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シナリオ詳細

だらだらセイゼリャーナイト

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 ガタンゴトン、と列車が鉄橋を走る音がけたたましく響く。
 この場所の夜は、幻想王都のそれよりずっと明るい。強いて言えば、そう、ここは練達――再現性東京の1999街か、それとも2000街か。
 けれどこの橋の下、横を流れるゆったりとした川の広さも、その向こうにもずっと続く明かりも。ここが一つの『街』にすぎないのではなく、『世界』であることを伝えていた。
 境界図書館より案内人の導きを経てこの世界に入った四人は、この世界の問題を解決せんと息を巻き――

「終わったぁー!」

 さくっと終了させていた。
 この場所に今立っているのは、たった四人。その周囲には――黄色と黒、二色の服に別れた無数の男達が伸び切っていた。
 カラーギャングの抗争を終わらせる。そんな一戦は、特筆すべきこともなくあっさりと終わっていたのだった。
「案内人さんが急ぎだって言うから走った割に、大したことなかったですねぇ」
 高らかに声とナイフを突き上げた『私の航海誌』ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)は、はひー、と汗を手の甲で拭っている。
「もう少しばかり楽しませてくれるお相手だと思ったんだけどねぇ。興醒めというか、骨がないというか」
 残念ですわあ、と芝居がかった口調で笑う『青嵐』ゼファー (p3p007625)も、背丈ほどの槍に付いた埃を払い落す。
「カーッ! 拙者の銀河旋風殺があまりにも美しく決まってしまいましたね! 観ましたかコルネリア殿!?」
 ドヤ顔で愛刀を鞘に納める『離れぬ意思』夢見 ルル家(p3p000016)の問いかけに、『ティブロン海賊団“怪銃”』コルネリア=フライフォーゲル(p3p009315)が「あ゛?」とすこぶる不機嫌な声を返す。
「ウィズィ! ゼファー! ルル家! なんでアタシだけいつもの武器使えずにステゴロなわけ!?」
 げしげしと傍らに転がっている男を足蹴にして、コルネリアは吠える。
「いやぁ、ほら」
「だってコルネリア、貴女」
「流石に拙者でも解ります」
 それ――と三人が指差すのは、ステゴロには邪魔過ぎると、交戦直後に置き去りにされたコルネリアの巨大なガトリング。
「誰か先に言ってくれてもイイじゃない! 目立ち過ぎるならちゃんと銃とか持ってきたわよぉ!」
「まぁ、まぁ。ほら! ね、お腹空きませんか!」
「ですね、何か食べて帰りましょう! 観光がてら!」
 ウィズィとルル家が(半ば強引に)話を切り替えれば、いつの間にか男の懐からくすねたストロングな缶を開けて飲み始めたコルネリアが機嫌を取り戻し手を上げる。
「アタシ酒飲めて生ハムが食べれる所がいい!」
「お酒ねぇ。でも私とルル家は未成年だもの、ちゃんと食事もしましょ」
「あ、そうだったゼファー同い年じゃなかった。生ハムといえばワイン!」
「ドリンクバーやりましょうドリンクバー! 宇宙的美味しさのスペシャルドリンク作りますよ!」
 あーだのこーだの言いつつ、繁華街へ歩いていく四人。
 全員の希望が通る店などあるはずもないと半ば諦めていた所に飛び込んだ――緑と白と赤の看板。

 そう、ここはイタリアンレストラン『セイゼリャー』。
 現在21時。閉店の翌2時まで――女四人、思いっきりだらけて過ごすしかない!

NMコメント

 リクエストありがとうございます、飯酒盃おさけです。
 ファミレスでだらだら飲むお酒が好きです。

●目標
 閉店まで思いっきりだらだらする。

●舞台
 何の変哲もない現代日本風世界――のイタリアンレストラン『セイゼリャー』。
 イタリア料理がメインのお手頃値段なファミリーレストランです。
 最近値上げに世間が「ついにか」と思った所、端数をなくして判り易くなったと評判。
 売りはイタリア人も「マンマの味だ!」と感動する素朴なイタリアンの数々と、自分好みにアレンジできる大量の調味料。
 皆さんはドリンクバー近くのベストポジション、かつ広めの席に通されました。
 沢山頼んでも、テーブルに乗り切らないことはないでしょう。
 
