シナリオ詳細
デラックスゴールデンフルーツハント!
オープニング
●デラックスゴールデンフルーツ諸島
巨大なイチゴが牙だらけの口を開いて四本足で爆走していた。
開く口の先には全力ダッシュするウィズィ ニャ ラァム (p3p007371)とイーリン・ジョーンズ (p3p000854)。
「聞いてない! 私聞いてないわよこんなフルーツだなんて!」
「私だって聞いてねえー! パティシエのやつ許さんからな!」
ガブンッと閉じた口。あと数センチ後ろに居たら頭をやられていたと本能で察したウィズィは前傾姿勢になってウオーとかいいながら加速した。
「とにかく!」
「いまは!」
「「生き延びるのが先決!」」
なぜこんなことになったのか。まずは説明せねばなるまいて。
●オーシャンビューホテル『Captain Drake』
ウィズィのおさめる領地海洋の領地ドレイク記念公園。
いくつもの小島を併合した領地で、海賊風情をイメージしたテーマパーク『ドレイクランド』や記念館や公園といった施設を船で移動しながら楽しめる観光スポットとしての側面が強い土地だ。
その中でも観光客が活動拠点としやすいホテル『Captain Drake』。くつろぎをテーマにしたこの地中海風建築の建物では、四季折々のイベントが開かれラグジュアリー雰囲気が旅行客に人気らしい。
そんなホテルのロビーラウンジ。大理石のタイルの上に上品にたった円形テーブルを囲むようにして、ウィズィはスッとソファに腰掛けた。
そしてなんかキメッキメのサングラスをかける。
「よく集まってくれた、エージェント諸君」
「誰がエージェントだ」
「そのためにわざわざ、サングラスを?」
かけてなさいと言われたサングラスをとるマニエラ・マギサ・メーヴィン (p3p002906)とエクスマリア=カリブルヌス (p3p000787)。
エクスマリアの頭上に浮かぶ黄金のハテナ。マニエラはサングラスのつるを口元へ持っていくと長い足をくんだ。
「その入りからして、私らに一仕事頼みたいんだろう?」
「観光地の招待チケットを突然くれたと思ったらそういうことでしたか」
律儀にサングラスをかけたままこくこく頷く橋場・ステラ (p3p008617)。
イーリンが慣れた様子でテーブルの上のメニューボードを手に取り、そっとやってきたウェイトレスにコーヒーを注文していた。
ウェイトレスといい受付といいスタッフに女性比率がやたら多いのはウィズィの領地らしさと言ったところだろうか。
ウィズィが『なんでもたのんでくれたまえ』というので、エルス・ティーネ (p3p007325)もとりあえずメニューボードを眺めてドリンクやスイーツメニューを読んでみる。
「別にいいわよ。よくお世話になってるし、たまに海洋でお仕事するのも悪く……あっ、アイドル系のアレじゃないわよね!?」
「『あの方』じゃあるまいし」
「『あの方』はそんな仕事ふってこない!」
「まあまあ。ウィズィさんがそんなお仕事を急に押しつけるわけないじゃないですか」
蓮杖 綾姫 (p3p008658)がおっとりした様子で言いながら、パフェ系のメニューを開く。
ねえ? と話をふられた三國・誠司 (p3p008563)。
一人がけのソファに背筋を伸ばして座り、美女達の視線を一点に受ける三國誠司。
(なんだろう。本来ならハーレム男女比に喜ぶ場面なのにそうなれないこの感覚……ハッ、まさか!)
