シナリオ詳細
<フルメタルバトルロア>唸れ鋼のエクスギアEX
オープニング
●超強襲用高機動ロボット『エクスギア・エクス』!
空を舞い、大地に突き刺さる無数の十字架。
城を焼く火矢の群れがごとく現れたそれらは、棺のうちに秘めた戦士を解き放つ――の、ではなく。
「エクスギアEX――起動します」
棺に収まったゼロ(p3x001117)が棺内に展開した操作レバーを握り込むと、蓋裏面から展開した魔道立体ウィンドウ群に周囲の風景が映し出される。
無数の、そして様々な形状の歯車が噛み合わさる音と聖祈エンジンの聖なる歌声があわさり交響曲めいた音楽が組み上がる。
棺は全身をフルに使うタイプのコックピットとなり、十字架にオプションされた複数のパーツが変形。キャタピラと大砲。そして頑丈な装甲に覆われた大型装甲車のそれへと変化した。まるでゼロがEvolution変化する装甲車をそのまま巨大化させたような、重厚かつ美しい白銀のタンクである。
走り出すエクスギアEXゼロ専用機。対抗するは鋼鉄大手軍閥に属するエリート兵士たちだ。彼らもまた戦闘用ロボットへと乗り込み、携行の難しい大型機関銃を乱射。
ゼロ機は装甲でそれを弾きながら突進――しつつアトラス対戦車砲を発射した。
巨大シールドを展開するロボットが滑り込み、砲撃をギリギリ防御――いや、しきれない。溶けた装甲の裏で、ロボットがバラバラに崩壊。エリート兵は投げ出され、その横をゼロ機が駆け抜けていく。
それだけではない。
「WYA7371(p3x007371)――EXパッケージ装着完了」
「IJ0854(p3x000854)――EXパッケージ装着完了」
アバターのサイズ、形状、特徴、その他様々な部分に対してカスタムメイドされたロボット(エクスギア)は、元のアバターが二足歩行戦車であるWYA7371&IJ0854にも適したボディが提供された。
つまりは――。
「WYA7371EX、出撃します」
細部のデザインをややかえつつも、元のWYA7371を大型化したようなロボットが走り出し、展開したビームビットで一斉射的。
と同時にWYA7371EXもまた大型ガトリングガンを撃ちまくった。
目指すはモリブデンスーパーアリーナ。
目的は、人質解放。
●これまでのあらすじ
鋼鉄国でめきめきと頭角をあらわす軍閥ゼシュテリオンは次期皇帝と名高いヴェルスを中心とした軍閥である。移動要塞ギアバジリカから十字架型強制出撃棺エクスギアによって出撃していくイレギュラーズたちは多方面での活躍を見せ、鋼鉄国に蔓延る悪意あるバグことシャドーレギオンたちを次々と撃破。彼らを正気に戻し、その一部は仲間となった。
そうやって高められた力はギアバジリカに力をもたらし、それまで使うことのできなかった機能のアンロックにも成功したのだ。
「それがこの――ギアファクトリーによる改造機能だ!」
拳を握りしめ叫ぶショッケン・ハイドリヒ。彼曰く、戦いのなかで回収したパワードスーツやこれまで出撃に使用したエクスギア、他にも魔道バイクやバギーなど様々なメカを集め、高速で新たなメカへと改造してしまう夢のマシンである。
「このマシンを使えば、今から出撃する君たちに完全フィットしたエクスギアオプションロボット……つまりは『専用機』をこしらえることもできるだろう!」
といっても、出撃作戦がたつたびに作ってはバラしを繰り返すので継続使用には向かないが、この一回だけでも専用機を乗り回せるというのは魅力的である。
「その専用機を……今回の作戦で早速使おうというわけですね?」
そう語ったのは、腕組みをして壁によりかかるゼロだった。
「いかにも。スズ=レーム殿を救うには、エクスギアを改造したロボット――エクスギアEX(エクス)を使うしかあるまい!」
スズ=レーム。鋼鉄国における伝説的ファイター、閃電ことバルド=レームの妻である。
彼女がある日攫われ、その身柄を条件にバルドを己の味方に引き入れようとする軍閥が現れたのだ。
「どこの軍閥かは分かっていない。だが、こんな卑劣なマネは許されない! 愛を人質にとり望まぬ戦いをさせるなど、鋼鉄軍人にあるまじき行為だ! 今すぐにでも突入してスズ殿を救い出…………したい、気持ちは、山々だが……」
徐々に語調が弱まるショッケン。それも無理からぬ。なぜならスズが囚われている闘技場モリブデンスーパーアリーナには同系のエクスギアロボットに乗ったエリート兵たちががっちりと守りを固めており、警戒能力の高さからも侵入は不可能。
「唯一の救出方法は、正面からの攻撃――突破! そして破壊のみだ!