●メニュー
・前菜
 グリーンサラダ
 シーフードのサラダ
 イカの冷製マリネ
 ほうれん草ソテー
 豆サラダ
 モッツアレラチーズとトマトのカプレーゼ
 生ハム(ハモンセラーノ)
 熟成サラミ
 エスカルゴのオーブン焼き
 コーンスープ
 骨付き一口チキン(辛口)
 ラムの串焼き

・メイン
 ナポリ風ドリア・グラタン
 シーフードドリア・グラタン
 ピザ各種
 パスタ各種
 ハヤシライス
 シーフードパエリア
 トマトチーズリゾット
 ハンバーグ・ステーキ(デミグラスソース・トマトチーズ・野菜ソース)
 ライス・パン各種

・デザート
 ジェラート(ミルク・オレンジ)
 コーヒーゼリー
 各種ケーキ(ティラミス・チョコ・フルーツタルト)

・ドリンク
 ドリンクバー(ジュース~各種コーヒー・お茶)
 生ビール
 ワイン(赤・白・ロゼ・スパークリング各種。グラス・デキャンタ・ボトルまで。ボトルは通常の2倍サイズあり)

・調味料
 岩塩、オリーブオイル、粉チーズ、醤油、辛味オイル、地獄の辛味オイルなどなど。

 その他、あの店にありそうなものはあります。お察しください。

●その他
 テーブルに置いてあるキッズメニューの裏面には、大人も夢中になる間違い探しが置いてあります。
 今回のイラストは「美味しいピザの作り方」であり、10か所の間違いの中にある「トマトソースの色ムラ」は史上最高難度とマニアからも評判です。
 挑戦する場合、その他の間違いの内容は好きに考えてOKです。

●備考
 相談から楽しみたいとのことで、相談期間は長めにとっております。
 席に着いた所から相談が始まりますので、メニュー決めでも先に始めてしまっていても構いません。
 自由にゆっくり楽しんでみてくださいね。

 それでは、楽しい女子会をお過ごしください!

  • だらだらセイゼリャーナイト完了
  • NM名飯酒盃おさけ
  • 種別リクエスト(LN)
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年07月24日 22時20分
  • 参加人数4/4人
  • 相談11日
  • 参加費---RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

夢見 ルル家(p3p000016)
夢見大名
ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)
私の航海誌
ゼファー(p3p007625)
祝福の風
コルネリア=フライフォーゲル(p3p009315)
慈悪の天秤

リプレイ


「なんでしょうねえ、この居心地の良さ……」
 外食といえば畏まって行儀よく――そんなイメージを覆すこの空間。靴を脱ぎ捨て足をぶらぶらと投げだしストローを噛む『離れぬ意思』夢見 ルル家(p3p000016)に、『薔薇の名前』ゼファー(p3p007625)が「そうねぇ」と彼女には珍しい気の抜けた相槌を返す。上質なベルベットでも革張りでもない、硬さが残るソファながらもやけにリラックスするこの空気は何なのか。ドリンクバーだけで二時間だって軽く粘れそうだわぁ、とゼファーはアイスティーを一口飲もうとし――がん、とテーブルに叩きつけられた衝撃に目を丸くする。
「マグナムお待たせしましたー」
「えっ何。えっ。クソデカ!」
 とりあえずこの赤ワインのマグナムってのください――席に着き開口一番に宣言した『私の航海誌』ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)も、鈍器としか言えないこのサイズは想定していなかったわけで。ノリだけで一番大きいの、と頼んだもののそう酒には強くないウィズィ一人では到底無理なこのサイズにこめかみを押さえるも――まあいざとなったらどうにでもなる。なぜならボトルを挟んだ反対には既に出来上がりかけている『慈悪の天秤』コルネリア=フライフォーゲル(p3p009315)がいるのだから!
「あひゃー! ねぇねぇ早く乾杯しましょ!」
 ボトルの首を握り掲げようとするコルネリアは、道すがらストロングな缶とカップ酒を数杯空けているのだかる。
 ルル家に続き靴を脱ぎ捨て寛ぎ体勢に入ったウィズィが、コルネリアから奪ったボトルを二人分のグラスに注ぎ高らかに謳う。
「それじゃあ我等の勝利に――かんぱぁい!」
「「「かんぱーい!」」」


