PandoraPartyProject

シナリオ詳細

ミントクズキメラと枯渇の女王

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


「済まない、ついうっかり村を燃やしてしまった」
「ついうっかりじゃあないんだよ! どうするんだいまったく……この辺一帯、また育苗と植樹が必要になるじゃないか。むこう20年くらいかな? 面倒だなあ」
 『ネクスト』内部、『翡翠』のどこか。
 スーツ姿でどこか非現実的な雰囲気を漂わせる幻想種の男は、『ついうっかり』で村一つ燃やしてしまっていた。
 だが、相手の幻想種は死傷者ゼロであること、そもそも彼等が火炎系魔術を履修していることなどを理由にあまり大事にする気はないようだ。器がでかいとか心が広いで片付けていいレベルではない気がする。
「フム、君たちさえ良ければこちらには埋め合わせの準備がある、ちょうど先日用意できたキメラが一体……」
 怪しい幻想種はそう言うなり、どこに結わえていたのやらリードのようなものを引っ張って、相手方の前に連れてきた。獣と植物の間の子のようなそれは、見るからに禍々しいまでの緑と長い蔦、そして異常な香気をだだ漏れにしている。
「この辺の緑の再構築のためにこの『ミントクズキメラ』を」
「おいばかやめろ」
「キシャアアアアア!!!」
 斯くして、その辺一帯はミントと葛に覆われた。ついでにドクダミも生えた。


「最悪のバーゲンセールにゃ」
「どういう経緯でそういうことになるんだよ。いい加減キレていいよな」
 『イモ食え』ぱぱにゃんこ (p3y000172)に、イレギュラーズの一人はキレ気味に問う。この間バンブーハーモニアを倒したばかりではないのか。『混沌』での首謀者だったセッツベル共々。
「ミーだって初耳にゃ。なんにゃミントクズキメラWithドクダミーノって。ギャグにゃか」
 だが被害は深刻らしく、クエストに設定された報酬を見ても喫緊の課題みたいなことになっている。ヤバそう。
「取り敢えずパッと行ってギャって潰すにゃ。そいつ倒せば次第にミントも葛もドクダミも枯れていくにゃけど、やっぱり駆除は必要にゃ」
「前も似たような展開だったぞ」
 とにかく、クエストは受注状態。足を向ける以外の選択肢はなさそうだった。


「ああ、なんで? 私はただ植物と戯れたいだけなのに、なんで枯れてしまうのかしら?」
 イレギュラーズがミントクズキマイラを討伐に向かうその頃。
 近くの森に現れた黒衣の女は、頭を振ってひどくショックを受けたように声を荒げていた。
 見れば、彼女の周囲に生えていたであろう植生は――あろうことか筍でさえも――枯れてしなびて、一部はすでに腐ってすらいる。
「もっと、もっと生命力に溢れた植物なら、私を受け容れてくれるのかしら? 探さなきゃ、生命力に溢れた植物……!」
 そうして女は、いずこへか姿を消す。
 その姿は、何処かノイズのようなものがところどころに走っていた……。

GMコメント

 他の植物も出せコラ! ってなる前に先手を打つことにしました。
 あとミントすら枯らす人が世間にはいるときいて。

●成功条件
・ミントクズキメラの撃破
・ドクダミーノ殲滅
・残った植物の駆除
・(オプション)???からの一般植生の保護

●ミントクズキメラ
 なんか謎の幻想種のペットです。ミント、葛を全身に装着している謎のキメラ。
 物理攻撃力、回避がゲロほどに高いです。
 何故か自身と対象の回避を参照し威力が上がる攻撃を使ってきます。
 そして常時、自身から2レンジ全周に爽やかすぎる匂いを振りまきます。
 匂いにBS等の効果はありませんがまあ気分が悪くなります。ミントの粘液に触れると【業炎】【氷結】などのBSを蒙ります。他、多数の能力を持ちます。

●ドクダミーノ×たくさん
 滅茶苦茶くさい歩くドクダミ。はよ燃やせ。
 戦闘能力は高くないので燃やせ。ただちに。

●???
 歩くたび周囲の植生を枯らしてしまう女性。
 仮定だが、ミントクズキメラにぶつけたら十全のコンディションならとんでもないことになるし、弱っていても感染爆発を引き起こすであろうと容易に推察できる。
 本人の周囲に近付くのは極めて危険。追い払うか説得できればいいのだが……。

