PandoraPartyProject

シナリオ詳細

げにおそろしき、ぜんせかいもふもふかけいかく。

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ロルフ・ワオン・ヴォルフガング博士の秘密計画

 これはとある町に静かに佇む、古ぼけた洋館の噂話。誰もが恐れて近づかない、『魔の館』とも称される、ヴォルフガング邸の噂話だ。

ーー曰く、ここの住人で研究者でもある、ロルフ・ワオン・ヴォルフガング博士。彼は今、人道を逸れた研究に、手を出しているらしい。

何でも、それは、人を、人ならざるモノに作り変えてしまうという、狂気の研究。
形だけでなく心までも歪めてしまいかねない、恐ろしき研究であるらしい。

既にその身も、悪魔に魂を売った研究の果てに、人ならざる何かに変じているとか、居ないとか……。

……では、その噂が事実なのか否か。
我々取材班は、件の館に潜入する事に成功した。
 
「ウルフフフ……ついに、ついに完成したぞ……これが……古より伝わる秘薬『ケモナール』……調合はこれで正しい筈だ……!」

 怪しげに沸き立つ色とりどりの液体が蒸気を上げる中、瓶を手にほくそ笑む、茶髪の長髪の男。その歯は獣のように鋭く、爪も常人より長く伸びている。まるで狂気の様相を呈しているが……。

「あっでも待て。これがどれだけ効くのか、まだちゃんとデータが取れていない。そもそも個人差や副作用もどれだけあるかわからないし。ちゃんとそこんとこちゃんと調べてから売り込まないと」

否、案外冷静な男だった。

「もちろん、私自身も飲むぞ? 飲むとも。だが、これを飲んで私がウッってなって倒れて、そのまま誰も見つけてくれなくて死んじゃったら……何のデータも残らない……それ以上にいっぱい悲しい……。」

冷静というよりは、臆病なのかもしれない。

「ああだが、何れにせよ…これで……これで……」

男は肩をわなわな震わせて、やがて高らかに笑う。

「私の望む世界が作れる! 『全世界モフモフ化計画』が、今ここに始まるのだあ〜!!!」

カメラの映像は、ここで途切れた。
……その日、夜の町に獣の遠吠えが響いたという。

●投薬実験、被験者募集

「……『全世界モフモフ化計画』……うーん、本当に恐ろしいのか、わからないけれど……」

マチネは首を傾げながらも、集まったイレギュラーズにむけて話を続けた。

「皆に行って欲しいのは、この、ロルフ・ワオン・ヴォルフガング博士の作ったお薬の実験。……悪く言えば、被検体ってことになるんだけど」

ロルフ博士は、とにかく実験回数を重ねて、より多くのデータを求めている……が、とかく町の住人に怪しまれているため、なかなかにデータ採集に難航しているようだ。
……このちょっと小心者の博士に強引な事が出来るとは思わないが、万が一にも彼の暴走を防ぐため、協力してあげてほしい。そう言って、彼女は頭を下げた。

「そういえば、博士はなんで、そういうお薬を作ろうと思ったんだろう? ……実験が終わった後にでも、聞いてみてもいいかもね?」

そう言って、境界案内人は貴方達を送り出すのであった。

NMコメント

どうも、なななななです。
柴犬が特に好きですが、モフモフはなんでも良きです。

それはそれとして、以下、詳細になります。

●ロルフ・ワオン・ヴォルフガング博士の洋館

 今回赴く世界……というか地点です。怪しい薬品や実験器具が館内に所狭しと並んでおります。

一応、服薬実験は館内で最も人の集まれる、動く余裕のある場所……大ホールで行われる予定のようです。
服薬後も、ロルフ邸の直ぐ側の林までは外出が認められます。

因みに、館の外……もとい町中、ひいてはこの世界の特徴としては、石畳や木造の家、レンガ造りの建物などが立ち並ぶ、中世ヨーロッパに近いような、そうでもないような世界が広がっております。

魔法などはこの世界においてはあまり一般的なものではなく、ごく一部の人間(特に老人)は魔術を見ると『魔女だ!!』とパニックを起こす者も居ます。
尚、ロルフ博士も魔法を見ればビックリはしますが、それ以上にとても喜びます。

