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シナリオ詳細

三匹のゴブリン

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●突然変異体
 ゴブリン、それはどの世界でも大概雑魚モンスターとして認知されている魔物。
 確かにそれはこの世界でも変わらず、冒険者見習いが最初に倒す魔物だったり、軍の訓練等でよく切り捨てられたりする魔物だったりする。
「聞いたか? あの噂……」
 一見、ただ斬られるだけの可哀想な魔物に思えるかもしれないが、そういう訳でもない。
 ゴブリンという魔物は時として人の集落を襲い、人を殺し、食料を奪って去っていく。一匹一匹こそ強い力を持たないが、大群で押し寄せるからタチが悪い。
「ああ、もう随分前から噂になっているじゃないか」
 その為、集落を護るために軍隊が派遣されることも少なくないのだが、兵士を育てるその施設では“とあること”が噂になっていた。
「あー、ゴブリンの突然変異体が発見されたって話? でも本当なの?」
「この前討伐に向かったって隊が戻ってこなかったんだ、少なくとも何かはあんだろ」
 それは施設の兵士たちが口々に噂する、ゴブリンの突然変異体。
 報告によると、いつものように討伐の依頼が入り集落へ向かったゴブリンの討伐体が壊滅。駆け付けた別の隊によると、そこには燃え上がった集落と惨殺された兵士しか残っていなかっただとか。
「聞いたところによるとゴブリンのリーダー格が三匹、ゴブリンの大群を纏めてるらしい」
「三匹って、たったそれだけに訓練兵が隊レベルで殺されたっていうのか」
「俺、暫くゴブリン退治に行きたくねぇな……」

●世界の“癌“
「まあ、そういう話でしてね? ゴブリンの退治に言ってほしいのですよ」
 事の顛末を説明した『境界案内人』イヴ=マリアンヌはイレギュラーズにそう言った。
 そのゴブリンというのは本当に突然変異体と呼ばれる個体らしく、他のゴブリンに比べて著しく狡猾で戦闘に長けているらしい。
「現地の方々で何とか出来るならそれが一番良かったのですが、目を瞑って悪いゴブリンが蔓延る世界になってしまうのも、私が観光に行ける世界が減ってしまって嫌なので」
 イヴはすまし顔でそんなことを言いながら、そのゴブリンについて軽く調べた資料を提示すると、最後に『敵ではないと思いますが、くれぐれも油断しないように』とイレギュラーズたちを見送るのだった。

NMコメント

 悪いゴブリンの突然変異体らしいです。
 どうも、牡丹雪と申します。


●目標『変異体のゴブリンを倒す』
 とある世界にゴブリンの変異体が出現したそうです。
 その個体は既に人の住む集落への進行を開始しており、軍隊も派遣されていますが恐らく淘汰されるだろうとのこと。
 イヴ曰く、「サクッと倒してサクッと戻ってきてください」……とのこと。

●ロケーション
 集落から少し離れた草原で、進行中のゴブリンの群れと戦うことになります。
 時刻は日が暮れた夜ですが、月の光で照らされているのでそこまで支障はないでしょう。

●敵
『力強い』ゴブリン×1
 変異体ゴブリンの一匹。
 名前の通りパワーの強いゴブリンです。
 2メートル程の巨体で、大剣を片手で振り回します。

『素早い』ゴブリン×1
 変異体ゴブリンの一匹。
 名前の通り動きの素早いゴブリンです。
 1メートル程と小柄ですが、機動力と反応速度に優れます。

『賢い』ゴブリン×1
 変異体ゴブリンの一匹。
 名前の通り賢さに長けたゴブリンです。
 大群の後ろの方で指揮を執っています。
 また、ランクのあまり高くない魔法攻撃もするそうです。

『群れる』ゴブリン×???
 ゴブリンの大群です。
 一匹一匹はあまり強くありませんが、とにかく数が多いです。
 武器は短剣が殆どですが、弓を持っている個体もいます。

●アドリブについて
 本シナリオではアドリブが多めに含まれることがあります。
 アドリブがNGの場合、通信欄かプレイングに一言ご記載いただければ幸いです。

 では、いざゴブリン狩りへ!

  • 三匹のゴブリン完了
  • NM名牡丹雪
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年07月11日 19時55分
  • 参加人数4/4人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

プラック・クラケーン(p3p006804)
昔日の青年
シルキィ(p3p008115)
繋ぐ者
一条 夢心地(p3p008344)
殿
蓮杖 綾姫(p3p008658)
悲嘆の呪いを知りし者

