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シナリオ詳細

RED-JUSTICE-forever 廃滅業火のネオフォボス!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●窮地、敗北のレッドジャスティス!
「ぐああっ……!」
 胸へ袈裟斬りに繰り出された暗黒剣ナイトメアエッジによって、正義のヒーロー『レッドジャスティス』は吹き飛ばされた。
 胸から火花をしらし、切り立った岩場を転げ落ちるレッドジャスティス。
 頭を覆うヘルメット。そのアイシールドが砕け、血を流す男の目が露わとなった。
 そんな彼を見下ろすのは、黒き鎧を纏った暗黒の破壊者ナンイドナイトメア。
「レッドジャスティスの歴史は、ここで終わる。滅亡せよ――ナイトメアブラスト!」
 腰と額に備えた髑髏が大きく開き、暗黒の光線を発射する。
 直撃を受けたレッドジャスティスは、大爆発の中に飲まれた……。
 燃え上がる大地を眺め、ナンイドナイトメアはゆっくりと頷く。
「これもまた、不確定なる未来のひとつ、か」

 ヒーローの敗北。それは、強大なるバグの連鎖の始まりであったのかもしれない。

●人であったなら
 伝承首都郊外。中世風の町並みが並ぶそのなかに、一軒の喫茶店があった。
 そのカウンター席には、赤いライダージャケットを着た男性が一人。
 腕や足には包帯が巻かれ、頭にも痛ましくも赤くにじんだ包帯が巻かれている。
 ドアの開くウェルカムベルの音にも、彼は反応することなく背を丸めていた。
「あ、またこんな所に!」
 先ほどドアをあけたであろう女性が、男へと駆け寄っていく。
 茶色い紙袋を抱え、袋の端からは長いフランスパンがはみ出ていた。女性はカウンターに、というより赤いジャケットの男へと駆けよって顔を覗き込む。
 眼鏡をかけた女子高生のように見える。背も低く、先輩を慕う部活の後輩のようにも見えた。
「センパイ、宿に帰りますよ! お医者さんも安静にしてろって言ってたじゃないですか」
 センパイと呼ばれた男は振り返って彼女を見ると、すぐに目の前の、飲みかけのコーヒーに視線を戻してしまった。
「ニノマエちゃんか……いいんだよ、もう。スーツだって壊れてしまった。アルプスローダーも、もう……」
 彼が負った傷は、腕や足に巻いた包帯以上に重いものなのかも知れない。きっと心にも、赤くにじんだ包帯が巻かれているのだ。
 ニノマエと呼ばれた少女は肩を落とすと、しかしきゅっと眉尻をつりあげて男の襟首を掴んだ。
「いいから行きますよ! ご飯を食べてよく眠れば大抵のものは治るんです!」
「ちょ、ちょっと離して! 痛い痛い首しまって――」
 と、その時。
 ズドンという激しい音と共に大地が揺れた。
 ただ揺れたというだけではない。棚の食器が軒並み転落し吊り下げた照明器具が揺れのあまり割れて壊れてしまうほどの、それは激しい揺れだった。
 慌てて喫茶店の扉を開くニノマエ。
 そこに広がっていた光景は、路地を挟んだ向かいの建物群からずっと先までもがまとめて崩壊し、底の知れないほど深い谷へと変わっているというものだった。
 直後、激しい水流がそのすべてを飲み込み流れていく。
「これは……まさか……」
「『町田ナイル化計画』!?」
 立ち上がった男が叫んだその時、ザッと世界にノイズのようなものが走った。
 ずきりと痛むニノマエの頭。思わず目を瞑り、開いてみたその時には……。