●ROOとは
 練達三塔主の『Project:IDEA』の産物で練達ネットワーク上に構築された疑似世界をR.O.O(Rapid Origin Online)と呼びます。
 練達の悲願を達成する為、混沌世界の『法則』を研究すべく作られた仮想環境ではありますが、原因不明のエラーにより暴走。情報の自己増殖が発生し、まるでゲームのような世界を構築しています。
 R.O.O内の作りは混沌の現実に似ていますが、旅人たちの世界の風景や人物、既に亡き人物が存在する等、世界のルールを部分的に外れた事象も観測されるようです。
 練達三塔主より依頼を受けたローレット・イレギュラーズはこの疑似世界で活動するためログイン装置を介してこの世界に介入。
 自分専用の『アバター』を作って活動し、閉じ込められた人々の救出や『ゲームクリア』を目指します。
特設ページ:https://rev1.reversion.jp/page/RapidOriginOnline

※重要な備考『デスカウント』
 R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
 現時点においてアバターではないキャラクターに影響はありません。

  • ミントクズキメラと枯渇の女王完了
  • GM名ふみの
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2021年06月29日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ロスヴァイセ(p3x004262)
戦乙女
九重ツルギ(p3x007105)
殉教者
セフィーロ(p3x007625)
Fascinator
イデア(p3x008017)
人形遣い
ベネディクト・ファブニル(p3x008160)
災禍の竜血
指差・ヨシカ(p3x009033)
プリンセスセレナーデ
フィーネ(p3x009867)
ヒーラー
いりす(p3x009869)
優帝

リプレイ


 『翡翠』の森のさらに奥、深い緑の中に蔦植物の繁茂が見え隠れするその地は、明らかに植物の侵食を受けていた。主にミントとか。ドクダミとかの。
「あ、あの……、既に若干爽やかな匂いしてますがあの……?」
「……こんなもの森に放置していたらとんでもないことになりますね」
 『かつての実像』いりす(p3x009869)は流れてくる匂いに表情を固くし、この先にあるであろう地獄を覚悟した。表情が、もう地獄を幾つか見てきた人間の顔になっている。そして『人形遣い』イデア(p3x008017)もまた、アバターの楚々とした表情の裏側から強い敵意を覗かせる。雑草と呼ぶにはあまりに害悪。これは早々に刈り取ってしまわねばならぬと。
「名前からして既に特級の危険物なのがありありと分かるヤツね……畑にでも放り込もうもんなら、ちょっとした農地一つ丸々潰れるのが想像だに易いわ」
「あのミントに葛を混ぜるなんて誰がやったの!?」
 『Fascinator』セフィーロ(p3x007625)が呆れ気味に頭を抱える傍らで、『ロスヴァイセのアバター』ロスヴァイセ(p3x004262)は怒りに肩を震わせていた。セフィーロの言葉を借りずとも、個々の植物の危険性は折り紙付きだ。それが総出でやってくる、しかもモンスターとして。幾ら『ネクスト』とはいえちょっと限度というものを覚えて欲しいと、ロスヴァイセは憤りながら思った。
「あのキメラ、元はペットなのだったとか。人のエゴで倒してしまうのが心苦しいですが……」
「厄介なモンスター……否、キメラか? 人造物ならなおさら厄介だな。ここに未知の相手が現れるという情報もある。うかうかしてられないな」
 『白竜』ベネディクト・ファブニル(p3x008160)は『宣告の翼』九重ツルギ(p3x007105)の言葉を受け、当該敵……というかキメラの悲喜劇をなんとなく理解した。が、許すとは言っていない。ツルギはツルギで、隠しきれない人の良さが滲み出ているものの、それと迷惑を被るのとは別問題という割り切りがあった。
 ……というか。ベネディクトはこれから、この混乱の地に現れるであろう謎の人物をどうにかする立場なのだ。仲間達の身の安全は彼の双肩にかかったりかからなかったりしている。責任重大だ。
「日頃から植物にはある程度慣れているのですが、流石に今回ばかりは私でも扱い切れなさそうですね」
「この時期の雑草ってホント、刈っても刈ってもキリがないよね。漸く綺麗にしたと思ってもさ、2週間すればホラ元通り……こんな時どうするのが一番効率的か知ってるかい?」
「……? 除草剤ても撒くのですか? 場所柄的に危険そうですが」
「根をひっこぬいて乾燥させるのでしょうか」
 げんなりとした表情で周囲を見渡したフィーネ(p3x009867)に、『プリンセスセレナーデ』指差・ヨシカ(p3x009033)は手を広げて問いかける。フィーネといりすは軽く思いついた範囲でつらつらと条件を挙げるが、ここで燃やすだのが出てこないあたり教養と柔和な物腰育ちの良さが垣間見える。ヨシカはふるふると首を振った。
「答えはノン。正解は日の目が見れない様に舗装してしまう、よ」
 いくらなんでもちょっと大胆すぎやしないか。仲間達が驚きの顔で彼女を見る中、ヨシカ自身は勝利を確信していた。
(見てて良かった『ごあプリ』こと『ご安全に!プリティ☆プリンセス!』 ……の、6話!)
 めちゃくちゃピンポイントな話があったらしい。サブカルチャー恐るべしである。
「対応策に見当ついてるなら心強いにゃ……いやいや舗装したら幻想種達に怒られちまうにゃ。アウトにゃアウト」
 『イモ食え』ぱぱにゃんこ (p3y000172)は関心を示しかけ、その危険性に秒で気付いた。そりゃそうか。
「あの話、舗装した結果緑は無くなってしまったけれど……人と自然との付き合い方の難しさを教えて貰ったっけ」
「どう聞いてもバッドコミュニケーションにゃ。今回は今季が勝負にゃ。それに」
「それに?」
 ヨシカが何かを思い出すようにしみじみと語ったところで、結局はアウトだった。言葉を切ったぱぱにゃんこにベネディクトが問う。
「ユーが接触するって例のアレ、場合によっちゃ何が起きてもおかしくねーにゃ。ここが『ネクスト』であることを意識して動くにゃよ」
「心得た。俺は俺に出来ることをするよ」
 ベネディクトはイデアと示し合わせてaPhoneーalterを通話状態にセットすると、森の奥と幻想種の村方面、それぞれに向かって歩き出す。
 どちらに向かっても厄介な相手が待っている。気の抜けそうな名前をした、気の休まらぬ相手がいる。まったく、この世界はどうにも度し難い。
「……ところで、ツルギ。何にゃそれ」
「オーデコロンですよ。ミントと相性の良いサイプレスをトップノードに、匂いを殺すのではなく活かす方に工夫しました」
「ユーの女子力どうなってんにゃ」


