PandoraPartyProject

シナリオ詳細

Candy Candy!!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●アメ降り
「アメが降るのです」
 『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)から告げられた言葉に、イレギュラーズ達は顔を見合わせた。
 それって普通のことじゃない? ……と。
「アメって天気じゃないですよ。こっちなのです」
 そう言ってユリーカが掌に何かを転がせる。
 両端で捻られた包装紙のそれはキャンディ。
「皆さんもおひとつどうぞなのです」
 ひょいひょいと1個ずつキャンディを手渡される。
 恐る恐る口に含んでみれば、ただの変哲も無いキャンディで。
 ただ、口の中でスッと消えて甘さのみが残る。
「甘い……」
 誰かがそう呟くと、ユリーカがにっこりと笑った。
「美味しいですよね。このアメが、海上でいっぱい降るって予測がついたのです」
 聞けば、このアメは生き物なら食べられるとのこと。
 それは勿論、海洋に棲まう凶悪生物も含まれる。
「甘いものはエネルギーなのです。これを食べて暴れられたら船なんてひとたまりもありません。なので、皆さんにはこれを……アメをできるだけ回収してきて欲しいのです!」

●被害はすでに
「おい、船が傾いてるぞ!」
「船の底だ!」
「だめだ、剝がせねぇ!!」
 1隻の漁船。その上で男達がいつになく騒いでいる。
 波で揺れるであろう船体は、波に拠らない原因でもって大きく傾いていた。
「総員、海に飛び込めー!!!」
 船長と思しき声が上がり、次いで海面に飛沫が上がった。
 必死に泳いで船から離れる船員達。十分に離れきった場所で後ろを振り向く。
「ああ……」
 誰かがため息を漏らした。
 横倒しになり、沈んでいく船。その底に、魚の鱗が見えた気がした。

GMコメント

●成功条件
無事にアメを回収して帰ってくる

●情報精度
 情報精度はAです。
 想定外の事態は起こりません。

●状況
 まだ飴は降り始めていませんが、飴雲は出現しています。
 船とアメを拾うための網は借りられます。
 船は3隻まで任意の数借りることができます。定員各4名まで。操縦も人を借りることができ、定員に含んでいません。
 網は虫取り網のようなものです。人数分あります。
 波は穏やかなため、カナヅチでない限りは誰でも泳いで岸に戻れます。船には人数分の浮き輪も用意してあります。

●エネミー
○魚っぽい何か×??
 魚っぽい何かです。名前はありません。
 トビウオのように海面を跳ね、カエルのように船体へひっつきます。
 見た目より重いです。小さめなので攻撃は回避しやすいですが、同時にこちらの攻撃も回避されやすいです。
 言葉は理解しません。例年飴拾いの漁船が出ることから、今回イレギュラーズ達が飴を回収しに来たことは理解しているようです。
 今年は例年より沢山の飴が降ることを肌で感じ取っているのか、結構執拗に邪魔してきます。

・攻撃手段
ひっつき:人や船体にひっつきます。数が多いほど船体はそちらへ傾き、沈みます。
とつげき:船員へ向かって突撃してきます。そこそこ痛いです。

○アメ
 ただのキャンディです。包装紙には包まれていません。
 高い場所から降ってくるため、油断しているとダメージを受けます。
 なぜか『口の中に入らないと』絶対に溶けません。
 食べるとちょこっと物攻が上がります。

●飴雲
 あめぐも。
 見た目は普通の雲ですが、よく見るとピンクや紫などの色が付いています。
 ある程度の大きさまで成長すると飴を降らせ始めます。

●ご挨拶
 愁と申します。
 ただの飴拾いと思うことなかれ。難易度はNormalです。
 OPでアメが包装紙に包まれているのは、ユリーカが包んだとか。そんな感じだと思います。
 それではご縁がございましたら、よろしくお願い致します。

  • Candy Candy!!完了
  • GM名
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年07月04日 21時20分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

