PandoraPartyProject

シナリオ詳細

このあと滅茶苦茶メイド服した

完了

参加者 : 6 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●これまでのあらすじ!(お好きなBGMでどうぞ)
「くっ、興味本位で前人未踏のダンジョン『メイドインメイド』に挑んだ私達だったけど突如現れたモンスターAKIBAゾンビたちに大苦戦しているわというのも私ことイーリン・ジョーンズ (p3p000854)の最大火力を与えてもびくともしないだけでなくリュコス・L08・ウェルロフ (p3p008529)のハイスピードウルフズアタックも橋場・ステラ (p3p008617)のロケットランチャー水平撃ちも夜式・十七号 (p3p008363)のスーパードラゴンブローも蓮杖 綾姫 (p3p008658)の斬星剣乱れ斬りも澄恋 (p3p009412)のブライダルデンプシーロールもまるでダメージを与えられている気がしないのよこんな敵は初めてだわ!」
 これま――ハッ、全部言われてる!
 イーリンは虚空に向かって『言ってやったわ』とニヒルに笑うと、なぜかもう既にボロボロになった身体をゆっくりと立ち上げた。ロボアニメだったらズッキャヴーンみたいな効果音がつくくらいゆっくりと。
「残念ながら、私の魔力もすべて尽きてしまったわ。今回の戦いで百八のインスピレーションが浮かんでいたけど、さっきの高速カバディ作戦が最後よ」
 ステラがリュコスに肩を貸しながら、よろよろと立ち上がる。
「私も、用意しておいたロケランの弾はさっきのが最後です。ここからはひたすら空っぽのランチャーを振り回すくらいしか……」
「Urrr……」
 その横では、十七号(かなぎ)が倒れた綾姫を揺すっていた。
「大変だ! 綾姫が息をしていない! しっかりするんだ! 目を開けろ!」
「うっ……」
 ぷるぷるしながらうっすら目をあける綾姫。
「剣……入り口に置き忘れ……ぐふっ」
「綾姫ーーーーーーーー!」
「これは剣欠乏症! なんか刃物状のものを持っていれば大体OKな綾姫さんから空港の手荷物検査並の精度で刃物奪ったらどうなるのか気にはなっていましたがまさかこれほどとは……!」
 額に流れた汗を拭う澄恋。
「これは絶体絶命のピンチ。わたしも旦那様がなければどうなっていた……か……」
 懐からスッと取り出す旦那様パーツ――と思ったら、木彫りの弥勒菩薩だった。
 残るパーツも取り出してみたけど不動明王と阿弥陀如来だった。
 血ぃ吹いてぶっ倒れる澄恋。
「わたしも入り口に置いてきぐふーーーー!」
「澄恋ーーーーーーーー!」
「このままじゃ……」
 ちょっぴり不安げな顔をするリュコス。AKIBAゾンビたちはうーあうーあ言いながらゆーっくり迫る。そんな中。
「まだ諦めるには早いぞい!」
 突然後ろで声がした。
「「その声は!」」
 一斉に振り返るダンジョンガールズ。
 瓶底眼鏡に白衣を着て胸に『メイド』って書いてあるひとが、ビッと親指を立てた。
「そやつらはAKIBAゾンビ。メイド服によって生み出されるメイド力でのみ倒せる特別なモンスターなのじゃ! 世界中のありとあらゆるメイド服となんか丁度良いロケーションを用意したぞい! これを使ってAKIBAゾンビを倒すのじゃ!」
「「メイド博士!」」

 ――以上、前振りである。

 さあ始まりました令和最大のメイドまつり!
 あらゆる背景セットや小道具そしてありとあらゆるメイド服が揃えられたこの戦場でメイド力を繰り出しピンチを脱するのだ!
 メイド力とは皆も知っての通りメイド服を着たガールをほらツイに上げるとイイネがつくじゃんあれみたいに心のイイネをゲットするメイドフォームやメイドムーブまたはメイド台詞を繰り出すことで発生するうちゅうエネルギーである!
 さあ、部隊は整い理由も完璧。仲間と自分を守るためそして未踏のダンジョンを踏破するため、もはやメイド服を着て心のイイネをぶちあげるほかないこの状況。レジェンドを、作り出そうぜ!

