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シナリオ詳細

S−1GP〜潮風とともに駆け抜けて〜

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●今こそ、皿は投げられた

ーーHey,All,Muuuuuuuuuuuch!!!!

 独特のコールとともに一斉に走り出したのは、スタジアムの光を受け、艷やかな照りを見せる、赤く肉厚なボディ。そこに色鮮やかさには劣るが、仄かに紅さすような、でっぷりとした大柄の機体が並走する。更に、白い光沢を見せる滑らかなもの。否、獲物を見定めるかのように銀光りするものや、黒い外套を纏い、守りに身を固めるものまで存在する。

「やはりMAG−Roadが今年も勢いがあるように思われますがどうでしょうか、解説の板前さん」
「ええ、やはり無駄なパーツをつけていない分、最大限にその実力を発揮していますね。しかし近年では当初こそ、スシレースファンにはイロモノだと嫌われていたSALMONも、ここ十年の間に随分と人気と知名度を獲得して参りました。単にキワモノなだけでは、ここまでの応援は得られない。確かな実力に裏打ちされてこその人気でしょう」
「なるほど確かに……あっ今、TACHI-WARSがトップを猛追していますよ!!」
「今年のこのマシンは脂が乗っていると言っていましたからねぇ、当然ではないでしょうか」

これが、全世界が熱狂するというスシレース、その一部始終だ。平年のレースの様子だ。しかし、今年は……。

●レーンを止めるな

「えーっと……うーんと……」

 イレギュラーズをこの場に呼び立てた境界案内人は、先程からずっと何事かをブツブツと呟き、この事態をどう伝えたものかと考えあぐねている。しかし、イレギュラーズ達の視線に気づいた彼女は、急いでその居住まいを正した。

「……あっ、来てたのね。……ええいもう、そのまま言うっきゃないか! イレギュラーズ、お願い。『スシレース』に出場してきて欲しいの!」

スシレース。
普段生真面目な彼女の口から出たとんでもなく胡散臭いワードに、一同は思わず耳を疑う。

それはイレギュラーがこれより赴く世界『イッチョウ』で行われる、世界的な競技の一つだという。世界各地から選りすぐりのが集められ、独自のカスタマイズをした上で、その速さを競い合うのだ。
ただのレースと侮るなかれ、これの勝敗如何で、世界の情勢が決まるとさえ言われているのだ。
しかし、そんな世界の明日を占う大切な競技で、有力選手達が皆、何らかの怪我などで出場ができなくなってしまった。最低でも数人がその穴を埋めなければ、とてもレースとしては成立し得ない。
このままレースの開催自体が中止されてしまえば、経済的損失なども計り知れないのだ。

「とにかく、このままだとスシレースの選手がいなくなって競技が廃れて、ゆくゆくは色んなものが駄目になってしまう……らしいの。だから…イレギュラーズ」

どうか、寿司と共にコースを走って。
マチネからの素っ頓狂なお願いに、貴方の返した答えは……。

NMコメント

どうも、なななななです。
回転寿司が美味しかったのでそれをネタになにか書きたいと思った結果がこれでした。

以下、詳細になります。


●イッチョウ

今回、皆様が訪れる世界の名前です。
基本的にこの世界の人々は、再現性東京に近しい文化レベルで暮らしております。
……が、スシレースなる競技(後述)に人々は異様な程情熱を傾けており、そこで優勝した機体のスポンサーが高く評価されたり、優勝せずとも大健闘したチームに多くのクラウドファンディングがなされたりと、成果を上げた大企業が利益を得るのみならず、頑張る中小企業の背中を押す良い機会ともなっているようです。

なので、勝敗以前にレース事態が開催されない場合、全世界が暗雲に包まれてしまいます。
この世界の人々光をもたらすのが、イレギュラーズの役割なのです。

●スシレース

このシナリオに参加するに当たり、以下の事項を決めておいてください。
お一人につき一機体をコントロールしていただきます。

・機体名
・色、見た目
・基本性能
・オプションパーツ(それぞれメリット・デメリットもあるため、敢えてつけなくても可能です)

……というように、皆様が選んだ機体、パーツ、オプションでこのスシレースを競っていただきます。

他にも心情、スシレースへの意気込み、勝利者インタビュー等のコメント考えていただけると幸いです。


【例】

機体名→ANA9
見た目→要するに穴きゅう巻
基本性能→黒い海苔で機体を巻くことで防御力を確保し、小振りなボディから生まれるスピードを両立したトリッキーな機体。
王者の脇腹を貫く弾丸となり得るか?
オプション→マヨネーズ
スピーディーな機体に更に滑らかな動きと攻撃力を与えるが、その分コントロールが難しくなる。
果たして事故なく走り切ることができるか……?

