シナリオ詳細
全てを溶かし、全てを無に帰す
オープニング
●全てを溶かし、全てを無に帰す
「……そうか、これが……あの『スライム』の力か……は、ははは。面白い! これは面白いぞ!!」
と、ROOのネクストの一つ、『エメラルド』。
目にも鮮やかな一面の迷宮森林……が広がるこの地には、ひっそりと隠れるように様々な遺跡が点在している。
そんな遺跡の中に、どこから紛れ込んだのかは解らないが……白衣に身を包んだ男が居た。
彼の目の前には、何かが溶かされた跡。
地面の土、何かの工作物である木、衣の切れ端、そして弓矢の鏃の鉄……等々、様々な素材であるが、それら全てが溶かされていた。
「本当に居たんだな! 『何でも溶かすスライム』というのは……! こ、これさえあれば、私の研究も大幅に進むはず! 後は……このスライムを探し出すだけだ……!!」
ぐっと拳を握りしめ、大笑いする彼。
……だが、そんな彼の元へと、ひっそりと近づいてくる影。
地面を這い寄り、出来る限り視界に入らないようにするのは……不定型な姿をした、青、緑、黒めの色をしたスライム達。
その影に気づかず、遺跡を歩いて行く彼は……スライムを踏みつけてしまう。
「あつっ……!?」
刺すような痛みを脚に感じた彼。
だが……既に彼の周りには、多くのスライム達が包囲しており……逃げる足場など、一つも無い。
更に脚は、まるで焼けただれたかのような状態で……それ以上歩こうには、かなりの激痛で、もう歩けない。
「ちっ……まじかよ……!?」
唇を噛みしめた彼は……もはや死は免れない、と覚悟を決めるしかなかった。
●
「あー、イレギュラーズの皆さん。最近ROOの世界で色々と事件が起こっている様ですけど、皆さんログイン出来るですよね?」
と、ユリーカはイレギュラーズ達に問いかける。
それに頷いた君達へ、良かったです、と笑顔を浮かべながら。
「ええとですね、このROOの世界に色んな人が閉じ込められている、というのも勿論知ってますよね? 再現性東京の学生さんとか、練達の技術者さんとか……」
「皆さんからの断片的な情報を集めた結果なのですが、どうやら翡翠にですね……練達の技術者さんが閉じ込められているらしいのです!」
胸を張るユリーカ……だが、正直な所、詳細な情報は無くて、彼女が知れるのは場所くらい。
「ROOの『エメラルド』には、色々と遺跡がある様なのですが、この遺跡に研究者が研究素材を探しに歩き回っている様なのです! 閉じ込められているのに、研究を進める為に、歩き回っている様なのですよ」
「でも、そんな研究者さんを放置しておくと、事件に巻き込まれてしまいかねないのです。だから早々にROOの世界から引き戻してきて欲しいのです!」
「ただ、何だか嫌な気配が凄くするのです……かなり厳しい事件になりそうなのですが、きっと皆さんなら大丈夫だと思うのです。宜しく頼むのですよ!!」
と、ユリーカは拳を振り上げるのであった。
- 全てを溶かし、全てを無に帰す完了
- GM名緋月燕
- 種別通常
- 難易度HARD
- 冒険終了日時2021年05月29日 22時05分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●溶解者
深い森の広がる森林地帯、エメラルド。
その森の中に隠れるように……ちらほらと点在しているのは、蔦や枝葉が絡みつくように成長し、どこか不気味な雰囲気を醸し出している迷宮森林。
「……今回の依頼は、迷宮森林の遺跡内に囚われた研究者の救出……と……見るからに面倒そうな内容ですね……加えて追加条件として、一匹以上スライムを捕獲してきて欲しい、という事の様ですね……」
と、『どこまでも側に』ミドリ(p3x005658)が、ログイン前の依頼内容を改めて確認する様に呟く。
それに『君の手を引いて』ディリ(p3x006761)が頷きながら。
