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シナリオ詳細

歓喜! 猫を吸わないと治らない病気!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 木漏れ日が窓辺から覗いて目について、むくりと起き上がった。
「ンナァァ」
 ぐぐぅ~っと背伸びしてみて、ついでに肺の中に空気を入れる。
「ふぅ……ァァ」
 だるんっと両手をおふとんへパンって落とす。
「ンン……なんだか、微妙に熱っぽいような……?」
 まるで熱でも持ったかのように、身体が重い。
 節々に痛みはなく、寒気もない。
 けれどびっくりするほど身体がだるい上に熱を持ったように頭がぼうっとする。
「……風邪でも引いた?」
 ぼんやりと首をかしげて立ち上がると、ふわふわした頭のまま、貴方はゆらゆらと顔を洗いに歩き出した。


 その日のお昼間、ぼんやりとした頭を引っ張って貴方は病院を訪れた。
「その症状は何時ごろからです?」
「朝……ですね」
「ふむふむ、今朝、と。……診察票によれば熱はないけれど身体がだるくて熱を持ったようにぼうっとしているとのことですが。
 あとは他には何かありますか?」
「あとは……なんだか異常に眠くて」
「ふむふむ、異常な眠気……それはたしかに活動に支障が出そうですね」
 うんうんと頷いた後、医師はメモを取っていく。
「ンナァァ……ふぅ……すいません、ちょっとあくびが」
「ふむ」
 ぴくりと、医師が表情を変える。
「実はですね、この数年ほど少しずつ増えてきている病気があるのです」
 くるりと椅子を回して医師が君の正面から向かい合った。
「病気、ですか」
「はい、医師の中では『猫病』と呼んでおります。
 最初は身体のだるさ、熱っぽさ、異様な眠気などなどが症状として出て参ります。
 この病気において診断の根拠足りうる最たる特徴としては、欠伸、なのです」
 すごい真面目な顔で、よくわからないことを言い始めたその医師は、こほん、とひとつ息を入れて。
「この病気に罹患中の方は、総じて欠伸が『ンナァァ』という猫の鳴き声っぽくなるのです」
「へ??」
 意味の分からないことを言い出した医師へ思わず変な声を出した貴方に、対して医師は真剣そのものだった。
「ふざけた内容の診断方法に見えますが、この病気は最初こそ体のだるさ、眠気程度で済みます。
 ですが、深度が深まるとどうなるか分かっていません。
 ただ、本当に眠気が続いて年中寝たきりになる場合もある……かもしれないのです」
「ええっと、その、かもしれないが多いのでは?」
「それは、まぁ。実のところ申しますと、この病気には治療法が既に存在しているのです」
「えっ!?」
「――ご自宅、あるいは近くで猫がいる場所をご存知ですか?」
 そんな場所があっただろうか。――ふとそんなことを考えていると、医師は話を続ける。
「この病気の治療方法は単純ですが、猫を吸うことなのです」
 猫の身体から発せられる汗とフェロモンの混合物がどーのこーのと、詳細なことを医師は続けている。

GMコメント

シリアスな戦いにね、疲れてきませんか。
ここらで一発ね、猫をね、吸ったりね、撫でたりね、いちゃつきたいわけですよ。猫をくれ。

●オーダー
【1】猫病を治療する!!

●状況
 皆さんは近年になって出てきた『猫病』なる奇病に罹ってしまいました。
 幸いにして猫をこう、吸ってやるとこの病気が治るという治療法……治療法?が判明しております。
 なので思う存分に猫を吸いましょう。
 猫を吸うとかキャラじゃない……という感じでも、猫吸うぜ!!と意気込むも、何なら実は仮病でも構いません。
 だって、吸わないと治療できないからね。仕方ない。そう、仕方ないのです。これは。
 治療した後も前も猫といちゃつけるので吸う以外の事もやって癒されましょう。

●猫の家
 治療施設として開設されている猫の家です。
 多種多様の性格、柄、大きさの猫達が皆様を癒すために待っています。
 お触り可、吸い可能の猫カフェみたいな感じです。
 もちろん、ご自身の猫の持ち込みもOKです。