以上になります。

それではおいし……素晴らしいレースを、生み出してください。

  • S−1GP〜潮風とともに駆け抜けて〜完了
  • NM名ななななな
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年08月05日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ノリア・ソーリア(p3p000062)
半透明の人魚
クーア・M・サキュバス(p3p003529)
雨宿りのこげねこメイド
リオリオ・S・シャルミャーク(p3p007036)
タコ足総動員
イザカ・VⅢ・モリス(p3p009602)
改造人類

リプレイ

●選手紹介

 夏の日差しを激しく照り返すアスファルト。そのコースは回転寿司レーンのようにゆるやかな楕円形。それを囲うように、観客達の熱い視線が注がれる。

「では、選手紹介へと移らせていただきます」

 解説の板前により、王者MAG−Road、スターSALMON、好調のTACHI-WARS、大穴E・Crushと次々に有力候補の名が挙がる。

「さて、ここからは、此度のゲスト及びその機体の紹介となります!」

ーー『半透明の人魚』ノリア・ソーリア(p3p000062)!

「登録名はギンシャリオンとの事ですが……おや、レーンに乗っているのは白く輝く銀シャリだけ。他に何も乗っていないぞぉ!」
「これでは物足りませんが……?」
「いいえ、仕上げはこれからですの!」

その言葉通り、ノリアは銀シャリの上によじ登り、そこに身体を横たえる。その姿はさながら。

「なんと! ノリア選手自らがギンシャリにオン!」
「鼈甲のような味わい深い色味のタレを身に纏ったその姿、さながら穴子ギンシャリオンといった所でしょうか。すごく美味しそうです」
「食べないで欲しいですの!?」

ーー『めいど・あ・ふぁいあ』クーア・ミューゼル(p3p003529)!

「そのクーア選手のマシン『マエヴェリィロール』は、選手自らが設計、作成、カスタマイズしたとの事ですが……あれは何でしょう?」
「具材にマグロ、キュウリ、錦糸卵、海苔を巻き込み、更にサーモンを配置。しかもチリソースでレースをピリリと熱くする。質量ともに申し分ないですね」
「なんて欲張りなんだあ。その分トラブルが心配ですが……?」
「それよりもスシレースとは。寿司を回すとか食べるとかじゃなく走らせるとは……???」

ーー『遅れてきた超新星』リオリオ・S・シャルミャーク(p3p007036)!

「タコの人魚に寿司になれって死刑宣告か何か?」
「『octoboard』! 分厚いタコ部分、そして機体側面の吸盤部分で、クッション性の両立を図ったとの事です」
「あれだけパワーがあれば、並の機体に当たられてもまずびくともしないでしょうねぇ」
「安定感の分瞬発力には劣りますが、流線型が極力空気抵抗を抑えてくれて、けして悪くない勝負になるでしょう。ツメがどう影響してくるかも楽しみですね」
「……っと、ちょっと待ってください、あれは何だぁ!?」

ーー『改造人類』イザカ・VⅢ・モリス(p3p009602)!

「一見するとギンシャリオンとネタ被りしているように思いますが……あのマシンからは何かただならぬ物を感じます」
「『3RI』そのものに特別な細工は無いように思えますが……気になるのはその足場にある寿司下駄ですね」
「このレース、荒れるかもしれませんよ」

イレギュラーズ含む選手紹介は、これにて締め括られた。後はそれぞれの意地とプライドを賭けて走るのみ!

「それでは、いざ!」

ーーHey,All,Muuuuuuuuuuuch!!!!

スシレース定番のスタートコールと共に、各シャリ、一斉に駆け出した……!

●いざ、スシレース

 先頭は3ギンシャリオン、MAG−Road。それを少し離れて3RI。更にSALMON、TACHI-WARS、マエヴェリィロール、octoboard、E・Crushが順に追う展開だ。しかし、突如動きを見せたのはE・Crush。なんと、機体の一部分たるプチプチを投げつけ、破裂させてきた!

「ああーっと、ここでE・Crushの秘密兵器ボムが炸裂、SALMONとTACHI-WARSがクラッシュ! しかしE・Crush自体も自爆だあ!」
「いつもの妨害ですねぇ」
「しかしoctoboard、マエヴェリィロールの重厚なボディにはまるでダメージがない、先頭の3選手にはそもそも届いてなあい!」
「おっと、後方の動きを見てイザカ選手が何か仕掛けるようですよ」

その言葉通り、イザカは立ち上がり、不敵に笑って見せる。そしてこうコールするのだ。

「竿留のお爺さん、漁馬、鮠人、蒸刺。今迄の恩、竿留研究所の代表代理として返させて頂きます!」
ーーチェンジ!スシゲッターKATU0!!