リプレイ

●す ば や い
 月明かりに照らされた草原を動く影が四つ。
 異世界で突如生み出されたゴブリンの変異種を討伐するべく派遣されたイレギュラーズたちは、そのゴブリンたちが通ると予測された道なき道を行き、遂にそれを見つけた。
「ケケケ、ケキャキャキャ!」
 これから駆逐されるともいざ知らず、ゴブリンたちは進軍を続けている。
 数だけをみれば百を超える大群だったが、イレギュラーズにとって大した問題ではない。
「いくら変異種とはいえゴブリン、しかし油断は禁物でしょうね」
「境界の異世界ってのも未だに慣れてねぇからな、こっちの常識が通じるとも限らねぇ」
 ゴブリンの大群を目視した『断ち斬りの』蓮杖 綾姫(p3p008658)と『救海の灯火』プラック・クラケーン(p3p006804)はそんなやり取りをする。
 そう、ここは混沌ではない。故に想定外の何かがあってもおかしくないのだ。
「それはそうと、最近DVDが出回って何かに目覚めたと噂のプラックさん!」
「ブーッッ!」
 想定外を警戒したプラックにとって、この依頼で件のDVDを話題として持ち出されることが一番の想定外であろう。――ああ、南無。
 ちなみにこの依頼が『ウホッ♡ ゴブリンだらけの夏休み』なんて依頼だったら彼は社会的に死んでいたかもしれない、なんていうのはまた別の話。
「でも既に軍に被害が出てるみたいだし、本当に油断は禁物だよ!」
「ほっほっほ。民に害為す輩を駆除するのも、殿たる者の責務よ」
 プラックと綾姫が何の話をしているのかきっと何も知らない『繋ぐ者』シルキィ(p3p008115)と『殿』一条 夢心地(p3p008344)は段々距離が近くなるゴブリンを見据えながら警戒を怠らずに言った。
 この世界の人類がどの程度の強さを持っているのか分からないとはいえ、ゴブリンに軍の一個隊が壊滅させられるのも滅多に聞かない話だ。
「どれどれ、変異体はっと……あの豪華そうな装備を付けてるゴブリンかな?」
 幸いにも依頼のターゲットである変異体は月明かりが装備で反射して目立っていた。
 三匹どの個体をとっても他のゴブリンに比べて体格や装備の質がいい。
「ふむふむなるほど? 一体は賢く、一体は強く、一体は…………す ば や い !」
 エネミースキャンでそれぞれの個体を調べたシルキィは分かりやすくそう説明する。
 心なしか少し変な言い方だったのに意味は無い。無い筈なんだ。
「さあ往くぞ皆の者、麿につづけーーーい! ぬおりゃあああああっ!!」

●極イレギュラーズ攻略
 ゴブリンたちが攻め込まれていることに気付いたのはすぐの話だった。
 血相変えて突っ込んでくる夢心地の姿に狂気的な何かを感じたゴブリンも少なくないだろうが、対応の速さは流石変異体だと言わざるを得ない。前を歩いていた多くのゴブリンが夢心地の炎を纏った秘剣に斬り裂かれたが、賢いゴブリンがすぐに指示を入れたのだ。
 結果的にゴブリンたちは奇襲されるというディスアドバンテージを背負ったものの、最善の行動から少ない犠牲で不意打ちを凌いだのである。
「えぇ~……ゴブリンの癖に少し柔軟すぎぬかの?」
 思っていたより数が減らず、夢心地はわざとらしい声を出す。
 奇襲で混乱を巻き起こし、あわよくば逃げ出す個体もいれば御の字と思っていたが、このゴブリン共は奇襲程度では動じる様子も見せないらしい。
 そんな夢心地の背後に忍び寄る、二メートル程の巨体――。
「殿ー!? 後ろ後ろ!!」
 お決まりの台詞と一緒に駆けこんだのは綾姫だ。
 力強いゴブリンが振り下ろした巨大な鉈のような武器と比べれば華奢な刀でしっかり受け止めると、競り合い、一度は押し返す。
「吼えなさい、黒蓮!」
 流れるように繰り出した励起・黒蓮、ゴブリンへ放つことが勿体ない程の極大斬撃は確かに力強いゴブリンを貫き、地面を抉りながら進んだかのように思えた。
「なっ、それは流石に無茶苦茶すぎますよ!」
 だが、なんと力強いゴブリンは己の得物を盾にそれを受け止めていたのだ。
 それもその筈、力強いゴブリンが持っていた武器は合成や鍛冶を重ねて作られたレジェンドウェポン、いくらイレギュラーズといえど容易く折ることは難しい。ゴブリンとは思えないほどの筋力も合わせ、ダメージは負いつつも綾姫の一撃を受け切ったのである。
「流石に一筋縄じゃいかないねぇ。けれど怯んだりしないよぉ、わたしだって場数は踏んでるんだから!」
 後方からゴブリンの対応力に目を見張っていたシルキィはシムーンケイジを発動する。
 味方は生かし、敵だけに絡みつく凶悪な砂嵐はたちまちゴブリンの群れを包み込むと、細かな礫がその肌を抉り傷付けた。
「ケキャァ……!」
 ゴブリン側も“はいそうですか”とシルキィの攻撃を無視するわけにはいかない。
 突如現れた素早いゴブリンが、獲物を一撃で仕留めるが如く小刀を光らせ、シルキィの背後からその急所を狙い跳びかかった。
「――させっかよ!」
「ケケッ……!?」
 その一撃が本当にイレギュラーズに致命傷を負わすことができたのかは分からない。
 ただ一つ分かることといえば、その刃がシルキィに届く前にプラックのガントレットが止めたことだ。
「おやおやぁ、守って貰っちゃったねぇ?」
「気にすんな! こいつぁ貰っていくぜ?」
 直後に繰り出したプラックのカウンターブローが素早いゴブリンを追い払う。
 器用に宙を回りながら後退する素早いゴブリンは、プラックと競り合いになれば勝ち目は無いと踏んだらしい。
「あ、逃げんじゃねぇ!」
 恐ろしいほどの素早さで逃げだしたゴブリンをプラックは追いかけていく。
 素早いという称号は伊達じゃない。並外れた回避技術でプラックの追尾するような飛び蹴りをいとも簡単に躱すと、ゴブリン離れした機動力で距離を取る。
「くっそこの、ちょこまかしやがって!!」
「ケキャキャキャ……!」
 追い付けないプラックを煽るかの如く素早いゴブリンは奇声を上げた。
「あのゴブリン、もしかして素早いだけなのかなぁ……?」
 一体は綾姫と競り合える程の力を持つ、力強いゴブリン。
 一体は多くのゴブリンをまとめ上げ、的確な指示を下す賢いゴブリン、
 一体は…………す ば や い。