・例えばこんな子たちがいます。

【ハナ】
バハナブラウンの女の子。
スンとした佇まいと人慣れしていてあまり甘えてきたりしないツンデレさん。
吸おうとするとしっぽぺしぺしで反撃してくるぞ! でも許してくれると尻尾でなでなでもしてくれちゃう。

【シロ】
キプロスアフロディーテの女の子。
驚くほど真っ白の大きな女の子。人の膝の上や背中、頭の上に垂れるのが大好き。
お澄ましな顔とのギャップがよい。

【アメ】
アメリカンショートヘアの女の子。
甘え上手で大胆な女の子。なんか気づいたら近くに座ってたりするぞ。
吸っても動じたりしない代わり、気まぐれですーぐ違うところにいっちゃうかもしれない。

【クリーム】
白と茶色の混じったラグドールの女の子。
もっふもふな毛が猫吸いにぴったり。温かな体温が癒しを与えてくれる。
遊ぶのが大好き。吸った後は遊んであげよう!


●情報確度
この依頼の情報確度はにゃんこです。
癒しにおいて無粋なもんは考えない方向でいきましょう、にゃん。

  • 歓喜! 猫を吸わないと治らない病気!完了
  • GM名春野紅葉
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2021年06月30日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

エンヴィ=グレノール(p3p000051)
サメちゃんの好物
クラリーチェ・カヴァッツァ(p3p000236)
安寧を願う者
ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)
【星空の友達】/不完全な願望器
ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)
優穏の聲
メイメイ・ルー(p3p004460)
約束の力
御天道・タント(p3p006204)
きらめけ!ぼくらの
花榮・しきみ(p3p008719)
お姉様の鮫
シャオ・ハナ・ハカセ(p3p009730)
花吐かせ

リプレイ


「ンナァァ……ねこーーーーーー!!」
 猫の家に入るや否や、『希う魔道士』ヨゾラ・エアツェール・ヴァッペン(p3p000916)は歓喜に打ち震えていた。
(猫を吸わないと治らない……猫吸い! やったー! 猫の家……猫沢山で、猫連れてきてもいい……楽園か!
 皆も可愛い猫連れてくるのかな? 楽しみ……もとい治療頑張ろうね!)
 ちなみにそんな夜空に抱えられているのは――
「ンナァァ…にゃー」
 トナカイの角と鳥の翼を生やしたもふもふの生物ことフローエ。
「ほら、可愛い猫! 猫だよ! ンナァァって欠伸してるからこの子は猫!」
 そうなんだろうか……そうなのかもしれない。
「にゃー。よぞらー、にゃー」
 人名を喋った気がするけど、にゃーにゃ―言ってるからきっと猫だ!
 もふもふだし。そうに違いない!

「体のだるさ、熱っぽさはただの風邪みたいだけど……異様な眠気が強くなるかもしれないと言うのは困りものよね」
 ンナァァと欠伸をする『ふわふわな嫉妬心』エンヴィ=グレノール(p3p000051)は隣にいる『罪のアントニウム』クラリーチェ・カヴァッツァ(p3p000236)に視線を投げかけた。
「季節の変わり目だから体調を崩したのかしら? と思っていたのですが、原因は他にありましたか」
 気付かれない程度にぱたぱたと小さく手で仰ぎながら、クラリーチェは頷き。
「……こんな病気なら、こんな治療法ならいつでも大歓迎なのですが」
「……猫を吸う事で治る理由は、その、全く理解できなかったけれども……治るのなら良いのよ、うん」
 クラリーチェの言葉にエンヴィはそれに頷きつつも、やっぱり理解できなかった。
「修道女としてのお勤めに支障が出てはいけませんからね。
 心を鬼にして、猫さんとあそ……いいえ、治療しましょう」
 ちらりと本音を漏らすクラリーチェは咳払いをしてからぴたりと立ち止まる。
「なにより、これも『働き過ぎだから休めばいい』という神様の思し召しかもしれませんし」
 神様のせいにするなって? 嘘も方便ってどっかの偉い人は言いました。
 キャラが違う? 気のせいです。猫病のせいです。
 そういうことらしい。そうだね、猫病のせいなら仕方ないね。
 座っている猫の形をした家のマーク――地図に記された場所だ。
 扉を開き――そこには先客が何人か。