「そうだな。練達、スライム……なるほど、碌な事が無さそうだ……いや、ただ単純な話ではなく、今回は真面目に危険性の高いスライムらしいな。R.O.Oの中じゃなければ相手したくないぞ、強酸性だなんて」
肩を竦めるディリに、ええ、と頷くミドリ。
2人の言う通り、今回ログインしたイレギュラーズに渡された依頼は、このR.O.Oの世界に迷い込んだという練達の研究者を救出してきて欲しい、という物。
とは言え研究者からすれば、ここのスライムの【何でも溶かす】力に魅入られているので、彼を納得して帰らせるには……スライムの確保もまぁ、必要であろうという話。
「おうおう、練達の研究者ってーのは、ゲームの中でも無節操かつ無鉄砲だな? 世話が焼けるぜ、まったく……」
と『Lightning-Magus』Teth=Steiner(p3x002831)が溜息をつくと、それに『マニエラ・マギサ・メーヴィンのアバター』リアナル(p3x002906)と『無法』天魔殿ノロウ(p3x002087の2人も。
「なんでも溶かす……って、なんかあったな、そんなクソみたいな問題」
「ああ。これが研究の役に立つだなんて……何の研究してんだコイツは。毒物とかか?」
「かもしれないな。ま、腹を空かせた獣・罠の部屋・全てを溶かすスライムのどれなら生き残る可能性があるか……ってアレだ。全てを溶かすなら地面を溶かすから……とか、そんな理由で言われて居たが、今回は関係無いか」
「……そうだな。ま、話を聞いてると、ちょっと興味は出てきたもんだ。このまま死なせるにゃ惜しい。って訳でさっさと助けるとするか」
ただ『このゆびとまれ』ポシェット(p3x002755)とコル(p3x007025)は、そんな仲間達のいぶかしむ考えとは違っていて。
「そうだねぇ……研究者の人、なにを研究しているのかな? 研究ねっしんだよねー。きっとすごいことだよねー! そんなすごーい研究者さんを、がんばってたすけてあげよう! 世界平和のために!!」
「そうだね。スライムかぁ……べとべとはいやなんだけど、でもちゃっちゃと退治して、ロベリスクさんを助けないとね!」
「うん、がんばるぞー!」
練達の彼が、何故何でも溶かす液にここまで魅入られているのかは解らないし、とてもそれが平和の為に使われるようには正直思えないのだが……。
でも2人からすれば、とっても素晴らしい事をしている、と映っている様で。
「まーまー、ロベリスクにーを見殺しになんて出来ないもんな! スライムは厄介だけどよ、おれたちの力があれば大丈夫ってな!」
と『絶対妹黙示録』ルージュ(p3x009532)がニッ、と満面の笑みを浮かべて拳を振り上げると、それにディリとミドリも。
「そうだな……ここでなら多少以上の無茶も出来る。一つ持って帰るのも視野に入れておくとしよう」
「ええ……方法としては皆様が上げておりましたが、凍結させる事。或いは何かに染みこませる……という案も挙げている方もおりましたね……珪藻土などを詰めた瓶を用意しておきました。後は空の瓶も……」
「ああ色々用意してくれたんだな……どれかが上手く行けばいいが。とはいえ、彼はスライムに取り囲まれているらしいからな、兎に角急ごう」
とディリが仲間達を促し、イレギュラーズ達は彼の潜り込んだ迷宮森林へと急ぐのであった。
●人を喰らう
……そして、迷宮森林に足を踏み入れたイレギュラーズ。
鬱蒼と生い茂る木々が日の光を遮り、薄気味悪い雰囲気に包まれているこの迷宮。
勿論そのような場所に人気は無く、当然静寂に包まれている。
「……本当、静かな場所だな。その何もかも溶かすスライムさえいなければ、普通に探索してみたりしたい所だが……」
「そうですね。スライムさえいなければ……ちょっと、面白そうですし」
Tethにくすりと笑うコル。
まぁ……恐らく研究者の彼も、今回のスライムにそこまでの危険はないと考えた上でやってきてしまったのかもしれない。
