シナリオ詳細
<フルメタルバトルロア>悠久-UQ-
オープニング
●
――かつて、『悠久-UQ-』という伝説のチームがこの一帯を支配していた。
夜の闇を切り裂いて無数に輝く星々……否、バイクのヘッドライトの群れ。
黒い重厚なボディのバイクに跨がる男はくわえた煙草を投げ捨て、にやりと笑った。
彼を中心としたバイクチーム『悠久-UQ-』は五人の幹部によって構成される組織。
その圧倒的な勢力により、かえってその一帯は統率がとれていた。
幹部の中でもリーダーと言われている人物。それが伊達 千尋である。
バーアルバニアの用心棒たちとことを構えた際の伝説的戦いから『Go To HeLL!』の異名を持つ彼は敵対するすべてをその拳でたたき壊し、組織力を吸収し続けていった。
だがある時から人が変わったように組織の拡大に執着し、あまりにも残忍な戦い方に離脱する者も増えた。だがそれ以上に乱暴な男達が集まり、彼らはその組織力を使って数々の犯罪に手を染めていく。
UQ地区と呼ばれた鋼鉄国のいちエリア。UQによって実質支配されたその土地で彼らに逆らえる者などいなかった。
「知ってるか千尋。最近、お前の名前を使ってラチだのヤクだのやってる連中がUQ内にいるって話……」
夜の川沿い。そうきりだした男、九十八(ニタラズ)。彼の言葉に千尋は舌打ちをした。
「ああ……らしいな」
「『らしいな』ってお前!」
よぎる思い出は笑顔とバイク。晴れた日に五人で川沿いのハイウェイを走った思い出。
毎日バカやってはしゃいで、たまにボコされたり金欠になったりしながら、けど走って酒飲んで笑って、一緒に居られればそれでよかった。
学もねえし喧嘩ばっかした不良だ。それは否定しない。けどそれだけじゃない……心のあったけえヤツが集まってできた、あれは『俺たちの居場所』だった。
五人でバイクとガレージにつけた『悠久-UQ-』のエンブレムはそんな青春の証だった……はずだ。
「お前がしっかりしなくてどうすんだ! UQはそんな場所じゃ――」
「UQ抜けたお前には関係ねえだろ」
煙草をくわえ、きびすをかえす千尋。彼は背をまるめるようにして歩いて行く。そんな彼を止めることは、できなかった。
●
ROOネクスト、鋼鉄帝国。軍閥ゼシュテリオンは敵対する軍閥や各地に発生したシャドーレギオンとの戦いを続けている。
「伊達千尋……ヤツは見所のある男だった。悪意あるバグによってDARK†WISHを抱いてしまうまでは、な」
ギアバジリカ内出撃準備室。資料のボードを手にしたショッケンは小さくため息をついた。
「伊達はたいした不良でな。今で言うUQ地区で毎日喧嘩ばかりしていた。
だが、人として曲がったことだけはしない。そういう好青年だったよ」
資料によれば、伊達はUQというバイクチームを結成していた。他のチームとの衝突を繰り返したが喧嘩の強さとカリスマによって組織は拡大。柄の悪い連中も入り込んだことで居心地が悪くなった最初の仲間の何人かは脱退。九十八(ニタラズ)もその一人だ。
伊達はそれでも帰ってこれる場所を守ろうとUQの勢力を維持していたが……いつからこの世界のバグによって希望(WISH)を歪められてしまったのだ。
『どんな悪事を働いてでもUQを拡大して不滅の組織にする』というDARK†WISHに。
「UQは大勢のバイク乗りによって構成されたチームだ。だがその殆どはお前達の敵ではないだろう」
「なるほど、筋肉が足らないって事だね!」
