PandoraPartyProject

シナリオ詳細

流砂に零れた命の雫

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●流砂に零れた命の雫
 R.O.Oのネクストの一つ、延々と砂漠が広がる地域、サンドストーム。
 照りつける陽射しと、足首まで埋もれる程に流れる流砂の下。
『……暑い……』
 と呟きながら、熱砂を歩いているのは、馬車を連れた旅団。
 その馬車の幌の中には、多くの資材が積まれている。
 かなりの重量があり、砂浜の上を歩くには人の手でなく、馬の力で無ければ動く事すらも困難であろう……そんな彼らは、サンドストームの村々を渡り歩く、交易旅団。
『ああ、確かに今日は一層暑いな……だが、この場に余り長く居るとまずいぞ?』
『ん……何でだ?』
『この辺りにはよ、砂の中に極悪非道な生物が住んでいるって噂なんだ。ついこの前もよ……その魔物に襲われて、一旅団が壊滅したって話だぜ?』
『マジか! それじゃ、さっさとこの辺りから出てかねえとな……』
『ああ。急ぐぜ』
 そんな会話を交わしつつ、彼らは砂浜を急ぐ。
 ……しかし、そんな彼らの足元の砂が、突然ボコン、と窪む。
『……あ?』
 すり鉢状に窪んだ所に向けて、砂がどんどんと流れ込んでいく。
 ……そんな砂の中央には、何匹もの大きな顎をもった怪物が待ち構えていて。
『うわっ……た、助けてくれっ!!』
 慌てて藻掻く旅団員達だが……流れる砂は勢いを止めること無く、どんどんと流入していく。
 そこから逃げる事も出来ずに……旅団員達は、その大きな顎に砕かれ、骸諸共消失するのであった。


『……むぅ……まだ来ない様じゃのぅ……』
 まるで一日千秋の如く、サンドストームの村にて座る老人。
 偶然R.O.Oにログインしていて、村を訪れていた『アルコ空団“路を聴く者”』アズハ(p3x009471)達が、そんな老人に。
「……どうしたんだ?」
 と声を掛けると、その老人は。
『いやぁのぅ……来るはずの物資を積んだ旅団が来ないのじゃ。予定日からもう、2日は経過しておるし、流石にノンビリしていたとしても、もう付いてもおかしくは無い筈なんじゃがなぁ……』
 遠い目をする老人。
 ……その話を聞いたアズハは、その旅団が前に訪れた所を聞く。
 確かにその村とは1、2日くらいの距離であり、流石に一週間も経つとなるのはおかしい。
 更に老人は、更に。
『……最近のぅ……物資を積んだ旅団が全く訪れる事が無くてのぅ……もうそろそろ資材も付きそうなのじゃ。ぶしつけで申し訳ないがのぅ……ちょっと、調べてきてはくれんかのぅ……?』
 振り返り、見上げる老人。
 そんな老人の視線は弱々しく、藁をも縋るような具合。
 勿論、どういう理由で旅団が居なくなったかは分からないが……頼まれたからには仕方ない。
「分かった。取りあえずその村への逆ルートを調べて見るとしよう」
 と提案し、アズハらイレギュラーズ達は、村を後にするのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)です。
 今回は灼熱の砂漠地帯『サンドストーム』に現れた砂漠の主との戦闘です。

●ROOとは
 練達三塔主の『Project:IDEA』の産物で練達ネットワーク上に構築された疑似世界をR.O.O(Rapid Origin Online)と呼びます。
 練達の悲願を達成する為、混沌世界の『法則』を研究すべく作られた仮想環境ではありますが、原因不明のエラーにより暴走。情報の自己増殖が発生し、まるでゲームのような世界を構築しています。
 R.O.O内の作りは混沌の現実に似ていますが、旅人たちの世界の風景や人物、既に亡き人物が存在する等、世界のルールを部分的に外れた事象も観測されるようです。
 練達三塔主より依頼を受けたローレット・イレギュラーズはこの疑似世界で活動するためログイン装置を介してこの世界に介入。
 自分専用の『アバター』を作って活動し、閉じ込められた人々の救出や『ゲームクリア』を目指します。
  特設ページ:https://rev1.reversion.jp/page/RapidOriginOnline

●成功条件
 村の近くに息を潜めている怪物を退治する事です。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

