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シナリオ詳細

俺様は四天王の中でも最強

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ねぇ、チームワークって言葉、知ってる?

 ここは、とあるゲームの世界。といっても、数十年に一度の仕事として、魔王が勇者に倒される仕事がある、という魔王軍がしれっと勇者に優しい世界。
 最近、夜空に輝くひときわ大きな勇者が誕生した。新たな仕事の始まりということもあり、魔王も勇者に倒されるべく気合を入れてダンジョンや戦闘員配置の計画を練り始める。

 暗雲の立ち込める魔王城。雷が轟く中、勇者を迎え撃つ、もとい勇者を勝たせるための四天王たちによる作戦会議が行われている。
 その作戦会議の中で、大きな声が響く。
 
「四天王最強は! この俺様だッ!」

 声の主であるバルトルトは、魔王軍四天王の中でも一際体が大きく、鍛えられたシックスパックを惜しげもなく他の面々に見せつけている。
 魔王への忠誠心はとても強いものなのだか、彼には少し残念なところがある。
 
 ーー魔王を含めたほかの魔王軍メンバーは「勇者に倒されるのが仕事」という大前提があるにもかかわらず、バルトルトだけはそれを理解していない点だ。
 
「俺様がいるから今の魔王軍は最強なんだ! 勇者なんて屁でもねェ!」

 ドヤ顔をキメるバルトルト。しかし、この場にいる他のメンバーは「また始まった」と言わんばかりの顔をしている。
 いつもであればこの程度のことで終わるのだが、今日のバルトルトは気合十分。
 誰も予想だにしなかった行動に出る!
 
「勇者が攻めてくる前に、この俺様が勇者をぶっ倒してきてやる!」

 ーーは?

「貴様等は勇者が攻めてくるのが怖いだけだろ!だったら、攻めて来れるほど成長する前にやっちまえばいいじゃねーか!」

 流石にまずいと思ったのか、魔王アレフは口を挟む。
 
「いや、分かるよ? 分かるんだけどさぁ、そこは立ち位置とか人間性とかってあるだろう?だから、その」
「アレフ様までそのようなことを! 我々魔族に人間性もへったくれもないでしょう?!」
「え、あ、まぁ、そうなんだけど」
「と・に・か・く! 俺様はやるぞ! 野郎どもぉ! 行くぞぉ!」
 忠誠を誓うべき相手の話も聞かず、四天王の一角は息巻いて外へ出ていく。
 
「これは……まずいことになった。」
 魔王は大きなため息をつく。
 他の四天王を含め、この城から離れることはできない。
 しかし、彼らの部下クラスではバルトルトを止めることができない。
 
「ねぇ……チームワークって言葉……知ってる?」
 強大な魔王の小さな弱音が、魔王城から聞こえたような気がした。
 

●マジでだれかあいつを止めてくれ

「魔王って言っても、悪い人ばかりじゃないのね。勇者にやさしい魔王がいるって、ちょっと新鮮かも。」
 ポルックスは感心しながら、本のページをめくる。
「でも、全く話を聞いてくれない部下のおかげで苦労しなきゃいけないのも考えものよね。…今回あなたたちにお願いしたいのは、勝手に出ていったバルトルトを止めてほしいの。勇者が魔王を倒すっていう魔族たちの十数年かけて準備するお祭りを、台無しにさせるわけにはいかないもの。」
 パタンと本を閉じ、ポルックスはニコッと笑った。
「王道の勇者が魔王を倒すっていうお話、私大好きなの! だから、無鉄砲なおバカさんのことお願いね。」

 勇者イレギュラーズ一行は、自称四天王最強の暴走を止めるべく旅に出るのであった。

NMコメント

 こんにちは、NMの水野です。
 「奴は四天王の中でも最弱」の対義語って「俺は四天王の中でも最強」では?
 ということで四天王の中でも最強(自称)を倒してください!