ダテ・チヒロ(p3x007569)がリング状のトレーニング器具をぎゅっと引き締めながら笑顔を作った。
まあそういうことだなと頷くショッケン。
「エクスギアにオプションパックをつけておく。折りたたみ式の魔道バイクだ。
現地に到着次第そいつに乗り込み、UQの連中を蹴散らしながら突き進め。
なぁに。連中車には弱いが、撥ねられても死にはしない」
「なるほど!」
「だが、ヤバイのは五人の幹部達だな……」
●
「フンッ――!」
十字のネックレスをさげた男。豪快なパンチで相手の顔面を殴り潰すと、襟首を掴んでボーリングフォームでぶん投げた。
地面と水平に飛んでいった相手は集団をストライクし、そのまま壁に激突して転がる。
――瑠璃雄
圧倒的なパワーをもつファイター。UQ最古参のひとりであり、伊達がいなければ総長になっていたとも言われる人物。
彼もまた『大事な仲間達を守っていきたい』というWISHを持っていたが『邪魔になりそうな人間をすべて殺してしまえば仲間は傷つかない』というDARK†WISHに歪められている。
「おいおい喧嘩か。武力行使かぁ――ナメるなよ」
ナイフを抜いた連中を前にして、シルバーチェーンのネックレスをした男はハンドポケットのまま早足で距離を詰める。
振り込まれたナイフを上半身の動きで回避すると、素早く腕を掴んでからめとり相手を投げ落とすと流れるような動きで残る連中のナイフを蹴り飛ばしていく。
――嵐山 ソラト
UQ最古参のひとりであり、クローズ・クォーターズ・コンバットの使い手。
最強の運び屋と知られ、かつて鋼鉄マフィアによって家族を殺されて以降二人の弟を優しく養い、よき兄であることをWISHとしていた……が、『家族を殺した人間を惨たらしく殺すことで復讐を遂げる』というDARK†WISHへ歪められ、そのために組織を利用するようになった。
「SHOW TIME――」
総銀歯で笑う星型サングラスの男。蛇腹剣のように伸びる杖を振り込み相手の足をすくうと、変幻自在の連撃で相手を血塗れにしていく。
――COOKIE
拡大したUQに吸収されるかたちで幹部となった男。『傷ついた女たちを守りたい』という優しいWISHの持ち主だったが、バグによって『女の感情を殺せば傷も分からなくなる』というDARK†WISHに支配されてしまった。
「荒事は苦手なんだよ。ったく……」
相手を蹴り倒し、喧嘩キックで自動車の側面へ叩きつけると上着の内側から抜いた拳銃を連射。血にまみれた窓ガラスにひびが入る。
――ススム
UQ地区の自警団Zillion of willの一人として活動していたがUQに吸収されるなかで幹部の一人となる。大学を出ているという謎の理由でハッキングや拳銃の扱いに精通している。
元々は『友達の暮らす町の平和を護りたい』というWISHで戦っていたが、バグによって『友達を無くしてしまえば自分は平和ですむ』という悲しきDARK†WISHに墜ちてしまった。
「ハハハッ、マジ受けるぜあんた」
手を叩いて笑顔で歩み寄っ――たかと思いきや突然相手の顔面を殴り倒し、咄嗟に相手の取り出した拳銃の弾をがしりとキャッチして握りつぶす。
――伊達 千尋
UQ総長にして最強の男。
ダチの帰ってこれる場所を守りたいというWISHが悪意あるバグによって歪められ『どんな悪事を働いてでもUQを拡大して不滅の組織にする』というDARK†WISHに支配され暴走し続ける男。
こんな彼らを救う方法は、実にシンプルだ。
殴って止めろ! それだけだ!