●周りの状況
 村を一歩離れれば、周りは一面の砂漠となっています。
 また灼熱の陽射しが照りつけており、とても暑い状態で、足元もかなりの流砂が覆っており、歩きづらい状態となっています。
 そんな砂漠の砂の下に生息しているのが怪物です……その姿形は、超巨大なアリジゴクです。
 このアリジゴクが8匹砂の中に潜んでいます。
 彼らは頭上の重さを感じ取って、その周囲をすり鉢状に窪ませることで獲物を逃さず……その大きな顎で何もかもを喰らい尽くそうとします。
 重さを感じないと、彼らが襲いかかってくる事はないので、誰かが囮にならないと出現しませんので、ご注意下さい。

●討伐目標
・全てを喰らい尽くす『全喰ジゴク』 x 8匹
  一匹一匹の大きさは、大体2m位の大きさです。
  ただ基本的には半身しか砂の上に出していませんので、目に見える大きさは1m位で、かなりの体力を持っています。
  その口元には、強力な顎が備えられており、木も鉄も、何もかも砕いて喰らい尽くす位の破壊力があります。
  喰われれば、皆様も即死は免れないでしょう。
  又、彼らには翼が生えており、自分の命の危機が迫った場合には飛んで逃げてしまうという性質もある様です。
  なので彼らを決して逃さないようにしながら、全ての全喰ジゴクを倒すようにお願いします。

※重要な備考『デスカウント』
 R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
 現時点においてアバターではないキャラクターに影響はありません。

※このシナリオにおいては、サクラメントが近くに存在しますので、2ターン程で復帰可能です。

 それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • 流砂に零れた命の雫完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年07月29日 21時40分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ヴァリフィルド(p3x000072)
悪食竜
夢見・ヴァレ家(p3x001837)
航空海賊忍者
Teth=Steiner(p3x002831)
Lightning-Magus
きうりん(p3x008356)
雑草魂
アズハ(p3x009471)
青き調和
フィーネ(p3x009867)
ヒーラー
ダブル・ノット(p3x009887)
ヒーラー
ウルファ(p3x009914)
風狼

リプレイ

●砂を食む
 仮想に広がる世界R.O.O。
 その世界を構成するネクストが一つ……砂漠が広がる世界「サンドストーム」。
 空からは照りつける陽射しが厳しく、足元には砂が流れ、かなり歩きづらい状態。
「ほほう……ここがネクスト……混沌の中で、更に混沌のような世界を観測するなんて、連打津も凄い事をするな……」
 と、『風狼』ウルファ(p3x009914)が遠い目をすると、それにうんうんと力強く頷くのは『開墾魂!』きうりん(p3x008356)。
「そうだね! 砂が纏わり付く!! 砂まみれのきゅうりは美味しく無いよね!!」
「……そ、そうだな。って、何故きゅうりなんだ?」
「ふふふー、それはね! 私がきゅうりの精霊みたいなものだからなのだよ!!」
 満面の笑み、かつ胸を張るきうりん……それにそうなのか、と頷いてしまうウルファ。
 そんな二人の会話を聞いてか聞かずかは分からないが……『悪食竜』ヴァリフィルド(p3x000072)が。
「そうか……成る程、つまり食べ比べという事であるな?」
 と頷く。
「……何と食べ比べなのだろうか?」
 素直な疑問を口にする『アルコ空団“路を聴く者”』アズハ(p3x009471)。
 それにヴァリフィルドは。
「ん? 違う? ……まぁ、食べられるのなら何でもよい。例え砂まみれであってもな」
 笑う彼に小首を傾げるアズハ……そして、改め今回の依頼主からの依頼を思い出す。
 ここ、砂が至る所で流れ続ける砂漠地帯で、交易物資を積んだ交易旅団が約束の期限を大きく過ぎても来ない……という話。
 砂漠という乾いた土地だから、物資が暫く滞ると言う事は……街や村にとっては死活問題であるのは間違いなく、大きな事件なのは間違いない。
「確かに隊商がいつまで経っても来ないと言うのは妙ですね。旅慣れた商人であれば、道に迷うとも思えませんし……盗賊や魔物の類いが彷徨っているのであれば噂にもなっているでしょうし……」
 と『航空海賊忍者』夢見・ヴァレ家(p3x001837)が小首をかしげると、それに『ヒーラー』ダブル・ノット(p3x009887)とフィーネ(p3x009867)、『Lightning-Magus』Teth=Steiner(p3x002831)が。
「そうだな。キャラバンが到着しねーっっつー話しだったか。何もない、って事は無いんだろうが……賊か、モンスターか……」
「ええ……放置しておけばこの旅団だけでなく、物資が届かない影響も大きくなってしまいますね……何としても、ここで全滅させておきましょう!」
「ああ、こんな所で物資供給が途絶えるってのは、かなり不味い事態だからな。さっさと解決して、じーさん達を安心させてやろうぜ!」
「そうだな……考えてもしゃーねぇしな……取りあえず交易旅団の奴らがその被害に遭ったのは間違いないだろうしよ、。何か痕跡でもありゃ良いんだが……」
「ええ……とは言えここで色々考えて居ても仕方ありません。ひとまず交易旅団の交易路を逆からトレースして、その痕跡を探すとしましょう。かなり強力な敵だとは思いますが……」
 そんなイレギュラーズ達の言葉に、ダブルが。
「ああ。出来りゃーこの近くに居りゃぁいいんだがな。そうなりゃ死んでもすぐ戻ってこれるだろ?」
 と言うと、ウルファが。
「確かにそうであるな。死を心配せずみ挑めるというのはいいものであるな? ネクストでも我が故郷……こちらでは砂嵐と呼ばれているらしいが、それに関われたのだ。歴史の違いを楽しみつつ、介入しようではないか」
「ああ、そうだな……面白そうだ」
 ニヤリと笑み浮かべるダブル。
 ともあれイレギュラーズ達は、灼熱照りつける砂漠へと、足を踏み出していった。