「オーッホッホッ……ンナァアア……
 うう、お覚悟くださいまし、お猫たち……!
 この、わたくしっ

  \きらめけ!/
  \ぼくらの!/
\\\タント様!///
――が! やって参りまし……ンナァァ……」
 続けて入ってきた『きらめけ!ぼくらの』御天道・タント(p3p006204)がキャットスキッドドゥーイットの途中でふにゃふにゃ~と倒れていく。
「うう、病気など生まれて初めてですわ~!」
 ゆるゆるとそのまま猫の家に入ってきた。

「まさか猫病なる病にかかってしまうとはなんたることだ」
 すごい真剣な顔でちょっと震えてる『天穹を翔ける銀狼』ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)がいる。
(治療法は分かっている、にゃんこを吸えばいいのだ。
 ――いや、ちょっと待っていただきたい。
 病の治療に必要だから義務的にやってるとか、いやいややってるとかそういうわけではないのだ。
 病気の治療という名目を手に入れて思う存分キャッキャモフフして吸えるという喜びに打ち震えているのである!)
「あの~」
「……はっ!」
 声をかけられて我に返る。どうやら猫の家の前で延々自問自答していたらしい。
「治療の方、でしょうか? でしたら、どうぞ」
「失礼する……」
 ぺこりと頭を下げて中に入れば――そこは楽園が広がっている。


「あーーーーどの猫も可愛い……猫可愛いよ猫ー」
 猫の家に入れば、数多くの猫がお待ちしてましたとばかりに視線を向けてきたり、しなかったり。
 そのままフローエを連れて恐る恐る中に入っていけば、用意されていた猫じゃらしを使ってふりふりと。
 四つん這いで近づいていくと、不意に背中に重さ。
 そのまま重さはのしのしとヨゾラの背中を伝って頭へ。
『ナァァァ』
 そんな鳴き声と共に、頭にだらりと猫が覆いかぶさってきた。
「猫すぅーーーーーーーー、すぅーーーーーーーーーー」
 それを合図とばかりに、視界を覆う真っ白な毛並みを一杯吸い込んでいく。
 そのままヨゾラは器用に寝転んだ。
 不意に、ふにりと頬辺りに感触2つ。
『ナァゥ』
 ふにふに肉球がヨゾラに触れている。
 その一方、そんなヨゾラを見ていたフローエさんも、いつの間にか隣にいた猫の懐に潜るようにして。
「すぅー……すぅー……」
 ヨゾラを真似た猫吸いを始めている。
 そのまま2人――1人と1匹?は眠気に誘われて添い寝されながら眠りについた。

 それぞれ手ごろなクッションに座っているクラリーチェとエンヴィ。
 エンヴィがゆらゆらと尻尾をゆらしながら猫の様子を眺めていると、誘われるように白と茶色の混じったラグドールが1匹近づいてくる。
 そのままその子はエンヴィの尻尾へ飛び掛かっていく。ネームプレートを見るに名前はクリームか。
「ああ、エンヴィさんが遊ばれています……」
 それを眺めながら、クラリーチェは微笑んだ。
「……私の尻尾を食べ物と思ってじゃれてる、なんて事は無いと思うの……だけど……」
 たぶん、きっと。大丈夫なはず。
 少しばかり困り顔になりながらエンヴィがそちらを見ると――クラリーチェの方も困ったように微笑んで。
「だ、大丈夫よね……食べ物と思われてないわよね……?」
(彼女の尻尾は猫たちの格好の玩具。うちの教会の猫たちも散々尻尾にじゃれついていますものね……)
 困った顔をしながらこちらを見ているエンヴィの様子に笑いかけながら、言ってしまうと拗ねられそうなそれは秘密。
 なんてことを思いながら視線を下げると、そこにはいつのまにかアメリカンショートヘアのにゃんこが1匹。
 ネームによればアメというらしい。
 益々増えていくエンヴィの周りの猫達を見ながら、クラリーチェはアメに顔をうずめた。
「ふぁぁ……たまりませんね」
(……こんな光景、教会に訪れる信者さん達には見せられません。
 でも、ここの中では皆同類。思う存分堪能します……!)
 そう、これは治療。そのためにここに来てるのだから、大丈夫なのだ!
 そうこうしているうちに、エンヴィの方も顔の上に乗ってきたにゃんこを吸っていた。
(……考えてみれば、普段から猫だまりに住んでるのだから、治療の為にここに来ることは無かったような……) 
 猫病の影響が失せたのか、ちょっぴり我に返るエンヴィは、それでも普段会えない子と遊べたと思い返して。
(……帰った後で、いつも遊んでる子から怒られないと良いのだけど……)
 ――また別の懸念に触れるのだった。