「この依頼、さては危険があるな?」
ウィズィからの依頼。もといこのホテル『Captain Drake』からの依頼は材料採取。
夏に向けた新作スイーツメニューとして豪華な高級フルーツを惜しみなく使ったかき氷を出したいということで、その素材となるフルーツを近隣の孤島であるデラックスゴールデンフルーツ諸島から採取してきてほしいらしい。
諸島というだけあっていくつかの小島に分かれ、いずれも無人。おいしいフルーツが採取できるということで地元のグルメハンターたちがよく通う場所としても知られる。
「今回はチームを組んで手分けしてあたりましょうか。首尾良くフルーツをとってきた後は、試食会やパーティーに招待しますよ。もちろんホテルの宿泊券つきでっ」
ビッと人数分の宿泊券をかざすウィズィ。
働いて報酬を得た上に高級ホテルとスイーツまでついてくるなら乗らない手はあるまい。二つ返事でOKした彼女たちは早速デラックスゴールデンフルーツ諸島へと船を出したのであった。
その先に待つ、ハチャメチャなフルーツハントを知らずに。
- デラックスゴールデンフルーツハント!完了
- GM名黒筆墨汁
- 種別リクエスト
- 難易度-
- 冒険終了日時2021年06月23日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談8日
- 参加費---RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●イチゴは性のメタファーだって先生がいってた
青い空。
白い海。
水着で走る女達。
うさぎ耳のついた麦わら帽子が飛んでいかないように手で押さえて、『金色のいとし子』エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)は砂浜を走る。長くのびた足跡を辿るように、なびく黄金色の髪を追うように、『天才になれなかった女』イーリン・ジョーンズ(p3p000854)たちもまた。
「親友ー、盟友ー」
スローモーションになる世界のなかで、振り返ってよびかけるエクスマリア。
呼びかけられたイーリンはかぶっていた帽子を脱ぎ捨てると、白いビキニと豊かなボディライン姿をおしげもなく太陽に晒した。トランジスタグラマーな彼女が手を伸ばし、その手をそっととる『私の航海誌』ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)。
ははっ、と歯を見せて笑うウィズィ。
うふふ、と目を細めて笑うイーリン。
ウィズィニャラァムの強く引き締まったボディは黒いリボンのビキニに覆われ、金髪が風にふわりとういた。
そんな三人――の後方十五センチくらいのところをクロコダイルベリーの牙がガフッつってかすっていった。
「ビーチバカンス&苺狩りじゃなかったのかよおおおおおおおおお!!!!」
流れ始めるドリフの舞台転換時みたいなBGM。
ちょっと喰われて切れる髪。刃の鋭さを思わせる。
「ちょっと、自分の島の周辺くらい把握しておきなさいよ!!」
「ア゛アアァア!! 知らねーーよこんな怪生物ァア! 先にギフトで閃いとけェエ!」
「私のギフトを天気予報みたいに言わないで!」
「よもや、だな……」
ぬぎいって言いながら全力で加速する三人。
「さあ――」
「「Step on it」」
「やらなきゃやられる!」
「『神がそれを望まれる』!!」
オープニングが出オチ。リプレイもまた出オチ。オチたからには登るしかないさあここからのデラックスゴールデンフルーツハント、いよいよ開幕であります。
といっても手順は簡単。エクスマリア、ウィズィ、イーリンの三人が挑むクロコダイルベリーは巨大なワニと攻略法はかわらないのだ。
「ワニの構造上、顎を上から押さえつけることができれば一気に動きを封じられるわ! 私達の連携を見せつけるときよ! にゃー!」
「にゃー?」
「そうかフィジカルに強い誰かが引きつけておさえつければ――って私だな!」
二度見したウィズィがバッと跳躍。ムーンサルトをきめてからうまいことクロコダイルベリーの頭の上にまたがると、なんでか持ってたロープを繰り出しクロコダイルベリーの両顎をグッとしめつけた。弱いといってもこの巨大さ。押さえつけるのはなかなかしんどく、振り回す頭をロデオするのもせいぜい7秒が限界だった。いまビキニだし。
「私が受け止めるから、親友! イーリン!