ククク……卑劣な軍人もどきめ、人質作戦などというマネをする腐った根性を鋼の拳でたたき直してくれよう! さあ征くのだ、貴君の専用機はできあがっているぞ!」
あがるシャッター。そこには戦闘形態にわざわざ変形したエクスギアエクスイレギュラーズ専用機が、重厚に立っていた。
- <フルメタルバトルロア>唸れ鋼のエクスギアEX完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2021年08月02日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●エクスギアエクス
本来ならば砲弾のごとく発射され十字架型に展開し次々に大地へ突き刺さる筈のエクスギアは、折りたたまれた手足を空中で展開し大地へ着地。
かろうじて人型のボディをした『人型戦車』IJ0854(p3x000854)&『人型戦車』WYA7371(p3x007371)――否、二人をそのまま拡大したような人型ロボットエクスギアエクスがゆっくりと身体を立ち上げ、両目をギラリと同時に光らせる。
「おはようございます。私はIJ、貴方の健康を守ります」
「さあ、Step on it. さっさと終わらせましょう」
場所はモリブデンスーパーアリーナ。馬車やジープを駐車するための広大なスペースは防衛陣地として改造されていた。並んだ無数の棺に手足を装着した量産型エクスギア『アルドー』。乗り込んだエリート兵たちの一人がサングラスを下ろして吼えた。
「ゼシュテリオンの犬どもが! 専用機なら勝てると思うなよ!」
常人では担ぐことも難しい大型サブマシンガンを抱え、一斉に乱射するアルドーたち。
対するIJ0854(もといIJ0854専用機)は四連装ガトリングアームを盾のようにかざして弾幕をはねのけると、肩に背負っていたミサイルランチャーから次々にホーミングミサイルを発射。
次々におこった爆発の中でWYA7371の大型ビットが展開。アルドーたちを撃滅していく。
二人がかりでクリアされた駐車場防衛基地。ガトリングアームとレーザーブレード出力装置をがつんとぶつけあう二人。
そこへ脚部のマジカルウィングを羽ばたかせゆっくりと着地した『妖精勇者』セララ(p3x000273)の専用機『グレートメカセララ』が現れた。
「あれっ? もう終わっちゃったの? 颯爽と現れて活躍したかったのに」
元々のセララが小型なせいもあってかグレートメカセララもIJ0854たちと比べてだいぶ小柄だった。それでも性能差はあまりないように見える。
その横で不思議なホバリングをかけながら地面からわずかに浮いた形で着地する『硝子色の煌めき』ザミエラ(p3x000787)専用機。エクスギアEX・モデル=Mariaである。
チャコールブラックのボディを中心に、頭部から伸びた金色の帯が全身を覆うことでどこかまるみを帯びたシルエットをしたエクスギアエクスだった。
帯の動きのなめらかさゆえか、長髪の少女のようにも見える。
「野外の待機戦力でしょ? 活躍はこれから。モリブデンスーパーアリーナに入ってからだよ」
ザミエラ機が闘技場を指さすと、大きなガレージがまるでこちらを拒むように閉じられていた。
あの先に先ほどの量産機が山ほど詰まってこちらを待ち構えているだろうことがわかった。
そこへ人型形態で着地をかける『よう(´・ω・`)こそ』ゼロ(p3x001117)の専用機――エクスギアエクスゼロ。
「こ、こんなものをいつの間に造ってたの!」
元々のエクスギアを変形させたコックピット内で操縦レバーを握って息をつくゼロ。
まるで枯れた砂に雨がふるように、体を突き動かす衝動にかられていた。
蒼銀の女性型シルエットをもつ人型ロボットだが、翼状の可変装甲で体を覆い変形することで装甲車形態へとシフトできるようだ。
(そして武装。父さんのように速く、雷のように速い剣士になりたいと思っていたからかな。
こ、これだけの近接武装を使いこなせるのか……いや、使いこなしてみせる!!)
