PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<現想ノ夜妖>嗚呼その衣装は〇〇甲斐ありて

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 時は諦星(たいしょう)十五年。高天京はモダンの雰囲気(アトモスフェア)を纏い、人々は夏の暑さかはたまた新しい時代の到来への期待か、異様な熱気に包まれていた。
 その熱気を冷ますかのように街角で、はたまた露店でアイスクリンが供され、人々は未知の甘さに舌鼓をうつ。
 もしくは、ステヱキハウスの上げる煙、牛鍋屋の軒先の湯気、今の時期であれば――鰻料理なども相応に洒落の利いたメニュウになっているのやもしれぬ。暑さを払うのみならず、熱気に飛び込むことで我が者とし、盛り上がる。街角に立つモダンガール達は日々入れ替わる流行に身を投じ、昨日の流行りは今日の廃りとばかりに着せかえ人形のように舞う。嗚呼、その姿は万華鏡に似て多彩である。
「ふう……ふうう……」
 そんな街角で、荒い息を吐きながら闊歩する男あり。手には寫眞機(しゃしんき)を持ち、あちらこちらに向ける視線はどうにも焦点が合っていない。服装は古臭く(つい先日まで彼等が着ていたものだろうに!)、なにかに思い悩んでいたのか暫くは湯浴みをした様子がない。体格は中肉中背だというのに、その不衛生さは排気ガスに塗れることでさらなる不快さを演出している。
 ――否。彼の周囲を舞ったそれは排気ガスなどではない。少なくとも、そのようなものを吐き出すものはなく、土埃すら一粒も舞っていないではないか。なら、寫眞機から湧き上がるようなその黒い煙はなんであろうか?
「分かってない……みんな、わかってないンだ。流行り廃りなんてものは誰かが作って誰かが広めたものだ。本当に万人ににあうものは、それぞれの心の中に最初からあるンだ。だから、ボクが解き放ってあげよう。さあ、さあああああああ!! 現像(うつ)ってくれ、現像(うつ)ってくれ!!!」
 男は発狂したように寫眞機のシャッターを切ると、その場に居る者達を男でなく女でなく撮りまくる。
 黒い煙はそれに呼応して広がり……残っていたのは、辺り一面に倒れ伏す男女、その姿は紺色のワンピース水着にヘッドドレス、申し訳程度の腰エプロンのついた格好であり。
 そこかしこから聞こえる悲鳴、そして感嘆の吐息少々。
 兎にも角にも、この場は新たな地獄の到来を告げていた。

●……マジで?
 月ヶ瀬 庚(p3n000221)は映像の止まった映写機を暫く見て、眉間を指で揉みながら一同に向き直る。どこか疲れているように見える。君達も疲れただろう。さあ帰って寝て忘れるんだ。
「……と、忘れられたらどれだけいいのでしょうね。こうして『帝都星読キネマ譚』として上映された以上、このあり得る未来は打破されねばならず。こんな相手でも、少なくとも夜妖であることは間違いありません。もしくは、夜妖に操られた人が彩る奇譚でしょうか」
 現れる男は、どうやら操られているらしく。本体はカメラ、発動因子は煙とシャッター……ということらしい。そして、その効果がアレだ。
 所謂スク水。そしてヘッドドレスに、隠してすら居ないエプロン。まー、隠しようもなくスク水メイド的なヤツである。である、って言われても庚は全く知らないのだが。
「対象に遭遇し、戦闘状態になればあの格好にされるのは間違いなさそうです。皆さんを敵と認識すれば、少なくとも皆さんだけを対象に取るでしょう。そして、多分……衣装はあれだけじゃないはずです」
 それをきせかえさせることで、非常に行動に対する制限をつけるとか、そういうタイプなのだとか。
 後は、シャッターの光、煙の持つなんらかの毒性などなどなどなど……単体で現れる以上、弱敵ではないことは確かだ。
「皆さんにあの地域の治安がかかっています。何卒、よろしくおねがいします」

GMコメント

 OPを書き始めたら何処からか電波を受信したのでそういうコトになりました。
 仕方ないよな本能なんだから。

●成功条件
『着せ替え寫眞家(フォトグラファ)』の撃破

●着せ替え寫眞家(フォトグラファ)
 カメラ(夜妖本体)を手にした中年の男。体型は普通だが常に息が荒い(ロスト小、EXA高め)。
 カメラから湧き上がる煙とシャッター音がトリガーとなり、対象(敵全体)を強制的に着せ替えさせてくる。
 大体スク水+なんかが多いが、イレギュラーが起きることもままある。
 着用直後にランダムで『混乱系列』『足止系列』『窒息系列』などのBSが付与される(抵抗判定を伴わない・BS解除可)。
 状況に身を任せた場合プレイングボーナスがつくとか、衣装に合わせてこう、いい感じにすると相手に呪縛とか不運とかつくかもしれない。びっくりして動きが止まるんだね。感動のあまり手元が震えるんだね。
 ……アホか。 

●戦場
 高天京・街道。真っ昼間です。皆さん見られてますよ!

