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シナリオ詳細

脱猫の牙は人を滅す

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●脱猫の牙は人を滅す
『……ヒヒ。ああ、今日もいい天気だなぁ!!』
 ニヤリと笑みを浮かべるのは、数匹の者達。
 その頭には耳の様なものがついており、指先からも鋭い爪が伸びていて……彼らが人ではないのは明らか。
『ああ! んじゃあ今日も暴れようぜ! 俺達は最強だからなぁ!』
『だなぁ! ま、ふざけた奴らを殺すのは、俺達の仕事だもんなぁ!!』
 笑い合う彼らは、ここ……鉄帝国北部のヴィーザル地方、大森林地帯北部に住まう猫獣人族『カシヤノフ』一族。
 しなやかな身のこなしと、その手に持つ小振りのコンバットナイフで素早く敵の懐に潜り込み、一撃必殺の致命傷を叩き込んで、直ぐに身を隠すという……ヒットアンドアウェイの戦法を得意とする戦闘民族。
 一応『シルヴァンス』の一派を名乗っている様だが……実質独立愚連隊の動きをし、自分達の私利私欲や義憤を満たす為に、大森林地帯の村や町を次々と襲っていた。
 そんな彼らの次なるターゲットが……目の前を通る。
 厳しい環境の村や町を繋ぐ、交易の商人旅団。
 彼らを襲えば、大量の食料、資材、金が手に入る。
 それに村や町を襲うより、防備は手薄……彼らにとって、手頃に襲える相手。
『んじゃまぁ、始めますかねぇ!!』
『おう、いったろうぜぇ!!』
 威勢よく叫んだ彼らは、永久氷樹の森から飛び出し……瞬く間のヒットアンドアウェイの動きで、交易旅団を滅ぼしていった。


「……あ、来てくれたです? イレギュラーズの皆さん!」
 にこっ、と振り返るユリーカ。
 依頼を受けてきた、と言うと、ありがとうなのです、と言いながら、君達を集合場所へと連れて行く。
 そして、皆が集まった所で、早速。
「えーっと、今日イレギュラーズの皆さんに集まって貰ったのは他でもないのです! 北国鉄帝北部のヴィーザル地方で、また極悪非道なノーザンキングスの輩が現れてしまったのです!」
「彼らは北部の大森林地帯に生息する猫獣人族『カシヤノフ』一族なのですが、こいつら中々厄介な戦闘民族な様なのです」
「主たる武器は小振りの短剣である『コンバットナイフ』なのですが、その軽い身のこなしを活かして、ヒットアンドアウェイの動きで次々と敵を殺していく、まるで暗殺者の様な者達の集まりなのです!」
「それに加え、数匹ではある様なのですが、炎の魔法と回復魔法を使える奴も居る様なのです! この魔法使い達もコンバットナイフの扱いは得意な様で、近づいただけではその役割が分からない、といった面倒臭い奴らの集まりなのです!!」
「こんな面倒なノーザン・キングスの奴らがのさばる大森林地帯じゃ、周りの人達も安心して暮らせないのです。皆さんの力で安心安全な大森林地帯を取り戻してきて欲しいのですよ!!」
 目をキラキラさせるユリーカに肩を叩かれた君達は……早速北方へと向かうのであった。

GMコメント

 皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)です。
 今回はノーザンキングスでの討伐依頼ですが……軽戦士&魔法戦士な組み合わせな相手です。

 ●成功条件
   ノーザンキングス『シルヴァンス』の一派、『カシヤノフ』一族の掃討です。

 ●情報精度
   このシナリオの情報精度はAです。
   想定外の事態は絶対に起こりません。

 ●周りの状況
   舞台となるのはノーザンキングス北方、大森林地帯です。
   周囲には永久氷樹が広がり、夏間近と言えどもまだまだかなり寒いトコロで、足元には多少ではありますがまだ雪が残っています。
   敵は基本的に氷樹の中に姿を隠しており、ヒットアンドアウェイの攻撃時のみ姿を現わしますので、出て来た瞬間を狙うか、出て来た所を足止めして、隠れさせないようにする必要があります。

 ●討伐目標
   ・『カシヤノフ』一族 x 20匹
     猫獣人族の者達で、しなやかかつ素早い動きをする者達です。
     基本的な動きはヒットアンドアウェイで、近接すると共にコンバットナイフで致命傷になりうる箇所を一突き、そして直ぐに離れる……という攻撃手法となります。
     また20匹の内4匹は魔法を扱う能力を持っており、至近距離で火の玉を爆発させる魔法(炎魔法・近接範囲)と、仲間の回復(遠距離)が使用可能です。
     ただこの4匹は、他の仲間達と同様近接戦の能力も持ち合わせているので、簡単に見分けはつきませんので、ご注意下さい。

   それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。

  • 脱猫の牙は人を滅す完了
  • GM名緋月燕
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年06月27日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

リュカシス・ドーグドーグ・サリーシュガー(p3p000371)
無敵鉄板暴牛
イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)
黒撃
マッチョ ☆ プリン(p3p008503)
彼女(ほし)を掴めば
ウルフィン ウルフ ロック(p3p009191)
復讐の炎
黒水・奈々美(p3p009198)
パープルハート
エーレン・キリエ(p3p009844)
特異運命座標
フィリーネ=ヴァレンティーヌ(p3p009867)
百合花の騎士
ルシア・アイリス・アップルトン(p3p009869)
開幕を告げる星

リプレイ

●猫は喰らう
 鉄帝北部に渡り広がるヴィーザル地方。
 その一部には、森が広がる大森林地帯が存在し、この時期と言えどもまだまだ残雪が残り、厳しい生活は変わらず続いている。
 だが……そんな厳しい生活に、更に吹き付ける侵略者の牙。
「今度のシルヴァンスはネコかぁ……こないだはイヌの部族だったし、どこかの部族を叩くとまた別のが出てくるネ……」
 たまらずぼやくは、幾度となくこの大森林地帯へと赴き、困った部族達の討伐を続けている『業壊掌』イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)。
 更には『無敵鉄板暴牛』リュカシス・ドーグドーグ・サリーシュガー(p3p000371っと『甘い筋肉』マッチョ ☆ プリン(p3p008503))の二人も。
「そうデスネ。カシヤノフ一族かぁ……その特技を活かして、もっと違う道もあっただろうに。悪事に活かして、あまりにもたくさん人を害したものですね……」
「ウム--マタシテモ、コノ手ノ輩カ。マッチョ☆プリンガ略奪者……特二食料『プリン』ヲ奪ウ者ト出逢ウノハコレガ初メテデハナイガ、ナント、嘆カワシイ……!」
「プリン……? あ、まぁ確かに食料の中にははいっているかもだけど……でもまぁ、人の物を力尽くに奪っていい訳なんて無いよ。だから、皆で力を合わせて、絶対にちましょう!」
「アア。欲シイナラ、素直二オ願イスルベキダッタモノヲ……オ灸ヲ据エテヤルゾ!!」
 ぐぐっと拳を握りしめるマッチョの並々ならぬ思いに、ちょっと圧倒されて苦笑いを浮かべるしかないリュカシス。
 勿論今回の依頼はプリンを奪うネコから守ってきて欲しい……という訳ではない。
 この辺りに住まう人々の生活を支える交易の商隊へと襲いかかり、食料、資材……何処其れ構わず、全ての物を力尽くで奪い去って行ってしまうという、義賊でも何でもない、自分達の利しか考えて居ないような奴らなのだ。
 ……まぁ、総じてノーザンキングスに与する物は、そういう傾向がかなり多い、というのもあるけれど。
「でも……猫獣人……なんですよねぇ……? ううぅ……猫が本気で人間を襲うと、人間なんかひとたまりもないって言われて居るけれど……ナイフと魔法なんて使えるときたら、もう厄介極まりないわね……」
 おずおずとした『パープルハート』黒水・奈々美(p3p009198)が怯えるような一言を吐くと、それに『百合花の騎士』フィリーネ=ヴァレンティーヌ(p3p009867)と『にじいろ一番星』ルシア・アイリス・アップルトン(p3p009869)の二人も。
「ええ。猫獣人族は戦闘民族だ、と聞きますわね。人を襲うのは、彼らにとって狩猟の感覚なのでしょうか……その種族文化を否定するつもりはありませんけれど、周辺への影響を考えると、放置はしておけませんわね?」」
「そうかもしれませんの。でも……またこんな感じのパターンなのですよーー!? こういうのは前回で終わって欲しかったのでしてーー!!」
 つい半月程前には、ここではないものの……厳しい北海の海に出てくるノーザンキングスを倒したルシア。
 彼女の憂いが、ノーザンキングスの者達に届くことは……まぁ無いだろう。
 だが、そんな彼女の憂いに、奈々美も。
「本当……あ、あたし……ドンくさいから……真っ先にサクッてやられちゃうかも……ひぃ……」
 明らかに嫌悪の表情を浮かべると、そんな彼女の表情にルシアが。
「え、あ……き、きっと大丈夫なのでしてー! ほら、嘆いていても何も変わりませんし、とりあえずルシア達で何とかするのですよ!」
 ニコニコ笑顔で、奈々美を元気付けるルシア、そしてフィリーネも。
「そうですわね。カシヤノフ達はやりすぎたようですわ。わたくし達でオシオキする必要がありますわね」
 と彼女を励ます。
 そして、『特異運命座標』エーレン・キリエ(p3p009844)が。
「しかしカシヤノフ一族、なあ……ともあれ、ふざけた強盗の真似事は早々に仕置きせねばならん。世界情勢にはまだ不勉強ながらも、無辜の民間人を襲うのは捨ておけない。被害が続け場、交易も寄りつかなくなってしまうだろうからな」
 と言うと、ウルフィン ウルフ ロック(p3p009191)は。
「そうだな! こいつらは最強を名乗っている様だが、最強の名がどれほど重い物かを知らしめてやらねばならんだろう! 鉄帝は強い者が正義……ならば力比べで勝利した方が正義! 死んでも文句は言えぬぞ? どんな死に方だったとしてもな!」
「そうだな……そういやつかぬ事を思ったのだが……猫獣人はオス、というか……男なんだよな?」
「ん? ……さぁな。オスもメスもいるんじゃないか? どうしてそんな事を?」
「いや……俺の故郷では、獣人は女しかいないもんでな……男がいるとなると、ちょっと戸惑いがあってな」
 エーレンの言葉に首を傾げるロック。
「いや、気にしないでくれていい……ほら、行こう」
 とエーレンは仲間達を促し、猫獣人達が現れるという、大森林地帯へと急ぐのであった。