デイジー・リトルリトル・クラーク(p3p000370)
共にあれ
巡離 リンネ(p3p000412)
魂の牧童
恋歌 鼎(p3p000741)
尋常一様
イリス・アトラクトス(p3p000883)
光鱗の姫
ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)
月夜の蒼
ルナール・グリムゲルデ(p3p002562)
片翼の守護者
マリナ(p3p003552)
マリンエクスプローラー
ミラーカ・マギノ(p3p005124)
森よりの刺客

リプレイ

●雨、飴

 しとしとと飴降るなり。

「……いや、やっぱおかしいってこれ季語じゃないもん!」
 力強い否定をする『魂の牧童』巡離 リンネ(p3p000412)の上を1羽の鳥が通過する。
「雨、じゃなくて飴だしね。ふふ、アメが降るなんて不思議だね」
 その鳥を使役しながら『尋常一様』恋歌 鼎(p3p000741)が楽し気に笑ってロープを引っ張った。
 飴が降ってくるという不思議な依頼。それだけでなく、食べないと溶けないというのだから興味も湧くというもの。
「私のテクニカルな操舵を見せて差し上げましょー」
 『マリンエクスプローラー』マリナ(p3p003552)の間延びした声。マリナのかなり巧みな操縦で飴雲の元まで移動しつつ、一同は回収容器の準備に取り掛かっている。
 生け簀や木箱などの箱と縄を詰み、転倒した際の破損防止に布を敷いてその上に固定していくのだ。
 鼎は固定された木箱へ穴の開いた蓋を置き、更にロープをしっかり引いて固定する。
(まだ、どこかでアメを食べたって個体はいなさそうかな)
 勿論ファミリアーによる偵察も忘れていない。
 『光鱗の姫』イリス・アトラクトス(p3p000883)は箱のおけない隅へ、邪魔にならないよう大き目の袋を設置。これも飴の回収用だ。
 同じように木箱を縄で縛りつけながら、リンネは微妙そうな表情を浮かべている。
(降るものは仕方ないけどさー。それを回収してこい、と。衛生面大丈夫なのかな?)
 いや大丈夫か、大丈夫だろうとリンネは自問自答。
「リンネちゃん、まだ飴は降らねーでしょーか」
 マリアの声に空を見上げ、リンネは「大丈夫!」と返し。
(まぁ大丈夫だよねきっと。床に落ちたものは私は食べなきゃいいだけだ!)
 そう自分の中で折り合いをつけ、「てなわけで行こう、よーそろー!」とリンネの声が船から響いた。

 イレギュラーズの乗るもう片方の船は大層煌びやかな小型旅船。『ビッグドリーム号』である。
「お主、名は何と言う?」
 この船の持ち主である『大いなる者』デイジー・リトルリトル・クラーク(p3p000370)が問うと、武骨な操舵手は「セバ・チャン」と名乗った。
「うむ、ではお主は今からセバスチャンじゃ」
 突然の命名に、しかし操舵手は目を瞬かせたのみで動じた様子を見せない。
 よろしく頼むぞ、というデイジーの言葉に操舵手は前方から視線を逸らさずに頷いた。
 その、甲板で。
「甘いものはエネルギーって、そうはならないでしょ?!」
 船から遠くに見える飴雲を見つつ、『ツンデレ魔女』ミラーカ・マギノ(p3p005124)は声を上げていた。
 飴好き魚はまだ異世界外来種かもしれない、で納得できるだろう。もしかしたらこの世界に元々住んでいるものかもしれないが。
 けれど、飴雲は確実にこの世界のものだ。
「ウォーカーも大概だけど、我が世界ながら無辜なる混沌(フーリッシュ・ケイオス)ホント混沌ね!?」
「まあ名前の通りの混沌だし、何があってもおかしくない。とはいえ………」
 不思議、と呟く『蒼ノ翼』ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)。その上空を1羽の鴉が飛ぶ。
「砂糖の塊が空から降って来るってどういう現象?」
「全くよ! しかも──」
「口の中以外じゃ溶けないっていう謎仕様だしな」
 ミラーカの言葉を引き継いだのは『紅獣』ルナール・グルナディエ(p3p002562)だ。言われてしまったミラーカはこくこくと力強く頷く。
「骨は折れそうだが、俺もこの飴に興味がある」
 これからの季節、飴やチョコレートといった類は溶ける。持ち歩きなどしたら包装紙の中でベタベタだ。
 この飴を調べれば、溶けない仕組みがわかるかもしれない。
「セバスチャンがそろそろ飴雲の元に辿り着くと言っておったのじゃ」
 その言葉に振り向くと、4本の傘を手に持ったデイジーが3人を見上げていた。
 持っていた傘をデイジーはそれぞれに渡し始める。
「アメが降るのに傘を用意しない手もあるまい、賢い妾に感謝するのじゃ」
 デイジーから傘を受け取ったルーキスがぽん、と傘を開いた。
 これをかざしていれば頭に降る飴は回避できそうである。
 再び船の外を見れば、雲はすぐ近く。マリナの船も少し離れた所を移動しているが、飴雲まで間もなくと言ったところか。
「さーて、仕事だ。ルーキスも一緒だし頑張るとしよう」
 そう告げてルナールが手に持ったのは武器でも盾でもなく。
 網、であった。