- <フルメタルバトルロア>悠久-UQ-完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2021年07月14日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
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参加者一覧(8人)
リプレイ
●
大地に突き刺さる無数の十字架。
その一つがゆっくりと開き、ひとりの男性が下りてきた。
黒縁眼鏡をかけ直し、ネクタイを締め直す。
『仮想ファンドマネージャ』ファン・ドルド(p3x005073)は十字架型強制出撃装置エクスギアにオプションされた折りたたみ式魔道バイクを取り外すと、地面に放り出した途端自力で組み上がったバイクへと跨がる。すさまじい馬力で走り出すバイクの先には、数え切れないほどのライダージャケットの男達。
彼らの背負うエンブレムは、『悠久-UQ-』。
「あなた方にそれを背負う資格はない。……が、話して分かって貰おうとは思っていません」
一斉に突っ走ってくる男達へむけ、ファンは猛烈にバイクを発進させた。
「え、あ、っちょ、揺れが揺れが激しっ!!? え、び、ビクトリ!? あぴゃーーー!!!!!」
追ってズガンと突き刺さったエクスギアから転がり出てきた『闘魂の鎮魂歌』レイリィ(p3x009821)。
真っ青な顔でゼーゼーいうと、二本ほどくわえた長髪をそのままによろよろと起き上がる。自動で組み上がったバイクへとつかまり、ゆっくりと跨がった。
「はぁはぁ……確か今度はバイクで。……どこを踏んだら走りますの?」
とかいいながらアクセルをぐいって回した途端に急発進するバイク。
「あ、ちょ、まっ!? あぉぉぁぁああああああああ!?」
すごい勢いで風にあおられながらもUQの構成員たちを撥ねていくバイク。適当に運転しても案外ちゃんと走るらしく、レイリィは気を取り直して口元を拭った。
「とにかくこれでよし! 遠慮しませんわっ!!!」
同じくエクスギアによって到着した迅牙は外に出ると、まずはミサイルポッドを展開して撃ちまくる。
(特に思い入れは無い…が見過ごせない)
20式多連装ロケット弾発射機によって次々と巻き起こる爆発。
「ビーーークーーートーーーリーーー!!!」
解放された棺からマッスルポーズで飛び出してきた『パンドラフィッター』ダテ・チヒロ(p3x007569)。
「いいロケット弾だね! 筋肉が喜んでるよ!」
「筋肉?」
「さあ、どんどん行ってみよう!」
バイクに跨がり、カッと脳天直撃ポリゴンで笑うダテ。
ハンドルに接続したリング型フィットネスマシンをフゥンっていいながら圧縮した力によってバイクが走り出す。
「上腕二頭筋の限界まで加速してみせる。それがフィットネスマンとしての俺の矜持さ!」
「エイラもぉ郷に入れば郷に従うんだよ~」
その横を併走する魔道バイク。跨がった『仄光せし金爛月花』エイラ(p3x008595)はクラゲ状の笠をかぶった性別不詳の小柄な少女(?)の姿をとっていた。
エイラは笠からばちばちと青白いスパークを流すと、バイク全体に纏わせながら加速。
道を塞ごうと立ちはだかったUQ構成員たちを次々に跳ね飛ばしていく。
そんな風景の中、バイクで突っ走る『ひよっこヒーラー』ルフラン・アントルメ(p3x006816)。
「この悠久はあたしの知ってる悠久じゃない。
あたしはこの5人がほんとは優しい人だって知ってるもん。
だから! 重傷とか言ってられない!」
装着していた眼帯を外し、通りがかりのくずかごへと放り投げるルフラン。
瞳に炎を燃やし、明日と希望を見据えてアクセルをひね――。
「いいマッスルだね!」
の充填直撃ポリゴンでカッと振り返るダテ。
「うわーん折角のあたしのシリアスが!」
「運動のあとはプロテイン(タンパク質)をとろうね! ビクトリー!」
「うわーーん! びくとりー!」
魔法のリンゴを頂いたマジカルステッキを振り込み、お菓子の雨を叩きつけるフルラン。
ダテはフィットネスリングをぎゅぎゅってしながら空気砲でUQ構成員たちを倒しながら進み、そして一瞬だけポリゴンの解像度をリアルに引き上げた。
「歪んで暴走した願いってのは、自分では気づけないものなんだな」
パープルカラーのLEDラインが輝く流線型の魔道バイク。『†夜の闇を統べる女王†』ヴィルヘルミナ・ツェペシュ(p3x008547)は蠢く影の触手で絡めた何人ものUQ構成員を撥ねて放り出すと、積み上がったその山へと飛び乗って腰を下ろし、長く細い脚を汲んで顎をあげた。
「もう終わりぃ? つまんないんだぁ」
色っぽく、そして可愛らしく小指の付け根を舌先でなめてみせるヴィルヘルミナ。
その様子をただ眺めていた男達が立ち上がり、それぞれゆっくりと歩み出る。
ひとり椅子に座って煙草を吹かしていた千尋だけは煙草をくわえたままゆらゆらと歩き、ゆっくりと煙を吐き出す。バイクから降りたダテたちと向かい合う。
両者は、何も言わぬまま、全く同時に走り出した。
●
走り出すエイラと瑠璃雄。お互い全く小細工をかけることなく真正面から互いの拳を繰り出し合った。目を見開き、拳をたたき込む瑠璃雄に対して、エイラは跳躍して高さを合わせ、相殺するように自らの拳を打ち込んだ。
帯電した肉体から青白いスパークが走り、瑠璃雄の身体を突き抜けていく。
能力は拮抗――のように見えて、バイクによる強行突破でやや消耗したこちらの方が不利だ。
迅牙はローラーダッシュで走り回りながら20式多連装ロケット弾発射機を連射。
無数の爆発が瑠璃雄の周りで起きるが、直撃弾を瑠璃雄ががしりと掴み明後日の方向にぶん投げることで空にもまた爆発が起きた。
「ねぇ守るというのはぁ外敵を排除するだけじゃぁないんだよぉ?
