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シナリオ詳細

山賊たちの台所

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●うるせぇ俺を巻き込むな!
 俺サマの名はバスク。この山をシマ(拠点)に強奪の限りを尽くす山賊だ!
 港町と付近の街の中継地となるこの場所にゃ、何も知らずにノコノコとやって来るマヌケどもがごまんと居やがる。そいつらから通行料を巻き上げるのが主な仕事ってえ訳だ。

「ふんふんふ〜〜ん♪」

 そらきた、噂をすればマヌケ野郎のご登場だ。呑気に鼻歌なんぞ歌って気楽なもんだぜ。
「どうしやすかぁ? ボス」
「んなの分かってんだろ。この山のルールを教え込んでやれ」
「ルール? そんなのがあったの?!」
「ったりめーだろ、山賊の住む山にゃルールがつきもの……って、何しれっと話に混ざってやがる、マヌケ野朗ッ?!」
 こいつ、いつから俺たちの側に居やがった?!
 足音もなく、気配もなく、まるで隠密のプロの様な……
「マヌケ野朗じゃないよ。僕は蒼矢。境界案内人の神郷 蒼矢(しんごう あおや)っていう立派な名前と肩書きがあるんだから!」
「んな事ァどうでもいいんだよ!
 チッ、馬鹿にしやがって……。俺サマをコケにした以上、容赦はしねぇ。どう調理してやろうかーー」
「僕、奢って貰えるなら肉料理がいいな! 山の幸っていったら山菜なんかも捨てがたいけど」
 その調理じゃねェーーッ!
「ボス、火起こしと鍋の用意が出来ましたぜ!」
 話にのっかるんじゃねェェーーッ!!
「さすが山賊……手際がいいね! でも僕達、チーム『特異運命座標』だって負けないよ!」
「この山でチーム『バスク山賊団』にお料理対決を挑むなんざ、海中で鮫に挑むようなもんだぜ! ……ですよね、ボス!」
 俺まで巻き込んでんじゃねェェェーーッ!!!

●いいから戻って来るんじゃねぇ!
「……っていう事があってね、急いで君達を招集したって訳さ!」
 境界図書館、会議室。事情を説明している蒼矢は怪我のひとつもなく、五体満足の健康体だ。
 事の次第を聞いていた特異運命座標のうちの一人が、ゆっくりと手を挙げる。

ーー無傷で帰って来れたなら、わざわざ戻る必要ないのでは?

 蒼矢は露骨に「あっ」という顔をした後、だらだら汗を流しながら明後日の方向を見る。

「い、いや〜でもメンバーを連れて戻るって約束しちゃったし! とりあえず一緒に頑張ろうねっ、特異運命座標!」

NMコメント

 今日も貴方の旅路に乾杯! ノベルマスターの芳董(ほうとう)です。
 山賊とのお料理対決、ファイッ!!(ゴングの音)

●目標
 料理を振る舞って山賊を撃退する

●場所
 異世界『ハートフルキッチン』
 食を通じて人の心を揺さぶる事ができるお料理バトルの異世界です。
 極端においしい料理or極端にまずい料理を真心を込めて作り、食べさせる事によって喜怒哀楽を呼び起こしたり悪人を改心させたり不思議な作用を起こす事が出来るのだとか。
 食べた瞬間、超次元お料理漫画みたいな強めの幻覚まで見えることもあるそうです。

 調理場所は近くに水源もある森の広場。調理器具や食材は境界案内人に手配してもらったり、自分で持ち込み事ができます。

●お料理バトルについて
 互いに作った料理を食べ合い、リアクションの大きさやら幻覚やらのノリで勝敗が決まります。
 戦いたいけど敵の料理を食べたくないなーとか、自分の料理を他の人に食べてもらいたいなーという人は希望を書いてください
 また、戦いたいエネミーが相談でかぶってしまった場合でも2VS1で勝負はできます。場合によっては司会者も巻き込まれます。

●エネミー
 バスク山賊団四天王
  オープニングでノリノリで料理の支度を始めたバスクの手下達。
『炎の山賊料理人』エイジャ
  マグマのような熱々のスープを作るのが得意。食べさせた相手を一時的に熱血させるそうです。
『水の山賊料理人』ナリタ
  繊細な飴細工を作り出す料理人。食べさせた相手のテンションを一時的に下げた料理するようです。
『風の山賊料理人』フーガ
  優雅に舞って麺を伸ばす、麺職人の料理人。作り出すラーメンは一時的に食べた者の厨二力を上げるとか……。
『土の山賊料理人』ダイ
  肥沃な土地で育った山菜を巧みに調理する料理人。彼のキノコ料理は食べさせた相手を一時的にへっちな気分にーーあ、描写は全年齢向けになりますよ!