そこへ走ってくる漆黒の軍馬型エクスギアエクス。『汎用人型機動兵器』Λ(p3x008609)の専用機だ。
ブレーキをかけることなく跳躍すると、変形しながらぐるんと宙返りをかけ着地。スリムな人型へとかわった。
「魔導重装『黒麒』――高機動な可変機をオーダーしたけど、うまくいったみたいだね」
コックピットもラムダのオーダーにこたえて単車のシートを摸していた。シートに跨がり前屈みにハンドルを掴む独特の操縦姿勢である。
「人質を取るような輩は一切合切諸共に破壊して腐った根性を叩き直せだってさ?
か~な~りお怒りな感じだったよ」
おそらくは非戦闘員なのだろう、物陰からこちらをチラチラ見ていた人間達を横目に見下ろすと、彼らは降参して両手をあげた。拘束だの連行だのはゼシュテリオンから送られるサポートスタッフに任せればいいだろう。
「さ、行こうか皆」
「了解!」
「作戦目標、人質の救出、及び敵の殲滅――」
左右に並ぶエクスギアエクス。『航空海賊忍者』夢見・ヴァレ家(p3x001837)専用機は赤いボディに蠍のようなマニピュレーターがついた人型機だった。蠍らしさというべきか先端部には赤熱したブレードが接続されている。
「ヨハン殿の母君ですか……儲けにならないことはあまりやらない主義なのですが、ヨハン殿とは知らぬ仲でもありませんし、後味の悪い事態になるとご飯が美味しくないですからね。
安心して、拙者に借りを作って下さい! いえ、すぐにお礼を頂く必要はありません。末永くじわじわとタカりますので!」
固く閉じられたシャッターへと走ると、『蠍の尾』を放ってX字にシャッターを切り裂いて蹴り飛ばす。
その先にやはりアルドーたちが待ち構えていたが、飛び込んだ『鉄騎魔装』鬼丸(p3x008639)専用機こと『鎧闘騎兵アハト』。
「任務開始。鎧闘騎兵アハト、ユナイトアップ……!
ドリルブーストアーム、射出!」
SDフォームの鬼丸をそのまま大型化したようなボディで弾幕を受けると、左腕ドリルアームを起動。ジェット噴射によって発射した。
発射されたドリルはアルドーを一撃でぶち抜くと、独自にターンして鬼丸機アハトの左腕へと収まる。
開いた通路に邪魔するものは、もういない。
突き進むのみだ。
●鋼を駆る騎士
通路を駆け抜けるのは容易だった。一本道での防戦は遮蔽物が少なく防衛戦力を無駄に消費することを敵の将が知っているからだ。閉じた扉の裏にだけ、奇襲が成功したなら機能するであろう戦力をギリギリの数で配置したのもいやらしい。
「で、あれば――」
狭いコックピットの中で閉じていた目を開く紫髪の少女。操作レバーを握りこむと3m近い人型ロボットIJ0854が動き、がしりと超大型サイズのコックピット内で専用にカスタマイズされたレバーを握りこむ。
馬車を踏み潰すほどの大きさをもつIJ0854型エクスギアエクスが二段関節の脚にグッと力を込め、スラスター噴射によって走り出した。
「ヴァレ家、突破の準備を」
IJ0854機は通路を抜けると同時に四連装ガトリングとミサイルポットを乱射。狙いは通路出口の『両脇』に潜んでいたアルドーたちである。
量産機アルドーとこちらの個体戦力差は歴然。しかし直接的にブロックされれば確実に足止めを食らう。こちらよりも歴然と低いコストで。