GMコメント

 ご用命ありがとうございます。
 このオープニングは皆さんによる全力のメイドムーブが見たいためだけの約二千字使った前振りなんだからねっ、か、勘違いしないでよねっ!

 ルールは簡単。
1.メイド服を着る。
2.なんか都合良くいる相手にメイドムーブをする(寝てる主人を起こしたりご飯を作ってあげたり行ってらっしゃいしたり帰りを出迎えたりお庭でお茶したり)
3.相手は死ぬ
 です。

 相手はとにかくメイドムーブのためなら都合良く演技(?)に付き合うので深く考えずに最高のメイドムーブをご演出ください。

 皆さんがいるフロアは2~3人くらい入れるカーテン式試着室(更衣室?)とハンガーに大量にかかった世界中のありとあらゆる種類のメイド服と小道具とセットが並ぶ謎のフロアであります。
 AKIBAゾンビはぱっとみ普通の人間とあんまかわんない、ちょっと血色悪いくらいのモンスターです。詳しい設定を考える時間が惜しいし早くみんなのメイドムーブみたいからこのへんでいいですか? AKIBAゾンビの皆さんはフロアの端っこの控え室で待っていて頂いて、あ、はいそうです用があったら都合良く出てきて頂いて、はい、ありがとうございます!

●相談という名のリクエスト合戦
 〇〇のこういうメイドムーブ見てみたいな!
 〇〇はこのタイプのメイド服着たらいいとおもう!
 という射撃をとばしあうことで互いの欲望に素直になりましょう。
 『しかたないんだからね、敵を倒すために仕方なく応えてあげるんだから勘違いしないでよねっ!』という気持ちで行きましょう行きませんか。
 私としてはそうですたいした希望は全然ないんですが強いて?しいていうなら?一旦?オーソドックスなメイドムーブが見てみたいですねステラさんの真面目でちょっと親身な友達みたいなメイドがいたら人生楽しそうだしイーリンさんがメイドになってちょっとからかわれたりしながら寝起きしたい人生だし十七号さんに生活を管理される来世のために徳を積みたいしリュコスメイドにいじらしく接してもらえたら億は惜しくないし綾姫さんが切り分けたステーキあーんされるチケットのために鉄骨渡りたいし澄恋メイドがしずしず後をついてくるVRビデオを百年まってます。よろしくおねがいします!!!!

  • このあと滅茶苦茶メイド服した完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年06月25日 22時05分
  • 参加人数6/6人
  • 相談8日
  • 参加費---RC

参加者 : 6 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(6人)

イーリン・ジョーンズ(p3p000854)
流星の少女
夜式・十七号(p3p008363)
蒼き燕
リュコス・L08・ウェルロフ(p3p008529)
神殺し
橋場・ステラ(p3p008617)
夜を裂く星
蓮杖 綾姫(p3p008658)
悲嘆の呪いを知りし者
耀 澄恋(p3p009412)
六道の底からあなたを想う

リプレイ

●メイド服を着ることを、強いられているんだ!
「くっ……!」
 がくりと膝をつく『蒼き燕』夜式・十七号(p3p008363)。彼女ほど頑強なファイターが膝を突くことは、それだけの窮地を意味した。
「まさかこんな強敵が現れるとは……」
「――か」
「はっ、何か聞こえる……」
「――が欲しいか?」
 タイミングよく脳内に響いた声に、十七号はハッと顔をあげた。
「メイド服が欲しいか?」
「なんだって?」
 後ろから肩をぽんと叩いたメイド博士がめちゃ彫りの深い満面の笑みで言った。
「このピンチをのりこえるため……。みんなのため……。
 ぼく、メイドになるよ……!」
 隣では『うそつき』リュコス・L08・ウェルロフ(p3p008529)が決意に満ちた目でたちあがり、ぎゅっと試着室のレンタル札を握りしめた。
「なんだって?」
 まだ状況についていけない十七号をよそに、わっふーとかいいながら試着室に走って行くリュコス。よせリュコスたんはそんなこと言わない。