※重要な備考『デスカウント』
 R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
 現時点においてアバターではないキャラクターに影響はありません。

●ほしよみキネマ
 https://rev1.reversion.jp/page/gensounoyoru
 こちらは帝都星読キネマ譚<現想ノ夜妖>のシナリオです。
 渾天儀【星読幻灯機】こと『ほしよみキネマ』とは、陰陽頭である月ヶ瀬 庚が星天情報を調整し、巫女が覗き込むことで夜妖が起こすであろう未来の悲劇を映像として予知することが出来るカラクリ装置です。

●情報精度なし
 ヒイズル『帝都星読キネマ譚』には、情報精度が存在しません。
 未来が予知されているからです。

  • <現想ノ夜妖>嗚呼その衣装は〇〇甲斐ありて完了
  • GM名ふみの
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年08月08日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

シフォリィ(p3x000174)
クィーンとか名前負けでは?
壱轟(p3x000188)
サイバーウィザード
Teth=Steiner(p3x002831)
Lightning-Magus
チェル(p3x005094)
カード術師
イデア(p3x008017)
人形遣い
イルシア(p3x008209)
再現性母
アメベニ(p3x008287)
戦火よ舞え
きうりん(p3x008356)
雑草魂

リプレイ


「よりにもよってモダンな往来の真ん中でこんなことをするなんて……衆目というものがあるんですよ! 流行は作るものではありますがモラルを守るべきです! この場にあった服装という物がありますので!」
「……なんとも迷惑な夜妖ですね」
 『クィーンとか名前負けでは?』シフォリィ(p3x000174)は肩を怒らせ、ふんすふんすと鼻息荒く歩いていく。モダンな雰囲気全開の帝都の往来のど真ん中で異常な格好をさせられるなど考えたくもない。我が事のように感じた羞恥と怒りを顕に歩く姿は、成程(胸以外は)現実の彼女と変わらない。『人形遣い』イデア(p3x008017)はその傍らをしずしずと歩きながら、やはり表情は硬かった。
「メイドとは神聖な仕事。誰かのために動く方々のことをメイドと呼称するのです。それをスク水と合わせるなどという低俗な……」
「……そう、恥ずかしい格好をするのはアバターであってリアルの私じゃないから大丈夫!」
「でも、リアル割れしそうじゃない? イルシアくんは」
 メイドとしての信念を握り拳で語るイデアだが、『再現性母』イルシア(p3x008209)は身バレさえしなきゃ大丈夫という姿勢だった。それでいいのか。そのアバターの正体的に本当にそれでいいのか。隣の『エルシア』にどう言い訳をするつもりだ。『開墾魂!』きうりん(p3x008356)は完全に憐れみの表情で君を見ているじゃあないか。
「水着に給仕服……一体何の為の組み合わせなのでしょう? ……え、趣味?」
「スク水メイドたぁ、いい趣味してるじゃねーか」
 『雨紅のアバター』アメベニ(p3x008287)は『趣味』の一言が持つ含意の広さに思わず呆然とした声を挙げてしまっていた。イデアもすでに言及しているが、給仕は誰かのために存在する。水着を着る意義がわからない。わかったとして、使える相手の奇特な趣味とかだろうか? 少なくとも、この日のために新調した衣装が即座に無用の長物になるのはちょっと哀れなのでどうにかならないものか。