●司会者
『山賊団リーダー』バスク
  面倒くさくなってきたので早く帰りたいと思っている山賊団のリーダー。何だかんだで部下思いなので司会者席に座る事に。
  鳶色の目と赤茶の髪。体躯のいい髭面の男で、強面です。

『境界案内人』神郷 蒼矢(しんごう あおや)
  ノリノリの司会者。調理器具や食材調達のサポートもしてくれます。食い意地が悪く、腹ペコです。

 説明は以上です。それでは、よい旅路を!
 

  • 山賊たちの台所完了
  • NM名芳董
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2021年06月01日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)
優穏の聲
アーマデル・アル・アマル(p3p008599)
灰想繰切
蓮杖 綾姫(p3p008658)
悲嘆の呪いを知りし者
皿倉 咲良(p3p009816)
正義の味方

リプレイ

●
『さぁ始まりました、特異運命座標VS山賊団のお料理バトル!
 司会は僕、境界案内人・蒼矢と山賊団リーダー・バスクさんでお送りします! バスクさん、何か一言!』
『帰りてぇ』
『山賊らしい塩対応ありがとうございます! なんて話しているうちに、早くも大技を見せている料理人がいるぞー!』

「ホァターーッ!」
 煌めく熱湯の雫を振り撒き、さながら天駆ける龍の如く麺の湯切りが行われる。『風の料理人』フーガのパフォーマンスに沸き立つモブ山賊達。
「さっすがフーガ様、迫力が違うぜ! ただの湯切りだけど」
「俺なんか火傷怖くてあんな豪快にできねーもん! ただの湯切りだけど」
「大変だぁーっ!」
 そんな中、息を切らせて他のモブ山賊がギャラリーを割って入る。どうしたと聞かれると、彼は震えながら対岸の調理スペースを指した。
「見てみろよ、あれ!」

 じゅわっ! と炒められた野菜がコンソメの香りを辺りに振りまく。程よくしなったところで厚切りベーコンが投入され、彩りも美しくーー
「なんって美味そうなんだァ!」
「えへへ、ありがとうっ!」
『正義の味方(自称)』皿倉 咲良(p3p009816)はすっかり山賊達のマドンナだ。愛嬌いっぱい、それでいて料理の手際もいい。
『ここで咲良選手からもらった調理コメントを読み上げるね! パスタ1束、キャベツ50g、タマネギ100g……フツーに今回のレシピだこれ!』
「あのメモってそういうの書く欄じゃなかったの?!」
 天然なのもご愛嬌。けれど美味しい好機は逃さない!
「さぁ、召し上がれ! 野菜ガッツリペペロンチーノだよ!」
「こちらも完成だ。山賊流暴風醤油ラーメン……いざ、尋常に!」

 実食タイム!!

「…ッ!? これは!」
 フーガの料理を口にした途端、咲良の眼前に河原の光景が広がった。フーガは不敵に咲良へ語る。
「どうだ、口の中で風が騒がしいだろう」
「でもこの風、歓喜で嬉し涙してるよ……!」
「急ごう、風が止む前にーー」
『咲良の作ったペペロンチーノ、あまりにも美味ーーいっ! ヘブシッ!?』
 横から入ってきた蒼矢がぶん殴られた。ここまでがお約束である。
「馬鹿な! 俺の料理結界を割って入るほど美味い料理など…あまりにも美味ーーい!」
 ニンニクとコンソメの香り、野菜の歯応え、そして厚切りベーコンによって担保されたボリューム感!
「やっぱりお料理って面白いね! その人によっての『美味しい』が見えるじゃん!すっごい良いよね!」

――勝者、皿倉 咲良!


