シナリオ詳細
【退廃世界グノーシス】海(カイ)
完了
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オープニング
●退廃世界グノーシス
とある男の話をしよう。
その男はとある最近研究所で働く研究員であった。
妻子持ちである彼はその研究所の所長という立場でもあった。
彼の人生は決して順風満帆ではなかったが、その人生に幸せを感じていた。
そう、『あの時』までは。
動植物化症候群。
人類を動物、ないしは植物に変異する病。
超急速的に蔓延したパンデミック。原因は不明。
病の拡大阻止の為、東奔西走。
しかし異常なまでに感染力が強いウイルスになす術なく世界が滅ぶ。
そしてなぜか独り生き残ってしまった男。
取り残された男は失意のままこの世界を生きる。
すべてを諦め、絶望のまま。家族すら救えず。
そしてなぜ自分だけ生き残ったのか。
研究室にて自身の体を検査。その結果、この動植物化植物に対する抗体がある事が判明。
だが、時は既に遅し。人類を、自分の家族を元に戻すには遅すぎた。
人間が変異した動植物。あるいは元から動植物であったもの。
それらの見分けがつかない。ワクチンを精製したところで無限に作れる訳では無い。限りがあるのだ。
その胸中に秘めた想いは如何程か。
だが、そんな男にも変化が訪れる。
境界案内人のミヤコを名乗る女。そして特異運命座標(イレギュラーズ)。
彼らと交流し、旅をした。
もう、誰とも関わる事はないと思っていた。
座して死を待つばかりだと思っていた。
そして図らずも彼らに興味を持ってしまった。
ならば今一度、彼らと話をしてみよう。
●境界案内人と海(カイ)
「やあ、久しぶりだね。カイ」
ーーああ、あんたか。
廃墟の海洋都市。その一角に二人はいた。
「それで?何か困ってることとかないかい?」
ーーイレギュラーズを。集めてほしい。
「もちろん構わないけど、なんでまた」
なに、改めて話がしたいだけだ。そのうえで今後の事を考えようと思ってな。
思えばこの海洋都市に来る際もやりたい事を見つけたい、と言っていた。
「ならさ。境界案内人になってみないかい?」
ーー選択肢のひとつとして考えてほしいんだけど。
考えておこう、とカイ。なんにせよ、まずはイレギュラーズだ。
カイの新たな道が無事に開かれるますように。そう祈りつつ招集をかけるミヤコであった。
- 【退廃世界グノーシス】海(カイ)完了
- NM名アルク
- 種別ラリー(LN)
- 難易度-
- 冒険終了日時2021年07月20日 21時10分
- 章数1章
- 総採用数7人
- 参加費50RC
第1章
第1章 第1節
『しろきはなよめ』すみれ(p3p009752)はイレギュラーズになった時の事を、と前置きをする。
すみれ自身は旅人(ウォーカー)の為、混沌世界へは召喚されて来ている。
その召喚の少し前。
入籍を果たし、挙式の準備をしていた。それだけならばおめでたい話である。
式の当日。文句のつけようのない晴れ。
「白いタキシード姿の彼は素敵でしたよ」
その脳裏には相手の晴れ姿。その姿は誰よりも輝いていただろう。
神の前で永遠の愛を宣言し、そして瞳を閉じて誓いのキスを。
誓いのキスを。
……。
おかしい。キスされない。
開く眼。
ここは、どこだ。
明らかに今までいた場所ではない。しかもここは空中に浮かぶ場所。
空中神殿。
目の前にいるのは彼ではなく、一人の女性。
混沌世界への召喚。
それは愛しい彼との別れと同義で。
その胸中は如何程か。
しかしイレギュラーズとしての生活も悪くはないのだ。
少し沈黙するカイ。
ーー人は出会い、別れるものだ。それがたとえ望まぬ形だとしても。
だがそれでも。残るものはあるのだ。愛した相手がいたという事実は決してなくなりはしない。
しかし、思い出だけでは生きられない。思い出と共にちゃんと歩んでいけるのなら、それは幸せな事ではないだろうか。
そう思わずにはいられないカイだった。
「もしカイ様が境界案内人になるなら、今度は境界図書館で会えるかもしれませんね」
ーー気が向いたらな。
成否
成功
第1章 第2節
「やぁ海、久しぶり」
『書の静寂』ルネ=エクス=アグニス(p3p008385)は親しげに海に語り掛ける。
自分の話が聞きたい、と聞いてやってきたのだ。
ルネと言えば本好きであると海はそう認識している。
「それで僕が本が好きな理由なんだけど特には無いんだ」
顔をしかめる海。それは致し方ない事であろう。なぜなら、こんな寂れた世界にまでやってきて本を探していたぐらいなのだから。
「アハハハそんな顔しないでおくれよ」
本人に言わせれば物心がついた時には既に本には慣れ親しんでいたのだ。
自分で絵本を読んだり、あるいは読んでもらったり。そのおかげで気が付いた時には本の虫になっていた。
だが、理由を挙げるとすれば。