●猫の牙
 そして未だ雪を踏みしめながら、大森林が広がるシルヴァンス地方へと辿り着くイレギュラーズ。
 鬱蒼と生い茂る森の辺りはまだ雪も深く、軽く足首位までは埋もれてしまう程……勿論、寒い。
「これは中々雪深いなー……でも、こんな事もあろうかと、こんなの用意してきたんだよ!」
 二コッ、と笑みを浮かべたリュカシスの手には、鎖爪かんじき。
 それを鉄靴に頑丈にくくりつけて、雪の上でも充分に歩けるように細工。
 まあエーレンはロープをそれぞれの足に間隔を空けて結わえる事で、それを滑り止めにする細工を行う。
 他に背中にジェットパックを背負う事で対処しようとしたり……と、各々の滑りにくい対処方法を取りつつ、更に森を掻き分け奥地の方へと向かって行くと……氷漬けにされた氷樹地帯へ。
「ここの……あたりカナ?」
 ぐるりと周囲を見渡すイグナート。
 そしてロックが。
「良し、んじゃ前線に我とプリン、エーレンの三人で行くぞ?」
「了解! ユクゾ! オレニツイテ来イ!」」
 サムズアップで応えるプリン。
 三人が目立つ形で、氷樹地帯の間に毅然と立つ。
 ……そして。
「さぁ! 出てこい猫共! それとも尻尾を巻いて逃げ隠れるか!? 最強の名を見せて見ろ!!」
 とロックが辺り一面に響くような咆吼を上げる。
 その咆吼に氷樹の凍りが一部砕け、風に流され……まるでダイヤモンドダストの様な光景が広がる。
 ……だが、その咆吼に対する反応は……無い。
 本当にここにいるのか、と一部不安に思ったのだが、氷樹の一角で、僅かにささめきの具合が違う所を発見。
『……!』
『……ッ! ……やるぜ……!』
 かなり遠いので、殆ど言葉は判別出来なかったが……言いあっているような、そんな感じに聞こえる。
 そんな声の方向に気づいたルシア。
「……あっちのようでして!」
 と言いながら、仲間達の上方へと飛行し、手近な氷樹の上へ。
 そしてぐるりと一面を再度見渡し……更に木のさざめく域を割り出す。
「5時の方向なのですよ!」
 と仲間達に方向を指示すると、それに頷き、イレギュラーズ達は陣を組んで、一気にその方角へと駆ける。
 森の中なので視界は悪いが、敢てこちらが大きな音を立てる事で、彼らに仕掛けやすいように誘導の狙い。
 ……その狙いにまんまと引っかかったカシヤノフ一族は。
『獲物がノコノコきやがったぜぇ!! んじゃまぁ、最強の俺達がぶち殺してやらぁ!!』
 大笑いと共に、森の中からすっ、と姿を現わし、イレギュラーズ達へ接近。
 その両手には小振りのコンバットナイフが握られ、かなりの俊敏な動き。
 そんな敵の登場に慌てること無く、ロックは。
「のこのこと出て来やがったなぁ! んじゃぁ、最強の名はどっちに相応しいか、ここで決めようぜぇ!!」
 大きな声で敵を威圧しつつ、己が闘志を燃え上がらせる。
『あぁん!? うるせえてめぇからだ!!』
 その威圧に怯まず、カシヤノフ達はロックへと接近。
 左、右から次々とコンバットナイフを凪いで、彼に小さく、ただ確実にダメージを与える。
 だが、そんな彼らの攻撃を躱す事無く、敢て受けつつ更に己の怒りと闘争心を燃え上がらせるロック。
 そしてロックに攻撃し、そのままヒットアンドアウェイで去ろうとした彼らに。
「鳴神抜刀流、霧江詠蓮だ。ふざけた盗賊稼業は今日限りで廃業にしてもらうぞ!」
 とエーレンが更なる挑発を行い、更にマッチョも。
「ソウダ! プリンヲ狙ウ極悪非道ナ奴ラ、許シテハオケン!!」
 ポーズを取ると共に、仲間に筋肉の加護を掛ける。
 マッチョ、ロック、エーレン三人の前衛陣が、順次カシヤノフ達を誘い出し、数匹を足止め出来た所に奈々美が、突然の熱砂の嵐を吹きすさばせる。
『何、更にいただと!?』
 ちょっと驚いた様な仕草を取るカシヤノフ達に、奈々美は。
「……ふひ……これ、戦いのキホンなのよね……ま、魔法少女……奈々美、参上……! 楽しみで殺生をするなら、オシオキよ……!」
 と、声を振り絞り宣言。
『はっはっは! でもこの程度の攻撃なら大丈夫! 最強の俺達には関係ねえぜ!」
 と、カシヤノフ一族はまだ意識的には優位に立っている様。