「シャアアアアアアァァァァ!」
「ドックダミダミー♪」
「もうこの時点で匂いが混ざって酷いのですが……?」
 ミントクズキメラとドクダミーノの素敵なマリアージュぶりに、いりすは絶望的な表情をしつつ水鉄砲を構えた。吐き出されたビーコン弾は手近なドクダミーノを蹴散らすと、素早く次の対象に照準される。
「今日もご安全に、ヨシ……っと、まずは自分の足場から、足場を均す勢いヨシ!」
 ヨシカは巨大な杭をドクダミーノの戦列中央に叩き込むと、エグめの破砕音と衝撃で着弾位置周辺の奴等を一掃する。ついでに植生もアレんなってるのだがまあセーフ。
「根が残ってしまえばそこからまた増えそうですし根こそぎいきましょう根こそぎ」
「傍迷惑な化物と傍迷惑な女のマリアージュなんて洒落にならないからね」
 イデアは黒騎士人形を操って大剣で以てドクダミーノを蹴散らし、セフィーロはモロトフカクテル(火炎瓶)的な何かを投擲しては辺りを火の海へと変える。ぶっちゃけ狙えば素直に当たる命中力で範囲攻撃しようもんなら数で押すだけのドクダミーノに勝ち目はあんまりない。あるとすれば、どんどん向かってくるので止めきれないこと、一旦取りつかれると数の暴力で引き剥がしづらいことぐらい。
その「ぐらい」が大変なのだが、それに輪をかけて最大の脅威――ミントクズキメラが匂いを振りまきながら迫る。
「猫は爪を立てて戯れるのが愛らしい。貴方の可愛さ……俺が受け止めて差し上げます!」
「キシャァァ!?」
 ツルギはミントクズキメラの正面に陣取ると己に付与術式を用い、その勢いのまま細剣を振るう。高速で振るわれた一撃は回避もままならず、その異形を貫いた。同時に発現した幾つかの異常はツルギを確かな敵と認識させるに十分だったが、自傷を想起させるまでには至らなかったようだ。その証拠に、爪を振り上げるフェイントを交えつつ、蔦を背後から這わせて締め上げるコンビネーションを見せてすらくるではないか。
「なるほど、小細工には自信ありということですか」
 見事にそのフェイントを躱したツルギは、しかしその威力に瞠目する。回避力の高い人間こそが引っかかりそうな、『いかにも』すぎる罠の一手。もしかしたら、今の技すら成長途上ではないかと思わせるものだ。
「私がしっかり癒やします! 皆様安心して暴れてくださいね!」
「……だそうですので、僕は宣告します。貴方の毒牙は他の誰にも届かない!」
 フィーネから受け取った目にいいポーションを飲み干すと、ツルギはミントクズキメラにむかって宣言する。
 ミントクズキメラはその宣告に身をかがめ、獰猛な唸りを上げて脚を撓めた。

