PandoraPartyProject

シナリオ詳細

願い、想い、言の葉に乗せて。

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 N県九重市にあるコミュニティセンター会議室にて、タワーオブシュペルを登らんとするチームが集まっていた。
 クレマァダ=コン=モスカ (p3p008547)、フェルディン・T・レオンハート (p3p000215)、エマ (p3p000257)、雨宮 利香 (p3p001254)の4人で組まれたチーム。
 彼女達はその塔を登るための交流会を行うため、それぞれが茶菓子を持ち寄って会話をする……というのが今回の交流会である。

「うむ、集まってくれてありがとう。今日はこの会議室は貸し切りにしてある故、思う存分語り合おうではないか!」

 サラっと言ったが、会議室を24時間貸し切りにしたクレマァダ。
 今回の交流会は彼女の提案なので、サラっと24時間貸し切りにしてきたのだ。

 お互いの長所と短所をよく知り、互いを支え合うことでどんな敵に対しても対処が取れるようにすることが今回の目的。
 それぞれが好きなお茶菓子を持ち寄って、ちょっとしたゲームで遊んだりしてお互いの壁をなくしていった。

● 
 和気藹々と喋り、楽しく遊んで皆の気持ちを1つに高めたところで……クレマァダが集まった皆に対し、1つ問いかけをする。
 ――お主らが塔に望む大望とは、何ぞや? と。

 その塔を登り詰めた者には塔の主より願いを賜ることがあるという話がある。
 今回はローレットの皆が一斉に塔を登り、誰か1人でも塔を打破するのが目的ではあるが……皆、それぞれの願いを持って挑むわけで。

「我が皆を呼び集めておいて、不躾とは思うが……その……この塔は、甘く見てかかれるところではない。なればこそ、一致団結せねばならぬ」

 真剣な表情を見せるクレマァダ。同じ願いでなくとも良いと、彼女は一言添える。
 最終的に塔にたどり着ければそれで良いのだから。

「我は、お主らに隠し事をせぬ。それを以て、信頼として欲しいのじゃ。故に、我の願いは――」

 ――語られる願いの話と、絆の話が今ここに始まる。

NMコメント

リクエストありがとうございます、御影イズミです。
今作はリクエストシナリオとなっており、参加できるのは今回リクエストをしていただいた方のみとなっております。予めご了承ください。

◆背景
境界世界「N県九重市」にあるコミュニティセンターの会議室を24時間貸し切りにしてます。
ここのコミュニティセンターはホットスナック自販機・ビール自販機も完備されてるので、口寂しくなったら購入に行くことも出来ます。
PCの皆様はテーブルを2つ並べて座っています。

◆最終目標
願いを語り、交流会を進める。

◆その他
何故その願いを語るのか、何故その願いを叶えたいのか。
詳しい情報をいただけるとより深く描写出来ますので、出来るだけプレイングに書いていただけると助かります。

それでは、良い交流会を!

  • 願い、想い、言の葉に乗せて。完了
  • NM名御影イズミ
  • 種別リクエスト(LN)
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年07月14日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談2日
  • 参加費---RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

フェルディン・T・レオンハート(p3p000215)
海淵の騎士
エマ(p3p000257)
こそどろ
リカ・サキュバス(p3p001254)
瘴気の王
クレマァダ=コン=モスカ(p3p008547)
海淵の祭司

リプレイ

●語る前に
 コミュニティセンターに座り、願いを語ろうとしたクレマァダ=コン=モスカ(p3p008547)。しかしそれを聞く前にと、フェルディン・T・レオンハート(p3p000215)が制する。

「まぁまぁ、まずはお茶でも淹れましょう。想いを語るのは、それからでも遅くはありません」

 前もって用意しておいたティーセットと茶葉でじっくりと紅茶を淹れ、クレマァダとエマ(p3p000257)、雨宮 利香(p3p001254)の前にもカップを置いた。
 コポコポと注がれる紅茶はフェルディンが用意したもので、喫茶店を営む彼の妹から分けてもらったもの。良い香りが辺りに広がり、4人の昂ぶる精神を少し落ち着けた。

「塔に登る前に決起会ですか。まったく……望みはほぼないでしょうに、物好きですねえ」

 足を組んで雑にチーズを食べる利香。嫌いではないと言った雰囲気を醸し出す中で、彼女は内心色々と考えている様子だ。
 願いについては塔の頂上に登り詰めなければならないわけだが、もし本当に登り詰めて、願いを叶えてもらうことが出来たらしたら……?
 そう考えるとなかなかに答えにたどり着かないもので、チーズをつまみつつどうしたものかと考える。