しかし、そんな油断こそ命取りになりかねないのがここ、R.O.Oの世界。
誰にだって死に得る可能性があるけれど、それが極端に起こりやすいのがこの世界。
「……逃げてるつもりでいつのまにか奥に行っていたとかあるからな。そりゃ洒落になんねェだろ」
「うん、そうだね! だからオレ達が来たって訳じゃん! さーってと、どこかなどこかなー?」
ノロウに頷きつつ、ルージュはモノクロスコープ越しに周囲を確認。
暗視の効果で、うっすらと障害物の場所を確認するルージュ。
更にTethの腰にくくりつけたランプと、ポシェットの『群生星垂』で灯を確保する事で、特に障害を感じる事無く遺跡の中を進んで行く。
そして……迷宮に足を踏み入れ、暫しした時。
『……ぎゃあああ!!』
静寂に包まれた迷宮森林に、突如響き渡る絶叫。
その絶叫は遺跡の静寂を劈く。
「……あちらの様です」
「解った……小瓶の用意は大丈夫だな?」
「ええ」
ディリとミドリが頷き合い、その手には小瓶が二つ。
一つはそのまま、もう一つは珪藻土を入れてるという工夫をしたもの。
勿論現時点では情報が少なく、それで上手く行くかは解らないものの……研究者の目的を、どうにか実現出来るように考えた作戦。
「良し。では急ぐとしよう」
とリアナルが仲間達を促しつつ、絶叫のした方向へと急行。
そして……。
『やめ、あっ……痛っ!!』
スライムの群れが全方位から近づいてきて……その消毒液で、彼の靴諸共溶かす。
さすがにその激痛に脚を引っ込め……更に包囲網は狭まっていく。
と、そこへ一斉になだれ込んでいくイレギュラーズ。
「研究者のにーちゃーーん! 大丈夫かーー!!」
大声で叫びながら割り込むルージュ。
突然声を掛けられ、驚く彼だが……それよりも周りをスライムに囲まれていて、逃げ道がないという事の恐怖の方が大きい。
『……た、助けてくれええ!!』
「早速襲われちゃったか。解ったちょっとだけ耐えてくれよな!」
そうルージュは言うと共に、即座にTethへアクティブスキル3で飛行を付与。
更にポシェットが。
「にんぽう、むささびの術! にんにん!」
と「にんじゃごっこ」で、仲間達に「飛行」効果を付与。
「これでみんな、スライム踏んじゃわないかな、みんながんばれー!」
そう満面の笑みで仲間達を送り出す。
「ありがと、ベトベトを踏まずに済むのは助かるわ」
「ああ。良し、先ずはロベリスク救助だ!」
コルとTethが声を掛け合い、そして飛行効果で足元のスライムを飛び越え、ロベリスクの間近へと降り立つTethとリアナル。
『な、何だよ、おいこれ!?』
突然のスライムの襲撃と、溶かされた痛みに涙目で絶叫しているロベリスク……それに攻撃しようとするスライムだが、リアナルは身を呈してカバー。
決して彼に攻撃が行かない様に庇い、ダメージを肩代わりする。
一方で他のイレギュラーズ達は、ロベリスクに攻撃しているスライム達に向けて牽制攻撃を行う事で、救助する為に飛び越えるTethとリアナル2人の負荷軽減を図る。
そして……まだ混乱しているロベリスクを問答無用で抱きかかえるTeth。
「細けぇ事は後だ。確り捕まってろ!」
と多少荒々しく言い放ちながら、スライムが密集しつつある包囲網を飛行で飛び越える。
しかしそれをまた、消化液でもって対抗しようとしてくるスライム。
それもまた、リアナルが身を呈してカバーリング。
「っ……ゴメン……ちょっと、厳しい……っ」
流石に激しい攻撃に晒された彼女は耐えきれずに、スライムの海の上に沈む彼女。
ただ、どうにかロベリスクをスライムの海の中からどうにか引っ張り出し、自らの陣の後ろへと運ぶ事は出来た。
『な、何なんだよぉ……これよぉ……!?』
目を泳がせている彼へ。
「大丈夫ですか……目を、覚まして下さい……!」
肩を揺らし、真摯に見つめる事で……正気を取り戻させようとするミドリ。
