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シナリオ詳細

夏だ! キャンプで楽しもう!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

 深緑。
 自然豊かな、大樹の国。
 巨大樹木ファルカウと、その周囲を覆う迷宮森林が広がっている。
 その濃い自然ゆえに、他国からの進攻を防ぐ防波堤にもなっているが、人が住めないわけじゃない。
 巨大樹木ファルカウには多くの幻想種が暮らしているし、迷宮森林にも部族単位で幾つもの集落が点在していた。
 そのひとつ。
 幻想種が森の一部を開いて作った集落に、キルシェ=キルシュ(p3p009805)は訪れていた。
「カーくん、お手!」
「きゅい」
 でかいリスのような見た目をしたシリミスカーバンクルが、ちょん、とキルシェの伸ばした手に前足を乗せる。
「かわいい~」
 思わずモフるキルシェ。
「きゅきゅ」
 対するカーくんは、されるがままだ。
 元々は、密猟者の罠に掛かった所を保護されたのだが、そのまま居付いた個体。
 何度か森に帰したこともあったらしいのだが、その度に戻って、怪我をしていた頃に住んでいた小屋で寝てたりする。
 その方が安全だと判断したからだろうが、小屋の中で仰向けになって腹を見せて寝てるのを見たりすると、お前野生をどこに捨ててきたと言いたくなる。
 反面、知恵は回るようで。
 人に懐いてみせて、餌を貰う器用さを持っていた。
 ちなみに雑食なので木の実なども食べるが好物は虫なので、そっちをあげた方が喜ぶ。
 あげなければ、村の周囲の虫を勝手に獲りに行くので、最近では村としても重宝していた。
 そんなカーくんとキルシェが戯れていると、声が掛けられる。
「キルシェさーん、テントの用意出来たので、ちょっと見てくれますか?」
 声を掛けてきたのは村人の幻想種、リザだ。
「もう出来たの!? リザお姉さん」
 たたたっと、リザは駆け寄ると、建て終ったばかりのテントを見て目を輝かせる。
「入っても良いですか?」
「はい。むしろ感想を聞きたいので、入っちゃってください」
 リザに頼まれ中に入ると、敷布には植物を編んだ物が使われており、香りが良い。
「結構広いんですね」
 キルシェは小柄なこともあり、テントの中を軽くゴロゴロしてみる。
「何だか楽しいです!」
 キルシェは深緑の生まれだが、名家の生まれで病弱だったこともあり、真新しい経験を楽しんでいるようだ。
 それをリザが微笑ましげに見ていると、商人のリリスとヴァンが言った。
「快適みたいだし、これならいけそうね」
「あとは場所の選定ですね」
 2人が話をしているのは、キャンプの話だ。
 といっても、2人がする訳じゃない。
 あくまでも商売として成り立たないかという話だった。
 リリスとヴァンは、鉄帝で食糧生産計画を進めているのだが、その一環で、植物学者であるリザの協力を得ている。
 それと同時に、深緑の豊かな自然の中で作られる腐葉土などを鉄帝に輸出できないかと考えていた。
 実行するに当たって、協力してくれるリザの村に何かしら利益になることを考えていたのだが、それがキャンプの斡旋。
 深緑の豊かな、豊か過ぎるとも言えるが、そこでキャンプがしたいという人を呼び寄せて、世話をする事で商売にしようというのだ。
 現地で暮らしている村人しては、そんな物が商売になるのかと半信半疑だったので、深緑産まれで幻想種でもあるキルシェが楽しめるかどうかで、その証明にしようとしている。
 そして今、テントの中に入ってはしゃいでいるキルシェを見て、村人としても手ごたえを感じ始めていた。
「深緑産まれの子でも楽しめるなら、他所の人だと物珍しさで喜ぶかもしれんな」
「やってみる価値はあるかもしれんが、場所を気をつけんと大変だぞ」
 収入が欲しい村人としては乗り気だが、下手な場所で勝手にキャンプをされて、あとで何か問題が出るのも困る。
 たとえば焚き火。
 下手な場所で直に火を焚かれでもしたら、森に火が燃え移りかねない。
 なので実際に人を呼ぶ前に、試験的に試してみようという話になった。
「ローレットに、依頼を出すの?」
 話を聞いたキルシェが尋ねると、リリスが応えた。
「ええ。とりあえず好きにキャンプして貰って、そのサポートをこちらがすることで、実際に商売として始める前の試験にするの。もし良かったら、参加してみてね」

 という話があってから数日後、依頼を引き受けたアナタ達は深緑に訪れています。
 キャンプに適した場所を教えてくれるとの話ですし、必要な物も用意してくれるとのこと。
 皆でキャンプをしても良いですし、ソロキャンプを楽しむのも自由との話です。
 さてアナタは、どんなキャンプを楽しみますか?