 ――世界は、ネオフォボスに支配されていた。

●仮想世界のバグ
 練達で進行中のProjectIDEAは仮想混沌世界を用いた法則解明研究計画である。しかし不明なバグによって仮想世界はネクストという歪んだ世界を生み出し、その歪みの中にログイン中の研究員たちの意識も飲み込まれてしまったのだった。
 彼らを救出する方法はただ一つ。ネクスト世界中に点在する『クエスト』を攻略し、フラグとして研究員達の意識や魂を解放することだ。
「今回のクエストは伝承王国……混沌でいう幻想王国に相当する国の郊外です。
 この一地区だけがバグによって空間ごと切り離されていて、悪の秘密結社ネオフォボスによる伝承ナイル化計画ほか様々な征服計画が成功しネオフォボスによって伝承王国が支配されてしまった世界が再現されています。
 そのことは……あなたが一番詳しいかもしれませんね、ニノマエさん」
 ROOネクスト内、伝承王国のある田舎町にて活性化したサクラメント。そのすぐそばに設営された喫茶店風拠点にて、情報屋のアバターと対面していたのはニノマエ(p3x000034)であった。
 この地域がバグに飲まれ隔離されてしまった現場を、ニノマエは間近で見ていたのだった。ROO内に作った拠点のひとつがそこにあったから……というのが理由だったはずだが、他にも理由があるように見える。
「クエスト内容は、総帥ナンイドナイトメアと幹部怪人たちを倒すことです。
 敵の戦闘力も高く簡単ではありませんが、逆に言えば倒すことさえできれば解決する問題でもあるのです」
 ネオフォボスによって支配されたエリア『ネオフォボスシティ』は近代日本的な建築様式によって栄えた都会のような風景をしている。
 そこではネオフォボスによって作られた戦闘員たちが巡回し、人々は彼らによる恐怖政治に怯えながらもその近代的生活様式に準じているようだ。
「この場所で戦闘員たち相手に戦いを仕掛ければ、必ず敵幹部たち、そしてナンイドナイトメアがこちらを排除するべく現れるでしょう。
 戦いは厳しく、簡単に勝利することはできませんが……彼らを倒すことで研究員たちの救出になるだけでなく、バグに囚われたこの地域も復旧できると見られています」
 つまり、現実の研究員たちを救うのみならずROO世界でネオフォボスに支配された人々をも救えるということだ。
「そのように一般市民に紛れて活動していたあなたも、本当はイレギュラーズ。……やってくれますね? ニノマエさん」

●支配された世界と、敗北したヒーロー
 アサルトライフルを肩からさげ、列をなして道路の中央を行進する戦闘員。
 人々はまるで大名行列を前にした農民のごとく、固く頭を下げ続けていた。
 そんな中、猫を抱いていた少年の手から猫が飛び出し、行進する道路の中央……つまりは行進する戦闘員たちのそばまで走って行く。慌てて追いかけ猫を抱え上げると、足を止めた戦闘員のひとりが顔を覆っていたマスクを脱いだ。腕章の色からして、やや位の高い戦闘員のようだ。
「ネオフォボスには絶対服従。行進の際には頭を下げ続けるのはネオフォボス条例第五十八条に明記されていたはずだ。無礼な市民め、不敬罪だ……!」
 懐からぬいた拳銃を発砲。
 するが、群衆の中から飛び出した赤いライダージャケットの男によって防がれた。
 赤い持ち手飾りのついたキーを握りしめ、かざす男。
 ニノマエが『センパイ』と呼んでいた男だ。キーによって生み出された僅かなエネルギーがシールドとなり、銃弾を受け止めていたのだろう。
「ほう。不敬罪者が二人に増えたか。略式死刑とする!」
 周囲の戦闘員たちが足を止め、一斉に男へと向き直る。
 ジャケットの男――『センパイ』は、包帯だらけの身体で少年を庇うように抱き寄せる。
 指揮官の男が、拳銃に再び指をかけた。

GMコメント

●クエスト
・成功条件:秘密結社ネオフォボスの総帥および幹部たちすべてを倒す
・オプションA:『センパイ』の生存
・オプションB:街の市民達の生存ないしは被害の人的軽減

 フィールドは現代日本のビル街に似ています。
 厳密には海浜幕張あたりのオフィスビル街に似ています。
 皆さんはOP最後のパートの辺りで乱入するような形で登場できますが、このやりとりも二車線道路交差点の真ん中で行われているようです。
 近くにはビルも多く、陸橋歩道を大型化かつ複雑化したようなものが広がっています。