 『Lightning-Magus』Teth=Steiner(p3x002831)は完全に満更でもないって雰囲気を漂わせているので、焦りは見受けられない。彼女はそういった趣味ごとへの理解と適応力は群を抜いて高い。むしろバッチコイという様相だった。いいんだろうか?
「水着か……女子が着ているのはともかく、俺が女物を着せられるのは困るな……俺は後衛にいるから着せられたらなるべく見ないでくれ」
「大丈夫ですわ、わたくしの方に寫眞家さんの視線を釘付けにすれば足りること」
 『サイバーウィザード』壱轟(p3x000188)は顔を手で覆い、懊悩露わに仲間達に提案する。おかしい。このアバターはもっと格好良く戦場で八面六臂の活躍をするはずだったのに。どうしてもうなった。
 対する『カード術師』チェル(p3x005094)の返答は、自分に圧倒的な自信を持ちつつどこまでもズレきっていた。というかすごい自信だ。天井知らずとすら言えるほどに。
 だが、チェルが頑張れば壱轟への視線も減る(はず)ので、彼女の自信は仲間達にとって光明になる、のかもしれない。
 ……しかしちょっとまって欲しい。「スク水メイド」は寫眞家の持つ能力の一端でしかないということを思い出して欲しい。
(どうせ私が私だって知ってる人はいない筈だもの口調も変えてるし!)
(なんだかとても恐ろしいものを見たような気持ちに……というか犠牲が出る前からもう嫌な予感しかしませんが……!)
 イルシアは現状、自分の正体が――嘗て妖精郷に現れた『彼女自身』が――ここに居る者が誰一人として知らない事実に安堵した。したが、かたわらのエルシアとかいう弩級の身バレ爆弾を抱えていることに気づいちゃいなかった。他方、アメベニはやっぱり現状が理解しきれていない。他者の悪意、というか変態性? そういうものを余り理解できていないがゆえに、これから現れる夜妖(憑き)のやり口が全く、毛ほどにも、わからなかった。
「流行り廃りなんてものは誰かが作って誰かが広めたもの。本当に万人ににあうものは、それぞれの心の中に最初からある。……いい言葉だね! キモイね! 主に立ち振る舞いが!」
「そんな不心得者はぶっ飛ばしますよ」
 予言の光景で聞いた言葉を反芻したけど、やっぱりきうりんからしても奴はキモかった。そしてイデアにとっても度し難い相手だった。だから倒されるんだぞ。
「ヒ、ヒヒ、ひ……ハァー……………!」
 斯くして、一同は導かれるように夜妖憑き、『着せ替え寫眞家』はあらっぽい呼吸とか喜色満面の笑みを以てイレギュラーズを視界に収めた。
 この出会いが必然であるかのような。否、ここにいたからたまたま狙いを定めた、その程度の認識のはずだ。
「皆さん、あの本体はカメラですよ! くれぐれも間違ってはいけませんよ!」
「流行り廃りに流されなくともいいが、街を混乱に陥れるのはいかんな。TPOというものを考えろ!」
「何だい、君達も寫眞が気になるのかい、そ、その、モデルに? 君達が? ヒィーッ!」
 男は引きつり笑いを起こすとしばし呼吸困難めいて胸を抑える。飛び散る涎の滴り方は、この世界においてなおリアル。こんなところでリアルさ要らなかったなあ。
「それは重畳、是非に、是非に芸術に、私が君達に求める『ホンモノ』になってくれ!」
「いいか、これは『戦い』なんだ。戦いであるのならば、まずやるべき事はただ一つ!」
 カメラを構えた寫眞家にTethがにじり寄る! カメラから煙が溢れる! Tethはパーカーに手をかけた!
「――先 制 攻 撃 ッ ! !」
 煙を巧みに躱したTethが見せつけた水着姿!
 寫眞家がシャッターを切る!
 双方の距離はほぼゼロの中、寫眞家は――蹌踉めいた!