「まあ! まあ! かわゆいお猫が沢山ですわー!」
 入るや否や目を輝かせるタント様は、ふらふらと奥の方へ歩いていく。
「お猫っ!」
 そのままふらふらしておでこヘッドスライディングを決めれば、驚いたのかぴょんと逃げていく。
「あうあう、逃げないで下さいまし~……」
 ずっこけた態勢で手を伸ばすタント様のその隣に、不意に気配。
 ふとそちらを見れば、アメが首を傾げてこちらを見ている。
「あっ、……宜しいですの?」
 無言でぐいぐい顔をくっつけてくるアメを恐る恐る抱きあげて。
「すぅーーーっ」
 思いっきり吸引しても微動だにしない。
「んふ~~!! 何だかみるみる活力が湧き上がって参りますわ~!
 お猫は健康に良い! お猫は健康に良いのですわね!」
 恍惚としたところで下を見ると、既にそこにアメはいない。
 ――その後も。
「ふあ~~! わたくしのおでこが~~
 叩かれておりますのにしあわせな気持ちになりますわ~!」
 自慢のおでこをぺしられたり、他のにゃんこと猫じゃらしでダンシングを繰り広げて堪能しまくるタント様であった。

 ゲオルグは5匹のにゃんたま達を連れて来ていた。
 果たしてにゃんたまを吸っても猫病が治るのかは私も分からない。
 さておき、5匹のにゃんたまたちは各々が猫たちと遊んでいる。
 甘えん坊のにゃんたま(シロ)はにゃんこたちの環境によくわかっていないのかふわもこ毛並みをゲオルグに擦り付けて丸まっている。
 マイペースなのんびりやさんのにゃんたま(ミケ)は、普段通りマイペース。
 周囲を気にしていないのか、こちらはこちらでゲオルグの近くで丸くなってすやすやしている。
 そんな2匹とは異なり、人懐っこいにゃんたまのユキと好奇心旺盛なにゃんたまのクロ、それにやんちゃなツンデレさんのにゃんたまトラは周囲の猫達と打ち解けているのか、
 多種多様なにゃんこたちを見ていると、気付けば近くで丸くなっている猫が1匹。
 そのあったかもふもふをなでなでしていると、ふと気づけばにゃんたまと猫が周囲に集まっていた。
 そのうちの1匹がゲオルグにゴロンとお腹を見せた。
(……ここはもう、エデンの園と言っても過言では無いのでは?)
 多数のふわもこに包まれながら、ゲオルグは猫を吸いながらそう思うのだった。

(混沌に来た影響でしょうか、まさか病気とは……命に関わるかは不明とはいえ、放置して良いものではないですね)
 肉体的にはどちらかというと死体であるはずの『花吐かせ』シャオ・ハナ・ハカセ(p3p009730)は不思議そうに思う。
「ところで、犬では駄目なのでしょうか? いえ、犬となら同居しているのですが……」
 シャオは猫の家に入ってくると、開口一番に職員に問うていた。
「…………駄目ですか、難儀ですね。猫と触れ合う機会は今までなかったのですが……」
 何となしに近づいてきた猫を抱き上げてみると――
「骨の入っている生き物ですよね? 私の抱え方間違っていませんか?」
 驚くほどの柔らかさに困惑しきりになりながらも、近くで猫を吸っている人を見て、恐る恐る吸い込んでみた。

