

「トリック・アンド・アイス!アイス・アンド・アイス!アイス・アイス・アイス! あいす~あいす~あっいっす~♪ あいす~を~たべ~ると~♪ じゅ~す~じゅ~す~じゅ~~す~~♪ ほっしっく~なる~~♪」
「ミックスジュースでしたら……」
「いえーい!」

 差し出されたミックスジュースをマリカが飲み、再び歌いだす。
 一部の牛が合わせるように鳴いているが……まあ、偶然かもしれない。

「ふう……やはり美味ですわね」

 リクエストしていた、ミルクプリンのアイス添え。
 それをスプーンで口に運ぶと、マグタレーナはうっすらと微笑む。
 どことなく新婚感のある、そんな微笑みだが……そんな空気に気付く者は、残念ながら此処には居なくて。
 マグタレーナ自身、それを気にすることもない。

「どうだジーク、美味いか? そうか、美味いか。もっと食べろ」

 マグタレーナの視線の先にいるのは、手乗りサイズのふわふわ羊……ジークだ。
 アイスを美味しそうに食べるジークを見てゲオルグも幸せそうだが、フィリーネも動物と……ただし、こちらは一頭の牛に乗りながらアイスを食べていた。
 どうやら先程ケアをしていた中で一番仲良くしていた牛らしいが……「乗れ」と言いたげなその態度に根負けして、フィリーネが乗ったのだ。勿論食べているアイスもその牛から搾った牛乳が原材料だが……これも戦いの果てに生まれた友情と言えるだろうか?

「うーん、酸味があってフレッシュあまうまー♪」

 ヨーグルトとバターとバニラを混ぜてバニラヨーグルトを作ったミルヴィも、ミードを抱きかかえながらヨーグルトに舌鼓を打つ。

「ね、ね? みんなが考えた奴も食べてみたいな」
「それなら……はい、一口どーぞっ」

 ミルキィの差し出してきたスプーンに乗せられたパフェを一口食べて、ミルヴィはこれ以上ないくらいの笑顔を浮かべる。
 そしてお返しにと、ミルヴィもバニラヨーグルトをミルキィへ。こちらも幸せな笑顔を呼び……自然と、笑い声が生まれてくる。

「うん、美味しい!」
「よかった!」

 ああ、やっぱり……と。ミルヴィは、そんな事を思う。

「みんなで食べるおやつって美味しいね」

 その意見に異議のある者など、いるはずもない。
 アイ・スクリームを倒し、牛を取り戻して。
 こうして、とっても素敵なアイスパーティーを楽しんでいる。
 今のこの瞬間が今日一番楽しい時であることは、もはや疑いようもない。
 ルシアとしても、許されるなら魔砲クラッカーでお祝いしたいくらいだ。
 しかし、それが牛を再び驚かせてしまうことくらいは分かっている。
 だからこそルシアは、今日この場に一番相応しい言葉をクラッカーの代わりに放つ。

「お疲れ様でしてー!」
「おつかれさまー!」
「キュー」
「めぇー」
「ウモー」

 放たれた言葉に応える声は幾つも……幾つもある。
 それはこの日取り戻した、素晴らしい日々へ鳴らす、クラッカーのようであった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

コングラチュレーション!
牛を見事に取り戻しました!

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