PandoraPartyProject

シナリオ詳細

ビソシソは滅びぬ何度でもレタスから蘇るさ

完了

参加者 : 7 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 ビソシソ脱走す――

 その衝撃的な一報は瞬く間にビソシソ界隈に響き渡った。
 ある者は歓喜して虹を吐き。ある者は悲痛なる涙の虹を零したという。
 そう、ビソシソ神話創成期一日目の話である。
「え、何? なんて? もしかして眠かったりします? 寝ます?」
「寝言と思わないでください! これは夢じゃないんです――
 練達七不思議の一つとなったビソシソの話なんですよ!!」
 ハンス・キングスレー (p3p008418)は思わずテーブルを叩いて力説する黎 冰星 (p3p008546)が、眠くて眠くて何か冗談を言っているのかと一瞬思ってしまった――が、どうやら事実のようだ。
 以前捕まえて研究所に売り払った筈のビソシソ……奴は脱走したのだと!
「うう、研究所の警備を全てブチ破って虹まみれにした挙句練達のどこぞへと消えたそうです……今では定期的に変わりまくる練達七不思議の一つとして、怪異の如く君臨しているんだとか……」
 二日目、ビソシソは人々の流した虹で身を清めた。
 三日目、ビソシソは『ヴォエー』と言われた。すると虹があった。
 四日目、ビソシソはその虹を見てヨシとされた。
 五日目、ビソシソは虹を『ヴォエー』と名付け、闇を『ヴォエー!』と名付けられた。
 六日目、ビソシソはまた言われた。『ヴォエーヴォヴォエーヴォエー』
 七日目、ビソシソは人々にレタスを齎し、そこに己が叡智をヴォエーした――
 これらビソシソの偉業を人々は『レインボーの日』と呼んだ。
 そう。練達七不思議の誕生秘話である。
「え、何!? どういう事なんですかそれ!? さっぱり分からないんですけど!?」
「ふぅむ、つまり……ビソシソの影響がかような話を齎す程広まっているという事か。『枕元にレタスを置いて寝ると夜中にビソシソが寝ている人間に向かってゲロをする』――という事だろう」
「どういう理解力なんですかベルフラウさん!!?」
 レインボーなる日が制定された事に訳が分からない状態となっているリディア・T・レオンハート (p3p008325)だが、ベルフラウ・ヴァン・ローゼンイスタフ (p3p007867)の開設によりちょっとは事情が分かった気がしないでもない――
 だが、どうやら補足が必要な様だ。ビソシソはただ寝ている人間に虹をするだけではない。
「なんでもビソシソ様は……夜中に胸毛でそっとレタスを撫でるのだとか。そうするとビソシソの力により――翌朝、レタスの中から失くしたものが出てくるという噂で持ち切りらしいのです」
「そんな事あるのか……? いや普通にデマでは……?」
 あくまでも散々・未散 (p3p008200)は聞いた話を伝えているだけである。望月 凛太郎 (p3p009109)が訝しむもその通りだが――しかし火のない所に煙は立たぬと言うように、真実である可能性も一片だが残っていよう。
 多分。多分ね。いやビソシソにそんな能力あったら怖いけどね。でもまぁ可能性だけならあるかもしれないというか……奴は何者なんだマジで……
「ともあれ――このままビソシソを放置してもおけないわね。このままじゃ、いつか練達全体が虹に塗れる日もそう遠くないわよ」
 物理的にというか、被害者の脳髄がというか。
 ゼファー (p3p007625)は思考するものだ――ビソシソを捕らえるべきかと。
 奴をおびき出すためのストレスは……まぁ何とでもなるだろう。どうやら奴は噂の『レインボー・デー』に眠っている者の枕元に近づくという情報もあるのだ――つまりその日に皆でどこかで一か所で寝ていればいい事。
 ……まぁ初手で虹をぶっかけられる恐れはあるが、まぁ、まぁそれは、まぁ……
「そして失くしたもの――か」
 噂が真実であるならばどんな物でもレタスの中に生み出すのだろうかと。
 誰かが頭の中で思考を――巡らせていた。

 …………でもなんでレタスなんです?