「私は料理は趣味程度で、そんなにすごい腕前という訳でもないのですが…あつっ!」
『断ち斬りの』蓮杖 綾姫(p3p008658)は周囲の変わり様に驚いた。眼下に広がるマグマの海。調理場が切り立った崖の上へ変わるとは!
「勝利の秘訣は香辛料! 刺激的な香りは目や耳に入り、食する前から我が結界に獲物を引き込むのだ!」
 高笑いする炎の料理人エイジャ。周囲では司会も山賊達も、灼熱地獄にすっかりヘバってしまっている。
『あっつい~なんとかしてぇ~』
「勿論です。このような場に立った以上は全力を尽くさせていただきます!」
 相手の料理の影響か、既に火が点いたように咆える綾姫。煮え立つ様な暑さの中でフライパンを手に、ごま油で具材をジュワッと炒めて香りを引き出す。鍋に移して水と調味料を入れれば、待つ事もなく煮立つスープ!
(マグマのせいで温度の調節が難しい…これがお料理バトルの厳しさという事でしょうか…けれど!)

「できたぞ!」「できました!」

 情熱のままに作って作って――ほぼ同時に完成させるッ!
「喰らえ、炎の極熱麻婆スープ!」
「なんの! こちらは野外での汁物の定番――具沢山で精も付き体も温まる豚汁、どうぞ!」
 互いに出来上がった料理を交換し、実食する事しばし。

「あ、熱っ! 舌が焼けそうです! …しかし、この熱さの中に隠れた旨味。
 最初は熱さに怯みますが、それでも不思議と匙を止められない。中々やりますね!」
「貴様こそ、この豚汁…一見普通と見せかけて、何とも丁寧な仕事だ。里芋、しょうがにニンニク…一口すするだけでスタミナがつく。
 そこに繊細な長葱のシャリシャリ感が合わさって、心を掴んで離さない!」
「それだけじゃありません。私はさらにひと手間!」
『おぉっと綾姫選手! ここで傍らに隠していたベールを剥いだぁっ!』
「そっ…それは!!」

 鮭と梅干しのおにぎり&TAKUAN!!!

「最強にして王道ーーッツ!!」
 あまりの衝撃に足元から爆発するエイジャ。
 煤だらけになりながら、彼は綾姫に近づくなり――ガッキ! と固く握手を交わす。
「やるな、綾姫とやら…その用意周到さ、見事の一言に尽きる!」
「ふっ、私の豚汁に負けず劣らずの出来栄え。流石と言わせていただきましょう!」

――勝者、蓮杖 綾姫!!


「二勝どころで騒ぎ立てないで欲しいんだよね。フーガもエイジャも四天王の中では最弱で――うっ、何このニオイ」
「…種無しパン?」
「いや、何で作ってる本人が疑問符なの?」
『霊魂使い』アーマデル・アル・アマル(p3p008599)がこねている黒紫色のパン生地からは、ほこほこと虹色の煙が立ち上っている。
 これにはローテーションの『水の山賊料理人』ナリタも動揺せずにはいられない。
「オタク特異運命座標ってのの代表で来たプロ料理人じゃねーの?」
「俺はほぼ素人だ。前々から居候先のカフェバーで手伝いをすると丁重にお断りをされる事が多くて…旨い料理を供えないと出られない部屋では、判定センサー壊れてんじゃないか? ってくらい開かなかった」
「いやそれ普通に不味いだけっしょ!?」
「分からない。だから今日はこの依頼を引き受けたんだ」
 だってここに来れば強制的に相手が"食べてくれる"のだから。
「誰かに食って貰わないと、どこがどうおかしいのか分からないだろう?」
 アーマデルは自分なりに微笑んでみせたつもりだが、表情の起伏が顔に出にくい分、ナリタにはそれが不気味なほど冷徹な眼差しに見える。
(ど…毒殺される!!)
「前回作ったカレー(?)は確か、食った友人がいきなり小さくなったな。あれは未だに納得がいかない」
「あ…あ痛たたた! 急に腹痛が!こりゃバトルを危険するしかねぇなーッ!!」
 アーマデルが調理している横で、唐突に腹を押さえてのた打ちまわるナリタ。司会の蒼矢が席から身を乗り出す。
『おぉっとナリタ選手、まさかの棄権です! これはアーマデルの不戦勝だー!』