●世界観
 剣と魔法のわかりやすいファンタジー世界です。この世界での最たる特徴は、「成長した勇者に魔王が倒される」というお祭りイベントが十数年に一度あり、魔王軍はこのイベントのために全力で準備をしています。
 また、この世界ではつい最近勇者が生まれたばかりです。つまり勇者はまだ赤ん坊です。

●やらなきゃいけないこと
 勇者が生まれたばかりの世界で自称四天王最強のバルトルトを倒していただきます。
 倒す、といっても、殺害するのではなく、戦闘不能に追い込み、魔王アレフに引き渡してください。
 
●状況
 勇者が生まれた村に、部下を引き連れて進攻しようとしています。
 現在地は勇者の村につくにはあと3日はかかる森の中にいます。
 開けたところに出れば見晴らしはよいですが、木々が生い茂っているところだと動きづらいかもしれません。
 
●敵(バルトルト)について
 火属性魔法が得意な筋肉ムキムキの男性です。全身に炎をまとっています。
 ことあるごとにボディビルダーのごとく自分の筋肉を見せつけてきます。割と暑苦しいです。
 しかし、四天王ということもあり実力はなかなかのもの。ひとたび殴られるとやけどは間違いありません。
 しかし火属性は火属性。水は苦手です。
 あとそんなに頭はよくありません。よく言えば肉体派・悪く言えば脳筋です。
 
●敵(その他の雑魚)について
 バルトルトの部下なので渋々ついていってます。ぶっちゃけ戦闘も嫌々やっています。
 正直倒す必要もありません。何ならバルトルトが見ていなければ全然退いてくれます。
 プレイングの必要に応じてこの辺りは設定していただければと思います。
 
●その他
 時が来て勇者が魔王を倒す大活躍をするためにも、ぜひ頑張ってください!

  • 俺様は四天王の中でも最強完了
  • NM名水野弥生
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年06月20日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

鶫 四音(p3p000375)
カーマインの抱擁
アリシス・シーアルジア(p3p000397)
黒のミスティリオン
シラス(p3p004421)
竜剣
新田 寛治(p3p005073)
ファンドマネージャ

リプレイ


「つまり、そういうシステムで成り立っている世界、という事ですか。世界の構造、法則の在り様は千差万別というものですし、そういう世界があっても、それはそれで不思議ではないのでしょう」
 『黒のミスティリオン』アリシス・シーアルジア(p3p000397)は感慨深く呟く。その言葉に、『竜剣』シラス(p3p004421)は「本当、優しい世界だなあ」と相槌を打っている。
「……それを考えると、立場が立場であるにも関わらず重要な事柄を理解していないバルトルトという方は中々の問題人物ですね。」
 アリシスはため息をつく。それを聞いてか、『ファンドマネージャ』新田 寛治(p3p005073)がやれやれ、という顔で彼女の言葉に返答する。
「言うことを聞かない中間管理職ですか。大変ですねえ。まあ、言うことを聞かせられてない時点で、既にガバナンスがガバガバな感はありますが。」
「ふふふっ、またお上手なことを仰いますね。」
 ガバナンスがガバガバ、という言葉に反応したのか、『カーマインの抱擁』鶫 四音(p3p000375)が口を開く。
「情報の共有化って大事ですよね。……あら、共有しても理解できないのですか? それは残念ですね。」
 魔王アレフからの依頼は、『バルトルトを生け捕りにして引き渡すこと』。
 しかし、バルトルトは既に勇者が生まれた村に侵攻を始めている。
「根気よく説得する時間もありませんし。少々乱暴な手段になっても仕方ありませんよね? ふふふふ。」
 四音は微笑んでいる。目は笑っていないが。
「しかし野郎を部下共々に打ちのめすにはこちらの頭数が厳しい気はするね。」
 シラスは少し考えこんでいる。それもそのはず。バルトルトは部下を引き連れて侵攻しているのだ。4人に対して十数名というのは、戦況としては厳しいだろう。
「あぁ、その点は心配には及びませんよ。」
 寛治がシラスに声をかける。
「どうやら、件の彼の部下たちは、嫌々付き従っていると聞いています。ここはクライアントに承諾を得たうえで、他の四天王配下への転属を提案しようと思っています。」
 彼は自信満々な表情をしている。
「それなら、問題ないな。幸い村まではまだ遠い森の中、小細工をする時間は十分に取れそうだ。……よし、行こうか。」
 シラスの杞憂は、解決したようだ。
 4人はバルトルトを迎え撃つべく、森へと向かう。……勿論、魔王に部下たちの転属について話を通した後に。