GMコメント

 そんな……あのビソシソが、再び練達に……!!
 以下詳細です!!

●依頼達成条件
 ビソシソを捕獲せよ!!

●フィールド
 練達の街の中です――皆さんは付近のホテルを借りてもいいですし、領地を持ってる人がいればその中で……でも大丈夫でしょう。時刻は昼でも夜でも!
 つまる所、場所だけは自由に選ぶことが出来ます。
 万全の状態でビソシソを捕らえてください!

●ビソシソ
 皆ご存じ謎の生物ビソシソ。
 ストレスを発している者に近づきレインボーをヴォエーするのだとか。前回も現れ、皆さんに酷い事をしましたね……なんと奴は捕まったのですが脱走していたのです。

 その証拠に奴が脱走してから闇市に奴のレインボー・シャワーが出回るようになりました。誰だ流出させてる奴は。
 ともあれいきなり現れては虹をふりかけご飯する奴の存在は徐々に広まっており、なんと練達七不思議(あちこちに複数七不思議があり、随時切り替わりまくると評判の)の一つにも数えられている様です……!

 近頃の行動は一週間に一度『レインボーの日』(或いはレインボー・デー)と呼ばれる時、枕元にレタスを置いて寝ると夜中にビソシソが胸毛でそっとレタスを撫で、ついでに寝ている人間に向かってゲロをする行動を行っている様です。どうして???
 すると翌朝、レタスの中には失くしたものが出てくるという噂もあるようですが……?

 この辺りの真偽の確認と、あとついでにビソシソの虹の被害を食い止めるため、奴を捕まえてください! 先述の通りレタスを置いておけば出てくると思います。多分。頑張って、グッドラック!!

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBISOSHISOです。
 無いよりはマシな情報です。グッドラック。

  • ビソシソは滅びぬ何度でもレタスから蘇るさ完了
  • GM名茶零四
  • 種別リクエスト
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年05月31日 22時05分
  • 参加人数7/7人
  • 相談6日
  • 参加費---RC

参加者 : 7 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(7人)

ゼファー(p3p007625)
祝福の風
ベルフラウ・ヴァン・ローゼンイスタフ(p3p007867)
雷神
散々・未散(p3p008200)
魔女の騎士
リディア・T・レオンハート(p3p008325)
勇往邁進
ハンス・キングスレー(p3p008418)
運命射手
黎 冰星(p3p008546)
誰が何と言おうと赤ちゃん
望月 凛太郎(p3p009109)
誰がための光