「な、なな、な……?!」
 Tethの水着は、もう、なんていうか……その……全身に紐を張り巡らせるデザインでありながら、大事な部分の布地が非常に少ないものだった。これは酷い。何が酷いかというと、スタイルに絶対の自信がないと着れないのだ。余り肉であもあろうものなら悲惨なことになる。それを知りながらコレだ。
「いいか。水着ってのはなぁ、見せる為にあるんだよ!!」
 Tethの魂の叫びに、一同は唖然とした。まさかそこまでアレな格好するなんて思ってないやん?
「なんでこのスク水メイド姿よりも際どい格好なんですか!!! こっちはこっちでぱっつんぱっつんだから恥ずかしいのに!」
「でもシフォリィくんは自分で盛ったよね?」
「そうですけど! それよりもきうりんさんのその格好はなんですか!」
 シフォリィは思わずツッコみをいれるが、スク水メイドと化した彼女の胸元もなかなかの凶器だった。だったが、きうりんのエキセントリック回避からのとんでもない姿も大概だ。
「……スク水きうりになったんだけど!! なんで! 需要ないよ!」
「じゅ、需要は、キミが決めちゃ、ダメ、だ。ボクが見繕って、あげる、から……!」
「あら、じゃあこれも需要に即したものなのね?」
 スク水きうり。スク水に巻きつけられたスク水は、もう前衛芸術の域を超えている。
 だが、それはそれとしてイルシアと、エルシアの姿も大概だ。白スク白猫猫尻尾、鈴付き首輪で猫ポーズを『エルシアと一緒に』決めている。娘という名の自分のif姿がそれで本当にいいのか?
「大丈夫よ、これで普段のこの娘の可愛さが★6~7だとすればこうして変身することで★9くらいにまでグレードアップするのだから! 燃やすのが得意だから萌やすのだって!」
「……かわいさの基準はよくわかりませんが、兄弟機と一緒に選んだ服なんです! 戻して下さいー!」
 アメベニはイルシアの言動がよくわからなかったが、自分が恥ずかしい思いをしているということは理解できた。アメベニの不幸は、続いて胸に木目模様のチューブトップを着せられたことである。ひっでええ屈辱もあったもんだ。
「こ、これは……! 目のやり場に困る……」
 壱轟は自分の姿を確認するより早く、周囲の姿に刺激を受けてしまった。まあTethがいっちゃん悪い気がしないでもないが、年頃の彼には刺激が強い。
「でも、壱轟さんも結構刺激的な格好ですわ? わたくしは隠すところは隠していますけど」
「……え? うえ、頼むからオイラのこと見ないで……なんなら自分でも見たくないよ!」
「口調が変わっておりますね、落ち着いてください」
 そこにチェルが突っ込むと、彼はようやっと自分の姿を認識した。そう。そこにあるのはスク水ハッスル(隠語)な自分の姿! エプロンがなければ即死だった! 社会的に!
 彼は恥ずかしさの周り転がり周り、画面隅の【狂気】が消えるまで地面で自分を痛めつけ続けた。
 それを即座に消したのはイデアだったが、彼女の場合、人形までもが♂♀スク水ギャップみたいな、そういう雰囲気になっている。いいのかこれで。否、よくない。本人の目が死んでいる。
「ち、調子が、よくなってきた……!」
「お、着替え? どんと来いやぁ!」
「何が着てもどこに注力すればいいかは分かってますわ!」
「ちょっとやそっとの格好で私を辱められると思ったら大間違いですよ!!!」
 Teth、チェル、シフォリィは問題ないとばかりに叫ぶが、盛大なフラグであることを認識頂きたい。なぜならこの3人は――。
「……って、なんよりにもよって牛柄でウシ耳でカウベルまでつけられるんですか! なんかニーソックスまで履いてますし! 牛柄スク水メイドとか業が深いですよ!なんでウシなんですか!」
「うわキツ」
「………………いけませんわ」
 お正月にやってほしい格好をしていたし、なんならそれぞれのカウベルに「2831」「5094」「174」ってラベルが貼ってある。どこまで業の深い格好をしているのだろう。チェルの霞はここをこそ隠すべきでは?