「うーん、おとぎ話みたいですよねぇ。それはそれとして、マカロン……おいひひ……」

 エマはあむあむとマカロンを頬張り、ほわほわとした空気のまま話を聞く様子だ。
 彼女は既に、自分の決意と願いは決めてある。だからあとはクレマァダの話が始まるまでは、ゆっくりと美味しいマカロンを頬張るのみ。
 ……気づけば、山のように置いてあったマカロンはエマの胃の中に収まっているが、マカロンが無くなる前にとフェルディンがシフォンケーキを追加で差し出す。

「茶葉に合うように折角持ってきたから、皆でゆっくり食べよう。少し気持ちを落ち着けてから、しっかりと語ろうじゃないか」

 柔らかに微笑むフェルディンは、自身の願いについてしっかりと考えてある。『旅人』という観点から叶えたいという、たった1つの願いが。
 だが、今はまだ語るときではないと悟る。今は皆の気持ちと心を落ち着けることに集中し、紅茶とシフォンケーキを存分に振る舞った。


●クレマァダの願い
「さて、では我の願いのことじゃがー……別に、隠し事をしているんじゃないのじゃぞ!」

 気持ちを落ち着けたところで、会話を再開しようと言葉を紡ぐクレマァダ。

 しかし視線がキョロキョロと忙しなく動いてしまい、なかなか話し始める様子がない。
 どうしたのだろうと3人が見ていると、クレマァダは何かを後悔するような表情をした後、少し姿勢を正して3人の目をしっかりと見てから語り始めた。

「……我は、蘇らせてほしいと思った。我が姉……我(カタラァナ)を」

 少しだけ、周囲の空気が一変する。
 死した縁者を蘇らせたいという願いは、ある種の禁忌とも言えるものだ。
 生と死の理を捻じ曲げ、死んだことを"なかったことにする"。それがクレマァダの願い……だった。

「しかしな、しかし。……それは、なんだか違う気がするのじゃ」
「違う……?」

 彼女の姉のことを知る利香が眉をひそめながら、クレマァダに言葉の意味を尋ねる。
 その『違う』とは、何が違うのかと。

「世界の在り方を歪めて生き返したところで、そこに……我の前に立つ我(カタラァナ)は居ない気がする。だから、我の願いは――」

 クレマァダが塔に上り詰めて叶える願いは、ただ1つ。
 『我(カタラァナ)をみつけてほしい』。


●エマの願い
 しん、と。クレマァダの願いを聞いた数分は、皆が静まり返る。
 その後エマが、そう言えばとクレマァダの姉のことを思い出して振り返る。

「私もアレから探しに探しましたが、結局見つけられず。……指の1本でも、装飾品の欠片でも、と思いましたが……」
「死んでいるという証拠は1つも見つけられず、故郷に埋めてやることも出来ぬまま。……せめて、願いでその骸を見つけることが出来たのなら、きちんと故郷に埋めてやりたいのじゃ」

 シフォンケーキを小さく切り分け、1つを口に放り込むクレマァダ。
 口に残る甘さが彼女の決意をより一層引き締める。

 ……と、彼女が決意を胸にしたところで、エマが自分の願いについて語り始めた。
 なんてことはない、エマの願いは――『クレマァダの願いが叶うこと』。

 その願いを聞いたとき、クレマァダの全身から一気に力が抜け、口から妙な声が出た。

「お、え!?」

 いや、それでいいのか!? とクレマァダがツッコミを入れたそうにしていたが、すかさずフェルディンが何かを納得した様子で、ああ、と頷いた。

「確かに願いって自分のことだけじゃないから、別の人の願いを叶えろ! って言っちゃうのもありだね。考えたね、エマさん」
「いやぁ、怒られちゃうような気もしますけど……でも、なんかシュペルさんって気難しいイメージがあるんですよね」
「あぁ、うん。確かに……私も、多分登り詰めたら1発殴らせろ! ぐらいは言うかも……」

 気難しい塔の主と聞いて、利香は塔を登り詰めたあとの自分を思い浮かべる。


●利香の願い
「そんな利香さんはどんな願いを叶えたいと?」

 フェルディンが紅茶を追加で淹れながら、利香に尋ねる。が、利香は眉間に皺を寄せて考えに考えている様子で、答えが思い浮かばない! となっていた。

 ひねくれ者の塔の主が造った塔を登り、ひねくれ者が願いを叶える……なんて考えたら、とてもではないがパッとは浮かばないものだ。
 強くなりたい、富や名誉が欲しいといった一般的な願いも、利香にとっては邪魔な壁にしかならないもの。
 そして旅人であれば皆望むであろう、元の世界の記憶についても特に興味が無い。