君はぁ地震を倒せるのぉ?
津波や黒い太陽を沈めれるのぉ?
守るはねぇ倒すよりもぉいっぱいできるんだよぉ。
倒せない災害からも守れるんだよぉ。
或いはぁ、うん。
もしかしたらぁ君の知らないはずの喪失への君なりの抗いや恐怖なのかもだけどぉ」
砕けたロケット弾の破片の下で、エイラが笠の縁をすっと撫でる。
首をならし、振り返る瑠璃雄。
「なら俺は、邪魔な連中をすべてを殺し続けるだけだ」
「それじゃあ、守り切れないんだよぉ」
度重なる爆発を避ける形で、後ろにあった無人の工場へと駆け込んでいくススム。
そんな彼のあとを追って走るのがファンのバイクであった。
工場の大型搬入口から飛び込むファンのバイクが、偶然立てかけられた鉄板の上を走り抜けジャンプする。振り返ったススムは咄嗟に飛び退き――ながらも懐から取り出した拳銃を二連射した。
バランスを崩し転倒するバイク。廃材に突っ込んで爆発するそれのなかから、ファンはまるで無言のまま、不自然なほど素早く起き上がり、そしてススムへと刀を抜く。
「今日は私が付き合いますよ。サシでやりましょう」
「そういう流儀にならうつもりはないんだけどな」
再びの発砲。ファンの刀が鋭く走り、飛来する銃弾を切り裂いた。
「私も大学を出ていますからね。判るんですよ。刀の扱い方も、コネクションの使い方もね」
「おぉ? なんだあんた」
鉄骨の入り組んだ工場内部。
白い服を着込んだ特徴的な四人組がレイリィを取り囲む。
「さぁ、この鎌に沢山の血を吸わせてあげなくては。身体が闘争を求めておりますの」
うっとりと笑って鎌のブレードを小指でなぞってみせるレイリィ。
小首をかしげた最初の一人に鎌を振り込み、頑丈なブーツに引っかけ強引に転倒させると即座に胸を踏みつけた。
ヒールのインパクトにうめく男。二人の男が両サイドから掴みかかるも、レイリィは二人を同時に持ち上げ、そこへルフランがステッキをビッと突きつけた。
頂点のリンゴがくるくると回って輝き、沢山のフルーツキャンディーを弾幕にして叩きつける。
直撃を受けて地面を転がる二人。最後の一人がかわったゴーグルの位置を戻すと、二人の前でゆっくりと腕を広げた。
「ねぇちゃんたち、強いねぇ~」
その煽りを最後まで聞くことなく、えいっと勢いをつけてステッキで殴り倒すルフラン。
「へへん、女の子二人だからってナメてかからないでね!」
すると、杖をついた男――COOKIEが階段をゆっくりと下りてきた。
てすりに手を置き逆側の手すりにガンッとステッキを打ち付ける。
「――Show Time」
銀色の歯を見せて笑い、ステッキを振り込む。すると蛇腹に展開したステッキが毒蛇の如く二人へと襲いかかった。
ルフランを庇って鎌を振り込むレイリィ。巻き付く蛇腹ステッキ。COOKIEは引き寄せるような動作でレイリィへ急接近すると、鋭い回し蹴りをたたき込んできた。
「この世界は女に残酷すぎる……。傷つき壊れる前に、その感情を捨てろ。俺が守ってやる」
サングラスの位置を直すCOOKIEに、ルフランは咆哮で返した。
「COOKIEさんは、そんなこと言わないよ!」
「息を吐きながら腹筋に力を入れて!」
「はいフンッ」
ダテと千尋は向かい合って同じフィットネスリングをぎゅってやると、同じ速度で筋トレ勝負を続けていた。
『つまんないんだぁ』のポーズのままそれをずっと見せられているヴィルヘルミナ。
「最っ高だったよ! 筋肉が喜んでる! 次は椅子のポーズ!」
「イイヨォ、キレッキ――ぐっふ!?」
若干素の漏れ出たヴィルヘルミナが飛びかかり、円月蹴りを千尋の顔面にたたき込んだ。
(コンモスコンモス言い腐りおって、リアルでは何発殴っても次の日にはしれっとしておるからすっきりせんし、地の果てまでぶっとばすチャンスなのじゃ!)