●飴雲
「リンネちゃん、飴が降りそうなのはどのあたりでごぜーましょー」
「うーんと……あの辺かなー?」
 ぴっとリンネが雲を指差す。マリナがそちらを向くと、雲が重く立ち込めていた。
「結構厚い雲だね。確かに、そろそろ降ってもおかしくなさそうかな」
 鳥の偵察に鼎がそう言葉を漏らす。
 そろそろ網を持つ頃合いか、と各々が網を持って再び空を見た。
 その下へ視線を移動させると……海面を飛び跳ねる、魚っぽい何か。
 トビウオのようでトビウオでない。カエルのようでカエルでない。どう呼ぶべきか困る生き物だ。
 彼らもどうやらもうすぐ降ってくると判断した様子。その一帯だけばしゃばしゃと跳ねる飛沫が凄まじい。
「まだ時間がありそうなら、今のうちに魚の対処をしておきたいね」
 イリスが手をかざすと半透明の障壁が現れる。防御の体勢も万全に船の脇を通った魚へ障壁をぶつけると、攻撃をくらった魚は海の中へ沈んでいった。
 同時に周りと跳ねていた魚達がイリスを向く。
 『やんのか?』とでも言いたげな視線に晒されるも、悪意を隔絶する障壁のあるイリスは涼しい顔だ。
 イリスの背後で、ころん、と何かが転がる音がした。
「降ってきたよ!」
 リンネの声と共にざわりと魚達が動きを変える。海面で細かく跳ねるのを止め、振ってくる飴に向かって大きく跳躍したのだ!
 イレギュラーズも負けじと手に持つ網を伸ばし、振ってくる飴を掻っ攫う。
「いったぁ……あ、でも美味しい」
 リンネは頭に当たって網へ入った飴を1つ口に含み、思わず顔を綻ばせた。だが微かに傾き始めた船にはっと表情を引き締め、飴を掬いながら辺りを見回す。
 魚の動き。張り付く魚のバランス。それらを見て指示を飛ばす。
「皆! こっち側に傾かせようとしてる!」
 リンネの言葉と共に船の側面を1羽の鳥が滑るように飛んでいった。
「マリナ君の近くだね」
 海面に浮かぶ飴を掬って箱へ入れながら、その鳥を使役する鼎が伝える。マリナはしっかりと船の縁を掴み、船の側面へ銃を向けた。
「船を沈ませる相手なら、私の独壇場でごぜーますね」
 そう、ギフト《クラバウター》を持つマリナの船は沈ませない。あとはどれだけ飴を確保できるか。
 放たれた弾幕に魚の何匹かがぽろぽろと海へ落ちる。そこへ追随するのは離れた場所へいたリンネの遠距離用術式だ。
 ばらばらと落ちる魚達。反動で船が大きく揺れる。
「お、っと」
 箱を固定していたロープを引っ張って押さえた鼎、転がった飴を踏んで足がもつれるも命綱に助けられた。
「危ない危ない」
 そう独り言ちながら海から飴を掬いとる鼎はどことなく楽しそうである。
(ふふ、なんだかお祭りとか思い出すよ)
 掬うものは魚だったりゴムのようなボールだったりと様々だったが、楽しいことに変わりはない。
「わっ」
 背中からの衝撃に思わずよろめく。肩越しに振り返ると、甲板に着地した魚と目が合った。それはすぐに飛来した遠距離術式で跳ね飛ばされる。
「ありがとう、リンネ君」
「どういたしましてー。そっち、少し傾いてきたよ! マリナ、飴雲が少し動いてる!」
 リンネの言葉に鼎は頷き、船にひっついた魚達を見下ろすと疑似神性の宿ったナイフを構えた。
「雲に合わせて移動しますぜー」
「飴が多く降ってるのは2時の方向だね」
 操舵に戻ったマリナに鼎がファミリアーからの情報を伝える。
 魚の攻撃を浴びながら、船はゆっくりと移動し始めた。