 だが、そんな彼らに、更にリュカシスも。
「やーい、ネコチャン集団! 『自称』最強の力、見せてよ!!」
 と思いつくままの、最大限の煽り文句を放ち、敵の怒りを引き出していく。
 ……そんなイレギュラーズ達の動きに、さすがにちょっと耐えきれなくなったのか。
『ったく、小賢しい奴らめ……ならば思い知らせてやろうじゃねぇか!』
 と隠れる事を止める。
「ええ、正々堂々と勝負ですわ! わたくしに猫獣人族の実力を見せてくださいませ!」
 ただフィリーネは敵への攻撃ではなく、仲間達の支援を重視。
 神秘的な歌声で、仲間達を次々と治療し、前線を維持。
 次の刻になると、カシヤノフ一族達にまずリュカシスが。
「それじゃ、攻撃開始、デスネ!」
 と笑みを浮かべながら、手近な所にいた相手へ強烈な豪腕の一撃を叩き込む。
 更にイグナートも彼に続き、闘争心をかき立たせながらの、雷を纏った拳で殴り掛かる。
 加えてルシアは、大型の狙撃銃で狙いを済まして、ずどん、と魔力を込めた砲撃を放つ。
 ……そんなイレギュラーズ達の攻撃は、一つ一つが中々に強力で……喰らったカシヤノフ達は中々のダメージ。
『何……意外に強ぇ!?』
 と驚愕している者も数名いるが、そんな奴らに。
「おいおいおどうした。見れば判るだろう!? この陣営では俺が一番弱いぞ? 俺に来てみろ! 俺すら倒せないなら、戦闘民族カシヤノフ一族は大した腑抜け揃いって事になるぞ!」
 とエーレンが挑発し、尻尾を巻いて逃げないように怒りを更に付け加えていく。
『くそったれ! ならぶち殺せばいいだけの事だぁ!!』
 と怒りに身を任せて、反撃の狼煙を上げる彼ら。
 だがその攻撃をさっとエーレンは交わしつつ。
「動きが見えやすいぞ。そんな雑な攻撃で大丈夫か?」
 とその腕に渾身の一閃を叩き込み、敵の武器を落とす。
 更にロックは獰猛に破戒の拳を振り落し、マッチョも。
「コレガ筋肉☆式ノ戦闘術ダ!」
 と、大胸筋を振るわせての反撃の一閃。
 そして仲間達が攻撃し、敵を惹きつけてくれている所に奈々美が更に熱砂を吹き荒れさせ、総じて敵を削っていく。
 しかしながら、カシヤノフ達は仲間達が削ろうとも、懐に潜り込んでのコンバットナイフでの斬り付け攻撃をやめない。
 更に攻撃をする中で、彼らの中で数匹が。
『この火花で燃えちまえっ!』
 と、至近距離で火花をぶちかます。
 勿論、魔法を使った彼の姿は、他の周りに居た者達と、姿形は全く変わらない。
 とは言え、そんな厄介な魔法使い猫が尻尾を出した所で、即座にリュカシスが。
「見つけた! こそこそとヤッカイな動きをしてくれてるけれど、姿が見えたらこっちのもんさ! 行くぞ! 絶招・雷吼拳ッ!」
 声高らかに宣言するイグナートがその敵に掴みかかって、拳を突き立てる。
 流石に魔法直後のタイミングでは、躱す事も出来ずにバタリ、と倒れる。
『何!? 死んだ、だと!?』
 彼が倒れ、更に驚愕。
「まだまだ、こちらの勢いは止まりませんわよ? 勿論、謝ってももう時既に遅し、ですが」
「そ、そうですね……どんどん纏めて、叩いていきましょう……!」
 フィリーネに頷く奈々美。
 勢い付くイレギュラーズに対し、仲間が倒れたことで、少し圧倒されつつあるカシヤノフ達。
「さあ、次はキミだヨ!」
 次なるターゲットをイグナートが定め、一体を集中砲火しつつ、中後方から奈々美のハート型の弾による恍惚付与と、仲間がいない所に向けてルシアのガトリング弾。
 そんなイレギュラーズ達の猛攻により、まずは魔法使い達が次々と崩れ墜ちる。
 四人居た彼らが全員崩れれば、後は至近戦しか出来ない彼らのみ。
『糞があ!!』
 苦しみ紛れに叫ぶ彼らだが……もう、許される事は無い。
 拳ではなく、ガブリ、と顎で食らい付くロック。
『ぎゃぁぁあ!!』
 絶命の咆吼に……ロックは。
「……っ。不味い、根っこからの糞みてえな味がするぜ」
 と、彼らの命を吐き捨てる。
 ……そんなイレギュラーズの動きに、最早カシヤノフ一族は反撃の狼煙を上げる切っ掛けも振るわず……20匹全てが、イレギュラーズ達の前に崩れ墜ちて行った。