「な、なんだよこれ! こんな姿のオイラなんて変態じゃん!!」
「壱轟様、お気を確かに。貴方は未だ誇り高き男性ですよ」
 最早色々きせかえられて訳のわからない状況に陥った壱轟に、イデアは治癒術を行使する。如何なる機能であろうか、壱轟は胸と股間のみを隠すような肌色の下着から即座に本来の服装に戻り、混乱していた精神は幾らか均衡を取り戻す。これが『ネクスト』じゃなかったらトラウマものだっただろう。否、既にそうだが?
「わたくしの体に恥ずかしい部分などありませんので、この程度ものの数でもないですわ」
「うわぁ……イデアさんの服装も中々大胆ね。メイド服がそんな……」
「イルシアくんはなんでそんなにイキイキしてるんだろうね! 体力は維持できてるみたいだけど!」
 イデアの『すごい格好』はさておき、イルシアもなかなか攻めきった格好をしていた。なんだよスク水とチャイナ服の折衷って。もう訳わかんねえぞ。それによる混乱とかで自分を攻撃したり、果ては魔力切れで体力にフィードバックしそうなものを、彼女は難なく堪えている。何故か? きうりんは訝しんだ。
「だって、私が少しでも傷ついたら娘(エルシアちゃん)が消えちゃうじゃない? だから傷つけないように『お願い』しているのよ、ねえ???」
「ヒ、ヒィ、ッヒヒッ……! ボクはキミだけでも構わないんだけどねェ゛ッッ」
 ジュッ。
 イルシアの『お願い』に肩をすくめて否定の意を告げた寫眞家はしかし、足元を過ぎった炎の矢に小さい悲鳴をあげた。ビビり野郎がよ。
「色々な水着があるのは分かりましたが、この場で披露すべきじゃないのは私もわかります……もどして下さい……」
 アメベニは自らの変容した格好に絶望を覚え、即座に鬼火を呼び出していた。癒やしの力を持つそれらは彼女の変質を戻すべく熱を与え、その精神に安定を齎す。……のだが、衣服の調律は別問題なのか、水着だけはどうしても普段着に戻らない。酷すぎる。
「あ、もしかしてさぁ。こういうのとか、されたいって思ってるんじゃねぇ?」
 この中では一番着替え回数が少ない(そうする必要がかなり薄い)Tethは、比較的マトモな思考回路(まともではない)で寫眞家の弱点をひらめいた。無造作に踏み込んだ彼女は、寫眞家の耳元に唇を寄せ、その胸を肩口に押し付けた。そして囁く。
「へへへ。震えちゃって……寫眞家君ってばかーわいい☆」
「なッ」
「あらあら、衣装の見栄えとかではなくそういうものが好きでしたの?」
 Tethのくすぐるような声音にびくりと反応した寫眞家は、続けざまにチェルが己の外見にかかった霞を晴らしていく。解像度が上がった外見というやつはやはり刺激が強いわけで、(この状態で能力どうなってんだろうとか抜きにして)寫眞家の意思をアレしてコレしてしまったわけである。
「――ってとこで、そろそろ逝けやッ!」
 Tethは一瞬どころではない隙をつき、電撃を纏ったチョップを叩き込む。電撃の余波で寫眞家の目が明滅!
「もう十分、いい思いはしましたでしょう?」
 チェルのカードから放たれた星が寫眞家ごと吹き飛ばす! ホームラン!
「なんで! 私ばっかり! こんな格好なんですか!!!!」
 盛りに盛った胸がこのときばかりは不利に働いたシフォリィは、ばいんばいんとそれを揺らしながらリコーダーで寫眞家(のカメラ)をぶん殴る! 胸の揺れが催眠効果を惹起したのか、男の足取りがおぼつかない! 絶対コレ鼻血による貧血症状だよ!
「きうりビキニとか誰が喜ぶんだよ! なんなんだよ!」
 きうりんの心の叫びが寫眞家本人を殴りつける! 骨が折れる嫌な音がしたが夜妖憑きなので(恐らく)死なない! セーフ!
「俺のイカした体によくもあんなモンを着せてくれたな! 喰らえ!」
 壱轟のはなった炎が激しく渦巻き、カメラを叩く! 流石にそろそろ寫眞家はヤバさでカメラを手放さ……ない! この根性はどこからくるのか、HPゲージがドット単位まで減っているのに倒れない!
「私とエルシアちゃんがここまでやって萌え死なないなら、地獄の業火に焼かれて然るべきだって思うの」
 あ、イルシア『エルシアちゃん』って言ったな。
 その手から射出された炎は寫眞家ごと貫き、しかし殺すことなくカメラをその手から取り落とさせた。分離したことでHPバーがそれぞれに分かれるが、やっぱり寫眞家も瀕死だった。まあ死にはすまい。問題はカメラの方で、HPバーが消えたかと思ったら細かい粒子オブジェクトとして消えていき、ドロップアイテムの表記は誰ひとりとして受け取らなかったのである。
「あ、フィルム残しとくんだった……」
「誰もフィルムはゲットしておりませんね? していたらその方をどうにかするところでした……」
 Tethとイデアの言葉が対照的なのだが、まあ今回は誰も拾わなかったようです。ヨカッタネ!
「あの、服装……戻らないんですか……?」
「……なんか人の目が恥ずかしくなってきた! よく考えたらスク水じゃなくなったきうりはただの全裸じゃん! はっず! 自分自爆いいですか!!」
 服装が中々戻らない恥ずかしさに身を縮めたアメベニと、戻ったことでただのきうりと化したきうりん。きうりんは自爆スイッチを秒間16連打するが、クエストクリア時までついぞ、それはウンともスンとも言わないのだった。こういうときは空気を読まないのがマナーってききました!!!

成否

成功

MVP

シフォリィ(p3x000174)
クィーンとか名前負けでは?

状態異常

なし

あとがき

 フィルムがなー、萌えてオブジェクト消滅しなければなー! もうちょっとなー!

PAGETOPPAGEBOTTOM