GMコメント

おはようございます。もしくはこんばんは。春夏秋冬と申します。
23本目のシナリオは、アフターアクションでいただいた内容を元にした物になります。

そして以下が、本シナリオの詳細になります。

●成功条件

キャンプを楽しむ。

●状況

深緑、迷宮森林の中にある、とある集落。
そこに訪れたあと、必要な物があれば用意して貰い、キャンプに適した場所も教えて貰えるので、そこに向かいキャンプをします。
キャンプを楽しめば、依頼は成功になります。

●キャンプ場

以下のような場所が提案されます。

1 川の近くの河原

小さな小石や砂などが広がっている場所。
村の住人も生活に使っている場所で、下手な虫や野生動物が現れないのは確認済み。
皆でバーベーキューをしたりするのでしたら、この場所が向いてます。
大勢でのキャンプに向いてます。

2 木がまばらな小高い場所

深緑にしては、木々がまばらなので、巧くテントを設置すれば問題なくキャンプできます。
地面が腐葉土なので、直接焚き火をするなどは止められています。
その代り、焚き火台などの必要な機材は貸してくれます。
テント以外にも、木にハンモックを設置するなども出来ます。
比較的、静かにキャンプを楽しみたい場合に向いてます。
ソロキャンプ向き。

3 その他

ガチの野生の自然。
サバイバルを楽しみたいという人。
ソロキャンプ向き。

上記の3つの中から、お選びください。
最初に1で参加した後、2や3で一人楽しむ、とかもアリです。

●キャンプの時間

最大で1日。
テントやハンモックなどを張って、過ごすことも出来ます。
あるいは、暗くなる前に引き上げる、とかも出来ます。
自由にプレイングにてお書きください。

●その他

依頼人

リザ&リリス&ヴァン

キャンプに必要な物を村人と一緒になって用意してくれます。
関わっても良いですし、関わらなくても良いです。

●情報精度

このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。

説明は以上になります。

それでは、少しでも楽しんでいただけるよう、判定にリプレイに頑張ります。

  • 夏だ! キャンプで楽しもう!完了
  • GM名春夏秋冬
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2021年06月21日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

クロバ・フユツキ(p3p000145)
背負う者
寒櫻院・史之(p3p002233)
冬結
リディア・ヴァイス・フォーマルハウト(p3p003581)
木漏れ日のフルール
エルシア・クレンオータ(p3p008209)
自然を想う心
クロエ・ブランシェット(p3p008486)
奉唱のウィスプ
星影 向日葵(p3p008750)
遠い約束
イズマ・トーティス(p3p009471)
青き鋼の音色
キルシェ=キルシュ(p3p009805)
光の聖女