「やあ、初めまして。俺は冒険者のベネディクト、少し話を良いかな?」
「私に……なにか御用? 私は今とても……そう、とても忙しいのだけれど……」
 謎の女――周囲の植物を枯らしながら進むそれは、唐突に投げかけられたベネディクトの声に酷く不思議そうな、ともすれば不愉快そうにもみえる表情で応じた。草が枯れ果てた場所は、そのまま周囲の土すらも乾燥し生気を失っている。その影響が一時的なのか永続的なのかは別として、近づくのは憚られる。ざっと間合いは30メートル程度か。ベネディクトは慎重に間合いを取りつつ、傍らの燐光に視線を向けた。
「この先では、俺の仲間がモンスターと戦っている。その後処理が終わるまでは余計な邪魔が入ってほしくないんだ。……分かってもらえないだろうか」
 女は怪訝な目でベネディクトをみやり、次いで燐光に視線を投げた。ジジ、とノイズが爆ぜる音がする。
「君はどの様な用事があるんだい? 困っている事があるなら力になれるかも知れない」
「お利口なお犬さん。私は、植物を愛しているの」
 ゆったりとした所作、柔らかな言葉、引き込まれそうな瞳……そのどれもが彼女を友好的NPCだと認識させる。だというのに、湧き上がるオーラはそれら要素のすべてを否定する。
「その光は俺の相棒だ。そいつなら、君の『症状』について調べられるかもしれないけど……どうかな?」
 ベネディクトは慎重に言葉を選ぶ。事前情報がゼロの相手だ、何に喜び何に怒るか見当がつかない。……戦闘だけは避けねばと自分に言い聞かせつつ、女の返答を待つ。


「パイル……ハンマーッ!」
「ダミミィーーーッ!?」
 ヨシカの何度目かのパイルハンマーは、ドクダミーノをぶち抜きまたしても森に大穴を穿った。この瞬間に至るまでに相当な激戦が続いていたので、まークレーターの数が多い多い。
「ちょいちょい、データとはいえ森のド真ん中にゃ。ここまで破壊されたらちょっとやそっとで直らなくなるから加減してほしいにゃ」
「そう……そうなんだよねー」
「肯定しながら自爆スイッチ連打するのやめるにゃ。そして15回連続でスカるんじゃないにゃ」
 ヨシカを始めとする面々を治療しつつ、ぱぱにゃんこは混乱したような声音で自制を求めた。範囲攻撃での殲滅戦メインになるので覚悟していたのはその通りなのだが、ヨシカはなかなか容赦とか手加減を知らない。
 そして自爆スイッチをカチカチ叩くその無表情。やめて、なんか注意されて全部ヤになったムーブやめて。
「こいつら根っこまで確り焼かないとすぐ増えるんですからね! 焼いたら……掘り返すッ!」
「ギィィィシャアアアア!!」
 セフィーロは辺り一面のドクダミーノを灰に変えた後、素早くミントクズキメラへと電撃を放つ。だが相手もさるもの、初撃をきっちり避け、ツルギとの戦闘、その僅かな間で生まれた一瞬の正気とともにセフィーロへ反撃の蔦を伸ばす。
「幻想種のペットならもうちょっと自然にいいキメラにしなさいよ……」
「こんな匂いを振りまくキメラになった時点で、というかこんなものを連れてる時点でそういう生易しい発想はなさそうです……」
 ロスヴァイセの呆れたような声に押し出されるように、星空を描く剣戟が迸る。華麗に、ウザいくらい華麗にそれを避けたミントクズキメラの反撃を身を挺して受け止めたツルギに、フィーネのポーションが飛んでいく。ロスヴァイセのツッコミごもっともなんだが、フィーネの言う通りでもある。こんなやつ連れてるイカレ野郎がまともな感性を持つわけがない。
「何を射っても避けていきますが、沢山打てば実際当たりやすいはずです」
「如何に回避が高かろうと、確実なタイミングで決定打を叩き込めば問題ありません」
 いりすは繰り返しミントクズキメラに躱されつつも、次第に狙いの精度を上げていく。一発で当たらないなら当たるまで。自分の攻撃が当たらぬなら仲間への布石にする。当たれば、動きを止められるかもしれない。当たらなくても、仲間の次に繋がるはず……そしてイデアは、それらすべてをすっ飛ばして「決定的一撃」にすべてを賭ける構えだ。幸運に身を任せる、否、絶対的急所を見つけ刺し貫けばいい。
「ィィィィィ――ヤッ!」
「危ない……っ!」
 ミントクズキメラはそんな攻撃をせせこましいものと感じ、皮下から生み出した粘液をあたりに飛び散らせる。威力というよりはその特性が特に厄介なのだが、全員が等しく蒙ることはなかった。ツルギが献身を呈し、仲間の蒙る分を自分で受けない限りは。
「無理はいけませんよ!」
「つ……少し受けましたが大したことはありません。少し怪我が増えるのと、冷感通り越して熱感を覚えてしまうところですが……」
 フィーネの忠言も柳に風と聞き流したツルギは、再び突っ込んでくる相手に身構え……。
「シッ」
「ギエエエエエェェェ!?」
 唐突に振り下ろされた銘刀の一振りが、その獣の前足に深々と傷をつけた。
「ベネディクトさん? きみ、あの危なっかしい相手は大丈夫だったのですか」
「大丈夫……大丈夫、でいいんだろうか?」
 ベネディクトは問われつつ、どこか他人事のように思い出す。