 勝利したにも関わらずアーマデルの表情は曇ったままだ。なにせ食べて欲しいのだから。
 出来上がった種なしパンの入ったバケットを抱えて俯いていると、無遠慮にそのパンを掴む無骨な手があった。
「しょっぺぇ。あと硬すぎだろ。年寄りに食わせたら歯ァかけるぞ」
 ひとしきり辛口なコメントを残してから、バスクはごくりと飲み込み、また頬張る。
「ま、素人にしちゃ上出来なんじゃねぇの」
「バスク殿…」
「んだよ、ソースでもあるんなら先に出しとけや…ッ!?」
 ぐぎゅるるるる!!
「大丈夫だ、よく効く胃薬の用意があるぞ」
「おま…最初からそのつもりで…」
 倒れるバスクの口にザラザラと胃薬を流し込み、盗賊団の下っ端がタンカで運ぶのを見送る。
 姿が見えなくなった後、アーマデルはぽつりとつぶやいた。
「俺だけ料理、食べ損ねてしまったな」


「すでに三勝となれば最早戦うまでもないが…」
『あ、じゃあ今回勝った方にボーナス+3勝にしよっか!』
「君はどちらの味方なんだ?」
 突拍子もない蒼矢の提案に『天穹を翔ける銀狼』ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)は額を押さえた。
 蒼矢を普通に帰す間抜けさといい、自分達が戻るまで2日ほどこの場で待っていたという話といい、今回の敵はどうにも律儀すぎる。
 ここはバシッと料理バトルに勝利するしかあるまい。さもなくば可哀想だ――敵側が。

「ンフフ、あーたがアタシの対戦相手? なんて可愛い子羊ちゃん♡」
「子羊が愛らしいのは当然だ。……それはさておき、私を子羊扱いか」
『土の山賊料理人』ダイを名乗る男は巨躯の男でありながら、動きは女性のように滑らかだ。
 調理の手際の良さにただならぬ強者の圧を感じ、ゲオルグもまた本気で挑む。やがて完成した料理は――

「できたわ♡ これが究極の山料理――こんがりキノコのチーズフリットよ!」
「山の幸には海の幸。海鮮天丼だ! ……決して、ちょっと海老の天麩羅とか食べたかったからこのメニューにしたとかではないのだ」
「ホントにぃ?」
「嘘です、天丼食べたいって思ってました!」
「やだぁ子羊ちゃんたらお茶目さん♡」

 唐揚げとはまた違うサクッと軽い衣の食感、それに包まれた具材――甘辛いタレが生み出すハーモニーを白米と共にかき込む贅沢!
 ざっぱぁん! と衝撃の波がダイを激しく打ち付ける!
「いやぁん! メイクが落ちるほど美味しいじゃないッ!」
「美味しさの暴力をその身に受けるがいい、ふははははっ!」
「やるわね。さあ、次は私の愛情たっぷり手料理を食べて貰うわよ!」

 事前に聞いた情報では、ダイの料理は食べた瞬間ちょっとえっちなリアクションを取らずにはいられないという。
 女子供にそれをさせる訳にはいくまいと、ゲオルグは身体を張る――つもりだった。

「皿が空だぞ?」
「嘘よ、全部そこに盛り付けて…」
 カリカリ。咀嚼音にゲオルグとダイが振り向けば、そこにはなんと何も知らずに料理を楽しむにゃんたま達の無防備な姿が!
「シロ、ユキ、トラ、クロ、ミケ! それを食べては駄目だ!」
 時すでに遅し。ぽわぽわ頬を染めたにゃんたま達が、一斉にゲオルグの方へ押し寄せる!
 なでてー、かまってーと擦り寄り甘えるにゃんたまを無下に出来ず、面倒を見てやるゲオルグ。微笑ましい光景にダイは思わず涙した。
「尊い…あーしの完敗よ。覚えてなさいな、特異運命座標!」

成否

成功

状態異常

なし

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