●その末路
「こんの、さっきから逃げてばかりいやが――!!」
 戦場を逃げ回る素早いゴブリンを追いかけていたプラックの声が途絶える。
 追いかけることに夢中になっていたからか、前方から雪崩れ込んできたゴブリンの群れに咄嗟に反応することができなかったのだ。
「ケキャキャキャ……」
 素早いゴブリンは、ゴブリンの群れに埋もれたプラックを嘲笑うように鳴く。
 ああなってしまえば、鎧を着ている戦士なら鎧を剥がされありったけの槍で串刺し。遠くを攻撃する武器を持つ兵士なら、その武器を奪われ自らの得物で絶命させられる。
 イレギュラーズじゃなければ――。
「――加減に」
「ケキャ?」
「いい加減にしろやおらぁ!」
 もし優秀な戦略家であるなら、絶対に敵わない相手と戦うなんてしない。
 全員で尻尾巻いて全力で逃げて、変異体だけでも逃げるべきだったと気付いたころには既に遅かった。
「随分手こずらせてくれたな?」
「ケキャ?!」
 大量のゴブリンにたこ殴りにされ血塗れだった筈のプラックはいつの間に素早いゴブリンの背後から、その頭を掴みながらそう言った。
 彼が元居た場所を見れば、そこにはゴブリンの肉片だけが転がっている。
「次はテメェがああなる番だ!」
 気が付けばそのまま宙に放り投げられていた素早いゴブリンは、流れるように飛翔したプラックの足に体を貫かれ、鳴かないただの肉片と化した。

「ケ、ケキャ!」
「おや、お仲間が死んで動揺でもされましたか?」
 綾姫と競り合い続けていた力強いゴブリンは、突然動揺したような鳴き声を上げた。
 ようやく、イレギュラーズたちは相手にしてはいけない敵だと認識したのかもしれないが、時すでに遅しとはこのこと。
「悪いですが、そろそろこちらの方も終わりにさせて頂きますよ!」
 刀を腰へ納め新たに構えたのは、力強いゴブリンが振り回していた武器にも引けを取らない大きさ、二本の刃が螺旋を描くように捻じれた、どこか禍々しい両剣。
 命の危険を感じたゴブリンは地面を蹴り、大きく後退する。
「歪なる門、繋ぎて閉じよ」
 刹那、力強いゴブリンの視界が真っ二つに割れた。
 それはまるで、綾姫を中心に次元が割れるように――世界が割れたのだと勘違いさせるほどの見事な一刀両断、ゴブリンは真っ二つにされ絶命した。

「……ケキャ」
「さて、あとはそなただけになったのう?」
 撤退の準備をする賢いゴブリンに、夢心地が到達した。
 最初に彼の一撃を受け止めた力強いゴブリンの防御を失った雑魚ゴブリンたちが燃え盛る太刀筋を止める手段も無く、殆どのゴブリンが焼き尽くされていた。
 いくらか逃げたゴブリンもいるが――
「逃げようたって、そうはいかないよぉ」
 夢心地の反対側から挟み込むように、シルキィが賢いゴブリンに立ち塞がった。
 ゴブリンの群れというのはもともと雑魚集団と呼んでも遜色無いが、羊の群れでも獅子に率いられれば脅威と化すように、指揮官という存在だけで大きく変わる。
 そういう意味で、あそこまで多くのゴブリンをまとめ上げていた元凶でもある賢いゴブリンだけは何が何でも逃がすわけにはいかないのだ。
「ケキャキャ……ケキャ!!」
 賢いゴブリンは仲間を呼んだ。
 ――しかし誰も来なかった。
「悪いのぅ。ここに来るまでに、ゴブリンは全て斬ってしもうた
 もう、お主を助ける仲間は誰もおらぬよ」
 それでも往生際悪く逃げようとした賢いゴブリンは、もう鳴くこともできなかった。
 指揮だけに特化していたそのゴブリンはシルキィが放った破壊魔術により、見る影もなく木っ端微塵に吹き飛ばされた。

成否

成功

状態異常

なし

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