「俺はモンスター知識はあるから……もしかすると、君の求めている植生生物が何処に居るか教えてあげられるかも知れない」
「それは素敵。とても素敵な提案よ。……でも、そういうものは私自身が見つけないと意味がないと思うのだけれど……」
「今回ばかりは、協力してくれると嬉しいな。今回の事が終わったら、君の目的の為に依頼を引き受けても構わないのだし」
「近づいたら枯れないか知ら?」
「……そこは、これから考えよう」
 というやり取り以外にもかなり細々とあったのだが、一先ず「来た道をそのまま戻る」ことで被害を軽減したようだ。

「…………という話が」
「面倒事が増えなくて助かったけど、今後の懸案は増えたみたいね!」
 しみじみと語るベネディクト、前肢を一本失い長けるミントクズキメラ、今後を思うと気が重いセフィーロ。
「あなたに恨みはないわ。ないけれど、そのままだと翡翠の一角がミントクズに侵食されちゃうの、ごめんなさい」
 そして、ミントクズキメラにささやかな謝罪を述べながらも全力で戦うロスヴァイセ達。
 ミントクズキメラの胴が音を立てて倒れ込む頃には、周囲の荒れ具合も相当なものになっていた。

「生命力に溢れるのは結構。健康的で何よりだわ。でも。もう少し慎ましさってヤツを知っても良いんじゃないかしらねえ」
「こうして最後まで掘り返さないといけないので厄介極まりないですが……とはいえ、ゲームなので運動しても疲れないのは助かります」
 セフィーロとイデアは地面を掘り返しながらその被害のエグさに辟易としつつ、しかしゲームならではの現状に楽しさを感じ始めていた。ワーカーズハイみたいな感じがしないでもない。
「一応離れてた、はずなのに……、いろんな…匂いが混ざってて……、きつい、です……」
 いりす、あまりの匂いの混じり方に既にダウン寸前だ。何なら皆があとを引き継
(……本当はどうせゲームなんだから、原作通り周囲ごとぶっ飛ばして「ここをゴルフ場にしましょう!」とかやってみたかったのだけれど )
 カチッ。
 ヨシカが何ともなしに考えながら押していた自爆スイッチが、この期に及んで起動してしまった。……いりすもろとも。

「爆発オチなんてサイテーにゃ」

成否

成功

MVP

ベネディクト・ファブニル(p3x008160)
災禍の竜血

状態異常

指差・ヨシカ(p3x009033)[死亡]
プリンセスセレナーデ
いりす(p3x009869)[死亡]
優帝

あとがき

 お疲れ様でした。
 未だ謎の多い展開ですが、とりあえずはなんとか処分できたようです。
 ひとまずは平和に戻ってヨシ!

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