「どうしてこんなことに……」
 『花盾』橋場・ステラ(p3p008617)はげんなり顔をしながらも『敵を倒すためなら仕方ありませんね』といってハンガーにかかった沢山のメイド服を端から順にぱらぱらとめくっていく。
 同じクラシカルでも微妙に差異があり、そのバリエーションは非常に豊かだ。メイド服専門家でもそのすべてを言葉で説明しきれないとされ、まだ研究途上の学問であることがうかがえる。まってメイド服学ってなに。メイド博士ってなに。
「メイド服とは古来余った布から作られた粗末な服と定義されたが娯楽性および主人の気品を現すインテリアとしての価値が求められ近年では娯楽性の発展と特化により――」
「せいっ!」
 長々語ろうとしたメイド博士の後頭部を手刀でガッとやって眠らせると、ステラは数あるメイド服の中から和風メイド大正モチーフのものをひょいっと取り上げた。
 とりあげたそのスキマから。
「くっ、私の斬星剣乱れ斬りすら通じないだなんて……」
 抜いた小刀のはらにほっぺをぺたぺた付けたり離したりしながら目を瞑るヤベーやつが見えた。
 『断ち斬りの』蓮杖 綾姫(p3p008658)だった。
「極めて不本意ですが、ここは生き残りゾンビをなんとかするためにも……メイドになるしかなさそうですねっ」
 ほっぺに刃物くっつけながら開く目には、スカートが短く胸元の開いたフレンチメイド服でうさ耳と革コルセットのついた控えめに言ってえちえちなコスチュームで挨拶させられるある日の綾姫の姿がみえた。
「あの日の失敗(?)は繰り返しません! どうせまたピンにされるんです! ならばここは正統派のォ――!」
 立ち上がり振り返る綾姫。
 正統派ってかかれた棚に百種類くらいのメイド服がかかっていた。
 その2割くらいは中世貴族の変態性質と闇が見えるデザインだった。
「けっふ!?」
 秒で吐血した。

「現代のように英智動画(隠語)のなかった時代メイドは世話係とは別に英智目的で雇われた存在も決して少なくないのじゃ。中でも歴史に名高いのはアメリカの英智雑誌プレイボ――」
 『花嫁キャノン』澄恋(p3p009412)の乙女チョップで白目剥いて倒れたメイド博士を、澄恋はロッカーへと引きずっていった。
「うぅ、旦那様……今まで半径30cm以内から離れたことなかったのに……今度は落とさないようにあの螺旋状のびよーんってのびるリードをキーホルダーみたいにつけておきましょう。これなら旦那様右腕がひとりでに動き出しても安心してお散歩が楽しめますしね!」
 そう言いながらハンガーラックから取り出したのはそう和風コーナーのゴスメイド。
 花嫁キャラとしてコスチュームが定着しつつある澄恋んも新たなジャンルが書いた暮れる瞬間であった。

「みんな……やる気ね……」
「『人』は努力と根性を実らせることで『火』となり、二人合わせると『炎』となる。そしてメイド服を着るとなんやかんやあって『燃(萌)』となるのじゃ」
 ゆけいイーリンよ! とかいいながら明日を指さすメイド博士に回し蹴りをいれてから、『天才になれなかった女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)はすーはーと深呼吸をした。
「まさかここまでやって駄目とはね……。
 死を覚悟すべきなんでしょう、けど。
 『死ぬのだけは、死んでもゴメンよ』――」
 決め台詞をキメてから、メイド服のチャイナコーナーにガッと手を突っ込んだ。