●目的
『ロルフ博士の実験に協力すること』。

このシナリオの参加者、及びロルフ博士の最大5人で、彼の作った秘薬『ケモナール』を服用し、その効果、及び継続時間などのデータを取ることが目的です。
因みに、効果は大まかに言うと以下のとおりです。

・服用者は、犬、猫、兎など、毛皮のある哺乳類の姿に変じる。
(ロルフ博士は茶色の狼になります)
・その間人間の言葉は離せなくなるが、ケモナールで動物に変化した人間同士であれば、問題なく意思の疎通が可能。
(参加者の皆さん&ロルフ博士は、普通に会話が行なえます)
・人間としての理性は十分に残る。
・動物が好む食物を異様に食べたくなる衝動が起こる。
(これは我慢することも可能です。ロルフ博士も皆様を食べたりはしません)
・その他、個人差による重篤でない程度の副作用
(任意です)


※尚、上記の効果は、当シナリオ中に切れます。ちゃんと元の人間に戻れるので安心してわんにゃん化してください。


●NPC

・ロルフ・ワオン・ヴォルフガング博士
 洋館で『全世界モフモフ化計画』を密かに推し進める研究者です。伸び切ったチャパツに長い爪と、自分の身なりへの関心は薄いようです。町の住人にはマッドサイエンティストと思われていますが、その実は慎重な小心者のようです。

彼が『全世界モフモフ化計画』を始動させた理由とは……?


以上になります。

それでは皆で、わんにゃんパラダイス!

  • げにおそろしき、ぜんせかいもふもふかけいかく。完了
  • NM名ななななな
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年07月02日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

鳶島 津々流(p3p000141)
かそけき花霞
ヴェルグリーズ(p3p008566)
約束の瓊剣
ニル(p3p009185)
願い紡ぎ
皿倉 咲良(p3p009816)
正義の味方

リプレイ

●すばらしきモフモフワンダフルデイ

ーーアオォォーン……。

 遠吠えの聞こえる怪しい洋館に、今回集まったのは『行く雲に、流るる水に』鳶島 津々流(p3p000141)、『全てを断つ剣』ヴェルグリーズ(p3p008566)、『はらぺこフレンズ』ニル(p3p009185)、『正義の味方(自称)』皿倉 咲良(p3p009816)の4名だ。

「ウルフフフ……君達が今回の被験体か。勇気ある君達よ、此度の協力にまずは感謝を述べさせてもらう……」

凶悪な笑みにボサボサ髪のロルフだが、意外にも挨拶はしっかりと。

「……あ、被験体っていうか……えっと……その……」
「被験体って言うと言葉があれな感じするけど、良く言えば『治験』ってことじゃん。つまり、世の中に貢献できるよ。やったね!」
「なんだか手伝ってしまっていいのかちょっとだけ謎だけれど……もふもふした姿になれるのは興味があるからね」

しょんぼりしたロルフ博士を、ヴェルクリーズと咲良がフォロー(?)する。

「うむ、改めて宜しく頼むよ。まず君達には、この薬……ケモナールを、一気に飲み干してほしいんだ。飲んだ後気分が優れなかったりしたら、私に伝えてくれよ」

そう言うと、彼は一同に、少量の液体が入った薬瓶を一本ずつ手渡した。液体は透明だが微妙にとろみがあり、光を受ける度にピンクや緑など、僅かに色付いている。

「けもなーる、この薬を飲むと動物になれるのかい? 博士は凄いものを発明したんだねえ……」
「もふもふ! ニル、もふもふになるのはじめてです!」

全員の手元に件の薬が行き渡ったなら、さあ、今こそ。
一同は、一気にそれらを飲み干す。すると、周囲が突如しています白い煙に包まれてーー



「ん、んん……?」

 目をぱちくり、津々流はあたりを見渡す。
ロルフ博士が置いておいたのだろう、大きな姿見。自分がどうなったのか確かめようと、それを覗き込んだのなら……。

「うわぁ、もふもふだ……!」

ふかふかもちもちの顔、地を踏みしめる足は柔らかく。耳はきりっとピンと立ち、尻尾は喜びでブンブンと。
津々流は、真っ白な秋田犬に変じて居た。

「その声は……津々流?」
「あっ、ヴェルクリーズさん。きみもちゃんと、もふもふになってるみたいだねぇ」

大まかなシルエットはどこか、今の津々流の姿に似ているが、彼の場合は、白地の体にグレーが入っている。たしかこれは『シベリアンハスキー』と言うのだったか。練達で読んだ図鑑を、なんとなく思い出した。