リプレイ

 キャンプの準備のため村に皆が集まる中、『特異運命座標』キルシェ=キルシュ(p3p009805)は、はしゃいでいた。
(本で読んだり、話で聞くだけだったキャンプが出来るなんて……!)
 生まれつき体が弱く病弱だった彼女にとって、今日は夢にまで見たイベントだ。
「みなさん、今日はよろしくお願いします!」
 同行するイレギュラーズ達に元気よく挨拶。
 彼女の様子に、『木漏れ日の魔法少女』リディア・ヴァイス・フォーマルハウト(p3p003581)は微笑む。
(キルシェさん可愛いですね。キャンプであんなに喜ぶなんて)
 そう思いながら、喜びを共有する様に声を掛けた。
「今日は、みんなで楽しみましょう」
 応じるように、皆も返す。
 一様に表情は明るく、楽しみにしているのが伝わってくるようだった。
(自然豊かな場所で皆とキャンプだなんて楽しそうです!)
 心を弾ませ笑顔を浮かべているのは、『地平線の彼方』クロエ・ブランシェット(p3p008486)。
(動物さんもいるし、水辺もあるから釣りもしてみたい。わくわくいっぱいです)
 期待に胸を躍らせていると――
「きゅい?」
 シリミスカーバンクルが足元にやって来る。
(かわいい!)
 腰を落とし、そーっと撫でてみるが、逃げ出すことなく、ぴくぴく耳を動かしていた。
 もふもふを堪能し、ハッと我に返ると居住まいを正すように、村人も含めて挨拶する。
「クロエ・ブランシェットと言います、よろしくお願いします」
 これに村人達が返してくれた所で、質問をひとつ。
「釣りに適した場所を教えて貰えますか?」
 これに村人は、現地まで同行して教えると応えてくれた。
 村人に要望を伝えるのは、クロエだけじゃない、
「テント、大きめの物はありますか?」
 気になって訊いたのは、『天色に想い馳せ』隠岐奈 朝顔(p3p008750)。
「その、私の身長は――」
 具体的な数値を伝える。
 背が高いので自分が入れる物があるか尋ねると、ドームタイプで直径が数メートルはある物を用意してくれたらしい。
 建てるのに手間が掛かるので村人が協力してくれるそうだ。
 話を聞いて安心した朝顔は、嬉しそうに笑顔を浮かべる。
「豊穣以外でキャンプなんてした事無いですから、とっても楽しみです!」
(これを機会に、色んな先輩方と仲良くなれたら……!)
 彼女と同じように楽しみにしているのは、『青き鋼の音色』イズマ・トーティス(p3p009471)。
(深緑でキャンプ……深緑のことはまだまだ知らないし、こういう経験ができるのは楽しみだ)
 一緒に向かう皆の笑顔を見て、より気持ちが高揚する。
(キャンプは初心者なんだけど、皆さんと一緒なら安心して楽しめそう)
 皆がワクワクしている中、故郷の世界でのことを思い出しているのは、『若木』秋宮・史之(p3p002233)。
(キャンプなんて何年ぶりだろう。思い出が元の世界で学生の頃に行った林間学校くらいしかないや)
 思い浮かんできた情景に、少しだけ心が揺らぐ。
(うーん、昔のことを思い出すとへこんじゃうな)
 けれどそれは、あくまでも昔のこと。
(ここは混沌なんだし元の世界は関係ないや。せっかくだから羽を伸ばして思いっきり楽しもう)
 気持ちを切り替える。
 皆がキャンプを楽しみにする中、村人に発注しているのは、『自然を想う心』エルシア・クレンオータ(p3p008209)。
「キャンプファイヤー用の薪を増やして貰えますか? ――ええ、可能な限り多く」
 エルシアもキャンプを楽しむつもりだが、それと同時に試しておきたいことがある。
(森をレジャー施設だと思っている方なんていうのは素人同然なんですから、安全範囲は広めに取らなくては何をしでかされるか判らないというもの)
 なので、あえて危険度ギリギリを攻めるらしい。
「火の扱いなら任せて下さい……私が確認を致します」
 確認する、という点がポイントである。
 つまり、燃え盛らせるということだ。
 ちょっと、いやかなり? 心配になる村人とみんな。
(本当に、ちょっとでも燃え広がるようなことがあれば、キャンプファイヤーにタイダルウェイブで水ぶっ掛けて消火にあたれる様にしておきましょう)
 リディアも含め、いざという時は皆で対処できるよう心構えをしていた。
 そんなこんなで準備も終わり――
「皆、準備はいいか!」
 出発を、『死神二振』クロバ・フユツキ(p3p000145)が、皆に呼び掛けた。
 本日は快晴。
 周囲の風は心地好く、空気は綺麗で清々しい。とはいえ――
(ちょっと暑くなってきたな)
 本格的な夏が近付くこの時期、少しばかり汗ばむ陽気だ。
 でも、それもまた、ひとつの楽しみ。
(避暑がてらキャンプを楽しませてもらうとするかな)
 涼しい河原に向けて――
「出発だ!」
 クロバの呼び掛けに応え、皆はキャンプ地に向かう。