●エネミーデータ
・戦闘員
 ネオフォボスの戦闘員たちです。数は沢山いますが戦闘能力が一般市民が武器をとった状態とそうかわりません。
 イレギュラーズアバターの皆さんにとってはまるで敵にならないでしょう。

・幹部怪人たち
 油圧ファニファラオ、バズーカライオン大佐など幹部怪人たちです。
 広場で騒ぎを起こすとやがて現れ、皆さんを個別に分断して戦おうとするでしょう。
 こっちも多少分断することを覚悟して、2~4チームに分ける準備をしておくのをオススメします。

・ナンイドナイトメア
 最強の存在にしてネオフォボスの総帥です。
 おそらく最後に現れますが、その強大さゆえにかなり工夫して戦い、かつ情熱をぶつけなくては勝利できないかもしれません。
 この戦いが、シナリオにおける難易度の大半を占めています。
 混沌にも同様の存在がおり、噂によるとギフトを7つもっている魔種であるとされています。が、そんな存在が実在できるわけないという疑問視もされているようです。
 そんな彼は幻想での大作戦(https://rev1.reversion.jp/scenario/replaylist?title=%EF%BC%9C%EF%BC%AE%EF%BC%A6%E6%B1%BA%E6%88%A6%EF%BC%9E)でイレギュラーズたちによって倒されたはずですが……。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はCです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、ナンイドナイトメアに関しては不明点が多すぎます。

●ROOとは
 練達三塔主の『Project:IDEA』の産物で練達ネットワーク上に構築された疑似世界をR.O.O(Rapid Origin Online)と呼びます。
 練達の悲願を達成する為、混沌世界の『法則』を研究すべく作られた仮想環境ではありますが、原因不明のエラーにより暴走。情報の自己増殖が発生し、まるでゲームのような世界を構築しています。
 R.O.O内の作りは混沌の現実に似ていますが、旅人たちの世界の風景や人物、既に亡き人物が存在する等、世界のルールを部分的に外れた事象も観測されるようです。
 練達三塔主より依頼を受けたローレット・イレギュラーズはこの疑似世界で活動するためログイン装置を介してこの世界に介入。
 自分専用の『アバター』を作って活動し、閉じ込められた人々の救出や『ゲームクリア』を目指します。
特設ページ:https://rev1.reversion.jp/page/RapidOriginOnline

※重要な備考『デスカウント』
 R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
 現時点においてアバターではないキャラクターに影響はありません。

  • RED-JUSTICE-forever 廃滅業火のネオフォボス!完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度HARD
  • 冒険終了日時2021年06月27日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

一(p3x000034)
黒縁眼鏡の
ゼロ(p3x001117)
よう(´・ω・`)こそ
Ignat(p3x002377)
アンジャネーヤ
ミーナ・シルバー(p3x005003)
死神の過去
じょーじ(p3x005181)
めっちゃだんでぃ
ベネディクト・ファブニル(p3x008160)
災禍の竜血
Λ(p3x008609)
希望の穿光
ルージュ(p3x009532)
絶対妹黙示録