最初はあー、うー、と叫び続けているがが……そんな彼の足を見て。
「ふむふむ……あー、足が溶けてますねー。それじゃー、ばんそうこう貼っておきましょう」
と「おいしゃさんごっこ」で、その足の回復を試みる。
……その治療を受けて、ほんの少し正気を取り戻した彼へ、更にディリとTethが。
「無事か? 無事だな? 好奇心を捨てて、その場から動くなよ?」
「そうだ。てめぇ……今度からは護衛をつけろ、いいな!」
強い口調で言いつけることで、彼の本能にここが危険な場所であり、下手に動けば命はない……という事を刷り込もうとする。
『……わ、かった……!』
ただこくこく、と頷く彼……そして。
「よし。いいか、前に出過ぎるな。ダメージは俺が引き受けるからな!」
彼を絶対に守るという決意の下、ミドリと共に防衛線を張る。
そして、他の仲間達は近寄りつつあるスライム達へと近接。
……うぞぞぞ、と地面を這いずりまわる彼らの姿は、とても気色悪い。
「このスライム……テレビゲームタイプの可愛いヤツじゃねーな。TRPGタイプのかなりえぐい奴とみたぜ。にーちゃん、ねーちゃん達。出来る限り触っちゃ駄目だぜ、これはよ」
「ああ……そうだな。それに固めねェと分裂する、んだっけ? って事なら……失血と氷結の付与で、水分抜いて凍らせりゃ良いんじゃねえか? とりま試してみるとするか!」
ルージュの言葉にノロウは思慮を巡らせ、早速行動開始。
BloodShedを活用し、暗器をわざとスライムに掠めさせ、流血効果の付与と、体温低下を狙う。
だがスライム達は、その攻撃は余り効いている風には見えない。
ただ、ノロウに続けてコルが、アクティブスキル2を発動し、スライム達に極寒の風を吹きすさばせて、次々と氷結を狙う。
流石に30匹の全てが凍り付きはしないが、半数以上のスライム達が固形化する。
そして固形化したスライムに。
「待たせたな。こっからはパーティータイムだ!」
意気揚々とTethが『S2:Freeze_Wedge』を発動し、更なる氷結と共に、群がる敵を纏めて薙ぎ払っていく。
それにより、氷結していたスライムがコナゴナに砕け散るが……氷結していないスライムはぶよん、と二体に分断されていく。
「スライムを凍らせる事自体は良い作戦みたいだが……全てを凍らせないと、凍っていないのが分裂してしまうか……」
「その様ですね……捕獲も必要となると、出来る限り全部を凍らせた上で、凍っていないのを除いて攻撃為ていくしか無さそうですね」
「そうだな……これは確かに面倒な奴らだ……」
ミドリの言葉に、ディリは更に息を吐く。
例え倒したとしても、無尽蔵に彼らが増えて行けば、ジリ貧になるのは間違い無い。
だから的確に敵の数を減らして行かなければならないだろう。
そしてTethが。
「なぁ、ロベリスク!」
『は、はい!?』
「こいつら、強烈な酸性の消化液を吐き出してくるんだよな? なら、アルカリ性で中和出来たり出来ねぇか? 灰とかでさ」
あえて研究者であるロベリスクに、別の手段がないかを問いかける……が、それに。
『……そのやり方もあると思いますが、でもアルカリ性のモノ……ここの遺跡の瓦礫を砕けば多少は出てくるかもしれませんが、スライム達全部に振りかけるには、難しいかと……』
「そうか……解った。仕方ねえな」
改めてスライム達を見据えるTeth。
次の刻、再度ノロウが。
「ほらよ、かき氷にしてやるぜ!!」
と、更に『Bloodshed』での、扇範囲の敵に氷結を付与すると、更にTethのS2:Freeze_Wedgeは少し遠い範囲をずらす事で、満遍なく氷結付与を狙っていく。
そして凍り付いた敵には、コルとルージュの2人が進み出て、一体ずつ確実に砕き散らす事で、数を減らす。
そんな作戦で、スライム達を確実に仕留めていくイレギュラーズ。
しかし時間の経過と共に、何度も氷結の効果を付与されたスライム達は……氷結から解ける時間が段々と早くなっていく。