「わあっ、皆はわんこさんになってるんですね。かっこいいです」
「おぉっ! なんか、視点が、低い!」

ほんのり水色うさぎのニルが、ぴょこたんぴょこたんと、さらつや毛並みのゴールデンレトリバーと化した咲良もまた、鏡の前へと集まってきた。
少なくとも、博士の作ったケモナールは、無事に効果を発揮したらしい。
そういえば、その博士はどうなったのだろう?

「ウルフフフ……素晴らしい、素晴らしいぞ……!」

晴れゆく煙とともにぬうっと現れたのは、茶色く大きな狼だ。その体格は、今の咲良と同等、或いは僅かに上回るほどか。

「もしかして、ロルフ殿か……?」
「おお、おお、君達! うまく行ったようだね! 今の気分はどうだい?」
「まさか、本当にわんちゃんになれちゃうなんて……凄いね、博士!」 
「そうだろうそうだろう! では、今よりしばし、経過観察がてら自由時間としよう。外に出てもいいが、あまり遠くに行くんじゃないぞ」


博士の許しも出たのなら、今こそ、もふもふタイムの始まりだ!

●人は何故モフモフを求むるのか

「研究所、来たときは気にならなかったけど、ワンちゃんの嗅覚ってすごいんだなぁ」

 犬になって早速、スンスン鼻を鳴らしてみせて、嗅覚の変化を実感しているのはレトリバーの咲良だ。
警察犬ぽいドーベルマンにも憧れるが、それはそれ、これはこれ。可愛い姿をこれはこれで気に入っている。

「めっちゃいろんなニオイがする。……ん?」

咲良が嗅ぎつけたのは、今の自分にとってなんとも美味しそうな匂い。
その元を辿ってみれば、着いたのは物置。中を覗いたならば、そこに積まれていたのは。

「こ、これは……!」

ロルフ博士が買い溜めたのだろう、山のようなペット用のおやつ。

人間の姿であれば気にも留めないかもしれないが、今の彼女にとっては黄金の山にも等しいほどの眩しさで。

「う、ぐぬぬ……これはちょっと……気になる!」

否、ちょっとではない、かなり気になる。
とにかく、皆にも相談しなければ。
咲良は、扉を打ち破らんばかりに、元気に外へ飛び出した。

 かろやかな足取りで、ロルフ邸敷地内の林を駆け回るのは、真っ白津々流だ。
もし慣れない犬の姿で館内を動き回って実験器具を壊してしまったら大変だし、何より、犬は外を駆け回るもの。わんわん風を切っていく。
しかし、このように四足歩行で走るというのはほぼ初めてだというのに、まるで違和感なく動き回れる。飛ぶのも跳ねるのも思いのままだ。なんと自由なのだろう!

そうしてしばらく、草を踏みしめていると、草の上でゴロゴロ身体を擦り付けるシベリアンヴェルグリーズがそこに居た。
 
「こんな所で何してるんだい?」
「ああ……その、折角もふもふになったから、それを味わってみようと思ったんだけど。中々うまく行かなくてね」
「ふむ……では、こうしたらどうかなあ」

スリスリ、真っ白な頭をグレーの胸元に擦り付ける。

「あっ柔らかい……」
「これはなかなか、悪くないかも」

やはり自分で自分をもふもふするよりは、誰かとしっかり触れ合う方が、幸せが倍増するらしい。このようなことが無ければ中々得られない知見だっただろう。

「あっそうだ。俺、おもちゃも持ってきたんだけど。一緒に遊んでくれるかな」

ぐいっ、と、口でロープやらボールやらを引き寄せて、ヴェルグリーズは津々流を誘う。
「勿論」と笑って答えたのなら、二人で引っ張りっ子、ボールの追いかけっ子、楽しい遊びって始まりだ。