物語や未知の知識を得るのが楽しいのだ。といっても自分にとって本を読む事は呼吸をするのと同じである。それは自然な事であり、そこに理由は要らないのだ。
「海がどうするかは自由に決めていいと思うよ」
人類最後の人間として過ごすもよし。他の生き残りを探すもよし。あるいは境界案内になるのだって。
ーーその時は歓迎するよ。
思い返せば海とルネの付き合いも長くなった。ルネならばあるがままの海を受け入れてくれるだろう。
これからもイレギュラーズと共に。それも悪くはないのかもしれない。そう思う海であった。
成否
成功
第1章 第3節
「海さん、久しぶりだね。私の話を聞きたい?」
ーーああ、是非とも頼む。
『テント設営師』フォルトゥナリア・ヴェルーリア(p3p009512)。海からすれば彼女との付き合いも長くなった一人だ。
「突然だけど私、世界を救ったことがあるんだ」
召喚される前。旅人(ウオーカー)であるヴェルーリアが元居た世界の事である。
魔王。それは人々に恐怖を振り撒く力を持つ者。
魔王。それは人々に絶望を与える力を持つ者。
その魔王と対になる存在。ヴェルーリア。
彼女が持つ『力』は人々の絶望を打ち払い、希望を抱かせる。
だがその『力』は今の自身が持つギフト以上の力があった『それ』は一声かけただけで人々に活力を与えすぎて暴走させかねない。
それゆえに無事魔王を倒せたとはいえ、自分も死ぬ以外に選択肢がなかった。
死ぬ事以外許されなかった。
でも今は。混沌世界に召喚された。それによりその『力』は弱体化された状態でギフトとして再取得した。
死ぬ必要はなくなった。生きる事ができる。
だからこそ海には。
「だから海さんにも生きてて欲しい」
ーー……俺は死ぬ気はないよ。そんなつもりがあるなら、とうの昔にやっている。
成否
成功
第1章 第4節
「さて私の話か」
ーーミヤコから私達が図書館を通じてここに来てるとは聞いたか?
境界図書館に境界案内人。そしてライブノベル。
一通りの話はミヤコから聞いている。
「私も幾つか巡っててね、色んな世界があったよ」
平和に祭をやってる事も、学生になる事もあった。
あと一日で滅ぶ世界を助けに行く事もあった。
ーー……ここではそうはならなかったが。
ライブノベルはそれこそ千差万別。
ここ『退廃世界グノーシス』然り。
怪異が蔓延る『黄昏幻影奇譚』然り。
童話が元になった『童話世界イストワール』然り。
他にも無数の世界があり、物語がある。
「私は良い結末の所に行けてたから大変だけど楽しかったよ」
ハッピーエンドで終わる物語は沢山ある。だが、それは
ーーけれど実際は後味悪い時も、遣る瀬無い時もあるだろう。
バッドエンドで終わる物語も多い。
「ただ図書館はここより賑やかではあるのだろうな」
グノーシスの世界は既に滅んだ。そこだけ見ればバッドエンドかもしれない。
だが、カイの物語はまだまだこれからも続く。その結末がどうなるかもわからず。読み手もそれを知る事は出来ない。
カイが境界案内人になるのもまた一興。
「ああ、そう言えば意外な出会いもあったな」
ーーその滅びかけた世界で出会った子竜にママと呼ばれるようになったんだ。
ーー????
頭の上に疑問符を並べるカイにくすりと笑うラダ。
「こればかりは予想もつかなかったよ。」
成否
成功
第1章 第5節
「為らば、語ろう」
『愛の伝道師』葛籠 檻(p3p009493)。
「小生ら紺龙[ガンロン]は高く山の上の住人」
檻は旅人(ウオーカー)であり、紺龙[ガンロン]とは檻が元居た世界における龍の事である。
修行と称して下界を旅して居る最中に、特異運命座標として呼ばれたのである。
そして檻からして元居た世界の下界はどのような場所だったか。
ーー実に、実に空虚なものであった。
檻は神を奉じている。だが、下界の者達は自分を神と奉じてくる。
『情けを』と足先に縋る指先と声。
もはや自分達ではどうする事も出来ない。縋る事しかできない者達。
結局修行でやってきたはいいが、何も得る事は出来なかった。
下界の現実を見ただけだ出会った。荒涼とした世界。からからに乾ききった世界。
そして自身を神と縋りつく下界の者達。
自分の心は乾くばかりであった。
ーーなんてことはない、小生が意気揚々と降り立った世界はもはや滅びかけであったのでした、というやつだ。
しかし召喚された今。自身は幸福に満たされている。
ーー夢物語のような世界に、生きているからな。
混沌はそれこそ鮮やかに彩られている。
どこを見ても退屈しない、世界。混沌、とはよく言ったものだ。その名に恥じない、カオスな世界なのだから。良くも悪くも。
ーー確かにそんなカオスな世界なら悪くはないのかもしれない。
檻の表情を見ながらぽつり、とそう漏らすのだった。
成否
成功
第1章 第6節
『フロイライン・ファウスト』エッダ・フロールリジ(p3p006270)。