●猫、沈む跡
 全てのカシヤノフ一族達が全員倒れた跡に、残るは……彼らの死体。
「……こ、この猫たち……いっぱい殺してきているのよね……?」
 と奈々美がぽつりと呟くと、それにフィリーネが。
「ええ……無実の方々を好き勝手殺していた様ですからね……」
「で、ですよね……」
 空を仰ぎ見る奈々美……と、そんな彼女の視界に、ふわり……と何者かの影が浮かぶ。
「……え?」
 きょとんとしている彼女に、イグナートが。
「ん……大丈夫?」
 と声を掛けると、奈々美は。
「うぅん……凄い形相をしている人影が見えたような……お、お化けかしら……」
 ここが、交易商隊のルートだった……という話は聞いては無いが……もしかしたら、雪の下に彼らの死体も、眠っているかもしれない。
「……え、えと……仇は取ったので……成仏して下さい……なむなむ……」
 慌てて手を合わせ、彼らの冥福を心の底から祈り続ける奈々美。
 カシヤノフらが倒れたことにより、取りあえずは暫しの平穏が訪れる事だろう……だが、まだ不安は否めない。
 とはいえ、次なるカシヤノフ達が出てくれば、倒すだけのこと。
「取りあえず、この死体はしっかりと弔っておきましょうか……彼らも化けてでてきたら嫌ですし」
 とフィリーネの言葉に皆も頷き、そしてイレギュラーズ達は手分けして、カシヤノフらの死体を埋葬。
 全てが終わる頃には、もうすっかり日も暮れていて……氷樹の中で迷子になる前に、急ぎその場を後にするのであった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

ノーザンキングス依頼へ参加頂き、ありがとうございました!
今回は猫型ではありましたが、皆様の挑発にまんまと乗せられてしまった様ですね。
何事も、頭に血を上らせてやると、末路は悲惨な事になる、という事ですね。

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