さあ、初めての三人共同作業です……。
──ぶっ倒しちゃってッ!」
「ん……」
エクスマリアはイーリンと共にブレーキ&ターン。
空圧によって大きく広がった髪はそのまま分岐し八つの大きな腕と拳を形作った。
(色んな意味で、新鮮なフルーツ、だ。しかし、食べるのは好きだが、食べられるのは、御免被る。せっかくのイチゴ、神に分けてやる気などない、が)
拳に集まり高圧縮される黄金のエネルギー。
「私の! ――好きな!」
イーリンもまたそのへんに刺さってる棒をひっこぬくと、略式贋作マギウス・シオン・アル・アジフを発動。燃え上がる魔力と輝く瞳。何の変哲も無い木の枝がその一瞬のみ伝説の剣を摸した。伝説――つまり知識と探求と伝承の力である。
「フルーツは苺ってなんで知ってるのよこの振り分けはーーー!!」
二人による一撃必殺が、クロコダイルベリーへと殺到する。
●ドラゴンも性のメタファーだって先生がいってたよ
「最初に言っておく」
黒のビキニで本気のカラダ見せつけた『こむ☆すめ』マニエラ・マギサ・メーヴィン(p3p002906)は、頭の後ろで腕を組み伸ばすビール広告みたいなポーズで言った。
「ドラゴンにはいい思い出がない」
「ある人の方が珍しいのデワ?」
大砲から顔だけだした『一般人』三國・誠司(p3p008563)がロボみたいな口をパクパクして振り返った。
「そういうわけで、帰っていい?」
「いいわけないだろ! みろあれを!」
顎でしめす先、木々をメシャアってやってる超絶レア食材ドラゴンフルーツことファイアドラゴンフルーツがいた。なにか嫌なことでもあったのかクソほど暴れていた。とっておいたプリンが食われた時とか、レベル上げしてほしくて貸しといたゲームがセーブデータ消えて帰ってきたときとかそういう怒り方だった。
シリアス顔になる誠司。
「怒る理由はわからない。僕たち人間が君たちファイアフルーツドラゴンの気持ちを察するなんて傲慢だ。わかり合うことも、きっと共存することだって不可能に近いんだろう。けど、けど……これだけは言わせてくれ!」
集中線つき顔アップで、誠司inキャノンは叫んだ。
「おかしいだろう!! 二人っきりでドラゴン退治でバディは女の子じゃん!! これもう僕行くしかないじゃ――」
「いいから行け」
ぽちってボタンを押したマニエラ。『神は死んだ』的な外国語を叫びながら飛んでいく誠司。
いきなり大砲にはいった人が飛んでくると思わないファイアドラゴンフルーツは二度見し、そして誠司は頭から突き刺さった。
後世歴史書にて誠司キャノンと呼ばれる必殺技である。
関係ないけどレーヴァテインって名前と持ち主しか設定されてない武器で形状も強さも不明だけど後世の解釈で割と勝手に炎系の剣武器にされたって話知ってる?
「ぐふう!?」
謎の豆知識と共にファイアドラゴンフルーツのどてっぱらにぶっささった誠司。
マジにギーレーしたドラゴンは誠司を引っこ抜くと憂さ晴らしかなってくらいその辺の木や岩に叩きつけてからポイした。
「セージよ、死んでしまうとはなさけない」
「しんでない」
かがみ込んで畳んだ扇子でつっつくマニエラ。
魔力を集めると、扇子を伝達器にして誠司へ活力や生命力を直接ぶっ込んでいく。
「獣の勘が大変だから気をつけろって囁いてきたからジャージできたが……正解だったな。
ちなみに私は攻撃できないからな? しっかり守れよ?」
(──拝啓、カルネくん。今なら君の気持が少しわかる気がします)
鼻血を出しながら立ち上がった誠司は、こうなりゃ自棄だとばかりに大砲ふりまわしてドラゴンへと突撃した。
直後ヴァーっていう炎で頭から焼かれた。
「あああああああああああああああああ」
「いいぞー、その調子でいけー」
畳んだ扇子を噴射機にして消火の魔術(白い粉みたいなやつ)を誠司にぶっかけていくマニエラ。
巨乳水着美女と二人きりのアツいバカンスはまだまだ続く。
●リンゴは当然性のメタファーだって先生がいってた!