●砂漠の下
 そしてイレギュラーズ達は、村を出て数分。
 ……一面に広がる砂漠地帯は、不気味な静けさに包まれている。
 そんな静けさに包まれた道を、上空からTethがドローンを飛ばして上空から周囲の状況を確認し……荷物の残骸やら、砂が不自然に乱れている痕跡などを探す。
 そうすると、ドローンの視界の中に映るのは……粉々に砕け散った木の破片。
 その場所の情報を貰ったダブルが。
「どうやら、馬車の残骸の様だな……かなり大きめの馬車の材料の様だ。となるとモンスターか……それも相当にデカそうだな……更にこうも見晴らしが良い場所で襲われるとなると、隠れる場所は下か……?」
 とダブルが思慮し、更にTethが調べている間に、慎重に探……そうとしないのもいて。
「ふふん、拙者達にかかればどのような敵でもちょちょいのちょいですとも! 矢でも鉄砲でも持って来なさ……どぉぉおおお!!」
 先行し、手近な旅に持つ等をぽいぽいっと放り投げていたヴァレ家。
 ……そんな彼女の落とした荷物を、砂がズザザザとすり鉢状にくぼみ、そこに吸い込まれていく。
「っ……あそこか!」
 とダブルが指指し、すぐにTethが該当箇所をドローンで上空から確認。
 すり鉢状のド真ん中の所に、巨躯の大きな鋏の角を生やした……魔物の姿を発見。
「なーる……重さを感知して襲い掛かるってワケか。まったく、地雷みたいな真似をする奴らだな!」
「砂嵐なら、こういう生き物がいても不思議じゃないとは思ったが……こんなに恐ろしい生態だとは思わなかったぞ!」
 と、初撃の一閃を躱しながらアズハが叫ぶと、それにフィーネも。
「ええ……また砂の中に姿を隠そうとしています。はっきりとその姿が見えないのは、非常に厄介ですね……」
 と頷く。
 とは言えアリジゴク……正式には「全喰ジゴク」だが、彼らが交易旅団を喰らい尽くし、その命を奪い去ったのは間違いないだろう。
 ……生きているままに喰われた彼らの苦しみを、ふと思ったアズハは。
「……俺でも噛み砕かれるとか怖すぎる。美味しく無いよ?」
 身体の一部が金属なるアズハだが、それても怖いものは怖い。
 ともあれ、そんなアリジゴクに襲われても、笑顔を浮かべながらきうりんが。
「まぁここは責任をもってアリジゴクくん達に砂にまみれたきゅうりを食べて貰わないとね……! って事で行ってみよう!!」
 と言うと、アズハとフィーネも。
「そうだな……これ以上喰われる前に討伐するぞ!」、
「ええ。絶対にみんなで帰りましょう!」
 と気合いを入れる。
 ……勿論今姿を現したのは、全喰ジゴク一匹のみ。
 まだ他にもこの辺りの砂地に潜んでいるのは間違いない。
 下手に一匹だけを先行して倒しては、他の全喰ジゴクが警戒して、姿を現さない可能性すらある。
 だから、放り投げた荷物をバキ、バキッ、と喰らい尽くしている間に、他のイレギュラーズ達も、敢えて囮として砂漠を歩く。
「ほーらほら! 餌だよー! 美味しいよー!」
「お前達は重さを察知して姿を現す様だな? なら、これでも感知するか調べさせて貰うぜ!」
 と、きうりんは弱そうな雰囲気を敢えて纏いながら、きゅうりの身体から醸し出されるサラダ適正を見せつけて、美味しそうに見せつける。
 更にアズハは、サイバー立て看板を地面に突き立てるようにしながら動き……敵が襲い掛かってくる様、陽動作戦を展開。
 そんなイレギュラーズ達の陽動作戦に……一匹、また一匹と、更なる『全喰ジゴク』達が、砂の下から姿を現してくる。
 しかし敵はすり鉢状のド真ん中から出て来ないので。
「兎にも角にも、先ずは全喰ジゴクを引き釣り出さねば始まらぬな……良し」
 とヴァリフィルドが言うと共に、取りあえず姿を現したアリジゴクたちに、声高らかに咆哮を上げて、怒りを買う事で逃がさないようにする。
 更にTethも、ドローンを喰らおうと少しだけ身を伸しだしてきたアリジゴクに向けて。
「舐めんなよくそ虫が! こっちにも意地ってモンがあらぁ!!」
 と悪態つきつつ、アリジゴクに一閃を喰らわせる。
 そんな、各々のイレギュラーズ達の一撃により、8匹のアリジゴクたちが、砂漠の様々な所にすり鉢を作り、姿を現す。