「ききづらくなっているみたい。みんなー、ちゅういしてー!」
とポシェットが仲間達に注意喚起。
さすれば氷結の一撃を、一匹に集中させる事で、殲滅ペースは遅くなるものの、確実に仕留める作戦へシフト。
そんなイレギュラーズ達の攻撃を回避したスライムは、いつの間にやら壁を這いずり……いつの間にか頭上へと回り込む。
そして眼下に研究者を狙い定めると……雨垂れの如く落下。
「……危ないっ!」
咄嗟にミドリが研究者をカバー。
次々と降り注ぐ消化液が……彼女を傷付けていく。
だが、瀕死の状態に陥っても。
「大丈夫……私は結構強いですよ?」
とスライム達に言い放つ。
そして彼女へと張り付くスライム達に、ディリがアクティブスキル2で氷結の範囲攻撃を叩き込む。
……しかし降り注ぐスライムの雨は止むことがない。
ディリもロイヤルガードを発動させ、ミドリとターゲットを分散させつつ、身を呈す事で研究者を更に安全な場所へと逃す。
そんなスライム達の猛攻の前に、流石にイレギュラーズ達の被害も甚大。
だが……決して諦めず。
「絶対に研究者さんは守りきります……それが、私達の仕事ですから……!」
「ああ……かなり厳しいが、一匹ずつ確実に仕留めていこう!」
コルとTethが声を掛け合う。
凍り付く時間が極めて少なくなっても、一匹ずつ確実に仕留める作戦を遂行する事で……イレギュラーズ達は大量のスライム達を、どうにか仕留め尽くしていった。
●固物
「……ふぅ……どうにか、終わったみたいだな……」
荒れた息を整えるノロウ……その足元には、どうにか残した、凍り漬けのスライム一匹。
とは言えこのままだと、氷り漬けが解けてまた復活してしまうだろうし……伸びた姿のままだと、瓶に押し込むことも出来ない。
「んー……どうすればいいのかなー? ねー、研究者の人、どうすればいーい?」
小首を傾げるポシェットだが、流石に命からがら生き残った彼は。
『え、ええ……っと……?』
「だって、研究者さん、研究でこれ使うから必要なんでしょ? いっぴきでいいから捕獲してくれってさー、ほんと研究ねっしんなんだからー!」
キラキラとした瞳で見上げてくるポシェット。
……その視線を僅かに外す様にするロベリスクだが、その視線に回り込んで更にポシェットが。
「ねえ、世界平和のためだよねっ。で、なにを研究してるの?? 何でも溶かすんだから、すっごい硬いモノとか、すっごい頑丈なモノとかかなー?」
期待に期待を込める彼女の言葉がとても眩しい……そしてロベリスクは。
『あ、ああ……そ、そうだね……錆び付いた扉とか、空かない宝箱とか……そういうのを溶かそうと思ったんだ。そう、空かなくて困ってる人を助ける為にね!』
ぐぐっと拳を握りしめ、力強く言う彼ではあるが、目が泳いでいるのは言うまでも無い。
……そんな彼の動きに、一抹の不審を感じながらもノロウがスライム達を瓶に詰めて、しっかりと蓋を閉じる。
そこに、更に念入りに冷気を与えて、キンキンに氷らせた上でクーラーボックスに入れて、彼へと渡すルージュ。
「解けやすいから、戻ったら液体窒素にでも漬けておいてね。溶けてまた襲われても、こっちはもーどうにもできないからな、にーちゃん」
半ば押しつけるように渡しつつ、溜息をつきながら。
「あーあ、帰ったら風呂に入らねーとダメだな。装備がボロボロだぜ……」
肩を竦めるルージュ。
……色々と溶かすスライムのせいで、服も、武器もボロボロ。
とは言え依頼はしっかりとこなした訳で、後は研究者の彼がどうするかなんて、知る由も無し。
そしてイレギュラーズ達は、時々瓶を氷らすのを繰返しながら……ログインポイントへと帰還。
ロベリスクがログアウトするのを確認した後に、イレギュラーズ達もログアウトしていくのであった。
成否
成功
MVP
なし
状態異常
あとがき
ROOのHARD依頼に参加頂き、皆様参加ありがとうございました!