 荷物を分担し、時に声を掛け合い歩いていく。
「キルシェさん、重くないですか?」
 テントの一部を一生懸命に持って行くキルシェに、リディアが声を掛ける。
 するとキルシェは、声を掛けて貰ったのが嬉しかったのか、笑顔で応えた。
「大丈夫です。ありがとうです、リディアお姉さん」
 そして笑顔のまま、お喋りに花を咲かす。
「リディアお姉さんは、キャンプで何をしたいですか?」
「スイカ割りをしようと思うんです。村の人に持って来て貰ってます」
「スイカ割り! 楽しみです! ルシェも、お手伝いします」
 目を輝かせるキルシェに、くすりとリディアも笑みで応える。
「ありがとうございます。みんなで一緒に、楽しみましょうね」
 和気藹々としながら現地に到着。

「まずはテントを建てようと思います」
「ルシェも、お手伝いします!」
 同行してくれた村人と共にテントを建ててくれるというリディアとキルシェに――
「分かった。じゃ、俺は料理の担当しようと思う」
 クロバが返し、協力してくれる仲間を募集する。
「一緒に料理したい人は居るか?」
「俺も手伝うよ」
 料理が得意な史之が応えると、続けて言った。
「まずは食材を探そう。ここだと河が近いから、釣りをしてみようか」
「いいですね。私も参加します」
 クロエが応えると、村人に釣りのポイントを訊く。
「あの辺りがお勧めなんですね」
 何箇所か教えて貰い、やる気を見せている。
 皆の応えを聞いて、クロバは笑顔で言った。
「いいね。いっぱい獲れそうだ。とはいえ、魚だけだと物足りないから、森の方に誰か行く人はいるか?」
「なら、私が」
 手を上げたのは朝顔だ。
(料理は……出来ませんけど、材料集めなら!)
 弟達に手料理を振るまった時のことを思い出し、食材集めに集中することに。
 皆の意見を聞いて、イズマが続ける。
「俺は、先にテントを張るのを手伝ってから、河で魚を獲るよ。テントを建てるのに、力仕事が必要な所もあるだろうからね」
「イズマお兄さん、手伝ってくれるんですね!」
「よろしくお願いします」
 キルシェとリディアの呼び掛けに、イズマは笑顔で応えた。
 皆が持ち回りを決める中――
「では私は、当初の予定通りキャンプファイヤーの準備をします」
 薪を持ってやる気を見せるエルシアだった。

 そして、それぞれ開始。

「キルシェさん、敷布の端を持ってて貰えますか?」
「はい!」
 キルシェとリディアが敷布を敷いてテントの設置場所を決めると、イズマが支柱を建てていく。
「こんなものかな?」
 村人達に要領を聞きながら、テキパキ仕事をしていった。

 その間に、収穫も開始。

「獲って来た物があったら見せてくれ。食べられるものと食べられないものの見極めなら得意だ」
 サバイバルスキルのエキスパートなクロバが居てくれるので、皆は収穫に集中できる。
「この辺りですね」
 持ち込みの釣竿を手に、クロエは教えて貰った釣りスポットに着くと、細かくちぎったパンを餌に糸を垂らしてみる。
(初心者だからどうでしょう?)
 のんびりとした気持ちで待つこと暫し――
「え? うわわっ」
 強い引きで釣竿が引っ張られそうになり慌てて引き寄せる。
 少しばかり悪戦苦闘の末に――
「やりました!」 
 鱒に似た川魚を釣り上げる。
 脂がのってるので、焼いても煮ても美味しいとのこと。
「もっと釣り上げますよ」
 張り切って釣りを続け、用意していたバケツに入りきらないほど釣り上げる。
 それを見て、キルシェが歓声を上げる。
「クロエお姉さん、すごいです!」
 リディアと一緒にスイカを冷やしに来たキルシェに尊敬するような視線を向けられ、クロエはくすぐったい気持ちになりながら頼む。
「バケツをもうひとつ持って来て貰えますか?」
 これにキルシェは笑顔で応えバケツを持って来ると、クロエとキルシェとリディアの3人で釣りを楽しんだ。

 女性陣が頑張るのに負けじと、男性陣も魚を獲っていく。

「さて、何が釣れるかな?」
 史之は釣竿をしならせ釣り針を落すと、次々釣り上げていく。
「ヤマメにイワナに、これはアマゴといった所かな?」
 あっという間にバケツを一杯にしていく。
 同じように大漁なのはイズマだ。
「――よし、捕まえた」
 川に入ったイズマは、素手で大物をゲット。
「とと、逃がさないよ」
 1mはある鮭に似た魚を捕まえて、逃げられないよう河原に放り投げた。