そこへ集中砲火を浴びせるなり各個撃破を狙うなりするところだ……が、そうはさせない。
奇襲に失敗したアルドーたちが爆発するなか、改めて前方へ回り込んできたアルドーめがけヴァレ家機が背から伸びた『蠍の尾』を振り込んだ。
機体の胸部に突き刺さった赤熱の刃から特殊なデータ体が流し込まれ、ぼこぼことふくらんだアルドーが爆発。その破片が扇状に広がり更に後方のアルドーたちが転倒した。
「おやおやー、随分とノロマな機体ですね。本当にやる気あるんですか、それ?」
ぴょんと跳躍し、体操競技でいう三回転四ひねりをかけると転倒したアルドーの顔面を踏み潰す。
「ヴィクトリーロードを切り拓きました。今です、ザミエラ」
爆発するアルドーの横を駆け抜けるWYA7371機とザミエラ機。
すべてのビットを展開。激しい発光と収束音をおこすWYA7371機。ビットから発射されたエネルギーバレットが次々とアルドーを打ち抜くなか、ザミエラ機もまた頭部に開いた無垢な少女の瞳めいたレーザーレンズより黄金のビームを発射。拡散したビームが、盾を構えるアルドーを押し込んでいく。
行く手を遮ったチームはどうやら防御に特化したチームのようで、両手に持った盾や翼状に展開する増加装甲によってこちらの攻撃をなんとか凌ごうと耐えている。
味方の合流まで足止めするつもりだろう。
「レディを人質に取った上にそれで旦那さんを従えようだなんて、意地も誇りもないのね? ひん曲がった性根を真っ直ぐに鍛え直してあげるわ!」
が、その盾をザミエラ機の放つ黄金の帯が突き刺すように貫通し、そのまま相手に絡みつけた。ふしぎと伸縮するその帯を引っ張ることで急接近をかけたザミエラ機がアルドーを蹴り飛ばし、そうして開いたラインから鬼丸が跳躍した。
否、飛躍した。
「レッグオメガスラスター、オン……!」
背部に接続されたスラスターより激しく噴射をおこした鬼丸は空高く飛び上がり、眼下を確認。
こちらを見上げるアルドー部隊と、闘技場裏から遠回りをして合流を目指す部隊。そしてこちらにピッタリと拳を向けるセルゲイ専用アルドーの姿。その後ろにて巨大な鳥籠状の檻に入れられたスズ=レームの姿。それらにすべて戦術ウィンドウ内にてマーキングを行うと右腕に備えたバスター砲を構えた。
「魔力収束、アハトバスターキャノン発射……!」
防御の外。もとい頭上から打ち込まれた砲撃によって見出された防御アルドー陣。
「場も温まってきた事だしボクも本気で征くよ?
黒麒……騎馬形態へ移行。疾風れ黒麒!」
その隙をつくかのように、ラムダ機が軍馬形態へ変形し展開した魔道砲でアルドーたちを貫きながら跳躍。頭上を越えていく。
その背に乗ったのはセララ機。グレートメカセララである。
「人質を取るなんて鉄鋼らしくないよ。そんなのは全然、鉄鋼じゃない!
君達が軍閥なら! 鉄鋼を守る軍人の一人だと言うのなら!
正義を胸に抱き、国民を守るために戦うべきだよ!
それがボクの知っている、鉄鋼の格好良い軍人なんだ!」
狙うはひとり。セルゲイ機である。
特別に蒼く塗装され頭部に一本角をそなえたセルゲイ専用アルドー。他の量産機と比べマッシブなフォルムと大きなパンチアームを備えている。
「言葉だけじゃ伝わらないなら、鉄鋼の流儀で行くよ!