●メイド旋風を巻き起こせ
「お待たせしましたァ! 全国七百億人のメイドファンの皆様ァ! 今宵お届けする六人のメイドたちの紹介だァァン!」
 マイクを握りしめたメイド博士。あたるスポットライトは試着室第一番。
 試着室内からもライトがあたっているのか、腰に片手を当てなにか四角いものをトレーのように持ったシルエットがカーテンへと映し出される。
「メイドナンバー一番ン――チャイナメイド司ィ書ォォォ!」
 開かれたカーテン。まず映し出されたのはしなやかで健康的な脚線美。裾の長いチャイナドレスはしかし深く刻まれたスリットによって股の付け根が露わとなった。ボディラインを強調するかのようなチャイナドレス上半真の布地はどこか煌めいた加工がなされ、長い紫髪は二つにまとめたシニヨンをあのなんていうの弟子のつけてたドアノブカバーみたいなやつ(シニヨンカバーっていうよ)に包まれまるでパンダの耳のように可愛く整えられている。
 頭につけるふわふわしたカチューシャみたいなやつ(ヘッドドレス)とエプロンでシルエットを整え黒いニーソックにより明暗をわけるもはや魔術的なコーディネイト。オプションとして手のひらにのせた蒸し器のなかにはがっつりと冒険道具が詰まっている機能性も魅力だ。
 きりっとしたきれのある目元と瞳の光は性格の鋭さとどこか危うさを感じさせ瞳一つで男心をくするぐぞ!
「さあ続きましては十七号、ステラ、澄恋の三人による和風メイド三連星! 同じ和風と侮るなかれ、見よォ!」
 一斉に開いたカーテンから現れた三人。
 それぞれメイド服といえどその柄からして違いは一目瞭然。
 十七号の矢絣模様の上着と袴による服装は日本ならでは。余談だけどこれを制服にしたピザ専門チェーンがあるし行くとついつい目でおっちゃうぞ。『べ、べつに俺はピザ食いに来ただけだしぃ?』みたいな態度でチラチラ見るぞ。
 シンプルに整えられたその服装は紫リボンのポニーテールとハーフエプロンによって味付けされ、クールな十七号の風情を存分に楽しむことができる。
 一方でステラはカフェ風大正メイド服。シルエットからして異なるのはこれが料亭とかで見るような和服にフリルエプロンという組み合わせであることである。古く大正時代銀座のカフェで流行したというこのファッションは時代の象徴であると同時に羨望の的でもあったのだ。それを金髪オッドアイのステラが着込むというこのミックスに、眠れる祖霊の魂が震えることだろう。
 そして澄恋は大きく変わって和風ゴスメイド。太古の昔より伝わる和ゴスの風情にメイドの型やスカートのフリルをあわせたスタイルは動くだけでその広い袖とスカートがなびき、澄恋必殺の鈴首輪の音色とむき出しの膝が魂を掴んで離さない。そうこれがほんとの意味でのクールジャパン。未来に生きてる人種のコスである。
 もちろん彼女たちを激しく俯瞰で見ようとすれば……。
「光あれ!!!!!!!!!!!」
 不自然にさした白い光がスカートの中身を遮り、そしてメイド博士の顔面と一眼レフカメラは踏み砕かれるのである。