不定形で分裂するという、中々厄介な能力ではありましたが……被害はあれど、研究者さんを身を呈して守って頂けたので、救出、となりました!
GMコメント
皆様、こんにちわ。緋月 燕(あけつき・つばめ)です。
ROOの世界第二段のシナリオ……今回は閉じ込められた練達の研究者を救出する事が目的ですが……既に詰みゲーに近い状態となってしまっている様ですね……。
●ROOとは
練達三塔主の『Project:IDEA』の産物で練達ネットワーク上に構築された疑似世界をR.O.O(Rapid Origin Online)と呼びます。
練達の悲願を達成する為、混沌世界の『法則』を研究すべく作られた仮想環境ではありますが、原因不明のエラーにより暴走。情報の自己増殖が発生し、まるでゲームのような世界を構築しています。
R.O.O内の作りは混沌の現実に似ていますが、旅人たちの世界の風景や人物、既に亡き人物が存在する等、世界のルールを部分的に外れた事象も観測されるようです。
練達三塔主より依頼を受けたローレット・イレギュラーズはこの疑似世界で活動するためログイン装置を介してこの世界に介入。
自分専用の『アバター』を作って活動し、閉じ込められた人々の救出や『ゲームクリア』を目指します。
特設ページ:https://rev1.reversion.jp/page/RapidOriginOnline
●成功条件
スライムに包囲されて、もはや絶体絶命な練達の研究者を救出する事。
また追加成功条件としてスライムを一匹以上捕獲する事になります。
●情報精度
このシナリオの情報精度はBです。
依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。
●周りの状況
ROO世界の『エメラルド』の迷宮森林に広がる遺跡の中が舞台となります。
遺跡の中はかなり薄暗く、灯がないと足元も見えない位です。
そしてそんな遺跡の中には、強力な消化液をその身体から噴き出すスライム達が巣くい、包囲しおり、そのど真ん中に研究者の彼がいる、という位置関係になります。
スライム達は自分に危険な行動をしてくる相手に対し、その消化液を噴出します。
その消化液は木、皮、鉄……と、様々な物を溶かしますので、武器や防具にその消化液を受けると、性能ダウン(攻撃力 or 防御力が1回毎に10%減少)となります。
●NPC情報
『ロベリスク』
練達の研究者です。
ROOの世界に閉じ込められてしまいましたが、それは研究を進める為にはプラスになる、と閉じ込められたことを寧ろポジティブに考えて居る様です。
とは言え彼が死んでは、これ以上研究が出来ませんので……救出は必須。
又、研究材料であるスライム一匹を捕獲して帰れれば万々歳となります。
ただ既に脚を消化液で溶かされてしまっているので、彼は能動的に歩けません。(片足で何とかジャンプしながら歩く事は出来ますが、スピードはスライムより遅いので、一人で逃げる事は不可能でしょう。
●討伐目標
・消化スライム x 30匹
スライム達は地面を這いずり廻るので、灯を目線の高さで照らしていると気づきにくいかもしれません。
前述した通り、消化液は自分に敵対する物に吹き付けてきて、それが武器・防具に当たると性能ダウンしてしまいます。
勿論、消化液自体が身体についたりすれば当然、ダメージを受けます。
尚、彼らの特殊能力として、普通に斬られたりすると分裂し、数が増えてしまう……という事があります。
数を増やさない為には、彼らの不定形な身体を固形化させる事が必要です。
(固形化させる事は、スライムの捕縛にも適用可能なので、どう固形化させるかは皆様で相談してみて下さい)
※重要な備考
R.O.Oシナリオにおいては『死亡』判定が容易に行われます。
『死亡』した場合もキャラクターはロストせず、アバターのステータスシートに『デスカウント』が追加される形となります。
現時点においてアバターではないキャラクターに影響はありません。
それでは、イレギュラーズの皆様、宜しくお願い致します。
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