シナリオ詳細
スコタンコンサンコスティーンが出た
オープニング
●声に出したい異界語スコタンコンサンコスティーン
「皆、大変だ! スコタンコンサンコスティーンが出たぞ!」
酒場のドアを蹴り開けられ、叫ぶウェスタンハットの男。
賑やかに飲み交わしていた男達は一斉に黙り、振り返った大柄スキンヘッドの男が持っていたグラスを思わず取り落とした。
「スコタンコンサンコスティーン……だと……!?」
グラスを取り落としたというのにその手はいまだ震えたままで、男はスキンなヘッドに手を当て、そしてゆっくりと顔を撫でた。
「真夏になるまでは安全だと思ってたのに……スコタンコンサンコスティーン」
「オゥマイ……スコタンコンサンコスティーン」
隣では思い詰めたひょろながの男がうーんといって白目をむいて気絶し、とんがり帽子の男はママーといって泣いた。
絶望と混乱に満ちたスコタンコンサンコスティーンな空気の中で、ひとりスコタンコンサンコスティーンとつぶやいた老人が力強くビアジョッキをテーブルに置いた。
そして椅子を蹴倒して立ち上がる。
「イレギュラーズを呼ぶだ。――スコタンコンサンコスティーン!」
●馬鹿になればなるほど楽しい依頼
「スコタンコンサンコスティーンって何……」
たぶん画面の前の全員が思ってたことを、情報屋はすごい真面目な顔して言った。
ここは練達セフィロトど真ん中。仮想世界ROOがバグによって歪み、その折に意識ごと囚われてしまった研究者たちを助けるべく、ローレット・イレギュラーズは提示されたクエストを次々と攻略していた。
今回もまたクエストが提示され、よっしゃこいつをクリアすればまた研究員を救出だぜつって内容を調べ……たあとの情報屋の台詞がさききのヤツである。
「わ、わからない。スコタンコンサンコスティーンってなんだ……とにかく出たらしいけど……」
クエスト内容にはこうある。
――スコタンコンサンコスティーンをデヂューンする
「デヂューンってなに」
知らない単語に知らない単語が被さったことで今度こそ頭を抱えた情報屋。
しかし!
いろんなひとがいるのがローレット・イレギュラーズ!
なんと!
偶然に!
奇跡的にも!
今回の参加者は!
みんな!
スコタンコンサンコスティーンをデヂューンする手順を知っていたのである!
- スコタンコンサンコスティーンが出た完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2021年06月30日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●
「懐かしいな……スコタンコンサンコスティーンのデヂューン」
『大鴉を追うもの』クシィ(p3x000244)は開いた右手を見下ろして、どこか自嘲ぎみに笑った。
「それでも……やっぱりデヂューンによってもたらされる多様なハスカンコの事を思うと身が引き締まるな」
「へぇ、ならず者なのにかい」
腕組みをして椅子に座っていた『冒険者』イルミナ(p3x001475)が、からかうように頬を上げてみせる。
「だからこそさ! デヂューンってのはやっぱり特別なモンなんだ。何も省みない無法者だからこそ沁みるもんがあるぜ」
「ふふ……」
盛り上がる彼らの様子に、『大型』ジオ(p3x002157)が肩をすくめて笑う。
「まさか本当にスコタンコンサンコスティーンに立ち会える日が来るなんて……」
「正にメケロッチョポケラーニャってやつよ」
『Lightning-Magus』Teth=Steiner(p3x002831)は『だろ?』とでも言うように顎を上げ、『めっちゃだんでぃ』じょーじ(p3x005181)も『確かに』と瞑目して頷いた。
「スコタンコンサンコスティーンのデヂューン……それは、ダモルックとウェオルの歴史と言い換えても良いだろう。
古の賢人はこのような言葉を残した。『スコタンコンサンコスティーンとフェロムする者は、ベラッジオンよりギバルムー』と」
「含蓄のある言葉です……」
『No.01』陽炎(p3x007949)は壁際に立ち、閉じていた目をゆっくりと開いて息を吸い込む。
「まさに、このときのためにあった言葉かもしれません」
「かも、な」
Teth=Steinerと陽炎は皮肉っぽく言うと、陽炎がポケットから取り出したカードをかざした。
「某の番組でもスコタンコンサンコスティーンをモチーフにしたミッションが発令されたことがございます。
挑戦者の皆様は一様に『ちょっと何言ってるかわからない』と仰せになった後悉く脱落していきましたが」
「だろうな。デヂューンできる人間は限られてる」
「ですが……やるにしてもやはり時期が早いように思います」
『人形遣い』イデア(p3x008017)が両手をわしゃわしゃやって謎の一人あやとりをくみ上げている。
「これがデヂューンにどう影響するかはわかりませんが、やるしかありません」