 ……ということで、利香の願いは決まるまでが難しかった。

「いやぁ……やっぱり1発殴らせろ、が一番の願いになりそうな気がしますね……」
「い、いいのか? ほら、もっと何かあるじゃろ……例えばじゃが、装備が欲しいとか……」

 クレマァダが提案を上げてみると、利香はほわほわと考え込む。
 新しい装備を貰うのは、願いを叶えるのがひねくれ者だから何か変なものを渡されそうな気がする……。

 では、『装備をもっと強化しろ』ならばどうだろうかと。
 自分が使っている装備はそのままで強くなれるのだから、ひねくれ者もひねくれることは出来ないだろうと閃く。

「装備……あっ、じゃあ私の装備を強化しろ、とか?」
「そーれはー……まあ、アリかナシかで言えば、アリ……?」

 実際に到達して言ってみないとわからないが、と付け加えた上で、3人がそれはアリかもしれないと呟く。
 とは言え、ここで考えたことが実際に起こるわけではないので、また到達してから考えることになるだろう……。


●フェルディンの願い
「して、フェルディン。お主はどうなんじゃ?」
「ボクですか? ボクは本来、迷うほどでは無いさ」

 さっくりとシフォンケーキを小さく切り、口に入れるフェルディン。
 彼の願いは『元居た世界に帰ること』――だったのだが、今は違うんだと答える。

「何かあったんですか?」
「ああ、あったよ。これまで、己が身に課せられた使命に、何度も向き合った」
「その結果……フェルディンさんは、帰るに帰れなくなってしまった?」
「そうだね。うん、そのとおりだ」

 苦笑いを見せたフェルディンは、当初からこれまでの自分を振り返り、そして思い出す。

 確かに、彼が居なくなったことで元の世界にいる関係者達は皆、心配したり苦労したりしていることだろう。
 彼が帰ることで喜ぶ者も、たくさんいる。
 それを考えると1分1秒をこうして和やかに過ごしている間でも、身を焦がすような気持ちになってしまう。

 だがフェルディンは無辜なる混沌へやってきた後でも様々な出来事が降りかかり、それを廃するために様々な絆を結んできた。
 ……結んできた絆は、気づけば大きく広く繋がってしまった。彼が居なくなることで悲しむ者もたくさん現れるかもしれない。
 そう考えると、彼には捨てることが出来なかったのだ。

「……ボクは、どうやら思っていた以上に自分勝手で、欲深いらしいね」

 自分を見る目が変わりそうだと思ったフェルディン。
 だが、それを否定したのは、目の前にいる一緒に塔を登るメンバー達だ。

「うむ、それは我もエマも利香もそうじゃ」
「願いというのは、そういうものだと思いますよ」
「そうですよ。フェルディンさんが考える、自分が叶えたい願いを言っちゃえばいいと思います」

 3人は否定すること無く、フェルディンの考えを受け入れた。
 そんな優しさに、彼はふっと微笑んで願いを言う。

 彼の新たな願いは――『混沌世界と我が故郷を、自由に行き来できるようにして欲しい』。

 こうすることで、隣りにいる蒼い髪の君―――クレマァダと離れる必要もないはずだから、と。


●時は来た

 皆、思い思いに語った。

 ある者は『失われし者を見つけて欲しい』と。
 ある者は『友の妹の願いを叶えて欲しい』と。
 ある者は『己の持つ装備を強化しろ』と。
 ある者は『無辜なる混沌と故郷を行き来できるようにして欲しい』と。

 それぞれの願いはバラバラだが、それは頂上に到達してからの話なわけで。
 会議室を綺麗に片付け、クレマァダ、エマ、利香、フェルディンは室内を後にする。

「では、行こうか。塔の頂まで!」
「そうですね。……どんなことが待ち受けていると思います?」
「ひねくれ者だし、まあ……ろくなことはないと思いますよ」
「でも、ボク達なら乗り切れる。そう信じていますよ」

 ……これからこのメンバーは、塔へと登る。
 そこにどんな困難が待ち構えているかは、この時は知る由など無い。

 それでもこのチームは絆を強く保ち、突き進むのだろう。


 ――続きは、塔の中で。

成否

成功

状態異常

なし

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