正義の想いをこの一撃に込めて! 究極! スーパーセララキック!!」
ラムダ機によってとった高度をいかし、流星のごときキックを繰り出すセララ。
セルゲイ機はそれに対してパンチで答えた。
両者の激突によって生じた光が衝撃波となっていびつな放射状に広がっていく。まるで一個の細胞が分裂する瞬間のような形状と勢いをもって爆発的に発散されたエネルギーが、すぐ近くへ加勢にやってきたアルドーたちを一度吹き飛ばしすらした。
そこへまっすぐに突っ込む装甲車。否、装甲車形態をとったエクスギアエクスゼロだ。
「無限の刃、インフィニットエッジ展開!」
片腕で砲弾を打ち落としながら飛び退くセルゲイ機。
ゼロ機は素早く人型に変形すると――。
「無限の刃、インフィニットエッジ展開!」
無数のビットが背より飛び出し、ビームソードを出力。
「セルゲイ――『雷と戦った事はあるか?』」
「その言葉。貴様、まさか!?」
咄嗟にセルゲイが構えを変えた。ゼロにただならぬ気配を感じたという、戦士としての獣のカンだ。だがそれをもたなかった、もしくは気づけなかったエリート兵の量産機アルドーたちはゼロ機へ殺到し――そしてそのすべてが切り裂かれた。
爆発四散するアルドーたち。よくみれば、コックピットであるエクスギアが脱出ポットの役割を果たしはるか遠くへと飛び去っていくのが見えた。コックピットの中でほっと息を突いてしまうゼロ。首を振る。
そしてゼロ機はセルゲイへ剣を向けた。
(セルゲイにも鉄の一族、熱い血が流れているはずだ!
その血脈を裏切って戦いの場に利用する事はあるまい!させないけどね!!
ボクの弱さと……この戦いに決着をつけてやる)
セルゲイ側の部隊が合流を果たしたようだ。先ほど突破した通路から、挟み撃ちを仕掛けるように続々とアルドーが流れ込んでくる。中にはもてるすべての武装をのっけたフルアーマーアルドーも混ざっていた。
つまり――。
「メインステージはここから、というわけですね」
ヴァレ家がギュンッと機体を180度前後反転させ、後方のアルドー部隊へと構えた。
●鋼に魂、正義に光
「さて、ここはこのヴァレ家にお任せあれ! 報酬のお酒、楽しみにお待ちしていますね!」
ヴァレ家機はアルドー部隊へと飛びかかりながら変形。ホバー飛行する蠍めいたフォームをとると、アルドーたちによるサブマシンガン射撃やバズーカ砲をらくみにはねのけながら彼らの間を駆け抜け、そしてかき乱していった。
「こちらは動いているだけでエネルギーが減る仕様なんで……ゆっくりお茶してるヒマはないのですよ!」
その間にもザミエラ機がセルゲイたちを回りこみ、ゲージを掴んですり鉢状の観客席へと跳躍。
「はろー、あなたがスズ? ゼシュテリオン軍閥が助けに来たわよ。旦那さんじゃなくてがっかりした?」
ゲージのなかのスズが傷つかないようそっと解放してやると、スズは振り返った。
「ありがとう。けど、いいえ……」
視線はゼロ機へと向けられている。
「あれは、きっと……」
フルアーマーアルドーは量産機ながらも強敵だった。
何発ものアルドーバズーカを一度に発射し、背部から伸びたマニピュレーターによって増幅されたマシンガンや対艦ミサイルが闘技場の床を物理的にひっくり返そうと猛烈な射撃をしかけてくる。
舞い上がる粉塵と土と石のタイル。その中を、鬼丸機とラムダ機はそれぞれ走り抜けた。
「ここは奥の手を使う時じゃないかな?」
「奥の手……ん、そうだね。『鉄騎魔神モード』!」
鬼丸機はレッグオメガスラスターをパージ。更にエクスギアに拡張する形で接続していた無数のパーツをパージすると、規則正しくそして素早い動きによって組み替えていく。
できあがったその姿は、リアルモードとでも言うべき等身の鬼丸機へと変化。軍馬形態のラムダ機へと跨がると、背部から伸びた刀型武装とドリルブーストアーム、アハトバスターキャノンをそれぞれ連結させた馬上槍型の武装を完成させた。
「人質なんて卑怯な手で得た勝利で、本当の平和が得られると思ってるの……?