という気持ちは奥に隠して、ヴィルヘルミナは下唇に人差し指を添えると片膝をすぅっと上げるチャーミングなポーズをとった。
その姿勢を荒いポリゴンのままじーっと見つめるダテ。
「ミナちゃんいくよー! びーくーとーりーぃ!」
祭司長殿がずっとこれやってるのを想像するとすごくはかどります。なにかが。
「CQCの使い手、っスか。
召喚前はそういった相手ともやり合ったりしましたけどね。
この体でうまくやれるといいんスけど」
ミミサキは混沌側の自分そっくりな『人型疑似餌』をバイクの座席型ボックスからぽこんと出すと、アクセルをひねってバイク突撃。
対する嵐山ソラトもまたバイクに飛び乗り、二人は道路を併走し始めた。
(こうしてチキンレースを挑むと見せかけて――)
「丸呑みっ!」
ぽんっとバイクから飛び出した大型宝箱。人型疑似餌を引っ込めてソラトへ食らいつこう――とするが。
「俺をひっかけたつもりか」
バイクを急速にスピンさせ後輪を跳ね上げると、とびかかったミミサキを弾き飛ばしてしまった。
バイクを下り、こきりと首をならして歩き出すソラト。
ミミサキも箱状態のまま転がると、ぴょんと飛び起きて人型疑似餌を展開。
ソラトのパンチラッシュを次々にブロックしていく。
(丸呑みさせる隙がない! うわー、これ面倒くさいタイプの敵ッス!)
●
拳銃を撃ち続けるススム。
「拳銃(そんなもの)で何が守れますか。大学に行ったのは何のためですか」
対するファンはそれを幾度となく刀で打ち落とし、一歩また一歩とススムに距離を詰めていった。
「理不尽な思いをしている人たちの力になるため、大学で学ぼうとしたのではないですか? 拳銃で守れるものは、せいぜいがその弾倉の中の弾の数だけだ」
「黙れ。今すぐ撤退しろ。本当に殺すぞ」
「貴方はその優しい心に、知識という武装を以て、より多くの友を、町を守る事のできる人だったはずです。弁護士の道が断たれたからといって、それで全てを諦めるのですか?」
「――!?」
ススムは突如はしった頭の痛みにこめかみを押さえ、ぐらりとよろめいた。
「甘えるな! 他のやり方をなぜ探さなかった! なぜ友を頼らなかった!」
その隙を逃すファンではない。
即座に距離を詰め、刀を返した峰打ちでススムの腹を打った。
「目を覚ましなさい!」
すべてのロケット弾を撃ち尽くし、ブラスターガンを手に取る迅牙。
UQは何の略称だろうといったことを考えながら、瑠璃雄を追い詰めるように射撃を重ねていく。
瑠璃雄は迅牙の射撃をその辺におちていた合成鉄板を拾いあげてかざすことで防御。
それでもなお集中射撃を繰り返す迅牙によって、鉄板が打ち抜かれる。
それに驚き目を見開いた瑠璃雄にエイラはさらなるラッシュをたたき込んだ。
「幾百、幾千、幾万年経とうとも、たとえこの身が朽ちようとも守れるんだよ。
殺すのはころしたらそこで終わり。
それ以上仲間のためにできることはないよぉ。
守るは違うよぉ。
たとえ仲間を喪ったとしても、その想いを、その死を守ることはできるんだよ。
ねぇ、君はぁ。何がしたいのぉ?」
「死を……守る……」
ずきりと痛んだ頭をを押さえて膝を突く、歯を食いしばって、蓋をした筈の心から湧き上がる悲しみに震えた。
エイラはすかさず滑り込み、電流を流したキックで瑠璃雄を倒した。
「――たとえ守りたい人を喪ってしまったとしても、それでも守ることはできるんだよ」
「お前、その動き……裏社会の人間だな」