リプレイ

●「W軸の観念では観測できまい」
「ほう。不敬罪者が二人に増えたか。略式死刑とする!」
 周囲の戦闘員たちが足を止め、一斉に男へと向き直る。
 ジャケットの男――『センパイ』は、包帯だらけの身体で少年を庇うように抱き寄せる。
 指揮官の男が、拳銃に再び指をかけた。
 ジャケットの男があわやと目を細めた、その瞬間。
「――随分と楽しそうじゃねーか」
 真上、天空より舞い降りた『死神の過去』ミーナ・シルバー(p3x005003)が指揮官と『センパイ』の間に割り込んだ。
 空圧を制御するように開かれた赤い翼より羽根がちり、ミーナは腰におさめていた刀を抜いた。
「私にもやらせろよ……お前たちの処刑ってやつをよぉ!」
 咄嗟に飛び退き発砲する指揮官。だがミーナの放った斬撃が拳銃を二つに切断し、返す刀で指揮官を斬り捨てた。
 突然のことに周囲の戦闘員たちが動揺を見せるが、その隙こそが命取りであった。
「おまたせ、にーちゃん!」
「待たせたなヒーロー、ダンディが助けに来たぞ!」
 煉瓦ブロックで後ろから戦闘員を殴りつけて倒した『絶対妹黙示録』ルージュ(p3x009532)が群衆を抜けて現れ、ブロックを投げ捨てる。
 同時に別の方向からは『めっちゃだんでぃ』じょーじ(p3x005181)の浴びせ蹴りが戦闘員を倒し、右サイドの戦闘員の腕を掴んで小銃を誤射させると左サイドの戦闘員の足を蹴りつけて転倒させる。最後に右サイドの戦闘員に肘を入れて倒すと、ゴムバンドでしめた蝶ネクタイをパチンとしめなおす。
 二人は『センパイ』の左右を固めるように集まると、それぞれ身構えた。
(以前に倒した勢力の復活……ゲームとはいえ、中々奇妙な心境だ。が、それならば、何度でも立ち向かい、打ち倒すまで!)

 突然の反乱に戦闘員たちは十字路へと集合した。
 東西南北すべてのエリアから無数の帯銃した戦闘員が走る――が、西側の四車線道路を猛烈なスピードで走る漆黒のバイク。はっと振り返る戦闘員たちを次々跳ね飛ばすと、横スライドをかけながらブレーキ。搭乗者の『汎用人型機動兵器』Λ(p3x008609)がベルト接続していた端末を操作すると、バイクは一人でに変形しラムダを包むフルプレートアーマーとなった。
「悪の秘密結社に支配されてしまったIFな世界が再現しているって? いや~この疑似世界は本当良くも悪くも驚かせてもらえるね?」
 一方北側。走る戦闘員たちの頭上より、立体歩道の手すりからジャンプした『よう(´・ω・`)こそ』ゼロ(p3x001117)が眼前を阻むように着地した。
(秘密結社ネオフォボス……なんだっけ、あの、ワニ大佐だか油圧バズーカだかよくわからないのがいる組織だったよね。町田ナイル化計画もさっぱり目的がわからないけど……)
 立ち上がり、戦闘員達の銃撃を青く輝く剣で次々と払い落とすと嵐を纏った回転斬りで全員を切り伏せた。
「止めないといけない事だけはわかる!」
 そして一方の東側。蟹型多脚戦車こと『カニ』Ignat(p3x002377)が猛烈な速度で走りながら主砲を回頭。
 引き撃ちする戦闘員たちの銃弾を曲面装甲ではじきながら、瞳のような赤いレンズを解放した。
「ネオフォボスかぁ……現実でもかなりの強敵だったんだよね。変な連中だったけれど!」
 ギュン、という音と共に右から左へと光の線が走り、追って激しい爆発が戦闘員達を吹き飛ばしていく。
 更には南側道路を走り抜ける『白竜』ベネディクト・ファブニル(p3x008160)。
 ポメラニアン型のアバターボディをジャンプさせ体を丸めると、白き暴風を纏った巨大な球体へと変化。
(──この場に居るのは俺達しかいない。仮想の空間で本来は存在しない命なのだとしても、俺達にそれを守る力があるのなら戦おう!)
 戦闘員達を次々となぎ倒していく。
「そこまでにして貰おう。俺は名乗る程の者でも無い──強いていうなれば、悪に虐げられる者の味方だ」