(向こうは大丈夫かしら)
 少し離れた所に見えるマリナの船を見ながら、ミラーカは威嚇術で魚を蹴散らす。
 船体に傷1つつけないのはミラーカの配慮だ。
 その脇でメイド──使役する式神がせっせと掬い、キャッチし、着々と飴を集めていた。
(ふふん、魔女なんだから楽して当然ね!)
 自らは迎撃を。戦闘力のない式神には飴拾いを。
 工夫が上手くいっているようでにんまりと笑みが浮かぶ。
「……うむ、普通に飴だな。美味い」
 どさくさに紛れて2粒の飴を頬張りながらルナールは呟いた。ついでに網でキャッチした飴をいくらか上着のポケットへ。
(それにしても……我ながら、もう少し燃費が良くならないものか)
 ルナールは生命力を削って戦う力を取り戻し、飛びかかってきた魚を迎え撃つ。
 甲板に転がる姿はどう呼ぶべきか形容し難く、ルナールは思わず呆れ声を上げた。
「トビウオなのかカエルなのか、呼び方に困るぞお前ら」
 いっそ、呼びやすい名でもつけてしまった方がいいだろうか。
「ああもう、一体何匹集まってくるのよ?! キリが無いったら!」
 その傍できっと目尻を釣り上げたミラーカが弾を空へ向かって撃った。花火のように弾けたそれは空中で剣を召喚し、離れた所から船へ向かってこようとする魚へ投擲される。
 魚が飴へ、船へ、そしてイレギュラーズへ飛びかかる中、周囲をファミリアーで使役された鳥達が旋回する。
「デイジー、そっち側落として!」
「うむ! 飴も拾っておくのじゃ」
 クラーク家の秘宝を手に榊神楽を舞って味方の援護をしていたデイジーは、その側面を覗き込むと秘宝を──つぼの口を向けて攻撃する。
「ルナ、影になってるところに潜んでるよ」
「攻撃は……届かなそうか」
 ルーキスの言葉にルナールは海へ飛び込んだ。その動きは水中であっても鈍ることはない。
 へばりついていた魚を落とし、ルナールははしごで甲板まで戻った。
 丁度その甲板では、ルーキスが向かってきた魚を迎撃しているところ。
「くらえー、本の角アターック」
 振り下ろされたそれは自重も相まって魚を打つ。甲板に転がった魚は痙攣して動かなくなった。
 見るからに痛そうなそれをルナールが見ていると、ルーキスがその視線に気づく。
「あ、栞で刺した方がいい?」
 すっと懐から出した半透明の栞にルナールが口を開こうとした瞬間、頭の上に何かが降ってきた。
 思わずしゃがみ込んで呻くルナール。
「大丈夫?」
「……大丈夫だ」
 飴雲の下であることをすっかり失念していた。海から上がったばかりで傘を差していなかったというのもある。
 心配の声に渋面を浮かべながら頷き、ルナールは再び魚を引っぺがしにかかった。
「おっと」
 傘を逆さに持っていたデイジーは船の揺れにたたらを踏んだ。
 溜まっていた飴が合わせて揺れる。
 デイジーは体勢を立て直すと飛びかかってきた魚へ火炎を放ち、焼き魚にしてしまった。
「デイジー、後ろ!」
 ミラーカの声にはっと振り向くと、飛んでいた魚がすぐ近くに迫る。
 思わずぎゅっと目を瞑り──。
「──全く、世話かけさせないでよね!」
 近くで聞こえた声に目を開ける。見えたのは真っ黒な傘──ミラーカの差すものだ。
 その肩越しに向こう側を見ると、ひっくり返った魚が見えた。
 ミラーカは次々と魚を相手していく。先程の口調の割に積極的な援護だ。
「ほら、さっさと行きなさい!」
「助かるのじゃ!」
 樽の中へ集めた飴を溜める。船は揺れに揺れて辺りはびしょびしょだが、防水加工を施した樽の中身は無事なようだ。
 振り返ると尚も戦うミラーカの姿。傷が目に見えて増えてきた彼女へ、デイジーは癒しの符を飛ばした。
「他の袋に運んでもらえるか」
 ルナールの言葉にミラーカの式神が頷き、踵を返す。ルナールは満杯になった生け簀へ向き直り、空の袋へ移し始めた。
 袋がずっしり重たくなると辺りを見回し、船のバランスを取るように袋を置く。
「空の袋も大分少なくなったか……、っと」
 ルナールは海から船へ飛び込んできた魚の群れを見ると2振りの剣を構え、甲板を蹴った。
「いやぁ、ごめんね。こんなことで喚んじゃって」
 気にするなと言うように漆黒の翼狼がルーキスを一瞥し、魚へ向かっていく。
 魚の突撃にはルーキスだけでなく、他の者も大分ダメージを受けている。恐らくマリナの船もそうだろう。
(そろそろ引き際かな? もう少し頑張れそうだけど)
 回復してきた力を感じ、ルーキスは神秘への親和性を高めながらファミリアーからの情報を仲間へ伝えるべく口を開いた。