「ウィズィの領地のお仕事だもの。私で力になれる事は尽くすわよ!」
「高級ホテルにお泊まり、更には新作のスイーツも食べられる。こういったお仕事も全然アリですともっ」
「南国でフルーツ三昧でリンゴ狩り……」
妖艶なフェイスでI字バランスする『竜首狩り』エルス・ティーネ(p3p007325)。
オシャレな水着で透けたスカートをひらひらさせる『花盾』橋場・ステラ(p3p008617)。
フリルのついたビキニで刀を胸にぎゅってする『断ち斬りの』蓮杖 綾姫(p3p008658)。
金色のリンゴがなる木に囲まれて、誰が望んだのかわからない謎なポーズを三人でキメていた……ところで、綾姫がハッと目を見開いた。
「いけない、この依頼――不自然に美味しすぎます!」
「「――!?」」
バッと同時に綾姫へ振り返るエルスとステラ。あわせてエルステラ。
周囲のリンゴが一斉にぐぱっと牙の突いた口を開き、一斉に木からパージして飛びかかってきた。
バッと同時に周囲のリンゴへ振り返るエルステラ。
「何ですか此処、何かの生物兵器実験場の成れの果てか何かですか????」
「な、なんでリンゴが襲って!?」
とびかかるリンゴに水着のひもをかみちぎられるなんてぇことはなく、油断なくバッと飛び退いた二人はたまたま持ってきていたオキニの鎌と両手剣を手にリンゴをカット。真っ二つにされたリンゴはそのまま地面へと落ちた。
「んもー! びっくりしたじゃない!」
「良いでしょう、やってやろうじゃありませんか!」
「嫌な予感の通りですよおおおおお! もおおおおお!」
綾姫もまた刀を抜き、次々に迫り来るリンゴへとあえて飛びかかった。
複数のリンゴが迫るなかをするすると滑るように通り抜け、直後走った閃きと、かちんと鞘に収める刀。
リンゴたちは振り返ろうとして、すべて真っ二つになって落ちていった。
一方ステラは両手剣の腹に手を当て、もてる魔力を流し込む。
更に自らの肉体にも強化の魔術を施すと、鍛え上げた肉体による筋力とあわせて飛来するリンゴへ剣を繰り出した。
斜めに走った剣が描いたラインにそってリンゴがカット――されると同時にあまった衝撃で木が斜めに切り倒されていく。
「ちょっとやりすぎましたか?」
「大丈夫そうよ。ほら」
エルスが指さすと、きれた木は途中から再生し、そして再び黄金のリンゴを実らせていく。
「それじゃあ、私も――」
エルスは指にくるくると巻き付けたペンデュラムに口づけすると、フウと吹き付けた宙に白い冷気をひろげさせた。
途端周囲の地面が凍り付き、ぴょんとジャンプしたエルスの靴底に氷の刃が現れる。
エルスは舞うようなカーブを描きながらリンゴの間を駆け抜けながら、スピンジャンプでもってリンゴを鎌で切り裂いていく。
「さすがはお二人……これなら楽勝ですね!
私も混沌に来てそろそろ一年、多少の耐性はついてます。何せ今回の水着はぶつかっても脱げない!!!」
と言った直後、背後まで迫っていたリンゴが爆発。
綾姫の肩紐がビリッとちぎれた。
「あっ――!?」
続きは特典DVDでお楽しみください!
●スイーツ・スイート――
「バイキングッ!!」
両目をぱぁっと開き、グーにして両手を胸に当て、エルスはつま先立ちになった。
高級ホテルのレストランといえどそこは町娘出身のウィズィプロデュース。ドレスコードのないややラフなお店である。
水着からちょっとオシャレな私服に着替えたエルスの隣には、ウィズィが紫苑色のドレス姿で立っていた。彼女がオーナーというだけあって、ホテル支配人のご夫人が丁寧に頭を下げている。
「おお、エルスの目が輝いている」
ウィズィは上品に手を振って返すと、ちょっとハンサムに笑って見せた。
自慢の新車をみせるような、もしくは育て上げた愛犬を紹介するような、ちょっと誇らしげな表情である。
それもそのはず。テーブル一面に並んだ美しい食器とスイーツの数々。ケーキはいくつもの種類が並び、横ではベルギーワッフルを焼くスタッフがベリーソースを目の前でかけるのだ。
そしてお待ちかね。
「新作のフルーツ特盛りかき氷! です!」
やってきたワゴンにでーんと胸を張ったウィズィ。
まずはオーナーとして……とかいいながら一個手に取ると、二度三度写メってから一口いった。
「爽やかなかき氷なのに! 口内で熱を帯びた瞬間立ち昇るような甘さ……!