何を話すか首を捻ったが、あの話を。
「自分は、元は軍人でありました。騎士(メイド)でもありました。
そして突然の召喚。イレギュラーズに。いや、まあ今でも軍人であり騎士(メイド)なのだが。
かつての自分は今より少し融通が利かない人間であった。
軍人。そして人民と皇帝に傅く騎士(メイド)。命を賭け他者を守り、そしてそばに寄り添い、人を助ける。
「自分の正義を躊躇いなく押し通す人間でありました」
ーー立場が人を作るというのは本当でありますね。
それが正しいと選んだ道があった。こうあるべきだと思っていた事がある。
だが今は。自分が良くわからない。信じていたものが揺らぐ。
己の正義は、どこにある。
もしかしたらそんなもの、どこにもないのかもしれない。
その胸中にあるのは不安だろうか。
「わからないことが増えるというのは、楽しいものであります」
カイ自身も最初はイレギュラーズとここまで関わるとは思わなかった。
面倒なものが来てしまった、と。
だが、今日に至るまで様々なイレギュラーズと関わった。
その中で彼らと関わるのも悪くないと思うようになった。
きっと。きっと彼女も彼らと関わりそして変化した、しようとした一人なのではないだろうか。
「……境界でまた貴方と語らえる日がもし来るのであれば」
ーーこの言葉の答え合わせを致しましょう。
成否
成功
第1章 第7節
自分は死ぬ気などない。海からその言葉をはっきり聞いた『テント設営師』フォルトゥナリア・ヴェルーリア(p3p009512)。
だが、ヴェルーリアに言わせれば。
「でも死を待っている状態は多分生きてる状態ではないと思うから……」
自分の話をするのであれば。
明日に希望を持てなくなったり、全てに絶望してる達を沢山見てきた。
それでも生きていてくれて良かったと思うことが何度もあった。
「だからこそ生きていてほしいって言うのは」
明日に希望を持って過ごして欲しいということでもある。海が悔いなく選択して欲しいとも思う
「それこそ境界案内人になっても良いと思う。少なくとも私は嬉しい」
ーーつまり海さんがちゃんと生きていけるなら私はその選択を応援するってこと!
照れたように笑うヴァルーリア。
「でも死のうとしたら止めに行くよ!」
流石に苦笑するしかない海。
ーーどうやら俺はそう簡単には死なせてくれないらしい。
世界に、自分に絶望した海。何度も死のうと思った。なぜ死ぬ事ができなかったのか、それすらもわからずに。ただただ毎日を生きる。だが、今ならわかる気がする。自分はこの女性に、イレギュラーズに出会う為に生き続けてきたのだ、と。
「もし境界案内人になったらよろしくね!」
ーーおう。その時はな。
成否
成功
第1章 第8節
「それで?彼らとの会話はどうだった?」
ーーなかなか有意義だったよ。
海の希望によりイレギュラーズとの話をした。
その人生の一端を垣間見た。
「これからどうするか、決まったかい?」
ーーもちろんだ。
「ほう。それで?」
ミヤコの問い。
ーー俺は。
一拍おき
ーー境界案内人になるよ。
「理由を聞いても?」
頭を掻く海。
ーー俺はすべてを諦めていた。
自分の無力さを痛感し、大切なものさえ守れなかった絶望感。ただただ生きるだけの毎日。
それは生きながら死んでいるのと同じ。
だが、そんな海にイレギュラーズは生きろ、と言った。
ならば。
ーー誰とも関わる事はないと思っていた。そのつもりもなかった。
だが。奇しくも。イレギュラーズと関わってしまった。興味を持ってしまった。
特異運命座標。可能性を紡ぐもの。
変わるはずのなかった男に、それは確かに変化をもたらした。
ーーだから、彼らと歩く道を。
そんな道も悪くない。そう告げる男に、ミヤコは。
「それで?君の名前は?」
名前。それはミヤコが男と最初に出会った時に聞いた質問。
ーー俺の名は海(カイ)。海は命の源。生を自覚できるよう、そんな思いが込められた名前だ。
その答えに満足げに頷くミヤコ。
「そうか。ならば境界案内人の海(カイ)」
ーー末永く、宜しく頼むよ。
そして二人はイレギュラーズ達のいる、ミヤコの書斎へ向かうのであった。
NMコメント
最終話
●退廃世界グノーシス
ポストアポカリプス。文明が滅んだ世界です。
●目標
カイと話をする事。
具体的な内容は後述します。
●話の内容について
皆様の事をお聞かせください。
楽しかった事、悲しかった事。
嬉しかった事、辛かった事。
あなたの事ならなんだって良いのです。
旅人(ウオーカー)なら元の世界の事でも良いです。
●境界案内人
カイは境界案内人の勧誘を受けましたが
どうするかは現段階では未定です。
●捕捉
今回が最終話です。
サブストーリーが今後展開されるかもしれませんが
メインとしての話は今回が最後の予定です。
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