 戦闘員が次々と倒されていく中、『センパイ』……元レッドジャスティスはおそるおそる立ち上がった。
 安全を確認すると少年を逃がし、新たに現れた戦闘員へと向き直る。
「ここは――」
「ここは私に任せてください」
 たん、と学生靴がアスファルトを踏みしめ。ふたつに結んだ髪が横風になびく。
 割り込んで立つ少女の名を、レッドジャスティスは知っていた。
 背中に見せる決意と闘志のゆらめきを、除いて。
「ニノマエちゃん、どうして……」
 振り返る瞳は眼鏡越しに、ふしぎな光を灯していた。
「どうして……ですか」
 それは自分が問いたかったことだ。どうして私なのか。どうしてこの場所なのか。どうしてあなたなのか。どうしてこんな運命なのか。
 けれど、きっと問いかけに意味なんか無い。
「私がいたなら、きっとこうなるのは必然だったんです」
 何故に意味なんてない。
 必要なのは、『どうしたいか』だけだから。
「私は――いいえ、『僕』は、きっとこうしたかった」
 眼鏡にてをかけるニノマエの背中に、キラリとひかる目に、レッドジャスティスは思わず異なる名を呼んだ。
「アル――」
「見ていてください。私の――『戦い』!」
 大空に投げ捨てた眼鏡。そのゆっくりとした回転の下で、ニノマエは戦闘員を力一杯殴り倒した。
「決意が私の、変身です!」

●「こうして再び相まみえることになろうとはな」
 ビルの建ち並ぶ風景。立体歩道への階段を駆け上がったレッドジャスティスと彼に保護された少年。それを塞ぐように空へ一閃、エネルギーの斬撃が走った。
 咄嗟に床を転がるレッドジャスティス。背後の手すりは無残にも切り裂かれ、真下の四車線道路へと転落していく。
「どこへ行こうというのだ? この街は、もはや我がネオフォボスの支配下だというのに」
 複雑にたつ美術オブジェの前へゆっくりと歩み出たのは油圧カッターとワニの力を合わせた幹部怪人油圧ワニファラオであった。
「ここは私達にまかせておきな。通りすがりのヒーローってやつを、見せてやるよ!」
 歩道橋へと翼をひろげ飛び込んできたミーナ。そこへ見開いた目に紅蓮の輝きを燃やすと、目にもとまらぬ超連撃を繰り出した。咄嗟に戦闘員数人を盾にして飛びのく油圧ワニファラオだが、そのことごとくをミーナは切り裂いていく。
 同時に駆けつけるゼロとじょーじ。
「こっちの世界でも悪事は働かせないよ! 閃電の技を見せてやる!」
 青き光りを燃え上がらせ、流星となって斬りかかるゼロ。
「復讐剣ヴァーミリオン・ロアーッ!!」
「なかなかの剣技――だが、ナイル川を実現させファラオパワーを得たオレには足りんな!」
 油圧カッターで剣を受け止める油圧ワニファラオ。拮抗する力――だが。
「足りないならば足せば良い。私たちは一人じゃあない」
 背後へ回り込んでいたじょーじのソバットキックとパンチのコンボがが油圧ワニファラオへと直撃。腰をへし折られたかのように吹き飛んだ油圧ワニファラオへ、ゼロは即座にタンクモードへ変形。
「力(ダンディ)を合わせろ!」
 じょーじはフィンガースナップを放ち、ミーナはエネルギーを込めたクナイを放った。
 そのすべてが歩道の手すりへ激突した油圧ワニファラオへ集中。爆発。そして断末魔の叫びをあげ転落していくのだった。

 一方、Ignatは主砲からビームを撃ちながら急速後退。ボディから射出した子蟹型ドローンビットが獅子の頭と大砲の腕をもつ怪人バズーカライオン大佐へと集中。一斉射撃を浴びせる。
 が、しかし!
「伝承サバンナ化計画にも成功したこの私に、雑魚狩りが通用すると思うか!」
 腕のバズーカを振り回すことでおきた衝撃波がビットを吹き飛ばし、狙いを付けた大砲から放たれたニュークリア熱線がIgnatへと直撃。Ignatの装甲が吹き飛び、ヒューマンフォームになって放り出された。
 巨大なガレージ内へと転がり込み、積み上がっていた木材を破壊する。
「ぐっ――お前の計画はオレたちが止める!」
「各々、すべき事は解っているだろう。──勝つぞ」
 入り口から入ってきたバズーカライオン大佐めがけ、ベネディクトは黄金のドラゴンブレスを放射。
 バズーカ砲の腕で防御するバズーカライオン大佐――へ、円周軌道を飛行しながら両腕から展開した魔導砲を連射してあびせるΛ。タイヤを両肩背部のホバー装置に変えたΛは器用にIgnatのもとへ移動すると、その横へと並んだ。
「三人の砲撃を合わせよう。対抗するにはそれしかない」
「小癪な――!」
 蟹光箭、魔導砲、ドラゴニックブレス。この三つが螺旋状に合わさり、バズーカライオン大佐の放つニュークリア熱線と正面から激突。拮抗した――かに思われたが、そのすべてを飲み込んでバズーカライオン大佐を爆発四散させた。