「……なるほど、楽園はここに……ありました。ふふ」
 たくさんの猫達を眺めて『あたたかい笑顔』メイメイ・ルー(p3p004460)は笑みを零す。
「この子がハナさん、ですね。とても綺麗……」
 声をかけたのはスンと佇むチョコレート色の子。
 人慣れしているのかこちらを気にせず微動だにしない。
「……ハナさん、宜しくお願いします」
 ぺこりとおじきを一つ。早速、と近づくと――ぺしり。
『ナ』
 気安く触るなと言わんばかりにぺちぺちと器用に尻尾でメイメイを叩いてくる。
「あっあっ」
 整った毛並みの尻尾はそれはそれでふわふわしている。
(で、でも、逃げないということは、怖がってたり嫌がってたりするわけではないのでしょう、か……)
 何となく恐る恐る撫でてみると、顔を動かすだけで逃げはしない。
「あ、そうです……これ……」
 受け取っていたおやつを取り出して差し出してみれば。
『ナァ』
 それをぱくりと食べて細かいものまでぺろぺろ嘗め尽くされる。
 すると、再び尻尾が動いて――てしりと触れたかと思えばなでなでり。
 どうやら許してくれたらしい。
「すーはーすーはー……ふんかふんか……」
(ね、ねこさんの、香り…くすぐったくてふわふわで……。
 ンナァー……あ、おかしいです、ね。さっきまでとは少し違う心地の良い眠気が……。
 ねこさんの癒しパワー…ですね。ふふ……)
 うとうととそのままメイメイは眠りに誘われていった。

(猫を吸わないと治らない病気とは、これ如何に……猫様とは余り関わりが……)
 とりあえず、言われた通り猫の家に訪れ、受付を終えた『お姉様の為』花榮・しきみ(p3p008719)はぴたりと立ち止まる。
「待って下さい! そこの猫さん、お姉様では!? お姉様にしか見えません。そうでしょう!? あの愛らしさ。そしてオッドアイ……間違いありません!」
 お澄まし顔にオッドアイのスティア(シロ)がくわぁっと欠伸する中ソファーへそそくさと座り込んだ。
 スティア(シロ)はゆっくりと立ち上がったかと思うと、ぴょんぴょんと跳び、そのまましきみの顔の上に戻ってきてだらり。
(ああ……猫病の治療で一度で二度美味しい……
 猫さんをもふもふと楽しみながらお姉様を味わっているかのような……天国か……)
 しばらくそうしていると、スティア(シロ)が起き上がってしきみの膝に移動していく。
「おやつ! おやつあげませう! 此度のお礼です!」
 だらけ始めたシロを眺めながら、しきみはおやつを取り出した。
「連れて帰れないでしょうか……」
 肉球をふにられながらおやつを食べるシロを見ながら思わずぽつり。
「シロさん、うちの子になりませんか? ねえ、シロさん……。ちょっと改名することになるかもしれませんが……
 いいえ、この際改名なんてしなくても良いです。お姉様にもシロ要素はありますから」
 お澄まししつつされるがままにされるスティア(シロ)が、ふにられてない方の前足でお顔をくしくししてる。
「できますけど、そうしますか?」
「え!?」
 職員の言葉に驚きつつ、視線をシロに。
「……シロさん、来ますか? うちに」
「にゃぁぁ」
 ふにってた指をちろちろなめはじめる。
「その子、滅多に人の指を舐めたりしないんです。気に入ってもらえたのかもしれませんね」
 肯定するかのような「にゃぁ」が膝から聞こえた。


「ただいま、戻りました」
 扉を開けたシャオを待っていたかのように愛犬のシチが走り寄ってくる。
『スンスン……スンスン』
 そのままスンスンとシャオの周囲を歩き回る。
「よしよし……なんだかすごい嗅いできますね?
 とりあえず、お留守番していたご褒美をあげ――」
『バウバウバウ!!!! ギャウギャウ!!』
「えっ」
 めちゃくちゃ興奮した様子で吼え始めた。
「あなたそんな吠え方するんですか?」
 あまりにも珍しいその吠え方に不思議そうにシチを見つめつつ、部屋の中に入っていく。
「もしや、これが噂に聞く『知らないやつの匂いがする』反応ですか」
 部屋に入りながら、ふと気付いたことだった。
 鼻の効く犬などの動物はそれまでの臭いと違うと誰だとばかりに吠えることもあるのだという。
(猫も悪くないのは今回わかりましたが、触った後はちゃんと洗わないといけませんね。
 ……ん? これだとまた触るつもりということになりますね……無自覚ですが猫も割と好きになっているのでしょうか)
 変わらずバウバウと吠えるシチを連れるようにして部屋の中に歩いていきながら、シャオは無自覚な変化に首を傾げた。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

お疲れさまでした、にゃん

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