クシィ、イルミナ、ジオ。彼らの目に妖しい光が灯る。
真夏を待たずデヂューンするという行為のリスクを、彼らは知らないわけではないのだ。
「依頼だから、というのもありますが私にとっても久方ぶりのデヂューン。
腕が鳴ります。当代一と呼ばれたパロックの腕を魅せて差し上げましょう」
意気込む仲間達。『がおー』アラン(p3x009670)は宿のロビーに大きな熊のぬいぐるみコンスタンティンを置いた。まるでロビーで帰りを待つ友達のように。
「僕に教えてくれたおじいさんはね、スコタンコンサンコスティーンは黒くて大きくてケがモケモケしたトドロンパなんだって言ってたんだ。トドロンパだよ。ヌモールじゃないんだよ。僕怖くてそれから2晩眠れなかったんだ。おかげで昼寝が捗ったんだけどね……」
コンスタンティンの頭を撫で、そして振り返る。
「でもね、僕ひらめいちゃったんだ。大きければ小さくすればいいじゃない。トドロンパならヌモールにすればいいじゃない。これ確かマリーアソトワネットの言葉なんだってね。あれ?オダー・ノブアーガかな」
「トドロンパならヌモールにすればいい……か」
子供のような発想に、Teth=Steinerもイデアもくすくすと笑い、しかしどこか清々しい顔で頷いた。
「そうですね、ヌモールにしてやりましょう」
アランはコンスタンティンにバイバイと手を振った。スコタンコンサンコスティーンをデヂューンするのにコンスタンティンがいてはチンプンカンプンになってしまう。だってコンスタンティンとスコタンコンサンコスティーンはコンスタントなコンセンサスがコンセンしてナンセンスだからだ。スコタンコンサンコスティーンはコンスタンティンと違ってティーン受けするがだからといってコンスタンティンをスコタンコンサンコスティーンのそばにスタンドさせておくスタンスはスコタンコンサンコスティーンのえっとなんだっけ今何の話してた?
●
夏を前にした太陽は、アスファルトをじっくりと焼いている。蝉の鳴かぬ伝承通り
額に汗が流れるのはなにも蒸し暑さばかりが理由じゃない。
「ロゲイン濃度が過去の資料の値に達していない……」
じょーじは額の汗を拭い、苦々しく口髭の形を歪めた。
「やはり、スコタンコとコンサンコへの分断とクロス・ボボンボが必要になるか……」
「これ以上ロゲイン濃度がデヂューンの規定量を下回り続けないように対策を施しましょう」
陽炎は素早くフィールドにクリューンを施し始めた。
「陽炎、ブラッシュは――!」
「――無論、対策済みです」
ピッと二本指を立ててみせる陽炎。確かに陽炎の施したクリューンにはブラッシュ対策が施され、流れるような手際でペモへとホニャをメラメラしていた。
「準備はそこまでだよ」
「ああ、スコタンコンサンコスティーンが来る」
イルミナとジオは同時に身構えた。剣を握りしめかざすイルミナ。魔術液をこめたシューターを引き抜くジオ。
だが分かっている。いかに強力なダメージを与えようとしたところで、スコタンコンサンコスティーンをデヂューンすることはかなわない。
「ロゲイン濃度は基準値を満たしておりません。これ以上は下がらないとしても……」
イデアは露出させた肘や首の後ろから細かく蒸気を放ち、自身をブーストさせていく。いつ身体をはってもいいように。だが、そうなるということはデヂューンの失敗を意味するのではないか……。
「いいや、まだだ。俺様の作戦を聞け!」
Teth=Steinerは手をかざし、動揺しそうになっていた仲間達をとめた。
「まずはバースト×コーラシュからスタートする。
一発逆転式であるバーストの性質を利用してイレブンパックを急激にモミットし、それを利用してフィールド全体にメッケ属性のクリューンを施すんだ」
「メッケ属性の? それでは……!」
陽炎が身を乗り出しかけたが、まあ聞けと続けるTeth=Steiner。
「ペモのホニャをメラメラする事でメラチック強度を上昇させ、規定値に達したところで一気にリバーシ×ポポロニアに移行するんだ」
ハッ目を見開く陽炎。
「確かに。その方法ならデメリットである筈のガリッド効果が逆にイレブンパックをベボンヌする……」
「そう。メッケ属性のクリューン増大化だ。ロゲイン濃度が通常のデヂューン要求量を大きくオーバーするエヴェスペロッケ領域に達する」
「ケッ、なぁるほどねえ……」
話を聞いていたクシィは手にしていた剣を一旦下ろして首を振った。
「俺としたことが焦っちまった。それならクロス・ボボンボにもっていけるな」
「うん、僕もそれに賭けてみる!」
ぱちんと手をうつアラン。
だがイデアはそれでも臨戦態勢を解かなかった。なぜなら……。
「『賭ける』……だけの勝率があるでしょうか。確かにイレブンパックがベボンヌすれば必要ロゲイン濃度を得ることができます。ですがそれだけのクリューン増大を許すでしょうか……?