「……っていうか一気に頼み過ぎましたね!?」
 乾杯の直後にテーブルが大量の料理で埋め尽くされた光景にルル家が若干の後悔をするも時すでに遅し。
「ま、大丈夫じゃあないかしら。この人数なら色々頼んでシェア出来ちゃいますし」
 頼み過ぎ位が屹度丁度いいのよ――と、ゼファーはサラダの小エビを摘まみ、グラスの氷をつつく。どう見ても濃いウィスキーにしか見えないけれどアイスティーです。
「あ、青豆の温サラダとカプレーゼはこっち!」
「あらウィズィ。肉はいいの?」
「いやぁそりゃ栄養気にしてるよ、頑張って体型維持してるんだからね……あ、でもそのラム串一本ちょうだい」
 ウィズィは若干の躊躇いを見せるも、ゼファーの薦めでラム串を手に取り――その手をゼファーに掴まれる。
「闇堕ちスパイス、たっぷり付けましょ?」
 ゼファーのその誘いをウィズィが断れるはずもなく。魅惑の赤を纏わせた肉に被り付けば、広がるのは辛味と肉汁。
「うっま、これやばいね!? うひーワインがすすむ、あひゃ!」
「あーずるいわよぉ二人とも、こっちの生ハムと骨付きチキンとぉ、こっちの生ハムもアタシの!」
「ああ、コルネリア殿片方は拙者達未成年コンビの分ですよ!?」
 子供のように皿を腕で囲み「アタシの!」と宣言するコルネリアの陣地からひょいと皿を掬い上げ、ルル家は高く掲げたオリーブオイルを回しかける。見ればコルネリアがダメなのは勿論、ウィズィも段々と目が据わっているではないか。
「大人組ちょっとお酒のペース早くなぁい?」
「拙者達未成年組はあのような醜態は見せずに大人しく楽しみましょうねゼファー殿!
 あ、おかわりいりますか? 烏龍茶にコーラ入れますか!?」
「オレンジジュースで。混ぜないで頂戴ね?」
 どりんく、ばー。未成年。お決まりのドリンクバーの攻防に、コルネリアはかっと目を見開く。
「未成年……未成年? ほんとに? ほんとう? 大人の色気に若さもある……ってコト!?
 ゆるせねぇ、ゆるせねぇよなぁウィズィ! えぁ? 酔ってないよ、アタシ酔ってないよぉ」
「大丈夫ですよコルネリアさんの身体もね、三十路故のねぐへへ」
 会話が成立しているのかすら危うい大人組に、ゼファーは深く溜息を零す。
「……潰れないで頂戴よね? 流石に2人抱えて帰るなんて酷なんですから、ええ」
(そうなるんでしょうけれど――ま、それまで堪能するしかないでしょうね)
 ゼファーはぱらぱらとメニューを捲り、観念して呼び出しボタンを押すのだった。


「エスカルゴとぉサラダ、後クリームチーズと熟成サラミはこっちよぉ」
 焼酎――は流石に無いと断られ。右手に赤ワインのグラス、左手にレモンサワー……の缶を握り締めたコルネリアがけたけたと笑う。
 最初のオーダーを平らげたと思えば、あっという間に追加の品はテーブルを埋め尽くし――夜はまだまだ続いていた。
「ピザぁ。ピザ一切れちょーだい」
「なぁにウィズィ。体型気にしてるんじゃなかったの?」
 餌を待つ雛の如きウィズィに、たっぷりと辛味オイルをかけたマルゲリータを差し出すゼファー。急な刺激に噎せるウィズィも、辛味で脂肪を燃やせばよいのだと気を取り直す。
 ゼファーはそれを横目にゆったりとチキンを切り分け――リゾットに乗せて一口。書かれている値段と味を思えば、そのバランスはニクいもので。
「此れだけ頼んでも大分お安いんだから凄いわねぇ」
「本当、全体的にどれも美味しい割にすごく安いですね。このナポリ風ドリアも中々。拙者の店の半分以下の値段ですよ! すごい!」
 ルル家もドリアの上で半熟卵を崩しながら舌鼓を打つ。拙者の店が再建出来たら全員雇ってガッポガッポ――妄想は膨らむばかり。
「うん? 再建って……貴女の店、未だ直してなかったの?」
 ちょっとした事件で爆破されまして――ルル家は天井に描かれた天使を、遠い目で眺めるばかり。うっ頭が。