リプレイ


 さぁやってまいりました練達の宿泊施設『BISOSHISO HOTEL』へ。
「ううっ、なんですかこのホテル名! おかしくないですか、もうビソシソの浸食が始まってるじゃないですか!! うっ! ビソシソ……思い出すだけでストレスが……!!」
 既にストレスでダウンしそうな『勇往邁進』リディア・T・レオンハート(p3p008325)だが、まだだ! まだ意識を失っては話が始まらぬとなんとか踏みとどまる……! 今回最初から見えそうな領域のストレス圧、こわい。なんか髪に虹を掛けられる夢を見そうな……
「やー困りましたね! 近くのスーパー行ったらレタスが品薄だったんですよ! なんですかね、レインボー・デーの影響なんですかねこれ! 僕買って来たの最後の一玉だったんですけど!?」
「レタスを地域的絶滅危惧種扱いにするとか、あの化け物どんだけやらかしてるんでしょうか……もう概念系統の何かとんでもないモノになってませんかね?」
 同時。とりあえず必要な物を買い出しに行っていた『パンドラの色は虹色』黎 冰星(p3p008546)と『砕けぬ蒼翼』ハンス・キングスレー(p3p008418)が戻ってきたようだ――まぁ買い出しと言ってもつまりレタスの事なのだが!
 というかどういう事なのだレタスって。どうしてレタスなんだ。前回の依頼ではレタスのレの字もなかった筈でしょォおおおお!?
「――レタス。レタス、ですか。レタスは古代より、喪失からの脱出と其の包み込む様な姿から新生、引いては心を鎮め魂の安寧を齎すモチーフと言われておりますからねぇ。かのアウギュスト帝は、常に己が心身と魂を清らかにする為に緑の王――つまりレタスを食していたとか……」
「なんだって――そんな逸話が――!?」
「いえ今さっき考えた嘘ですけど?」
 なんで嘘を!!? 思わず『誰がための光』望月 凛太郎(p3p009109)は『L'Oiseau bleu』散々・未散(p3p008200)の言にすっころびそうになるが――つまりビソシソ関連の話は、赤ちゃんはキャベツ畑からコウノトリさんが運んでくれるみたいなものと同義なのである。
 真か嘘か。そういう領域の話ではないのだこれは!
「ふむ――それにしても我ながらこう言う時に状況を把握し説明する能力が抜きんでていると思うんだが……これは最早神からの宣託。混沌のジャンヌ・ダルクさながらであろう。もうこれスキルとして我が身に降臨しても良いのでは」
 だめです! どこからか聞こえてきた気がする声に『金獅子』ベルフラウ・ヴァン・ローゼンイスタフ(p3p007867)は明らかに反応している様な……こんなジャンヌ・ダルクがいて良いのか……!? いいかも……?
「ていうかさ。よくよく考えると前回はさ、吐瀉物撒き散らして逃げ回る不思議生物をついに生け捕りしたワケよ――でもさ。冷静に考えたら其れを練達の科学者に預けるなんて狂気の沙汰って云うか世紀の間違いって云うか」
 なみなみと注がれた油に火種放り込むぐらいのことをやっていたのでは――?
 『春疾風』ゼファー(p3p007625)はついぞ冷静になってしまう。
 あの時……始末と言うか、もうちょっと別の場所にというか、いやでもなんかビソシソならどうにかこうにか脱出していた気がしないでもないがとにかく。練達の科学者に預ける以外の選択肢があったのではと――
 ……いや過去を振り返ってみても戦いには勝てない、か。
 やむを得ない。今度こそ決着をつける為に――再度奴と出会うとしよう。
 あの虹の怪物……ビソシソと!!

「あとギルオス……逃げたわね」

 ぽつりとある真実に気づいて呟くゼファー。
 『大丈夫。君たちならきっと依頼を成功させることが出来るさ――』
 そういってサムズアップしている某情報屋の影がどこかに見えたとか。後で殴っとくか!


 とりあえず――レタスだ。レタスをどうにか確保せねばならない。
 だが冰星が確保できた数は少ない……これもビソシソの陰謀だというのか……!?
「あ、レタスならありますよ? 折よく、レタスって今が旬なんですよねー
 ウチの菜園に沢山あったので持ってきました! これで大丈夫ですね!」
「ほほう、やるではないかリディア!」
 えへへとベルフラウに褒められればリディアも照れるものだが、これ今から虹に濡れるんだよな……用途を言うとお世話をしている子に本気で怒られそうだからこっそりと持ってきた事は己が胸の内に仕舞っておこう。
「そ、そう……これは決して食べ物で遊んでいる訳ではなく、人の役に立つ事なんですから、許してもらいましょう……とにかく冰星さんの部屋に運んできますね」
「ええ……それにしても良いレタスだわ。みずみずしくて弾力のある触感……
 大玉な見た目に反して軽い重量……」
 葉もまだふんわりと巻いているし、其れに色つやも良い。
 どこを見ても完璧なレタスだとゼファーは惚れ惚れとする様だ。
「そうね。こんな状態の良いレタスならツナやチキンやサーモンを主役に。
 他にも色んな野菜を挟んでサラダロールにして食べるのが良いでしょう。
 素材の味を生かす形が一番よ。このレタスにはそうするだけの価値があるわ――」

 まあ実際はゲロを撒き散らす謎生物の捕獲に使われる運命なんですけど!!