添えられたベリーアイスも繊細な濃厚さ……美味しい!」
「新作かき氷……冷たいものってこれからの時期に良いわね。ラサでも何か参考にしてみたいわ」
続いてエルスもスプーンをとってみたが、食べ始めるととまんないタイプのスイーツだった。
甘みと酸味がギューンとくるやつである。
すごい詳しく説明すると人間の味覚は冷えると甘みを感じにくくなるから果物に加糖することで味を調えるんだけどこれをキツくせず自然に思わせるため果物をよくそえる。一方クロコダイルベリーをはじめとするレア果物は糖度が高く冷やして食べた際の甘みの感じ方が鋭いことからやみつきになる味わいを実現しているのだ。
切り分けたファイアドラゴンフルーツ、ジュースにしてから細かくふわっと粉砕させたゴールデンアップル、そして頂点に輝くシロップがけのクロコダイルベリー。超高級食材による高級スイーツなのだ。
「ただでさえ甘いものならいくらでも食べれるのにこれじゃあ……いいえ、後で運動すれば太らない! 太らないはず!」
そういいながら止まらないエルス。
誠司はといえばソファでのびており、庶民モードにもどったウィズィに『誠司さん聞いてよ! こっちも大変だったんすよ!』てゆすられていた。
「ハチャメチャな果物狩りを経た分、美味しさも倍増しですね……!
とはいえ、かき氷だけでなくバイキングもありますから。
これは順番を間違えると後々後悔する事に……よし、端から全部攻めましょう、そうしましょう!」
ステラは早速バイキングを堪能し始めたようで、ゆするウィズィの横に行って『お姉ちゃんコチラもどうぞ』とスプーンを出していた。
「あーん」
「んーま……こっちのも食べて! はい、あーん! 綾姫さんもごめんねえ、まさかこんなことになるとは思いませんで」
「いえいえ、苦労に見合ったおいしさを期待し――ん~! 美味しいですね! 甘みと酸味のバランスが素晴らしいです!」
綾姫はもう大満足らしく、ほっぺに手を当てて目をぎゅっとしていた。
感情表現が素直。
一方。
「まさか誠司の滞空時間がそんなに長いとは、マギサもよく見抜いたわね?」
「三國の対空時間なんてわかるわけなく無い?アレでもヒトぞ?」
「甘い。素晴らしい」
「ああほら、マリア髪の毛にクリーム付きそうになってるわよ」
イーリン&マニエラの師弟コンビにエクスマリアが加わってなんだかほかほかしていた。
「クロコダイルベリー、ファイアドラゴンフルーツ、ゴールデンアップル、どれも夏には最高の味、だ。(主に親友が)苦労した甲斐が、ある」
「ところでブランデー掛けたかき氷とかある? 新作の中に無い? 作れる? 作れるよなぁ?」
どうやらだいぶ堪能しているらしい二人。イーリンはそんな中で、ふとウィズィの方を見て手袋ごしの指を、唇に立てた。
●
「折角の高級ホテルですし、試食会が終わった後はのんびりお散歩とかもしてみたいですね……直ぐに寝てしまうのも勿体ないですから!」
わーいと言って外に飛び出していくステラ。再びの水着姿。綾姫も『ですね!』て言いながら外へと駆け出していく。
夕暮れのプライベートビーチはしっとりとしてどこか艶やかで、まだ遊びたいワクワクをかきたてる。
「一緒にいく、か?」
声をかけたらしいエクスマリアがマニエラとエルスにも声をかけたが、マニエラはスッと空のグラスを掲げてみせた。
「私はいい。橋場、蓮杖。三國のこと慰めてやってくれんか? いや、ほら、昼間に使いすぎてな。……あ、マスター虎殺しとウォッカボトルオーダーで」
「私も新メニューを考えたくなっちゃったわ。
お酒を使った大人っぽい雰囲気のスイーツとか? ラサの皆はお酒好きだもの。あの方も、きっと……」
エルスのほうはもうなんだかとろーんとしてきたらしくグラスの側面をゆびでなぞって目を細めていた。酔ったというより眠くなってきたのかもしれない。
一方の誠司は、ビーチに立って腕を組み、浜辺で遊ぶ仲間達を凝視していた。