「なんと、3RIの乗る寿司下駄から新鮮な切り身が射出されて……シャリに乗ったァァァァァァ! レース中にネタを変えるとは、こんなのありなのかあ?」
「今情報が入りました、イザカ選手が使用しているオプションパーツ『サシミトレーラースシゲタ』は、選手のコールに応じて適切なパーツが射出されるようです。作は竿留研究所との事」
「なんと、来期以降禁止となるパーツでギリギリの線を攻めてきましたか」

しかし、その勢い取り残されるイレギュラーズではない!
マエヴェリィロールが、負けじと更にエンジンをふかし先頭集団に追いつかんとする。しかしそこに文字通り『張り付こう』とするものがいた。

「なんと、瞬発力に劣る筈のoctoboardがマエヴェリィロールと並走しているゥ!」
「見てください、リオリオ選手、吸盤でクーア選手をがっちり捉えています。マエヴェリィロールの馬力にピッタリくっつき引っ張られている、しかもツメが利いてなかなか引き剥がせない!」
「ちょっとおおお! そんなのずるいですよぉ!?」
「海の世界は弱肉強食なのよ! タコの圧倒的なパワーを思い知るがいいわ〜!」

言い争いながらも二人のマシンは絶対王者MAG−Roadさえも突き放し、勝負の行方はいよいよイレギュラーズ4人に託された。

「ここから更に突き放しますよ、『チェンジ!スシゲッターANA5!!』」
「ああっと、イザカ選手、今度は穴子パーツにチェンジだあ、マシンに更にパワーと加速力を与えていくぅ!」
「しかし穴子と聞いてはギンシャリオンも黙っていない!」
「もちろん、ですの!」

タレが潤滑剤となり、登り坂を勢いよく駆け上がり、続く下り坂を軽やかに滑り降りていく。その動きに全く空気抵抗は感じられず、常に安定したスピードを生み出すノリアは現在の先頭集団で随一とも言えるだろう。しかし、3RIに乗った4ME3VAが、最高級のトップスピードでそれを突き放し、トップに躍り出た。
レースは終盤に差し掛かろうとしていた。

最後の勝負をかけようと、イザカは再び、大きく腕を振り上げる。……オプションパージ、その合図だ。

しかし。

「させないっ!」

そこに自身へのダメージをも恐れぬ、octoboardの体当たりが突き刺さる!

「ぐあああ!!!」
「ああっと、パーツをパージした隙を突かれてしまったァ! 一方当てに来たoctoboardは、体当たりの勢いのまま突っ走る! まさに弱肉強食、どんどん相手を食っていくう!」
「最後はマエヴェリィロール&ギンシャリオンとの並走だあ!」
「勝つべくして勝つのが王道、質量は覇道。やるからには全力なのです!」

そう言ってクーアは一瞬速度を落とし、ノリア&リオリオとの距離を一瞬空ける。このままでは取り残されてしまうが……なんと、二人の合間を裂くように、突如急加速、ぶつかっていく!

「きゃああああ!!???」
「ですのおおお!!???」

マエヴェリィロールの超重量に当てられては、並の機体などひとたまりもない。

「ああっと、さダメージの蓄積していたoctoboard、ここでダウンだあ! ギンシャリオンの姿も見えない、弾き飛ばされてしまったかあ!?」
「やったか!?」
「……いえ、まだですの!」

モクモクと上がる砂煙。それを割るように飛び出してきたのは。

「なんと、装甲の薄い筈のギンシャリオン! 最も無防備なはずのノリア選手、まだ活きている!」
「……ちょっとやそっとの怪我なんかでは、わたしを倒すことなんて、できませんから」

ーー自然界とは、弱肉強食……命を削ることで得られる命も、あるということを、この場で、証明してみせますの!!

そう、機体そのものは無防備な分、搭乗者たるノリアの生命力たるや計り知れない。
削る命があってこその体当たりの作戦だ!

「くぅ、だったら最後は正々堂々、フルスロットル勝負を!」
「望むところですの!」

純白の中に琥珀が煌めく機体と、赤がピリリと雰囲気を引き締めるマシン。最後は両者の一騎打ちとなった。
しかし。

「あああああ!! 最後の最後にエンジントラブルぅう!?」
「何ということだクーア選手、運命の女神に見放されてしまったのかあ!?」
「いただき、ですのっ!!」

勿論、致命的な隙を彼女が逃すはずもない。

「大混戦の中、『あがり』を決めたのは! ノリア選手ゥゥゥゥ!!!」

●表彰台にて

「では、まずは優勝のノリア選手へインタビューを」
「はっ、はい! わたしは、イッチョウ世界の、皆様に、アナゴが、けっして、ウナギの代用品などではないということを、お伝えできたでしょうか……?」
「穴子だからこその味わい深い勝利だったと思います、おめでとうございます!」

「続きまして、惜しくも2位となったクーア選手!」
「くう、大事な所でポンコツしちゃって悔しいのです。次こそ王道で突き進んで見せます!」
「はい、楽しみにしております!」

「リオリオ選手、終盤は大変惜しい結果になりましたね」
「そうね……けど、どうか一つだけ言わせて。舌でとろける物もいいけど、ごはんはちゃんと噛んで食べるのよ、よいこたち!」
「ありがとうございました!」

「尚、今回代表代理としてイザカ選手を擁していた竿留研究所は、スシレース協会による厳重注意処分を……」

 こうして、今期のスシレースは熱狂のうちに幕を下ろした。
しかし、何故スシが走るのか。本来出場する筈だった選手達が、何故同時多発的に体調を崩したのか。その謎は今以て溶けていない。
まだまだ陰謀と謎が渦巻くスシレースを、またいつか駆け抜けてくれ、イレギュラーズ!

成否

成功

状態異常

なし

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