 ああこんな事の為に生まれてきた訳ではないだろうに、しかしこの時期に生まれてしまい、リディアの目に留まってしまったばかりに……なんたる惨事に直面してしまう事になるのか。もはやゼファーには、来世の幸福を祈るより他はなく。
「しかし――練達の宿泊施設に泊まるは良いのだが、私はどうにも馴染みがなくてな……珍しいものばかりで目が回りそうになるよ。冷蔵庫の中には色々あるんだなぁ。ん、なんだこの器具は? 食べ物ではなさそうだが」
 ベルフラウが見据える先。そこに在るのはアルコール類やソフトドリンク……だけでなく、なんだか見慣れないものまであった。なんだろうかこの特徴的な形の器具は? 手に取って観察してみるが、今一つ分からない。
 おや? なんか会員カードまで冷やしてあるようだが???
「しかもここのベッドは回転するのか――?」
 何のためにだ?
 機能を試して顎に手を当て一秒、二秒。
 手元のボタンを押せばムーディな曲が流れ、バスルームはジャグジー。
 これらが指し示す要素とは一体――? ベルフラウは己が抱く叡智の粋を結集させ、思考をフル回転させて――

「ははあん……此処はアミューズメントスポット的な宿泊施設なのだな!
 練達と言えば様々な技術が集っているからな、こういう所もあるのだろう!」

 指を鳴らして納得する! そ、そう! ここは色んな人が楽しめるアミューズメントスポットテーマパークなんですよ……!! いやベルフラウさん、プレイングでこのホテルをそちら系にしないでください。
 ベルフ、ベルフラウさん聞いて!? おい混沌のジャンヌ・ダルク! おい!!
「ふふ――しかしレタスを枕元に置くのが一人でいいだなんて、幸いでしたね。宿泊客が揃いも揃ってレタスを引っ提げておりましたら、其れこそ何かしらの宗教か何かと誤解されましょう。特にこのホテル、名前が名前ですし」
「……未散さん、お酒下さい。飲まないとやってらんねぇので」
「あらあら、アルコールですか? 当然――用意しておりますよ」
 ともあれ随分と眺めの良いホテルだ――
 美味しい食事に夜景を臨みながらの露天風呂。あ、ジャクジーでもいいですね。
 それらで体を温めた後は夜更かししての女子トーク――
「ふふ! ええ、此れはお酒を飲まずには居られませんね!」
 なんかげっそりしてるハンス君とは対照的な意味でお酒を飲みたい未散の顔はほっくほくである。未散さん、もう完全に楽しんでますね???
「あ~情緒ジェットコースターですよこんなの……はぁ」
 新発売ベリー・ストロォング・ジェRO(750ml)を片手で開けて口に含むハンス君。
 思い返すのは少し前の事だ――ふふ、ビンシン君。僕、嬉しかったんだ。

『一緒の部屋に泊まりませんか! 是非、ハンス君と一緒がいいんです!』

 この前そういう風にホテルに泊まろうって誘ってくれて。
 同室で遊んで、こう、友達って感じでさ。
「でもさ――『レインボーシャワールーム2名様ご案内でーす!』とは聞いてないんだよねえ!!? ねえ!!? 今日なの!!? ていうかさぁ!! もうちょっとさぁ!! こう正直にさぁ!!」
「えぇ!? 嘘は言ってないじゃないですか!! 『ハンス・キングスレー!! そう、ハンス・キングスレー!! 僕と一緒にお泊り会と洒落込むのはどうでしょう? いいですね! やりましょう! ヨッシャ! 有難うございます! さすが石油王!』に同意してくれて、そしてちゃーんとホテルに泊まりに来ただけじゃないですかアラブ歓迎!」
「重要なビソシソオプションの話が抜けてるじゃああああん!!」
 翼漬けにしてやろうか冰星この野郎!!
「でもね――皆だって悪いんですよ」
 でも! と前置きして冰星は語る。
 だって寝て誘い込む役に適してる話をしてる時にみんなして僕を見つめてきたから……だからハンス君ぐらいは引きずり込む、じゃない。一緒にいてくれないとやだなぁ、って思ったんです。やですよ僕だけ虹浴びるの!!
「なんだ。他に候補も欲しかったのか――?
 まぁ私が隣で共に寝ても良いのだが、恐らく襲ってしまうのでな。ははは」
「ははは、ベルフラウさんまさか」
「恐らく襲ってしまうのでな」
 なんで今二回言ったのベルフラウさん? しかも目が笑って無くない? 『この』ホテルで襲うとか、ちょ、シャレにならな……!
「まぁとにかく! 誘う人は冰星さんとハンスさんのお二人ですね!! ええ、私たちは二人の被害を最小限に抑える為に、外からですがしっかり部屋の様子を確認しておきますから、安心していいですよ……いやぁ、眼福眼p――げふんごふん」
 なんかリディアから邪な感情も見え隠れしている様な……
 うう。いやだ。絶対にいやだ。でも寝ないといけないのか、どうして……?
 レタスを設置しベッドをセット。ベルフラウが眠りやすいようにとムーディな音楽をサービスで掛けて、あとは冰星達二人っきりにして様子をみよう……
「流石に眠るまで多少時間がかかるでしょうし――それまでは我々は待機ですね。ええ――私好きなんですよ。この、ええと、なんていうんでしょう、言葉が全くでてこないんですが! 旅館とかにある、窓際に設置された向かい合わせの椅子と机の空間……!」
 広縁(ひろえん)と言うらしい。(調べた)
 未散は隣の部屋のそこで待機し、新発売ベリー・ストロォング・ジェRO(ピーチ&パイナップル・500ml)と共に一時を楽しもう――え、ビソシソ? え、あ、はい! ちゃんと捕まえますよ!? ハイ!!