「おっ…………いや、言うまい。野暮になる」
一方の、ホテルラウンジ。
化粧室から出たイーリンの前に、ウィズィが立っていた。
ポケットから出した小指には部屋の鍵。
ウィンクをしてかざす彼女の手に、イーリンはそっと手をおいた。
(二人の時間はこれから)
(夜はきっと、長くなるわ。楽しみね――)
成否
成功
MVP
なし
状態異常
なし
あとがき
――そして夜は更けてゆく
GMコメント
ご用命有り難うございます。黒筆墨汁でございます。
今回はデラックスゴールデンフルーツ諸島を舞台にしたスリリングなフルーツハント、そして高級ホテル『Captain Drake』での優雅な休暇をお楽しみいただけます。
ではそれぞれ順に解説していきましょう。
●今回の相談会場:ホテル『Captain Drake』ロビーラウンジ
広々とした高級ホテルのロビーラウンジです。
カフェを併設しており、ウェイトレスに注文するとドリンクやスイーツや軽食がいただけます。
今回は経費扱いになるのでお好きなものをご注文ください。
●フルーツハント
デラックスゴールデンフルーツ諸島は知る人ぞ知るフルーツハントスポットである。
リンゴやバナナを木からもぎもぎするだけでは済まされない、特にスリリングなスポットとしても知られているのだ。(あくまでマニア間では)
この島の中では巨大ワニのような苺ことクロコダイルベリーや火を噴き暴れ回るファイアドラゴンフルーツ、自爆しまくるゴールデンアップルなど様々な狂暴かつ美味なフルーツが生息している。
狂暴なだけあって棲み分けもされているようで、小さな島々にそれぞれの生息ポイントも分かれているようだ。
今回は3つほどのチームに分かれてそれぞれ目的のフルーツをゲットしにいこう!
1チーム2~3人がベターだぞ☆
では目的のフルーツをそれぞれ紹介しよう。それぞれ別々の島にあるけど島の名前は特にないので、フルーツ名で区別しよう。
一応ガイドがてらオススメメンバーを表示していますが、気分次第で編成を入れ替えたりしてお楽しみください。君だけのドリームチームをつくろう!
・クロコダイルベリー
余裕で人を食う巨大ワニ型苺。
全長5mほどの怪物ですさまじいパワーとスピードを誇る。
ただし勇気を出して飛びつき口を押さえたりボコ殴りにすれば倒せることからパワー系グルメハンターに人気。
→お勧めメンバー:ウィズィ、イーリン
・ファイアドラゴンフルーツ
火を噴き暴れ回る二足歩行型ドラゴンのフルーツ。
赤くて前身にトゲがあり、尻尾の先端についてる巨大モーニングハンマーみたいなヤツが目的の可食部になる。……と同時に、必殺武器でもある。
口から火を噴き尻尾のハンマーを振り回すという暴れっぷりで、一旦敵の攻撃をぶっ喰らってからでないと砲撃射程距離に入るのが困難。高火力の砲撃と高い回復力で一人をゾンビアタックさせる戦法がオススメ!
余談だけど翼っぽい部位はあるけど高く飛べるわけじゃないらしい。そしてこの翼を撃つと上下の動きが制限できるからサポート攻撃をするならココだ。
→お勧めメンバー:誠司、エクスマリア、マニエラ
・ゴールデンアップル
人を見つけると凄い勢いでタックルした後爆発するという凶悪なリンゴ。
見つけたら速効かつ高火力で倒さないとボーンてなってしまうので、攻撃火力の高いメンバーにお勧め。
余談だが、物理的にスパッと切断するたいぷの攻撃に弱いらしい。
→お勧めメンバー:エルス、綾姫、ステラ
●パーティーと宿泊
高級ホテルでスイーツバイキングが開かれます。
新作かき氷の試食会としても今回の八人も招待されますので、パーティーをお楽しみください。
そのあとは高級なお部屋で一晩おくつろぎ頂けます。
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
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