 森の中で、4人は準備を進めていた。
 シラスは罠を仕掛けたうえでバルトルトを挑発する準備を。
 アリシスは部下の足止めのため、木々の陰に身を隠す。
 四音はバルトルトを引き付けるシラスの支援のため彼が設置する罠の準備を手伝っている。
 そして寛治は、シラスの設置した罠ではぐれた部下たちに転属のための紹介状を。

 各々の準備が終わったタイミングで、『自称四天王最強』が森の中に姿を現した。

「オイ、テメーら! 早くしねぇと日が暮れちまうだろうが!」

 バルトルトの周りには、誰の目に見ても明らかに覇気……もとい、やる気のない目をした部下たちがダラダラと付き従っている。
「よし、行くぞ。」
 シラスはバルトルトの前に躍り出る。
「あぁ? 何だぁ、テメーはよぉ。」
 明らかに舐めているであろう彼の発言を無視して、シラスは大きく深呼吸したかと思うと、大声で自称四天王最強に罵声を浴びせる。
「やってきたな、この暑苦しい木偶野郎。この先に進むなら俺らを倒してからにするんだな!」
「な、何だとぉッ!」
 バルトルトはその額に、分りやすく青筋を浮かべているが、その横で部下の数名がプッ、と吹きだしている。
 彼は部下が陰で笑っていることに気づいていないようだ。
「最強なんだから余裕だろう、それとも赤ん坊の相手しか出来ないってか?」
 お構いなしに、シラスはバルトルトを煽る。案の定、バルトルトは怒りを抑えられない様子だった。
「上等だぁッ! 俺様の怒りを買ったこと、後悔させてくれるわ!」
 狙い通り。部下を引き連れてバルトルトはシラスを追いかけてくる。
 ……そして、一人、また一人と木の間に張り巡らされた蔦で部下がすっ転んでいく。
 転んだ部下が立ち上がってバルトルトについて行こうとするのを、アリシスは見逃さない。
「貴方達に罪はないということは存じ上げていますが、手荒な真似をすることをお許しください……!」
 彼女の祈りを束ねた断罪の光刃が、部下たちを包囲し貫く。死んではいないようだが、このまま戦闘を続行するのは不可能だろう。
「これ以上抵抗をしないのであれば、私も貴方達にこれ以上の危害を加えるつもりはございません。」
 部下たちは武器を捨てて両手を上げる。どうやら戦うつもりは無いらしい。
 無益な殺生はこちらも望みませんから、というとアリシスは背後の茂みに向かって声をかける。
「ひとまず足止めは出来ました。新田様、後はお願いしますね。」
 そういうと、彼女の後ろから黒いスーツをピシっと着こなした転職エージェントーー寛治が姿を現す。
 寛治は見知った者の姿を見つけ、声をかける。
「おや、ご無沙汰しております。暴走型の上司を持つと大変ですね。お気持ちお察しします。」
 寛治は話を続ける。
「実は私、魔王様からお仕事をいただいてこちらに来ておりまして。バルトルトさん、このままだと懲戒処分ですね。」
 部下たちは、確かに、と頷いている。
「このままバルトルトさん配下にいると、連座でみなさんも懲戒処分を受ける可能性がありますよ。今なら間に合います、ここを急いで離脱すれば、ね」
 そうだそうだ、と部下たちは声を上げる。やはりバルトルトの行動そのものは、部下たちにとっても本意ではないようだった。
「何なら他の四天王の部下になれるよう、紹介状をご用意しますよ。」
 転属できるかもしれない、ということで部下たちは大喜びだ。
 寛治は一人一人に紹介状を渡し、部下たちがバルトルトがシラスを追いかけて行った方と逆脳方向へ撤退していくのを確認する。
「さて、転職エージェントとしての業務は完了ですね。」
 フッと寛治は笑った。
「部下の皆様への懐柔策、流石でした。やはり新田様は説得がお上手ですね。」
 アリシスも安堵の表情で彼に声をかける。寛治は、いや、というとアリシスに対して向き直る。
「あなたが足止めをして下さらなければ、この話もうまく通っていなかったかもしれません。チームワーク、というやつですよ。」
 部下への転属の斡旋も終わり、二人はシラスたちのもとへ合流するのだった。