あの、スコタンコンサンコスティーンが」
「「…………」」
それを言われたジオは小さく目を伏せ、イルミナもまた目をそらした。
「元からクロス・ボボンボはハイリスクな手段だろうが。けどそれによって得られるリターンも当然絶大だ。Teth=Steinerのアイデアに賭けるしかねえぜ?」
「おっと、諸君。この少年がまだ言いたいことがあるらしいぞ?」
蝶ネクタイを直し、声を張るじょーじ。
さあ、と手をかざしてみせる彼に、アランは頷いて歩み出た。
「トドロンパをヌモールに、つまりスコタンコンサンコスティーンをスコタンコとコンサンコに分断する確かな方法があるよ」
「「なっ…………!?」」
動揺が、走った。
クシィも目を左右非対称に歪め、歯を見せて顔をしかめる。
「おいおい、ホラじゃあねえよな?」
「スコタンコンサンコスティーンには二つのコプフがあるんだ」
見て、と指を指すアラン。確かにスコタンコンサンコスティーンには左右別の方向をむいたコプフがあった。
「コプフが二つ……まさか!」
陽炎の閃きに、アランは頷きで応えた。
「二人でコプフを挑発して引き剥がすんだ。皆の協力があればそれができるはず」
それまで身構えていたイデアが蒸気の噴出をやめ、肩を落とす。
「やりましょう。それならば、勝率は賭けるだけのものになる・
今年のスコタンコンサンコスティーンはエレガントでヴィンテージへの期待が高まり、デヂューンし甲斐がありますし……ね」
冗談めかして言うイデアに、じょーじとTeth=Steinerも思わず笑ってしまった。
「よし、そうと決まれば――」
「フィールドを切り替えるガリッド効果を侮るな? ファオウ☆彡パの影響が出たら私に合図を」
じょーじはそう言って走り出し、クシィ、イルミナ、ジオの三人も一斉に展開しはじめた。
「フィールドにクリューンを施します! バースト×コーラシュ!」
クリューンを施す陽炎。
その間動き出すスコタンコンサンコスティーンに、クシィは横からバースト・スベロキャのヴァヌを用いてホーイを仕掛けた。
あまりのクシィの素早さにホーイしてしまったスコタンコンサンコスティーン。
「まだまだ! スココルコのベッツを使う!」
「了解、リバーシ×ポポロニアへ切り替えます!」
再び異なるクリューンを施しフィールドをリバーシ×ポポロニアへ変える陽炎。
すると突然、イデアやアランたちの動きに異常が現れ始めた。
「ファオウ☆彡パだ! ――じょーじ!」
「任せて貰おう」
じょーじはファオウ☆彡パに効果のあるエフェクトを解き放つと、二人のファオウ☆彡パを希釈し始める。
「ハッキリ言って焼け石に水ではあるが……ゲーム内であろうとも、ハロムーンドされる若者など見たくは無いからな」
そんなじょーじへと迫るスコタンコンサンコスティーン。
「じょーじ!」
「例えこの身がデッジョンされようとも、デヂューンが終わるその時まで、私はこの戦場に立ち続けよう……!」
大きく振り返り、スコタンコンサンコスティーンを受け止めるじょーじ。
調子を取り戻したアランは走り、そしてフリントロックライフルの超乱射によってコプフへの挑発を始めた。
「今だよ陽炎、再びリバーシ×ポポロニアに!」
一度バースト×コーラシュへ切り替えていたフィールドをリバーシ×ポポロニアに再度切り替えることは激しいガリッド効果を引き起こす。だが――。
「リバーシ×ポポロニア移行時に他の手法も行使した場合、その効果がまんま増強される。つまり……?」
ニッと笑って指を立てるTeth=Steiner。
イデアが瞳の奥で輝きを高めた。
「ロゲイン濃度上昇! デヂューン要求量を大きくオーバーして……」
「エヴェスペロッケ領域へ達しました。今です!」
陽炎の叫びに応じて、イルミナとジオは飛びかかった。
「リバーシ×ポポロニアならセミスコートが最大限に活かせる。このままガフしてリットだぜ!」
クロス・ボボンボが放たれる――が、しかし!