 大量に獲れた魚をクロバの元に持って行くと、早速調理してくれる。

「こっちのはバーベキュー用に串刺しにして」
 手際よく鰓や内臓を取り、串に刺して塩を振る。
「シンプルなのも良いけど、もっと凝ったのもあると良いよな」
 というわけで、大きな葉っぱを水洗いする。
「包み焼き、どんな味になるか楽しみだな」
 村人達に勧められ葉っぱを用意して貰ったのだが、未知の味に期待が高まる。
「キノコとかもあると美味いって言ってたが――」
「なら、俺が採って来るよ」
 自分の料理を手早く終わらせた史之が提案する。
 見れば、釣り上げた魚を綺麗に捌き、小さい物は塩を振って串焼きに。
 それ以外は開いて燻製に。
 桜のチップの香りが出来あがりを期待させる。
 燻製は出来あがるのに時間が掛かるので、その間森林浴も兼ねて採取をするつもりなのだ。
「助かる。食べられるかは俺が確認するから、好きに採ってきてくれ」
「分かった。じゃ、行って来るよ」
 クロバは史之を見送り調理を再開していると、クロエとキルシェとリディアの3人が釣り上げた魚を持って来てくれる。
「下拵え手伝いましょうか?」
 クロエの提案にクロバは返す。
「助かる。なら鱗を取って貰えるか?」
「はい」
 クロエが手伝おうとすると――
「クロバお兄さん、ルシェも手伝います」
 キルシェが役に立とうと声を上げると、リディアが提案してくれる。
「それなら私達は食器やテーブルの用意をしましょう。お茶の用意もしたいので、手伝ってくれますか?」
 笑顔で応えるキルシェ。
 そこに一際大物の魚をイズマが持って来て言った。
「これ、調理頼めるかな? あと、何か手伝えることがあれば手伝うよ」
「それなら、森で食材採って来てくれるか?」
 イズマにクロバが応える。
「史之にも採りに行って貰ってるんだけど、食材が多いと料理の幅が広がって良い」
「分かった。なら木の実とかないか見て来るよ」
 イズマは快諾し森へ。

 その間も料理が進む中、着々とキャンプファイヤーの準備は進んでいた。

「……もっと高さに挑戦してみようかな」
 目線と同じぐらいに詰んだエルシアは、さらなる高みを目指す。
「多分、加減を知らない人だと、もっとやらかすだろうし」
 素人の怖いもの知らずを考えると、限界まで挑戦した方が良いだろうという判断だ。
「とはいえ、これ以上は背が届かないね」
 背の高さと同じぐらいになったので小休憩。
 契約精霊達と、あとで水遊びすることを考えて、一緒に河の周囲を歩いていた。

 その頃、森の中での収穫は進んでいた。

「リザさーん、リリスさーん、ヴァンさーん。此処ら辺で食べれそうな果実とかが取れそうな場所とかありませんか?」
 朝顔の問い掛けにリザが応える。
「果物ならあっちの方角にあります。あと、あの辺りだと、兎や猪も居るかも」
「狩り場があるんですか? それならそこに行きましょう!」
 というわけで朝顔は、お肉を狩りに向かう。
 猪がいたので、風下から近付き一気に突進。
 H・ブランディッシュで仕留める。
「やりました!」
「うわっ、すごい! この大きさなら村の皆も食べられます!」
 大物を仕留め、リザ達に喝采される朝顔。
 解体のため、村人達が急いで河に持って行ってくれる。
 そこから木の実や果物を取っていると、史之とイズマと合流。
「きのこ採れたんですね」
「うん。そっちは果物かな? 美味しそうだね」
 採れた物を見せ合い、途中でイズマが気付く。
「……あれ、その食材、見覚えが……ああそれ触手……!? いつ確保した!?」
「折角なので持ってきました!」
 笑顔で応えるリザ。