「……ッ! やはり手ごわいな。四天王最強って奴は。」
 寛治とアリシスが部下を説得している間、シラスはバルトルトを引き付けていた。
 最強かどうかは別問題として、やはり四天王の一角。その強さは確かなものだった。
「どうした? さっきまでの威勢はどこに行った?!」
「くっ……!」
 ダメージを受けているシラスと、不敵に笑うバルトルト。
 しかし、シラスとバルトルトとでは、決定的な違いがある。

「陰ながらではありますが……!」
 ダメージを受けていたシラスだが、四音のミリアドハーモニクスにより、体が軽くなるのを感じる。
 そう、彼は……彼らは『一人じゃない』のだ。
 シラスは立ち上がり、ダニッシュギャンビットで嵐のように連撃を加える。
 攻撃が効いているのか、バルトルトはよろつき始める。
 四音が、茂みからバルトルトに向かって語り掛ける。
「最強だろうとチームワークを知らぬ者に勝利は掴むことはできません。取敢えず、人の話を聴く所から始めませんか?」
「小癪なあッ! 人間ごときがァッ!」
 四音に殴りかかろうとするバルトルト。しかし彼の動きはピタリと止まる。
「鶫様、遅くなりました。」
 声のした方を見るとアリシスが七戒で彼の動きを拘束しているのが見える。そこには寛治の姿もある。
「アリシスさん……! ありがとうございます。」
 戦況は2対1から4対1になった。
「ところで配下の皆さんが見当たりませんね。どちらに行かれたか知りたくないですか?」
 寛治が足元に攻撃子加えながら、口を開く。
「残念ながら皆さん、貴方に愛想をつかして転属を決められましたよ。いやはや、最強の四天王でも、カリスマは四天王の中では最弱ですねえ。」
 人間に小馬鹿にされ、バルトルトは怒りから4人に向かって炎を吐き出す。
「皆さんが安心して戦いに専念できるよう。回復支援させていただきます。頑張りましょうね皆さん! チームワークというものを、教えてあげましょう!」
 四音はすかさず、天使の歌で皆を回復する。それにアリシスが応えるように、追撃する。
「最強を名乗る以上は相応の実力ではあるのでしょうが、そうであってもこれならば……! 」
 激しく瞬く神聖の光が、バルトルトを包み込む。何とか立ち上がるも隙だらけのバルトルトに、シラスが止めの一撃を繰り出す。
「いい加減に降参しやがれ、オッラァ!」
 避けきれず、バルトルトに彼の拳が直撃する。それは彼を気絶させるには、十分なものだった。
 倒れている彼を見ながら、四音が呟く。
「でも良いですよね四天王。私達も丁度四人ですし名乗っても。」
 フフッと笑い、彼女は続ける。
「私、奴は所詮四天王の中でも最弱って言われてみたいですね。 」

 その後4人は、バルトルトを拘束し、魔王に引き渡した。
 バルトルトは覚えてろ人間どもめと喚き散らしていたが、その姿に威厳は無い。
「今回は本当に助かりましたよ。」
 アレフの魔王らしからぬ低姿勢に一同は困惑する。アレフは続ける。
「皆様のおかげで、勇者が成長するまでにこちらも準備を進めることができます。有難うございました。」
 ある者は腕っぷしで、ある者は支援で。
 各々の役割を果たした『チームワーク四天王』は、この世界の発展を願いながら、誇らしげに帰っていくのだった。

成否

成功

状態異常

なし

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