 なんだかんだと騒がしかったが、冰星信じている。
 この戦いが終わった暁には――ゲロをわかちあった仲として熱い熱いホットな友情が生まれるハズだと――! 既に友情にヒビが入ってる気がしますが、まぁ多分気のせいなので問題ありませんねHAHAHA!
 ともあれ冰星はハンス君の持ってきたリーフレタスの匂いを微かに感じながら意識が蕩け始めてきた。うーん裾広がりでオシャレなレタスを持ってくるとは流石ハンス君……100点ですよむにゃむにゃ……
「ビンシンくん……一緒じゃないとやだからね? ね?」
 はは、ハンス君がまるで甘える様に僕に寄り添ってきて……はは、なんだか力が強いなぁ。そんな関節をキメるように雁字搦めホールドしなくたって……あれ全く動けないぞこれ。あれ? あれ?
「ハンス君、ちょっと寝苦しいので少し緩めて――ぉぁえ?」
 瞬間。
 うっすらと目を開けた冰星の目の前にいたのは、虚無の瞳を持つ毛深き存在。
 忘れたくても忘れられぬ絶対存在。

「――ぁ」

 世界がスローモーションになったかのような感覚――あ、これ走馬灯、ぁ。
 ヴォエエエエエエエ――!!
 吐瀉物直撃音! 続いて響くは『イギャアアアア!!』という絶叫!!
「ちょっと男子ィー! 今何時だと思ってるんでしゅか、うるしゃいれすよ……アッ」
 もう完全に役割なんて忘れてアルコールに身を浸していた未散が突入してくれば、ビソシソと目があった。
 即座に扉を閉める。え、やばいやばいやばい目があった!! ロックオンされた!!
「って言うか此処、最上階ですよね!? 純粋に怖い!! どこから入ってき……い、いえ然し相手が怪異であり可視化出来るキャラクターとして姿形を取っているので有れば、恐るるに足ら……ヒャンッ」
 閉めた扉がブチ破られた。
 虹と共にロケットの様に突っ込んでくるビソシソが、未散にヴォエー!
「よっしゃ、ようやく表れたわね!!
 此処で会ったが百年目!(実際は数か月振り) 大人しくお縄につきなさいラリアット!
 あ、ごめん踏んだ!!」
「ぐえ――!! 普通に虹はいちゃう――!!」
 されどまだイレギュラーズは、いる! 窓の脇に待機して気配を完全に遮断していたゼファーが闇夜を駆ける様に襲来する――ッ! 暗くて途中で冰星の腹を踏んじゃった様な気がするけど、ごめんね☆! これは全部ビソシソが悪いの!
 感じる殺意。逃げるビソシソ!
 ラリアットを躱す為にわざわざ上に跳躍して数回転。
 勢い付けて落ちてきて、また冰星の腹が犠牲になればそのまま逃げようとし――
「御用だ御用だ!! 相変わらずどこおから入ってきたのかサッパリですが、何はともあれ食らえカラーボール――あっ、こちらは本物でした!? ビンシンさーん!!」
「うぉぉぉ今だ捕まえたぞビソシソ――!! ってあら? 今縛ったのにどうしてもう外に……あ、やめろ、抜け出たトリックはもういいから、よせ、放せ!! うぎゃ――!!!」
 だが! 気配を察知しリディアも乱入。けれど投げたカラーボールが冰星の顔に直撃し、おおもう何度目の被害か! であればと凛太郎がガムテープ片手にビソシソを捕まえ――たはずが、いつの間にか奴は凛太郎の背後に回っていた……
「凛太郎――!! くっ、凛太郎がやられたぞ!! であえであえ!!
 ビソシソを捕まるのだ――行くぞお前たち――!!」