 十分に収穫が出来たので戻ると、朝顔がエルシアに呼ばれる。

「手伝って貰っても良い?」
「良いですけど何を――キャンプファイヤーするんです?」
 すでに高く積み上げられた薪の記録を更新することに。
「薪を高く積む必要があるなら、高身長故にお役に立てそうですね!」
 頼られて嬉しかったのでどんどん積んで、途中で冷静になって気付く。
「……所で深緑的に炎って大丈夫です?」
「わぁ、ルシェより高いです」
 キルシェが見上げるほどになった。
「キャンプファイアーは丸太を高く積めばいいってもんじゃないんだよ君たち???」
 思わずツッコミを入れるクロバに、エルシアは冷静に返す。
「大丈夫です、問題ありません。という訳で燃やします」
 エルシアの宣言に、皆は反射的に何があっても対応できるようにする。
「……まさか火線砲を乱射するとでも思いました?」
 エルシアは安心させるように笑みを浮かべ。
「さしもの私も、そこまではROOでしかしません……なので、普通のキャンプファイヤーをやりましょう!」
 実際、薪は井の字型に組まれていたりと問題ない。
 ちょっと2m越えなだけで。
「では着火します」
 エルシアが火を点けると、ぐんぐん燃え上がる。
「これは……この場所以外でやると危ないですね」
 温度視覚で周囲の熱分布を見ていたのだが、かなりヤバい。
 見張りで誰かがずっとついてないと危険すぎるということで、止む無く消火することに。

 などというハプニングもありつつ、料理も出来あがったので皆で楽しんでいく。そこで――
「リザ達もせっかくだからどうかな? キルシェたちもノリノリだぞ」
 クロバのお誘いを受け、リザ達も合流し賑やかに盛り上がる。
「この包み焼き美味しいですね。キノコの旨味が良く合ってます」
「燻製も美味しいです」
「香りが良いね」
 クロバと史之が中心になって作ってくれた料理の美味しさに、朝顔にクロエ、そしてエルシアも含めた皆は笑顔になる。
 そこに追加で史之がデザートを振る舞う。
「苦いのが苦手な人がいたら言って、ミルクコーヒーにするから」
 ドーナツと、ギフトでコーヒーも出してくれた。
 食事をとれば、次はスイカ割り。
「キルシェさん、そのまま真っ直ぐです」
「はい、リディアお姉さん」
 キルシェは目隠しでグルグル回り、みんなの誘導でぽこん。
 下手に砕けると食べ辛いので、見事命中させた物を切り分けて皆でシャクリと食べる。
 川で冷やされていて美味しかった。
 そして水遊び。
 川に入って水を掛け合い、はしゃいでいく。
 晩になればバーベーキュー。
「任せて下さい」
 エルシアが着火した燃え上がる炎で猪肉や魚の串焼き、森で採った木の実などを焼いて食べ。
 食べ終われば、イズマがギフトを使い音楽を奏でる。
「リクエストがあったら言って――ダンスミュージック? 大丈夫、できるよ」
 イズマの音楽に合わせ、村人達も一緒になって皆で踊った。
 最後の締めに花火を皆で囲むとテントで就寝。

「今日は先輩方やサポートしてくれた方々のお陰でとても楽しかったです! 有難うございました!」
 にこにこ笑顔な朝顔に、同じ気持ちな皆も笑顔で応える。
 見上げれば綺麗な星空。
(こんなにたくさんの人とキャンプしたのは初めてでした)
 きらめくような今日を心に刻んで、おやすみなさいをクロエは皆と交わす。
 テントに入り、笑顔のまま寝入るキルシェにリディアが――
「キルシェさんにお姉ちゃんって呼ばれてすごく嬉しくて楽しい一日になったよ。ありがとう」
 静かに囁いた。
 皆が眠りに就く中、クロバは夜空を見上げる。
(せっかくのいい月だ、今夜は独り占めさせてくれ……なーんてな)
 深緑の夜空の瞬きは綺麗で、木々のざわめきと川のせせらぎも合わさって余韻のような心地好さを感じさせる。
「……いい一日だった」
 静かに呟いた。

 次の日。
 周囲の片付けも全部終わらせ、夏の日の想い出を作ったイレギュラーズ達であった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

お疲れ様でした!
正直、もっと書きたいかった!
というぐらい楽しく書かせていただきました。ありがとうございます。
賑やかで楽しいキャンプの一日、となっていましたら幸いです。
それでは最後に重ねて。
皆さまお疲れさまでした。ご参加、ありがとうございました!

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