「さあお次はメイド服オールドファッション、メイド服ブーム原点にして頂点、クラシカルメイドの二人だァ!」
 血ぃ流したメイド博士が叫ぶと、リュコスと綾姫が猫っぽいシンメトリーポーズで現れた。
 黒いロングスカートにエプロン。
 小柄なリュコスが着込んだこの服装には精神的な豊かさと幼さゆえのけなげさが詰まっていた。
「いつもおつかれさま、ごしゅじんさま!」
 この一言で血を吐いて死んだAKIBAゾンビの数たるや。
 一方の綾姫は編み上げブーツとホワイトプリムを丁寧に着こなし、伊達眼鏡を装着したクールなメイド。太い三つ編みを一本肩からさげ白絹の手袋をはめた姿は何をモチーフにしたものか。丁寧にスカートの端をつまんで例をする姿に、ロールプレイ開始前から無数のAKIBAゾンビたちが鼻から血を吹いて死んだ。
 メイド達は試着室から歩み出ると、それぞれの道具を手にAKIBAゾンビへと挑みかかる。すべては勝利のため。あと絵的な美味しさのため!



●メイド服全身図ブームはオリンピックみたく数年おきにくる
 雀が鳴いている。レースカーテンの開く音と光に呼吸すると、コーヒーと焼いたパンの香りがした。
 光を遮ろうと引き寄せた毛布を強引に引っ張られ、振り返ると矢絣模様の上着をきた十七号メイドが見下ろしていた。
「もう少し、は無駄だぞ。早くそこから出ろ、ご主人サマ」
 眠い目を擦って起き上がれば朝食ができあがっていた。
「……なに? あーんを所望だと? 仕方ないご主人サマだ」
 やれやれといった顔で、十七号はサンドイッチを突き出してくる。
 そんな彼女に甘えた朝を越え、仕事を済ませ家に帰れば――。
「風呂にするか? 食事にするか? それとも……ふ。冗談だ」
 出迎える無表情に、ふっとさす微笑み。
 優雅な時間を過ごし、夜はベッドに腰掛けた十七号の膝を枕に寝転がる。ゆっくりとやさしく肩を叩く十七号に、目は閉ざされていく。

 ハイ死んだいまAKIBAゾンビ百人くらい死んだよ! もしかしたら百億人かもしれない! ええいこんなゾンビ映してる場合じゃねえ!

「いらっしゃいませー、ってアナタでしたか。いつもの席へどうぞ?」
 大正銀座のエプロンドレス。和服の裾をなおしていたステラが丸い銀のトレー片手に振り返る。
 夕方、窓ガラスに茜色のさす喫茶店。つやのある木製のアンティークテーブルにつくと、ステラが革張りのメニューボードをもってやってくる。
 注文したコーヒーが出てくるまでの間、彼女はテーブルのそばに立っていた。特別な理由はない。日頃の雑談を交わすだけだ。まるで友達のように、もしくは……。
「どうしました? 何だか元気がないようですが」
 トレーを胸に抱いてテーブルに身を乗り出すステラ。
 距離の近づきにドキッとする顔に、どうやら安堵したらしいステラはオッドアイの目を細めて笑った。
「ん、よかった。いつも通りですね」

 ハイまたゾンビ死んだよ百人か百億人! ええいゾンビはいいメイドを、綾姫メイドを映せ!

 街灯明滅。夜道をゆく。アスファルトの足音は自分と、斜め後ろをしずしずと歩く綾姫メイドのものだけ。
 どこか遠くで犬が鳴いている。ブロック塀に挟まれた静かな十字路に、不意にコートの男が現れた。
 待ち伏せていたのか。懐から抜いたピストルの銃口がこちらを向く。
 あわや――と思われたその時。
「旦那様、後ろへ」
 まるで通り過ぎるヘッドライトにできた影のように、綾姫は素早く前へと飛び出すとスカートの下から小指で滑り出したカランビットナイフを回し握り混む。相手のトリガーがひかれるよりも早く銃身をはねあげ、銃声がした頃には相手の脇腹と首筋を切り裂いていた。
 更に現れる数人のヒットマン。しかし持っていた傘に仕込んでいたアサルトライフルによる連射とスカートの下から落とし足で蹴り転がした手榴弾がヒットマンたちを爆殺。最後にブーツから伸びた仕込みナイフがヒットマンの側頭部を刺した。
 すべての敵が倒れた後で、綾姫は乱れた前髪を指でスッと整え、こちらへと振り向いた。
「旦那様に害なすものは私が排除いたします」

 ハイゾン百! 百億! 澄恋は!? 澄恋メイドは!?