 ビルのロビーへ駆け込むレッドジャスティス。少年を奥へ逃がすと、キーを握りしめて振り返った。
「皆!! 慌てずに逃げてくれよな。ヒーローが来るまでおれ達が何とかするぜ!!」
 逃げ込んできた人々を誘導すると、ルージュは拳を握りしめてビルの外へと駆け出していく。
 同じように歩き出すレッドジャスティスの肩を掴み、ゆっくりと首を振る。
「センパイは皆さんと一緒に中へ。その身体では戦えません」
 レッドジャスティスは……青年はうつむき、そして握っていたキーをニノマエの手へと置いた。
「……センパイ?」
「そういえば、宿代を借りたままだったよな。払っておくよ」
 そっとキーを握らせる。ギザギザとしたキーの感触。何よりも覚えているその形状が、手のひらに強く、固く、そして熱く感じた。

●「このメッセージを見ているということは、キサマはおそらくワシの――」
 視界にノイズが走った。ルージュは目を瞑って頭をふり、そして愛の力を込めた拳で怪人たちを殴り倒す。太陽マッチョ会長、ドントレードシャーク、カメコトドP、花火ドッグ組長、陰陽孔雀皇帝……幹部クラスに強化された怪人たちは、力をみなぎらせたルージュを倒せるほどの存在ではなかった。なかったが……。
「一体何人幹部怪人がいるんだ! 多すぎるだろ!」
 かれこれ50体ほどの幹部怪人を倒した所でついにがくりと膝を突いた。
 頬や膝には酷い切り傷を負い、頭から流れた血は頬を伝っている。服もあちこちがボロボロにすり切れ、焦げあとや煤があちこちに残っていた。
 トン、トン……と杖をつくようにして石タイルの大地を歩く黒い鎧。
 ネオフォボス総帥、ナンイドナイトメアである。
 彼は立ち並ぶビル群のなか、模様の刻まれた石タイルの上でゆっくりと両手を広げて見せた。
「当然だ。世界を支配したこの世界線ならば、すべての怪人が幹部クラスまで強化可能。例えヒーローに倒されたとしても素体となる人間を新たに調達すれば同じレシピで怪人を作り直せる。今貴様が倒したカメコトドPなど77代目だ」
 だが……と拳を握る。
「作成した怪人はこれですべて倒されてしまったようだ。ローレット・イレギュラーズ、貴様らの戦闘力は想定の10倍以上あったようだ」
「おれたちを舐めるなよ! ローレットは――う」
 そこまで応えてから、ルージュは湧き上がる強烈な違和感に声を詰まらせた。
「ローレットは、『この世界にはありません』よ」
 ゆっくりと歩いてくるニノマエ。
 ハッとして振り返るルージュに、ニノマエは小さく頷いた。
 ニノマエは……否、彼女の『アバター主』は覚えている。
 ファルベライズ遺跡内に現れた色宝再現体ネオフォボス軍。当時その場にいたアルプスローダーの記憶を頼りに再現された彼らは、しかし再現にすぎなかった。能力も記憶も、当選知性すらなくリアクティブな幻のように当時を再現するのみ。
 だが確かに言ったのだ。
 『再び』と。
「あの時点で、アルプスローダーさんとナンイドナイトメアは一度しか出会っていません。第一、出現する順番がおかしいんです。あの人達が到着した時点で、ナンイドナイトメアは『出現していた』。作り出した誰かが、他にいたのです。その誰かから、『あなた』は知識を吹き込まれた」
 指を突きつけるニノマエ。
 星のように光る黒い瞳が、深い知性をもって輝いた。
「混沌世界のローレットが唯一取り逃がしたネオフォボス幹部――ジーニアス・ゲニー・ジェニ博士!」
「ククク……」
 ナンイドナイトメアは上ずった笑いを浮かべ――その仮面を脱ぎ捨てた。中にあったのは、水槽と脳のみである。