 勿論姿を表したアリジゴクの周囲に足を踏み入れれば、砂の流れによってみるみる内にアリジゴクの間近へと吸い寄せられていく。
 咄嗟に砂を蹴って、そこから脱出しようとしたり、ロープを投げてどうにか耐えようとするものも。
 だが、きうりんだけは敢えてそれに抵抗することなく引き釣り込まれていく。
 そして大きな鋏でガシッ、と掴まれ……喰われていく。
「あ、顔は辞めて! 死んじゃう死んじゃう! 腕だけ! いや四肢だけで!」
 喰われているというのに、どこか楽観的な言葉を紡ぐのは……死しても復活出来るこのR.O.Oという世界だからこそ。
 でもただで喰われる様な事は無く、反撃の力を持った能力でもって、喰らってくる相手にそのまま反撃し、手痛い一撃をアリジゴクに加えて行く。
 ……そんなきうりんの決死の一撃を食らったアリジゴクを集中攻撃を嗾けるターゲットとして、Tethは飛行状態をとり、空から掃射攻撃を喰らわせる。
 更にヴァレ家も、ダメージを喰らったアリジゴクに。
「ほらほら、美味しそうな餌はこちらですよー!元気が良くて栄養たっぷり!」
 自分を囮として誘い込む。
 ただ、内心においては。
(「ええい、拙者、楽して稼げる隊商を探すだけの仕事と聞いたので引き受けたのですがっ! 巨大モンスターと戦うだなんて、聞いてないのでありますっ!」)
 と、すこしばかり苛立ちを覚える。
 ともあれTethの一撃に続けてヴァレ家は大槌を振るい、アリジゴクの脳天から攻撃を叩き込む。
 又、囮として別の敵を相手していたアズハは、迫り来る鋏を自己強化でどうにか耐えつつ、周りの仲間達に合図。
 その合図を受けたフィーネは、削られ行くアズハの体力を、ポーションを投げ渡し、回復。
 又ダブルも聖域をその周囲に展開し、アズハを追加回復……そしてウルファが、紋章の射程距離ギリギリまで近づいた上で。
「こやつは……厄介なモンスターの様じゃな。だが、こここそこの世界の初陣じゃ、容赦無く行こう! 死神の瞳よ……!」
 と、死神の瞳の紋章を空に描き、その視線でもってアリジゴクを捕らえ攻撃する。
 ……そんなイレギュラーズ達の一撃、二撃がアリジゴクの体力を少しずつ削り去る。
 そして、一刻目できうりんが死亡するものの、数刻後。
「ただいまー! さぁ、どんどん死んで行くぜー!!」
 死亡の恐怖なんてモノともせずに、再度アリジゴクへと突っ込んで行くきうりん。
「中々心強い奴だな……」
 とTethが苦笑するも、きうりんは。
「へへっ! そんな事ぁーないぜ!!」
 満面の笑みでVサインをしながら、またアリジゴクに食われていく。
 ……勿論また反撃の効果をフルに発動する事で、ただでは決して喰われない。
 そんな死に戻りの戦術できうりんが一匹ずつ、確実に大ダメージを与えていった所に、残るイレギュラーズ達がそれぞれ攻撃。
 8匹の『全喰ジゴク』達ではあったが、十数分の決死の作戦の前に、残数は後2匹に。
『……シィィィ』
 今迄上げた事の無い鳴き声を上げる彼ら。
 仲間達が倒れていき、イレギュラーズ達に威嚇をしているのだろうか……?
「ふん、どうした? オレ達を喰らおうと出て来たんだろ? 喰ってみろよ!」
 とダブルが挑発の声を上げると……それに呼応するかのように、砂の中からバサッ、と飛び上がるアリジゴク。
 すぐさまその場から逃げ去り、安全な別の砂漠地帯へ……と考えたのだろう。
 だが、その前に立ち塞がるのはTethとヴァリフィルド。
「させぬ。うぬらはこの砂の下に沈むのが運命なのだ」
「ああ! っつーか砂に潜ってないと、お前等丸裸も同然だぜ!?」
 二人の迎撃の一閃が放たれ、そのまま砂漠へと撃ち落とされる。
 そして、砂の上でジタバタとしている彼らにダブルが。
「虫にしては賢い選択肢だったが……悪いなぁ、一匹たりともここから逃がしてやる気は無いぜ!」
 との宣告と共に放つ聖なる光。
 光に包まれたアリジゴクが苦しむが如く蠢くと、そこにきうりんが。
「お粗末様でした! また食べに来てね!」
 と、渾身のパンチの一閃を叩き込み、光に包まれた一匹を撲殺。
 そして、最後の最後に残った一匹にアズハが。
「お前も、ここから逃す訳にはいかない……さぁ、トドメだ!」
 と渾身の一撃を食らわせ、最後の一匹も討ち倒すのであった。