「ご主人様の相手はこのすみゃれが担当致します!」
 ツノのはえた和ゴスのメイド、澄恋(すみゃれ)。
 執務室のデスク脇に現れた澄恋は手をくいっと招き猫のようにすると首をかしげた。転がる首の鈴。
「よ……よろしくお願いします、にゃ!」
 ツノのすこし奥にふかふかと揺れる白い猫耳とフリルカチューシャ。そっと手を伸ばすとぺいっと招き猫ハンドで払いのけた。
「角へのお触りは禁止にゃあ!」
 もうっ! と頬を膨らませつつもそばについてくれる澄恋。
 仕事に疲れぐったりとしていると、澄恋はソファに座って膝を叩いた。
「どうぞ。耳掻きしますにゃ。しじみ汁飲みますにゃ?」
 にゃんにゃんいいながら膝に頭をのっけると、耳かきの綿部分でくすぐってくる。
 そう、そんな時間が――。

 ゾン百億!

「これ、服がちょっと大きくて動きづらいな…ひらひらしてるのもちょっとどきどきかも? 転ばないようにしないと……わっ」
 リュコスメイドはぶかぶかの裾をふんですてーんと転んだ。
 長い絨毯のしかれた窓際の廊下。窓枠の形に光のおちた絨毯にリンゴが転がり、それを拾いあげるとリュコスは慌てて立ち上がった。ぺしぺしとエプロンドレスをはらい、頭を深くさげる。
 頭をあげ、えへへと笑うリュコス。
「みてみて! ぼく、すごくメイドでしょ?」
 ぶかぶかなスカートの両端をつまんで回ってみせるリュコスの無邪気さに、シチューをフーフーしてくれる姿に、庭を一緒に歩く姿に、夕方ベランダで並ぶ横顔に、ベッド脇で頭を撫でようと手を伸ばすさまに。
 はい、皆さん、ご一緒に――!

 \\ゾン百億//

 そんな彼女たちのトリを務めますのはイーリンメイド長。
 蝋燭揺れる執務室。アンティークの並ぶそれ自体が高い価値を持つ棚にやわらかくはたきをかけるさまがあった。
 無表情に職務をこなす彼女は、そのセクシーなボディとコスチュームとは裏腹に、じっと見つめるこちらへキッと鋭い視線を向ける。
「ちょっとご主人さま! いつまでぼうっとしているんですか。ちゃんとお風呂に入って身だしなみを整えてくださいまし!」
 気圧されてお風呂へ向かおうとすると、ぱたぱたとリュコスや他のメイドたちが駆けてくる。
「Uhー!ご主人さまはぼくのなのー!
 ご主人さまはぼくがいいよね?」
 腕にすがりついて見上げるリュコス。どう応えようか迷っていると、背後から強く踏む足音がした。
 慌てて振り返ると包丁を両手で握るイーリンの姿。
「私以外を、熱い目で見ました?」
 フゥーヤレヤレ、素っ気ない態度をとるくせにいざ目をそらすと怒るんだもんな。分かってるぜイーリンメイド長。
 みたいな気持ちが湧き出た所へ、メイド達がお屋敷の部屋に並び、それぞれの片手を合わせて三つのハートを作った。
「御夕食の準備ができましたよ」
「さあ、めいどの皆様で一緒に!」
「「美味しくなぁれっ もえもえきゅんっ!」」

 さあいよいよ最後となりました。
 皆様感無量の一言で締めましょう。
 せーの!

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 \\ゾン百億//

 AKIBAゾンビが六百~六百億体ほど倒されました。世界は平和になり空に虹が架かりすべての病が完治し貧困と差別はなくなり戦争をやめ水道からみかんジュースが出ました。心の中では。

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