 リンネの召喚した淡く輝く鳥が鼎の傷を癒す。鼎は『ありがとう』というようにウインクをし、ナイフで船に張り付いた魚を退けた。
「こうして魚を投げ飛ばしてると熊になった気分だね?」
「その割に魚が強いけど、ねっ」
 漁業の如く網で大量の飴を拾っていたイリス。魚を避けて掬ったイリスは飛んできた魚を躱し、蹴り飛ばす。
「なら、今度キャンプに行ったときに普通の魚で試してみたら面白そうかな」
 なんてね、と小さく付け足した鼎も魚を避けて網を振るった。
 それぞれが箱の中に網を開けるとコロコロと飴が転がり、溜まっていく。
「オラオラー、船内の飴に突っ込むって言うならそのまま持ち帰って食べてやります!」
 飛び込んでくる魚を迎撃しながらマリナが叫ぶ。
 言葉は通じていないはずだが、その纏う雰囲気から察したか。魚達はマリナを標的にするかのように突っ込んでき始めた。
「マリナさん!」
 イリスがマリナへ向かっていく魚を障壁で阻み、押し返すように海へ落とす。
 魚達の突撃をいくらか受けたマリナはぐっと足を踏みしめた。
 倒れるわけにはいかない。
「せっかく手に入ったばかりの船を、沈められる訳にはいかねーでごぜーます!!」
 放たれた術式がマリナを襲おうとしていた魚へ命中する。
「マリナ、そろそろ撤退しよう!」
「了解でごぜーますよ!」
 落ち着く様子のない魚達と集まってきた飴を見てリンネが声を上げる。それを聞いたマリナは1つ頷き、この海域から離れるべく船を操り始めた。
 飴を載せたまま逃げようとする船へ魚達が襲い掛かる。
「リンネさん!」
 後頭部に突撃をくらったリンネ。庇うようにイリスが前へ立つ。
 執拗に飛びかかってくる魚達を鼎達が跳ねのける中、マリナの船は飴雲の下を離脱した。