「あれ!? ベルフラウさん、今一体どこからこの部屋に出てきて」
「細かい事は気にするなハンス!! 襲うぞ!?」
 それはどっちを襲うという意味で!!? 怖いので追及はしなかった。
 とにかく!! ビソシソが目の前にいる!! 消える前に――捕まえるんだ!!
「――お前は、僕よりィ! 遅い!! それはもう解ってるんだ――!!」
 全霊跳躍。ハンスの飛翔がビソシソへと一直線――!
 どれだけ姿を隠そうが其処にいるに間違いはない。
 故に速さ任せに捕まえる! この吐瀉物モンスターは、ここで終わりだ――!!
 身を拘束するように全力で抱きしめて。動き鈍らせ――そこに!
「うおおおおお我が旗は此処に在る! 例え怪物であろうと輝きは不変!!」
 なんかかっこいい口上あげながらベルフラウが片手に持っているのは、さっき待機中にサービスで頼んでいた大人向けお子様ランチで……こいつら待ち時間を自由に謳歌しすぎでは!?
 だが勝てばよかろうなのだ――!
 動きが鈍っているビソシソの口の中にオムライス投擲!
『――!?』
「勝った! 第二部完!!」
 それはフラグ――! かと思いきやビソシソの様子がおかしい。
 まさか――レタスを力に宿すビソシソの弱点は、オムライスだというのか?
 成程。レタスは自然物。だがオムライスは加工物。
 ビソシソの天然の虹に人の手が入ったものは受け入れらないのだ……! タブン。
「やりましたねベルフラウお姉様! そのまま抑えていて下さい!
 用意してきた麻袋にぶちこんでミッションコンプリートです! おりゃーっ!!」
 直後。待ってましたと言わんばかりにリディアが巨大麻袋を被せるのだ!
 上から下まで覆って即座に入り口を締める!
 ……中でめっちゃもがいてるビソシソがいるが。まぁこれで捕まえる事には成功した!
「あっ!! そうだそうそう!!
 さて肝心のレタスの中身は――金歯だ!!? これ失くしてた僕の金歯!!!
 でもなんか虹に染まってるうううううううう!! なんでええええええ!!?」
 マトモな形では戻ってこないというのか……!? ハンス君はなんだろう。え、何? お風呂から出たら石油下着がなくなってた……? それはもしかしたら別件かもしれませんね……
「ふぅ、これで終わりですか――では皆でお風呂に入ってから帰りましょうか。
 冰星さまはアイス奢って下さいね。お高いやつですよ?」
「ガリガリする奴でいい?」
 だめです。最低でもハーゲンしてもらう。
 ともあれ虹をまずは流そう……ホテルのお風呂を利用してから帰還だ。
 今度こそビソシソを捕まえたのだと。皆安堵しきっていた――その陰で。

 麻袋がちょっとずつ破けていたような気がした。

成否

成功

MVP

ベルフラウ・ヴァン・ローゼンイスタフ(p3p007867)
雷神

状態異常

なし

あとがき

 はい!!!!!!!!!!!!!!! リクエストありがとうございました!!!!!!!!!!!
 途中で「何かいてるんだ私は???」となってたのは秘密です。
 最後の描写はどうとでも……! もしかしたら麻袋の破けにすぐに気づけたかもしれませんし、或いは……

 MVPは一番訳が分からなかった貴方へ!!!
 ともあれありがとうございました!!!!!!!!

PAGETOPPAGEBOTTOM