「だったらなんスか。両親を殺した相手を探すためにインタビューでもするッスか!」
振り込んだソラトの拳を、ミミサキは片手でがしりとつかみ取った。
「復讐の否定はしません
ただ、かなり労力が求められる行為ってことは認識しておくべきでス。
抗争しながら、地区の支配を進め、復讐相手を探す……。
アンタそんな色々しながら弟を養っていけるんスか?」
ソラトの表情に明らかな動揺が走った。引き抜こうとしても微動だにせず、まるで強欲の壺のごとくソラトの拳をはなさないミミサキ。
焦りからか繰り出されたもう一発のパンチはしかし、二の腕を掴むことで未然に止められてしまった。
「ソラト氏がするべき事はただ相手を惨たらしく殺すことじゃない。
弟の生活基盤を安定させながら、ついでに復讐相手を殺すことっス!」
叫びながら繰り出したミミサキヘッドバッドが、ソラトの鼻先に直撃する。
豪快に振り回された蛇腹ロッドが周囲の鉄骨も何もかもを切り裂き、ダメージの蓄積したルフランとレイリィは光のつぶになって消えてしまった。
切断されたパイプから吹き上がる白い煙。
COOKIEはサングラスを親指と中指で挟むようにして位置直しをすると、ため息をついた。
「もう、悲しむ必要なんてない。傷ついた女達に、永遠の平穏を与える。それが――」
歩み去ろうとしたCOOKIE。直後、側面の壁が破壊され二台のエクスギアが直接突っ込んできた。
「あたしが希望ヶ浜で一緒に戦ったCOOKIEさんは、一緒に戦うあたしを認めてくれた」
開いた扉から現れるルフラン。
「守ってもらうより背中合わせで頼ってもらえる方が好き!」
ステッキを振り込み、怒濤の砲撃を放つルフラン。
そのすべてをステッキで打ち落とすCOOKIE。その背後めがけ、レイリィが鋭い蹴りを繰り出した。
「貴方はWISHと一緒に忘れていますの? 女は――守られるだけではないのですっ!!」
直撃を受けて吹き飛ぶCOOKIE。
なぜだか放置されていた廃電車の車両内へ転がり込むと、追ってレイリィが扉ごと切り裂いて突入した。
「共に歩み、時には背を預け闘い支え合える存在です! 今ココにいるルフランさんがそういう存在であった事を思い出してくださいっ!
確かに男性と比べれば女性は傷つきやすいかもしれない、それでも、感情を殺した先に、その女性は貴方には微笑むことはないのです!」
ステッキの防御越しに打ち込まれた衝撃で更に吹き飛ぶCOOKIE。
「確かに……そうだった」
コンクリートの上で仰向けに倒れ、落ちたサングラスを手に取る。
「傷ついた女達に、再び立ち上がるチャンスを与える……それが、守るってことだ。なぜ、忘れていたんだろうな」
「必死なんだぁ。
貴方はぜんぜん、だめ、ホンモノの伊達 千尋とは全然ちがう。
ホンモノはもっと余裕癪癪に小憎らしいけど、自分の色んな気持ちをそこに隠して、いつでもその余裕を他の人の為にとっておける……そんな人」
千尋の攻撃を次々にさばくヴィルヘルミナ。
「我が欲しくてハァハァ言っちゃってぇ、目が血走っててぇ。怖ぁい。
でもね、ただ怖いだけの貴方と戦うのなんて、なぁんにも怖くなぁい」
しなを作ってみせるヴィルヘルミナ。
うるせえ殺すぞ! と叫ぶ千尋に、ダテはゆっくりと首を振った。
「君が皆の場所を守るために勢力を広めるって気持ちは痛いほどわかるよ。
でもね、帰ってくる場所はあったかくなきゃいけない。
血にまみれたその場所は、胸を張って帰ってこいと皆に言えるのか?