「ナンイドナイトメアも、ネオフォボスも、作られた存在にすぎない。異界から流れ着いた怪人ワニファラオやライオン大佐の記憶を元に作り上げた架空の組織と総帥じゃ。だが、そんなことを知ったところでもはや無意味!」
 腰の髑髏が開き、暗黒光線が放たれる。
「滅亡せよ――ナイトメアブラスト!」
「させるか!」
 飛び出してきたゼロとIgnatが装甲車の姿で盾となり光線を弾き飛ばした。
「この戦いを決めるのはより強い闘志! ナンイドナイトメア、お前は強い……だが認め、敬うわけにはいかないんだ!」
「ここが勝負所だ! 全ての力を集めよう! FIRE IN THE HOLE!」
 はるか空から高速飛行してきたΛとミーナが同時にナンイドナイトメアへと急接近。
「ヒーローは空からやってくる、ってな」
「盛者必衰、悪の栄えたためし無し 此処からがスーパーヒーロータイムだよ」
 紅蓮の魔力が燃え上がったミーナの刀と、腕から魔法の剣をはやしたΛの斬撃が交差。
「いよいよか、秘密結社ネオフォボス!お前達の野望は今日此処で打ち砕く!」
「私はダンディなのでよく知っているのだよ、誰かを救うヒーローになるには、この両足で立っていなければならぬと。
 未知の力で状況をひっくり返される時こそ、私は力を振るい、敗北に絶縁状を叩きつけるのだ!
 不屈のダンディヒーローになるぞ、諸君!」
 更にベネディクト肩に抱えたじょーじが現れ、指を鳴らしダンディズムサークル(紳士魔方陣)を生成。サークルを突き抜ける形で放たれたドラゴニックブレスが金髪の騎士と槍の姿をとってナンイドナイトメアを貫いた。
 大爆発を起こし消滅するナンイドナイトメア――の周囲に走る激しいノイズ。
 気がつけば、新たに五体のナンイドナイトメアが現れていた。
「なっ……!?」
 色の異なるマントを装備しているが、発するプレッシャーは全く同じ。
「あなたは……もはや自分すらも……」
 一斉に身構えるイレギュラーズたち。
 だが、ナンイドナイトメアはゆっくりと拍手をするのみだった。
「褒めてやろう。フォボスローダーのみならず、フォボスシティのナンイドナイトメアまでもを倒せるとは、な」
 手をかざし、闇のゲートを作り出すナンイドナイトメアたち。
「待ちなさい!」
 ニノマエが弓をひくが、止まることはない。
「また会おう。どこかで、な」
 ナンイドナイトメアたちはゲートに包まれると、その姿を消してしまった。
 直後世界に激しいノイズが走り、風景が切り替わる。
 中世ヨーロッパに似た町並み。間違いない。伝承首都郊外の町並みだ。

「ニノマエちゃん」
 声がして振り返る。そこには赤いジャケットの男――レッドジャスティスが立っていた。
 いや……その姿はまるで古いブラウン管テレビ映像のように荒く、そして砂嵐のようなノイズがかかっていた。
「どんな世界にも悪はある。けれど同時に、悪と戦う心もある。『その力』は君に預けるよ」
 指をさす。ニノマエの握りしめた手の中だ。開いてみると、握っていた筈のキーは黒縁のまるい眼鏡に変わっていた。
「また、一緒に走ろうな」
 レッドジャスティスは笑って、そして。
 この世界から消えた。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

一(p3x000034)[死亡]
黒縁眼鏡の

あとがき

 ――クエスト完了
 ――ROO内に囚われていた天女目(なばため)研究員の意識が回復しました

 ――ネオフォボスシティは消滅しました
 ――レッドジャスティスは消滅しました

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