その歪んだ願いごと、鎧闘騎神アハトオメガが打ち砕く……! オメガユナイト!」
猛烈な射撃をラムダ機のすさまじい機動力で回避しながら突き進み、回転を始めるドリルと槍、そして生まれる強力なエネルギーによって二人は巨大なアローヘッドとなり。フルアーマーアルドーをその大量の武装ごと貫き爆発四散させた。
「ここからが本番だよ。おやつリミッター解除!
ドーナツ融合炉、出力120%! 誰かを守るためなら、ボクは限界を超えてみせる!」
顔面を隠していた鉄兜風のパーツをオープンさせ、更に複数の鎧型のパーツをオープン。各部で隠れていたカラフルなパーツが露わとなり、虹色の光を解放する。その中心となっているのは胸に輝くドーナツ型のエネルギー炉だ。
「グレート・ギガセララブレイク!」
セルゲイ機へとたたき込まれる衝撃。
両腕でガードし飛び退くことでダメージを逃がしたセルゲイ機は、観客席を踏み潰すかたちで着地した。
が、逃がしはしない。IJ0854とWYA7371が同時にその目を輝かせた。
「――ウエァユ、頃合いです。正しさとは、浪漫とは何かを見せつけるときです」
「了解、アイジェイ。アクセスファンタズム──承認」
IJ0854のガトリングアームやミサイルポッドがパージされ、脚部が長く展開。
と同時に飛び上がったWYA7371がビームソードとビット兵器を連結させ、折りたたんだ脚とIJ0854の肩部を連結させていく。IJ0854背部から離れたパーツが最上部へ、ガトリングアームとビームビットたちそれぞれが変形したパーツが両手を形作り、ぐわりと力をもとめるかのように爪をたてた。
できあがったのはあまりに巨大な、二機合体型エクスギアエクスの姿であった。
「な、なんだと……!?」
「どうです。貴方は我々を見て何を感じましたか。羨望でしょうか、それとも、希望でしょうか。それを感じたのなら、貴方の願い(WISH)があるはずです。思い出して下さい」
「覚えておきなさい、セルゲイ。正義のロボットとは……合体するものなのです」
がしりと両手を組み合わせたことで生まれたエネルギーと、連結された武装によって作られたすさまじい砲撃があわさりセルゲイ機へとたたき込まれる。
「食らいなさい。これが、エクスギア──エクスの、力です」
耐える――ことは難しい。なぜなら、その中央を勇敢に走るのはゼロ機の姿だったからだ。
その鮮烈なまでの勇敢さに、セルゲイはつい防御のための両腕を下ろしてしまった。
誰もが憧れる『閃電』の姿を、そこに見たから。
「紅蓮の咆哮! ヴァーミリオン・ロアーッ!!」
戦いの決着は、轟音と共に。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
あとがき
――クエスト完了!
――セルゲイ部隊を打倒し、DARK†WISHを払いました。
――正気を取り戻したセルゲイ部隊がゼシュテリオン軍閥へ加わりました!
――セルゲイ部隊の加入によりエクスギアエクスの製造能力がアップしました!
――戦いの最後はロボットをバックに全員集合して写真をとりました
GMコメント
エクスギアエクスイレギュラーズ専用機とは!
イレギュラーズの体格、特徴、能力に完全フィットして作られた大型ロボットである!
主に人型をとるが、戦車型やクラゲ、狼、恐竜、ドラゴンなど――搭乗者の特徴をとらえた形状をとるのだ!