 一方その頃、子うさぎのニルは、林の中で何やらモゾモゾ動いている。
野うさぎのように、たんぽぽやクローバーを食んでいるのだ。
……実のところ、ニルにはこれらの味は『わからない』。秘宝種は本来、空腹を感じることなどなく、食事の必要がないからだ。
それでも、柔らかな口当たりや僅かに感じる草の香りは、ニルの胸を踊らせるには充分なもので。
『自分は今、うさぎになっているのだ』と、じわじわと実感が湧いてくる。
長い耳をぴょこんと立てれば、元気に遊ぶわんこの声。きっと仲間のうちの誰かが共に遊んでいるのだろう。
ニルもまた、誘われるように、ぴょんぴょん、そちらへ跳ねていく。

「皆ー!!」 

すると丁度そこに、咲良が滑り込むように飛び込んできた。

「咲良さん、どうしたんですか?」
「博士の家にね、美味しそうなおやつがいっぱいあったの! ……博士が許してくれたら、だけど、みんなでどうかなあ、って」
「それじゃあ、ロルフさんに聞いてみましょうか」
「そういえば俺も、自分でおやつ持ってきたし……ちょっと、一休みしようか」
「そうだねぇ、いっぱい遊んだしねぇ」

見れば、咲良とニルに対し、ちょこっとだけ身体に土がついている二匹が居る。少しでもそれを払おうと、ぶるぶるっと身体を振るった後、最も小さいニルがちょこん、津々流の背中に乗っかって。一同は再び館に戻るのだった。



 イレギュラーズによるおやつタイム、その提案を博士はあっさり快諾した。博士も、折を見て一同を軽食を提供する気だったらしい。薬の効果が着れるまで、皆でお菓子パーティーだ!

一同の前には、ヴェルグリーズが持ち込んだジャーキーやスナックも含めて、沢山のおやつが並んだ。皆でハムハムもちゃもちゃ、美味しくいただく。

狼のロルフもそれを実に美味そうに味わっており、真横のニル兎などその牙を向ける様子は、一切見られない。
そこで、思い切って聞いてみる。

「そういえば、博士はどうしてこの薬を作ろうと思ったの?」
「それは勿論、『全世界もふもふ化計画』を進める第一歩としてさ」
「その計画って、一体何なんだい?」
「それは勿論、私がもふもふを愛しているからで、もふもふの素晴らしさを全世界に広めるためさ!」

いや、アレルギーの人にまで強制はできないけどね。
そう小声で言い添えながらも、ロルフのもふもふにかける気持ちは本物らしいことがひしひしと伝わってくる。

「ロルフ様のもふもふ計画は、とってもたのしい計画だと思うのですけど」

ぴょこんと、ニルが一歩前へ飛び出す。

「ニルはもふもふをぎゅうってするのも好きなので、もふもふになるのも、もふもふにぎゅってするのも、両方できたらもっとすてきな気がするのです。だから、全員がもふもふっていうのも、なんだかさみしいなって思いました」
「まあ、確かに、折角もふもふになっても、なった本人はもふもふを味わいにくいしなぁ」

ニルの意見に、先程体感したことをヴェルグリーズが言い添える。

「でもでも、こんなに食べ物の匂いが素敵に感じられるなんて、すごいって思うよ!」
「うんうん、僕もこの身体で遊び回るのも、とても楽しかったしねぇ」

もふもふを体感した者として、率直な意見を、彼らは博士に伝えた。

「……今日、協力してくれたのが君達で、本当に良かったよ。ありがとう」

ロルフ博士は、この日一番の、柔らかな笑みを浮かべた。

「全世界をもふもふにしたからといって、万人が幸せになるとも限らない。もふもふをこの手で撫で回してこそ、あるいは愛する者に抱きしめられてこそ、幸を感じる者もいるようだしね。せめてこの薬を望むものが、より楽しく安全に過ごせるように、改良を重ねていくよ」

その言葉と共に、最初の服薬時と同じように、周囲に煙が満ちていき。
気づけば皆、元の姿に戻っていたのだった。
 

成否

成功

状態異常

なし

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