●村の為に
 そしてイレギュラーズ達は、どうにか『全喰ジゴク』の群れ8匹を、全て倒しきる。
「……取りあえず、全部倒せた様だな」
 息を吐くヴァリフィルドに、頷くダブル。
「ああ……いや、中々ハードな相手だったな。それに……あちぃしよ……」
 戦いに身を興じていたから、少し忘れかけてはいたが……背中に感じる日射しは先程よりも厳しくなり、戦闘後の疲労した身体に鞭を打つ。
 とは言え倒しただけではい終わり、というワケにも行かないのが、今回の話。
「取りあえずよ、周囲の村や町に、この交易路が安全になったって伝えるには、こいつらの残がを見せた方が手っ取り早いだろ。まだ暫くこの暑さから、解放されそうにねーなー……」
 舌打ちしつつ、倒したアリジゴクの残骸を集め始めるダブル。
 その一方、もう一つ探さなければならないもの……それは、喰われた交易旅団の残滓。
「使えそうな資材とか、残っていないかな……?」
 とヴァレ家の言葉に、Tethとヴァリフィルドが。
「そうだな……旅団達の痕跡、物資……一つでも残っていれば、それを村に届けてやりたい所だしな? 砂に埋もれてるからちょっと探し辛いけどよ」
「うむ。しかし交易旅団の者達が生きていた証であるのも事実……一つでも多く、その痕跡を証明する物が無いか、厚い日射しの中探し続けるイレギュラーズ。
 ……とは言え、全喰ジゴクは鉄すらも喰らい尽くし、消化されてしまったモノは戻ってくる事は無い。
 幾つかの全喰ジゴクの腹の中から零れ落ちてきた指輪等の装飾品位しか回収する事は出来ず……交易物資であるものは何一つとして残っていない。
「これはこれは……さすが世界をまるっと模倣しただけあるな。砂漠の厳しさ、そのままだぜ」
 と、Tethが吐き捨てる様に言うと、それに頷くヴァレ家。
「……そうですね……なら、せめて……弔っても問題無いですよね……?」
 こぼれ落ちた指輪を手にした彼女は、その指輪をぎゅっと手の内に握りしめる。
 小声で弔いの祈りを捧げる彼女。
(「……ここが現実世界ではないとは言え、人々が苦しんで良い筈がありません……彼らが生きていた証は、この手の内にあります……」)
 そんな彼女の祈りを周りのイレギュラーズ達は見守る。
 ……そして、その祈りが終わった所で、アズハが。
「ん……良いかな? 一旦村に戻ろうと思うけど……物資も何もないから、その辺り手配してから戻ろうか」
「ああ、そうだな……もう暫くはひもじい思いをさせて仕舞う事になっちまうが、苦しむ時間は出来る限り少なくさせる様にしねえとな」
 アズハに頷くダブル。
 一旦大きな街へと向かい、物資の手配をし……そして依頼主の村へと帰還するのであった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

きうりん(p3x008356)[死亡]
雑草魂
アズハ(p3x009471)[死亡]
青き調和

あとがき

アリジゴク戦、お疲れ様でした!
砂の中に潜んでいる彼らが巨大化して、それに食べられるなんて……現実世界で起こったら本当に大事件ですよね……怖い怖い。

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