●超強襲用高機動ロボット『エクスギア・EX(エクス)』
エクスギアEXとは大型の人型ロボットであります。
『黒鉄十字柩(エクスギア)』に附随した大型オプションパーツを超複雑変形させそれぞれの戦闘ロボット形態へと変わります。
搭乗者の身体特徴や能力をそのまま反映した形状や武装をもち、搭乗者にあわせた操作性を選択し誰しもが意のままに操れる専用機となります。
能力はキャラクターステータスに依存し、スペックが向上します。
武装等はスキル、装備、アクセスファンタズムに依存しています。
搭乗者のHPがゼロになると破壊され、多くの場合爆発四散します。
搭乗者が装備する剣と同様の剣で斬りかかったり魔術砲撃をしたりと、搭乗するキャラクターによってその戦闘方法は変わるでしょう。
もしお望みであれば、普段と違うデザインをオーダーしてみるのもいいでしょう。
※すべてが専用にカスタムされているため、別の人物が乗り込んだり敵のエクスギアを鹵獲し即座に使用することはできません。逆もまた然りです。
●作戦
モリブデンスーパーアリーナ前へエクスギアを着弾させ、その場で変形。
防衛部隊を倒しながら強行突破し、闘技場内へと飛び込みます。
闘技場は屋外タイプのフィールドで、そこにスズ=レームが人質として囚われています。
●エネミーデータ
・アルドー
ある軍閥にて開発された量産型エクスギアEXです。
訓練さえすれば誰でも乗りこなせる操作性と汎用性、標準的かつカスタマイズ豊かな武装が魅力。
ただし全体的に低スペックであり、こちらの専用機とは比較にならないでしょう。
そのためとにかく数を揃えてぶつかるスタイルをとり、物量でこちらを押し切る戦法をとろうとします。
標準武装はカトラスとアサルトライフルですが、機体によってバズーカや長距離ライフル、ミサイルランチャーや展開式増加装甲などを装備する場合があります。
・セルゲイ専用アルドー
量産型エクスギアEXアルドーをサンドイエローに塗装し専用のパンチンググローブやマルチスラスターを装備した格闘型エクスギア。
この軍閥に属するセルゲイ・セルアスキーが搭乗しています。
これはPCの知らない情報ですが、セルゲイたちは軍閥もろともDARK†WISHに歪められており鋼鉄国の平和のためにどんな手を使ってもゼシュテリオンを倒そうと目論んでいます。
倒せばセルゲイの正気が戻りその辺の事情を話して協力してくれるかもしれません。
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●ROOとは
練達三塔主の『Project:IDEA』の産物で練達ネットワーク上に構築された疑似世界をR.O.O(Rapid Origin Online)と呼びます。
練達の悲願を達成する為、混沌世界の『法則』を研究すべく作られた仮想環境ではありますが、原因不明のエラーにより暴走。情報の自己増殖が発生し、まるでゲームのような世界を構築しています。
R.O.O内の作りは混沌の現実に似ていますが、旅人たちの世界の風景や人物、既に亡き人物が存在する等、世界のルールを部分的に外れた事象も観測されるようです。
練達三塔主より依頼を受けたローレット・イレギュラーズはこの疑似世界で活動するためログイン装置を介してこの世界に介入。
自分専用の『アバター』を作って活動し、閉じ込められた人々の救出や『ゲームクリア』を目指します。
特設ページ:https://rev1.reversion.jp/page/RapidOriginOnline
●フルメタルバトルロア
https://rev1.reversion.jp/page/fullmetalbattleroar
こちらは『鋼鉄内乱フルメタル・バトルロア』のシナリオです。
・ゼシュテリオン軍閥
ヴェルスが皇帝暗殺容疑を物理で晴らすべく組織した軍閥です。
鋼鉄将校ショッケンをはじめとするヴェルス派閥軍人とヴァルフォロメイを筆頭とする教派クラースナヤ・ズヴェズダーが一緒になって組織した軍閥で、移動要塞ギアバジリカを拠点とし様々な軍閥と戦います。
・黒鉄十字柩(エクスギア)
戦士をただちに戦場へと送り出す高機動棺型出撃装置です。
ギアバジリカから発射され、ジェットの推進力で敵地へと突入。十字架形態をとり敵地の地面へ突き刺さります。
棺の中は聖なる結界で守られており、勢いと揺れはともかく戦場へ安全に到達することができます。
・移動要塞ギアバジリカ
クラースナヤ・ズヴェズダーによって発見、改造された古代の要塞です。
巨大な聖堂が無数に組み合わさった外見をしており、折りたたまれた複数の脚を使った移動を可能としています。
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