人も、時代も、変わっていくんだ」
一瞬だけ解像度をリアルにしたダテが、フィットネスリングを片手で握りしめて千尋を殴り飛ばす。
「悠久なのは絆であって、組織そのものを停滞させることじゃあないんだ!」
ぐふ、と血を吹いて吹き飛ぶ千尋。
ホールのような場所へと転がった千尋へ歩み寄り、てを差し出す。
「目は覚めたかい。ヒーロー?」
成否
成功
MVP
状態異常
あとがき
――悠久-UQ-を打倒しました
――シャドーレギオンのDARK†WISHは浄化されました
――悠久-UQ-がゼシュテリオン軍閥の仲間に加わりました!
GMコメント
●オーダー
シャドーレギオンとなってしまったUQの幹部達を倒し、彼らにWISH(希望)を取り戻させましょう。
そうすれば彼らは心強い味方としてこれからの戦いに協力してくれるはずです。
●エネミーデータ
OPで述べたとおり、UQたちと戦います。
エクスギア(空を飛んで地面に突き刺さる巨大十字架型出撃装置)によってUQ地区へのりつけると、オプションとして一人一台ずつついてきた魔道バイクに跨がりUQの連中をけちらしながら進みましょう。
もちろん相手も必死に襲いかかってくるので、殴り倒すなり撃つなりしてはねのける必要があります。
このあとは幹部達との戦いです。
一人ずつ集中攻撃は粋じゃないので、ここはかっこよく幹部一人ずつに手分けしてあたっていきましょう。
3つほどはペアで戦う感じになるかもしれませんが。
攻略のため、それぞれのWISHをまとめておきます
シャドーレギオンを正気に戻すには、彼らと戦い倒すことです!
倒すことは純粋な願いが悪意あるバグによって闇に落とされた彼らを救う事に繋がるのです。
・瑠璃雄
WISH:大事な仲間達を守っていきたい
DARK†WISH:邪魔になりそうな人間をすべて殺してしまえば仲間は傷つかない
・嵐山 ソラト
WISH:二人の弟を優しく養い、よき兄であること
DARK†WISH:家族を殺した人間を惨たらしく殺すことで復讐を遂げる
・COOKIE
WISH:傷ついた女たちを守りたい
DARK†WISH:女の感情を殺せば傷も分からなくなる
・ススム
WISH:友達の暮らす町の平和を護りたい
DARK†WISH:友達を無くしてしまえば自分は平和ですむ
・伊達 千尋
WISH:ダチの帰ってこれる場所を守りたい
DARK†WISH:どんな悪事を働いてでもUQを拡大して不滅の組織にする
※WISH&DARK†WISHに関して
オープニングに記載された『WISH』および『DARK†WISH』へ、プレイングにて心情的アプローチを加えた場合、判定が有利になることがあります。
・黒鉄十字柩(エクスギア)
中に一人づつ入ることのできる、五メートルほどの高機動棺型出撃装置。それが黒鉄十字柩(エクスギア)です。
戦士をただちに戦場へと送り出すべくギアバジリカから発射され、ジェットの推進力で敵地へと突入。十字架形態をとり敵地の地面へ突き刺さります。
棺の中は聖なる結界で守られており、勢いと揺れはともかく戦場へ安全に到達することができます。
●ROOとは
練達三塔主の『Project:IDEA』の産物で練達ネットワーク上に構築された疑似世界をR.O.O(Rapid Origin Online)と呼びます。
練達の悲願を達成する為、混沌世界の『法則』を研究すべく作られた仮想環境ではありますが、原因不明のエラーにより暴走。情報の自己増殖が発生し、まるでゲームのような世界を構築しています。
R.O.O内の作りは混沌の現実に似ていますが、旅人たちの世界の風景や人物、既に亡き人物が存在する等、世界のルールを部分的に外れた事象も観測されるようです。
練達三塔主より依頼を受けたローレット・イレギュラーズはこの疑似世界で活動するためログイン装置を介してこの世界に介入。
自分専用の『アバター』を作って活動し、閉じ込められた人々の救出や『ゲームクリア』を目指します。
特設ページ:https://rev1.reversion.jp/page/RapidOriginOnline
※重要な備考『デスカウント』
R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
現時点においてアバターではないキャラクターに影響はありません。
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