「あぁ~わかるわかるそれなぁ。そそそそゆこと、あ~おいし……あぁ明日依頼行きたくねぇなぁ! 家で寝てぇよぉなぁウィズィそう思わん? 思わない? はい……」
「それウィズィじゃなくてボトルよコルネリア」
 一時を過ぎた頃には、冷えて固まった油に浮いたエスカルゴの替え玉(ゼファー命名)をつつくコルネリアはもう撃沈。固め、濃い目、多目――バリカタマシマシエスカルゴは勧めたゼファーとて眉を潜める。
「ちょっと酔いすぎですよほらお水飲んで下さい! 目覚ましにコーヒーも混ぜておきました!」
 うっすい茶色の液体を飲み覚醒(自称)したコルネリアは間違い探しに挑戦し――目を細め冊子を遠くにやる。
「えぇとこれと……いや難しくない?」
「6個しか見付からないのよねぇ。此のパスタのソースとか……まあコルネリアは違う理由でしょうけど」
「あ!? 老眼じゃねえから!」
 収拾がつかないコルネリアをどうしたものかと考えていれば、ルル家の肩が勢い良く抱かれる。
「あの日最後のペンネを同じタイミングで取ろうとして『あ、いいよ食べなよ』『私はいいわ。ウィズィが食べなさい』みたいなのとかなぁ!
 これは普通の長いパスタじゃ味わえないドキドキなわけ!
 見えないものを見ようとしてペンネの中を覗き込んだんだよ! なぁルル家ェ!」
「ウィズィ殿は何を観測するんですか」
「どこ……どこに行ってしまったんだよ! トマトパスタに唐辛子フレークじゃダメなんだよ……なんで無くなっちゃったの……帰って来いよぉ……」
 卓上のナフキンを掴み取りおいおいと泣きながら鼻を嚙むウィズィ。懐かしの味のようです。
「んでもルル家だってさぁ、酔ったらこんなんなるんだぜ? は~~~潤んだ瞳、緩んだ頬、無礼な尻! 最高の一枚でしょコレ。なあルル家ェ!」
「オイイ何見せてるんですか!? いつ! ぐでぐでで訳わからん歌歌ってた癖に抜け目ないですね!? はい没収!」
 ルル家の眼前に目が据わったウィズィが掲げるは、痴態を晒し名曲が生まれたあの依頼の自身で――没収せんと乗り出すも、悲しきリーチの差は埋められず。
「オウだめでーす、没収ダメネ。ディスイズマイエイフォン」
 せめてもとオーダーで止めようとしたルル家が連打した呼び出しボタンにやってきた店員は――後ろに般若が見えたとは、四人の談。


 気付けば時刻は深夜二時。
 閉店を告げられた一行は、頭の片隅にある深夜の摂取カロリーを追いやり満足感のままレジに向かう。
伝票の束を差し出したゼファーがパンツの背面を探り――気付く。冷や汗が背中を垂れるのを感じながら「ねぇ」と振り返り三人に問う。
「私気付いたんだけど。誰か財布持ってる?」
「あ」
「ないですね」
 元より異世界。報酬の受け取りも先で、この世界で使える通貨もない。さすればここは謝罪か全力逃走か。目を泳がせるウィズィと、逃げの構えのルル家に――コルネリアの間延びした声が返された。
「あ、だいじょぶだいじょぶ。アタシがさっき河原で財布くすねといたから」
 草臥れた厳つい黒のチェーン付き財布をぴらぴらと掲げるコルネリア(※これは正当な報酬として換算されており、コルネリアさんはとっても悪いですがセーフです)の天の声に一行はガッツポーズをするも――

 ちゃりん。

「あ、ワンカップ買い過ぎた……あっあとあたりめとポテチも」
 出てきたのはわずかなコインのみで、勿論豪遊した合計額には届かない。おずおずと顔を上げた四人に、微笑む店員が親指で後ろを指し示した先には「足りない分は身体で払うこと」の文字。
「よかったぁ、ほらみんなバイトして帰るぞぉ!」
「私明日は蜂蜜ちゃんとデートだから」
「ペンネアラビアータを探す旅に出ないといけないんです」
「拙者今遮那くんが明日なら比較的暇だという直感が来たので、デートに誘いたいなと今急に思いまして」
 コルネリアに言い放つ三人は早々に得物が入った鞄を担ぎ――ぽん、とコルネリアの肩を叩いて。

「それじゃ、後はよろしく!」
「え? 嘘ぉ、え?」
 にっこりと笑った店員に、バックヤードへと引き摺られるコルネリア。
 彼女が代金分の皿洗いを終えて帰ったのは――翌日の夕方だったとか。

成否

成功

状態異常

なし

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