「違う、こっちは……スタコンタだ!」
アランはクロス・ボボンボによって生じたエーテルム原因物質を感知し、大きく焦りの声を上げた。
「やべえ、ブラッシュだ!」
激しいブラッシュに晒されるイルミナたち。
だが幸いにもイルミナがペコリスを事前に施していたおかげでジオだけはブラッシュを免れていた。
「危ない所だった、まさかポポンがズキュするなんてとんだパッカーだわ。
エビルモンダでスカットしないと間に合わなくなる。スタコンタだけなら……!」
さらなるブラッシュに暴露しながらもスタコンタを押さえ込むジオ。
「今の内にクロス・ボボンボを!
私の事は気にしないでさぁ討つんだ!」
そんなタイミングで滑り込んできたのは、まさかのクシィだった。
(俺の固有のロゲイン値は皆と比べてホボという訳ではない。でもだからこそ! こういう時器用に立ち回れるのさ!)
取り出したそれは輝海伝説アトランティスサーディン。
「お前……『イワシを食べる人』か……!?」
突き刺さったアトランティスサーディン。一瞬。一瞬だがコンサンコが動きを止めた。
だがそれで充分だ。
「絡めとるはスコタンコンサンコスティーン。紡ぐ形は薔薇の花。
これぞ今ここで編み出した新デヂューン――」
五指より伸びた糸がコンサンコを、そして押さえ込んでいたスタコンタをも絡め取る。
「――『ノヴァーリス』!」
ノヴァーリスによってデヂューンされていくスコタンコンサンコスティーン。
「だが様子が……様子がおかしい!」
「ゴモペグペグがベミムってるだと!?」
じょーじと陽炎は目を疑った。このままではスコタンコンサンコスティーンをデヂューンしきることはできない。
「へっ、仕方ねーな。ROOならではの命の懸け方ってやつを見せてやる! 伝説の勇者テデッィニュアもさながらにな!」
Teth=Steinerが飛び込んでいく。アランたちの制止も、もはやとどかない。
「キャメミ・ヘミョーネ・エグロモベコモエネネードッ!!」
強烈なキャメミ・ヘミョーネが彼らの世界をヘミョーネに染めた。
だが、やるべきことは分かっている。どう動けば良いかも。すべて――。
空に浮かぶ幻のTeth=Steinerが、パミュズ・ヒャップしているから。
「いくよ、みんな! クロス・ボボンボだ!」
一斉に、仲間達が動き出す。
クロス・ボボンボ。
それは伝説に語られたデヂューン。
あまりにも分の悪い賭けに、しかし彼らは勝利した。
そう、スコタンコンサンコスティーンは……デヂューンされたのである。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
あとがき
――スコタンコンサンコスティーン
GMコメント
前振りは以上であります。
みんなスコタンコンサンコスティーンって何って思ってるとおもうし私も今まさに思ってるけど、ここからは全員スコタンコンサンコスティーンを知ってるテイでいきましょう。
相談でも『スコタンコンサンコスティーンか、聞いたことがある。たしかポポロンが好物の怪物だったな』とか『いにしえのデヂューンに関わる記録を持っています。我が家に伝わるチョマッチョを使うのです』とかすごい真面目な顔して相談しましょう。
そのたびに『何……チョマッチョだと? あの伝説の……』とか相手の意味わかんない単語を更に膨らませる暴挙に出続けましょう。
最終的に誰も理解できない異次元の儀式ができあがると思いますが、不思議とそれがここにいる八人だけの共通幻覚かってくらい共有できているというフシギな感覚をお楽しみ頂けると思います。
さあ、皆さん、スコタンコンサンコスティーンをデヂューンしましょう!
●ROOとは
練達三塔主の『Project:IDEA』の産物で練達ネットワーク上に構築された疑似世界をR.O.O(Rapid Origin Online)と呼びます。
練達の悲願を達成する為、混沌世界の『法則』を研究すべく作られた仮想環境ではありますが、原因不明のエラーにより暴走。情報の自己増殖が発生し、まるでゲームのような世界を構築しています。
R.O.O内の作りは混沌の現実に似ていますが、旅人たちの世界の風景や人物、既に亡き人物が存在する等、世界のルールを部分的に外れた事象も観測されるようです。
練達三塔主より依頼を受けたローレット・イレギュラーズはこの疑似世界で活動するためログイン装置を介してこの世界に介入。
自分専用の『アバター』を作って活動し、閉じ込められた人々の救出や『ゲームクリア』を目指します。
特設ページ:https://rev1.reversion.jp/page/RapidOriginOnline
※重要な備考『デスカウント』
R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
現時点においてアバターではないキャラクターに影響はありません。
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