●塩飴
「美味いし常温で溶けないし気に入った。持って帰りたい」
 魚との戦闘中にも飴をほおばっていたルナールは、すっかりこの飴が気に入ってしまっていた。ダメだと言われても持って帰れるよう、上着のポケットに忍ばせてしまうくらいには。
 しかし、視線を向けられたルーキスは「いいんじゃない?」とあっさりOKを出した。むしろ、
「あ、ルナ。後で私にも分けて」
 ……と食べる気満々であった。
「あたしも持って帰りたいわ! っていうか今1つ食べちゃうくらい全然いいわよね?」
 2人の会話を聞いて瞳を輝かせるミラーカ。休んでいた彼女は傍にあった樽から飴を1つ摘まみ、口の中へ。
「……っ、しょっぱい!? これ、海水でしょっぱくなってるんだけど!」
 目を丸くするミラーカに思わずルナールは自分の上着を──そのポケットに入った飴を見下ろした。
 これらもしょっぱくなっているだろうか。いや、空から落ちてきたものを網で受け止めたから海水には浸かってないはずだ。
「確か、こっちの袋に入れた飴って海から拾い上げてないはずだよ」
 ルーキスが示した袋から口直しと言わんばかりにミラーカが飴を取る。次いで飴を拾い上げたルーキスは掌で飴を転がした。
 飴は溶けた様子も全くなく、表面もつるりとしている。海水に浸かったものも、洗えばある程度マシになるだろう。
(……それにしても)
「口の中じゃないと溶けないっていうもの妙な話」
「だな。食べる側としては好都合だが……」
 首を傾げるルーキスにルナールが頷く。空を見ると、飴雲が移動していく様が見えた。
「普通に美味しいだけに解らないなあ」
 これは調べてみる価値アリ、だろう。
「む、飴を食べておるのか? 妾も! 妾も!」
 セバスチャンの操る船の上、飴に賑わう声が響く。
 もう一方の船では──。
「思ったより、大変だったね……」
 魚の追撃が止み、ぐったりと船の中で座り込んだイリス。本当にねー、とリンネが頷く。
 イリスは最後に魚の注意を引きつけていた。耐久力に自信のある彼女でも中々堪えるものだったようだ。
 飴が零れ落ちないよう、蓋までロープで固定された箱や袋。入った飴に興味を示していた鼎が居てもたってもいられなくなったようで口を開いた。
「味が気になってくるけど、1つ食べてもいいかな?」
「いいんじゃない? 私始めに食べちゃったよ」
「私も。役得役得ーって」
 リンネの言葉にイリスが続く。
 そうだったのか、と2人の言葉に鼎は手を伸ばすと摘まんだ飴を口へ放り込んだ。
 口の中でスッと溶け、残るのは甘さと。
「……ふふ、採れたてはしょっぱいね?」
「海水のせいで塩飴のようになってるようですなー。まあ、これだけ持ち帰れば皆さん大喜びでしょー」
 鼎の言葉を聞いたマリナが得意げに飴の容器を見る。勿論操舵の手は抜いてない。
 持ち帰るまでが依頼である。
 そして依頼を果たしたら、マリナは情報屋達にこう告げるのだ。

『海の事ならまた私を頼ってくだせー、必ずや解決してみせましょー』……と。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 お疲れさまでした。とても楽しく執筆させて頂きました。
 飴を落とさない、沢山集めるための工夫が良くなされていたと思います。

 それではまたご縁がございましたら、よろしくお願い致します。

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